日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2018年2月定例会 両角友成議員一般質問

  1. 生活道路の災害復旧について
  2. 特別支援学校について
  3. 住宅の耐震化をどう進めるかについて

1.生活道路の災害復旧について

【両角議員】

 日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告に沿って一般質問を行います。

 まず初めの質問項目は、生活道路の災害復旧についてであります。

 昨年10月の台風が県内に大きな被害を引き起こしました。被害額21億円、被害個所145カ所。私の住む松本市内、特に地元四賀地区でも国道143号取手地区、県道矢室明科線の五常落水地区で地滑りと土砂崩れが起きてしまいました。国道143号は信号機付きの片側通行、土が動けば全面通行止めとなる、「回転灯作動時全面通行止め」と、警報装置が設置されている状態、県道は五常地区で全面通行止めです。国道143号では、安曇野市高萩地籍の災害現場でもブルーシートが掛けられたまま、災害発生から4カ月が過ぎています。

 同じ国道143号でも、災害になってしまいそうな箇所では、松本建設事務所による地質調査のボーリングが始まるなど手立てをしていただいていますが、大きな災害現場では、そうならないのはなぜでしょうか。今回、もう少しで四賀地区は陸の孤島になりかねない状態でした。今もその危険性が続いています。大変深刻です。

 現在、開会されている通常国会での担当委員会のやり取りで、災害発生から、1週間程度で災害認定をし、災害復旧は原状復旧に止まらず、改良工事をも行うと政府答弁がされていました。

 長野県では公務員の削減により技術職員が減り、設計業務をコンサルタントに依頼することは普通となり、時間がかかるとの指摘もあるが現状はどうか。林務・建設部長それぞれに伺います。

【林務部長】

 初めに災害復旧の対応についてのお尋ねでございます。

 山地災害の発生時においては、災害状況の把握から復旧計画の作成、提出に至る業務をできるだけ迅速・確実に行うことが求められるため、災害関連緊急治山事業の場合は、発災から20日以内に国に復旧計画を提出することを徹底しております。また、従来から復旧計画に必要な測量や設計をコンサルタントに依頼しているほか、状況に応じて本庁や地域外の職員が応援する等しており、今後も引き続き、関係者の力を最大限に発揮して、迅速な災害対応に努めてまいります。

【建設部長】

 災害復旧の対応についてのお尋ねでございます。

 建設部では道路や河川等の公共土木施設が被災した場合に直ちに職員が現地調査を行い、発災後1週間程度で国へ災害報告をしております。その後必要な測量設計や地質調査などは、従来から速やかにコンサルタントへ委託しており、これにより時間がかかるということはございません。

 なお、早期対応が必要な災害復旧事業については、災害査定前に応急工事を実施しているほか、一般的に被災後2カ月以内の国の災害査定が原則となっており、スピーディーな対応が徹底されております。

【両角議員】

 四賀地区「五常落水」の県道災害現場は、長野自動車道の路肩より、わずか30mの地点から、幅約50m、高さ約80mの長さで崩れています。上約半分は保安林であり林務部が、下の県道及び河川を建設部が担当していただいています。

 土が動く厄介な地滑り地帯で、長野自動車道にも影響が懸念されています。まず林務が保安林治山のため、逆巻き工法と言われる、法面上部からアンカーボルトを打ち込みながら復旧工事、それが終わってから、河川の護岸・県道の復旧と、トータルで2年間以上かかるとの説明です。

 地元双葉保育園・四賀小学校の保護者、沿線の商店、ガソリンスタンド、宅配便、生協、牛乳配達、 地元町会長、高校への通学、職場への通勤、新聞店、通院されている皆さんより、また、他の工事現場への生コン車もダンプカーも通れないと、悲痛とも言える、早期の復旧を望む声が届いています。重要な生活道路であり、現地住民の皆さんの中には、スコップを持って駆け付け土砂を片付けたいとの話まであります。素人目にも厄介な現場だと思いますが、工期が2年はいかがでしょうか。危険を冒してまで工事をしてくださいとは言いませんが、全国の事例に学び、林務・建設が連携して同時並行での工事方法を取るなどできないか、現状と復旧の見通しをお聞きします。林務・建設、それぞれの部長から答弁を願います。

