2018年2月定例会 日本共産党代表質問
- 知事の政治姿勢について
- 次期総合5か年計画について
- 新年度予算案と県財政について
- 医療について
- 教育について
- 農業について
- 再生可能エネルギーの活用について
- 火山・活断層対策について
- 林業行政について
1.知事の政治姿勢について
- 【備前議員】
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日本共産党長野県議団の備前光正です。最初に知事の政治姿勢について伺います。
①首相の憲法改定発言について
首相の憲法改定発言について伺います。
安倍総理は年頭の会見で「今年こそ新しい時代への希望を生み出すような憲法のあるべき姿を提示」すると述べ、年内にも憲法9条改憲の国会発議を行う姿勢を示しました。首相がこの間言うように、9条に自衛隊を明記すれば、9条2項の空文化、すなわち死文化に道を開き、海外の武力行使が無制限になってしまいます。
今、国民の多数は憲法の改定を望んでおりません。日本世論調査会の年明けに発表した調査結果では、憲法改定について53%が「必要ない」と答え、さらに67%が「急ぐ必要はない」と答えております。また、共同通信の調査では安倍政権の下での憲法改正について、反対が前回比6.2ポイント増の54.8%と多数を占め、賛成の33%、前回比3ポイント減と差をひろげており、憲法改定は望まず、急ぐ必要なし、さらに「安倍政権下ではお断り」という結果が出ております。また日本経済新聞調査では、長野県は沖縄県に続き憲法改定反対の県民の多い県であることも報じられております。
12月に共産党県議団が来年度予算要望の際に憲法について知事にお尋ねしましたが、知事は「基本的人権の尊重、国民主権、平和主義の原理は尊重されるべきもの」とは述べられましたが、実際に安倍政権が憲法9条に自衛隊を書き込み、「平和主義」を空文化しようとしていくことに対する知事のお考えを伺います。
- 【阿部知事】
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備前議員の代表質問に、順次お答えをしてまいりたいと思います。
まず憲法9条改正に対する所見というご質問でございます。質問の中にも引用していただいたわけでありますけれども、私は、現行憲法、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、こうした基本的な理念はこれからも堅持されるべきものというふうに思っております。私自身も、憲法99条で憲法の尊重擁護義務が課されているわけであります。長い間、公務員として仕事をしてまいりましたし、また県知事としても、現在の日本国憲法を遵守して仕事を進めてきているところでございます。
憲法の改正ということが議論になっているわけでありますけれども、これは、国民が最終的には投票により判断していくという形になるわけであります。主権者としての私たち国民一人一人が最終的に判断していくわけでありますので、国民の間での深く、そして幅広い議論が行われるということが必要だというふうに思っています。
また憲法改正の発議は国会が権能を有しているわけであります。国民の皆さま方の声にしっかりと耳を傾けつつ、過去の歴史を踏まえ、未来をしっかりと展望した、慎重かつ十分、そして国民にもわかりやすい、検討議論をぜひ行っていっていただきたいというふうに思っております。
- 【備前議員】
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②核兵器禁止条約とICANのノーベル平和賞受賞について
昨年のノーベル平和賞は12月10日、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)に授与されました。ノーベル委員会は「ICANは核兵器の使用が人道上破壊的な結果をもたらすことへの関心を高め、核兵器禁止条約の制定に向け革新的な努力を尽くした」と賞賛しました。ご存じのようにこの授賞式の5か月前には、ニューヨークの国連会議場で122か国が賛成して核兵器禁止条約が採択され、ICANの活動が条約の採択に向け貢献したことが、平和賞授賞の理由とされています。「ICANへの授賞は、核兵器禁止条約に反対する核保有国及び核依存国に対し、率先して核兵器のない世界へ力を尽くせと呼びかけているとも言える」と授賞式に一緒に参加した長野県原爆被害者の会会長で日本被団協事務局次長の藤森俊希さんは言っておられます。
そこで、長野県は非核平和県民宣言をしておりますが、この県として核廃絶に向けどう行動するのか知事に伺います。特に被爆国なのに日本は米国などの核保有国に同調して核兵器禁止条約に賛成しておりません。知事は国に対し、国連で採択された核兵器禁止条約を日本も批准するよう求めるべきだと思いますがいかがお考えか伺います。
さらに、トランプ米政権が2月2日、核政策の今後の指針となる「核態勢の見直し」(NPR)を公表しました。これは核兵器の役割を低下させ、核軍縮を進めるとしたオバマ前政権の方針を転換し、低爆発力の核弾頭や新型巡航ミサイルの開発によって、核戦力の強化・近代化を進めるものであります。これについて安倍政権は世界でもいち早く「高く評価する」と談話を発表し、核抑止力を含めた日米同盟の抑止力強化を目指すと発表しました。いつでも使える核兵器として開発されている小型核兵器について「大賛成」と、信じられないような安倍政権の対応に対し、知事はどうお考えかお尋ねいたします。
- 【阿部知事】
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次に、核兵器廃絶のためどのような行動していくかというご質問でございます。長野県議会におきましては、昭和59年に核兵器の廃絶と世界の恒久平和実現するため、非核平和県民宣言をご議決をされたところであります。その後も核兵器廃絶を求める意見書を内閣総理大臣、外務大臣宛てに、4回ご提出をいただいているわけでありまして、こうした継続的な取り組みに、私からも敬意を表したいというふうに思います。
私ども理事者側といたしましても、県民の皆さま方への意識啓発を行うような取り組み、これまでも行ってきております。世界の恒久平和、人類共通の願いでもあります。これからも着実に県民の皆さま方の中に、この核兵器の問題そして、平和の問題、こうしたものが共有されるような取り組みを行っていきたいというふうに思います。
次に、核兵器禁止条約の批准、それからもう一つの質問として、併せてNPR(核体制の見直し)についての見解についてご質問いただきました。安全保障に関する問題は、これは国の専権事項ということで、核兵器禁止条約の批准あるいはNPRへの評価・対応ということについては、これはぜひ国が責任を持って対応していただきたいというふうに思っております。
私は昨年の2月に広島・長崎の被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名の趣旨に賛同させていただき、署名をさせていただいたところでございますが、河野外務大臣の国会答弁等を拝見しても、核兵器禁止条約が掲げている核廃絶という目標については、これは我が国も共有しているというふうに述べられているところでございます。我が国は核兵器の悲惨さ、そして不条理を知る国であります。ぜひリーダーシップを発揮して国際社会と連帯して、核兵器の廃絶を進めていっていただきたいし、また我々国民も、そうした思いを共有していかなければいけないものというふうに思っております。
- 【備前議員】
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③働き方改革について
次に働き方改革について伺います。
この5年間で大企業は史上空前の利益を上げ、内部留保は実に400兆円を超えたと言われております。一握りの超富裕層の資産は3倍にもなる一方で、働く人の実質賃金は年15万円減少し、アベノミクスは5年間で格差を拡大し、貧困を一層深刻化させております。
全国中小企業団体中央会の中小企業レポート1月号の新年の挨拶で、どの経営者も「アベノミクスは回り始めて景気回復基調にあると言われているが、中小企業・小規模事業者の多くはその実感を得られていない」「儲かっているのは一部輸出企業で、多くは国内市場の縮小と労働力人口の減少とともに、経営者の高齢化、人材不足の深刻化などの問題が進行している」と異口同音に述べられております。
首相は「働く人の視点・立場に立った改革」を進めると述べ、通常国会で「働き方改革」関連一括法案の成立を行おうとしておりますが、今この改革が一体誰のための改革か問われております。改革の目玉とされている、「高度プロフェッショナル制度」ではどんなに働いても一定の年収以上では残業代はゼロです。しかも労働時間規制もなく、これは使用者側だけがメリットが生じます。一方の労働者では過労死が待っております。この法案では事実上、月100時間まで就労させることができてしまいます。現在、過労死認定の半分以上は月100時間未満なのに、これでどうして過労死を減らすことができるのでしょうか。むしろ過労死の合法化法案であると思います。
11月議会で私は、教員の時間外労働の問題を取り上げましたが、こうした国の動きを受けての県の「働き方改革」を無批判に受け入れるものであり容認できるものではありません。現在の教員の働き方は教育委員会調査でも、時間外勤務は、小中で1か月当たり平均64時間、最も多い学校の平均は114時間と報告されているように、過労死ラインをはるかに超えております。しかも長年にわたって仕事は多様化し多忙を極めても、1日換算でわずか20分程度分の4%の教職調整額業務手当で、残業代も払われずに長時間労働を強いられてきたこの教員の働き方についての知事のご認識と、どのように教員の働き方を改善させるのか伺います。
さらに県内ではこの間、コンビニに商品を配送する途中に死亡した長野市の男性運転手が、コンビニ駐車場で急性大動脈解離で亡くなり労災認定されました。長野市内の入荷センターとコンビニの間を毎日2往復して十数店舗を回る過密労働で、コンビニ配送は時間厳守のため、規定の時刻より早く出発するなどして食事もままならず、帰宅が午前3時になることもしばしばであったと言います。運転しながらおにぎりを食べる状態で、死亡前の半年の残業は月96~135時間に及び、未払いの残業代は200万円近くにもなったと言います。
また飯島町では当時31歳の建設労働者の青年が一昨年平成27年3月に自殺したのはパワハラや長時間労働が原因として、労災認定されております。
そこでこの度長野労働局では長時間労働が疑われる584事業所を監督指導したと報じられておりますが、55%で違法な時間外労働が行われ、うち4割を超える238事業所が過労死ラインの月80時間を越えていたと深刻な状態であったと言います。
