「水素エネルギーの利用促進を求める意見書(案)」賛成討論
2月県議会本会議において「水素エネルギーの利用促進を求める意見書(案)」の審議がおこなわれ、全会一致で可決されました。日本共産党県議団はこの意見書案に賛成し、備前光正議員が賛成討論をおこないました。
議第6号水素エネルギーの利用促進を求める意見書(案)に対する賛成討論
備前光正
議第6号水素エネルギーの利用促進を求める意見書(案)に討論をいたします。
本意見書案では水素エネルギーの活用は、二酸化炭素を発生させない水素製造技術の開発、安全性を確保した輸送・貯蔵方法の確立、水素ステーションの整備等、克服すべき多くの課題がある等指摘され、様々な課題の解決を求めております。
確かに水素と酸素を燃料電池内で反応させると水ができ、この過程で得られた電気エネルギーは二酸化炭素を排出しないため究極のエネルギーともいわれております。
しかし、化学物質としての水素利用はあり得ても、エネルギー源として利用可能な水素は自然条件下では存在せず、例えば天然ガスなどの化合物にエネルギーを使って約1000℃に熱して生成させなければならない、いわゆる二次エネルギーです。その過程では温室効果ガスが発生します。これを燃料電池で電気に変えるのは、水素を使ってまた電気を作り出すためエネルギー損失が多く、非効率であるといわれております。
貯蔵・運搬の点でも、水素は最も軽い元素であるため、燃料タンクへの圧縮重点は超低温と超高圧を必要とし、ばく大なエネルギー消費と輸送の安全確保にも技術的課題があります。
国の来年度予算にはオーストラリアの低品質の石炭であります「褐炭」から水素を得て、液化してタンカーで日本に輸送するという計画もあります。ところが劣悪な化石原料から水素を取り出すのは、天然ガスよりも二酸化炭素を大量に排出し、しかも総合効率も天然ガスの25%台よりも悪いといいます。
水の電気分解から水素を量産するという方法もありますが、2006年まで屋久島で行った「水素ステーションプロジェクト」では、豊富な水量と島の傾斜を利用した水力発電の再生可能エネルギーの電気を使って水素を作り出しても、総合効率は22%と、元の電気の4分の1以下のエネルギーになったといいます。しかもこれを変換効率50%の燃料電池で電気への再変換では、エネルギーは11%になってしまい、水力発電の電気をそのまま利用する方が約10倍のエネルギーとして使えるという結果でした。
識者らは原子力エネルギーを使った高温ガス炉の熱を利用し、水を高温分会することでの水素製造で、高い返還効率が得られると言いますが、これは実現しても使用済み核燃料の問題がついて回ります。
水素エネルギーの活用は、このような課題の解決がなされてからすすめるよう求めまして、賛成討論といたします。