日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2017年11月定例会 藤岡義英議員一般質問

  1. 県立武道館について
  2. 大北森林組合等補助金不正問題-法的課題検討委員会の報告書について
  3. 大北森林組合等補助金不正問題-間伐事業の同意書無断作成問題について
  4. 大北森林組合等補助金不正問題-他の地方事務所で期ずれ・闇繰越がなかったのか
  5. 大北森林組合等補助金不正問題-住民監査請求の棄却と損害賠償請求の検討作業について

1.県立武道館について

【藤岡議員】
 県立武道館について質問いたします。基本構想では50億円程度、必要な機能は整備しつつ質朴なものとなるように配慮という内容だと認識しておりました。当初より7億円余り増加。佐久市の負担は12億5000万円の負担。予想をはるかに上回りました。ステージ分がそのまま地元負担にされてしまったのではないかといった印象も受けます。
 地元地区では急遽説明会が開催されたそうですが、どのような経過で計画変更なのか、県議会として説明を受けた覚えがありません。突如浮上したステージ追加について、丁寧な説明を求めたいと思います。教育長にお願いいたします。
【原山教育長】
 県立武道館のステージ建設についての御質問でございます。昨年5月に策定した県立武道館基本構想では、本県の武道振興の中核的拠点とするということと並んで、他のスポーツや文化活動等で多目的に利用できる選ばれる施設を目指す、ということを施設整備の方針と位置付けて取り組んできたところでございます。
 この方針のもと、施設の設計を具体的に検討する過程で、興行や施設マネジメントの観点から有識者にアドバイスをいただきまして、利用の選択の幅が広げられるよう、多くの集客が見込まれるコンサートやイベントの開催が可能な常設のステージを設置することとしたものでございます。東信地域では最大の収容人員となる約3000席の設置が可能な施設となることで、武道、スポーツにとどまらない幅広い活用ができ、周辺地域の活性化や文化芸術に親しむ機会の充実など、多くの効果が期待されるところであります。
 なお佐久市の負担額につきましては、佐久市から、老朽化した市営武道館の建て替え相当額の範囲内でお話をいただいたものでありまして、ステージの設置がその額に影響を及ぼすというものではありません。また、債務負担行為の設定の時期についても、基本構想でお示ししました平成31年度中の供用開始を目指すというスケジュールの中で、入札手続き期間や工期を勘案して、本議会に補正予算案として提出し、御審議をお願いしているものでございます。
【藤岡議員】
 今回での債務負担行為は拙速だと考えます。地元の方からは、「武道なら武道に徹したものを」とのご指摘がありました。市民との合意形成を作りながら慎重に行っていただきたいと要望し、次の質問に移ります。

2.大北森林組合等補助金不正問題-法的課題検討委員会の報告書について

【藤岡議員】
 9月県議会で和田県議が質問された内容の続きとなります。7年間もの長期にわたって不正が継続していた大北森林組合の補助金不正問題は、平成27年1月に公表されました。しかし、公表半年前の平成26年6月18日に、本庁森林づくり推進課の係長が北安地方事務所林務課から判明していた52件の未完了案件の報告を受けましたと林務部部長は答弁されています。
 そこで質問いたします。平成26年6月18日に、現地職員が本庁林務部の職員に報告を行ったわけですが、その当時、資料を受け取り、報告を受けた職員は林務部のどの課の職員だったのですか。5人から7人いたという情報を入手しておりますが、いかがでしょうか。林務部長にお聞きいたします。
 平成26年6月18日、当時、北安地方事務所に出張していた複数の林務部職員は、その日の重要な内容を復命すべきでした。私たちは当時の復命書を情報公開請求いたしましたが、存在しないとのことでありました。ではなぜ復命書がないのですか。林務部長にお聞きいたします。
 さて、こうした平成26年6月18日の問題、4月時点の問題、法的課題検討委員会は6回開催されていますが、現場職員から公表の半年前、8カ月前に報告を受け、すでに林務部職員が問題を知らされていたことについて、委員は議題として上げられ、議論されたのでしょうか、総務部長にお聞きいたします。
【林務部長】
 大北森林組合の関係での報告を受けた職員の課についてのお尋ねでございます。平成26年6月18日に、本庁林務部の職員は、林業専門技術員、いわゆるSPの巡回指導業務のため大町合同庁舎へ出張しております。この際の巡回指導の目的は、信州F・パワープロジェクトに向けて、アカマツ、広葉樹等の計画的な搬出の課題等の検討が目的でありました。そうしたことから、県庁から課題に関係する森林政策課、信州の木活用課および森林づくり推進課の職員が出席しております。
 この巡回指導の中で報告が行われたものでありまして、出席者の中に造林事業を担当し、当該事案についての職責のある森林づくり推進課の課長補佐がいましたため、その職員を中心として対応したものと認識しております。
