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議会質問

2016年11月定例会 備前光正議員一般質問

  1. 塩尻東山地区の管理型最終処分場計画について
  2. 火山・活断層対策について
  3. 星空観光と環境整備につて

1.塩尻東山地区の管理型最終処分場計画について

【備前議員】
➀塩尻市東山産廃処分場建設計画の問題は何度もとりあげていますが、5月22日に地元対策委員会が管理型最終処分場計画の反対決議を、そして6月塩尻市議会では建設許可をしないことを求める意見書を、全会一致で採択し県に提出されました。さらに11月14日には地元住民57名が県庁に赴き、知事及び環境部長に建設許可を行わないよう陳情を行いました。陳情では41005筆もの処分場建設反対署名も提出されました。
 また、同時に「塩尻東山地区に計画されている管理型最終処分場問題調査報告書」が提出されました。これは酒井潤一信州大学名誉教授を委員長に、大塚勉信州大学全学機構教授などの地質学者や、地元の専門家など10名以上のこの地域を最も知るメンバーよって作成された80ページを超える調査報告書です。これによると同建設予定地は、
1)予定地付近を糸魚川―静岡構造線帯の活断層である、松本断層が通過していることが示唆される。
2)地下には豊富な飲料用水や農業用水に利用されている勝弦地下水盆が存在し、この水の汚染が起きた場合取り返しがつかなくなる。
3)同地は塩嶺トンネル掘削土や諏訪湖浚渫土によって盛り土された人工地盤が急傾斜地に作られようとしている。
4)隣接する岡谷市までは東海地震に係る地震防災対策強化地域に指定され、南海トラフ地震など影響が大きいと予測する。
などの調査結果が記載されています。これまでの私の議会質問に対し、環境部長は「専門家の意見を聞き総合的に判断する」旨の答弁をされております。そこで、今回この陳情を受けていただいた環境部長に、署名や報告書を受けての見解を伺いたいと思います。

➁地元対策委員会は環境対策委員会、地元区、塩尻市と事業者との協定書に基づく既存の安定型処分場への立ち入りをこれまで度々求めてきましたが、未だに実現されておりません。先月2日にも立ち入り調査を求めました。協定書には「事業者は立ち入りを断ることができない」と明記されているのにも関わらず、これまで地元住民以外はダメだとか、参加者の名簿提出や写真撮影の禁止などの条件をつけ実現しませんでした。それどころか今回、事業者はそれまでの専門家の立ち入りを拒否するのみならず、地元住民の立ち入りをも拒否しました。さらには当日、会社資料の閲覧を求め14名の住民が集まっても、一人がやっと入れる程度の急ごしらえのプレハブ小屋が用意され、入りきれない住民は寒空の下、地面に座ってメモをとらせるという、全く誠実さに欠けるものとなっています。このような事業者の行為は住民とまともに向かい合うことを避け、信頼関係を著しく損ない、閲覧権の侵害ともいえる行為で、住民の不信感と不安感は増すばかりであります。こうした状況について環境部長の見解を伺いたいと思います。

➂事業者は8月、新社長就任の際には「ひとまず延期」と「当初計画通り処分場建設計画の取り下げは考えていない」と対策委員会に伝えてきました。10年以上に及び地域住民はこの問題で翻弄されてきており、これまでの事を踏まえ管理型最終処分場の許認可に当たっては「ひとまずの延期」ではなく不許可とすべきであると考えますが、これについての環境部長の見解を求めたいと思います。

【関環境部長】
 ただいま塩尻市の東山地区の廃棄物最終処分場について、御質問をいただきました。
➀1点目の建設反対の陳情についてのお尋ねでございます。
本最終処分場の建設件計画につきましては、事業者と地元地区との間で10年以上の長きにわたり協議が続けられている中で今回建設に反対する4万1000人余の署名とともに、陳情をいただいたことにつきましては、地域の皆さんの思いとして重く受けとめております。また、あわせて提供いただいた報告書につきましても、計画地の地質構造や活断層の状況、地下に広がるかつ水分等について、多くの専門家の皆様によるさまざまな調査分析が行われておりまして、今後の審査にあたり参考となる資料と考えております。

