2018年2月定例会 高村京子議員一般質問
1.介護保険制度の現状と課題について
- 【高村議員】
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まず、介護保険制度の現状と課題について伺います。
2000年の介護保険制度発足から18年になります。度重なる国の制度改定によって、保険料・利用料の負担は大きく増えました。介護保険料は制度創設当時、長野県平均は月2326円でしたが、今年度は5399円と2.3倍にもなり、さらに来年度改定で値上げする自治体もあります。また利用料は、10年前に食費・居住費を保険外として全額自己負担に、3年前からは、要支援1、2の人の訪問介護や通所介護を市町村事業に移行し、一定所得がある人は2割負担に引き上げられました。
一方、介護サービスは充実どころか逆に縮小されています。特養の入居は介護度3以上が基本となり、施設入所は一層狭められました。3年前の介護報酬介護2.27%の削減によりまして、介護事業者の経営難は一層深刻化しています。
長野県民主医療機関連合会が昨年900事業所を対象に行った介護実態調査、1月に発表されました。職員の平均賃金は一般労働者の平均額よりも約9万円も低く、介護職員の離職・不足状態へと悪循環になっている実態が出ています。辞めたいと思う理由のトップが賃金が安い、次に仕事が忙しすぎる、3つ目が体力が続かないなど、厳しい介護の実態があります。
団塊の世代が75歳以上となる2025年から2030年ごろを視野に、介護職員の確保と事業所経営の安定が向けた対策が強く求められています。
まず、介護事業所における現在の介護職員の充足状況をどう認識されておられるか。山本健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
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介護職員の充足状況についてのお尋ねであります。
現行の第6期高齢者プランにおける介護職員の需給推計と、厚生労働省が毎年実施する介護サービス施設事業所調査を基に、県内介護職員の充足状況を推計すると、平成27年度末の充足率は約95%となっております。
一方で、平成28年10月の県の調査では、県内事業所の約58%が介護職員の不足感を感じており、現場の人手不足感が続いている状況と認識しております。以上でございます。
- 【高村議員】
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現在、介護職員の不足状況が58%の事業で不足していると、こういう状況であります。 こんな中で受け入れベッドの縮小をせざるを得ない事業所も出ています。2点伺います。介護職員の養成、確保、離職防止の必要性について、どのような対策を取られるのか。県が行っている介護福祉士養成校への修学資金貸付制度等の運用状況と今後の方向はどうか、健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
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介護職員の養成、確保、離職防止の必要性については、充実した介護サービスの提供体制の構築には、介護従事者の確保、離職防止は重要な課題であると考えております。
県では、質の高い介護従事者の従事者の確保、定着のため、入職促進、資質向上、定着支援、離職防止に取り組んでいるところであります。具体的には、求人求職のマッチングと介護の資格取得費用の助成を組み合わせた介護人材誘致定着事業の実施や、介護事業所の施設内保育所への運営費助成、経営専門家の派遣等を通して、労働環境や処遇の改善を図る取り組みを支援しております。また、自然豊かな長野県ならではの働き方や暮らし方ができるよう、移住と組み合わせて介護人材の誘致を進めております。
新たにキャンパスキャリアパス構築や人材育成、職場環境の改善等が一定以上の水準にある福祉事業所を認証評価し、求職者へ情報を発信する信州福祉事業所認証評価制度もスタートいたしました。さまざまな取り組みにより、県内介護職員数は平成25年から27年の2年間で約2200人増加しているところであり、今後ともこうした取り組みを総合的に推進し、介護従事者の確保を進めてまいります。
介護福祉士修学資金制度の運用及び今後の方向性については、介護福祉士等目指す学生に対して、5年間、県内の福祉職場で就労することを条件に、その返還を免除する修学資金の貸与事業につきまして、平成28年度は約80名、本年度は約130名と、いずれも希望者のほぼ全員に貸与を行っています。これまでの貸与者の9割近くの方が県内介護事業所に就職しており、介護現場の中核を担う介護福祉士の養成に大きな役割を果たしているものと考えております。今後も奨学金制度により、福祉職場への就職を希望する多くの学生が介護福祉士養成学校進学しやすい環境づくりに努めてまいります。
- 【高村議員】
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さらに来年度の介護報酬改定は0.54%と低く、通所介護ではさらに減収となる可能性があります。県内自治体ではこのような小規模事業所への運営補助を実施しているところもあり、事業所指定をする県において事業所運営経費への補助をして介護事業の存続を支援していただきたいがどうでしょうか。
