2019年2月定例会 小林伸陽議員一般質問
- 【小林議員】
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それでは、この議場で最後の質問をさせていただきます。この間、若干消化不良だった3点について知事にお尋ねをいたします。
1.消費税増税について
- 【小林議員】
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知事は山口議員の質問に「消費税は重要な財源、地方自治を担う我々は評論家であってはならない」と増税推進の立場ですが、消費税は赤ちゃんのミルクからおむつ代も、保育園児から大学生の生活費、教材にまで、寝たきりの高齢者の介護用品など、所得がない人に課税がされ、所得の低い人ほど負担が重くのしかかり、アベノミクスで広がった貧困と格差をさらに拡大させた上に、生活保護世帯にも容赦なく課税、中小企業にとっては死活問題と指摘されている税金であります。
消費税が導入されるまでは、税の基本は所得税と法人税でした。消費税が導入される前と現在を比較してみれば、法人税は19兆円が12.2兆円と、6.8兆円もの大幅減収であります。所得税も21.4兆円から18兆円と、3.4兆円の減収です。一方消費税は30年前のゼロから実に17兆6000億円とうなぎ上りであります。10%になれば25兆円、日本の税収のトップに躍り出ます。
所得もない者からも容赦なく課税する一方で、カルロス・ゴーンさんのような高額所得者には減税、法人税の減税も行われ大企業は史上空前の利益を上げ、内部留保は400兆円にもなります。さらなる減税は、到底理解ができません。
知事はこのような国の税制をどのように評価されているのか。税制のあり方を抜本的に改善すべきと思いますが、知事の見解をお尋ねいたします。
- 【阿部知事】
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消費税をどのような税金と認識しているのかというご質問でございます。
税負担は、個人の立場からすれば、軽ければ軽いほどありがたいという部分はそのとおりだというふうに思います。ただ、社会全体が負担を分かち合いながら成り立っているわけでありますので、適正な負担と受益、この関係性をしっかり意識しながら行政に取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。
急速な少子高齢化の進展によりまして、社会保障関係経費は年々増加をしております。持続可能な社会保障制度を構築していく上では、消費税率の引き上げ、これは必要なものというふうに思っております。高齢者の増加の中で、現役世代の社会保険料など負担が高まってきております。特定の世代に負担が集中せず、高齢者も含めて、国民全体で広く負担する消費税が社会保障の財源としてはふさわしいものというふうに考えております。
今回、消費税率の引き上げにおきましては、幼児教育の無償化、高等教育の無償化、介護人材の処遇改善といった社会保障施策の充実が予定されておりますし、また低所得者の方々に配慮するための介護保険料の軽減であったり、年金生活者支給給付金の支給も予定をされているところでございます。消費税率2%引き上げのうち、0. 5%は地方消費税、0.12%は地方交付税ということで、我々地方公共団体の貴重な財源でもあるわけであります。こうしたことを、我々しっかり念頭に置きながら取り組まなければいけないと思っております。
県民の皆さま方に新たな負担をお願いするわけであります。私ども県としても、これ国もあわせて、さらに、効率的で効果的な行政運営を心掛けなければいけないというふうに思いますし、またこれまで以上に、財政運営についての説明責任が求められていくこととなります。こうした自覚を常に持ちながら、県政運営を行っていきたいと考えております。以上です。
- 【小林議員】
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さらに消化不良があります。所得税の税の負担率は、1億円の人が26.5%です。100億円になると14. 2%。法人税は1000万円が23%、100億円が19. 5%です。なぜこんなに金持ちを優遇し、庶民の税金を増やさなければならないか、私はここの消費税の仕組みをお尋ねしているわけであって、県の財源をどこから求めるかという問題ではなく、本当に消費税の仕組みに知事は何の関心も示さず、集まればいいという姿勢で本当にいいのかもう一度お尋ねします。
- 【阿部知事】
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小林議員にご指摘いただいているのは税体系全体の問題だということで、消費税部分だけの話ではなくて、法人税あるいは所得税、消費税バランスを取るべきだというご指摘だろうと思います。
もとよりこの税制は、未来永劫固定的であるべきものではないというふうに思いますので、当然そうした負担のあり方の議論というものは、これは行われる必要があるというふうに思っています。
ただ、その消費税の今回の引き上げについては、先ほど申し上げたような理由から、これ税率を上げることはできるだけ抑制しなければいけないのは我々の役割だというふうに思いますけれども、しかしながら、今日的な状況を考えれば、やむを得ないものというふうに思いますし、我々としては税を使わせていただく立場でありますから、しっかりと県民の皆様方に必要性をお話をして、そしてご理解いただけるようにしていくということが重要だというふうに思っています。以上です。
- 【小林議員】
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消費税の問題では、能力に応じて税金を納めるというのが日本の税金の原則であります。所得の高いものや収入の多いものに減税をして、消費税を庶民に、何の収入もない人に課すことは私は決してあってはならない。このことを強く申し上げて次の質問に入ります。
2.米軍基地問題について
- 【小林議員】
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辺野古の土砂の埋め立ては、沖縄の県民の意思も地方自治も土砂で埋め尽くしてしまう暴挙です。辺野古の基地問題ついての質問に対して知事は「十分存じ上げない私が公の場での発言は差し控える」との答弁でした。
米軍基地の7割が沖縄に集中し、米軍の訓練が学校や保育園の真上で日常的に行われ、その騒音は通常生活の限界を超えており、米軍の犯罪も多発し、その対応に県民の怒りは大きく、全国知事会も日米地位協定の抜本的見直しを、政府と米軍に求めているなど抗議の声が広がっています。翁長知事は亡くなる直前まで、沖縄の基地問題は沖縄だけの問題ではない、日本全体の問題だと訴え続けられました。24日の歴史的な辺野古移設について県民投票が行われ、県民の意思は反対72%と、圧倒的多数で県民の意思が示されました。