 次に復命書についてのお尋ねでございます。復命書につきましては、口頭で行われる場合もございますが、長野県文書規程の保存期間の基準では、会議等に関する文書は1年とされております。保存期限が切れているものにつきましては、当時、どのような復命書が作成されたか確認できないものでございます。以上でございます。
【総務部長】
 法的課題検討委員会の討議内容についての御質問にお答えをいたします。法的課題検討委員会においては、事務局から事案の概要、経過等について、それぞれ詳細に報告をさせていただいてきたところでございます。その中で、平成26年4月8日に北安曇地方事務所林務課から、未完了事業が存在する旨の報告があったことも委員会に報告してございまして、委員会において、それに対する委員の法的な議論がなされたものと承知してございます。以上です。
【藤岡議員】
 9月議会の答弁は、6月18日のとき対応したのは本庁森林づくり推進課の係長1人しかいなかったかのような答弁でありました。実際は、林務部3課全員いたじゃありませんか。私は虚偽答弁なのかなとも感じました。気をつけていただきたいと思います。説明を受けたとき、林務部の職員全員、「驚いた」というような情報もいただいております。復命書の存在が分からないはずありません。きちんとそれぞれ確認調査をすれば、断言できるはずであります。
 そして森林づくり推進課の係長は厳正な懲戒処分がされたとの9月議会答弁でしたが、他の方々は説明を受けているはずなのですが、処分を受けてないのではないでしょうか。またそのうち1人は林野庁から出向してきた方がおられたようでありますが、この林野庁の方も半年前にこの問題を把握していたことになります。これは大問題です。もう一度林務部長にお聞きいたします。
 法的課題検討委員会の委員に渡された分厚い資料の中には、平成26年4月8日のことは確かに書かれていますが、平成26年6月18日のことは一切書かれておりません。限られた時間の中での会議でした。説明は配布された資料のみでしかされなかったはずです。つまり、林務部やコンプラ課からは、この6月18日の問題は、委員に対して全く説明されていないことになると私は思っております。これは、もしそうであれば大問題です。6月18日問題を知らずに報告書を作成したことになります。法的課題検討委員会が出した根拠が、私は崩れてしまうと思います。もう一度、総務部長答弁していただきたいと思います。
【林務部長】
 当時の状況でございます。先ほど申し上げましたように、出席者の中には造林事業を担当し、当該事案について職責のある森林づくり推進課課長補佐がおりました。当然この職員を中心として対応したものと考えておりますし、また、他の職員については、そもそも違う目的で行っていますので、そこの部分について、初めてそういう事案があったという話として承知していた者もいるという話かと思います。
 いずれにしても、この造林担当の課長補佐は、4月に一番最初に、地方事務所からそういう相談があった段階で、課長と相談をした上で、早期に現場を早く終わらせようということを徹底してございます。したがいまして、この6月の時点でも、そういうおそらく聞き取り方をしたのではないかなということを類推しているところでございます。
【総務部長】
 法的課題検討委員会の討議内容についての再度の御質問でございます。この法的課題検討委員会におきましては、検討事項が損害賠償請求等の法的課題に関することでございまして、県の争訟に関する事務であること、あるいは個人法人その他の団体に関する情報であること、また、公正円滑な審議のために必要であることから、非公開とされてございます。
 意見交換の概要についてを申し上げますと、加算金に係る職員の責任について、あるいは加算金の時効の考え方、また職員に対する請求にあたっての考え等について議論がなされたという中で、御指摘の点についても議論がなされたというふうに、承知してございます。以上でございます。
【藤岡議員】
 再度総務部長に、6月18日のことが議題として上がってきて議論されたのかお聞きしたいと思います。続きは委員会で議論していただきたいと思います。
【総務部長】
 法的課題検討委員会の討議内容につきましての再々度の御質問でございます。先ほど御答弁申し上げましたとおり、この検討事項の公表につきましての取り扱いにつきましては、委員会で、先ほど申し上げたとおり非公開と決定されているとこでございますが、そこの中の概要として申し上げられる範囲で申し上げますと、加算金に係る職員の責任について、あるいは加算金の時効の考え方について、あるいは職員に対する請求に当たっての考え方についてその中で議論がなされたというふうに申し上げたところでございます。

3.大北森林組合等補助金不正問題-間伐事業の同意書無断作成問題について

【藤岡議員】
 間伐事業の同意書無断作成問題について質問いたします。森林税を活用する事業で起こった問題として昨年1月の内部告発がありましたが、県はこの問題について新聞報道がされるまで、事実関係を公表されていませんでした。