- 【健康福祉部長】
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介護事業者の運営経費への支援についてのお尋ねがありました。介護保険事業を営む中小企業者への金融的な面からの支援については、県の中小企業融資制度において、運転及び設備資金の融資を実施しております。また、中山間地域の訪問系の介護サービス事業所は、利用者が少なく点在しており、サービス提供が非効率であることから、平成29年度から、県独自の支援策として、移動費用や職員の処遇改善に対する助成を行っており、来年度も引き事業を実施してまいります。
- 【高村議員】
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さらに県の第7期高齢者プラン案についてです。
現状の介護環境の実態とかけ離れていると思います。「地域包括ケア」体制の構築と言われるが、自主的・自立的に暮らせるよう介護度の重症化予防の重点と、事業者が利用者の介護度を改善することを評価するインセンティブ制度の導入や、訪問介護の制限が行われようとしています。
低年金や高齢者のみの世帯が増え、家族介護の限界など、高齢者の置かれている現状や介護職員の疲弊、事業所運営の困難などの実態を見ていない方向違いの改革ではないでしょうか。誰もが老いてゆくのです。身体機能が落ちても最後までその人らしく生きてゆけるように、温かい介護の手を差し伸べ、安心して老いてゆける介護環境の構築に真剣に取り組んでいただきたいですが、県の見解を伺います。
- 【健康福祉部長】
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次に、県民が安心できる介護環境の構築についてのお尋ねがありました。
県民一人一人が健康で生きがいを持って暮らすことができるよう、要介護状態になることをできる限り防止するとともに、介護が必要となった場合には、必要なサービスを安心して受けることができる体制を整備することが重要と認識しております。
県としては、高齢者プランに基づき、フレイル対策などの予防事業の推進、生活支援サービスの充実、在宅医療介護施設の整備等包括的な取り組みを推進してまいります。以上であります。
- 【高村議員】
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市町村に移行されました予防事業につきましては、経営が困難だという市町村も出ております。来年たったの0.54%プラス改定では、介護環境の改善にはなりません。全額国庫負担での処遇改善と、抜本的な制度改正を長野県から国に強く要請していただきたいと思います。改めて健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
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まず初めに、介護報酬増額に係る国への要望については、県ではこれまでも国に対して、介護職員処遇改善加算制度の充実を求めているところであります。
また、平成30年度の介護報酬は、全体として0. 54%のプラス改定となりましたが、今後事業者の経営実態や職員確保状況等について調査を実施し、その影響にについて分析をした上で、必要に応じ、制度改正等を国に要望してまいります。
2.看護師確保の現状について
- 【高村議員】
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次に、看護師確保の現状について伺います。
地域医療を24時間365日、人々の健康と命を守るために奮闘する看護師が自らの心身の健康や家族との時間を犠牲にして、日々過酷な勤務にぎりぎりまで頑張っている姿が、長野県医療労働組合が行った看護師アンケートで浮き彫りになっています。そこで、第7次看護職員需給計画に対して現在の到達はどうか。また現状をどのように評価されておられるでしょうか。
- 【健康福祉部長】
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第7次看護職員需給計画の到達状況及び評価についてのお尋ねがありました。
第7次計画は平成23年から27年の需給を推計したものであり、平成27年12月の実人員では、需給の見通しを2万8,381人、供給見込みを2万8135人と想定しておりました。これに対し、平成26年の調査では2万8041人、平成28年の調査では2万9018人が実際に就業しており、需給推計をおおむね達成する状況となっています。
しかしながら、依然夜勤や産休代替、中小医療機関などで看護職員が不足しているという声もお聞きしておりますので、引き続き新規養成、離職防止、再就業の支援などに取り組んでまいります。
- 【高村議員】
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2点目、長野市内の2つの看護大学建設への補助金が来年度の予算に盛り込まれました。養成の目標が養護教諭や保健師に重点が置かれていますが、医療部門への就職が増えるのか心配です。現在の看護師専門学校など合わせて、卒業者の数や就職動向について健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
