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議会質問

2018年2月定例会 山口典久議員一般質問

  1. 合併した旧町村地域の人口減少対策について
  2. がん患者の働き方対策について
  3. 住宅宿泊事業について
  4. 県立病院機構の公的役割の重要性について

1.合併した旧町村地域の人口減少対策について

【山口議員】

 最初に、平成の大合併と合併した旧町村地域の人口減少の対策についてお伺いをいたします。

 国により平成の大合併が推奨されて以来、全国の市町村数は約3200から1700に、長野県は120あった市町村が77市町村になりました。その合併が一段落してから10年。合併した旧町村地域は大きく変わってまいりました。

 報道によれば、長野県内で市と合併した旧町村地域において、この10年間の人口減少率が10.4%に達しています。県全体の減少率4.8%の倍以上です。また、合併せず自立の道を選んだ58町村の同じ時期の減少率は8.5%、これも大きく上回っています。飯田市では、旧町村地域の減少率が31%、塩尻市は22%、伊那市、大町市が18%、長野市が17%と続きますが、こうした地域では集落の崩壊など深刻な事態も生じているところです。合併した旧町村地域における人口の減少や集落の崩壊が、合併しなかった町村に比べて急速に進行している、その実態をどのように認識しているのでしょうか。企画振興部長に伺います。

【企画振興部長】

 まず、合併市町村の実態についてでございます。

 県内市町村の平成17年から27年までの10年間の人口を見ますと、町村全体の人口減少は7.4%、このうち市と合併をした旧町村地域の人口減少は10.0%でございました。一方で、市全体の人口減少は3.5%、このうち町村と合併した旧市地域の人口減少は1.9%でございました。個々の実態ございますけれども、大きな傾向としてとらえますと、本県におきましても、いわゆる地域の中心部への人口集中が進んでいると、このようにとらえているところでございます。

【山口議員】

 次に、こうした旧町村の人口減少などの要因についてです。

 総務省自治行政局は、「平成の合併について」という総括を取りまとめています。これは合併がほぼ終結した平成22年3月のものですが、この中で次のように書かれています。「多くの合併市町村において、合併の評価は大きく分かれている。特に、行政側の評価と住民側の評価が必ずしも同じものとはならず、各種アンケート等によれば、住民の反応としては、『合併して悪くなった』『合併しても住民サービスが良くなったと思わない』『良いとも悪いとも言えない』といった声が多く、『合併して良かった』という評価もあるが、相対的には合併に否定的評価がなされている」というものです。

 さらにこの総務省自治行政局の取りまとめでは、合併による問題点として、「役場が遠くなり不便になる」「中心部と周辺部の格差が拡大する」「住民の声が届きにくくなる」、こういったものが挙げられています。つまり、公共機関や学校の統廃合、病院や福祉施設等の廃業や縮小、公共交通の利便低下等による住民サービスの後退があります。

 「しあわせ信州創造プラン2.0(案)」は、「すべての住民が快適に、また創造的に暮らせる生活基盤を整備する」としています。本格的な人口減少社会において、今後、住民サービスを維持・確保していくために、具体的にどのような対策を講じようとしているのでしょうか。企画振興部長に伺います。

【企画振興部長】

 続きまして人口減少下におきます住民生活の維持確保についてでございます。人口減少下におきまして、住民生活を維持確保していくための大きなポイントとしましては、大きく3つ考えているところでございます。

 1つ目は、いわゆる地域の中心部と周辺部を結ぶネットワークの維持・整備でございます。そのためには、地域交通ネットワークの維持・構築に取り組むとともに、情報通信ネットワークの確保にも取り組んでまいります。

 2つ目は、特に周辺部におきます地域コミュニティーの維持活性化でございます。こうした観点からは、地域の担い手となります人材の確保育成や、住民主体での取り組みを支援してまいりたいと考えております。

 3つ目は、市町村の行財政基盤の安定化でございます。そのためには、広域的対応によるスケールメリットを出していくことが重要でございます。

 かつての市町村合併も1つの方策ではございましたが、昨今取り組まれております定住自立圏等の市町村間連携も1つの方策であり、県としましては、そうした取り組みを支援してまいりたいと考えております。以上でございます。

