日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2017年9月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 大北森林組合補助金不正問題の損害賠償について
  2. 子どもを性被害から守る条例について
  3. 戦争遺跡の保存と平和への活用について

1.大北森林組合補助金不正問題の損害賠償について

【和田議員】
 和田議員まず初めに、大北森林組合補助金不正問題の損害賠償についてお伺いいたします。
県の補助事業者に対する指導監督責任の不備により、国から制裁として県が科せられた加算金3億5300万円の損害賠償請求を検討請求を検討するために設置された法的課題検討委員会は、8月23日に関係した北安曇地方事務所職員11人に1億5000万円余を上限に損害賠償できると報告があり、この報告を受けて知事からも11人に対し損害賠償に踏み切る方針が出されました。
 現地機関職員が現地調査もしない、書類を偽造する、などあってはならない補助金の処理を行った責任は重大であることは言うまでもありませんが、既に停職および減給等の処分がなされています。一方で本庁林務部職員においても、数名の処分がなされたにもかかわらず、法的課題検討委員会からは林務部の特定の職員の行為または不作為と損害との間の相当因果関係の存在を認めることはできないと、歴代林務部長、担当課職員等、本庁林務部職員への賠償請求はしないとされています。

①本庁林務部の責任について県の検証委員会の報告には、本庄林務部は地域の事業体や地方事務所の能力を十分に考慮せずに、間伐面積を配分していた2007年度の末になって予算の追加執行を依頼。プレッシャーを感じた地方事務所担当課長は、未着手の事業でも補助金申請を認めるように指示した、とこれが引き継がれた。組合に不正申請の機会を与えた。
 また、今年3月末には県が大北森林組合と元専務に対して起こしていた裁判であるにもかかわらず、裁判長は県林務部から執行未了の予算消化を割り当てられ、本来は補助金の交付が許されない、工事や作業が完了していない事業について補助金を交付する”闇繰越”などとも呼んでいた違法な手段を使っても予算を消化するよう迫られていたと明確に述べています。現地職員だけが賠償責任を負い、本庁は不問。これで県民の理解や職員への説明ができるのでしょうか。県庁林務部の責任についてどう考えておられるのか、林務部長にお聞きします。


②また、結果として7年間もの長期にわたって不正が継続したわけですが、現地機関への監査、書類チェック、巡回等、林務の業務や会計検査等でも気付く機会があったのではないかと思います。大北森林組合の補助金不正問題は、平成26年12月になってようやく本庁も重大事態と判断し、翌27年1月に公表されました。そこでお聞きします。 平成26年4月に現地機関の職員から問題があると報告されたとき、本庁の担当課長の判断で対処したとされています。

その対処は未完了事業を早期に完了させるという指示だったということでよいか。いつまでに完了させるよう指示したのか。完了したかどうか確認したのか。また未完了事業の予算規模は幾らで、面積は何ヘクタール分だったのか、林務部長にお聞きします。
【林務部長】
 大北森林組合補助金不適正事案につきまして2点御質問をいただきました。
①初めに県庁林務部の責任についてのお尋ねでございます。今回の事案における県庁林務部の対応につきましては、法的課題検討委員会の報告書においては、県庁林務部の職員が予算の消化を強く求めたことが、北安曇地方事務所の職員にとって大きなプレッシャーと感じていたとされており、その一方で、県庁林務部職員が予算消化を目的に、不適正な事務処理を迫っていたという事実までは確認できず、県庁林務部と地方事務所の職員の認識に大きな差があったものとした上で、特定の職員の行為または、不作為と損害との間の相当因果関係の存在を認めることはできないとされております。
 したがいまして、県庁林務部の特定の職員に損害賠償責任を問うことはできないと考えておりますが、今回の事案においては、県庁林務部が北安曇地方事務所の実態を十分把握していなかったことが、長期にわたる不適正受給に繋がったものであり、極めて重く受け止めております。
 関係した職員に対しましては厳正な懲戒処分が行われておりますが、林務部といたしましては、このような今後このようなことを二度と起こさないという決意で、自らの業務が適切か、常に点検議論し行動するという意識の下、林務部コンプライアンス推進行動計画に基づき、徹底してコンプライアンスの推進に取り組んでまいります。  