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県内の看護師等養成所の卒業生の人数や就業の動向については、県内の看護大学、短期大学、看護専門学校を平成29年3月に卒業したのは991人となっており、就業状況を見ますと、看護職員として就業した866人のうち、病院や診療所への就業者が820人、94.9%、県及び市町村保健師への就業者が32人、3.7%、介護老人保健施設の就業者が4人、0.5%となっており、多くが医療機関へ就業しております。以上であります。
- 【高村議員】
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第7次の看護師、職員等の確保の需給計画は到達しているということですけれども、厳しい現状がございます。次期の介護職員需給計画について、国は地域医療計画との整合性を求めてくると思われます。現状でも、過疎地域や在宅医療環境が不足している地域があり、長野県は地域医療の充実が切望されております。現在でも過酷な勤務実態にある中で、国は最高の看護体制、患者7対人に対し看護師1名の評価のラインを、入院日数の削減や重症者30%以上へと引き上げ、救急病棟でも発生している高齢者認知症患者などへの対応、一層過酷な看護環境へと進むことにならないか大きな不安があります。
県立病院機構の須坂病院(現信州医療センター)では、この4月から7対1看護を外し10対1看護へと水準を下げると聞いています。看護労働が一層厳しくなる、このようなことが他の病院に広がれば、多くの急性期病棟が崩壊するのではないかとも危惧されています。
次期の看護職員需給計画策定の準備はどのようになっていますか。また、在宅での医療対応が必要な小児、難病患者、高齢者が増えています。訪問看護体制の強化など、訪問看護師の増員も含めた対策が求められています。次期看護職員需給計画が国から示される時期になっておりますが、全国一の長寿県長野から、看護職員の抜本的な増員確保ができるように、長野県も対策を取るとともに、国に対して強く要望していただきたいと思います。山本健康福祉部長にお願いいたします。
- 【健康福祉部長】
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次期看護師需給計画策定に向けた準備と計画の方向性についてのご質問であります。
看護職員の需給計画については、国が示す全国の需給推計や策定基準を踏まえ策定しているところであります。現在、国の医療従事者の需給に関する検討会において、これらの検討が進められており、昨年6月の国の通知では、本年夏ごろから都道府県において推計を実施できるようとりまとめを行う予定とされております。
国の検討会では、地域医療構想との整合性を確保すること、医師や看護師等、医療従事者の働き方改革の影響を踏まえた需給推計を行うこととの考え方が提示され、議論が行われているところであり、引き続き国の検討会の状況等を注視してまいります。国への看護師需給計画の要望については、国の医療従事者の需給に関する検討会、看護職員需給分科会に自治体や看護師の代表者も構成メンバーとして入っておりますので、実態を十分に踏まえた議論がなされていくと考えております。今後の検討状況を注視する中で、必要により、県としても要望を行うことも検討してまいります。
また、県においては、しあわせ信州創造プラン2.0の総合的に展開する重点施策に「命を守り育む県づくり」を掲げ、医療人材の確保や地域包括ケア体制の確立に取り組むこととしているところです。
これまでの取り組みに加え、新たに25歳以上の看護経験を持つプラチナナースへの再就業への支援、訪問看護に必要な特定行為が可能な看護師の養成などに取り組むこととしており、引き続き、身近な地域で必要な医療を受けられるよう、看護職員の養成、定着に取り組んでまいります。以上であります。
3.住宅確保要配慮者に対する対策について
- 【高村議員】
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次に、住宅確保要配慮者に対する対策について伺います。
先月末、札幌市にある生活困窮者支援を目的にした民間団体運営の共同住宅が全焼し、入居者11人が犠牲になりました。身寄りのない低所得高齢者らが住む施設として犠牲になる火災は毎年のように発生しており、このような日本の住まいの貧困の実態は深刻です。県としてこのような劣悪な住環境に置かれているアパート等について、防火上の指導はどのようになっていますか。危機管理部長に伺います。
- 【危機管理部長】
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アパートの防火上の指導についてのご質問をいただきました。
消防におきまして、防火上の指導といたしましては、通常消防本部が立ち入り検査を実施いたしまして、消防用設備の維持管理状況や、避難経路などの防火管理体制について確認を行いまして、違反事項がある場合には、消防法に基づき是正指導を行っているところでございます。
札幌市の火災を受けましての対応といたしましては、国の通知を受けて、現在消防本部におきまして、建築関係部局と連携をいたしまして、木造の寄宿舎など類似施設への立ち入り指導を行っている状況でございます。
