2018年6月定例会 小林伸陽議員一般質問
小林伸陽議員が一般質問をおこないました。小林議員の質問要旨は以下の通りです(質問に対する答弁については追って掲載します)。
平成30年6月定例会一般質問 小林伸陽議員(2018年6月29日)
それでは、通告に従い質問をいたします。県政史上最大の不祥事、大北森林組合等の不正問題についてお尋ねをいたします。大北森林組合補助金等不正問題は、7年間の長期にわたり不正が継続され、16億円余という莫大な補助金が不正に扱われ横領事件まで及んだこと、さらに国からの加算金として3億5,300万円が課せられる、長野県史上類を見ない不祥事となりました。なぜ7年間もの長期にわたり不正が繰り返されてきたのか、その原因について知事にお尋ねいたします。
28年1月に公表して以来3年5カ月が経過しているのに、6月11日には新たに大北森林組合に賠償請求を求めるなど、いまだに責任の所在が揺れ動いており解決のめどが見えません。この事件の全面的な解決の見通しについて、知事にお尋ねいたします。
次、どんな事件でも、その事件の全体を解明する上で、動機の解明は最大の課題です。また、再発防止の観点からも解明は欠くことができません。例えば強制されたものなのか、自ら主導的に行った事件とでは、処分も再発防止の対策も大きく違います。改めて、賠償請求をした11人の職員一人一人がどのような思いで仕事されていたのか、林務部長にお尋ねいたします。
全く答弁になっていないので私のほうから聞きます。県は聞き取り調査も行いました。
中村元専務の裁判にも常時傍聴に参加しておりました。私の調査では、職員の訴えは共通しています。
本庁からの予算消化の厳しい指導、不正を前提とした予算の消化が押し付けられた等々、悲壮な証言をしています。こうした証言から、この不正が起き7年間も継続されてきたことは明白であります。
法的検討委員会の碓井委員長も記者会見で、「ヒアリングを実施したわけでありますが、私どもの判断するプロセスにおいて、率直に言って、地方事務所の職員の受けとめ方と本庁職員の受けとめ方のギャップがあった」と言われております。これらの証言と県の認識は大きな乖離があり、到底理解できません。
現地職員11人のみに賠償責任を問うことは、事件の本質を誤り、再発防止の観点からも、到底理解できません。職員の不正に入った理由を解明せず、誤った認識の下で対処してきたことは明らかです。現場職員の声を聞かず、聞く耳を持たず、聞いた上司は何の対応もせず、組織的検証を行わなかったことは、歴史上かつてない不正事件を生み出してきたことは疑いのない余地があります。これらの実態をどのように受けとめているか、改めて林務部長に伺います。
それでは知事にお尋ねします。中村元専務及び森林組合の裁判で採用された職員の供述書を紹介いたします。Aさんの証言。「20年の2月、県庁森林整備課造林緑化係長から森林整備予算1,500万円を消化してほしいと依頼。年度末のこの時期に1,500万円を消化するのは不可能と思った。不正をすることを前提にした依頼であった。私としては、到底無理難題を言われたのです」。Bさんの証言。「23年3月17日午後5時20分ごろ、県庁造園課緑化係より電話で、森林環境保全事業残金1,800万円前後が残っている。これを6回に分けて申請をお願いしたいとの要請。県が3月に入ってから消化を依頼してくることはおかしい。県が執行できない予算の引き上げを認めてくれず、強引な予算消化の依頼をしてくることがなければ、組合に闇繰越を依頼することはなかった」。Cさんの証言。「26年2月中にまれに見る大雪。物理的にも作業ができないことは、県庁担当者も理解してくれているだろうと思っていたが、ところが3月に大量の申請が大北森林組合からあった。これは闇繰越の前提は明らか、闇繰越で予算消化は県や係では共通の認識でした。一生懸命仕事をしているのに、自分ばかりが不正な書類を作成させられなければならないのが納得いかない。なんとやるせないむなしい気持ち」。Dさんの証言。「私は闇繰越を前提にする予算消化や予算の押し付けに本当に悩み苦しみました。県が予算の引き上げをしてくれたら、これほど悩まなかった」。これらの証言を聞けば、それだけ悩み苦しみながら不正と知りながら仕事をしていたから分かります。この現場職員のみに損害賠償責任を課すことは、到底理解できません。知事はこれらの証言を聞いても何ら疑問も感じず、妥当な処分と考えているのかお尋ねをいたします。
