日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2018年2月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 丹波島橋渋滞対策と歩行者の対応について
  2. 生活保護について
  3. 子どもの貧困について
  4. 福祉灯油について

1.丹波島橋渋滞対策と歩行者の対応について

【和田議員】

 初めに丹波島橋渋滞対策と歩行者の対応について伺います。

 朝夕の通勤時間帯は慢性的な渋滞個所になっている国道117号線、丹波島橋の渋滞解消のため、長野市など関係者等と抜本的な対策は検討されているのでしょうか。渋滞解消のためにいろいろ検討をしても、結局ボトルネックは橋です。以前にも申し上げましたが、私は犀川に橋が必要と考えます。検討の状況はどのようになっているのか建設部長にお伺いいたします。

【建設部長】

 国道117号、長野市丹波島橋の渋滞対策についてのご質問でございます。

 丹波島橋は犀川を渡河し、長野市の北部地域と南部地域を結ぶ橋梁で、平成27年度に実施した全国交通量調査では、平日の24時間で約4万8000台の交通量があり、朝夕の通勤時間帯を中心に渋滞が発生していると認識をしております。県ではこれまでも、丹波島橋の渋滞対策として、周辺道路を含めた4車線化や公共交通の定時性の確保のため、朝の通勤時間帯でのバス専用レーンの設置などに取り組んでまいりました。

 現在、長野市、長野県などで構成する長野都市圏総合都市交通計画協議会において、平成30年度を目途に、長野都市圏の総合交通計画の策定を進めております。この協議会の中で、将来の社会情勢等も考慮しながら、丹波島橋周辺を含む千曲川・犀川渡河部の渋滞対策について研究をしてまいります。

【和田議員】

 県下でも1、2の慢性的な渋滞状況でありますが、地域に暮らしている皆さんから、丹波島橋南の青木島北交差点、国道117号線を歩行者が横断する際は、横断歩道橋を渡るしかありません。「杖に頼り、シルバーカーに頼るようになり、歩道橋を昇り降りができなくなって困っている。横断歩道をつけてください」との切実な要望は、初めは区長さんなどから、「横断歩道をつければ今以上に渋滞が激しくなる」と聞き入れてもらえなかったそうです。

 歩行者は横断歩道橋を渡っているのか、交差点で調べたら横断歩道がないところを渡る歩行者が約5割だったそうです。そこで、「丹波島橋南交差点南側の自転車道と並行して横断歩道をつけてくださるようお願いいたします」の要望項目の署名を集めて、長野市の関係地域から選出されている市会議員、住民自治協役員とともに、長野市や県警、建設事務所などに要請しました。要請を受けた長野市副市長からも、県警に要望は上がっていると思います。この要望にどう対処されるのか、警察本部長にお伺いいたします。

【警察本部長】

 横断歩道の設置の要望に関するご質問にお答えいたします。

 青木島北交差点は、南北方向に走る国道117号と東西方向に走る市道とが交差する十字路に信号機が設置されている交差点であります。国道117号は、犀川を隔てた長野市の中心と南部を結ぶ丹波島橋を通過する主要幹線である上、交差する市道から国道117号へ流入する車両も多いことから、青木島北交差点は県内でも交通量が極めて多い交差点であります。青木島北交差点には国道117号を横断するための東西を結ぶ横断歩道橋が設置されておりますが、この方向には横断歩道が設置されておらず、交差点の南北を結ぶ横断歩道のみ設置されております。

 青木島北交差点については、地域の方々からの横断歩道の設置の要望を受けて、本年1月に現地調査をした結果、高齢者等の歩行者が横断歩道橋を渡らずに道路を横断している状況が認められましたことから、道路管理者等と横断歩道の設置の必要性等について協議しているところであります。青木島北交差点のように、横断歩道橋が設置されている信号交差点については、警察庁が制定した交通規制基準により、原則として横断歩道を設置しないものとされておりますが、近年、高齢化が進む中で、横断歩道を横断歩道橋と併設している事例もございます。青木島北交差点における横断歩道の設置につきましても、横断歩行者の安全の確保と交通の円滑化の両面から、引き続き道路管理者や地域の皆さまと協議を行うなど、検討を進めてまいりたいと考えております。