➁次に、既存の安定型最終処分場への立ち入り調査についてのお尋ねでございます。 県では今年の6月県議会で備前議員からいただいた御意見も踏まえ、県の立ち入り検査時に住民の皆様の動向を提案するなど、住民の立ち入り調査実施に向けて調整を行ってまいりましたが、事業者と住民との間で協定書の解釈や立ち入り調査の方法について相違があり、実施まで至っておりません。
 立ち入り調査につきましては、事業者と地元地区との間で締結をされた環境保全協定に基づき、双方に誠意を持ってその履行に努めるべきものと考えております。このたびの陳情を受けまして、改めて県から事業者に対し、立ち入り調査の受け入れを要請したところでもあり、今後とも引き続き事業者に対し適切な対応を行うよう指導してまいります。

➂最後に、管理型最終処分場の許可申請についてのお尋ねでございます。
事業者は塩尻東地区環境対策委員会への回答におきまして、正しい理解が得られるられるまで本建設計画はひとまず勉強させていただく旨を表明しております。現在、本計画は、廃棄物条例に基づく事業計画協議の第1段階にあることから、今後事業を進めるためには、廃棄物条例に基づく詳細な事業計画説明の手続を経て、事業計画協議を終了し、その上で、廃棄物処理法に基づく設置許可申請の手続きを行うことが必要であります。県といたしましては、今後、条例に基づく事前計画協議が終了し、事業者から設置許可申請が提出された場合には、許可基準に基づき慎重かつ厳正に審査を行い、許可の判断をしてまいります。以上です。

【備前議員】
 ぜひとも報告書等も参考にしていただくということで、この地域を知る最も有力なメンバーによる調査報告書であります。ぜひともそれはお願いさせていただきたいと思います。
また陳情の際にも出されましたが、既設の安定型処分場における、硫化水素臭や黒く変色した川の石も示しましたが、硫化水素の発生原因を究明すべきと思いますがどうでしょうか。また市の調査でも周囲水と比べても処分場排水が何倍も高い電気伝導率を示すなど、事業者のデータと非常に乖離しているわけであります。事業者の採水する上下観測井戸の位置が適切な位置なのか示されないために不信を招いています。県は住民不安の払拭のため究明すべきであると思いますが、以上2点を環境部長に再度質問します。
【環境部長】
 現在設置をされております安定型最終処分場の硫化水素臭の発生原因についてのおたずねでございます。
最終処分場の浸透水の水処理施設付近の硫化水素臭、そして河川の色の変色につきましては県でも職員が現地をしております。安定型最終処分場において硫化水素が発生する原因といたしましては独立行政法人国立環境研究所の調査において廃石膏ボードが主たる原因とされており、ご指摘の安定型最終処分場につきましても平成18年度まで埋め立てが認められていたことからこの廃石膏ボードが主たる原因であるものと考えております。
 次に安定型最終処分場に事業者が設置をする観測井戸の位置についてのおたずねでございます。
地下水の電気伝導率は数値の工程よりも時間的変動や上部と下部の地点の数値の差を見ることによりまして管理型最終処分場の地下水への影響の有無を判断するものであります。
地下水との遮断構造のない安定型最終処分場につきましては、法廷検査項目とはなっておりませんが水質の状況を広く把握するための基本的な項目として県独自に電気伝導率等を測定を行っております。これらの数値を見ますと上部の井戸の値が下部の井戸の値よりも若干高い時もありますが、常に高いわけではなく、ここ数年上部と下部で大きな差はなく検査地点としても問題はないものと考えております。
 しかしながら、地域の皆様方から不安の声もお聞きしておりますので井戸の追加について事業者に要請をしているところでございます。
【備前議員】
 ただいまご答弁いただきましたが、やはり上下の地下水を取水する観測井戸の位置が不適切ではないかということを現場で見たいということが地元住民の声であるわけであります。
確かに上下の食い違いもありますし周りと比して非常に高いということが多くの疑問点になっているわけでもあります。この点を究明する気があるのかどうか、その点について環境部長に再度おききします。
【環境部長】
 ただいま再度ご質問いただきました。この井戸の上部と下部の値について特に周辺地域と比べて電気伝導率が高いということを地域の方からお話を聞いておりますが、河川水ですとか流出水について井戸水と単純に比較をすることは適当ではないと考えておりますが、ただ先ほど申し上げましたように今回の上部と下部の井戸の場所につきましては地元の皆さんから不安の声もお聞きしておりますので、この追加について現在要請をしているところでございます。
【備前議員】
 硫化水素臭につきましても大量の有機物がなければそのようなものは発生しないということも情報として得ているわけでありますけれども、具体的にこの中に何が入っているのかということが私どもは非常に知りたいわけであります。
 その点も含めて今後しっかりと究明していただくよう要望させていただきたいと思います。