 9月2日、知事の会見動画を視聴させていただきました。この問題は、検証委員会の報告書で説明されており、その結果に基づいて関係する職員をすでに処分しているので解決済みとのことですが、私も報告書を読ませていただいておりますが、どこにも書いておりません。一体どの部分に説明されているのでしょうか、知事にお聞きいたします。
 11月2日の会見ではこの間伐事業の同意書無断撮影問題について、検証委員会の報告をまとめる段階ですでに把握されていましたと林務部の担当者は答えており、知事も知っていましたと答えておられました。では、知事はいつこの問題を把握されていたのでしょうか。検証委員会の報告書が発表された平成27年7月頃でしょうか、昨年の1月でしょうか、また、この問題を告発した内部報告についても、当時把握されていたのでしょうか。知事にお聞きいたします。
 昨年の1月下旬に内部告発があったということで改めて再調査をされたと思いますが、その内部告発の約半月後の平成28年2月16日、プレスリリースを出しております。2つの協議会に対し、森林整備が未実施だったので、補助金返還請求を行ったというものでしたが、この時点で発表する機会があったにもかかわらず、なぜしなかったのですか。すでにこの問題を把握されていたとされる平成27年7月の検証委員会の報告の時点、昨年の2月のプレスリリースの時点、いずれも公表されなかった理由は何ですか。林務部長にお聞きいたします。
 また、内部告発された資料について、元検証委員会のメンバーが含まれる林務部改革推進委員会やコンプラ課で調査、議論、公表ということは検討されなかったのですか。総務部長にお聞きいたします。
【小林総務部長】
 議員御指摘の資料につきましては、大北森林組合等補助金不正受給事案に係る一連のコンプライアンス問題の一つとしまして、林務部における調査内容など、当初からコンプライアンス行政課が林務部と情報共有し、連携して対応してきたところでございまして、その点につきましては、林務部とともに対応しているというふうに考えているとこでございます。
 また、議員御指摘の林務部改革推進委員会の委員につきましては、伝わっているというふうに聞いているということでございます。以上でございます。
【阿部知事】
 森林整備に関連して、トラブルになったときに問題になりかねない行為があったということについて、報告書のどの部分に説明されているのかというご質問であります。この件につきましては、午前中に村上議員もご質問に林務部長がお答えしているような背景があるわけであります。
森林所有者により森林整備協議会を設立して森林整備を進めていこうということで取り組んでいる中で、一部適切さを欠いた事案があったというものであります。私の会見、ご視聴されたか、あるいはお読みになったということであれば、そもそもあの会見での記者とのやりとりは、協議会方式というものについても十分理解されていたかどうかという点だったというふうに御理解いただけると思います。
 大北森林組合の補助金不適正受給、不正受給等検証委員会の報告書におきましては、大北地域で森林整備を進めるために協議会方式を採用し、事務局は、当面林務課職員みずからが運営に当たったというふうに記載をされております。また林務課職員が大北森林組合の書類の作製を手助けするといった対応が行われ、組合からの依頼や了解が明示的でないことも多く、トラブルになったときに問題になりかねない行為であったという形の記載がなされているところでございます。これは報告書の31ページ、32ページ前後に記載されているところでございます。
 それから、会見のときに私がこの問題について知っていたと答えていたが、いつ知ったのか、また内部報告も把握されたかという話であります。この問題というのが、一つで簡単に答えられないので、大きく2段階あると思っています。協議会方式によりまして、林務課の職員が事務を代行していたというようなこと、あるいは、書類の不備があった場合に林務課の職員が書類の作成を手助けするといったような対応が行われていたということについては、平成27年の7月に検証委員会の報告書が出された段階で、私も読ませていただいておりまして、包括的に承知をしていたところでございます。
 また他方、この協議会の事務を代行する中で、今回報道をされておりますような同意書の日付を補正したり、あるいは印鑑を用いて書類を作成したといったような、詳細な個別具体的な内容につきましては、今年の9月の段階に県に対しては情報公開請求がなされたと、その段階で林務部から私に対して報告があったということでございます。以上ございます。
【林務部長】
 間伐事業の関係で、公表されていない理由についてのお尋ねでございます。当時の事務は、適切ではない事務処理でありましたが、同意書自体は有効であり、補助金交付上問題がないとの法的見解も得ていたことから、検証委員会やプレスリリースでは公表を行っておりません。
 また、不適切な事務手続の改善につきましては、林務部コンプライアンス推進行動計画に基づき、速やかに全体会議等を通じ、適切な事務の執行を徹底しております。