本県でもこのように過労死が起きてしまっているのに、運送業、建設業、そして医師等は今回の働き方改革の対象外となっており、このような実態にメスを入れずに残業代はゼロにされるとんでもない「改革」であると思いますが、知事にそのご認識を伺います。また長野県として、労働局等と協同して設置された長野県働き方改革・女性推進会議での働き方の改善に向けた取り組みはどう進め、労働時間の是正を図るおつもりでしょうか。
- 【阿部知事】
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それから「働き方改革」についてであります。今回国会でも今まさに議論されているわけでありますが、昨年の9月に労働政策審議会から厚生労働大臣に答申された働き方改革関係法律案要綱、これがベースになっているというふうに思っております。ただ、現在国会で議論継続中で、いまだ法案としても閣議決定されていないというふうに承知をしており、不確定な部分が多いというふうに受けとめております。
「働き方改革」、労働生産性を向上し、多様で柔軟な働き方を選択可能とする中で、全ての人が活躍できる社会の創出を目指すものというふうに考えております。そうした一連の取り組みの中で、この長時間労働の是正ということも必要だというふうに思っております。
県としてはこれまでも多様な働き方制度の導入、あるいは職場環境の整備など、働く皆さんの立場に立った働き方改革を進めてきているところであります。労働団体、経済団体とも問題意識を共有して、引き続き取り組みを進めていきたいと考えています。
次に、働き方改革・女性活躍推進会議における取り組みを、どう進めて長時間労働の是正を図るかというご質問でございます。本年1月15日に第3回の働き方改革・女性活躍推進会議を開催いたしました。
そこで平成30年の取り組みとして、具体的な数値目標も設定をいたしたところであります。年間実労働時間は2023時間以内、年次有給休暇取得日数9日以上という目標であります。この目標達成に向けて、経営者、そして従業員がコミュニケーションを図りながら、労働生産性の向上、そして働きやすい職場環境の整備が進むよう、この会議の構成団体が関係企業等に働き掛けるという形になっております。
これを受けまして県としても、来年度新たに長時間労働是正に前向きな企業に対して、社会保険労務士あるいはIT技術者等の専門家を派遣して、業務の効率化を支援していきたいというふうに考えております。また、仕事と家庭の両立ができる職場環境の整備を行っていらっしゃる企業を認証する、職場生き生きアドバンスカンパニー制度等も、さらに徹底をしていきたいというふうに思っております。
こうした取り組み、多くの関係者の皆さま方が問題意識を共有して取り組んでいくということが不可欠だというふうに思っております。労働者の皆さん、労働団体の皆さん、そして経営団体の皆さま方と一緒になって、この取り組みを進めていきたいというふうに思っております。
それから教員の勤務時間、時間外勤務についてのお尋ねもいただきました。現在学校におきましては急速に変化する社会に対応するために、児童生徒の主体性、創造性を育む学びを実現していくということが重要になっていると考えています。また特別な配慮を要する児童生徒への対応、あるいは外部機関との連携体制の構築など、教員の業務が増加しているという現状にあります。そういう中で、教員の皆さんがその専門性を発揮し、授業づくりに専念をしていただくことができるような環境整備、改善が必要だというふうに思っております。
そのためには、全てのことを教員の皆さまが担うということではなくて、地域の方々や専門家等と学校の業務分担をするなどの方向性を持って、働き方改革を進めるということが望ましいというふうに考えています。
信州型コミュニティースクールの普及をはじめ、地域の皆さんにもぜひ学校に関わってもらいたいという取り組みを進めてきておりますが、今議会に提出しております予算案の中にも、外部人材の活用など、働き方改革に関連する事業を計上させていただいております。どうか議会の皆さま方にご議決、ご理解いただいた上で、そうした予算を十分活用して教員の皆さま方の働き方改革に取り組んでいきたいというふうに思っております。
- 【備前議員】
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④リニア中央新幹線と在来線の問題
次に、リニア中央新幹線と在来線の問題について伺います。
総工費9兆円という巨大プロジェクトをめぐり、談合事件に発展してきているリニア中央新幹線工事は、1月、名古屋の非常口の新設工事に関わり、大林組の社長が引責辞任しました。また談合事件と並行して昨年12月18日には独占禁止法違反の疑いで、特捜部と公正取引委員会が、県内のトンネル工事も請け負うスーパーゼネコンの鹿島、清水、さらに大成建設にも大林組とともに家宅捜査に入り、さらにはJR東海社員がこうした工事費情報の漏洩疑惑が浮上するなど問題が次々と露呈しております。こうしたいくつもの疑惑が発覚している巨大プロジェクトに、総工費の3分の1も占める3兆円もの公的資金を投入した安倍政権の責任も重大だといえます。
県内ではトンネル工事で発生している大量の残土処分場もいまだ決まらず、これは長野県のみならず静岡県などの沿線自治体でも同様であると言われております。さらには南木曽町では水を豊富に蓄える阿寺断層や馬籠峠断層などを貫き、特に県水環境保全条例に指定された妻籠水道水源保全地区の地下をトンネルが通る予定で、水枯れの問題も調査中です。これらも含め住民の納得や合意は得られないままに、工事だけは岐阜県側から既に始められております。
このような一連のJR東海のリニア中央新幹線工事をめぐって、知事は県民生活への影響をどう捉えているのでしょうか。住民への丁寧な説明、合意とは程遠い状況だと思いますが、このような現状からも、JR東海に対し一旦工事の中止を求めるべきだと思いますが、知事のご認識を伺います。
一方在来線は2000年以降全国で39路線771.1kmが廃止されました。これは住民の生活にも地域社会にも大きな打撃を与え、「通勤通学ができない。病院にも行けなくなる」など深刻な影響を及ぼしております。県内の在来線においても同様で、特に中央西線や飯田線などは、列車は旧型で、その本数の激減や駅の無人化、そして冬期の暖房も取り払われてしまっており、住民や木曽路を歩く観光客に不便を強いております。両路線とも黒字の優良企業のJR東海が運営しております。リニア中央新幹線が住民生活に影響を及ぼしても工事を進める。その一方で在来線はこの有様であります。知事はこのような状況を放置しておくつもりですか。こうした在来線における利便性の確保をどのようにお考えか伺います。
- 【阿部知事】
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それから、リニア中央新幹線の関係でございます。リニア中央新幹線に関しましては、地域も皆様方がさまざまな懸念、課題をお持ちであります。これまで私ども県としても、こうした地域住民の皆さん、あるいは市町村の皆さんと、極力問題を共有して対処してきているところでございます。
またJR東海に対しましては、リニア中央新幹線の整備を進めていく上では地域の皆さまのご理解とご協力が何よりも重要だということを、再三にわたって伝えさせていただいているところでございます。今後もJR東海社長とのトップ会談を行っていきたいというふうに思います。そういった機会を通じて、地域の声をしっかりと伝えて、我々として、要請するべきことは要請をしっかり行っていきたいというふうに思っております。またJR東海には地域の声にしっかりと耳を傾けて、ぜひ信頼関係を構築し、地域の皆さんの不安払拭に向けた取り組みを、今後とも引き続き行ってもらいたいというふうに考えております。
それから飯田線、中央西線、在来線の利便性向上等についてのご質問でございます。本県の交通ネットワークを考えますと、リニア中央新幹線等高速交通網の整備と鉄道バス等の地域交通の確保、ともに重要な課題だというふうに思っています。飯田線、中央西線の利便性等については、これは何よりも地域の皆様方の思い、我々の考えもそうですけど、地域の皆さんの思いが重要だというふうに考えております。そういう意味で、沿線の協議会委員の皆さんと一緒に取り組みを進めているわけでありますが、沿線の協議会の皆さま方からは通勤や通学で利用しやすいダイヤ設定、また秘境駅や山岳景観など、沿線の観光資源を生かした観光誘客、また町のイベント開催時等における駅舎の利用、こういった要望が出されているところでありまして、私どもとしても、こうした要望が実現するように、JR東海に対して、これまでも働き掛けを強く行わせていただいているところであります。
また私もJR東海社長に対して直接、地域要望の強い駅の施設整備、あるいは利便性の高いダイヤ改正等について要請をさせていただいているところであります。引き続き地域の皆さま方の思いを十分に共有させていただきながら、飯田線、中央西線の利便性の向上に努めていきたいというふうに思っております。
2.次期総合5か年計画について
- 【備前議員】
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次に、次期総合5か年計画について伺います。
このたび次期総合5か年計画案がまとめられました。県議会も総合5か年計画研究会において、検討を1年以上にわたり、研究会を開き検討してまいりました。そしてこの1月末にはそれぞれの会派意見を持ち寄り、全部で44項目について議長に報告し、そして知事へ報告されたものと理解しております。そして2月7日に企画振興部から「案」が配付をされました。
そこで今回、共産党県議団からは30項目の提案を行いましたが、これについて盛り込まれたのはどんな点があるのか企画振興部長にお尋ねいたします。
また県議会からの答申が研究会会長から議長を通じ知事宛てに行われてから、大きく変わった点がいくつかあります。具体的には総合的に展開する重点政策の、郷学郷就の産業人材育成・確保についてですが、働き方改革の推進についての主な施策にあった労働局、経済団体、労働団体等が参画する長野県働き方改革・女性活躍推進会議により、長時間労働の是正、多様な働き方の導入など働き方改革を推進について、わが団からは長時間労働の実態調査、掌握、是正などを入れるよう提案しました。ところがこの度配付された案では特にこの部分は項の全体が大きく変わっております。
「働き方改革の推進」は「働き方改革の推進とAI・IoT等の活用」に変わり、「多様な人材の労働参加」はなくなりました。また原案にはなかった「技術革新の進展への対応」との項目が起こされ、ここでもAIとIoTのオンパレードであります。そればかりか、これは「人をひきつける快適な県づくり」の原案では「市街地の活性化と快適な生活空間の創造」の1項目であった「ICT利活用の拡大」が「案」になると新たな項目「先端技術の積極的な活用・導入」が起こされ、ここでもAI・IoTのオンパレードであります。