②続きまして、本事案の初期の対応についてのお尋ねでございます。大北森林組合の補助金不適正受給に関しましては、平成26年4月8日に当時の北安曇地方事務所林務課の担当者から、平成25年度の大北森林組合の間伐事業の未完了箇所が3件存在し、他にも未完了事業の存在が疑われることが、本庁の森林づくり推進課に報告されております。本庁森林づくり推進課の係長は、北安曇地方事務所に類似案件の調査を指示しましたが、併せて大北森林組合が未完了部分を実施していく意向であり、また、地域で進めてきた森林整備事業でもあったことから、できる限り早期に事業を完了させるよう主導するといった誤った対応を行いました。この係長から報告を受けた課長も、早期完了方針を容認していました。
 報告後北安曇地方事務所林務課による大北森林組合への聞き取りにより、同年4月23日までに、未完了案件は平成24、25年分の52件、面積で374ヘクタール余り、補助金額で約1億2000万円が存在することが判明し、4月28日に本庁森林づくり推進課に未完了事業があるが早期実施を指導している旨の報告がなされておりましたが、その時点では具体的な件数等まで報告はされておりませんでした。
 その後同年6月18日に、本庁森林づくり推進課の係長が北安曇地方事務所林務課から判明していた52件の未完了案件の報告を受けましたが、課長等の上司には報告されず、北安曇地方事務所において、早期完了に向けた進捗管理が行われていました。
 このように、大北森林組合が実施した補助事業実施箇所の中に未完了箇所が存在するという内容の報告を受けながら、未完了箇所の完成を優先するよう北安曇地方事務所を指導したことについては誤った対応であったことから、本庁林務部の当該職員に対し厳正な懲戒処分が行われております。