【藤岡議員】
 報告書の31ページ、私何度も毎日読んでいるのですが書いていません。ですので、これは委員会で白黒はっきりさせていただきたいと思います。
 また今年の9月まで重大な問題の報告が知事になされなかったということでした。私は林務部のコンプライアンスは大丈夫かなと感じました。同意書、森林所有者の代わりに会見ではサインして捺印したことを「事務の代行」といった趣旨で答弁されておりました。本来の意味で「事務の代行」という言葉を使うのであれば、事務局になった北安地方事務所の職員が協議会の代わりに所有者のところに回って同意書にサインと捺印をしてもらい集めてくる、これなら事務の代行と言えるものだと思いますが、所有者に無断で同意書を作成することは、私文書偽造に当たります。刑法第159条が禁じ、3カ月以上5年以下の懲役に処せられるそうであります。もし所有者が被害届を出していたらそれでアウトです。県内でも同様の問題で名前と顔写真が報道された事件もありました。
 では次、同意書問題の中身についてお聞きいたします。今回の問題で使用されたとされる北安地方事務所林務課にあった60個以上の判子は何だったのでしょうか。二重向地区の森林整備協議会の規約はいつ作成され、成立したものですか。また二重向地区の協議会会長が集めたとされる同意書の原本は現在だれが保管していますか。地域で進める里山集約化事業を活用した各地区の森林整備協議会の事務局を、北安事務所林務課職員が担当した期間はいつからいつまでですか。そしてこのような同意書を無断で作成したり、日付を改ざんした事業は一体いくつあるのですか。以上5点、林務部長にお聞きいたします。
【林務部長】
 印鑑や同意書に関する御質問でございます。当時北安曇地方事務所では、全体で24の協議会のうち、6の協議会の事務を当初担っておりました。北安曇地方事務所林務課にあった印鑑につきましては、地域で進める里山集約化事業の申請に添付する同意書を、林務課職員が代行作成するためのものと考えられます。
 二重向地区の森林整備協議会の規約につきましては、平成21年7月29日に同協議会が成立した際のものと考えております。同意書の原本の保管につきましては、二重向地区の森林整備協議会長が保管されていると承知しております。
 森林整備協議会の事務局につきましては、平成20年度および22年度の事業において、林務課職員が6つの事業で直接事務局を担っておりました。これら6事業において、林務課職員が同意書の日付を修正したものや、代行作成したものがございました。
【藤岡議員】
 判子については当初、森林所有者から預かったもの、判子は返却した、森林所有者の印鑑を用いて同意書の作成を行ったと説明を受けてきました。その後の説明では、判子は現地職員が必要に応じて購入してきたもの、もしくは退職した職員の置いていったものかも…と説明が変わり、二転三転でした。
 規約については平成21年7月29日の協議会設立説明会で配られたということでありますが、そのときに資料とともに配布されたということでありますが、しかし、実は私二重向地区森林整備協議会の会長に会ってきたのですが、会長曰く「規約は設立時はありませんでした。次年度平成23年3月に交付金がもらえるということで、協議会の口座を作ってくださいと言われ、口座を作ろうとしたら、団体の口座は規約がないと作れませんと言われ、そこで急遽作った」とのことでありました。同意書の原本については本人が持っているのではなくて、現在、大町市役所が保管しているそうであります。
 それから、現地職員が協議会の事務局をされていた期間は平成20年から22年度までだったとのことでありますが、以前、情報公開請求で得た大北森林組合職員の復命書の資料では、平成23年の8月3日にどこかの森林整備協議会の打ち合わせ会議に北安地方事務所林務課職員が出席しており、その会議で「添付書類は林務課の職員で作成する」としており、23年度も事務の代行されている形跡がありました。
 私たちが調査した現場で得た情報と県の説明が食い違い過ぎております。詳しい正確な説明は、ぜひ林務委員会で行っていただきたいと思います。
 再質問いたします。昨年1月の内部告発の文書には、重大な告発内容が含まれておりました。大北森林組合が事業主体である交付申請書に添付されている同意書が、他の森林整備協議会の事業で使われた同意書のコピーだったことが明らかになったとの報告書でありました。事業が異なるので同意書の文面は異なるはずなのですが、森林所有者のサイン、印影は全く同じであること、結果、問題として考えられるのは、地域森林整備協議会の集約化した同意書を使って大北森林組合が交付申請したことは、実体のない事業であったものと考えられる、承諾書の文面が異なることから、切り貼りして加工したものと考えられる、本物の承諾書、同意書が林務課に保管されていることから、林務課の職員が大北森林組合に承諾書を貸出して加工された可能性がある、こういった報告書がございました。こんな話私全く聞いたことがありません。大問題ではないでしょうか。