【林務部長】

 次に、一般県道山室明科線の災害復旧についてのお尋ねでございます。

 当該箇所の山腹崩壊につきましては、議員ご指摘のとおり地滑り性のものであり、復旧工事を行うには、あらかじめボーリング調査等を行い、地滑り活動の挙動を見極める必要があります。また、今回のような地滑り性の現場では、斜面下部の県道から土砂を撤去すると斜面の不安定土砂が崩落する危険性が高いため、県道の復旧工事に先立ち、上部から山腹の安定化を図る必要があります。

 このような中、林務部では、これまで建設部と連携して行ってきた地滑りの観測結果を踏まえて、県単治山事業により、1月末から山腹を安定させる工事を既に始めているところでございます。加えて、崩壊地の上部には長野自動車道があることから、慎重に土砂の撤去等を進める必要があるため、工事の完了にはおおむね1年を要する見込みですが、工期を少しでもを短縮できるような工法を採択するなど、速やかに山腹の復旧を進め、一刻も早く県道の復旧工事に取り掛かれるよう努めてまいります。

【建設部長】

 一般県道山室明科線の災害復旧についてのお尋ねでございますが、建設部では被災直後から林務部と連携し、ボーリング調査、地滑り観測等や斜面の崩壊拡大を防止するための倒木除去を実施するとともに、案内看板やホームページによる情報提供、緊急車両の通行を容易とする対応等をしてまいりました。

 本件は、林務部長答弁のとおり地滑り性のものであり、復旧までに時間を要することはやむを得ないと考えております。建設部としては、林務部の工事により上部の安定が確保された後に、速やかに県道の復旧工事に着手し早期の通行止め解除を図ってまいります。

【両角議員】

 現地からは、前回10年前にもと、災害が繰り返されている現場であり、原状回復に止まらず、万全な工法を施していただきたいの要望があります。ぜひとも取り入れていただきたいとお願すると同時に、復旧の早期実現を願うものです。

【両角議員】

 知事に伺います。今回、地元の台風災害で「松枯れで山肌があらわになり保水ができず、早急な治山工事が必要な現場。県道・国道数カ所が同時に土砂崩れ、地滑り」に遭遇し、痛感していることがあります。それは、困難を極める現場で対応できる技術職員の確保、また職員を育てていく、現場経験を積んでいただく必要性を強く感じていますが、職員確保、育成について、知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 今回の災害復旧につきましては、林務部長、建設部長からご答弁したとおり、地元の皆さま方の思いに寄り添って対応を進めていきたいと思っております。

 その上で、技術職員の確保育成、これ一般論で申し上げれば、大変重要な取り組みだというふうに思っております。まず県としても、技術職員の計画的な採用に努めてきておりますし、また技術、スキルアップをしてもらおうということで、実務講習会等も開催をさせてきていただいているところであります。引き続き技術職員の確保、そして、その技術力向上にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。以上です。

【両角議員】

 コンサルタントも減っているというお話もあります。しっかり取り組んでくださいと申し上げ、次の項目に移ります。

2.特別支援学校について

【両角議員】

 次は特別支援学校について伺います。

 知事は、議案説明で「特別支援教育の充実と障がい者への支援の項で、特別支援教育の充実、障がい者の就労支援などにより、生きる力を育む学びを保障し、共生社会の実現を目指します。発達障がいのある児童生徒が適切な教育が受けられるよう、信州大学と連携して専門医等教育体制を強化し、通級指導教室については小中学校に増設するとともに、県立高校に新設します。特別支援学校の教職員配置については、自立活動担当教員をこの4年間で80名増員してきましたが、来年度は、寄宿舎指導の職員を含めさらに20名増員します」。

 教育長は、「県立学校の学習環境の整備については、高校のパソコン教室への空調設備の整備やトイレの洋式化、特別支援学校のトイレの多目的化など、児童生徒が快適な環境下で学びに集中できるよう環境改善を図るほか、松本養護学校の過密化の解消と中信地区特別支援学校の教育環境の向上を図るために、平成27年度から始めてまいりました中信地区特別支援学校の再編整備計画につきましては、平成30年度の松本ろう学校の改修により事業完了を予定しております」。