【和田議員】
 今の部長の御答弁は大変重要なことを言っていると私は思っているわけですけれども、この平成26年4月の報告、これは平成25年度さらに24年度分も含めて、未完了工事があったと、繰り越されたと、これは完全に”闇繰越”ということになります。
 この報告に対して早期に事業を完了させるように指示した。これは本庁林務部において、闇繰越があったことを認識していたそのものではないでしょうか。25年度中に実施されるはずの未完了工事、今お伺いすれば374ヘクタール、1億2000万円、大北森林組合の未完了工事がそんなに早く完了できると考えたのはどういう根拠だったのかお聞きしたいと思います。
 大北森林組合の技能職員数は、増減はあったといえ、25人、35人、27人、ほとんどの職員が森林の保育事業に携わっており、造林事業担当できる「生産事業」に従事する職員は0で推移していることを見れば、この仕事量を本当に進捗できるとは考えづらいものであります。林務部職員が地域の森林の状況を把握することで、事業を請け負う事業体の実力もつかむ、そういう職員を養成することも本庁の重要な責任ではありませんか。それも併せて本庁林務部の責任について、再度林務部長にお聞きしたいと思います。
【林務部長】
 再質問をいただきました。当時の対応の状況でございますが、平成26年4月の北安曇地方事務所の報告時点では、本庁林務部職員が長期にわたる大量の補助金不適正案件があることを予見できたとまでは言えないと考えております。また仮に、直ちに調査を開始していたとしても、どの時点で全容解明ができたのかは明らかではなくて、そのことがさまざまこの事案にどのように影響したかを確定することはなかなか難しいと考えております。
 しかしながら、この報告があった時点で、多くの面積がどこまで未竣工であるのかという部分を含めて、しっかり地方事務所に寄り添った対応をしなかったというのは反省点だと考えております。
【和田議員】
 その最初の本庁の対応のあり方がこういうことになったわけでありますけれども、この7年間継続した問題は、24年、25年、そしてこの26年4月と、現地機関の職員が気付いて上司に報告相談をしています。もっと早くにこのことをつかむことはできたということを、申し上げておきたいと思います。
少なくとも平成26年4月、この闇繰り越しによってその後事件が発覚するまでの8カ月間、これが時効になったということも指摘をさせていただきます。
 次に、加算金は県の指導監督の不備により科されたものであり、組合への返還請求はできないと考えます。なぜならば、加算金の対象となる造林事業は実績補助方式であり、事業実施した後に申請内容について、書面あるいは現地調査により確認の上補助金の交付をするものであり、県が適正に事務を執行していればこのような事態に至らなかったと思うからです。
 国は県の責任の重大性を鑑みて加算金を求めたのはなかったかということです。国からの加算金の賠償を元専務と大北森林組合に求めることは妥当ではないと私は考えるものですが、阿部知事に伺います。
【阿部知事】
 加算金に相当額についての損害賠償請求の対象をどうするべきかという御質問でございます。
これは非常に関係者が複数存在するということで、法的にも難しい部分だというふうに思っております。法的課題検討委員会の専門家の皆様方にこの点についても十分に御議論いただいたわけでありますけれども、大北森林組合等につきましても、補助金等交付規則等に反し補助金交付を申請し、交付を受けなければこの加算金相当額については発生しなかったものということで、加算金についても、大北森林組合および元専務理事に対する法的請求は可能であるというふうに整理をされているところであります。
 こうした報告書を踏まえまして、私どもとしては、元専務理事については関与が明らかな森林作業道整備に係る未施工等について、また組合については森林整備のうち事後的にも全く施行がされてないものについて、責めを負うべきものであるというふうに考えているところでございます。以上です。
【和田議員】
 実績補助ですので、県が適正な事業を執行してさえいれば、これはこういうことにはならなかったということをあえてまた申し上げておきたいと思います。
 法的課題検討委員会の報告で、大北森林組合等に対して加算金についても賠償請求が可能だとする一方で、大北森林組合等が過失相殺、あるいは信義則上請求することは適切でないと主張する可能性に留意する必要があると指摘があります。私たちは県民に莫大な損害を与えた大北森林組合や元専務の罪を認めた上で、県として大北森林組合に対して補助金の返還計画を完全に履行させる、このことを求めるものであります。
 大北森林組合の補助金の不正の動機は、県の森林づくりアクションプランが地域の実情を考慮されずに策定され、その目標達成に主眼が置かれていたことではないか。県民の信頼を大きく損い、多額の県民負担を発生させた県の責任の重大さについてどのように考えるのか知事に伺います。
【阿部知事】
 今回の大北森林組合の補助金不正受給問題については、これは、私どもも県民の林務行政、あるいは県政に対する信頼を大きく損ないうるものだということで、これまでも、私の減給処分も含めて県職員に対する処分など厳正な対応に努めてきたわけであります。
 そういう意味で、これは県側、私どもの対応についても課題があったということについては再三申し上げてきているとおりでございます。県といたしましては、二度とこうした事案を起こさないという決意で、現在林務部あるいは全庁でコンプライアンスの推進に努めているところでございます。さまざまな局面でそれぞれ県民の理解と信頼が得られるような対応ということで取り組んできました。
 今回の損害賠償に係る対応方針についても、厳正な対応をしなければいけないという思いで方針を決めて取り組んでいこうとしてるとこでございます。ぜひ県議会の皆様方にも御理解いただければというふうに思っております。以上です。
【和田議員】
 先ほど林務部長にも申し上げましたけれども、損害賠償を現地職員だけに負わせることは道理がなく納得はできません。また、知事は既に処分され、今後は賠償請求される関係職員には問題の背景と合わせて、一人一人にどのような動機があったのか、森林整備を促進するためなのか、森林組合からいつもそうやっていたと強要されたからか、予算の消化のため、あるいはその全てなのか、改めて一人一人の現地機関の職員がこういう不正を行ってきた動機を解明する必要があると思います。
この点、知事にお伺いしたいと思います。
【阿部知事】
 まず職員の処分対象、損害賠償の監査求める対象について、これは私ども慎重な検討を行った上で、法的な観点で対応方針を定めさせていただいたところでございます。また関係職員の思い、考え、こうしたものについても再三にわたって聴取をさせてきていただいているところでございます。今回の損害賠償に関係しても、法的課題検討委員会の委員からも、職員の考え方を聴取をいただいてるとこでございますので、そうしたものを総合的に勘案した上での今回の対応方針でございますので、ぜひ御理解をいただければというふうに思います。以上です。