 この新しい問題について調査を行いましたか。なぜ今まで1年間も県議会に報告してこなかったのですか。林務部長にお聞きいたします。
【林務部長】
 公表についての再質問をいただきました。当時、内部告発があった段階で、きめ細かな調査は行っております。また、それぞれなされていた事態が、法的に果たしてそれが補助金返還に該当するような重大な事案であるかということの見きわめをしてございます。そうした中で、補助金の返還に関わるものにつきましては速やかに公表手続をとっておりますが、一方で、補助金の返還に至らなかった、至らないと判断できるものについては、その段階で公表をしていないということでございます。
【藤岡議員】
 この新しい問題については、ぜひ委員会でしっかり説明していただきたいと思います。
 森林税について質問いたします。地域で進める里山集約化事業では大変ずさんな事務処理、そして森林税が使われる事業で得た同意書を大北森林組合の架空の申請の書類作成に流用していたという、これを県職員が協力していたのではないかという検証委員会の報告書の範囲を、明らかに超える新たな問題も浮上しております。内部告発の一連の問題、事務の代行という言葉では到底収まりきらない大問題について、地元新聞の記事で初めて知った次第であります。
 県民や県議会に対して、問題を私は隠蔽したままではないでしょうかと思います。今議会開会日の知事の議案説明の森林税の継続の部分で説明がなされると思っておりましたが、全く触れられておられませんでした。こうした深刻な林務部内の問題ですら解決しない状況で、森林税継続しますはありえません。他の部局まで広げますという方針を県民は到底受け入れないでしょう。基金は森林税1年分以上残高が残っております。一度立ち止まるべきではないかと思いますが、林務部長にお聞きいたします。
【林務部長】
 森林づくり県民税に関するお尋ねでございます。まず、北安曇問題につきましては、森林整備が看過できない状況の中で、誰がそこを担うのかという部分で、極めて放置できないような状況の中でのことということが大きな背景にあったということを、ご理解願えればと思います。
 また森林づくり県民税につきましては、本年度課税期限を迎えるに当たり、改めてゼロベースで超過課税の必要性等を検討し、森林づくり県民税に関する基本方針をまとめました。この過程で、基金残高を活用して事業を行いながら、超過課税を一時休止した場合の検討も行っておりますが、この場合は、少なくとも県民の皆さんの期待の大きい教育や観光等の新しい取り組みについては実施できず、先送りになってしまうということでございます。
 また、本県以外に36もの府県が類似の課税を実施して森林整備を行っている中で、本県の森林整備が著しく遅れをとることは看過できないということから基本方針案をまとめ、パブリックコメント、あるいは県民説明会を行ってまいりました。そうした中で使途を広げることについて期待する多くの御意見をお寄せいただいたところであり、基本方針に基づき、超過課税を継続することが必要と考えたところでございます。
【藤岡議員】
 これだけ森林税に関わる深刻な問題を、内部告発があったにもかかわらず、なぜ公表した上で調査しなかったのか、隠蔽であり大問題であります。一気に森林税に対する状況は変わりました。継続する状況ではないと申し上げて、次の質問に移ります。

4.大北森林組合等補助金不正問題-他の地方事務所で期ずれ・闇繰越がなかったのか

【藤岡議員】
 他の地方事務所で期ずれ・闇繰越がなかったのか。調査について質問いたします。11月4日「予算消化のための闇繰越、違法会計処理、全地方事務所で」という衝撃的な記事が報じられました。これまでの県のスタンスは、検証委員会の報告書にあるように、北安以外の地方事務所では、北安地方事務所や大北森林組合と同様の状況であったとは考えにくいとして、限定的に佐久と松本は一部発覚いたしましたが、基本的にないとのことだと認識しております。
 そこで質問いたします。北安以外の旧地方事務所における緊急点検がされたと報告書にありますが、この点検は担当県職員に対してのものだと思いますが、他の管内の森林組合等の事業体関係者にもヒアリング調査を行ったのでしょうか。また、3名の検証委員が緊急点検に直接参加されておられましたか。北安以外の地方事務所の担当職員にヒアリング調査など、期ずれ・闇繰越がなかったのか直接確認されていますか。
 昨年10月26日に北安地方事務職員が森林政策課に提出した不適正行為等報告書情報公開請求いたしました。11月4日に報道された録音データと同じ内容であるようでありますが、残念ながら入手した文書は黒塗りでまったく確認できません。なぜ全て黒塗りで内容がわからない状態で出したのですか。以上、林務部長にお聞きいたします。
 その内容は、いわゆる闇繰越というのはずっと全地方事務所に蔓延していたなどといった内容だと、新聞報道でもありましたが、予想されます。この不適正行為等報告書についても、林務部改革推進委員会やコンプラ課で調査、議論、公表といったことは検討されなかったのでしょうか。総務部長にお聞きいたします。