【山口議員】

 平成の大合併は、地方分権の推進、少子高齢化の進展、広域的な行政需要の増大や行政改革の推進を背景として進められたわけですが、住民からすればこんなはずではなかったというのも正直なところではないでしょうか。もちろん、地域の維持が困難になる中で、地域の個性や特色、伝統や文化を生かしたさまざまな地域おこしの取組みも行われています。しかし、今後の長野県の生活基盤の整備にとっても、今、平成の大合併の検証や総括をきちんと行うことが重要だと考えますが、いかがでしょうか。企画振興部長に伺います。

【企画振興部長】

 合併に関します再度のご質問、平成の大合併を総括すべきではないかというご質問でございます。

 それぞれ合併をされた市町村におきまして、合併後のまちづくりにつきまして取り組まれているところでございますが、合併を踏まえたまちづくり等々につきまして、それぞれの市町村で細かな検証が行われているということは承知をしているところでございます。

 一方県におきましては、平成の大合併の時期を経まして、まだまだ長野県、県内に小規模な市町村も含めて、多様な市町村が存在するという状況になっておりますので、県といたしましては、そうした個々の市町村の声に耳を傾けながら、寄り添った支援をしていくという対応が必要であるというふうに考えているところでございます。以上でございます。

2.がん患者の働き方対策について

【山口議員】

 次に、がん患者の働き方対策について伺います。

 今日、2人に1人ががんにかかると言われる時代であり、がん対策の在り方はますます重要になっています。がんの患者はさまざまな痛みにさいなまれます。身体的苦痛はもとより、いらだちやうつ状態などの精神的な苦痛、再発や死への恐怖、そして自責の念などの苦痛、さらに経済的な問題や仕事、家庭の問題など、いわゆる社会的苦痛に多くの患者が苦しみます。

 こうした中、患者の仕事、雇用の問題の解決が今クローズアップされています。厚生労働省のがん治療と就労の両立に関するアンケート調査によると、がんと診断された後、約半数の方が収入が減ったと答えています。また、体力の低下や勤務調整が困難などを理由に依頼退職、または解雇された者は34.6%にのぼります。がんのさまざまな痛みと闘いながら、仕事まで失うことは、自らの存在感を喪失したり、社会とのつながりも絶たれるような絶望感に襲われます。仕事を続けられたとしても悩みは少なくありません。

 静岡がんセンターの調査では、患者の悩みとして、勤務調整や時間休の確保、仕事復帰の時期、経済的な問題が上位に挙げられています。たとえがんになっても希望を失わず、必要な治療を続けながら前向きに生活をしていくためには、仕事と治療の両立を支援する環境づくりが不可欠と考えますがいかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 がん患者の働き方対策についてのお尋ねに、順次お答えをいたします。

 まず初めに、仕事と治療の両立を支援する環境づくりについてお尋ねがありました。

 平成27年の厚生労働省による調査では、がんと診断され退職した患者のうち、最初の治療が開始されるまでに退職した者が4割を超えている状況であります。退職に至った主な理由としては、仕事を続ける自信の喪失や職場に迷惑がかかることへの抵抗感が挙がっているため、企業側への取り組みに加え、患者に対する就労を維持するための正しい情報提供や相談支援を受けることができる環境が重要と認識しております。

 県では全国に先駆けて、平成26年度から各医療圏のがん診療連携拠点病院等に設置されたがん相談支援センターに社会保険労務士を派遣し、がん患者の就労相談に対して対応しており、引き続き仕事と治療の両立支援に取り組んでまいります。

【山口議員】

 仕事と治療の両立のためには、企業の理解、勤務制度の整備が必要になります。2016年12月に成立した「改正がん対策基本法」は、がん対策の一層の充実を図るために、基本理念を定め、国、地方公共団体、医療保険者、国民、医師等及び事業主の責務を明らかにしています。そして、特に「改正がん対策基本法」の中心点の一つが、新たに位置付けられた第8条です。この第8条は、「事業主は、がん患者の雇用の継続等に配慮するよう努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずるがん対策に協力するように努めるものとする」と定めたことです。これまでは、仕事、雇用の問題は、いってみれば個人の問題とされてきました。しかし今回、企業、事業主の問題としても明確に位置付けられました。