2.子どもを性被害から守る条例について

【和田議員】
 子どもを性被害から守る条例についてです。
子どもを性被害から守る条例について県民文化部長にお聞きします。子どもを性被害から守るための条例の運用状況の検証については、6月議会で毛利議員から県警が出席して事案の詳細な説明や質問に答えることが不可欠との質問に対し、部長から県警に出席要請を行い、県警職員からも説明を行っていただくと御答弁がされました。
 6月議会後も子ども支援委員会が開かれ、県警からの情報に基づいて、子どもが適切なケアを受けられたか検証するとしていますが、9月13日に開かれた委員会において、子どもを性被害から守るための条例で摘発した事件をめぐる検証のあり方を見直すことを決めたと言われております。どのように見直すのでしょうか。
 当初は摘発された全ての事件に対し、子どもが適切なケアを受けられたかを検証する方針であったことが、委員から情報が不足して十分な検証ができないと指摘があり、被害が特に著しいと判断した事件に絞って深めた検証を進めるということになるのですか。
全ての事件に対し、子どもが適切なケアを受けられたかということを検証するという方針を転換するのですか。また、被害が特に著しいという判断はどこでするのですか。県民文化部長にお伺いします。
【県民文化部長】
 子どもを性被害から守る条例に関連して、子ども支援委員会における検証についてのお尋ねでございます。
 これまでもお答え申し上げてございますが、子ども支援委員会では、人権侵害への対応の観点で個別事案を検証することとしてございまして、これまでに条例に基づく深夜外出制限違反案件2件と、警察本部が把握した威迫等に該当しない性行為等の案件4件の計6件について、3回の検証を行い、2回目からは県警職員にも出席いただき、できるだけの情報提供しながら検証を進めてきたところでございます。
 9月13日の第3回子ども支援委員会におきまして、今後の検証の進め方について議論をしたところでございます。その中で、事案を地道に積み重ねることで見えてくるものがあるとの意見もいただいたことからも、県といたしましては、全ての個別事案について警察本部からできるだけの情報をいただき、これまでと同様に、被害者のケアのあり方や事案の背景について検証を行っていただきたいと考えているものでございます。
 また、この日の子ども支援委員会では、現在行っている検証をさらに深めるためには、被害者や関係者からの情報提供が必要となるため、被害者への二次被害が生じない形で詳細な情報が得られるものについては、より深く検証を行うという方向性が確認されたところでございます。こうした方向性は、子どもの人権侵害への対応の観点から、個別事案の検証を行うという従来の方針を変更したものではないと認識しております。
 なお、被害が特に著しいという判断はどこで下すのかというお尋ねでございますが、一部ではそのように報道されていると認識しておりますけれども、県で把握した事案につきましては、先ほどご説明しましたとおり、従来どおり全て検証してまいりたいと考えております。以上でございます。
【和田議員】
 御答弁ありがとうございました。今の御答弁の中で言えば私が心配したように、一部の問題についてだけ絞って検証を進めるということではないというふうに受け止めましたので、今後も全ての事件の検証を深めていただくということをお願いしておきたいと思うわけであります。

