2018年6月定例会 備前光正議員一般質問
備前光正議員が一般質問をおこないました。備前議員の質問要旨は以下の通りです(質問に対する答弁については追って掲載します)。
2018年6月議会一般質問
6/29 備前 光正(12分)
1、主要農作物種子法廃止に伴う対策について
① 米・麦・大豆などを中心とする日本の優れた穀物の種子を長年にわたり国・都道府県が供給してきた「主要農作物種子法」が、3月末で廃止されました。
こうした中で、わが団は先月、条例制定した新潟県を視察してきました。優良種子は新潟米の根幹であり、米の主産県として、県育成の独自品種も多く、今後も県が主体となって、生産・安定供給体勢を維持する必要性があると判断し、条例化したといいます。
この度知事は突如、種子法に代わる県独自の条例を制定する方向で検討するとの意向を示されました。そこで条例は具体的にいつまでにどういう内容を目指し、また制定方法をどのようにお考えか伺います。
② 今回、農業競争力強化支援法の「都道府県が有する種子研究の知見を民間に提供すること」を盛り込み、種苗法に基づいて種子生産を続けるとしています。これにより公的財産である種子とその市場が外資系多国籍企業に独占され、安全な種子を得られなくなると危惧されています。これは遺伝子組換え種子を世界戦略で製造販売するモンサント社(6月にバイエルに買収)等の遺伝子組み換え種子の導入で、同社製除草材ラウンドアップを農地にまき、そこへ同社の同薬剤耐性の遺伝子組換え種子をセットで蒔くことで、「効率よく」収穫するという流れがつくられるというものです。
このように種子法廃止で、遺伝子組換え種子とこれに対応した農薬の国内流通が懸念されますが、新潟県ではイネ、大豆、トウモロコシなどにおける遺伝子組換えを規制する条例が先に制定されている経過があります。そこで長野県でも条例には食の安全の観点から遺伝子組換え対策を盛り込むことを提案しますが知事のお考えを伺います。
2、土地改良区について
土地改良法は農地解放直後の昭和24年、耕地整備法や水利組合法などを統合して制定されました。当時は自作農家が大半を占める耕作者中心の制度でしたが、近年は農家の高齢化や農村からの人口流出等の構造変化が止められず、兼業や非農家の増加へと変化してきています。この度土地改良区に加入してきた農家の方から、すでに畑地かんがい事業の特別賦課金の徴収期間は終わっているが、後継者も農業はやらないため、改良区からの脱退を求めたが、多額な賦課金を求められ、脱退ができないとお聞きしました。安易な脱退は改良区の施設の維持管理や夫役など、残る農家の負担増につながる公平性の問題も生じます。
そこで農政部長に伺いますが、
① 県内の土地改良区の数や組合員数および財政状況はこの間どのように推移し、どのような課題が生じているのでしょうか。関係者からも不安が寄せられている賦課金等の負担金について、特に土地改良組合の建設事業の経費は、利用の如何に関わらず組合員負担になっていますが、賦課金の徴収状況等はどうなっているのでしょうか。
② また、農家の高齢化は農水省のデータでも、本県の基幹的農業従事者は65歳以上が71.7%を占め、高齢化と離農が進行しています。高齢や後継者がいないことで耕作できなくなり、離農せざるを得ない状況になっても賦課金を支払い続けることは困難だとの声も聞きます。また、子どもが親元を離れており、相続時に賦課金があることが発覚するなど、支払うことへの理解が得られにくい事例も聞きますが、こうした実態に見合った対応を検討はできないでしょうか。
③ また、土地持ち非農家の増加や農村の過疎化・高齢化・混住化等に伴う集落機能の低下傾向にあるのですが、土地改良施設の将来にわたっての維持管理、更新を適切に行っていく必要性はあります。そこで、本県における土地改良区の組合員の農家非農家の構成はどのような状況にあるのか。また先般、土地改良法が改正されることになりましたが、新設される准組合員制度とともに負担金や夫役等の扱いはどのようになるのかお尋ねします。
3、無料低額診療事業について
全国保険医団体連合会が公立学校を調査した「学校歯科治療調査の中間報告」の長野県分では、小学生で4割強、中学生で6割強の子どもが要歯科受診とされても受診していないという状況にある結果となっています。しかも口腔崩壊という一人で虫歯が10本以上ある、歯の根しか残っていない未処置歯が何本もある子どもに出会ったことのある養護教諭は4割以上にのぼったとあります。