- 【高村議員】
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国は昨年度、住宅確保要配慮者に対し、特に低所得独居高齢者向けに民間賃貸住宅の空き室を利用した住宅の供給を促進する方向を示しています。低所得者・高齢者・ひとり親家庭・障がい者等を入居対象に、空き室のリフォームや入居費の補助などの支援策も盛り込まれています。県が事業者からの登録を受け、継続して指導監督することになります。
建設住宅課は来年度アンケートを取る予算を盛り込んでいます。新たなセーフティネット政策に対する県の受け止めと取り組みについて、また市町村と連携して制度の広報や周知をしていただきたいと考えますが、油井建設部長に伺います。
- 【建設部長】
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新たな住宅セーフティネット制度についてのお尋ねでございます。
この新たな制度を推進するためには、住宅確保要配慮者の入居ニーズや、賃貸住宅を提供する事業者の意向について実態把握を行うとともに、既存の住宅セーフティネットである公営住宅の供給計画との整合性を図る必要があると考えております。
このため、平成30年度当初予算案において、新たな住宅セーフティネットを構築するため、高齢者を含めた住宅確保要配慮者の入居の実態調査に要する経費をお願いしており、さらに詳しい状況を把握してまいりたいと考えております。これら実態調査の結果を踏まえ、市町村や関係団体等の御意見をお聞きしながら、この制度の導入に当たっての基本となる住宅確保要配慮者の賃貸住宅の供給促進計画の策定に取り組んでまいります。
また県では、昨年10月に住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の改正法が施行されてから、県内4カ所において、市町村に対して説明会を実施し、賃貸事業者向けには、国や不動産関係団体が、県内3カ所において説明会を実施しております。今後市町村や関係団体のご意見をお聞きしながら、制度の具体的な検討を進めるとともに、広報や周知を進めてまいります。
- 【高村議員】
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住居の安定を目指す住宅セーフティネットの予算はまだ少なく、制度の充実はこれからでもあります。住宅に窮する低所得者に対して、低廉な家賃で提供する公営住宅の増設・リフオーム等の促進、家賃補助制度の創設など、充実に向けて公的な財政支援も求められています。建築住宅課は、「5R」プロジェクト推進事業を掲げていますが、一層のご努力をお願いしておきます。
4.森林行政における大北森林組合等への補助金不正問題について
- 【高村議員】
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次に森林行政における大北森林組合等への補助金不正問題について伺います。
補助金不正は平成19年から平成25年の7年間にも及び、729件の不正件数、総額15憶9300万円余の未返還の賠償請求額、返還金が7億8300万円、さらに国への加算金3億5300万円にも上る追徴金が課せられ、その総額は約27億円にもなり、県民に多大な損害を与える県政史上かつてない不祥事となっています。
アクションプランと森林税を活用するようになって、急激に北安曇地方事務所林務課の森林整備事業が増えています。間伐面積は平成21年度に2300ヘクタールを超え、なんと平成16年度の16倍にもなっています。担当職員の一人あたりの事業費は、ピーク時の平成21年には1億6000万円にもなり、森林税導入前の14倍にも膨れています。他の地方事務所林務課の一人あたりの事業費平均は3000万から4000万円規模です。異常に多額の事業が北安曇地方事務所に課せられ、担当する職員は4人のままに置かれています。
本庁は毎年度の1月から3月に予算消化を強く迫っていた事実があります。山は雪をかぶり、年度末のまとめにかかる時期にです。当時の北安曇地方事務所への予算消化について、実態把握や評価はされていたのか、指導監督はどのようになされていたのか、山崎林務部長に伺います。
- 【林務部長】
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大北森林組合の補助金不適正事案につきまして、当時の北安曇地方事務所への予算執行指導等についてのお尋ねをいただきました。
当時本庁林務部における造林補助事業の執行については、前年度に各現地機関を通じ、各森林組合等の事業体から要望を聴取し、予算編成を経て、年度当初に各地域の事業量の調整を行っておりました。現地機関においては、年6回行う補助金交付の進捗状況を把握しつつ、必要に応じて事務所間の予算調整や減額補正、繰越等の措置を行っておりました。
こうした中で、当時の林務部では造林補助事業について、可能な限り年度内に執行する方針を取っており、北安曇地方事務所では、これが予算消化のプレッシャーとして受け止められていたものと認識しております。
- 【高村議員】