①けれども、子ども支援委員会が条例の運用の検証のために忙殺されて、また特に被害が著しいこういう一部の対応をしていくというような方向が言われるようなこと自体は、やはり問題と思います。本来子どもを性被害から守るための条例で摘発された全ての事件について、18歳未満の子どもは適切なケアを受けられたかどうか。一人も取り残さない、一人一人の子どもが地域で見守られ適切な環境で生活をしていけるかどうか、子どもに寄り添って支援がされるかどうか、それをどう担保するのか、これも県民文化部長にお聞きしたいところです。
 子ども支援委員会は、子ども支援条例に基づいて人権侵害に悩む子どもや保護者からの申し出を受けた調査、審議を行うことが本来の役割で、子どもを性被害から守る条例に関連した事件についても検証を行うのはオーバーワークと、子ども支援条例の制定に関わった嘉多明人教授は言われております。例えば子ども支援委員会を拡充することで、そういうことが解消されるのでしょうか。子ども支援委員会に子どもを性被害から守る条例の適正な運用の検証を求めることは、時間的制約の中で不可能であれば、運用の検証のためには第三者機関を設置することも検討すべきではないかと思います。県民文化部長、いかがでしょうか。

②子どもを性被害から守るための条例を制定する議論の中で、警察の恣意的な捜査、冤罪についても危惧してきました。条例の適正な運用がなされたのかどうか、乱用されていないか、事例の詳細な検証はぜひ行っていただきたいと思いますし、条例の罰則規定については見直すべきと思います。いかがか、県民文化部長にお伺いします。

【県民文化部長】
 順次お答え申し上げます。
①運用の検証を行います第三者機関の設置についてというお尋ねであろうかと思います。県が行います検証は、大人の責任で子どもたちを性被害から守るという観点から行うものということでございます。具体的には、子ども支援委員会では人権侵害の観点から個別事案を検証、また青少年問題協議会では条例に規定された性被害防止の取り組み等、施策の充実の面から検証を行うものでございます。
 このような仕組みは、他県では類を見ない本県独自の取り組みでございますが、今後も委員の皆様方の御意見を伺い、より適切な方法について工夫をさせていただくという姿勢を持ちながら検証を進めてまいりたいというふうに考えているところでございますが、現時点で新たな第三者機関の設置は考えていない状況でございます。

②条例の罰則刑の見直しについてのお尋ねでございます。長野県子どもを性被害から守るための条例第二条におきましては、この条例の適用に当たっては国民の権利を不当に侵害しないよう留意するとともに、子どもの最善の利益を尊重しなければならないとの濫用防止規定を設けさせていただいているところでございます。また、今回の深夜外出案件につきましての今年6月の毛利議員の質問に対しまして、県警本部長は、捜査については法令に規定する構成要件に該当する事実があるか否かについて証拠に基づいて判断し、個人の基本的人権を尊重しつつ、適正に捜査を行った旨の答弁をされていることからも、私どもといたしましては、捜査は適正であったと思慮するところでございます。
 なお、議員御指摘の冤罪または、警察の捜査が適切に行われてるかどうかにつきましては、先に毛利議員の御質問にもお答えしましたが、司法手続の中で判断されるべきものと考えておるところでございます。なお罰則規定の見直しにつきましては、現時点では考えていないところでございます。以上でございます。

【和田議員】
 適正な捜査がなされたかどうか、これはもう司法手続きということで、そこには県は関与できない、こういうことで本当に残念でありますが、子どもを性被害から守るための条例の議論の中で、規制や厳罰よりむしろ性教育の充実やまちの保健室のような子どもの身近な相談支援、県民運動の再構築の重要性が言われました。今後も引き続き、一人一人の子どものケアをお願いをしたいと思います。