2.火山・活断層対策について

【備前議員】
 御嶽山噴火から2年が過ぎました。噴石等で犠牲になられた58名の方々のご冥福を祈りつつ、今もなお5名の方が行方不明という状況で、今後火山災害を再び繰り返すことのないよう、火山を知り、これからの復興と火山の特性を活かした取り組みが進むことを願うばかりです。

➀こうした中、県は先月16日、木曽町、王滝村と共に、御嶽山麓に火山防災研究拠点として、名古屋大学大学院地震火山研究センターの研究拠点の創設を要請したとの報道がありましたが、これはどういった施設を目指しているのでしょうか。また大学側の反応はどうであったのか太田副知事に伺います。

➁一方今年9月、研究者不足の解消として実施される、文科省の「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」について、信州大学は参加を見送ったとの報道がありました。そこで県は県内での研究者養成にはどのように力を入れていこうと考えているのでしょうか。文科省プロジェクト参加は各大学の判断ではあると思いますが、信州大学の研究者ともお話しました。地元大学の優位性もあるなど意欲的でありました。そこで本県の火山研究にあたり、地元の信州大学との連携はどのように考えているのでしょうか。危機管理部長に伺います。

➂富士山を擁する山梨県では、火山噴火予知連絡会会長の藤井敏嗣会長を所長に、富士山科学研究所を設置しており、会派で視察してきました。同研究所は富士山の環境保全の研究から、富士山火山及びその防災対策に関する研究など広く行い、火山防災施策への貢献と火山知識の普及啓発を行うために運営され、噴火の履歴やシミュレーションなどから簡易リアルタイムハザードマップツールの作成などおこなっています。そこで長野県にはいくつもの火山がありますが、これらの火山を網羅した形での火山研究拠点施設が本県こそ必要になると思いますが、これについてのお考えを危機管理部長にお尋ねします。

➃また、活断層については先の6月議会でもとりあげ、徳島県における中央構造線活断層帯における学校・病院・福祉施設など多くの人が利用する建物や危険物を貯蔵する施設などの特定施設の新築等における届出を必要とする条例の考えはないか質しましたが、危機管理部長は「長野県には主要活断層が数多く存在し、あらゆる地域に地震による被害リスクがあるため、備えの重要性について啓発に努める」と答弁されました。
しかし、第3次長野県地震被害想定では想定される活断層の地震での地盤変形の幅は、長野盆地西縁断層帯では100m、糸魚川―静岡構造線断層帯の松本盆地で80m、同じく諏訪湖周辺では180m等と記載されています。先の議会答弁では「8つの活断層モデルと東海地震および南海トラフの巨大地震を想定地震として、機能の障害をきたす可能性のある防災上の重要施設も812施設ある」と答弁されましたが、このたび視察した徳島県の担当者は、「行政が活断層の情報を得ておきながらこれを県民に周知しないことの方が問題で、活断層線上の地表に現れるズレによる被害は避けがたいため、断層帯での特定施設の新築等の届出制を導入した」と言われました。こうした取り組みはより多くの活断層を抱えているからこそ本県でも必要ではないでしょうか。知事の所見を伺います。

