2017年6月定例会 備前光正議員一般質問
1.太陽光発電施設問題について
- 【備前議員】
- 太陽光発電施設問題について伺います。
地球温暖化対策を受け、再生可能エネルギーの需要が高まっております。さらに2011年の東日本大震災に起因した東京電力福島第一原子力発電所の爆発事故で再生可能エネルギーの必要性が一層高まり、2012年7月には再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始され、一層拍車がかかっております。
長野県は日照時間の長さ等、効率的な発電の好適地とされ、太陽光発電施設の設置が加速しております。
一方では、わが団もたびたび取り上げておりますメガソーラー発電による環境への影響によるトラブルも発生しております。私たちは原子力に頼らないエネルギーへの転換を目指すものでありますが、今回、中規模な太陽光発電施設の無秩序な設置によるトラブルについて質問します。
昨年暮れ、塩尻市大門の上ノ山では、突然の県外業者による林地開発が始まりました。無造作に切り倒された樹木が盛り土された高台の急傾斜地の上に積み上げられ、住宅地に迫り、フェンスもありません。住民はチラシで太陽光発電と知りました。その後、県・市の担当者により森林の伐採面積が1ヘクタールを超えることが判明し、工事のストップがなされました。また、住民説明会を再三要望しても、開かれたのは半年過ぎの6月11日で、既に数千枚のパネルが敷かれ、電力会社との接続が行われた後でした。
説明会には私も参加しましたが、住民からは事前説明もなく施工されたこと、設置場所が50~60年前までは石灰岩を採掘した場所で土砂災害特別警戒区域にも挟まれ、陥没も起きているなどの場所の問題や、フェンスの未設置、火災など緊急時への対応、また雨水処理は急傾斜地にため池をつくり地下浸透で対応するという驚くべき内容に、不審や心配の声が多数出されました。①そこで環境部長に伺いますが、このように環境アセスメントの対象とならない規模の太陽光発電施設の設置でも、地域住民と設置事業者との間で問題が発生しているのでありますが、こうした太陽光発電施設設置で生じている問題をどう把握しているのでしょうか。
②また、今回は山林を伐採しての太陽光発電施設となっており、このことは業界のホームページでは、山林や農地、遊休荒廃地あるいは原野などへの設置を奨励するような宣伝が行われております。
そこで県は、太陽光発電施設の認可を地目別での設置件数や面積・発電量等の把握は行っているのでしょうか。③過日、県議団はこの問題で全国初のガイドラインを策定した山梨県や北杜市を調査しました。
山梨県では、太陽光発電の設置によりパネルの照り返しで暑くなり転居を余儀なくされた方、南アルプスの景観を好んで移住したのにパネルの林立で見えなくなった、またパネルからの雨水が浄化槽に流れ込み、水回りが使えなくなり居住権が侵害されるなど、住民間で訴訟問題も発生していると聞きました。
本県は、太陽光発電を適正に推進するための市町村マニュアルを作成しておりますが、このような太陽光発電施設の設置による隣接者への照り返しや景観への影響、特に雨水流出等による影響を予防措置として、新規参入分も含め調査すべきではないでしょうか。以上3点を環境部長にお尋ねします。④あわせて太陽光発電の設置により、農地や山林等が失われていることを放置してよいのかという問題があります。山林開発について、県は隣地開発事務取扱要領での取り組みもありますが、市町村と協力し、例えば10キロワットを超える地上設置の太陽光発電施設による、隣地における雨水の動態や土砂災害防止の観点からの事前調査を行うべきではないでしょうか。林務部長にお尋ねいたします。
- 【環境部長】
- 太陽光発電施設問題につきまして、3点御質問がございました。
①まず、環境影響評価の対象とならないトラブル事例の把握についてのお尋ねでございます。県の環境影響評価制度では、太陽光発電施設の設置について、森林等の場合20ヘクタール以上、それ以外の場合は50ヘクタール以上を対象としております。環境影響評価の対象にならない場合も含め、トラブル事例については地域振興局環境課に設けた相談窓口への住民および市町村からの相談や、関係部局との情報共有などにより把握をしております。
