2018年6月定例会 両角友成議員一般質問
両角友成議員が一般質問をおこないました。両角議員の質問要旨は以下の通りです(質問に対する答弁については追って掲載します)。
2018年6月定例議会(6月28日) 両角一般質問
日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告に沿って一般質問を行います。
1.林業行政について
まず初めの項目は、林業行政について、信州Fpowerプロジェクト、木質バイオマス発電の規模適正化についてであります。今年2月定例会、我が会派、備前光正県議の代表質問中、林業行政を質した中に、素材生産量49万8000㎥という数字は全県の総量なので、これが全てFpowerプロジェクトに来るわけではないと思います。恒常的に半径50キロからの材の供給がどのくらい可能で、しかも搬出の路網整備や林業従事者など人的な体制はどのようになっているかお尋ねします。併せて、実際にこの規模で製材と木質バイオマス発電とで採算がとれ成功しているところがあるでしょうか。改めて適正規模で分散化させるべきと思いますけれども、林務部長に伺います。この質問に対し、答弁で林務部長は、宮崎県や岡山県で事業化され、地域材の大きな受け皿となっています。このうち、宮崎県日向市の事例では、集成材製品と木質バイオマス発電を一体で行っており、発電施設の規模は1万8000kwで、年間19万3,000トンの木材を消費しています。今後発電施設を増設し、さらに規模を約2倍にする意向と聞いております。と成功例を示されました。
私たちは、この答弁を受け、宮崎県日向市の木材株式会社を視察させていただきました。9万坪の広大な敷地に土場や大規模加工工場。営業内容は、木材の製材及び販売、乾燥材・集成材の製造販売、プレカット加工、その他付帯する業務、最後にバイオマス発電事業となっておりました。基本にしっかりした製材事業があり、プレカット加工の製材量は年間約1万4,000戸相当。長野県内の住宅新築数年間1万~12000戸に匹敵します。
この会社、これからは、国産材製品輸出時代とし、世界の木材業界と競争できる日向生産方式が提唱されていていました。山主に対しては、あらゆる原木をすべて集める。建設会社・工務店には、多品種・全国に即納・欠品なし・バイオマス発電では、木材の無駄のない利用CO2やリスクのない環境発電とされていました。発電は、工場内で発生するおが屑などの燃料ですべて賄う、あくまで余剰で行う事業でした。
これに照らして、県のFpowerプロジェクトは製材部門がしっかりしない中での、大規模発電施設計画であり、この際、今一度、国・県の指導も行い、建材の製造販売を軌道に乗せ、そこから生まれる燃料となる、端材、材から7%出るおが屑、バーク、枝葉にいたるまで副産物の量を積算、それに見合う適正規模の発電施設にと軌道修正する必要性を強く感じてきましたがいかがでしょうか、林務部長に伺います。
「間伐材等未利用木質バイオマス発電」では、一律32円の買い取り価格が設定され、大規模発電所が作られる傾向になっていましたが、里山資源で取り組める地域主体の小規模発電ができなくなるの声に押され、ようやく2015年度から2,000kw未満の小規模発電に対して40円という新しい買い取り価格が設定されました。よって、全国的には小規模発電が増える傾向にあります。
小規模発電にはもう一つのメリットがあります。Fpowerは発電だけですが、小規模発電は発電の熱も利用できるコジェネーションが行いやすく、エネルギー効率が非常に高くなります。
県内の森林資源を使ってエネルギーを有効活用するという点からも地域活性化にも、里山資源を生かす小規模発電を普及していく必要性を感じています。昨年2月定例議会で、備前県議への中島副知事からコジェネレーションが望ましい姿の答弁も踏まえ、Fpowerプロジェクトにおける規模適正化にも絡めて、小規模発電に対する林務部長の見解を伺います。
長野県林業の再生、木材産業の振興を目的に、知事の肝いりで総事業費126億円。県の補助金25億円を投入した、Fpowerプロジェクトです。県として、もっと経営に関与し、例えば、新聞報道では、征矢野建材が、アメリカ等に床材を輸出とあるが、このことを県はどうとらまえているか、また4月14日に発電施設建設を11月にスタートと発表されたが、もう6月も末、今どこまで具体化されているか、着工の遅れから事業費が当初計画の1.7倍100億円の報道もあります。議会に状況を知らせていただく必要性を感じていますが、いかがでしょうか。林務部長に、また、オーストリアに知事自身トップとして林業視察に行ったと記憶していますが、その視察が現在林業にどう生かされているか、またどう生かそうとしているか知事に伺います。