【林務部長】
 補助金不適正受給事案での緊急点検についてのお尋ねでございます。大北森林組合の造林補助金不適正受給時判明を受けまして、県では平成26年12月から平成27年10月の10カ月間をかけて、北安曇地方事務所管内含めた2万2415件ものを交付案件ついて緊急点検を行ったところでございます。
 この緊急点検では、造林補助事業の全ての交付案件を対象に、各地方事務所に保管されていた交付申請書等の関係書類について、図面や写真等の交付申請に必要な資料が添付されているか等の点検を行うとともに、調査調書の記載状況等により申請内容手続き等を確認しております。
 その上で必要なものについて、森林組合等の事業体に対して聞き取り等の調査を行った上で、特に森林作業道については、全箇所の現地確認を行い、間伐等の森林整備については、関係書類だけでは事業完了が確認できない箇所は、全カ所を現地確認を実施いたしました。このように緊急点検については、書類調査、現地調査、聞き取り調査という方法で、現実的に実行可能な最大限の調査を実施したものと考えております。
 また、補助金不適正受給等検討委員会の北安曇地方事務所以外の不適正受給に関するお尋ねでございます。検証委員会には緊急点検の方法や、点検結果のほか、県が行った聞き取り調査等について説明した上で、その評価を行っていただいたところでございます。
 こうした調査結果等から検証委員会の報告書では、北安曇地方事務所以外の他の地方事務所については、ほとんどの補助金は適正に交付されていると考えられ、不適正な事例が確認された一部の事例についても、補助金を受領した事業体側で組織内部の事務的な混乱等が原因との見解を示していること、大北森林組合のような大規模かつ継続的な状況にはないことから、他の旧地方事務所や、その管内の事業体については、北安曇地方事務所や大北森林組合と同様の状況であったとは考えにくいという評価をいただいているところでございます。なお、検証委員会の委員による直接の聞き取り調査については、委員において必要と判断された北安曇地方事務所林務課職員および大北森林組合の職員に対して実施されております。
 次に、情報公開請求についてのお尋ねでございます。情報公開請求のありました不適正行為等報告書につきましては、長野県情報公開条例に基づき、公開の決定を行っているものでございます。不適正行為等の報告制度は、林務部の職員が不適正な行為、またはそのおそれのある行為を知ったときに、直接上司やコンプライアンス推進担当などに報告できる制度であって、その性質上、公開を前提としていないものであり、仮に内容等が公表されることになると、職員が萎縮し、報告を控えるなど今後の制度の運用に著しい支障を及ぼすおそれがあるため、条例第七条第6号により、非公開情報としたものであります。
 また、当該報告は個人が行った報告であって、条例第七条第2号、個人に関する情報に該当し、例外として公開できるいずれの場合にも当てはまらないものでございます。以上2つの規定に基づき、一部非公開としたものでございます。
【総務部長】
 不適正行為等報告書に係る調査等についてのご質問にお答えいたします。この不適正行為等報告書は、林務部が独自に制定した不適正な行為等に対する林務部内の事務取扱要綱に基づき提出されたものでございますが、総務部としても報告当初から情報を共有し、調査に協力するとともに、コンプライアンス行政経営課が林務部と連携して対応してきたところでございます。
 この案件につきましては、また平成27年7月の第6回大北森林組合補助金不正受給等検証委員会に報告され、林務部改革推進委員会の委員にも伝わっていると聞いているところでございます。以上でございます。
【藤岡議員】
 再質問いたします。この間、いくつかの森林組合の関係者の方、林業従事者、事業者の方、また県関係者などに聞き取り調査を行ってまいりました。ある森林組合の幹部の方は、「闇繰越は毎年度普通にあった。直接こちらに言ってくるのではなく、人のいい担当者のところに相談の話が来て、断りきれず引き受けるという形だった」。ある県職関係者の方は、「森林整備が重視され、所有者の意識と世論が高まり、事業の計画的な執行が求められた、国の補助金が年々増えてきたので、現場での消化が難しく、年度内に予算が余るため、現場だけ目星をつけて、書類のみ作成し、作業の実施は次年度、これが闇繰越の仕組みです。森林整備だけでは予算消化できないので、作業道の整備開設は予算消化の重要な事業でした。検証委員会の緊急点検前に終わっていない仕事を早くやれと大騒ぎになっている組合もあった。これが事実」といった証言。ある林業事業者さんは、「冬の間は雪の降らないところで仕事をしていました。闇繰越の仕事も請け負いました」といった証言、現場に関わる関係者にお話を聞けば聞くほど、どの地方事務所管内でも闇繰越はあったのではないか、そして本庁林務部を把握されていたのではないかと、ますます疑ってしまいます。