3.戦争遺跡の保存と平和への活用について

【和田議員】
 次に戦争遺跡の保存と平和の活用について伺いたいと思います。太平洋戦争終戦から72年のときが経ちました。直接戦争を語ることができる人がいなくなって、戦争について語り継ぐこと、記録することなど、研究者と市民が地道な取り組みをしております。
 長野県が全国一の満蒙開拓団3万7859名、青少年義勇軍6595名を送り出し、多くの人が故郷へ戻ることができなかった歴史、生きて故郷に帰っても深い傷を負っていることを記憶にとどめ、若い世代へ繋ぐ拠点として、阿智村の満蒙開拓平和記念館建設に県としても支援をしていただきました。
 松代大本営など、県内の戦争遺跡の保存、平和祈念館として発信する活動など、市民によって支えられ、十分ではありませんが長野市として戦争遺跡の保存、これは観光サイドではありますが、戦争と平和の発信をしています。
 文化庁は、1995年の文化財保護法改正で、明治期から第二次世界大戦終結ごろまでの比較的新しい遺跡が文化財指定対象に加わったことを受け、文化財指定保存の対象の調査を実施したと聞いております。
松代大本営も含め、国によって全国的な戦争遺跡の調査は10年以上前にされた経緯があるわけでありますが、その後は全く停滞しているようであります。
調査後の国の動向はどうなっているのか、既に調査済みの戦争遺跡の公表を国に求めるとともに、国に対して戦争遺跡に指定するよう求めていただきたいと思います。教育長に伺います。
【教育長】
 戦争遺跡の国調査後の動向、それからその公表、文化財指定についてのお尋ねでございます。文化庁では、幕末から第二次世界大戦終結頃までの近代遺跡の現状を把握するために、平成8年度から政治や経済など幅広い分野での調査を行ってきておりまして、現在も調査が続いている状況であります。このうち、エネルギー産業や重工業など報告書が出されている分野もありますが、軍事に関する遺跡、いわゆる戦争遺跡についてはまだ報告書が出されていない状況であります。
 戦争遺跡について、国に対して文化財としての指定を求めるべきというご意見でございますけれども、この文化財の指定に関しては、調査および評価、そして指定へと進むものでございまして、国における客観的な評価がまだ調査の報告書という形で出ていない段階でございますので、今の段階では、まだ文化財での指定という段階に進んでいないというふうに認識しているところでございます。
【和田議員】
 今、教育長から御答弁いただきましたけれども、国はこの全国的な戦争遺跡の調査、私、松代大本営のことも含めてというふうに言いましたけれども、松代大本営ももう12年くらい前に実際に調査された、そしてそのときには県の教育委員会も同行されたとこういうふうに伺っているわけですが、それがこの10年以上も停滞しているということはどういうことなのか、そしてこれが評価、指定にはこのままでは、動いていかないというふうに実感するわけですけれども、やはり、県としてもそういう国の動向を見守るだけでなくて、きちんと国に対してもその後どういうふうになっているのかを聞いていただきたいと思います。
 国の戦争遺跡の指定・保存が停滞している中で、沖縄県など全国的には県単位で戦争遺跡を調査し、指定・保存する動きがあります。県内の戦争遺跡は研究者・市民による調査・保存の取り組みがされていますが、県下の戦争遺跡について、県は調査し、把握しているのかを教育長にお伺いいたします。
【教育長】
 県下の戦争遺跡の調査把握についてのお尋ねでございます。先ほどの文化庁の調査でありますけれども、議員御指摘のとおり、その調査においては、県および関係市町村の協力を得て行ったものでございます。この調査によりまして、県内で松代大本営の地下壕以下9件の戦争遺跡の所在を把握しているところでございます。
【和田議員】
 県下の戦争遺跡については、本当に市民の皆さんがしっかり取り組まれていますので、それをもっと学んでいただきたいというふうにも思います。
 戦後72年のときの中で、戦争の記憶を風化させない取り組みは大事なことです。過去に学び、平和な未来のために県としてしっかり対応していただきますよう要望して、質問を終わります。

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