なお、平成28年度から経済産業省が自治体向けに個別の設備認定の情報を提供しており、トラブルに発展しそうな案件をあらかじめ把握するため、当該情報を活用するよう市町村や関係部局に呼びかけているところであります。②2点目の設置場所の地目の把握についてのお尋ねでございます。先ほども申し上げました、経済産業省でつくっております情報システムからの情報でありますが、固定価格買取制度の設備認定に当たりまして、経済産業省では所有権の有無など、その土地に発電設備が確実に設置されているのかという観点から審査を行っておりまして、このため、先ほどの情報提供システムにも地目に関する情報は提供されておりません。
太陽光発電施設の立地については、土地の現況や周囲への影響等を勘案して検討することが望ましいと考えておりまして、地目の把握についても、施設の設置前に行われる隣地開発許可や農地転用許可等の手続の際に、審査の過程で必要に応じて行っているものと認識をしております。③3点目の太陽光発電施設の住環境への影響についてのお尋ねでございます。太陽光発電施設の隣接地の住環境への影響については、事業を実施する場所や規模、開発の対応に応じて関係法令に基づき対応を行っております。既存施設における影響については、先ほどの自治体向け提供システムにより認定情報の詳細を把握できるようになっていることから、まずは市町村において実態を把握をし、近隣からの情報などに基づき、必要に応じて県との情報を共有しながら、関係法令に基づき対応していく必要があると考えております。
さらに新規参入者への対応としては、市町村対応マニュアルの県・市町村の相談窓口での周知に努め、地域との合意形成を促す取り組みを強化するとともに、トラブルに発展しそうな案件については、県関係部局、市町村とが情報共有しながら、予防に努めてまいりたいと考えております。以上であります。
- 【林務部長】
- ④中小規模な太陽光発電施設の隣地への設置に対するお尋ねでございます。
太陽光発電施設の設置をはじめ森林の伐採や開発を行う場合、保安林につきましては森林法に基づき、規模の大小にかかわらず、災害防止等の観点から、伐採の内容、代替措置等について事前の審査を行います。保安林以外の森林については、森林法に基づき開発面積が1ヘクタールを超える場合は林地開発許可制度の対象として、災害の防止等の観点から事前の審査を行っております。1ヘクタール以下の場合は市町村に伐採届を提出させ、伐採の内容が適切であるか、市町村が確認することとなっております。
このように森林の開発や伐採に当たっては、森林法により一定の法規制が設けられております。議員御指摘のような、地域でお困りの案件には寄り添った対応をいたしますが、メガソーラーの100分の1規模からの太陽光発電向けに事前調査を行うというのは、現実的ではないと考えております。
- 【備前議員】
- ①県は太陽光発電を適正に進めるための市町村マニュアルを作成し、市町村で条例やガイドライン等をつくっているところもあります。そこで、その制定状況はどのようにつかんでいるのでしょうか。
②また塩尻市のこの事例のように、このような事態がなぜ起きてしまっているのか環境部長にお尋ねいたします。
③県のガイドラインを制定した山梨県では、計画段階での適正な立地場所の選定や遵守すべき事項等、市町村や住民と合意形成を重点に進めています。しかし、条例ではないので強制力がないことが問題とされております。長野県は山梨県と並んで太陽光発電の好適地とされ、事業者の参入ラッシュとなっております。一方で今回の塩尻のような炭酸ガス吸収源の樹木を伐採しての太陽光発電は、温暖化防止からは逆行していると考えますが、どう捉えているのか環境部長に伺います。
④山梨県では、県のガイドラインよりも規制を具体的に強化した独自の条例を制定しようとしている自治体があります。また兵庫県では、この7月より事業区域5,000平米を超える地上設置の事業者は、届け出が義務づけられる太陽光発電施設等と地域環境との調和に関する条例が施行されます。
こうしたことからも、本県も山梨県などのような乱開発状態にならないよう、アセス対象とはならない中規模の太陽光発電施設設置についての規制のできる条例制定を行うべきと思いますが、環境部長にお尋ねします。
- 【環境部長】
- ただいま4点御質問をいただきました。