 この音源データは、昨年の10月に森林政策課に出された不適正行為報告書と関係があるのか、その音源データは会議の音源だとのことですが、会議出席者全員からヒアリング調査を行うべきではありませんか。この点について林務部長に再質問いたします。
 知事に再質問いたします。一連の林業行政における問題について、今回あらゆる角度で質問させていただきました。大変深刻です。もう一度検証委員会や法的課題検討委員会を検証しないといけないのではないかなと私は感じておりますが、現在でも検証委員会の報告書どおり、期ずれ・闇繰越は他の地方事務所では基本的にはなかったと考えるのでしょうか。また、本庁林務部は北安地方事務所の期ずれ・闇繰越の実態を把握していなかったと考えるのでしょうか。そして森林税もいかがお考えでしょうか。御所見をお伺いいたします。
【林務部長】
 再質問いただきました。事業体の皆さんがどのような発言をしたか、詳細については私たち存じ上げませんが、かつて、それは相当古い時代だと思いますが、いわゆるその年度末の段階で時期がずれてしまうような事案があったという話は過去にはあった、ということは承知しております。
 それと、今回の事案についてヒアリング調査は行っております。可能な範囲で行っております。その中では新しい状況というものは確認されておりません。
【阿部知事】
 大北森林組合等の問題に関連して、極めて深刻な事態ではないかという御指摘、それから、森林づくり県民税についてどうするのかという御質問でございます。
 林務部部長からも縷縷後答弁申し上げてまいりましたように、私ども、この大北森林組合の問題、あるいは最近になって報道された部分についても、真摯に事実関係の調査をしっかりしようということで取り組んできたところであります。
 例えば、他でも行われていたんじゃないかというような本庁の職員の発言、これも私もしっかり確認すべきだということで、本人からも聞き取り調査を行わせていただいたところであります。具体的な事実関係に基づくものではなく、誤った認識での発言ということで、先ほど部長からも答弁申し上げましたとおり、発言者本人も反省しているというような状況がございます。
 そういう中で、これまで補助金の受給が不適正だったかどうかという観点について、2万2000件にも及ぶ非常に膨大な交付の案件につきまして、緊急点検あるいは関係者に聞き取り調査等行ってきたわけであります。ご質問の中にもありましたように、一部の地方事務所では不適正な事例が確認されたわけでありますけども、それ以外は適正に執行されてきたものと認識をしております。
 また、検証委員会におきましてもそうした考え方、ほとんどの補助金は適正に交付されていると考えられ、北安曇地方事務所や大北森林組合と同様の状況だったとは考えにくいというふうにご評価いただいているとこであります。
 本庁が実態を把握していた状況ということはありますけども、これは私も再三にわたって林務部あるいはコンプライアンス推進室等にも確認し、聞き取り、把握をしてきたわけでありますけども、本庁の林務部が期ずれを認識していたというふうには考えておりません。そうした事実関係はないものというふうに認識をしております。
 また森林づくり県民税については、今回の条例をお出しをさせていただいているわけであります。森林林業行政、コンプライアンスの推進を初めとして、御指摘のとおりしっかり立て直さなきゃいけない部分もあるというふうに思っております。しかしながら他方で、これ1年、あるいは2年遅らせる、あるいは森林づくり県民税を課税しないということになると、とりわけ里山整備を中心として、本県の森林整備が遅れてしまうという形にもなります。
 私も県民の皆さま方との対話を通じて、この森林づくり県民税についての私どもの考え方を誠実にお話をさせてきていただき、また多くの皆さんの御意見を伺ってきております。そういう中では、やはり森林づくり県民税については必要だというふうに考えていただいてる県民の皆さま方が大勢いらっしゃるというふうに受けとめておりますので、森林行政のしっかりとした推進、コンプライアンスの確立ということと並行して、この森林づくり県民税につきましては、ぜひ議員各位の御理解をいただいた上で、来年度以降も課税をさせていただきたいというふうに考えております。以上です。
【藤岡議員】
 林務部長、ぜひ本人だけではなく、会議に出席した全員、林務課林務部、双方全員ヒアリング調査を行っていただきたいと思います。
 森林税については、ぜひ委員会でしっかりと皆さん議論していただきたいなと思います。
 平成27年6月23日、市民タイムスの記事を紹介いたします。大北森林組合の問題で……、県は23日、県庁で緊急会議を開き、県内10カ所の地方事務所の所長に公表した大北森林組合問題の中間報告書の内容の説明と再発防止を呼びかけた。そこで、不正受給の一つで間伐等補助金の対象事業の完了時期が規定に反して、補助金申請後にずれ込む期ずれ、これは闇繰越でありますが、ある所長から、「他の地方事務所管内で絶対にないと自信を持って言える所長はいないと思う」などの意見も出たと報道されました。知事、検証委員会の報告、法的課題検討委員会の報告を根拠に突き進まれるのではなく、一度立ち止まって、もう一度検討されることを要望いたします