【和田議員】

 それぞれご検討されているようです。研究もされているようですが、実施を早急にお願いしたいと思います。特に交通の安全の対策については急がれますので、建設か、警察かでなく、知恵を力を出し合って対策を早急にしていただきたいと思います。

2.生活保護について

【和田議員】

 次に、生活保護について健康福祉部長にお伺いいたします。

 1例目、シングルマザー、子ども1人、失業しメンタルで受診中、生活費が底をついて生活保護申請。申請を受け付けた市の担当者も即座に生活保護開始が必要と判断し、申請書類に記入するこの段階になって、市の担当者から車の保有について説明がされました。申請者は、その場で車の使用の制限について判断不能に陥り、申請を諦める結果になりました。

 2例目は介護度の重い親の介護をし、自分もがん治療で高額の医療費。収入を上回る支出で生活困窮、昨年10月に生活保護申請をするが、その時点で担当者は申請を受け付けず、今月再度申請など、福祉事務所窓口において生活保護の相談に対して、相談者の保護申請の意思を確認し申請を受け付けるべきケースが、担当者による相談・指導と言われる対応によって申請をためらい、実際に申請できなかったケースの相談が後を絶ちません。

 日々の生活に困窮している県民の立場に寄り添った対応がなされなければ、明日に待っているのは絶望感です。このような問題をどうお考えか、健康福祉部長にお聞きいたします。

【健康福祉部長】

 生活保護に関連するご質問に、順次お答えをさせていただきます。まず初めに、生活保護の相談があった場合の対応については、相談者の個々のプライバシーに配慮し、相談内容に応じた懇切丁寧な対応を行うことが、厚生労働省の通知で示されております。一方で相談があった際は、相談者の状況把握した上で、他方他施策の活用等について助言を適切に行うことが必要であり、生活歴、職歴、病歴を始め、資産や負債の保有状況などを確認することが同じ通知で示されております。

 相談の際、生活保護の決定には関係がない個人的な事柄を聴取するなど、相談者が申請をためらうような相談指導を行うことは、申請権を侵害する恐れがあり、決してあってはならないものと認識をしております。県としては、保護申請の意思確認を含めて、面接相談時の対応が適切に行われるよう、生活保護施行事務監査や研修の場を通じて、福祉事務所に指導を徹底してまいります。

【和田議員】

 昨年2月議会でも、保護基準の引き下げがもたらした影響について、生活保護世帯の生活実態を示して質問をいたしました。山本健康福祉部長から、実態の把握に努めるとご答弁をいただきました。 ケースワーカー等を通じて把握された生活実態は、どのような状況と認識しておられるのか、健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 生活保護受給世帯の実態把握についてのお尋ねがありました。生活保護を受給する方は、平成29年12月時点で、8946世帯1万1093人となり、前年同月比で世帯数は99.1%、人数は97.6%に減少している一方、全保護世帯の51.7%を占め、4625世帯に上る高齢者世帯は、102.8%と増加しております。

 生活保護受給世帯の個々の生活実態については、福祉事務所のケースワーカーが定期的に家庭訪問し把握しており、毎年県内全ての福祉事務所に県本庁の職員も出向き、高齢独居や障害、母子など困難な状況が世帯を選定し、今年度は185世帯について、ケースワーカーから状況を聴取するとともに、訪問記録を閲覧し、実態の把握に努めております。

 また、生活保護受給者の支援団体と定期的に懇談を行い、支援に携わる方や生活保護受給世帯の方から、直接お話を伺っております。このような方法により、実態把握を行う中で、比較的若い年齢の方が就労に結びついて自立する事例がある一方、中高年齢層の方は、就労に意欲があっても年齢や職種などの面で依然として就労が難しい状況であると認識しております。

【和田議員】

 また今後、国が行うとしている生活扶助基準の見直しによって、生活扶助費が上がる世帯は26%、一方下がる世帯は67%、ほとんどが引き下げの影響を受けます。その削減は最大5%、平均1.8%、全体が引き下げられます。削減は、国費分160億円を含め総額210億円と言われています。