そこで教育長に伺いますが、
① このような歯科検診も含めともに行われている学校検診で、異常が指摘され要精査となった子どもたちの検診後の受診についてはどう把握されているのでしょうかお尋ねします。
② さらに健康福祉部長に伺いますが、無料低額診療事業について「公的医療機関こそ率先実施すべき」と2月議会の代表質問で求めましたが、部長は「生活保護受給者、及び無料または減免患者数が延べ患者数の一定以上であることなどさまざまな条件があると」と答弁されました。しかしこれは今述べたように、地域では「患者になれない病人がいる実態」を知ろうとしない姿勢ではないかと医療関係者から指摘されました。県が実施した子育て世帯の生活困難度の調査でも、生活困難家庭は24.5%と実に4軒に一軒に上っています。そして過去一年間に子どもが体調を崩しても医療機関を受診させなかったことがあるのは36.2%、そのうち19.7%は公的医療保険加入しても自己負担金を支払えないためと結果が出ています。そこで、健康福祉部長に伺いますが、こうした子どもたちを含む世帯が、発病時に経済的な理由で医療機関に受診できていないことをどう県として対応するおつもりか。そこで先ず学校現場では就学援助制度がありますが、この説明の際に無料低額診療についての案内を市町村と関係機関と連携して周知していただきたいと思いますがどうでしょうか。
さらには税を投資している県立などの公的病院でこそ無料低額診療事業を実施し、県民の受診機会を促すべきであると考えますが、特に県立木曽や阿南病院などは立地的にも住民に多大に寄与すると思いますが、どのように対応されるか伺います。
③ 薬局・調剤部門での実施の同制度の必要性について伺います。現状では無料低額診療事業により受診はできても、保険調剤薬局において経済的な理由で調剤を受けられず、治療を中断される方がいるため制度の趣旨に則っているとは言いがたい状況だと関係者から指摘されています。厚労省のデータでは2016年、全国で同事業実施医療機関664施設中、院内薬局をもつのは440施設ですが、このうち実に85%の377施設が何らかの形で院内調剤から持ち出ししていることがわかります。
医薬分業により国制度で調剤が無料低額診療から外されてしまったのですから、本来、国の責任において実施されるべきです。部長は2月の私の代表質問の答弁で「福祉医療や生活保護の福祉制度につなげている」と言われましたが、本県は生活保護の捕捉率が全国一、二の低さで容易には認定されないことはご存知だと思います。今年度の大都市民生主管局長会議の提案にも「保険調剤薬局での自己負担については国が進めてきた医薬分業に起因するもの」「早期に社会福祉事業としての位置づけが明確になることが望ましい」「国が責任をもって対応すべき」とあり、これを参考に国に働きかけていただきたいのですが健康福祉部長に伺います。
4、障害基礎年金の認定全国一元化について
① 昨年4月からの年金機構一元化したことによって、障がいの程度はこれまでと変わらないのに、打ち切り相当とされる受給者が発生しています。昨年、日本年金機構は「20歳以降」に障害を負った約2900人の受給者を等級非該当として支給を打ち切ったといいます。そこで県関係者の人数や生活状況についてはどのように掴んでいるのでしょうか。また、同様に機構は20歳前からの障がいがある人については1年間の猶予を設け再審査し、1010人が「障がいの程度が軽い」と判断され、5月末に打ち切りを予告しました。しかし、機構は当事者等から「生活実態が変わらないのに打ち切りは困る」との苦情が寄せられ、6月25日に撤回したことが報じられています。これについても長野県関係者についてはどのようにつかんでおられるのかお尋ねします。
② 年金機構は2014年に、障害年金の認定判定が都道府県により、不支給率に最大6倍の開きがあるとの結果を出し、この中で長野県は申請での不支給決定が低い県の10県に入っているとされています。そこでこの認定率の開きの原因はどういうことが考えられるか。
③ また今回の認定により、主な収入源も断たれ、極端に減少するなど、ある県内在住者からは「報道を知り、自分は薬代だけでも月15000円くらいかかるのに不安になる」との声も寄せられています。昨年の認定で不支給になった方々の収入減少などによる生活への影響も懸念されますが、早急に外された障がい者の生活実態の調査と対応を講じるべきと考えますが、どうお考えか健康福祉部長に伺います。