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林務部長。他の地方事務所よりも数倍にもなるような予算の事業、こういうことに対しての指導監督はどのようになされていたのかと、このことを伺っておりますのでもう一度ご答弁願います。
- 【林務部長】
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大北森林組合の補助金不適正事案につきましての当時の評価等についてのお尋ねでございます。
当時本庁では、北安曇地方事務所の業務量が増大していたことは把握しておりました。そのため事務に精通した職員の配置などが行われたものの増員までには至らず、本庁の職員が予算執行を求めたことが、現地機関の職員にはプレッシャーとも受け止められておりました。こうした状況は、不適正受給事案の原因の1つであったと考えておりますが、現在は現場の対応実態を踏まえた予算配分と、適切な予算執行のための体制づくり、業務量の急増に対する柔軟な業務分担の変更や応援体制の構築等に取り組んでいるところでございます。
- 【高村議員】
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内部での発覚は平成26年度の4月。それから6月のSP巡回で平成24年度と25年度の不正が明らかにされました。本庁林務部の課長補佐が早期事業の実施を指導するなど、不正をさらに上塗りする対応がされていました。それから半年後の12月に初めて本庁が認識したとしていますが、私どもの調査では、その前の11月7日に、北安曇地方事務所から本庁に対し、早期全容解明への何らかの働きかけがあったのではないかと認識していますが、その事実を認めますか。
- 【林務部長】
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大北森林組合の補助金不適正受給事案発覚時の経過についてのお尋ねでございます。
平成26年4月から12月までの間の経過につきましては、これまでもご答弁申し上げてきたとおりでございまして、12月までは北安曇地方事務所林務課と本庁担当課の間で情報がとどまっており、ご指摘のような事実に基づき、事案を部として組織的に把握していたとは認識しておりません。
- 【高村議員】
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本来ならば問題が発覚した平成26年4月の時点で、本庁林務部は県民とともに議会にも報告し、事実関係の調査を開始すべきではなかったでしょうか。山崎林務部長に伺います。
- 【林務部長】
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不適正受給問題の初期における対応に関するお尋ねでございます。
大北森林組合の補助金不適正受給に関する初期の経過につきましては、これまでの議会の一般質問等でご説明させていただいたとおり、本庁林務部の職員が大北森林組合が実施した補助事業実施箇所の中に未完了箇所が存在するという内容の報告を受けながら、未完了箇所の完成を優先するような北安曇地方事務所を指導したことは誤った対応であり、こうした対応が調査の開始や議会報告の遅れにも繋がった一因と考えております。
なお、こうした対応を行った本庁林務部職員に対しては厳正な懲戒処分が行われております。以上でございます。
アンケートにつきましては、素材生産事業量を把握するという趣旨でアンケート調査を行っておりまして、それに対しまして、北安曇地域では林業従事者の人数が少ないため、年度当初の計画量では実施できない旨の報告をいただいていることは承知しております。以上でございます。
- 【高村議員】
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平成26年11月5日に出された、林務部長名のアンケートです。その結果を林務部長はご覧になっているでしょうか。6月SP巡回での報告済みのことを、北安曇地方事務所として改めて業務報告されていると思います。本庁のリアクションがないからです。この点についてもう一度ご答弁願いたいと思います。
- 【林務部長】
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初めに11月の調査についての認識でございます。当時この調査につきましては、素材生産の年間事業量の実態を把握するというのが趣旨でございます。また、それに対しても北安曇地方事務所の回答も、林業従事者の人数が少なく、なかなか当初どおりの計画ができないという趣旨であったというふうに確認しているところです。そうしたことから、今回の事案に及ぶとまでは当時は意識していなかったということでございます。
- 【高村議員】
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北安曇地方事務所からの不正事案の報告を受けた4月、さらに6月の闇繰越の事案に対し、早期事業実施の誤った指導を本庁はしています。またこの点で関係する書類など、特に県職員が出張や会議に出た場合の報告の義務がある復命書などは、必要な書類として保存すべきではありませんか。特に6月18日のSP巡回の時、北安曇地方事務所と本庁職員が参加したこの復命書で明らかになったはずです。関係書類を「ない」とか「破棄した」とか答弁されていますが、その目的はなぜかと疑ってしまいます。確認できないとはどういうことでしょうか、山崎林務部長に伺います。