 では、なぜこのように保護基準を引き下げるのか。それは一般低所得世帯が生活保護の基準以下だということを政府が持ち出しています。この一般低所得世帯の消費実態はどうなのか、把握されているのでしょうか。実態把握もせず、それより生活保護の基準が高いから引き下げでは、憲法25条が定める健康で文化的な最低限度の生活を保障できません。扶助基準は既に限界です。これ以上の引き下げを行わないよう、国、厚生労働省に対してしっかり要望していただきたいと思います。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 生活保護基準の引き下げに対する国への要望についてのご質問であります。今回の生活保護基準の見直しは、厚生労働省の審議会において、生活保護基準の水準と、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか検証を実施した上で、行われているものであります。各世帯の受給額は、世帯構成や居住地域など状況によって異なりますが、都市部を中心に減額となるケースがある一方で、町村部を中心に増額となるケースもある見込みであります。減額となるケースでは、国の部会において世帯への影響に十分配慮し、検討結果を機械的に当てはめることのないよう、と指摘がされていること等を踏まえ、減額幅の緩和措置が講じられることとされております。

 生活保護基準は法令等に基づき、国が適切に定めるものであり、県としては、本年7月には全国知事会を通じて国に対し、真に保護が必要な人が適切に受給できる制度を維持するとともに、全国一律のセーフティーネットとしての機能が十分に発揮されるよう、不断の見直しを行うことなどを要望したところです。今後も国に対して必要な要望を行うとともに、生活保護制度が最後のセーフティーネットとして十分機能するよう、適正な保護の実施に努めてまいります。以上であります。

【和田議員】

 実態の把握に努めると言われておりましたけれども、今、本当にその生活保護費で暮らしている皆さんの食事の状況から衣服の状態、そういうこと、衛生の問題等について、全く今部長の答弁の中では触れられておりませんでした。昨年は深刻な実態があるということを私はこの場で申し上げたわけですけれども、そういうことから、どういうふうにそのことを受けとめているのかお聞かせいただきたいと思ったのですが、そのことがありませんでした。

 生活保護は最後のセーフティーネットと言われておりまして、ようやくたどり着いた生活困窮者を水際で押し返すようなことがあってはならない、このように思っています。生活保護の申請の意思を確認したら受け付け、原則的な対応を徹底していただくということをさらにお願いしたいと思います。

【和田議員】

 そして車の保有についてはまだまだ制約はあるものの一定の前進があり、担当者にも研修の機会に周知されてきているはずですが、実際には車の保有には厳しい対応です。保有した車の使用に制限があることについて、走行距離を記録に残せとか、使うときは担当者に連絡とか、車の処分の保留についての説明と、こういうふうにして、縷々(るる)この担当者から言われて、この保護の決定の前に車の保有に関しては自分の知りうる情報全て申請者に説明することが果たして妥当なことなのでしょうか。

 まず申請の意思を確認して保護開始して、経済的困窮状態から脱し安心して暮らしていける、必要な治療に専念して健康取り戻す、こういうことが大事なのではないでしょうか。相談・指導といい、保護の開始を実は遅らせ断念させることは、申請権の侵害ではないかと思います。健康福祉部長、この点再度お伺いしたいと思います。

【健康福祉部長】

 生活保護申請にかかる自動車保有の対応についてのお尋ねであります。生活保護において、自動車は障害のある方や、公共交通の利用が著しく困難な状況にある方が通勤、通院等のために使用する場合や、新聞配達など事業用として使用する場合に厚生労働省の実施要領で保有が認められております。また、申請の意思が確認された者に対しては速やかに保護申請書を交付し、申請手続きの助言を行い、保護の要否判定に必要な資料の速やかな提出を、申請から保護決定までの間に求めることとされております。

 申請の際、自動車の保有を含めて、この要否判定に必要な事項を聴取すること自体は申請権の侵害に該当しませんが、自動車を処分してからでないと申請を受け付けないといった指導は、申請権を侵害する恐れがあり、不適切な対応と認識しております。県としては、自動車保有の取り扱いを始め、生活保護申請時の対応が適切に行われるよう、生活保護法施行事務監査や研修の場を通じて、福祉事務所に指導徹底してまいります。以上であります。

【和田議員】

 今部長がご答弁されたとおりの指導を徹底していただくように、重ねてお願いしたいと思います。

3.子供の貧困について

【和田議員】

 次に、子どもの貧困に関してお尋ねします。県が平成27年度に実施した「ひとり親家庭実態調査」や「子どもの声アンケート」は、子どもの貧困対策見える化プロジェクトによる都道府県の子どもの貧困対策事業調査2016において、グッドプラクティスの1つとして紹介され、調査による実態把握から、県の計画策定が進んだと高く評価されています。

