「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律の廃止を求める意見書(案)」提案説明
2月県議会本会議において「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律の廃止を求める意見書(案)」の審議がおこなわれ、意見書案は賛成少数により否決されました。藤岡議員が提案説明をおこないました。
議第10号「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律の廃止を求める意見書(案)」について提案説明
2017年3月2日
藤岡 義英
議第10号「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律の廃止を求める意見書(案)」について提案説明いたします。
いわゆるカジノ解禁推進法とは、国際観光、地域振興、税収増などを図るとしてカジノ賭博場を中核にした総合型リゾート、IRの整備を進める法律です。刑法の賭博禁止の規定を外し、民間事業者が営利目的で賭博場を開場する民営賭博を国内で初めて認めるものであります。
IR施設で家族が揃って楽しめると宣伝されていますが、世界的には収益の8割以上がカジノで占められております。
このカジノ法に対し、大手主要4紙が衆議院での可決された日、昨年12月2日にこぞって反対の社説を掲載いたしました。
日本で賭博行為は刑法で禁止されています。その理由について法務省は「勤労の美風を害するばかりでなく、副次的な犯罪を誘発し、さらに国民経済の機能に重大な障害を与える恐れすらある」という、政府の正式見解を述べています。今なぜ解禁なのか、国民への説明はありません。
「カジノによって経済は良くなる」との意見も間違いです。諸外国の例を見ても、その地域の衰退に繋がっているのは明らかです。
そもそも国民からお金をまきあげ、不幸にするやり方で経済成長をやろうという発想自体が貧困です。
そして法案の成立のさせかたも乱暴を極めました。この法律は廃止するしかありません。
すでに人口の5%、500万人以上がギャンブル依存症と言われている日本は、国際的にも深刻な状況だと指摘されています。
カジノ解禁が社会に与えるマイナスの影響は、極めて甚大なものになるでしょう。
長年ギャンブル依存症に向き合ってこられた精神科医で作家の帚木蓬生(ははぎぎ ほうせい)氏はこうおっしゃっておられます。
「ギャンブル依存症の特徴は借金と嘘です。お金のためにどんな嘘でもつくし、サラ金からの借金も平気です。」と。
さらに「病気には原因があると考えがちですが、ギャンブル依存症に原因はありません。意思が弱いとか性格の問題ではありません。問題は環境です。ギャンブルへのアクセスの良さが大きく影響します。」と。
パチンコ店がどこにでもあり、誰でも行け、競馬の馬券、競輪の車券もネットや電話で買えるという日本の現状を問題視されております。
カジノ収入からギャンブル依存症の治療費を賄うとしておられますが、カジノを解禁すればさらに悲惨な事態が広がるでしょう。依存症が出ることを前提にバクチの寺銭でその費用を賄おうというのは本末転倒です。国民世論の6割、7割がカジノ設置に反対しています。県議会としてもカジノに頼らない経済発展を長野県からと、その立場でぜひ意見書案への賛同をお願いし、提案説明といたします。