➄山梨県では「長く火山研究を自治体が取り組むことは観光などへの影響から「タブー視」、噴火を「敵視」してきた。今、世界遺産指定も相まって火山の恵みや生活に活かす研究にも発展させてきている」といいます。また徳島県でも県民に制限をかける条例は「不人気政策」ではあるが、重大問題であるといわれました。そこで長野県が複数の火山や、また今後地震を誘発するいくつもの活断層の存在することからも、これら火山同様に活断層の研究拠点づくりが必要と思いますが、これについての考えを知事に伺います。

【副知事】
➀木曽地域におきます火山研究施設について名古屋大学に対する要請に関わるご質問にお答え申しあげます。
県では一昨年の御嶽山噴火およびその後の経過を踏まえまして木曽地域に火山研究施設がぜひとも必要であるとの考えにたちまして、木曽町および大滝村の意向も叶って今回名古屋大学設置の要請も行ったところでございます。要請しております研究施設につきましては御嶽山での火山活動の観測とデータの活用、専門的知見をふまえました火山防災対策への助言、地元自治体と連携いたしました火山防災教育の推進や防災能力の向上、登山者・観光客への火山防災への啓発など、県や地元に効果の及ぶ業務を行っていただくことを期待するところでございます。
 名古屋大学側の反応でございますけれども、当日要請の場、およびその後の共同記者会見におきまして、神沢博名古屋大学大学院環境部研究科長および山岡耕春地震火山研究センター長からは研究施設の設置に向け、前向き検討したい旨の発言をいただいた上で「研究所の設置により大学と地元や観光業者とが顔の見える関係を維持したい。」また「地元に火山のことがわかる人材を育成し、観測や研究現場の情報共有の基地としたい。」さらに「大学の研究成果を地元にフィードバックできる恒久的な施設としたい。」というような積極的な発言をいただいたところでございます。
県では今後実現に向けまして財政的な支援も含め両町村とともに名古屋大学と具体的な協議を進めてまいりたいと考えております。
【危機管理部長】
 私には2点で順次お答え申し上げます。
➁まず、県内での火山研究者の養成についてでございます。
火山研究者の養成につきましては、この分野を志す学生を増やすこと。そのための出口、就業先の確保、そして、緊急事態の魅力向上など、さまざまな課題がございます。
したがいましてこれにつきまして国のリーダーシップのもとで、大学や研究機関が連携をした息の長い計画的な取り組みが求められております。
県では、この点につきまして兼ねてから国に要請を重ねているところでございます。 なお、ご質問にございました文部科学省の次世代火山研究人材育成総合プロジェクトでは、その成果といたしまして、例えば、火山災害懸念に有効な教育カリキュラムの構築ですとか、災害軽減視点や知見を持った研究者の育成、これを掲げております。 そして、自治体性として、地方自治体も関わるということになっておりますので、県としても、この事業に可能な限り協力することを通じまして、県内の火山研究者養成にもつながっていくことを期待しているところでございます。
 信州大学との連携でございますけれども、信州大学では平成27年度に地域防災減災センターを設置をし、自治体や住民の防災減災の取り組を支援をしております。
このセンターの主催事業には県も参加するなどしておりますけれども、防災分野における連携をさらに強めてまいりたいと思っております。
また、子供への火山防災教育につきましては、信州大学教育学部の竹下欣宏準教授が大変熱心に取り組んでおられます。
県といたしましても、火山防災の取り組みがさらに充実するためには、専門家の皆さんと、さまざまな形で一層連携強化を強めていくように努力をしていきたいと考えております。
➂次に、県内全火山に関わる火山研究拠点の施設の必要性についてでございます。
火山研究拠点は火山が見える場所で研究者がフィールドワークを長期継続的に行える場所に設置されることが理想的でございます。長期継続的に行える場所に設置されることが理想でございます。
 山梨県の場合、常時観測火山が富士山一火山であるのに対しまして、長野県に関係する常時観測火山は7火山ございます。