 それが2016年3月に策定された「子どもの貧困対策推進計画」となるわけだと思いますが、その計画には、3つの重点的な取り組み、1つは長野県の地域資源を活用した家庭養育の補完の仕組みづくり、2つ切れ目のない教育費の負担軽減による子どもの希望を実現できる学びの支援、3つ、早期の課題解決に向けたアウトリーチ型支援による要支援家庭の孤立化の防止です。ひとり親の抱える不安、子どもの切実な声から明確に方向は示されました。

 給付型奨学金の創設などによる経済的支援や、信州子どもカフェモデル事業による子どもの居場所づくりなどを取り組まれております。さらに今回、子ども若者支援総合計画の策定に当たり、昨年は子どもと子育て家庭の生活実態調査を実施したわけですが、子ども若者支援総合計画では、子どもの貧困対策をどのように拡充発展させ、どのような施策を行うのか、県民文化部長にお伺いいたします。

【県民文化部長】

 子どもの貧困対策についてお答えいたします。現行の子どもの貧困対策推進計画におきましては、お話にもございましたが、全国に先駆けての給付型奨学金の創設や、一場所多機能の子どもの居場所であります信州子どもカフェの実施、あるいは子どもの支援センターの設置等を盛り込むなど、多面的に取り組んできたところでございます。

 ご質問にもございましたとおり、子どもと子育て家庭の生活実態調査につきましては、子ども若者支援政策にその結果を反映するために実施したものでございますけれども、この調査結果を踏まえ、策定を進めている子ども若者支援総合計画案では、1つといたしまして、貧困の連鎖を断つための学びの支援、2つとして、家庭養育の補完、3つとして、孤立防止のためのアウトリーチ型支援の充実等の観点から、施策の充実を図ってまいりたいと考えているところでございます。

 具体的に申し上げますと、1つ目の学びの支援といたしましては、低所得世帯の高校生等の奨学給付金や、児童養護施設入所児童等の大学進学、修学のための給付型奨学金の拡充などがございますし、2つ目の家庭養育の補完といたしましては、信州子どもカフェをさらに普及拡大するため、地域プラットフォームの中心的な役割を担うコーディネーターや運営の担い手の育成がございます。3つ目の孤立防止対策といたしましては、子どもと家庭の包括的支援システムとしての信州子どもサポート(仮称)の構築などでございます。私どもこれらの施策を通じまして、子どもの貧困対策にしっかりと前向きに取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。以上でございます。

【和田議員】

 また子どもが家庭の経済的理由により大学等へ進学を諦めることがあってはならないと、知事も言われます。入学金、学費の負担は容易ではありません。高校の進路指導に当たる先生方も大変ご苦労されています。奨学金や自治体からの支援、大学の授業料免除など、入学前の情報、さらには進学後の生活や学業にかかわる費用の情報など、県教育委員会がガイドなどを作成してほしいと昨年2月定例会で質問いたしました。教育長から経済的支援に関わる情報提供のあり方の検討についてご答弁いただきましたが、現状どうなっているのか、教育長にお伺いいたします。

【教育長】

 大学進学の際の奨学金等の情報提供について、昨年私がご答弁申し上げましたのは、和田議員から、網羅的な紙ベースの経済的支援ガイドを作成したらどうかという、そういうご提案でございました。それについては、近年ネットで情報にアクセスする環境が格段に整っていて、各大学等において常にウェブサイトを更新して最新情報を提供しているということから、そういった紙ベースで作成されますと、古い情報が残ってしまうなどのリスクがありますからというお答えを申し上げたところであります。

 大学等の進学にかかるさまざまな経済支援の制度につきましては、各高校において進路の手引きを作成して説明するとともに、各大学で必要となる具体的な費用でありますとか、大学独自の奨学金制度やその他の支援制度等の内容については間違いのないように、各自で確認するよう指導しております。

 さらに、年々利用者の多い日本学生支援機構等の公的な支援制度につきましては、生徒及び保護者への周知の上に、担当者が利用希望する生徒を集めて説明会を開催するなど、丁寧な情報提供に努めているところでございます。引き続き生徒が望む進路が実現できるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