①1点目の市町村のガイドライン策定状況についてのお尋ねでございます。太陽光発電施設の設置への対応として、事業者に届け出や住民説明等を促すガイドラインを策定しているのは、県内で15市町村となっております。
このほか、条例や規則、要綱等で対応する市町村もあり、平成29年1月末現在で56の市町村で何らかの独自の取り組みがなされています。また、独自の取り組みがない21市町村についても、昨年県が作成した市町村対応マニュアルを活用して、必要な対応の把握や条例の制定などができるよう、今後も支援や普及に努めてまいります。②2点目の塩尻市の事例がトラブルとなった原因についてのお尋ねでございます。今回のトラブルの原因といたしましては、事業者が指導があったにもかかわらず、森林法違反の事実を直ちに是正をせず、住民に説明することもなく施設を完成させてしまったことが一番大きなものであると認識をしております。
県では昨年12月以降、市町村対応マニュアルの事業者向け説明会を5回開催しております。ですが、今回の事例では、それ以前に森林の伐採届が提出をされております。市町村対応マニュアルの事業者向けの普及について、関係部局や市町村とも連携をして今後も力点を置いてまいりたいと考えております。③3点目の樹木の伐採による太陽光発電施設の設置についてのお尋ねでございます。太陽光発電施設の設置は、二酸化炭素の排出削減に大きく貢献できる方策であります。しかしながら、全国有数の森林県である本県としては、森林の持つ二酸化炭素の吸収源という機能を最大限活用していくことも重要であると考えております。太陽光発電施設の設置に当たっては、関係法令はもとより地元住民への十分な説明による地域との調和に配慮するよう事業者に求めているところであります。今後とも、より環境への負荷が少ない再生可能エネエネルギーの普及拡大を積極的に推進してまいりたいと考えております。
④最後に、県による新たな規制についてのお尋ねでございます。太陽光発電施設の増加の契機となった固定価格買取制度、いわゆるFITでありますが、これは再生可能エネルギーの普及拡大のため国が創設をした制度であり、設備認定は経済産業大臣が行っております。こうしたことから、太陽光発電施設の急増に伴う地域とのトラブルを未然に防ぐため、県としても、国に対して地域との調和の観点からさまざまな機会をとらえて要望を行い、今回FIT法改正により、法令違反に対する認定取り消しも含め、制度が見直されたところであります。また、県としてはこれまでに一定規模以上の太陽光発電施設の環境影響評価の対象か、また、防災のための調整池の対象降雨確率の引き上げですとか、景観規則の改正による事前届け出の対象かなど、県全体での対応が可能なものについて、条例等の改正により対応を強化してまいりました。
一方、地域の実情を踏まえた対応が必要なものについては、市町村において対応することが望ましいと考えており、市町村対応マニュアルを作成をして支援しているところであります。
今後も国・県市町村の適切な役割分担の下、現行制度の効果的運用により、地域と調和した太陽光発電が促進されるよう取り組んでまいりたいと考えております。
- 【備前議員】
- 再度環境部長にお尋ねいたします。
この塩尻では、現在過剰開発分のパネル撤去とその後に植栽の復旧が行われていくと聞いております。しかし、2004年10月には台風で月間440ミリの豪雨があり、隣接地では土砂崩落等の大災害が起きております。これは許可申請が必要なこの隣地ですので、1ヘクタールをわずかに下回ってパネルが敷き詰められたりしますと、実に4,000トン以上の雨水処理が必要となります。これを高台の採石地跡に地下浸透のため池で対応などということを、どう規制することができるのでしょうか、再度お尋ねいたします。
- 【環境部長】
- 今回の塩尻市のケースにつきましては、1ヘクタール未満について、林地開発の届け出を市に出すという規定に基づいて事前に提出する必要があり、1ヘクタール未満ということで届け出が出されておりました。
しかしながら、実際の開発は1ヘクタールを大きく上回っているという状況でありまして、これについて現在、松本地域振興局において、塩尻市として連携を図りながら、適切な対応を取るよう指導を行っております。そういった意味では、林地開発許可およびその届け出により、実際の安全性の確保についてしっかりとした対応が取れるよう、指導していくのが適切ではないかと思っております。
- 【備前議員】