それぞれの火山で観測研究を行っている大学研究機関が、それぞれ異なりますので、全ての火山を網羅的に所管をする、火山研究拠点の設置というのはなかなか難しいからではないかと考えております。
一方、日ごろから観測研究を行っている火山専門書との連携は助言を受け、相談できる体制づくりは、これは御指摘のとおり極めて重要でございます。
すでに県が関わる7つの火山防災協議会にはそれぞれ火山専門家が加わっており、顔の見える関係を構築をしておりますし、また、本年度、県独自で6名の火山専門家、火山のホームドクターともいえる研究者の皆さん、6名を長野県火山防災アドバイザーとして委嘱をし、平時も有事も適切な助言が受けられ、相談もできる体制作りを行ったところでございます。 以上でございます。
【阿部知事】
 私には徳島県と同じような制度の導入についてのご質問をいただきました。
④徳島県では条例で特定活断層調査区域を指定して特定施設を新築等する場合には届出調査を行うという制度を作っております。徳島県主要活断層が中央構造線断層帯のみでありますけれども本県では糸魚川-静岡構造線断層帯、伊那谷断層帯などがいくつも存在しておりまして、徳島県とは必ずしも状況は同じではないと思っております。また今年発生した鳥取県中部の地震などのように地表に活断層が確認されていない部分というものもあるわけであります。この規制によって、かえって規制外の地域は安全であると誤解を生じる可能性も有りうるというふうに思っております。
 そういう意味で徳島県のやり方もひとつの手法だとは思いますけれども、本県としては27年3月に第3次長野県地震被害想定策定しております。
また相対ごとに想定される震度被害明らかにして冊子にまとめて周知をしているところでありますが、こうしたことをベースにしながらより広く県民の皆様方にお知らせをしていきたいというふうに思っておりますし、また地震に対する対応の在り方ということも含めて市町村とも連携して広報指導に取りあげてもらうことなど、さらに工夫をして取り組みを進めていきたいといいうふうに思っております。
【備前議員】
 参考にさせていただいた山梨県では長く火山研究を自治体が取り組むことは観光などへの影響からタブー視、いわゆる噴火などを敵視してきたと。今世界遺産指定もあいまって火山の恵みや生活に活かす研究にも発展させてきているとおっしゃられました。
また徳島県でも県民に制限をかける条例は、いわゆる不人気政策ではあるが重大問題であると言われました。そこで先ほども地表に活断層が確認できないということで非常にわからない分野でもあるわけであります。また複数の火山があるようなそうした県であり、今後地震を誘発するこうしたいくつもの活断層の存在することからもこれら火山同様に割断増の研究拠点作りが必要になってくるのではないかと思いますけれども、これについての知事のお考えをうかがいます。
【阿部知事】
➄活断層に関しての研究拠点作りの必要性についてのご提案でございます。
阪神淡路大震災での課題をふまえまして活断層の地震活動等、総合的に評価・公表し、地震防災対策を一元的に推進する組織として政府は地震調査研究推進本部設置をしております。
活断層の研究、これは高い専門性、それから長期にわたる研究成果の蓄積、また分野横断的なアプローチが必要だというふうに考えております。そういう意味でこの国の本部でも国のみならず大学とも連携して取り組みを進めているわけであります。そういう意味で私ども長野県としても科学的知見を取り入れて防災対策を取り組んでいくということが大変重要だというふうに思っております。
 信州大学や京都大学、山梨大学等の研究者にもご参画をいただいた上で地震被害想定の策定をさせていただいております。また前気象庁長官の西出則武氏を防災総合アドバイザーとして委嘱してご助言をいただいているところであります。なんというか地域ごとに分散して研究ができるような環境で割断増の分野はなかなかないという、一人や二人の研究者がいても必ずしも十分な研究体制にはならないというふうに思っております。そういう意味で国にはしっかりと地震、活断層に関する調査研究中心になって進めていただきたいと思いますし、私ども長野県としてはそうした知見、情報等をもとに市町村や地域と一体となって被害を減少させる減災のための取り組み、防災のための取り組み、こうしたことをしっかりと進めていきたいと考えております。