【和田議員】

 今、教育長から紙ベースではなくということでネットで検索できるというお話でしたけれども、そこにたどり着くために、一人一人指導の先生とか、担当する子どもたちとかが行くのではなく、やっぱり一定程度ここに行けば見られるというようなことを構築していただく、そういう検討をしていただけると思っていたのですが、そういう点ではどうなっているのかということですと、また個々バラバラに検索してほしいということですので大変ちょっと残念でございます。今後それを構築するという計画、検討はしていただけるかどうか、もしお伺いできればと思いますが、教育長いかがでしょうか。

【教育長】

 基本的な情報に係る資料を作成したらどうかというお話でございます。これにつきましては、本県の各高校で毎年生徒保護者向けの進路の手引きを作成し、そういう意味では、実践が毎年繰り返され、確立をしていると、定着をしているというふうに考えております。その上にさらに今のようなご提案を再度重ねるようなことは、今の段階では考えておりません。

【和田議員】

 教育長は今、その手引きがあるから、またそれに重ねることはしないというふうに、検討もされないというふうにご答弁されましたけれども、本当にいろいろなことを検索をする、そしてたどり着く、こういうことを進路の先生方が本当にご苦労されて、実はそれで支援できる制度がまた非常に貧弱な面もあるわけです。そういうことも併せて、今先生方の働き方も大変問題になっているんですけれども、教育委員会としてそういう現場の先生方をバックアップするサポートするということからいえば、これは私は検討に値することではないかと思いますので、重ねてのご答弁は求めませんけれども、ご検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。

【和田議員】

 次に、生活保護世帯の子どもは高校卒業したら働くことが前提となっており、保護を受けながら大学等に進学することが原則認められておりません。そのため生活保護制度では、子どもが大学等に進学すると別の世帯として扱う世帯分離がされるので、世帯人数によって決まる生活保護の扶助費や住宅費は、世帯分離で受給額が減るという問題があります。

一方で厚生労働省は、貧困が親から子に引き継がれる貧困の連鎖を防ぐため、現在は高校卒業から入学直後に必要な資金が賄えず、進学を断念するケースがある生活保護世帯の子どもが大学等へ進学するとき、自宅で親と同居する場合は10万円、1人暮らしの学生には最大30万円の給付金を支給することや、進学後に実家の住宅費を減額する措置も親との同居に限り廃止することなど、来年度予算案に盛り込むとともに、通常国会に生活保護法等の一部改正案を提出するとのことです。この改正案では、貧困の連鎖を防ぐため大学進学の経済的な支援をするというのに、一方では、先ほど申し上げたとおり生活保護世帯の子どもの進学の妨げとなると指摘されている世帯分離については、厚労省は、就職する人とのバランスなどを理由に存続させる、その上で親と同居する場合には住宅費の減額はしない、全く筋の通らない支離滅裂なことがされようとしております。

 進学するときの入学一時金で終わりでは、安心して学ぶことができません。世帯分離をなくしても経済的には大変で、進学してもバイトと学業の両立に苦しみ、奨学金を借りて卒業時に数百万の借金、これは貧困の連鎖解消ではなく、新たな貧困を作り出す元となってしまいます。生活保護世帯の子どもは高校卒業したら働くことが前提とか、生活保護を受けながら大学に進学することは原則認めないなどと言わず、貧困の連鎖を解消、学ぶ権利を保障するためにも、保護世帯の子どものための進学を認め、せめて世帯分離をなくすよう国に対し要望していただきたいと思いますが、健康福祉部長にお聞きします。

【健康福祉部長】

 生活保護世帯の子どもの大学等への進学への支援に関する国への要望についてのお尋ねであります。生活保護世帯の子どもの大学等への進学についてはさまざまな制約がある中、今回国では新たな支援策として、平成30年度から大学等に進学した場合に一時金を支給する制度や、出身世帯から通学する場合に、大学就学中の住宅扶助費を減額しない措置を実施する予定としています。また、低所得者世帯の子どもの大学等への進学の支援策として、県が実施する県内大学進学者への入学金等給付と給付型奨学金や日本学生支援機構の給付型奨学金などの経済的支援、また進路選択の基礎づくりとなる生活困窮世帯の子どもの学習支援事業等の制度が拡充されているところであります。