これらから先端技術の活用・導入に目を向けようとしていることはわかりますが、内容や、項目も大きく変わりましたが、これらについて県議会には知らさずに成案されました。手続上の拙速感が否めません。これについての認識はどうなのでしょうか。また、県民への説明をどうするのでしょうか。こうしたことを網羅した上で改めてパブコメを行うべきと思いますがいかがでしょうか。これらについて合わせて企画振興部長に伺います。
- 【企画振興部長】
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次期総合5か年計画についてのご質問にお答えいたします。
まず日本共産党県議団からいただきました提案への対応についてでございます。計画策定に当たりましては、県議会におかれましても研究会を設置し、熱心にご議論いただくなど、共産党県議団含め各会派からさまざまなご意見ご提案をちょうだいいたしました。
今回の計画案におきましては、特別支援学校を含む県立学校の教育環境の充実を重点政策に盛り込んだことや、再生可能エネルギー自給率を重点目標としたこと、また地熱利用の促進を盛り込んだこと、さらには一般労働者の実労働時間を関連目標に設定したことなど、いただいたご意見も踏まえたものとしております。この他にも、県議会からいただきましたご意見につきましては、これを十分に踏まえ、今後の政策の実行に当たってまいります。
次に、計画原案からの変更についてでございます。12月に公表しました計画原案は、当初からさまざまな機会をとらえていただきました多くのご意見、また総合計画審議会からの答申等も踏まえ、策定したものでございます。今回取りまとめました計画案は、この原案に対しますパブリックコメントで寄せられた県民の皆さまからのご意見、県議会の研究会や各会派、また県内の各種団体等のご意見、さらには予算編成過程での議論、こういったものを反映したものでございます。
基本目標や、政策推進の基本方針、また目指す姿など、大枠は原案から変えず、ご指摘のAI、IoTに関する記載など内容をブラッシュアップして取りまとめ、議案として議会に提出しご審議をお願いしているものでございます。
また改めてのパブリックコメントについてでございますが、これまでに全庁を挙げて400回を超える県民の皆様との対話を重ねるとともに、県内の団体の代表者等で構成する総合計画審議会において、6回にわたり議論をいただき、また県議会からも7回にわたる研究会を開催いただくなど、ご意見をちょうだいしたところでございます。昨年12月に公表した計画原案につきましては、1カ月実施しましたパブリックコメントでは約160件のご意見もいただきました。このように今回の計画案は、多くのご意見をいただいた上で取りまとめたものでありますので、改めてパブリックコメントを実施することは考えておりませんが、こうした経緯も踏まえて今回議会においてご審議いただきたいと考えております。以上でございます。
3.新年度予算案と県財政について
- 【備前議員】
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次に、新年度予算案と県財政について伺います。
2018年度の県当初予算案は、阿部知事の2期目最後の予算案です。一般会計総額8463億円と本年度の当初予算より162億円の減額となっております。私たち日本共産党長野県委員会と共産党県議団は、12月18日に200項目を超える2018年度予算要望を阿部知事に対し行いました。2018年度予算においては、医療、介護、福祉など県民要望の実現と地域経済の建て直しを最優先に編成していただくこと、安倍政権による社会保障切捨てや、「働き方改革」等、財界・大企優先の政治に対し、県民の暮らしを応援するよう求めてまいりました。
①県債残高と今後の公共事業の在り方
そこで県債残高と今後の公共事業の在り方について伺いますが、政府が地方交付税の法定率を引き上げず、自治体の借金である臨時財政対策債の発行を余儀なくされるなど財政運営の困難があるものの、県債残高が史上最高の1兆7400億円にも上る等、歳出抑制や住民サービス低下を招く不安定な要素が一段と拡大し、しかも、前知事以降は新たな県債発行は元金償還額の範囲内としてきたものが、この間の阿部知事の予算編成では、県立大は最初の予算を12億円近く増えて約109億円に、県立武道館建設は当初50億と言っていたものが既に7億円追加、さらには県信濃美術館の全面改築と、当初の予算は小さく見せ、結果的には予算を肥大化させております。これらはさらにリニア関連事業や、国体関連事業、さらに高規格道路など大型公共事業計画が目白押しであります。身の丈にあった事業規模、不要不急の事業の検討など県債発行額が増加し借金のツケを先送りしないようにした公共事業の在り方を検証・見直しをすべきと考えますが、知事のお考えを伺います。
- 【阿部知事】
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それから、県財政運営についてのご質問でございます。まず県債発行についてでございます。少し数字で申し上げたほうが具体性があると思いますので、ちょっと数字で申し上げますが、まず県債発行、県債残高の状況であります。これは毎年県議会にお諮りをさせて予算編成をさせていただいているわけでありますけれども、平成24年から28年度まで、行政財政改革方針に基づいて、県債発行抑制に努めてまいりました。その結果、通常債の残高は平成23年末、1兆1510億円ございました。平成28年末には9574億円ということで、5年間の間で約1936億円減少させてきたところでございます。
これに伴いまして、財政健全性を示す健全化比率、実質公債費比率及び将来負担比率につきましては、実構成比率が平成23年度の15.2から、平成28年度には12.0ということで、3.2ポイント下がっております。また将来負担比率については、平成23年度の200.1%が、平成28年度には171.0%ということで、こちらは29.1ポイント下がっているわけであります。県だけでの数字ではなかなかわかりづらいわけでありますが、これは都道府県の単純平均が実質公債費比率が12.7%、将来負担比率が186.2%ということになっておりますので、本県はいずれも全国平均を下回っているというのが現状でございます。
私としては、もとより将来の世代にツケ回しをしない、過度な負担を負わせないということが重要だと思っておりますし、その一方で必要な事業はしっかり行っていくということが重要だと思っております。県立武道館、信濃美術館あるいはリニア関連の道路整備、それからこれからは国体関連事業等も必要になってまいります。長野県が将来にわたって発展していく上で必要な社会資本整備については、着実にこれは実施していくということが重要だというふうに思っております。
昨年4月に、行政経営方針を策定をいたしました。臨時財政対策債を除く元金ベースでのプライマリーバランスの黒字を維持していくということを目標と掲げさせていただいておりまして、今回の当初予算におきましても、プライマリーバランス約238億円の黒字の予算編成をさせていただいております。今後とも行政経営方針も踏まえ、財政の健全性には配慮をしながら、必要な事業についてはしっかりと推進していきたいと考えております。
- 【備前議員】
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②消費税増税について
次に、消費税増税について伺います。
安倍政権の2018年度予算案では、社会保障予算の「自然増」分は今回も1300億円削減され、安倍政権の6年間で小泉内閣時代を上回る1兆6000億円もの大幅削減としました。とりわけ、2013年度から3年連続で切り下げられた生活保護費のさらなる削減を打ち出し、富裕層の金融所得への優遇税制を聖域としながら、貧困層には一層の負担を強いる安倍政権の姿勢は断じて容認できるものではありません。
安倍首相が総選挙で「国難」とまであおりたてて公約した「幼児教育・保育無償化」「大学学費の負担軽減」などは、消費税増税を予定する19年度以降に先送りされました。その一方で、文教予算は4年連続マイナスとなり、生活保護の母子加算等も削減されました。「子育て応援」のうたい文句とはまったく逆に、教育と子育てに冷たく、「貧困の連鎖」を助長する予算となっております。中小企業対策費や農林水産予算、地方交付税なども軒並み削減され、「地方創生」どころか地域経済の疲弊を加速させるものです。さらにこうした状況下、安倍政権は消費税を10%に引き上げるという方針であります。改めて知事に消費税増税に対する見解をお尋ねするとともに、増税の中止を国に求めるべきだと思いますが合わせて知事に伺います。
- 【阿部知事】
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それから消費税の引き上げについてのご質問でございます。日銀松本支店の経済状況の認識では、雇用所得は着実な改善が続いているという状況でございます。県内経済の景況感は好調に推移してきているというふうに考えております。
この消費税を全国ベースで見ますと、2019年10月に10%引き上げられる(ママ)予定になっているわけでありますが、平年度ベースで年間5兆円強の増収ということが見込まれております。昨年12月に閣議決定されました新しい経済政策パッケージにおきましては、増収分のうち1.7兆円程度、人づくり革命として幼児教育あるいは高等教育の無償化、そして保育士や介護人材の処遇改善等に充てるという形になっております。これは、私どもも学びの県づくりを目指ししていこうというふうに考えているわけでありますけれども、本県の取り組みの方向性にも合致をしているというふうに考えております。
また、かねてから地方税財源の充実ということを私どもも訴えてきているわけでありますし、県議会からもそうした意見書を出していただいているわけでありますが、この地方消費税の税率も10%引き上げ(ママ)に合わせて、1.7%から2.2%に上がると、地方財源の充実という形になるわけであります。これは現時点での見込み値でありますけれども、本県におきましても、平年度ベースで約100億円程度の増収が見込まれるということでありますし、またこの増収分につきましては、ご存じのとおり地方税法の規定によりまして、全て社会保障政策に要する経費に充てるということになっております。
こうしたことから、持続可能な社会保障制度を構築していく上でも、この消費税の引き上げ大変重要でありますし、また地方税財源を充実していくという観点でも大変重要なことであるというふうに思っております。したがいまして、私としてはこの消費税率の引き上げは必要だというふうに考えております。
しかしながら、もとより行政を担う者としてはそれぞれの予算が有効に活用できるようにしていく必要がありますし、また無駄のない予算を編成していく、執行においても無駄のない執行を心掛けることは大変重要であります。これは国も地方もでありますが、ぜひ、こうした取り組みをしっかり進めていくことによって、国民あるいは県民のご理解を得ていく、得られるようにしていくということが重要だと思っています。県としても、引き続きそうした努力を行っていきたいと考えています。私に対する質問は以上でございます。