 この説明を踏まえて、特別支援学校の現状認識及び改善について、県内の状況はどこも似通っていると認識していますので、特には松本養護学校を中心にお聞きします。古い施設、特に体育館・寄宿舎を対症療法的に修繕し、何とか保とうとする現状は見て取れますが、もう限界ではないか。建て替え計画を早期に示すべきと考えますが、いかがでしょうか。

 以前の答弁にあった、県有財産の「有効活用」「総量縮小」「長寿命化」、長野県ファシリティーマネジメント基本方針なるものがあり、それに照らしてとのことでありました。基本方針を見ますと、特別支援学校を特別とはせずに他の学校と一緒に、「その他の学校」としてひとくくりにしています。差別解消法に照らしても、障がいをお持ちの皆さんの学びの環境整備は、県として特別に力を入れる分野ではないでしょうか。教育委員会所管施設の中でも、第一義的に取り組むべきです。備前県議の代表質問でも、いつまでこうした状況を放置したままいくのかと厳しく指摘がされました。そのことも踏まえての答弁を願います。

【教育長】

 特別支援学校についてのお尋ねでございます。

 まず施設の建て替え計画についてどうかというご質問でございます。特別支援学校は、主な建物も建築年度が昭和40年代から60年代である学校が多く、設備等の経年劣化が進んでいることから、必要となる大規模改修工事、耐震改修工事のほか、計画的な修繕等を実施し、児童生徒の学習環境整備に努めてきたところでございございます。

 今後県のファシリティーマネジメント基本計画に基づきまして、全ての特別支援学校の個別施設計画を策定していくこととしております。その中で児童生徒数の推移や中長期的なあり方も勘案しながら、整備について具体的な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

【両角議員】

 特別支援教育の専門性の向上という点からみて、松本養護には職員室がない。職員室は、教員同士がお互いに高め合う、助け合う、教員間のもろもろの事項を共有するスペースだと思いますが、スペース的にも軽んじているのではないか。特別教室の確保はされているのか、実態を明らかにしていただきたい。

【教育長】

 次に特別教室の確保についてであります。

 特別支援学校では児童生徒の増加による過大・過密化に対応するため、校舎を増築するとともに、特別教室等を普通教室に転用すること等により必要な教室を確保してきたいうことでございます。松本養護学校では現在、職員会議室及び3カ所の特別教室を普通教室6室に転用してございますけれども、平成27年8月に策定いたしました中信地区特別支援学校再編整備計画によりまして、計画が完了する2020年度までには全てそれをもとに回復するとともに、小学部職員室についても設置できる見通しということでございます。

【両角議員】

 松本養護学校の過密化解消策とされる、松本ろう学校・松本盲学校・寿養護学校に分散する「中信地区特別支援学校の再編整備計画」を保護者の皆さんが認めた後も、これで終わりということにはせずに、県も保護者も実情や課題に対応し不断の見直していこうとする姿勢だと思うが、どんなビジョンを持っているか、教育長に伺います。

【教育長】

 それから中信地区再編後のビジョンについてというお尋ねでございます。

 この計画に基づきまして各学校の施設整備を進めておりまして、予定どおり来年度からは、松本養護学校から寿台養護学校への児童生徒の移行が始まりまして、2020年度には再編整備が完了する見込みでございます。

 しかしながら、松本養護学校はじめ、特別支援学校の多くは建設から相当の年数が経過しており、先ほど申し上げましたとおり、県のファシリティーマネジメント基本計画にのっとりまして、個別施設整備計画を策定する中で、具体的な整備内容等については検討してまいりたいと思っております。教育内容や学習環境の改善につきまして、引き続き不断に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

【両角議員】

 卒業後の居場所づくりも喫緊の課題です。卒業生の行く場所がない、足りない。この現状の打開策を示していただきたい。卒業生の就職先確保の面から山本健康福祉部長に、また、学校における就職指導の面からはどうか、教育長に伺います。