3.星空観光と環境整備につて

【備前議員】
①近年、阿智村でのナイトツアーなど星空を観光に生かした取り組みが県内各所で旺盛に行われています。阿智村では2012年の6500人台から昨年は63000人に迫るとお聞きします。また先月11日に松本市で開かれたこんにちは県議会では乗鞍高原での取り組みも報告され、「乗鞍高原は天の川高原」と紹介され、標高1200メートルから3000メートルに広がる天空リゾートと銘打って星空に誘うコンテンツが盛んに取り組まれているといいます。
 さらに私の地元塩尻市でも今年、観光協会が中心となり、「高ボッチへ行こう 標高1665メートルからのサンセット、夜景、星空に乾杯」と称して計画し、定員100名の枠は2日でいっぱいとなりました。予定日は悪天候で延期された9月24日もあいにくの天候となりましたが、50名に絞って決行されました。私も要員として参加しましたが、サンセットや星は見えなかったにもかかわらず、参加者からも「とても良いツアーだ」と好評のアンケートが圧倒的となっています。そこで現在このような星空をモチーフとした観光イベントはどの地域でどのような取り組みが行われ誘客をしてきているのでしょうか。また、誘客数増加の要因はどのように考えておられるのか観光部長にお尋ねします。

②一方先月23日、県出身で国立天文台の縣秀彦さんや野辺山宇宙電波観測所長らが呼びかけて、県内に設置されている天文台や関係者らが集い「長野県は宇宙県」と題したミーティングが信州大学で開催され、100名もの関係者が参加しました。ここで天文関係者も地域振興、人材育成、観光、さらに天体観測のできる環境維持などを目標に”松本宣言”を採択し、長野県の特色としての星空を活かした方向を見出そうとしています。知事もこうした関係者と話しをされているとお聞きしましたが、関係者の発しているこうした長野県の星空資源の活用についてどのように生かし発展させようとしているか知事に伺います。

③また同ミーティングでは県内に野辺山電波観測所や木曽観測所、JAXA臼田宇宙空間観測所など専門の天文施設は8施設で日本一多く、公開天文台も全国有数といわれるなど教育研究機関が集積しており、教育との連携についても考えられるわけでありますけれども、教育においてはどう活かすつもりか教育長にお尋ねします。

④またナイトツアーの阿智村浪合地区では、環境省調査で全国1位の星空を大切な観光資源として位置づけ、住民の郷土愛の醸成により良好な星空環境を持続させようと環境保全や光害予防等について方向付けがされていると聞きます。良好な環境があってこそのナイトツアーです。県内のこのような特色ある観光としての星空観光を振興させるためにも、必要以上の照明の抑制や周辺への配慮をし、良好な自然環境を維持し、省エネルギーや地球温暖化対策としても有効となりますが、国内では光害防止のための条例制定する自治体やまた、群馬県ではぐんま星空憲章などを制定するなどで環境維持に努力しているところもありますが、長野県もそうした取り組みで応援をするつもりはないか知事に伺います。

➄良好な夜空の環境を守るために、これまで環境省が実施してきた全国星空継続観察があります。しかし、この事業は平成23年で事業を中止してしまっています。そこで同事業を長野県の環境の優位性を維持発信させていくためにも再開させるよう国に求めるべきであると考えますがどうでしょうか。また県も独自に継続観察を県内各地で行っていく必要性があると考えますが環境部長にお尋ねします。