4.医療について
- 【備前議員】
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それでは次に、医療について伺います。
①国民健康保険の広域化について
最初に国保の広域化について伺います。社会保障予算の「自然増削減」を実行している安倍政権の下、公的医療・介護制度を土台から変質させる改悪が次々と具体化されております。制度改革の1つの目玉である国保の都道府県化について先の議会でわが団の山口議員が取り上げたように、本県の1人当たり医療費の格差は2.2倍で、全国で2番目に大きいこと、そして現行保険料では3.4倍と全国一格差が大きくなっております。また、加入者は65歳から74歳の高齢者の加入割合が、他の保険が10%未満なのに対し、本県国保は42.3%にもなっています。所得水準は他の保険に比較し、現役世代が少ないため76万円と、全国と比較しても10万円も低く、また協会けんぽより66万円、組合健保よりも131万円近くも低いという状況があります。
そこで4月からの保険料はどう算定されているのでしょうか。また保険料の大幅な引き上げが見込まれる市町村には激変緩和措置が講じられているとされておりますけれども、今回どのような配慮が講じられたのかお尋ねいたします。
さらに保険料の考え方で、他の被用者保険では被保険者の報酬額により保険料が算定され、家族構成は保険料に反映されないのですけれども、国民健康保険は均等割の部分で家庭の人数に応じて定額が加算され、子どもにまで課税を行っております。「子どもが多い世帯ほど負担増となるのは、子育て支援への逆行だ」と批判が高まり、2015年に全国知事会も持続可能な国民健康保険制度構築に向けた緊急要請で、子育て支援の観点から子どもに係わる保険料、この均等割の軽減を国に要請されたとお聞きしております。さらには東京都議会では昨年、均等割から子どもを外すという意見書が採択されました。そこで保険者として長野県としても子育て支援の立場をもっと打ち出すために、均等割から子どもは除くよう提案したいと思いますが、これらは健康福祉部長のお考えを伺います。
- 【健康福祉部長】
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医療に関連いたしまして、私にいただきましたご質問に順次お答えをさせていただきます。
まず初めに、国民健康保険の広域化後の保険料についてお尋ねがありました。現在、各市町村は自らの保険給付費等に基づき保険料率を決定しておりますが、都道府県単位化後においては、県が示す納付金及び標準保険料率を参考にして、保険料率を決定することとなります。納付金を算定する方法については、各市町村の医療費や所得水準を反映させることにより、可能な限り公平な負担となるよう市町村の意見を聞きながら決定したところです。これに基づき平成30年度の納付金を算定したところ、1人当たりの納期金が上がる市町村が50、下がる市町村が27となっております。
県といたしましては、保険料負担の急増防止するため、納付金が一定以上増加する市町村に対して、県及び国の財源を活用して納付金を減額する激変緩和措置を原則6年間、最長10年間講じるとともに、各市町村における保険料率の決定に当たっては、従来の保険料負担の水準に配慮した丁寧な検討をお願いしているところであります。
国保の均等割の算定から子どもを除外することについてのお尋ねがありました。均等割額は、法令により被保険者の年齢に関わらず医療サービスを受けることに着目して負担いただくものとして位置付けられておりますが、県としては、子育て支援の観点が重要と認識しております。全国知事会において、平成30年度、国の施策並びに予算に関する提案要望の中で子どもにかかる均等割保険料軽減措置の導入について要望しておりますので、引き続き全国知事会等を通じて国に対して要望してまいりたいと考えております。
- 【備前議員】
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②無料低額診療制度について
次に、無料低額診療制度について伺います。国保には社会保障としての役割があります。低所得や生活が困難に陥った方々が、保険料を納められず、病院にかかりたくてもかかれず、手遅れとなるようなことは避けなくてはなりません。こうした方々などに対し、必要な医療や介護を受ける機会が制限されることのないよう、無料または低額な料金で診療を行う無料低額診療事業があります。
全国では2014年622医療機関で延べ患者数は734.6万人で減免金額は28億円余だということであります。貧困と格差が進行する中、無料定額診療事業が果たす役割は大きいと思いますが、県内での実施状況、利用者数の推移や制度の周知状況はどのようになっているのでしょうか。
また県のホームページには同事業は出てきませんけれども、大阪府のものは多言語に対応してルビを振ったり、多言語に対応してわかりやすいものとなっております。少なくとも県は現在やっている事業所の周知を行うべきであります。また公的医療機関、特に県立病院での実施は経済的に困窮した県民が、医療へのアクセスをしやすくすると考えますが、こうした取り組みを求めたいと思いますがいかがでしょうか。
また同時に高齢者等が多く、慢性疾患が増える傾向にあり、投薬が必要となるケースも多いと聞きます。ところが現在は医薬分業のため薬局は事業対象にはなっておらず、受診できても投薬治療ができないと聞きます。そこで薬局も社会福祉法に基づく第2種社会福祉事業所としての位置付けを行うべきと思います。全国的には旭川市や青森市、高知市、那覇市など7市町では薬局への拡大が行われているとのことであります。この制度、長野県での薬局への適用拡大を行う考えはないかお聞きいたします。
- 【健康福祉部長】
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次に、県内の生活困窮者に対する無料低額診療の実施状況についてのお尋ねがありました。平成24年度においては、7施設において延べ748人の方が利用されており、平成28年度においては8つの医療機関で実施され、延べ739人の方が利用しております。実施医療機関の拡充については、無料低額診療事業には生活保護受給者、及び無料または減免患者延べ数が全延べ患者数の一定以上であることなどさまざまな条件があるため、一律の実施を求めることは困難な状況でもありますが、医療機関に対し、制度の意義や税制優遇措置等の内容について周知に努めてまいりたいと考えております。
次に薬局への制度の拡大についてのお尋ねでございます。現に、薬剤代の支払いでお困りの方には障がい者等を対象として、市町村が実施する福祉医療や福祉事務所における生活保護など他の福祉制度につなげていただいているところであります。このような状況の中、現在国では、今後の無料低額診療事業を行う医療機関における調剤のあり方について検討していると聞いておりますので、その結果を注視してまいりたいと考えております。
- 【備前議員】
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③勤務医の働き方の改善について
次に、勤務医の働き方の改善について伺います。
全国で命や健康を守るべき医師や看護師が長時間労働を強いられ、健康を害したり、過労死したりする事件が後を絶ちません。昨年5月には2016年に自殺した新潟市民病院の女性研修医が労災と認定されました。この医師は、時間外労働は認定されただけでも月116時間から177時間とも言われ、過労死ラインの2倍を超えていたといいます。昨年一年間だけでも長時間労働を原因として4人の医師が過労死や自殺などで労災認定されております。
総務省の2012年の就業構造基本調査では過労死ラインに相当する週60時間以上働く勤務医は41.8%で、雇用者全体の14.0%を大きく上回り、職種別で最高となっているというデータが出ています。医療労働者の健康障害は医療の質の低下や安全を脅かし、患者さんにも影響を引き起こします。県内では諏訪日赤病院や相沢病院の勤務医の状況も報道がなされております。
一方国会では、先ほどもありましたが「働き方改革」が議論になっていますが、安倍政権は「働き方改革」と言いつつ、医師については時間外労働の規制適用を5年間見送り除外しております。また勤務医の勤務状況の抜本的改善は、全国医師ユニオンの植山代表も労働時間が週60時間を越える日本の実態は世界的にも異常な高さであり、「長時間労働の背景に医師不足がある。現場の長時間労働を解決するには医師を増やすしかない」と述べております。
政府は将来的に医師が過剰になるとして医師数の抑制方針を閣議決定してきました。2008年には見直しも発表されましたが、依然OECD調査では、日本は人口1000人当たりの医師数が加盟国平均の3.3人を大きく下回る2.4人となっております。こうしたことから、勤務時間の長さが心配だと医学生からも敬遠されるなど、この過重労働が招く医師不足の悪循環をどう断ち切るかが問題であります。そこで医師の長時間労働の改善は、偏在よりもその人数を増やすことにあると考えますが、前者の質問にもありましたが、健康福祉部長は県内の医師、特に勤務医の時間外労働等の実態をどうとらえ、抜本的な長時間勤務や労働環境の改善をどのようにお考えか伺います。
- 【健康福祉部長】
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次に、勤務医の勤務状況と労働環境の改善についてのお尋ねがございました。県内の病院勤務医を対象に行った平成28年1月の調査では、1週間当たりの平均的な実労働時間は51.2時間、1カ月の当直回数は平均3回、1カ月の休日出勤回数は平均3.4回となっており、特に、実労働時間については、4人に1人が80時間以上という回答がありました。さらに医師は、当直やオンコールへの対応など院内外を問わず拘束されることも多く、実労働時間だけでは推し測れない負担があると認識をしております。こうしたことから、勤務医の負担軽減と処遇改善を図るため、診療報酬において、医師の事務作業を補助する者を配置した場合の加算が設けられております。
また、県では短時間正規雇用、祝日直免除制度の導入、幼児保育等の体制整備を行う医療機関の取り組みを支援するとともに、医療機関が勤務環境改善に主体的、継続的に取り組んでいけるよう長野県医療勤務環境改善支援センターにおいて、事例演習方式のセミナーを開催したほか、改善を進めようとする医療機関への個別訪問により、それぞれの医療機関が抱える課題等に関する意見交換や今後の取り組みへの助言を行っております。
こうした中、現在国において医師に対する残業上限規制のあり方や勤務環境改善策などについて、平成30年度末の最終報告に向けて議論されているところであり、県としては国の検討状況を注視するとともに、引き続き医師確保勤務医の負担軽減と働く環境の改善に向けた取り組みを推進してまいります。