5.大北森林組合等補助金不正問題-住民監査請求の棄却と損害賠償請求の検討作業について

【藤岡議員】
 次の質問に移ります。住民監査請求の棄却と損害賠償請求の検討作業について質問いたします。9月に県内600人余りが行った住民監査請求でありますが、棄却されました。これは監査委員として検証委員会の報告書や法的課題検討委員会の報告書のみを棄却の根拠にされているのではないでしょうか。独自の調査を行われたのでしょうか。代表監査委員にお聞きいたします。
 また、11人の県職員の損害賠償請求内容の検討作業については、今行われているところだと思いますが、検証委員会や法的課題検討委員会だけを根拠にせず、慎重に行うべきだと考えますがいかがでしょうか。代表監査委員にお聞きいたします。
【田口監査委員】
 お答えいたします。お尋ねの一番目の住民監査請求の監査におきましては、私ども監査委員としての立場から、県総務部それから林務部が行ったヒアリングの結果や検証委員会および法的課題検討委員会が行ったヒアリングの結果を含む審議内容、また刑事訴訟における訴訟記録等々の検証を詳細に行うとともに、監査委員としての疑問点や確認すべき事項について監査対象機関に聞き取りを行うなどして独自の調査を行った上で、結論に至ったところでございます。
 また、お尋ねの質問の2点目でございますが、損害賠償請求ですね、阿部知事からの請求のありました県職員に対する損害賠償請求監査についてでございますが、監査対象となった職員の賠償責任の有無それから賠償額の決定に当たりましては、法的課題検討委員会の報告を詳細に検証した上で、監査委員の立場から、必要と考える調査を行い、判例や他県の事例等々を参考にしながら、関係法令にのっとって慎重に判断いたすべく、現在監査を進めているところでございます。以上でございます。よろしくお願いします。
【藤岡議員】
 代表監査委員に再質問いたします。今後11人の県職員に対してヒアリング調査が実施されるとお聞きしております。その際に提出される書類や資料は一連の大北森林組合等補助金不適正受給問題の真相究明に繋がる中身であると考えております。
 もちろん、個人が特定されてしまうことはあってはならないということで、十分に配慮される必要がありますが、書類や資料はできる限り公表し、客観的にこの問題を解明すべきと考えますがいかがでしょうか。代表監査委員にお聞きいたします。
【田口監査委員】
 お答えします。監査対象の職員から提出される書類等、今できる限り公表すべきじゃないかとこういうお尋ねだと思いますが、それらの書類等はあくまでも知事からの求めであります。当該職員の賠償責任の有無、それから賠償額、決定すべく必要な事実を確認しようとするためのものです。
 一般的に監査のために収集した資料というものは、非公開とされるというように承知をしております。この件につきましても書類等が公表されることになりますと、監査対象の職員から自由な発言が得られないのではないかということも懸念され、今後の監査手続きにも支障が生じかねませんので、そんなことでご理解を賜りますようお願いしたいというところでございます。以上、お答えです。よろしくお願いします。
【藤岡議員】
 代表監査委員、ぜひ慎重に調査をお願いしたいと思います。
 このままでは真相究明ができないと感じ、団として独自の調査を始めてきました。調査を通じて現場の職員の皆さんは、強圧的な大北森林組合からの突き上げと本庁林務部からのどんどん増える予算の消化を求めるプレッシャーとの板ばさみで追い込まれてしまっていたことが、様々な関係者の方々の話で明らかになりました。現場の職員にだけに責任を押しつけるやり方で終わらせてはいけないと、強く感じております。
 発覚後3年が経過しましたが、疑惑は残されたままです。北安だけでなく全県的に闇繰越があったのではないか、そしてその事実を本庁林務部も把握しながら知らなかったと結論付けたのではないか、司法もマスコミもそう分析しております。
 監査委員から調査を受ける11人の方は、必死になって自分たちだけに責任があるわけではないこと、真実はこれだということをヒアリング調査で語られると思います。文書や調査でも出されると思います。どんな中身なのか、それが明らかになれば大きく真実に近づくことは間違いないと確信しております。
 闇繰越の問題を白日のもとにさらしたくても検証委員会の議事録、再確認ヒアリング調査、法的課題検討委員会議事録等全て真っ黒黒塗り、もしくは非公開で闇の中であり、残念ながら今の状態では私たちはその中身を確認検証することはできません。
 改めて県議会の皆様、ご一緒に、百条委員会を設置してこの問題を解明し、正しく責任の所在を明らかにすべきだと思います。その上で、これからの長野県林業をどうするのかを考えていくべきではないでしょうか。以上呼びかけさせていただき、質問を終わります。

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