【観光部長】
➀星空観光の取り組み状況と増加の要因についてお答えいたします。
星空を活かした観光の取り組みについては、議員ご指摘の阿智村の天空の楽園・日本一の星空ナイトツアーをはじめ、県内各地で行われております。本年度の取り組み状況は今後の予定も含めますと26市町村で46件となっており、このうち本年度から開始しているものが16件と近年増加傾向にございます。
 取り組み内容としては、通年実施するものから1日のイベントまで様々なものがございますが、全体では約12万人の方にご参加いただいております。
 近年増加の要因としては長野県は標高が高く、空気が澄んでいることから県内各地で美しい星空が楽しめること、また、こうした資源を活かし環境省から平成18年度日本一に選定された阿智村や、天文学者により日本三名所の一つに選ばれた南牧村等において星空観光の取り組みが行われ多くのお客様に訪れていただいていることが、成功例として県内各地に広がっているものと考えております。また、観光部におきましても昨年度と本年度、全国の旅行エージェントを対象とした販売促進会議を開催し、阿智村や南牧村、長和町等のナイトツアーや星空観察会のPRや他市町村分も含めた素材提起も行っておりまして、こうしたことも増加の要因のひとつと考えております。
【阿部知事】
➁星空観光についてのご質問でございます。
私も南牧村、あるいは阿智村、阿智村はちょっと天気が悪くてナイトツアーに行ったんですけど星空が見えなかったんですけれども、星空を見るという雰囲気は体験させていただきました。
長野県は大変美しい空気に恵まれ、そして日本で最も標高が高く、宇宙に近い県でもあるわけでもありますので星空観光の可能性は大変大きいというふうに思っております。今年の7月に木曽地域に移動知事室でお伺いしました。その際、東京大学の木曽観測所を訪問させていただき、関係者の皆さんとこの観光も含めて懇談をさせていただきました。
 こうした中で私の方からは県内の天文観測施設の関係者の皆さんのネットワークができないものかというふうにご提案をさせていただいたところ、早速木曽観測所長のご賛同をいただき、関係者の皆様方のご尽力で国立天文台の野辺山宇宙観測所では11月1日に長野県宇宙軒というウェブサイトを立ち上げていただき、11月23日にはお話にありました第1回長野県宇宙県ミーティング実行委員会が開催されというふうに伺っております。大変ありがたい動きだというふうに思っております。
 そういう中でまず木曽地域におきましては星空、この木曽の観測所の施設、こうしたものを観光活性化につなげていくという観点で今地方事務所が頑張ってもらっています。天文関係者、観光関係者等と、様々な可能性を検討しておりまして、例えば見学者受け入れのための施設の整備であったり、あるいは星空案内ガイド養成など人材育成の支援であったり県内の観測施設のネットワーク等の連携だったり、こうしたことを視野に入れて取り組みを進めてきております。こうした取り組み、全県での展開ということも重要だというふうに思います。
 長野県観光戦略推進本部設置をしておりますので、これは観光部のみならず環境部も含めて関係のところとしっかり今後の在り方を考えていきたいと思っております。
④それから光害防止に関する自治体への応援というご質問でございます。環境省では光害対策ガイドラインを制定しております。県では市町村、関係団体に周知をしてきているわけでありますし、県におきましても省エネルギー、地球温暖化対策の観点からライトダウンキャンペーンを行うなど様々な取り組みを行ってきております。
また平成29年度には、星空の町、あおぞらの町、全国大会を南牧村におきまして環境省とともに開催をさせていただく予定になっております。また県内各地で星空を観光資源として活用する動きが広がってきております。
 改めて光害対策のガイドラインの周知をしていきたいと思っております。また星空観光を振興するために意義を決めて光害を抑制する取り組みを行う市町村等に対しては、照明方法など技術的な助言を行わせていただくとともに、元気づくり支援金の活用等で地域における取組を応援していきたいと考えております。
【教育長】
➂星空等の県の資源を教育で活かしていくための方策についてのおたずねでございます。
長野県で観られる素晴らしい星空は、教育資源としても大変有効であるというふうに考えております。議員ご紹介の阿智村にある阿智高校では信州学の一環として地域政策コースの授業において星空に着目した村の事業を学び、村認定のスターマイスターの資格を取った上でスターウォッチングで訪れる観光客に星の紹介などのガイドを勧める取り組みも始めたところでございます。