- 【備前議員】
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④福祉医療費について
次に、福祉医療費について伺います。
子どもや障がい者などの福祉医療制度の創設や充実を求める運動は50年近い歴史を持ちます。子どもの医療費助成制度は1973年に創設され、この間段階的に対象年齢の引き上げや所得制限の撤廃など進めてきました。私たち日本共産党は福祉医療費給付制度の改善を進める会の皆さんや県民の皆さんとともに学習会や署名に取り組みながら、県議会や市町村議会で一貫して窓口無料化を求め、県議会でもこの20年間でも一般質問だけで50回以上取り上げてきました。この度長野県は8月から子ども医療費の窓口無料が中学卒業まで実施されることになり歓迎するものであります。一方、県は助成対象を入院で中学校卒業までとし、通院は就学前としております。現時点で県内自治体では7割を超える54市町村が入通院を高校卒業まで拡大する準備をしていることや、500円の受給者負担金を長和町や原村など7自治体は撤廃し、完全無料化し、一部自治体は300円に下げるなど独自努力をしております。
県が昨年8月に行った「子どもと子育て家庭の生活実態調査の結果の概要の中間まとめ」では「子どもを受診させた方が良いと思ったが、実際には受診させなかったことがある」と、「困窮層」に分類した世帯の36%が答えています。窓口無料化は子どもの健康と成長にかかわる問題です。子育て支援と格差と貧困をなくしていくためにも非常に重要な施策です。ところで8月からの事業は市町村が負担した時の国保のペナルティの2分の1を県が負担するものであり、対象年齢も変わりがありません。国保のペナルティは約4100万円ということでありますけれども、県内市町村の約7割が高校生まで入通院に対象拡大し、自己負担金も軽減する努力をしている中、県は子育て世帯と市町村を応援するために受給者負担金の見直しを行うべきと考えますがいかがでしょうか。
また、障がい者は今回の医療費窓口無料化の対象とはなりませんが、障がい者も含めて窓口無料化を検討していただきたいと思います。そしてさらに進めて障がい者についても完全窓口無料化を実施していただきたいと思いますが、健康福祉部長のお考えを伺います。
- 【健康福祉部長】
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福祉医療における現物給付方式導入の範囲の高校卒業までの拡大についてのお尋ねがありました。今回の現物給付方式導入の検討に当たり、市長会、町村会と連携の下、検討会を立ち上げ、対象範囲等について議論していただき、全市町村が中学校卒業までは足並みを揃えることが適当であるとするご意見をいただいたところです。併せて検討会において、県に対して市町村が足並みを揃える環境整備の要望があり、中学卒業まで現物給付をすることにより生じる国民健康保険の減額調整措置額に対して県が2分の1を負担することとし、所要額を平成30年度当初予算に計上しているところであります。
受給者負担金の無料化については、現物給付方式を導入した場合の受給者負担金あり方について、検討会に合わせ、市町村の意向調査を実施いたしました。調査では、現在の自動給付方式における受給者負担金と同様とするとの回答が全体の8割を超える結果となり、検討会においては調査結果も踏まえ、現行の1レセプト当たり500円を維持することが適当であるとの議論の取りまとめがなされたところであります。
今後につきましては、まずは8月からの現物給付方式の円滑な導入に向け、市町村や医療機関等の皆さまと準備を進めるとともに、現物給付化による受給者の受診動向の変化や事務処理経費への影響など、国保の減額調整措置額を含めた事業全体の動向を注視してまいります。
障がい者への現物給付方式導入と受給者負担金の無料化については、導入した場合、健康保険組合の付加給付の停止や、国保減額調整措置による国庫負担金減額、減少額の拡大、受給者負担金分への補填など市町村にとって大きな財政負担が生じることから、市町村の考えを丁寧にお聞きしながら慎重に検討するものと考えております。
また、県では国保の減額調整措置について、障がい者を含め、全てを対象に廃止するよう国に対して要望しているところであり、今後も全国知事会と、さまざまな機会を通じて国に要望してまいります。以上であります。
5.教育について
- 【備前議員】
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引き続きまして、教育について伺います。
①教育予算と教員の増員
まず、教育予算と教員の増員について伺います。教育委員会の18年度予算説明では、教育予算は昨年度比-4.2%の2001億円余りで、その原因は子どもの数が減り、教員の人件費が減る見込みというものでありました。教員の働き方を改善させていくのには、これまでの人件費を確保し、教員を確保するだけでも、教育の質を上げていく絶好のチャンスと捉えることができると思います。異常な長時間労働を緩和させることができるのではないでしょうか。子どもの数が減るから即人件費抑制ではなく、今こそ実質的に教師の増員を行うよう求めますが教育長に伺います。
- 【教育長】
-
教育についてのご質問でございます。
まず教員の増員についてでございますが、児童生徒数の増減によって必要となる教員の数が増減し、それに伴い人件費が増減すること、それ自体はある意味当然でございますけれども、これを前提としながら、時々の教育課題に対して、所要の財源を確保しながら教育の充実に努めているところでございます。新学習指導要領への移行に対応した小学校の英語専科教員や特別な支援を要する児童生徒に対応する通級指導教室担当教員など、新年度の当初予算におきましても、現在の教育課題に対応した教員の拡充に努めております。また教員の負担を軽減する観点から、新たにスクールサポートスタッフなどを配置しまして、労働環境の改善にも努めてまいる所存でございます。
- 【備前議員】
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②「学びの改革」について
引き続きまして、「学びの改革」について伺います。
「学びの改革」は基本構想案が一昨年10月に出され、この時点での基本構想は高校を都市部と中山間地に分け、再編基準も教育内容も区別されることや、再編基準は全校生数を基準に自動的に再編対象となること、さらには少人数学級の観点がない一方でグローバル人材、企業の人材育成や「信州学」などが強調されるものでした。これに対し行われた地域懇談会ではさまざまな疑問等が出され、結果的に昨年10月に予定していた実施方針案は今年3月へと変更され、「学びの改革」から「高校改革~夢に挑戦する学び」と名称変更され、中身も「高校再編基準」は議論済みとばかりにされ、ICTの導入や大学入試への対応を急激に加速する内容に大きく変貌したということは先の議会で指摘をさせていただきました。
この中で来年度予算案では、県立高校に探求学習のためのICT機器整備事業費の充実に1億4000万円余りの予算を計上しております。今年度は13校への電子黒板やタブレットなどの機材を導入しておりますが、今後全高等学校へと拡充されるという説明でありました。
県の財政がひっ迫している中にあっても、教育に予算をかけることは重要なことであると思います。しかし、これまで求めてきている、特別支援学校の過密化・老朽化の解消を求めても「いずれ子どもの数は減る」と言い、中信地区の再編も保護者や児童に無理を強いる形で進めています。さらに他の特別支援学校も児童生徒増と過密化・老朽化が深刻であること。また、教室へのクーラー設置やトイレの洋式化が全国平均以下という現状も何度も指摘をさせていただいてまいりました。しかし建て替えはファシリティマネジメント推進会議で今後検討していくということですが、いつまでこうした状況を放置したままにしていくのでしょうか。先行させるべきはこうしたことではないでしょうか。
今年度も同PTA連合会からも要望されているように、たとえば松本養護学校では再編後も大所帯で、今年度は会議室を2教室に改造し教室不足を凌ぎ、よって会議、懇談、相談の場所がなくなったことや、トイレのないプレハブ教室では歩行の不確かな子どもに大変な苦労をかけているなど待ったなしであります。特別支援学校の整備計画はどうお考えか、またICT環境の整備には今後どのくらいの財政支出を予定しているのか、教育長に合わせて伺います。
- 【教育長】
-
2点目の特別支援学校の整備計画についてでございます。特別支援学校につきましては、これまでも児童生徒の増加に伴う増改築や、経年劣化に伴う計画的な補修工事、耐震改修工事等を進めてきたところであります。しかしながら、建築年度が昭和40年代から60年代である学校も多く、学校の老朽化が進行していることから、今後県のファシリティマネジメント基本方針にのっとり、2020年度までに全ての特別支援学校の個別施設計画を策定していくということにしております。この計画を作成した中では、今後の児童生徒数の推移等を的確に把握するとともに、特別支援学校の中長期的なあり方も踏まえて具体的な整備内容について検討してまいりたいというふうに考えております。
ICT環境整備事業についてであります。この事業は普通教室には全て電子黒板を設置するとともに、探究学習を行うためのタブレット端末については、1校当たり42台を整備するというものであります。
来年度は25校に整備するために4億4000万円余の予算をお願いしているところでございます。高校の次期学習指導要領が2022年度から実施されることを見据えまして、2020年度までに全ての県立高校に整備すべく、今後必要となる所要額につきましては、さまざまな検討を加えた上で、財政当局と調整してまいりたいというふうに考えております。
6.農業について
- 【備前議員】
-
次に、農業について伺います。
全国一農家戸数が多い長野県では、中山間地域に多彩な農産物を育て、土壌保全、生物多様性の維持、地域経済の活性化と雇用の創出や、伝統的な農村風景・文化の伝承など多面的機能を発揮していることは明らかであります。しかし、政府は「戦後農政の総決算」として、農地法、農協法、そして先の議会でも取り上げました主要農産物種子法などを次々と改悪または廃止し、さらなる貿易自由化に対応するために農業規模拡大や企業の農業参入、輸出戦略の強化を推進しております。
県の農業政策も農地の集約化と輸出強化、IoTの導入等、やる気のある人は応援するが、一方で高齢化し、困難に直面している小規模・家族農業には冷たく、国の政策をそのまま無批判に推進しようとしておりませんか。県内で圧倒的な家族農業を担ってこられた農家への支援には程遠いものがあります。県下の農業者からは「あと10年後にはもうやる人が誰もいなくなっている」など、規模拡大と農地の集約化についていけない農家から深刻な声が出されております。