職員からの聞き取り調査で、法廷の証言とは違うという答弁でありますけれども、私は到底そんなことは理解ができません。最近の県政ホットラインの中でも、職員と当時の関係者がやりとりをしているのを見ても、本当に矛盾を感じてなりません。
そこで、森林組合法による林務部として森林組合をどのように指導され、これまでの指導にどんな問題があったのか、林務部長にお尋ねします。また、会計局も事業調査を行っていますが、調査の実態と問題点をどのように考えておられるか、会計管理者にお尋ねをいたします。県として不正を認識したのは、いつ、どんなことがきっかけで明らかになったのか、知事にお尋ねします。
林務部の業務に最も精通され、当時の県予算の執行に携わっておられた林務部長にお尋ねします。和田議員の質問に、「当時、予算は全部年度内に使い切ろうと現地にお願いした記憶もございます。大きな事案につながった話は、極めて反省すべきだろうと思っています」と答弁されております。林務部の不正を認識したのはいつか、どんなきっかけで林務部が認識したのかをお尋ねします。
次に、国が請求した3億5,300万円の加算金の請求の根拠についてお示しください。県は当初、加算金については県が全面的に責任を負い、経費の捻出には仕事改革を進め、経費の削減を図り、財源の確保に取り組むとしていたのに、なぜ方針を転換されたのか林務部長にお尋ねします。
県は、大北森林組合に新たな6,748万円請求されました。その他の個人や団体に請求されたその額と請求根拠についてお尋ねします。また請求の残額はどのように処理されるのか、林務部長にお尋ねします。
次に法的課題検討委員会の報告を受け、11人に450万円の賠償を求めましたが、裁判での職員の証言や、わが党独自の調査の中でも本庁林務部による予算消化の圧力や、不正前提の仕事の推進などの指導に始まったことは明らかです。なお、27年には県職員25名に対して懲戒処分が行われているのに、なぜ11人のみに損害賠償請求がされるのか、到底理解ができません。損害賠償請求の根拠と妥当性について、林務部長にお尋ねをいたします。
知事と林務部長に、この事件の認識のきっかけは何であったのかということも聞いておりますので、お答えをいただきたい。それから、国の加算金について、県の指導に対するものだと言いながら、それぞれの個々の団体や個人に請求をしていることと、団体個人に請求された分が、ただいま報告の中では9,017万円になろうかと思いますが、残金はどのように処理されるのかお答えをいただきたい。
加算金の問題では今、林務部長は、それぞれに9,017万円の請求をされていましたが、これは職員にも450万請求しているんです。そういう中で、残りは県が仕事改革でやる、こんないいかげんなやりくりの根拠は全く理解ができません。改めてその配分の具体的な中味を教えていただきたい。
次に、裁判の証言からも我が党独自の調査でも、不正の解明は、本庁林務部がその気になれば初期の段階で解明できたが、個人の認識にとどまったというのでしょうか。しかしKさんの顛末書には、平成24年の造林緑化の予算の押し付けがむちゃくちゃ厳しくて、特にK担当係長は地方事務所の言い分を全く聞かずに予算を押し付けてきた。北安曇の実態を説明したら黙ってしまった。しかし結局予算を押しつ付けられた、予算の執行が厳しいと、1月、2月に係長、担当者が県庁に呼び出されつるし上げられた。
26年の4月10日には、本庁造林課緑化係長と話し合いで、現場が完了していない状態で補助金を支給をしないよう、誤った手続きを今年度の北安の職員にも強いるのかと抗議していることも明らかにされた。6月18日、本庁職員によるSP循環指導の際、大北森林組合の未完了事業の実態が報告され、2011年ころから、当時の現地職員から問題を繰り返し告白されていながらただされず、チェック機能が全く動かなかった。林務部長になぜチェック機能が動かなかったのかお尋ねいたします。