2.介護保険の運用について
介護保険制度は2000年に、所得や家族支援のいかんにかかわらず要介護認定だけで必要なサービスが受けられる保険制度としてスタートした。地域で暮らす人の介護サービス量を勘案して保険料が決まる仕組みでしたが、25%の国の出し分を削りたいという政府の意向が強まり、次々と給付抑制が行われてきた。2015年には、要支援1、2が総合事業として市町村に移行され、訪問介護と通所介護を保険給付から外しました。十分なサービスが受けられない生活を強いられている高齢者が心配です。総合事業が1年経過しましたが、全国には事業そのものが成り立たない、専門職によるサービスを無資格者に、担い手となる事業者がいないなど、自治体もあるやに聞いていますが、県内の状況はいかがでしょうか。総合事業を頑張れば頑張るほど今度は、要介護1・2がプラスにと現場は矛盾を抱えています。
さらに、厚労省は、今年10月から、ホームヘルパーが高齢者を訪問し、調理や掃除を行う介護保険の生活援助サービスについて、厚労省が定めた基準以上に利用する場合、ケアマネジャーに市町村への届け出を義務付けようとしています。
「できるだけ生活援助を使わせないで」というメッセージではないでしょうか。住民は保険料を払っています。なるべくサービスを使えない仕組みにしていくのは、受給権を侵害するものと考えます。
届け出基準は、全国平均の利用回数を基にした、統計上の数字にすぎず、介護保険の本来の姿、その人の個別性、必要性に応じて介護サービスを使うのがあたりまえで、そこを全く無視した数字を基に、この範囲にというやり方は今までなかったことです。
市町村にケアプランを変更させる権限はありません。ケアマネに「是正を促す」のはあくまで任意の行政指導であり、ケアマネがそれを受け指導したことによって回数が減らされた結果、利用者が体調を崩したらこの責任はだれがとるのか。利用者の不利益になることを契約関係にない市町村がケアマネに指導できるのか。
財務省は、今回のケアプランの点検実績をふまえ、「利用者の状態像に応じたサービスの利用回数や内容等について標準化を進める」よう求めています。
介護保険の理念からかけ離れた標準化、さらにサービス利用制限するような、ケアプランの届け出の仕組みは撤回させるべきと考えますが、健康福祉部長の見解を伺います。
ある、ケアマネージャーは、必要な方に必要な介護を受けさせてあげたいといい、ある介護事業所の所長は、日常生活に困るから介護保険の使用が必要なのに、それがかなわない。今の介護保険は、憲法25条に違反していると怒りを持って話されました。
介護職員の確保が難しく、事業として成り立たなくなる。この窮状を県に、伝えてほしいと訴える事業者の方も。
抑制がかかる、要支援からは外された、通所介護の役割は「利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図ること」です。
6月22日の信毎には、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年度に、必要とされる介護職員数に対し確保できる見込み数の割合が、21日厚労省の推計に基づく分析で判明した、の内容で、100%の確保できるとした都道府県はなく全国平均86.2%、長野県84.8%。担い手が適切に確保できないと、高齢者が十分な介護サービスを受けられない恐れ。介護職員は、低賃金や重労働といったイメージから敬遠されがちで、このままでは将来も深刻な人手不足が避けられない。こんな報道でした。
2号保険者40歳から保険料を徴収され、65歳で1号保険者になり保険証が手元にあっても、介護認定されないと、本人家族が介護が必要と思っても、使えない、特養には介護度3以上でなければ入所できなくなった、ケアプランは有料にとハードルを上げる。保険料は2000年スター時から比べると倍に、利用者負担は2倍8月からは3倍になる方も。
現場が分からない人たちによる財源優先の理論で、サービスを使わせない制度になってきているのが一番問題だと考えています。県民の皆さんの生活に責任を負っている県として、国に予算の拡充を迫るなど抜本的な打開策を、また、介護保険の今後を県としてどう描いているのか、健康福祉部長の見解を伺います。