【健康福祉部長】

 私には、特別支援学校卒業生の就職先確保についてお尋ねをいただきました。

 特別支援学校の卒業生の就労については、本人の障害特性や能力に応じた就労先の確保が重要と考えております。企業等への就職については、県では、福祉、教育、行政等の関係機関で構成する県域の自立支援協議会での企業向けの助成金制度の説明会や養護学校の見学会等の開催などを通じて、障害者雇用の理解を深め、特別支援学校卒業生を含めた障害者の就職先確保に努めております。また、県内10圏域に設置している障害者就労・生活支援センターでは、特別支援学校生徒に対し、卒業前から就職に向けた相談支援等を行っております。

 本年4月から、障害者の法定雇用率が引き上げられることに伴い、企業等における障害者の雇用促進が一層求められることから、県といたしましては、それぞれの能力等に応じた就職先の確保に向け、労働局等と連携しながらこれらの取り組みを強化してまいります。また、企業等での就労が困難な生徒の主な就労先となる就労支援事業所については、圏域によっては十分とは言えない状況もあるため、必要な基盤整備を進めるとともに、農業分野での障害者の就労機会の拡大を目指す農福連携と、新たな就労分野の開拓などにも取り組んでまいります。以上であります。

【教育長】

 特別支援学校における就職指導の面でどんな困難をというお話でございました。

 特別支援学校卒業生の就労は、一般企業への就労が4割弱、それから就労支援事業所への就労が6割強という状況であります。一般企業への就労につきましては、職業教育の充実や受け入れ企業の拡大が課題でありまして、働く意欲とスキルを高めるため、技能検定の導入や実習先の開拓や、生徒との企業のマッチングを支援する就労コーディネーターの配置などに取り組んでいるところであります。

 また就労支援事業所については、圏域によっては受け入れ可能な事業所や生徒の希望する条件を満たす事業者が十分にないことが課題となっておりまして、選択肢が限られている状況ではありますけれども、生徒が勇気や期待を持って就労し、その力を十分発揮できる事業所を選定するために、在学中から関係機関との支援会議を重ねながら、複数の事業所での実習機会を増やすなどの工夫をしているところでございます。

【両角議員】

 次にスクールバスについてお伺いいたします。

 学校が松本市の端にある立地条件の悪さも手伝って通学に苦労している、以前にその実情を話しましたが、小・中・高、全ての児童生徒が利用できるよう、スクールバスの増車が必要と考えますがいかがでしょうか。

【教育長】

 まず松本養護学校のスクールバス増車についてのお尋ねでございますが、現在4台を運行しておりますが、学校規模が現在過大な状態にあるため、全ての利用希望者にはお応えできる状況にないということを認識しておりますが、今後、再編整備計画により順次改善され、来年度につきましては、寿台養護学校へ48名の生徒が移行することから、スクールバスは小中学部の希望する児童生徒は全員利用できるようになる見込みとなっております。

【両角議員】

 松本市在住の視力に障がいがあるご高齢の方から、「障がいのある方とない方が出会うのが18歳になってからだ。したがってお互いに戸惑う」と言われました。この話を聞き、特別支援学校に通う児童生徒が、居住地域の学校にも籍を置く副学籍も必要ではないかと考えます。既に市町村にその動きがあり、21市町村から33市町村に広まっているとのことですが、その中身の充実と、全県に広げるため、県も積極的に関わる必要があると思いますがいかがでしょうか。以上について、教育長に伺います。

【教育長】

 続いて、副学籍についてのお尋ねでございます。

 本県では、特別支援学校に在籍する児童生徒と居住地の小中学校の児童生徒との交流を充実させるために、小・中学校に副次的な学籍を置く仕組みであります副学籍に取り組んでおりまして、特別支援学校に通う子どもが居住する64市町村のうち33市町村で実施されているところであります。

 この副学籍があることによりまして、居住地の小中学校での居場所づくりや学校行事、地域行事への参加が促進され、相互に同じ地域の仲間としての意識が形成されるといった成果が見られているところでございます。