- このようにアセスにかかわらない太陽光発電でも、山を切り開く地上設置のものが温暖化対策上も、また防災上も大きな問題があるというふうに思っております。今、話はかみ合わないわけですけれども、中規模のものであっても設置場所や大きさが適切なものか、やはりそういったものに規制をしていくということ、また建物の屋根になるべく設置を促すような、そういったインセンティブを県制度として検討を求めてまいりたいというふうに思います。
2.リニア中央新幹線トンネル建設への県の対応について
- 【備前議員】
- 引き続きまして、リニア中央新幹線トンネル建設への県の対応について伺います。
①4月27日JR東海は、リニア中央新幹線南アルプストンネルの除山(のぞきやま)非常口からの掘削を開始したと発表しました。リニア中央新幹線長野工区の工事は、トンネル排土の処分場が決まらずにJR東海は掘削を開始しております。そこで現在の残土処理場所の選定はどういう状況にあるのでしょうか、リニア整備推進室長にお尋ねいたします。②次に、豊丘村ではJR東海が坂島非常口の発生土の運搬先として検討している虻川支流の本山発生土置き場は、3月に地権者とされた本山生産森林組合の総代会で一旦残土受入れの承諾がなされたものですが、組織運営上の問題で、5月末には一旦撤回されたと言います。これにより、処分場設置に必要な土地所有者の道路手続がいつになるか見通しが立っていないとお聞きしておりますが、どう認識しているのか、これは林務部長に伺います。
- 【リニア整備推進局長】
- ①リニア中央新幹線のトンネル工事に伴う発生土置き場に関するお尋ねでございます。
現在掘削が始まっている大鹿村においては、非常口掘削工事に伴う発生土について、当面現場周辺など村内6カ所の仮置き場に運搬する計画になっており、また、本置き場についても村営グランドなど3カ所で調査が進められています。
大鹿村外に搬出される土砂については、県道松川インター大鹿線の改良後に、松川町内の3カ所の候補地や、中川村の県道改良計画地などに搬出される予定となっており、現在JR東海や県によって設計や調査、地元説明などが行われています。また、今後掘削工事の着手が予定されている他の沿線市町村においては、県から情報提供のあった候補地について、それぞれ地元説明や環境調査などが進められている状況です。県としては引き続き関係市町村と連携し、発生土置き場の早期確定に向け必要な調整を進めてまいります。以上でございます。
- 【林務部長】
- ②処分場設置に必要な同意手続についてのお尋ねでございます。本山生産森林組合は、発生土置き場の同意に当たり、組合定款に定められた総会を開催しておらず、適正な手続を欠いていたため、改めて適正な手続を取るよう指導いたしました。現在当該組合は、森林組合法および組合定款に沿った適正な総会を早期に開催する準備を進めているところであり、県といたしましては、法令に沿った組織運営の適正化に向けて引き続き指導・助言してまいります。
- 【備前議員】
- ①JR東海は、豊丘村ではこうした状況下で130万立米もの多量の残土を沢筋に埋め立てる計画で森林組合側と交渉してきた経過がありますが、同地の地質は花崗岩が風化した非常にもろい地層であり、36災害や昭和58年災害等の教訓からも、土砂崩れ等を強く懸念する声が住民などから出されております。
県も同様に、過去の土砂災害、山地災害の発生状況を分析し、それを踏まえ土地の安定性に係る予測結果の妥当性を明らかにすることなど、多岐にわたって危険性を豊丘村内発生土置き場(本山)における環境の調査および影響検討の結果で指摘、そして助言をJR東海に行っていると思います。
こうしたことも踏まえると残土搬入はできないものと考えますが、御所見をリニア整備推進室長に伺います。②一方の南木曾町の妻籠水道水源は、水環境保全条例の対象となっています。この区域における開発行為についての事前協議が必要ですが、工事による水源への影響は回避されなければなりません。そこで事前協議の内容はどのようになっているのでしょうか。またこれまでの質問で、環境部長は条例を適正に運用すると答えておりますが、この水田に影響が及ばないよう守るのが条例であり、それができなければ、工事をやめるかコースを変更させることになると考えますが、協議書は、水環境保全条例の目的に合致するのでしょうか、環境部長に伺います。