 また飯田市では今年度、小学生を対象に宇宙留学サマーキャンプを企画いたしまして、星空観測やクレーター見学に加え、簡易ロケットの制作・打ち上げを行う等、地域資源を活かして宇宙教育を展開し、将来の航空宇宙産業を支える人材の育成を狙っているところでございます。またスーパーサイエンスハイスクール指定校や、理数科設置校などは木曽町にある東京大学木曽観測所で宿泊研修を実施し、星の観測や天文に関する高度な学習を行っております。
 県教育委員会としても県総合教育センターにある天体ドームの望遠鏡を使いまして、天文観測会や指導者講座を実施しているところでありますが、さらに県総合教育センターでは来年度から京都大学大学院が台湾で行う研究に加わりまして、学校などで惑星や天体をスクリーンに立体的に投影することができるダジック・アースといものの研究にも取り組む予定としております。
 これらの様々な取り組みを通じまして子どもたちに知的好奇心や豊かな感性を養うとともに自然関係への関心を促す教育資源として星空をさらに活かしてまいりたいというふうに考えております。
【環境部長】
➄全国星空継続観察の再開等についてのおたずねでございます。
環境省の全国星空継続観察、いわゆるスターウォッチングは、光害が原因となる夜空の明るさの増大などを実感し、対環境等人間活動との関わりについて問題意識を深める活動のひとつとして実施をされてきた事業であります。
この事業は平成24年度まで継続をされておりましたが、平成25年からはデジカメ星空診断として天文台関係者等の専門家団体からなる星空公団がこれを引き継ぎ、環境省が講演を行っているところであります。この後継事業の平成27年度の参加は22都道府県の86地点と一部の地域に留まっておりまして、県内からの参加はない状況にあります。
 星空観察を通じて良好な環境を発信するためには長野県内だけではなく、多くの人が参加するような全国的な取り組みが必要と考えております。このため、環境省に対しましてはこのデジカメ星空診断の知名度アップのために全国への周知について話をしているところでありますし、また県といたしましてもこのデジカメ星空診断に多くの参加がなされるよう、市町村や星空観察団体等に呼びかけてまいりたいと考えております。
【備前議員】
 星空観察のことで環境省もそういう取り組みをされているが長野県としてはゼロだと。これは長野県のブランドだというふうに思います。ぜひとも広めていくようにご努力をお願いしたいと思います。
 最後に観光部長にお尋ねします。県下でのさまざまなこのような取り組みがおこなわれているわけでありますけれども、本県の特色を活かした星空観光についての宣伝について、県の観光のホームページを見ても、山とか自然とかはありますがジャンルが違うのか見受けられません。
 関係者からはオール信州の星空に特化した冊子の作成を日本語や英語版などでの作成をし配布することや、県ホームページへの専用ページの掲載やプロモーションビデオ作成のサポート、そして県下各地の星空を紹介するタイムラプス映像の配信などの支援等の要望もいただいていますが、これらについて提案をしますが、観光部長のお考えを伺います。
【観光部長】
 星空観光の宣伝についてのおたずねでございます。
星空観光につきましては本年実施した信州プレデスティネーションキャンペーンにおきまして総合パンフレット、また旅行会社向けガイドブックの中に特殊ページを設けましてPRしたところでございます。
HPでございますけれども、議員がご指摘された県の観光ホームページ、さわやか信州旅ネットのリンク先として信州DC専用のホームページがございまして、この中で星空観察会などを信州各地の夜の魅力として紹介したところでございます。
 ただいまいただきましたご提案につきましては来年の信州DC本番に向けましてパンフレットやホームページの充実を図っていく予定でございますので、その中で検討してまいりたいと考えております。
【備前議員】
 本県の地勢を生かしたこうした星空観察を進めるためにもその環境が守れてこそであります。自然の恵み、人的資源、施設の資源に恵まれたこの長野県の特色をより一層観光や子どもたちの教育などに活かされるよう申し上げまして質問を終わります。

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