国連は昨年12月、第72回総会本会議で「家族農業の10年間」の議案を可決し、2019年から28年が「家族農業の10年間」になることを正式決定しました。これは世界各国・各地域で小規模・家族農業を関連政策の中心に位置付けようとする国際的流れが定着・拡大していることを示していると思われます。国連加盟国は小規模・家族農業を再評価し、政策的に支援することが求められます。そして日本政府も共同提案国になっております。しかし、急速な市場のグローバル化、農産物・食糧の国際価格の乱高下、気候変動や災害、企業や国家による大規模な土地収奪、そして多国籍企業による種子の囲い込みなどに直面し、小規模・家族農業は危機的状況に置かれております。
そこで農政部長に伺いますが、県は今後10年後の県農業をどう描いていこうとしているのでしょうか。今年度の県農業の概要でも、少なくなったとはいえ農家戸数は約10万5千戸で全国一です。基幹的農業従事者数に占める65歳以上の方は20年前に37.1%であったものが現在71.7%となり、販売農家1戸あたり経営耕地面積は全国平均の約半分の30位でありますから、狭い中山間地で高齢者が多彩な作物を懸命に作る長野県の農業の様子がはっきりと現れております。こうした長野県の基幹産業として小規模・家族農業を支援するために価格補償や所得保障制度を提案しますが、農政部長はどうお考えかお尋ねいたします。
- 【農政部長】
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お答えいたします。小規模の家族農業への支援についてですが、小規模な農家にあっても、農業生産活動を通じて、営農の継続による農地の管理や農村コミュニティー活動など地域の農業農村の維持に貢献していただいていると認識しておりまして、農業生産活動を維持していただけるよう、中山間地域直接支払事業や多面的機能支払事業等に加え、集落営農組織の設立や法人化等に対して支援を行っております。
また、多彩な農産物を少量でも流通することができ、所得確保に有効な農産物直売所、この施設整備等に対しても補助支援を行っております。この他、小規模の農家が共同で行う6次産業化への取り組みにつきましても、例えば中野市の永江地区で作られている信州の伝統野菜・ぼたん胡椒では、県の農業改良普及センターが組織化から栽培技術指導や商品化への助言など、生産から加工・販売までの一貫した支援に取り組んでおります。今後ともこれらソフトハード両面からの取り組みにより、小規模の農家の農業生産活動が維持できるよう支援してまいりたいと考えております。
農産物の価格補償等についてですが、園芸作物において、国の制度と、県独自の制度を組み合わせた野菜価格安定制度等により、小規模な農家も含め、制度加入者を対象に、市場価格の下落に対する価格差補填を実施しており、引き続き的確に運営をしてまいりたいというふうに考えております。なお、国が平成31年1月から新たに導入する収入保険制度においては、農業経営の規模の大小にかかわらず、青色申告を行っている農業者は加入できることとされております。以上でございます。
7.再生可能エネルギーの活用について
- 【備前議員】
-
次に、再生可能エネルギーの活用について伺います。
①太陽光発電について
太陽光発電について伺います。太陽光発電の施設設置をめぐってこれまで党県議団は県内各所で広大な森林を切り開いて行うメガソーラーや、あるいは住宅地の直上部の山腹を開発し設置されてしまった問題なども取り上げてきました。私たち県議団は原発に頼らない再生可能エネルギーへの転換を進める立場ではありますが、このような環境破壊や住環境への影響を及ぼす可能性のある太陽光発電施設の設置には、一定の規制が必要であることを求めてまいりました。
しかし県内ではまた新たな問題が発生しております。駒ヶ根市では閉鎖されたゴルフ場において2015年に太陽光発電計画が持ち上がりました。事業者の説明では約130ヘクタールのゴルフ場のうち40ヘクタールに10万枚ものパネルを敷き詰める計画です。ゴルフ場自体は当時の法律に則り造成されていることから、基本的には土地に手を加えないので排水される水の涵養力は変わらず、これまでどおりの防災能力は維持されるため、特別な排水対策は行わないというものであるそうです。
しかし、これまでは芝に覆われていたとはいえ、裸地化しますので、パネル上に降った雨水は低いほうへ水の道ができ、浸透しきれない水が増大することになると識者からは指摘もされております。ゴルフ場直下には土砂災害特別警戒区域や、地滑り危険箇所、さらには集落、公共施設、宅老所もあるといいます。こうした場合の県の環境アセスでは50ヘクタールを超えたものに対してアセスを必要とするとなっていると思いますが、この規制には当たらないものとなってしまいます。ところが雨水処理についてはパネル設置後の動態はゴルフ場とはかけ離れたものとなり、改めて防災調整池の設置その他の流出抑制措置を講ずるとした県の流域開発に伴う防災調整池等技術基準に準じた対応が必要になると、識者は指摘しております。
そこでこのようなアセス対象にはならないメガソーラー設置に対して、抜け道のない行政指導をどう行っていくのでしょうか。またこのような計画は県下各地で起きており、不動産会社のホームページでは、閉鎖された全国やあるいは県内のゴルフ場の太陽光発電への転化を促進しております。県の対処についてお尋ねをいたします。
また、今回環境部の予算案には建築物の屋根での太陽光発電や太陽熱利用の普及拡大として、ソーラーマッピング構築の予算を組んでいます。先般10キロワット以上の太陽光発電の電力買取価格がキロ当たり3円引き下げられることが報道されました。これまで私たちは長野県のポテンシャルを発揮するよう、太陽光発電が環境負荷を少なくし、導入量を増やせるよう、家屋の屋根への設置に助成する制度の創設をたびたび提案もしてまいりました。そこで今回のソーラーマッピングについて、今、太陽光発電の設置コストも安価になってきているという中で、この取り組みを通じて、地域の金融機関の応援も受けながら、地元の設置業者の仕事と雇用の拡大につながるよう認定制度等を組み込むなど、そういった仕組みができないかお尋ねします。またその際、太陽光パネルの各戸設置とともに、万一災害等で送電が断たれても、蓄電設備があれば最小限の電源供給ができる設備の導入支援なども災害の多い長野県に重要な施策だと思いますが、こうしたことも考えられないのか、環境部長に以上お伺いいたします。
- 【環境部長】
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再生可能エネルギーの活用について、順次お答えをさせていただきます。
まず、駒ヶ根市の旧ゴルフ場への太陽光発電設置に対する県の指導についてのお尋ねであります。本件は、昭和50年代前半に林地開発の許可を受けて開発をされた旧ゴルフ場のコースを利用して太陽光パネルを設置するものであり、今回、森林区域での新たな伐採は計画をされておらず、環境影響評価制度や林地開発許可手続の対象外となっております。
しかしながら、こうした太陽光発電への対応は地域の喫緊の課題ととらえておりまして、昨年11月各地域振興局を中心に、県市町村の関係部署が連携して対応する再生可能エネルギー地域連絡会議を立ち上げ、個別案件について該当する市町村と連携して対応することとしております。
本件につきましては、上伊那地域振興局と駒ヶ根市とが連携をして事業者との調整を進めており、雨水対策につきましても、地域の皆さんの不安などをお伝えしながら、必要な対応を事業者に促してまいりたいと思っております。
次に、ソーラーマッピングを活用した地域の経済・雇用が回る仕組みについてのお尋ねであります。
信州の屋根ソーラー普及事業は、単にソーラーマッピングを構築するだけではなく、それを活用して、関係する業界と連携をしながら、建築物の屋根での太陽光発電の普及策を展開しようとするものであります。自然エネルギーの導入拡大は、化石燃料を得るために使う資金の域外の流出を防ぐだけではなく、設備の導入にあたり、地域内の事業者や金融機関に関わっていただくことにより、資金が地域内を循環することになり、地域の経済活性化や雇用に結びつくことが可能となるものと考えております。
今後設置をするソーラーマッピングに関する協議会では、関係する業界から幅広い皆さまのご参画をいただくこととしておりまして、地域の活性化に資する太陽光発電の普及を図ってまいります。
次に、ソーラーパネルと蓄電設備の一体的な設置についてのお尋ねであります。太陽光発電の買取期間が終了する案件が多数発生をする、いわゆる2019年問題を見据え、国では来年度、蓄電設備を活用した自然エネルギーの自家消費を促す補助を開始することとしております。太陽光発電を安定的に継続していくためには、固定価格買取制度のみに頼るのではなく、蓄電池とセットでの導入を進めることが必要と考えております。蓄電池は設備費用がまだ高額であるという課題もありますので、こうした国庫補助制度を有効に活用するとともに、蓄電池としての機能も果たすことができる電気自動車とセットで導入することも検討してまいりたいと考えております。このため、今後設置する協議会において、蓄電池や電気自動車を含めた導入モデルを効果的に示していきたいと考えております。以上であります。
- 【備前議員】
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②地熱発電について
次に、地熱発電について伺います。
再生可能エネルギーの普及は待ったなしであります。昨年ドイツでのCOP23において、世界の再生可能エネルギーへのシフトは一段と加速し、イギリスや、フランスや、世界最大市場の中国も電気自動車の導入に国を挙げて取り組むことが明らかとなりました。化石燃料に頼らないエネルギーへの転換が電気自動車に変換していくという立場に具体的になっております。そしてインドや中国などの自動車メーカーも安価な電気自動車を開発し、日本メーカーも中国などで連携して電気自動車の開発を行うといいます。
しかし、肝心の日本は安倍政権が国内40カ所以上で石炭火力発電所の新規建築を促進し、石炭火力発電所を原子力とともに海外輸出して、国際的にひんしゅくを浴びております。環境技術は優れていても、日本政府の政策が再生可能エネルギーの普及に努力する国々からは周回遅れになりつつあり、国際的に相手にされなくなってきているとの報道もあります。
そこで私は先の議会で地熱発電について取り上げましたが、長野県の53~120℃の地熱賦存量が全国2位という、エネルギーの地産地消に貢献できる地熱エネルギーの活用を再度提案させていただきたいと思います。前議会で環境部長は、県内の資源量は多いことは認めつつ、調査や合意形成や許認可手続といった手順と時間が必要だと答弁されました。では、企業局が来年度、水素エネルギーの普及拡大に向けて予算を組み、水素ステーションや燃料電池車の整備とありますが、水素エネルギーは電気を使って作り出した水素を電気に再変換するという総合効率の低さなどの課題も聞くところであります。そこで県内に無尽蔵にある再生可能エネルギーである地熱発電について、バイナリー発電も含めて道を拓く考えはないか、公営企業管理者にお尋ねします。