 県教育委員会としては、副学籍の先進的な取り組みについて、市町村教育委員会と共有し拡大を推進してまいりたいというふうに考えております。

【両角議員】

 答弁にはいつも、子どもが減る、子どもが減る、いずれ子どもが減るということですが、現在が必要だということを申し添えたいと思います。ファシリティーマネジメントに関係する先ほどの答弁でも、平成32年を2020年読みかえたり、その程度の答弁かなと思います。このことについては、この後の委員会で深めてまいりたいと申し上げ、次の質問事項に移ります。

3.住宅の耐震化をどう進めるかについて

【両角議員】

 次は、住宅の耐震化をどう進めるかについて伺います。

 毎年のように、大きな自然災害が発生しています。来るべき災害に備え、災害に強い地域づくりが求められています。知事は議案説明で、大規模地震から命を守るためには、建物の倒壊防止が重要、住宅所有者向けの相談会や改修事業者のための講習会を実施し、住宅や避難施設等の耐震化の一層の促進に努めますと言われました。地震による被害を軽減するために必要なことは、建物を「倒壊させない」水準にすること、地震により住宅が大きく壊れず、逃げ出せる程度の損傷にとどめることを最優先にすることが大切と言われています。

 国においては、1981年以前の旧耐震基準で建てられた古い木造住宅を中心に、大地震災害で多くの住宅が被害を受け、多数の犠牲者が発生したとして、減災のためには住宅の耐震化が重要であるとし、2011年3月15日閣議決定した「住生活基本計画」において、新耐震基準が求める耐震性を有する住宅ストックの比率を約79%から2020年には約95%にすることに目標が定められました。

 国土交通省の調査によると、耐震化の阻害要因は、第1に費用負担が大きいこと、第2に耐震性があるという認識など理解不足、第3に業者の選定が難しいこと、第4に工法・費用・効果等が適切であるかどうかの判断が難しいことが指摘されています。耐震診断・工事の担い手、信頼できる業者を育成し、適切な工法・費用・効果などが判断できる情報提供、相談体制が確立され、住宅の使用に大きな支障を来さない耐震改修工法を提案するまでになれば、この事業は進展するものと言われています。

 こんな状況下、県として来るべき災害に備え、災害に強い地域づくりが求められています。公共施設の耐震化に比べ、特に遅れている住宅の耐震化をどう進めるか。助成制度の拡充が大切ではないかと思いますいかがでしょうか。

【建設部長】

 住宅の耐震化に関するお尋ねでございます。

 県民の生活の基盤である住宅の耐震化は、県民の生命財産を守るとともに、地震災害後の社会的な損失を抑える根幹的な政策であると認識をしております。従来から無料の耐震診断や耐震改修工事費に対する補助など、市町村と連携して実施しているところでございます。

 一方対象となる昭和56年以前に建てられた住宅は、既に36年以上が経過し、所有者の高齢化が進む中、耐震改修工事費の費用負担が大きいことや、そんなに大きな地震はすぐには起きないだろう、地震が起きても自分の家は大丈夫だろうといった心理的な要因があることが、耐震化が進まない理由と考えております。このため、今年度から、耐震改修工事費に対する補助限度額を60万円から100万円に拡充し、活用しやすい制度としたところでございます。

 一層の耐震化の促進に向けて、まずは耐震化の重要性を住宅所有者に知っていただくことが第一歩と考えており、従来から実施している地域での出前講座の開催等に加え、市町村と連携して個別訪問の実施など、住宅所有者に対し直接的に耐震化を促す取り組みを検討してまいります。

【両角議員】

 住宅の耐震化を進めるに際しては、診断・設計・工事の担い手の育成と低コスト工法のマスターも大きなカギになると考えますがいかがでしょうか。以上、建設部長に伺います。

【建設部長】

 次に、診断設計工事の担い手育成と低コスト工法に関するお尋ねでございます。

 耐震診断、設計の担い手につきましては、県内に在住または勤務する建築士であって、県の実施する講習会を受講した2300名余りを長野県木造住宅耐震診断士として登録し、技術の向上と統一を図っているところでございます。