知事にお尋ねします。大北森林組合補助金等検証委員会の報告には、北安曇地方事務所林務課の事業量が増大してといたことは把握していたものの、増員等の対応をせず、林務課が十分な現地調査を行えなかったことが要因の一つとなっていると指摘され、北安曇地方事務所林務部課を指導する立場にあった本庁林務部が自ら策定したアクションプランや、それに基づき配分した予算が現地でどのように執行されていたのか把握を怠っていたことは、組合の適正受給を長期間にわたって継続させた要因になったものと考えると、本庁林務部の責任を指摘しています。にもかかわらず、現場職員のみに損害賠償請求、請求の根拠、整合性についても県民や職員の納得のいく説明が全くありません。このような事態をどのように考えておられるか知事にお尋ねします。
大北森林組合の指導責任を持つ林務部は、現在の組合の現状どのように理解しているのか、組合の経営・財務状況をどのように認識しておられるのか、負債はどの程度抱えておられるのか、33年間で返済できるという根拠を林務部長にお尋ねいたします。
職員が相次いで退職、現在の職員は6名程度と言われています。これでは返済どころか、毎年赤字。私の試算では、大北森林組合の負債は13億2,940万になるんではないかと。細かい数字は言いませんけれども、確かめていただきたいと思います。
経営の実態から見て、これだけの負債を抱えて、再建計画どころか、まさに破綻寸前としか考えられません。大北森林組合の債務は、13億円と気の遠くなるような額です。県下の森林組合も経営実態を見ても、到底返済できないと指摘されています。何を根拠に返済できるか、判断されたのか林務部長にお尋ねします。
大北森林組合再建にとっては、多額の負債をどう縮減するか最大の課題だと思います。そこで伺います。期ずれ、闇繰越などの不正は認めながらも、国の補助金返済の中に確実に実行した事業があります。
これがどのくらいあるのかお尋ねします。ある弁護士は、このことについて国に対して実際に仕事を行っているものは減額を求めるべきとの指摘もありますが、林務部長はどのように対処されたのか、お伺いいたします。
次に、我が党県委員団は、全貌解明のために今、なぜこのような不正が長期にわたって行われてきたか、職員からの聞き取り調査の資料請求や法的検討委員会の議事録の開示を求めてまいりましたが、全く開示されませんでした。ことごとく黒塗りでのり弁、個人情報ということで開示されませんでした。知事は、情報公開の原則をどのように考えておられるのかお尋ねします。
最後に大北森林組合補助金不正受給等検証委員会の報告には、本庁林務部では必ずしも地域事業や地方事務所の能力を十分考慮せず、アクションプランの間伐目標面積について地方事務所ごとに配分を決定し、年度内の予算執行を依頼することになった対応を取っており、北安地方事務所林務課において、その予算消化のための不適正な申請依頼の要因の一つになっている。また法的検討委員会の碓井委員長は記者会見で、この委員会は率直に言えば第三者機関ということにはならないと思うと公正さに疑念を示されました。現地職員の悲痛な訴えから見ても、本庁林務部の関与の解明が真に求められておると思います。再発防止の観点からも、この事件の本質を解明すべきと思いますが、知事の所見を再度伺います。
大北森林組合の再建計画、その中身について伺いました。大北地域は森林資源が豊富だから、これを活用すれば返済できるという答弁でありました。こんないいかげんな答弁が、私は通用するのかと。例えば海に魚が豊富にいるから漁業をやれば再建ができると、船は1台もない。これで再建できるのかという問題だと思います。そういう点で、こんないいかげんな再建案は本当に許されていいのかということをつくづく指摘しておきたいと思います。
また、国に減額を求めるべきではなかったかという質問に対して答弁がありませんでしたので、お聞きします。
この大北森林組合の問題では、ほとんど情報が請求をしても公開されないという異常な状況が続いています。こういう情報公開のあり方に私は本当に抗議をしてまいったところであります。これから情報公開をしっかり求めていきますので、誠心誠意を持って情報公開に応えていただくことを心から要望して、私の質問を終わります。