「長野県森林づくり県民税条例の一部を改正する条例案」反対討論
11月県議会本会議において「長野県森林づくり県民税条例の一部を改正する条例案」の審議がおこなわれ、賛成多数により可決されました。日本共産党県議団はこの条例案に反対し、小林伸陽議員が反対討論をおこないました。
第11号(長野県森林づくり県民税条例の一部を改正する条例案)についての反対討論
小林 伸陽
第11号に反対の討論をおこないます。
長野県は森林県といわれながら、政府の政策により木材の輸入自由化が強行され、その結果、林業は衰退の一途をたどっており、各地で森林の荒廃が進み、大規模な山腹崩壊などの甚大な災害が多発し、森林整備は待ったなしの喫緊の課題となりました。
とりわけ遅れている里山整備や里山の多面的機能の維持のためにも放置できないとし、国の補助事業でカバーできない事業の支援を目的に、県が森林税の導入を致しました。この税の活用などにより、この10年間で3万2210haあまりの間伐が進み、我が党もこうした目的の森林税に、5年前には賛成をしてまいりました。
しかしこの10年間の森林整備推進事業の中で、森林税が使い切れず、今年度末には残高6億円以上となり、年間の税収を上回る額となるなど多くの問題点が明らかとなりました。森林整備の過程で森林税2億円あまりが大北森林組合の事業でも不正が発覚し、抜本的な見直しが求められてまいりました。
国の補助事業でも不正が行われ、その全容はいまだ解明されず、補助金の返済は約8億円余、県の不正による加算金は3億5千万円余、県の損失額は15億5千万円余と、県政史上希に見る巨額となり、これが県民に負担が強いられています。
こうした不正の全容が解明されないまま、一部の現場の職員に責任が押し付けられることは、長野県の林務行政のみならず、大きな禍根を残すものといわざるを得ません。
森林税の本来の目的は、荒廃した里山の整備を行うものであり、里山の整備の遅れは補助金を増やせば解決するものではありません。零細な森林所有者、相続手続も放棄された所有者不明、境界も確定できずに集約化が進まない現状の抜本的対策が求められています。
大北森林組合の不正は、こうした背景を無視して多額な補助事業を押し付けられる中でおこなわれたものであり、大北森林組合の不正事件の徹底的な解明なしに継続は許されません。
税の導入時は里山整備の目的で作られたのに、今回は観光地の街路整備や学校林の利活用などに拡大することは、緊急性も、導入時の目的からも逸脱したものであり、許されません。森林税の延長は県民的理解も得られるものではなく、到底理解できないものです。
以上申し上げまして、議員各位のご賛同を求めて反対の討論と致します。よろしくお願いします。
以上