- 【公営企業管理者】
-
お答え申し上げます。企業局による地熱発電の可能性についてご提言をいただきました。地熱発電つきましては、国のエネルギー基本計画において、水力発電と同様、重要なベースロード電源として位置付けられており、また、議員ご指摘のとおり、本県の地熱発電のポテンシャルは高いことから、将来を見据えたとき、企業局として取り組む方向性にはあるものと考えております。
一方、地熱発電の実施に当たっては、資源エネルギー庁が設置した地熱発電に関する研究会において、開発期間が通常10年以上と長く、この間の人件費や金利などが負担となること、また、調査開発段階で多数の掘削が必要であり多額の費用を要することなどの課題が報告されており、実際に我が国の地熱発電の設備容量は1996年以降ほぼ横ばいで推移している状況にあることからしても、企業局経営という観点からは、長期間に及ぶ投資計画を見定めることは難しいと考えております。
さらに県内の地熱発電が可能と考えられる地域大半が温泉地に近接しており、温泉への影響が強く懸念されますことから、調査段階から温泉事業者をはじめ、地域の皆さまのご理解が必要不可欠と考えております。
したがいまして、現時点ではまず各地域においてそれぞれの実情を踏まえ、地熱発電について研究していただくことが必要であり、企業局といたしましては、そうした取り組みに対し、発電に関する技術的支援を行うとともに、企業局として研究していくべき課題としてとらえ、引き続き国の動向や地熱発電に関する技術革新の動向を注視してまいりたいと考えております。以上でございます。
8.火山・活断層対策について
- 【備前議員】
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引き続きまして、火山・活断層対策について伺います。
①火山の総点検について
まず、火山の総点検について伺います。ちょうど1カ月前の1月23日、突如長野県に隣接する草津白根山の本白根山で噴火が起きました。犠牲になられた方、また負傷された皆さんにお見舞いを申し上げるとともに、こうしたことが繰り返されることのないよう、対策を行っていくことが必要であると思います。
日本では活火山が111あると言われ、このうち常時観測体制が取られているのはわずか50ということです。しかも2014年に噴火した御嶽山も常時観測対象火山ではありましたが、観測機器の故障など不備の問題がありました。今回の草津白根山の噴火も常時観測火山でしたが、噴火は観測していた場所から2キロも離れた場所から起き、火山噴火予知連絡会前会長の藤井敏嗣氏も「火山というものはそういうものだが、改めて予測するということの難しさを感じた」と述べております。
一方県内には活火山ではありますが、常時観測火山に指定されていない横岳があります。現在御嶽山は噴火警戒レベル1で「活火山であることに留意」となっていますが、横岳は噴火警戒レベル対象外でも「活火山であることに留意」とされております。同様に新潟県境に北信五岳の妙高山や、岐阜県側に昨年8月に小規模噴気が確認された焼岳とともに火山群を形成するアカンダナ山があります。噴火予測が困難と言われておりますが、万が一噴火となれば本県への影響が危惧されます。
今回の草津白根山や御嶽山の惨事を経験し、県境に多くの活火山に隣接している県として、このような火山の噴火にどう備えていくのかお尋ねいたします。また、こうした長野県に影響する火山の観測体制はどうなっているのでしょうか。現在気象庁の常時観測体制にない活火山も含めての総点検とともに、常時観測体制の構築を国に求めるべきではないでしょうか、お尋ねいたします。現在、噴火した御嶽山への対応を行うことは勿論でありますが、こうした噴火が予想される他の火山への対応も強化するとともに、国に対しても求めていただきたいと思いますが、危機管理部長にそれぞれお尋ねいたします。
- 【危機管理部長】
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火山活断層対策についてご質問いただきました。順次お答えを申し上げたいと思います。
最初に常時観測となっていない火山噴火への備えについてのご質問でございます。気象庁では、常時観測ではない活火山であっても、居住地域に影響が及ぶ噴火の発生が予想された場合などには、火山現象に関する情報を発表し、関係知事に通報することとなっております。また、噴石や火砕流の恐れが大きいときには特別警報発表し、該当市町村に緊急速報メールを配信することとしております。噴火警報などの情報が県に通報された場合には、関係市町村等に伝達をし、市町村においては防災行政無線などを活用し住民、登山者などに伝え、また必要に応じて避難勧告等の対応を行うこととなっております。
県といたしましては、気象庁が常時観測を行っていない火山においても、噴火する可能性を念頭に置いて、関係する市町村や関係機関と適切な対応ができるよう、連絡体制の整備等に努めてまいりたいと考えております。
次に、長野県に影響のある火山の観測体制に関するご質問でございます。長野県に影響がある火山のうち、浅間山など7火山につきましては、気象庁や大学、研究機関が地震計や傾斜計など観測機器を複数設置をいたしまして、気象庁が24時間常時観測を行っております。また、常時観測を行っていない横岳など3火山おきましても、気象庁では、火山の近隣に設置されている地震計などにより観測を行っておりまして、火山活動に繋がる動きがあったときには県関係市町村に情報が伝達されることとなっております。
草津白根山の噴火を踏まえ、気象庁では、火山噴火予知連絡会の火山活動評価検討会議において、常時観測火山を対象に、過去の噴火履歴の精査や観測体制のあり方を検討し、その結果を踏まえ、観測体制の見直しなどを進めていくこととしておりまして、その状況を見ながら、国への要望など必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
- 【備前議員】
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②活断層対策について
次に、活断層対策について伺います。
政府の地震調査研究推進本部は2月9日、長期評価による地震発生確率値の更新値を公表しました。主要活断層帯の長期評価では糸魚川―静岡構造線断層帯の中北部区間は、今後30年間に地震規模マグニチュード7.6程度の地震発生確率が13~30%と最も高いのですが、さらに海溝型の南海トラフ地震の発生確率がそれまでの70%が、70から80%に上方修正されました。一段と地震発生の可能性が高まっていると公表されています。
1月末に松本地域振興局では地震防災講演会が行われ、講師の信州大学の大塚勉教授は、活断層が動けばその直上部の構造物は必ず破壊が生じるため、活断層直上部における公共的な施設の建設を避けるべきであると解説されました。そして松本地方で高確率に活動が示唆されている糸魚川―静岡構造線の中北部区間の直上部に下水処理場が設置されており、もし地震が発生すれば下水処理は不能に陥ることを解説されました。また、松本市では電波塔も同様にあり、情報インフラに支障をきたすことも説明されました。これらからも、現在わかっている活断層の直上部の公共インフラについてのチェックと、県民への周知をすべきと思います。
2月7日未明に発生した台湾における地震でも活断層上のホテルなどの建築物の倒壊が著しいことが報道されております。このことからも本県での対応が一層求められていると考えます。地震発生による県民の安全と生活に甚大な影響を回避するこの施策をどうお考えかお尋ねいたします。
併せて、これまで私はこうした活断層による地震発生時における、特に断層直上部への公的施設の設置制限する条例をつくった徳島県の条例も紹介し、本県での条例制定も提案してきましたが、このような具体的な危険箇所の事例からも、活断層の多い長野県における防災対策上必要である措置だというふうに考えております。これらを合わせて危機管理部長にお尋ねをいたします。
- 【危機管理部長】
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次に、糸魚川-静岡構造線断層帯地震によるインフラへの影響についてのご質問でございます。第3次長野県地震被害想定におきましては、建物被害や人的被害に加えまして、県民生活に影響に及ぼすライフライン被害を調査し、下水道や携帯電話の機能が失われた場合に影響を受ける人口などを、過去の災害での復旧率などを基に算定をしております。県では被害想定もなどもホームページなどで広く公表しているところでございます。活断層による地震が発生した場合、その被害の範囲は震源の位置や深さ、エネルギーの大きさ、地質などによって危害が発生する場所が必ずしも地表面の活断層上とは限らず、広い範囲に及ぶことが考えられます。
また日本全国では約2000の活断層が存在すると言われておりまして、さらには、断層のずれが地表には表れない伏在断層があり、その位置が特定できないことから、インフラ施設の全ての危険リスクを個別に調査することが困難な状況と考えております。
また、条例制定をしております徳島県におきましては、主要活断層が中央構造線断層帯のみでありまして、多くの活断層を有する本県とは状況が違うものと認識をしております。いずれにしましても、県内の地域であっても地震発生のリスクがある前提の下で、建物の耐震化を推進するとともに、県政出前講座などさまざまな機会を通じて、県民の皆さまへの防災対策の普及・啓発について、努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
9.林業行政について
- 【備前議員】
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次に、林業行政について伺います。
①信州F・パワープロジェクトについて
まず、信州F・パワープロジェクトについてお尋ねします。
私たち日本共産党県議団は、再生可能エネルギーの利活用は重点施策として推進する立場です。しかし、信州F・パワープロジェクトは年間20万5,000㎥もの材木を恒常的に供給させ、端材と間伐材等の未利用材を燃やし、製材用原木10万㎥の8割近くも燃料に回してしまいます。党県議団は住宅一軒分を賄えるような製材体制を構築すべきと提案もしましたが、現状は床材のみで、その販路もままならないことは明らかとなっております。
また木質バイオマス発電はいまだ着工もされておりませんが、本来は発生熱を利用して熱電併給することで高い熱効率が得られるのに、本事業では熱供給は早々に断念しました。さらには自然エネルギー財団や農林中金総合研究所などの識者からも、燃料となる木質資源が供給不足するとのことを先の議会で質問しましたけれども、林務部長は「森林資源は2億㎥に迫り、成長量は200万㎥と着実に充実している。平成28年度は49万8000㎥で過去5年で1.4倍化し、素材生産量の伸びも期待できる」と答弁しました。