③4月27日に始められた除山非常口の掘削工事は、村役場には前日の夕方、住民には夜のメールだったと言われております。大鹿村では突然の連絡で、工事に利用される県道の交通規制等、村民の生活に影響が及んだことが報じられております。こうしたJR東海のやり方は、これまで再三誠実な対応を求めてきた対応とほど遠いものではないでしょうか。
5月24日の県議会環境産業観光委員会へ寄せられた南信州広域連合からの陳情でも、県のこれまで以上の積極的な関与とJR東海に対する御指導をと求められているように、車両通行による水資源や住環境への影響、発生残土置き場の安全性が指摘され、影響が生ずる場合は関係市町村と連携し、解決することが求められております。
このような経過によってか、JR東海は6月23日、今度は小渋川非常口トンネルの掘削は7月3日からと、10日前に通知がなされたと報じられました。JR の拙速な着工、それも残土置き場も十分決まらないままに急ぐ強引な進め方も問題だと思いますが、今後知事はこれらの状況を踏まえ、JR東海に対し、地元住民への配慮をするよう強く改善を求めるべきだと思いますが、知事の御所見を伺います。
- 【リニア整備推進局長】
- ①豊丘村本山への発生土の搬入についてのお尋ねでございます。
JR東海では、これまで現場の地形や地質を調査した上で、地表や地下の排水施設、調整池、土砂止め擁壁、埋設堰堤の設置など複数の安全対策盛り込んだ計画を立て、地権者および関係住民に説明してきました。また、埋め立て完了後の管理についても、森林機能回復までの20~30年間はJR東海の責任において管理し、以後も要望があれば、地元と協議の上、引き続きJR東海が管理するとの方針も示しております。
JR東海では、議員からお話のありました環境の調査および影響検討の結果に対する知事の助言に対して5月17日に対応方針を示し、今後さらに具体的な環境保全措置を記載した書類を作成する予定です。
県としては、発生土置き場の安全性の確保については、森林法など関係法令を厳格に適用しつつ、JR東海に対しては、下流域を含めた地元への十分かつ丁寧な説明を行うよう求めてまいります。
- 【環境部長】
- ②妻籠水道水源保全地区における事前協議についてのお尋ねでございます。水環境保全条例の事前協議にあたっては、行為地および水道の取水地点の地形図、行為の施工方法、水道水源への影響などを提出することとしており、妻籠水道水源に関して、4月7日にJR東海から県に必要な書類が提出をされました。
知事は事前協議があった場合には、関係市町村長および環境審議会の意見を聞くこととされており、この内容についてより詳しく調査検討を行うため、環境審議会に地下水や地質学等の学識経験者からなる専門委員会を設置をいたしました。5月31日の第1回の専門委員会では、事業者に対し、水道水源保全地区内の地質や地下水の影響など、より詳細な資料や説明を求める意見が出されております。今後、現地調査や地元からの意見聴取なども行った上で検討内容を取りまとめ、環境審議会へ報告していただくこととしております。
県といたしましては、環境審議会や南木曽町の意見を踏まえ、妻籠水道水源への影響の有無や、同意する場合にはその条件等についても、水環境保全条例の趣旨に沿って判断をしてまいりたいと考えております。
- 【阿部知事】
- ③リニア中央新幹線の整備に関連して、地元住民への配慮をJR東海に強く求めるべきではないかという御質問でございます。基本的にそうしたスタンスで取り組んでいきたいというふうに思っています。
去る5月26日にJR東海の柘植社長と懇談をいたしました。幅広いテーマについて懇談したわけですが、特にご質問の中にあった点に関連して申し上げれば、まず、大鹿村の除山非常口の掘削開始、これは連絡が地元に対して遅れたということについては改善する必要があると、遺憾な旨をお伝えさせていただいておりますし、今後地元への情報提供はできるだけ早く丁寧に行っていただきたいと要請をさせていただいております。また、発生土置き場につきましても早期に場所を確定できるよう、精力的な調整を要請をいたしました。
柘植社長からは、地元への情報提供については除山非常口の工事着手の連絡が遅れたことを教訓にして、より一層丁寧な対応していくという回答、そして、発生土置き場については下流域の住民の御心配も十分感じており、沿線の市町村長ともコミュニケーションを取りながら対応していくという回答をいただきました。