- 【林務部長】
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また、次に復命書についてのお尋ねでございます。復命書につきましては、口頭で行われている場合もございますが、長野県文書規程の保存期間基準では、会議等に関する文書は1年とされており、保存期限が切れているものにつきましては、当時どのような復命書が作成されたか、または作成されなかったかも含めて、確認できないというものでございます。
- 【高村議員】
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平成26年の4月、6月、さらに11月の北安曇地方事務所からの切実で深刻な報告を本庁組織ぐるみで隠蔽したと私は受け取ります。その2カ月後に知事選挙があり、阿部知事は翌年平成27年1月になって初めて公表しました。
- 【高村議員】
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監査について伺います。
今回の監査結果は、当時安曇地方事務所でこの不正に関わった11名の職員に、総額450万円余の賠償を求めることができるとした結果を出されました。この中で、北安曇地方事務所林務課職員のみに賠償責任を負わせることは均衡を失するとし、本庁林務部の責任を重く見ておられます。どこの部署の誰と均衡を失するというのでしょうか。
1点目。監査に際しては、本庁林務部職員幹部への聞き取りはされたのか。聞き取りをされなかったとしたら、今回の監査結果を出した理由は何でしょうか。
2点目。昨年3月の長野地方裁判所の判決でも、また9月の法的課題検討委員会報告でも、県庁林務部が北安曇林務課職員に予算消化を強く迫っていたとの指摘があり、現地職員からは予算消化を強く迫られていたとの生々しい証言があります。そのことはどう受け止めますでしょうか。
3点目。昨年11月には、県民600人以上が、県本庁林務部幹部や知事・副知事の責任を求める住民監査請求については棄却されました。それと今回の監査結果は整合性がないように受け止めますが、田口代表監査委員に見解を伺います。
- 【代表監査委員】
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順次お答えさせていただきます。3点いただきました。
今回の監査、地方自治法第243条の2第3項、そして199条第6項、この規定によって阿部知事から監査請求があったものであります。その内容は、北安曇地方事務所林務課に在籍した11名の職員が関わった補助金の交付手続によって、県に生じた加算金の相当額の損害について、これら11名の職員の賠償責任のありやなしや、そして賠償額の決定を求めるというものであります。
今回の監査の過程では、監査対象であるこの11名の職員の皆さんの聞き取り、それから林務部、そして総務部の担当の課に対しても委員監査を実施したところであります。また本庁林務職員の発言につきましては、今日まで県が実施してきましたヒアリングとその概要の提出を受けまして、相当時間を割きまして、子細にその内容を私ども監査委員で確認してきたところであります。今回の監査では、聞き取りそのものはいたしませんでした。
それから2点目でございますが、今回の監査において、北安曇地方事務所林務課職員にとっては予算消化のプレッシャーとも受け取れるところも認められましたので、この間提出させていただきました監査結果にもその旨を記載したところでございます。
3点目ですが、今回の知事からの監査請求に対する監査結果については、この11名の職員、監査対象の職員の皆さんの賠償額を決定するに当たり、この不適正事案が発生するに至った背景事情について精査いたしました。その中で本庁林務部にも、今日までこれまでに言われてきたような組織的な問題もあることから、賠償額を決定する際においては苦慮いたしまして、深く広く事情を判断したものであります。
一方で平成29年の9月に提出されました住民監査請求に対する監査結果、これにおきましては、知事や本庁林務部の幹部職員とが、個人として法的に損害賠償責任を負うかどうかについて監査をして、賠償責任は問わないという判断をしたものであります。職員個人の賠償責任については、組織としての問題とは別に判断すべきことでありますので、この2件の監査結果の整合が取れていないとは考えておりません。以上ですが、よろしくお願いします。
- 【高村議員】
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監査委員におかれましては、本庁林務部あるいは幹部等への聞き取りはされなかったと、組織的な問題はあるということも改めて表明されました。
私ども日本共産党県議団は、この件に関する検察調書の閲覧をしてきました。そこには、本庁林務部から北安曇地方事務所林務課職員に、年度末の1月から3月の時期にさらなる予算消化の指示が出され、苦悩しながらも対応せざるを得なかった生々しい証言が記されていました。「予算を返されても困る。申請時に事業が終わってなくても予算消化の方法はいろいろあるだろう」と県担当者から言われ、違法なやり方でやらざるを得なかった。「実際に県の担当者から言われると驚き、本当にこんな手続きをしていいのかと思いました。未完了の理由で申請箇所を駄目にし、予算を返すわけにはいかず、本当にいいのかという気持ちと相反して、施行途中でも早く終わらせる約束を取り調査を怠った」など、当時の北安曇地方事務所林務課職員の本庁への不信と不正処理をやらざるを得なかった苦悩の数々が記載されていました。