 こうして企業側に雇用継続への配慮を求める努力義務が課せられたわけですが、県内企業における現在の取り組み状況はどのようになっているでしょうか。また、育児や介護等で制度化されている短時間勤務のような制度も、雇用継続のためには有効な対策と考えますがいかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 県内企業の雇用継続の取り組み状況と、有効な対策についてお尋ねがありました。

 日本の労働者の約3人に1人が何らかの疾病を抱えながら働いているものの、治療を続けながら就労するための制度や雇用主の理解が十分でないことから、厚生労働省は平成28年2月に両立支援のためのガイドラインを示し、意識啓発、相談窓口の明確化、休暇勤務制度の整備など、企業側に求めております。

 県内にはがんに罹患した従業者に対して、産業医や保健師との個別面談を行う取り組みや、がん診療連携拠点病院等のがん専門看護師と連携して、再発防止のための生活習慣指導や、治療状況の確認を行っている例があります。がん患者の場合、その病状により就労力低下の程度や必要な支援の内容に個別性が大きいため、それらに応えるきめ細やかな取り組みが必要であると考えております。

【山口議員】

 改正がん対策基本法では、企業側に雇用継続への努力義務を課すとともに、第20条で、「国及び地方公共団体は、がん患者の雇用の継続又は円滑な就職に資するよう、事業主に対するがん患者の就労に関する啓発及び知識の普及、その他の必要な施策を講ずるものとする」としています。事業主任せではなくて、国や地方公共団体の役割、施策についても明確に位置付けているのが第20条です。長野県として啓発や知識の普及をはじめどのような施策を講じているのでしょうか。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 事業者に対して行う啓発等の施策についてお尋ねがございました。

 現在、県民や企業の従業員とその家族に対して、がんに関する正しい知識の普及啓発、がん検診の受診促進を図るため、31の県内企業団体等と長野県がん対策推進企業連携協定を締結しており、がん対策推進計画では、協定締結数の大幅な増加を目標に掲げております。

 さらに新たな取り組みとして、来年度、企業の人事担当者、雇用関係団体等を主な対象に、がん患者の仕事と治療の両立をテーマとしたセミナーの開催を計画しているところであり、がん患者の就労に関する啓発や知識の普及に取り組んでまいります。以上であります。

【山口議員】

 健康福祉部長に再度伺います。改正がん対策基本法に基づいた取り組みを長野県でも本格的に推進していくために、企業の雇用継続への取り組み状況などについて、アンケートなど必要な調査、研究を行って長野県の実態を把握していただきたい。このように思いますがいかがでしょうか。

【健康福祉部長】

 がん患者の働き方対策として、企業に関し対するアンケート調査の実施等についてお尋ねでございます。

 地域における治療と仕事の両立支援の取り組みを効果的に推進するため、国や県のみならず、使用者団体、労働組合、医師会、社会保険労務士会、産業保健総合センター等から構成される地域両立支援推進チームが昨年8月に長野労働局に設置をされております。このチームでは、参集者は取り組み状況を意見交換をするということとされております。したがいまして、こうした取り組みの中で、このチームの中で企業に関する取り組み状況も含めて、がん患者の働き方の支援を行う取り組みを推進していきたいと思っております。

3.住宅宿泊事業について

【山口議員】

 次に、「住宅宿泊事業法」について質問します。この間、既存の宿泊施設の皆さんからこの「住宅宿泊事業法」や県の条例案についての意見やご要望をお聞きしてまいりました。既存の宿泊業者の皆さんの間では、民泊施設による生活環境の悪化はもちろんのこと、営業への影響や安全問題での不安が非常に根強くありました。

 昨年11月定例会でも住宅宿泊事業法について取り上げましたが、今回質問したいのは、民泊施設の宿泊者や周辺地域の安全に関わる問題です。先日、大阪の民泊施設で兵庫県の女性が殺害される痛ましい事件がありましたが、家主もいない、管理人はいない、周辺の住民もその部屋が民泊で使われていることを知らなかった。こうした民泊施設の危険性を改めて示したものだと思います。