御質問にもありましたが、来週7月3日掘削開始予定の小渋川非常については、工事着手10日前、先週6月23日に、地元、そして私ども長野県等に事前連絡をいただいたところでありまして、JR東海の対応改善が見られたものというふうに受け止めております。県としては、今後とも引き続き住民の皆様方への丁寧な説明と対応を求めていきたいと思っておりますし、工事の安全、住環境の保全、発生土置き場の早期確定等についてもJR東海に要請してまいります。以上です。
3.塩尻東山産廃処分場問題について
- 【備前議員】
- 次に塩尻東山産廃処分場問題について伺います。
同処分場問題は、4月に初の地元住民による安定型処分場への立ち入り調査が実現し、私も参加しました。しかし業者からは、撮影も記録も不可で、多くの従業員に囲まれ移動するなど、異様な雰囲気の立ち入り調査でした。この間問題とされてきた処分場上部の地下水観測井戸をやっと確認できたのですが、場所は高さ20メーターほどかさ上げされた埋め立て地の直下にありました。業者説明では構造も不明で、ただ塩ビパイプを地中に挿したようで、処分場の影響を受けていることが容易に示唆されました。
おおよそ地下水動態を反映するとは思えない不適切な上部移動との指摘が、地元対策委員会からも出されております。
①そこで県は、こうした上部観測移動の状況を適切だと認識されているのでしょうか。またこの井戸の状況を調査し、一刻も早くコントロールデータ、いわゆる対象データの取れる廃棄物の影響を受けない別の位置に井戸を移動させるべきではないでしょうか。②次に、水処理施設周辺は硫化水素臭が強く、私も含め体調不良を訴える参加住民も何人もいるほどでした。また、水処理施設を通過した放流水も着色したままであり、流入した河川の岩石の黒変も見受けられました。これについても事業者に改善を指導を行うべきではないでしょうか。
③また判明している2014年までの浸透水のCOD値は、県も会社公表データも基準値の40mg パーリッターをたびたび超過しているわけでありますけれども、こうした場合、搬入埋め立てを中止して原因調査、対策を講じなければならないのに行わなかったのはなぜでしょうか。
④また、昨年11月2日には地元環境対策委員会が法令に基づく記録の閲覧を求めたのですが、コピーが許可されず、手書きをさせられたことをこの議会でも取り上げましたが、これは県から事業者が駄目だと言っている場合は不可との指示がされたと言います。一方、平成10年の廃棄物の処理および清掃に関する法律等の一部改正によると、持参した複写機やカメラ使用は既に認められており、このことからも県のマニュアルである「廃棄物の適正な処理に関する条例質疑応答集(改訂版)」は不適切であり、閲覧できるよう早急に改訂すべきでありますけれども、以上4点、環境部長にお尋ねいたします。
- 【環境部長】
- 東山産廃処分場問題について4点ご質問いただきました。
①1点目の観測井戸の位置についてのお尋ねでございます。最終処分場周辺の地形から判断をし、現在の井戸は最終処分場の上流側および下流側に設置されているものと考えております。当該事業所の2カ所の井戸とも、地下水等検査項目の測定結果はすべての項目で基準値の範囲内であり、生活環境保全上の支障が生じている状況にはないものと考えております。しかしながら、地域の皆様の不安の声も聞きしておりますので、井戸の追加について事業者に要請をしているところであります。②2点目の施設付近の硫化水素臭等への改善指導についてのお尋ねであります。最終処分場の浸透水の水処理施設付近の硫化水素臭や河川の色の変色については、県でも職員が現地で確認を行っております。
硫化水素については水処理施設付近では匂いが感じられますが、本年2月、空気中の濃度を濃度計および検知管で計測したところ、いずれも検出できず、また、敷地境界において匂いは感じられない状況でした。石の変色部については、昨年8月に検体を採取し検査をしたところ、硫黄に加え、カルシウム、マンガンの成分が検出されたため硫黄化合物によるものと思われますが、水処理施設からの放流水の測定結果は、すべての項目で基準値内でありました。