知事に伺います。監査委員においても本庁の責任を検証することは回避されています。多くの県民は、なぜ7年間もの長期にわたり、巨額の補助金不正交付が行われてきたのか。また本庁のやってきた予算消化の圧力、誤った指導と責任を軽く見て、現地職員ばかりに責任を押し付けるやり方でいいのか、疑問を持っていると思います。知事。県民や県議会に対して説明責任を果たすべきではありませんか。ぜひ知事自ら検証の先頭に立っていただき、改めてこの問題の全容について説明する場を持っていただきたいと思います。
- 【阿部知事】
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まず、大北森林組合問題の真相解明と説明責任というご質問でございます。
私も県民の皆さま方の代表者、選ばれた立場として、県民の皆さま方の立場に立ってこの問題に向き合い、そしてしっかり全容解明に努めてきたわけであります。刑事事件としての側面あり、補助金の返還請求という側面あり、また県の組織としては職員処分をどうするかという側面あり、今回、私から監査委員にお願いしているのは、その監査、とりわけ職員の損害賠償責任についての監査をお願いをさせていただき、その結果をご報告いただいたという状況であります。
したがいまして、その都度検証委員会であったり、あるいは法的課題検討委員会であったり、第三者的な立場の人にも関わっていただき事案の解明に努めてまいりましたし、またそうした報告が取りまとめられるたびに、私、あるいは林務部のほうから、あるいは委員会のメンバーの皆さま方が直接詳細にご説明をさせてきていただいているところであります。
今後ともコンプライアンスの推進も含めて、組織風土の改善にしっかりと取り組んでいくことによりまして、県民の皆さま方の林務行政に対する信頼の回復に努めていきたいというふうに思っております。
- 【高村議員】
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もう一つは、第3期の森林税の継続が決まりました。第2期を検討していた平成23年度は、まさに大北森林組合での不正支給を重ねていた時期ですが、このことはまったく知らされずに、私ども県議会も2期目の実施が決まりました。間伐事業での同意書無断作成問題も今年度になって発覚しました。次期の森林税基金活用対象は教育や建設・観光分野にも広げています。森林税等補助金に関わる林務部の真摯な検証がない中で、さらに3期目、この税金が適切に活用されるのか不安にもなります。この保証があるのか、チエックができるのか、阿部知事に伺います。
- 【阿部知事】
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森林づくり県民税についての検証についてでございます。
私も、こうした事案が長い間行われてきたこと、極めて問題だし遺憾だと思っておりますし、元専務を含めて、関係者に対しては強い憤りを覚える部分もあります。県民の皆さま方も同じ思いだというふうに思います。
ただ、森林づくり県民税をどうしていくかと、これは正当にご活用いただいている皆さま方も大勢いる中で、やはり全く混同して議論するべきものではないだろうというふうに思っております。大北の問題は大北の問題としてしっかり対応させてきていただいておりますし、またこの森林づくり県民税については、本来のあり方、どうあるべきかということも含めて検討させていただいた上で、昨年の県議会において、条例について一部改正を行わせていただき、延長するということにさせていただいたわけであります。
その際、検証、評価についての規定も改めて追加をさせていただいたところであります。具体的に森林づくり県民税を活用した事業につきましては、部局横断で成果の検証、事業の柔軟な見直し、こうしたことを今回の教訓も踏まえて行っていくことが必要だろうということで、中島副知事を会長とする森林づくり県民税活用事業推進会議を設置したところでございます。
またこうした庁内での検討結果を踏まえまして、外部の皆さま方にもしっかりとお諮りして意見をお伺いしたいということで、みんなで支える森林づくり県民会議、これを引き続き設置をさせていただき、事業の内容、目標を定めて、検証、評価を行っていきたいというふうに思っております。こうした取り組みを通じて、森林づくり県民税の運用の透明性を高め、より効果的な活用を行っていきたいというふうに思っております。以上です。
- 【高村議員】
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阿部知事、有能な県職員の方々が、県民のために本当に公正に公平に正確に誇りを持ってやっていただくこと、その先頭に立っていただきたいと思います。残念ながら、この検証が終わっているとは全く言えません。さらに疑問が深まっております。県議会においても、百条委員会設置をして県行政へのチエック機能を果たすべきと申し上げて、質問を終わります。