 安全性の問題では、既存の宿泊施設には、旅館業法、建築基準法、消防法、食品衛生法等によりさまざまな安全上の規制があります。しかし、民泊施設に対する法の適用は限定的です。ある宿泊施設の経営者は、「食品衛生協会、防火安全協会、交通安全協会、さらに観光協会など、それぞれ会費をはじめとした経済的な負担もしながらみんなでこうした組織を運営し、より良い安全な地域にしていこうとして努力を重ねてきた。しかし、民泊で業者は届出制になれば、こうした組合加入の必要なくなってしまう」と語っておられました。一人一人、一軒一軒の努力だけではなくて、地域の長年の協力と取り組みで築いてきた宿泊者、地域や周辺住民の安全が失われかねません。民泊施設の宿泊者、ならびに周辺住民等の安全をどのように確保するのでしょうか。安全面への配慮をどのように条例に反映するのでしょうか、健康福祉部長にお伺いをいたします。

【健康福祉部長】

 住宅宿泊事業法に関連して、民泊施設に関する安全性の確保についてお尋ねがありました。

 民泊を実施する上で、安全を脅かすものとして懸念されるものの一つは火災でありますが、住宅事業法では、事業者に対し、火災等が発生した場合における宿泊者の安全の確保が義務付けられており、宿泊の用に供する面積が50㎡を超える物件にあっては、現行の旅館やホテルと同様に、誘導灯や自動火災報知設備等の設置が求められるなど、消防法上の規制がかかることとなっております。

 また、条例案におきましても、宿泊者に対する災害等の発生時における避難場所、避難経路等の必要な事項に関する情報提供を事業者の責務とし、宿泊者の安全の確保に配慮するとともに、違法行為を未然に防ぐため、宿泊者全員の本人確認や鍵の受け渡しを原則として対面により行うことを義務付けております。この他、住宅の安全性の基準や食品衛生の確保につきましても、それぞれの法令に基づいて対応することとなっており、宿泊者や周辺住民の方の安全確保に関し、県としても必要な取り組みを行ってまいります。以上であります。

【山口議員】

 先ほど消防法の規制について50㎡以上というお答えでした。逆に言えば50㎡以下は、この消防法の規制が適用にならないわけであります。また鍵の受け渡しも原則として対面ということであります。やはりこれはあくまでも原則であります。安全性がきっちり確保できるような具体的な対応も要望したいと思います。

 住宅宿泊事業法について、兵庫県は、学校や保育所など子育て施設や教育施設周辺100m以内、住宅専用地域での営業を全面禁止する条例案を発表したとお聞きしています。この厳しい姿勢について知事は、旅館業法でだめだと言っているのに、管理運営面から見て民泊の方が甘いわけなので、旅館業法とのバランスで決めましたと記者会見で述べておられました。また兵庫県の条例案は、城之崎温泉のような景観形成地区や、国民保養温泉地区、または国立公園や県立自然公園などは、夏季と冬季以外の月曜から木曜日に限定して営業を許可するというものです。こうした厳しい規制を持つ条例は他にも広がり始めているとお聞きしています。

 自治を掲げるこの長野県ですから、安全な観光地、そして長い間、長野県の観光を支えてきた既存の宿泊施設が安心して営業が続けられるよう、自治の理念がしっかり発揮される条例にしていただきたい、そのことを強く要望いたします。

4.県立病院機構の公的役割の重要性について

【山口議員】

 次に、県立病院機構の公的な役割の重要性について質問いたします。

 昨年12月に県立病院機構職員への一時金等の削減が行われました。10数万円減額された職員もあります。一時金等削減の理由は、病院運営の赤字が見込まれ、債務超過に陥る可能性があるということです。しかしこうした大幅な一時金等の削減は、職員の生活や意識にかかわる問題であり、他の公的病院や周囲の民間病院にも影響を及ぼしかねない重大な問題だと考えます。この間、県として県立病院機構の経営実態をどのようにとらえ、どのような対策を講じてきたのでしょうか。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 県立病院機構の経営実態の認識と、県としての対策についてのお尋ねをいただきました。

 県立病院機構の経営状況については、毎年地方独立行政法人法に基づき長野県立病院機構評価委員会が評価を行い、知事に評価結果を報告することとなっており、本年度は、経常損益で約2億6,000万円の損失となった平成28年度の業務実績について評価を行っております。

 財務状況に関しては、収益と費用の動向について各病院と機構本部から聞き取り調査を行ったところであります。その結果、収益が減少した要因として、診療報酬改定の影響や地域人口の減少、医師の非常勤化等が、また費用が増加した要因として、給与改定や共済制度の変更等があることが確認されました。