 工事の担い手につきましても、来年度から改修事業者の技術力向上を図るための講習会を開催することとしております。また、民間で開発された既存の天井や壁を壊さずに補強できる工法や、家の外から補強できる低コスト工法の周知、普及を図るため、日本建築防災協会の住宅等防災技術評価制度による耐震化効果の客観的評価に加え、本県の取り組みといたしまして、長野県建築物構造専門委員会において、改修工法の審査、評価を実施しているところであります。引き続き、担い手の育成や低コスト工法の普及に市町村や関係団体と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

【両角議員】

 阪神・淡路の大震災では、家屋倒壊などによる圧死が死亡者の約8割、発災から15分以内に死者9割以上の方が家屋や家具の倒壊により亡くなっています。このことから、住宅の耐震化は、震災直後の死傷者と住宅被害を軽減させるとともに、その後の復興に違いが出るとされています。

 長野県の計画を見ますと、住宅・建築物耐震改修総合支援事業、来年度予算は前年度より約1千万円増の、9114万9千円です。県の耐震化の目標値は、2年後2020年末には住宅で90%、特定建築物、学校・病院・店舗等の多数が利用する建築物は95%に定め、耐震化の推進を図りますとのことですが、来年度は住宅250軒分の予算。このペースでは、到底目標達成は難しいと思われます。

 先進県を見ますと、県と市町村の独自補助を合わせると90~150万円。これを2分の1などの定率補助ではなく、限度額枠内での全額補助、そのうえ注目すべきは、県として、大学と行政、民間企業が協力しコストダウンした耐震工事「低コスト工法」を採用し普及を図っている。私の言う先進県は高知県ですが、さまざまな工法を用いて、それを柔軟に使いこなし、現場工事の勘所を押さえ、無駄を、手間を省くことで、基本的に補助金の範囲内で耐震工事が実現しているとのことです。

 高知県を含む四国全域は、南海トラフの巨大地震の発生が懸念され、震度6弱から最大震度7という非常に強い揺れに襲われる可能性があり、住宅倒壊の被害想定の甚大なことから、耐震化の一層の推進が求められている地域ですが、ここ長野県も糸魚川-静岡構造線、津南-松本構造線、神城断層、備前県議の代表質問でも答弁されたように、活断層の非常に多い、やはり大変危険な地域です。

 高知県では3年間で4500戸の耐震改修を目指し、1600億円もの予算を組んでいるとのことです。 担い手の確保と並行して、せっかく耐震診断した住宅をいかに工事していただくか、その手立てとして、職員、先ほども個別訪問ということが部長から答弁がありましたが、職員が戸別訪問するということがミソだそうです。それを実施している自治体もあるとのことです。

 長野県同様大地震が想定されている高知県の取り組みの一端を紹介しました。部長は100万円にしましたということですが、これを限度額枠内としていただきたいと思います。定率補助ではなく、限度額枠内にしていただきたいと思います。喫緊の課題である住宅の耐震化に向け、県も、今の答弁にあったように、問題意識を持って取り組んでいると認識していますが、県内市町村・関係業者の皆さん、そして県民の皆さんと連携し、先進地に学び、現在の取り組みをさらに進めていただきたいが、いかがでしょうか。いま一度建設部長の見解を伺います。

【建設部長】

 住宅の耐震化のさらなる取り組みに関するお尋ねでございます。

 議員ご指摘のとおり、高知県におきましては、市町村やNPO法人による戸別訪問の実施、あるいは啓発の強化による需要の掘り起こしや改修事業者の営業力と技術力の向上による供給能力の強化などの取り組みが、一定の効果を上げていると聞いております。住宅の耐震化の促進には、地域に応じたきめ細やかな取り組みが重要と考えておりまして、これまでも市町村と連携して取り組みを進めているところであります。

 引き続き地震による住宅倒壊等の被害を最小限とするため、高知県などの事例を参考に、どういった取り組みが有効か、市町村あるいは関係団体と協議を進め、さらなる住宅の耐震化の促進に取り組んでまいりたいと考えております。

【両角議員】

 今定例会、2月議会は予算議会と言われます。したがって、予算が伴う質問事項が重なりましたが、事業遂行、なし遂げるためには、やはり究極は人だなと思っています。県民の皆さんのためにお互いに力を尽くしてまいりましょうと申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。

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