しかし、素材生産量49万8000㎥という数字は全県の総量なので、これが全てF・パワーに来るわけではないと思います。恒常的に半径50キロからの材の供給がどのくらい可能で、しかも搬出の路網整備や林業従事者など人的な体制はどのようになっているのかお尋ねします。併せて、実際にこの規模で製材と木質バイオマス発電とで採算がとれ成功しているところがあるのでしょうか。改めて適正規模で分散化させるべきだと思いますけれども、林務部長に伺います。
- 【林務部長】
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信州F・パワープロジェクトについて、2点ご質問をいただきました。
初めに、半径50キロからの材の供給可能量についてでございます。信州F・パワープロジェクトの拠点である塩尻市から50キロ圏内で、2015年に生産された素材は年間約28万5000㎥でございます。今後はバイオマス発電が始まることで、パルプ等と比較し価格が有利な受け皿ができるため、今まで未利用となっていた低質財の生産が増加すること、また、成熟した森林が増え、主伐が始まることから、2020年には18万㎥増加し、約46万5000㎥の素材が生産されると見込んでおります。また、これらの素材を安定的に供給するためには、生産基盤を強化する必要があることから、林業事業体等が行う林内路網の整備や高性能林業機械の導入を引き続き支援してまいります。
林業就労者につきましては、全体数は近年減少傾向を示しておりますが、一方で、伐採・搬出を行う素材生産作業の従事者は増加傾向にございますので、引き続き長野県林業労働財団と連携し、安全で効率的な作業技術の習得への支援などによりまして、素材生産を担う現場技能者の確保育成に取り組んでまいります。
次に製材と木質バイオマス発電とが一体で成功している事例等についてのお尋ねでございます。まず、製材と木質バイオマス発電を連携または一体的に経営している事例につきましては、ヨーロッパでは既に各地で取り組まれており、我が国でも、宮崎県や岡山県で事業化され、地域材の大きな受け皿となっています。このうち、宮崎県日向市の事例では、集成材製品の製造と木質バイオマス発電を一体で行っており、発電施設の規模は1万8000キロワットで、年間19万3000トンの木材を消費しています。今後発電施設を増設し、さらに規模を約2倍にする意向とも聞いております。
信州F・パワープロジェクトの事業規模につきましては、昨年9月あるいは11月定例会の一般質問でお答えいたしましたとおり、事業者におきまして、本県の豊かな森林資源を多段階に利活用し、森林所有者や林業木材産業への利益還元をしていくことを基本に、地域の森林資源の状態、加工施設の配置状況等の特性を踏まえて決定されたもので、それぞれ適正な規模であると考えております。
- 【備前議員】
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②大北森林組合問題
次に、大北森林組合の問題について伺います。
この問題における県の責任は司法も認めているように、県側からの現地機関への予算消化のプレッシャーがあったことは明らかとなっております。現地機関では本庁からの予算の消化を年度末ぎりぎりに出され、そして闇繰り越し等を行うことで、「凌いできた」ということであろうかと思います。ここには森林づくりアクションプランにおける目標設定を行うという歴代知事の林業行政における、前提としての目標設定が適切であったのか、あるいは過大な目標設定に対しての予算や職員配置等の配慮がされてこなかった、ここにも原因があったのではないかと思いますが、これについての林務部長の見解を伺います。
これは長野地裁の裁判記録を見ても、県主導の予算の消化のために現地職員がどんなに苦しんだのか語られております。それなのに知事は現場職員に責任転嫁をしておりますが、そもそもこのようなことが起きたのは前県政時代。そして森林づくりアクションプランで林業へのテコ入れが始まったのは、その前の県政での”長野県ふるさと森林づくり条例”に基づく、当時の森林づくり指針から始まった問題だから自分には関係ないとでもいうように見えます。
この19日に出された監査委員の職員賠償責任等に関する報告では「県が掲げた森林の間伐目標を達成するため、独自の方針により組織的に取り組んだものの、この目標が実情を踏まえたものとはいえなかった面もあり」と言っていることからも、こうした計画を創案し、そして執行してきたのが歴代の県知事や林務部の県幹部職員であります。この業務上の命令に従って業務をこなしてきたのが現場の職員です。そうした中で起きたこの多額な補助金の不正問題。責任の所在は当然その上司、そして県組織の最高責任者の知事ではありませんか。
12月15日には県革新懇会員や県民有志ら314人が阿部知事や歴代の知事、県幹部に対し、住民訴訟を長野地裁に起こされました。そしてこうした最中に、2014年の事件発覚直後、他の事業者にも不正がなかったかを県自らが緊急点検として翌年の2015年に行っているのにも関わらず、東御市、青木村、木曽町などで次々と無許可の作業道がつくられていることが明るみになりました。県の森林整備事業はどこまでずさんなのかと厳しい指摘もあるのではないでしょうか。身内が行った点検調査にこうした問題が出ていることに甘さが出ているといわざるを得ません。全てを第三者機関に依拠して再検査するべきであると思いますが、知事の見解を伺います。
- 【林務部長】
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森林づくりアクションプランにおける目標設定及びそれに対する予算や、職員の配置等についてのお尋ねでございます。
平成16年度に策定いたしました第1期森林づくりアクションプランでは、当時喫緊の課題となっていた間伐を集中的に進めていくため、間伐面積の目標値等を定めましたが、地域の状況等を十分に考慮せず設定したことから、大北地域では過重となっていたと認識しております。
他方で、平成23年度に策定いたしました第2期森林づくりアクションプランについては、保育間伐の中心の取り組みから搬出間伐など森林資源の利活用に力点を置いた内容とする中で、本庁と現地機関とが情報共有し、地域の実情を考慮し、一部下方修正するなど改善を図ってきております。
本庁では、北安曇地方事務所林務課の業務量が増大していたことは把握しており、事務に精通した職員の配置などが行われたものの増員までには至らず、また本庁の職員が予算執行を求めたことが、現地機関の職員にはプレッシャーとも受け取られておりました。こうした状況は、不適正受給事案の遠因の1つであったと考えており、現在は現場の実態等を踏まえた予算配分と適切な予算執行のための体制づくり、業務量の急増に対する柔軟な業務分担の変更や、応援体制の構築等に取り組んでいるところでございます。
- 【阿部知事】
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林務行政の中で大北森林組合の補助金不適正受給事案について2点ご質問いただきました。まず知事の責任というご質問でございます。私は県政の責任者として、この問題が発覚以降正面から向き合って、さまざまな課題について厳正な対応を心掛けてきたわけであります。責任を転嫁するなどという発想は毛頭ありません。知事としてやるべきことをしっかりやってきているというふうに考えています。
今回の事件、いろんな側面があるわけでありますけれども、平成27年12月に、これ林務部の幹部職員も含めて、今回の事案にかかわった職員に対する懲戒処分等を行ったわけであります。これはもう議会の皆さんも重々ご承知だと思いますけれども、併せまして、県政の責任者である知事としての責任を明らかにするため、私自らの給料減額条例を提案させていただき、これはお認めいただいたわけであります。また昨年の9月には、県職員が県に損害を与えていたと、損害賠償責任を県として検討せざるを得ないという状況を重く受けとめさせていただき、県組織全体を統括する立場としての責任に鑑みて、私自身の給料、そして副知事2人の給料を減額する条例案、これも県議会に提出してお認めをいただいたわけであります。
こうした形で、責任ある対応をしてきているわけでありますが、どうも責任というものが混乱しているというか、刑事上の責任であったり、損害賠償責任であったりさまざまある中で、ぜひ整理をして使っていただく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
法的課題検討委員会におきまして、例えば損害賠償責任についての検討をいたしました。これについては、第三者、第三者というご指摘いただいておりますけれども、まさに法律の専門家の第三者によって損害賠償責任の問うことができる対象範囲については、第三者の目線で議論して決めていただいているわけでありますので、ぜひこうしたこれまでの取り組みについては、しっかりと振り返っていただいた上でご指摘いただければありがたいというふうに思っております。
また、第三者機関による再調査というご質問であります。ご指摘いただいた問題につきましては、信州上小森林組合等が保安林内での作業道の開設に際し、森林法の許可手続を失念したまま開設を行っていたというものであります。これにつきましては、現在地域振興局による指導を徹底しているところでございます。
他方で、今回の大北森林組合の問題に対応するための緊急点検、補助金の適正な執行の観点から、書類調査あるいは現地の実態、こうしたことについて調査をしたところであります。森林法の許可手続について調査を行ったものではないわけであります。大北森林組合に係る調査については、約2万2,000余件の案件につきまして約10カ月間かけて、その手法、結果につきましては、第三者機関であります検証委員会にもご指導いただき、報告をさせていただいているわけであります。極めて詳細かつ丁寧な調査を行ってきているというふうに考えおりまして、再調査の必要がないものというふうに考えております。以上です。
- 【備前議員】
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今回日本共産党は、富裕層や大企業ではなく、99%の国民のための政治を目指し、消費税10%増税を中止し、社会保障、教育、そして子育て予算を増やす、また、8時間働けば普通に暮らせる社会に、さらには農産物の価格補償、所得補償で安心して続けられるこうした農業などへの政策の転換を掲げ、今回の代表質問をさせていただきました。
こうした中、ただいまの県政に引き起こされている多額の大北森林組合の不適正な補助金問題は、真相解明が行われてこそ、県民の県政への信頼回復につなげることができるわけであると思っております。
そのためにもしっかりと頑張る決意を表明をし、代表質問で十分な答弁をいただけなかったその面については、引き続き一般質問及び委員会において同僚議員が取り上げさせていただきますことを申し上げ、一切の質問を終わりたいと思います。