こうした沖縄の悲痛な叫びに、知事の答弁は同じ地方自治を預かる知事としてあまりにも他人事で冷たい答弁ではないか。改めて県民投票の結果踏まえて辺野古埋め立てについて知事の所見をお尋ねいたします。
- 【阿部知事】
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沖縄の基地問題についてのご質問であります。
私自身そんなに冷たい人間だというふうに思っておりません。これは日米同盟を基軸にしている問題であります。日米同盟は民主主義国同士の同盟であるわけでありますから、当然国民の意思が基礎になっているということであります。こうした背景であったり、今小林議員のお話にもありましたけれども、米軍専用施設、沖縄県に所在する面積は、全国の約7割ということで、依然として極めて高い状況にあるわけであります。また、これまで沖縄が歩んでこられた歴史、こうしたものを踏まえますと、国民全体が沖縄の方々の思いを共有して考えなければいけない問題だというふうに思っております。
ただ、これ防衛政策、安全保障上の方問題であります。こうした問題については、国が責任を持って対処すべき事項であります。したがいまして、今回の投票結果も踏まえて、国と沖縄県との間で十分な対話が行われることを、心から期待をしているところでございます。以上です。
- 【小林議員】
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防衛問題だからといって、沖縄県民の人権や暮らしを奪ったことは私は絶対許されないと、国民の幸せのためにも地方自治が守られ、さらに発展することを心から希望をして、次の質問に移ります。
3.大北森林組合等補助金不正事件について
- 【小林議員】
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長野県政史上最大の不祥事である大北森林組合不正事件は、事件にかかわったとする職員の弁明や証言は、我が党の情報公開請求に対し全て黒塗り、ことごとく非公開という異常な対応です。県は自ら調査は行わず、法的課題検討委員会や監査委員などに丸投げし、結果のみの報告、審議内容や議事録も全く公開せず、知事は丁寧に説明してきたと言いますが、事件の解明に最も必要とされる、不正を行った職員などの動機や弁明も公開せず、丁寧な説明と言われても到底理解ができません。
さらに大北森林組合の再建のために、職員1名を兼務で派遣すると言いますが、その程度で再建できるほど楽観しているのでしょうか。9億円の補助金の返還は誰が見ても不可能との評価であります。知事は具体的な根拠も示さず可能との見解です。その根拠と知事在任中に返還が計画どおり進まなかったときには、どのように責任を取るのかお聞きします。事件の全貌の解明と再発防止の決意をお尋ねいたします。
- 【阿部知事】
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大北森林組合に関連して、補助金返還が本当にできると考えているのかという1点ご質問をいただいたと理解していますがよろしいでしょうか。
- 【小林議員】
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決意です。
- 【阿部知事】
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大北森林組合の補助金返還の見込みにつきましては、まず、大北森林組合は平成29年の1月に事業計画と補助金等返還計画を策定をしたところでございます。県としては組合から提出された当該計画につきまして、根拠等を精査し、林務部改革推進委員会のご意見を踏まえ、実現性、確実性の観点から、概ね妥当なものというふうに判断したところであります。
組合ではこの計画に基づき、2020年度までを集中改革期間と位置付けて、経営再建に向けた取り組みを進めているところでありまして、現在まで計画どおりの補助金返還が行われているところでございます。一方、組合においては、コンプライアンス体制整備されましたものの、将来にわたって経営を安定化させるために、必要な森林組合の根幹であります森林整備事業を早期に確立していくことが必要だというふうに考えております。早期の森林整備が本格化し、今後とも計画どおりの返還が行えるよう指導・支援の両面から取り組んでいきたいというふうに考えております。こうした補助金返還がしっかり行われるように、我々県としても取り組んでいきたいというふうに思っております。以上です。
- 【小林議員】
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大北森林組合の問題は、本当に県民が依然として説明不足という声を聞いておるわけであります。こうした事件の解明には、その事件を起こした人の動機や弁明が明らかにならない限り、本質は明らかになっていかないと。例えば殺人事件でも、親の介護に疲れやむにやまれず手を出した殺人と、物を取ろうと民家に侵入し寝ている子どもを殺害した殺人事件では、全く違う結果になるわけであります。そういう点で、この大北森林組合の実際に行われた皆さんの心情を明らかにすることは、私はこの事件の解明にとっては欠くことのできない課題だというふうに思っておりますが、これがことごとく黒塗りにされてきたことは、私は残念でなりません。
- 【小林議員】
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今後の解明を期待して、私も20年間県議会に送り出していただきました。この間、吉村知事、田中知事、村井知事、そして阿部知事と、4人の知事でした。
阿部さんとは最も長い10年近いお付き合いをさせていただきました。田中知事の副知事として脱ダム宣言や事業見直し、そして最初の知事選には、長野県型事業仕分けを徹底して行い、それで生まれた財源を医療や福祉や子育てに支援をすると、県下各地で事業仕分けを県民参加の下に推し進めていた姿は、私は大変期待もし、共鳴もし、感激もいたしました。しかしこれも、多くの会派の皆さんに反対をされて、残念ながら1年で終了しました。
これらを見ると大変残念でありますが、本当にこの長い間この議場で議員の皆さんに、さまざまな分野でお世話になったことに心から感謝申し上げます。議場におられる全ての皆さんに、ご健勝でご活躍を願うと同時に、長野県のますますの発展を心からお祈り申し上げ、最後のご挨拶とさせていただきます。本当にありがとうございました。