 県といたしましては、こうした制度を通じ、生活保護世帯の子どもの大学等への進学を支援していくとともに、子どもの自立に向けたさらなる支援策について、必要に応じて国に対して要望してまいりたいと考えております。以上であります。

【和田議員】

 それから今、健康福祉部長からは、保護世帯の子どもたちに新たに入学金の問題など一部改善する面があるというご答弁をいただきました。

 しかし、結局生活保護の受給世帯の子どもが大学進学するときに当たっては、世帯分離、これが行われるということをやめさせる、これを改善するということについてはどうだったのか、私は今十分にお答えが聞き取れなかったというか、あったのかというふうに思うんですけれどもこの点はいかがでしょうか。もう一度この点について、健康福祉部長にお聞きしたいと思います。

【健康福祉部長】

 生活保護世帯の子どもの大学等への支援策についての、再度のご質問であります。

 生活保護世帯の子どもの大学等への支援策につきましては、先ほどご答弁させていただきましたとおり、さまざまな主体によるさまざまな取り組みがあるというふうに考えております。県といたしましても、県の役割の中で適切な対応を取っていきますとともに、子どもの自立に受けましたさらなる支援策については、必要に応じて国に対して要望してまいりたいと考えております。以上でございます。

【和田議員】

 ぜひ今言った国への要望のところでは、この問題をもう一度洗い直して、ぜひ検討して要望を上げていただきたいと思います。見えない貧困ということが言われておりますが、県の実態調査、子どものアンケートを通じて、その問題の一部が見えたということが大変大事なことです。経済支援、学習支援、居場所づくりなど、必要なところにさらに繋げるよう、今後も、健康福祉部、県民文化部、また教育委員会等々関係部局連携して頑張っていただきたいと思います。

 また、子どもの貧困は雇用や社会保障のあり方深く関係しています。所得再配分によって子育て世帯の負担軽減をする税や社会保障の議論も必要です。それは県がアンケートによってつかんだ子どもの声から、国、県、市町村、地域が目指すべきものとして明らかにしていく、これが子どもたちに対して大人の役割として果たしていくべきではないかと思います。

4.福祉灯油について

【和田議員】

 最後に福祉灯油について伺います。

 高齢者の貧困化について、立命館大学の唐鎌直義教授は、高齢者の貧困化が進んだ原因の1つとして、年金給付水準の低下があると指摘しています。高齢人口の増加に年金給付が追いつかず、1人当たり年金給付は、2002年の約180万円から、2014年の約161万円へ19万円ほど低下し、実質的生活保護基準以下の世帯が急増しています。特に女性の高齢単独世帯の貧困率は56%に上ると推計しています。このような経済的な厳しさを増している高齢者の皆さんに、わずかでも温かい気持ちを届けることができないものでしょうか。

 私たち共産党県議団は、毎年知事に福祉灯油を実施していただきたいと要望しております。先ほど申し上げた高齢者の生活の厳しさに加え、今年は厳しい寒さでした。さらに追い打ちをかけるように灯油代は大変高騰しております。福祉灯油は市町村が行うべきものと県は繰り返し言われますが、県民の暮らし応援する立場に立って検討していただきたいと思います。健康福祉部長にお伺いいたします。

【健康福祉部長】

 福祉灯油についてのお尋ねであります。

 今年度の福祉灯油の実施につきましては、県下77市町村のうち、灯油以外に使用できる商品券等の支給を含めますと11町村で実施しており、支給対象者も各町村の実情によりさまざまとなっております。

 このように福祉灯油の実施につきましては、住民の状況を把握している市町村が地域の実情を踏まえて主体的な取り組みにより実施されることが適切と考えております。なお県といたしましては、平成27年度から国に対して市町村が行う低所得者への灯油購入助成に係る支援について、必要な財源措置を行うよう要望しており、今後も引き続き要望してまいりたいと考えております。以上であります。

【和田議員】

 実施は市町村、県はやりません、国には財源を求めます、いつも同じ回答を聞かされております。福祉の心でぬくもりを県民に、灯油1本分でもと試算をしてみたらいかがかと、私は期待をしておりましたが、大変残念でございます。長野の春はまだまだ遠い、このことを申し上げまして私の質問を終わります。

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