以上のことから、硫化水素や放流水については直ちに法令に違反している状況ではありませんが、今後も引き続き立ち入り検査などの際、現場の状況に変化がないか確認をしてまいりたいと考えております。③3点目の浸透水のCODの値についてのお尋ねであります。安定型最終処分場の維持管理基準では、処分場からの浸透性のBOD・生物化学的酸素要求量と、COD・化学的酸素要求量が基準を超過した場合は、速やかに最終処分場への廃棄物の搬入および埋め立て処分の中止、その他生活環境保全上必要な措置を講じなければならないとされています。
当該処分場の場合、安定型最終処分場ではありますが、遮水シートの上に浸透水の集水管を埋設して水処理施設に集め、処理した後に放流するという必要な措置を講じており、基準違反の状況にはないと考えております。④最後に廃棄物処理施設にかかわる記録の閲覧についてのお尋ねであります。廃棄物処理法では、廃棄物処理施設のうち焼却施設や最終処分場について記録の作成閲覧を義務づけていますが、本県では、廃棄物の適正な処理の確保に関する条例により、破砕施設など法の対象施設以外の設置者や産業廃棄物処理業者等を対象に広く記録の作成閲覧を義務づけております。
閲覧時のコピー機やカメラの使用について、廃棄物処理法において記録閲覧が義務づけられている施設については、記録の複写や撮影については閲覧を求める者が持参した携帯複写機やカメラ等を使用する場合であれば認められるとされていますが、条例の対象施設については質疑応答集で、事業者の任意で許容することはさしつかえないとしております。条例の質疑応答集における閲覧にかかわる記載については、廃棄物処理法において記録の作成閲覧が義務づけられている施設は、国の通知に基づき対応すべきことが明確になるよう表現を見直してまいりたいと考えております。以上であります。
- 【備前議員】
- ①観測井戸についても、昭和52年の厚生省令の技術基準でも、その後の平成10年の環境省の技術基準も見ましたけれども、どちらも最終処分場における電気伝導率および塩化物イオンについて測定し記録し、異常が認められたら原因調査と必要な措置を講ずることと記載されております。私はやはり、早急に改善させていくそうした対策を講ぜられるよう求めたいと思いますけれども、これについて環境部長に再度お尋ねをさせていただきたいと思います。
②また先ほど井戸の問題についても、昨年の議会においても新しく複数の井戸をということで、つくるということを指導するということは言われておりますけれども、この6月23日に同社から地元の環境対策委員会に、そうしたことを要望したことに対しての回答では、上部の観測井戸の位置につきましては、ないと考えておりますという、こうした回答しているわけですね。
そうしますと、そこはやはり県がこうした事例のように放置し続けるということは、地元住民は常にそこに処分場がある限り背負っていかなくてはならない現実があり、そうした不安、そして将来にわたっての子孫等への配慮をしていかなければならないという気持ちにかられて、現在こうした問題を取り扱っているわけですけれども、早急にこうしたことも含めて改善をしていただくよう求めたいというふうに思いますが、環境部長の再度の御答弁をよろしくお願いします。
- 【環境部長】
- ただいま2点、お尋ねをいただきました。
①1点目の電気伝導率の問題につきましては、昨年も備前議員から御質問をいただいておりますけれども、本来安定型最終処分場であることから、地下水の水質について電気伝導率に関わる基準はございません。ただ、水質の状況広く把握するための基本的項目として、県独自に電気伝導率を測定を行っております。
これらの数値を見ますと、上部の井戸の値が下部の値よりも若干高い時もありますけれども、常に高いわけではなく、ここ数年上部と下部で大きな差はないということから、検査地点として問題はないと考えております。②それからもう一つの現地の井戸の問題についての事業者への要請の関係であります。これにつきましては、私ども、信州タケエイに対して再三要請を行っておりますし、また、昨年12月に方に親会社である株式会社タケエイの社長と信州タケエイの社長も私のところに訪問された際、私からも、両社長に直接お話をさせていただいております。
議員御指摘のとおり、安全性の確保というのが重要な観点だと思っておりますので、引き続き事業者に対して、適切に対応するよう指導を行ってまいりたいと思っております。以上であります。