 委員からは、病院経営では給与費の増加と収益の増加が必ずしも連動しないことから、経営分析能力を高め、職員配置の最適化を図ることや、経営状況を踏まえた給与制度のあり方、個人の努力成果が反映させる人事制度のあり方等、法人としてより一層の工夫改善を図り、自立した経営に向けての取り組みを求める意見が出されたところであり、現在病院機構において、経営改善の具体的な取り組みを進めております。

【山口議員】

 この問題は労使間の問題だけではなく、独立行政法人という組織のあり方にもかかわる問題だと思います。現在、県立病院機構は第二期中期計画、平成27年から31年に取り組んでいる最中です。「地域の明日を医療で支える」をキャッチフレーズに、県民の視点に立ったより安心で質の高い医療サービスを安定的に提供するとして、人口減少や少子高齢化を見据えた医療の提供、地域全体の医療機能の向上、医療従事者の確保育成機能の充実と、看護人材の安定的かつ継続的な育成など5つの柱を基本とした取り組みを進め、県立病院としての公的使命を積極的に果たしていくとしています。

 機構のホームページに掲載されている久保恵嗣病院機構理事長の挨拶でも、信州医療センターは県立病院の中核的な病院で、内視鏡センターや健診センター等の充実が図られ、こころの医療センター駒ヶ根は信州大学医学部精神医学教室との連携大学院が開設されました。阿南病院は訪問診療看護などに実績があり、南信州下伊那南部地域の地域包括システムの構築に取り組んでいるとのことです。木曽病院は広大な木曽地域唯一の総合病院、また、地域がん診療病院です。そして、こども病院は小児集中治療室が8床から12床になり、長野県はもとより、長野県周辺の県にとっても小児医療の最後の砦と紹介をされています。

 どの病院もかけがえのない役割を果たしており、独立行政法人化により、採算性が重視されるあまりに、医療体制が影響を受ける、こうした公的な役割が後退することがあってはならないと考えますが、いかがでしょう。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 公的役割の確保につきましては、県が策定いたしました中期目標に、本県の医療政策を担う病院として県民への医療サービスの向上を通じ、県立病院として求められる公的使命を積極的に果たしていくことを位置付けており、そのために、県の政策医療や不採算医療に要する経費に対して、県から病院機構に対して運営費負担金として第1期から約3億円増額した54億8000万円を、毎年度財政措置しているところであります。こうした取り組みにつきましては、評価委員会において取り組み状況を確認の上、評価を行っております。以上であります。

【山口議員】

 病院経営をめぐっては、例えば消費税増税、国の診療報酬のカット、さらに人事院勧告などによる人件費増加など、経営環境の厳しさ、困難も確かにそれはあると思います。しかし、その責任を病院職員に負わせるのは筋違いで、経営上の問題と位置付けるべきだと考えます。

 こうしたことからも、そして独立行政法人の公的な役割を積極的に果たしていくためにも、県として機構への運営費負担金、先ほど54億8000万とありましたが、この運営費負担金の増額等を検討すべきときではないでしょうか。改めて健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 県立病院機構に対する運営費負担金の増額の検討についてのお尋ねをいただきました。

 先ほど申し上げました評価委員会では、病院機構に対して経営改善に向けた具体的な取り組みを速やかに着手するよう要望しており、先月開催いたしました評価委員会において、各病院、機構本部から取り組みの状況について聞き取り調査を実施しております。

 聞き取り調査の中で、病院ごとにさまざま収益確保、費用削減の取り組みについて説明があり、それらの取り組みを踏まえた今後の経営の見通しとして、平成30年度以降、経常損益で黒字に転換するとの見込みが示されたところであります。

 県といたしましては、診療報酬改定や地域人口の減少といった、県立病院が置かれているさまざまな経営環境の変化動向についても注視しながら、県立病院機構の経営改善の取り組みが着実な成果に繋がることを今後確認してまいります。以上であります。

【山口議員】

 経営環境が大きく変化することも当然予想されるわけであります。運営費負担金の増額だけでなく、貸し付け等緊急時の柔軟な対応や負担金の改定のサイクルの見直しなど、これは柔軟に検討していただくことも提案をさせていただいて、私の質問を終わります。

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