日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2019年2月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 福祉医療制度について
  2. 介護サービスについて

1.福祉医療制度について

【和田議員】

 はじめに福祉医療制度についてお伺いいたします。

 子ども医療費は、昨年8月から現物給付になり新しい制度になってから医療機関を受診した方々から「急な診察の時でも500円の支払いなのでとても助かりました」「子どもにかかる薬代が毎月すごくかかっているので、新しい制度はありがたいです」など、実感がこもった声が寄せられています。

 知事はじめ、関係部局・市町村にもその声は届いていることと思います。

 福祉医療給付制度の改善を進める会は、国が現物給付へのペナルティー廃止を未就学児に限った中で国の施策の枠を越えて中学卒業まで所得制限なしで現物給付としたことは大きな前進であり、英断を下された阿部知事に敬意を表したいと表明しています。

 県として、新しい制度の定着と円滑な運営に努力していただいているところでありますが、子育てで頑張っている皆さんからは自己負担金をゼロに、高校までなど拡充を願う声も相次いで寄せられております。

 さらなる拡充を求めてお聞きします。

 冒頭にご紹介したとおり、子ども医療費の現物給付によって急な病気やケガでも手持ちのお金の心配なく医療機関を受診できることで安心だと喜ばれていますが、1レセプト500円の自己負担金は、「病院と院外薬局で合わせると1,000円。自己負担金を払うなら窓口無料とは言えない」「子どもが2人以上受診すれば、やはり負担は大きい」とか、「子どもが3人います。窓口負担が500円で済んでありがたい制度です。今後0円になるとさらに子育てしやすくなりますのでぜひ無料になるようにしてほしいです」など、これはたくさんの声のほんの一部です。

 県として子どもと子育て家庭の生活実態調査をした結果からも生活困難世帯が25%という実態にあり、見えない貧困という状況です。自己負担金は医療費を患者が負担するものだという、一部の負担は当然という姿勢は、500円・1,000円がなくて受診できない、最も困窮し、最も支援を必要としている世帯から医療を受ける機会を奪うことになっているのではないでしょうか。1レセプトあたり500円の自己負担金について見直しを求める声をどうとらえているのかお伺いします。

 病院と薬局それぞれ500円の自己負担金は、子どもの多い世帯にとって重い負担になっていることをどうお考えになっているのでしょうか。自己負担金をなくしていただきたいと繰り返し要望し、質問をしてきました。せめて病院に行く機会が多い未就学児までは、完全無料化をすることはできないかなど、具体的な検討をしていただきたいと思います。

 健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

 福祉医療の未就学児までの受給者負担金の見直しについてのお尋ねでございます。

 議員ご指摘のように、子ども医療費の現物給付方式導入が多くの県民の皆さんに評価され、歓迎されていることは大変喜ばしいことと考えております。

 受給者負担金をゼロにできないかというご質問でございますが、子育て支援の観点から、今回の子ども医療費の現物給付の導入を市町村との協議の結果決定をいたしました。この市町村との協議の中で、受給者負担金のあり方については、市町村の意向調査を実施し、現行と同様とするとの回答が77市町村の8割を超える結果となりました。

 この調査結果を踏まえ、福祉医療給付事業検討会において、将来にわたり持続可能な制度として、県民福祉の向上に寄与するため、現行の1レセプト当たり500円を維持することが適当であるとの議論の取りまとめがなされました。

 本県の福祉医療制度は、市町村のご協力もあり、全ての市町村で最低中学卒業まで所得制限なしで、これ全国都道府県では所得制限をかけているところが多い状況でございますが、所得制限なしで利用できるものであり、全国的に見ても充実した制度であると考えております。

 受給者負担金の廃止については、委員ご指摘のようにご要望があることを承知しておりますが、まずは現物給付方式の導入による受診動向の推移や、国の減額調整措置の動向を注視してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【和田議員】

 自己負担金については、市町村との協議の中で決めた制度の維持のためと言われますけれども、しかし市町村においては、福祉医療を拡充するために独自に予算措置をしています。県は通院において対象を未就学にしているところを、県内の市町村では中学、そして高校卒業するまで拡充するため、長野市をとってみても単独で3億7,000万円の予算措置をしています。そういうことを考えれば、県として本当に拡充するために、自己負担金を廃止するために、予算措置をしていただきたい、そういうふうに申し上げておきたいと思います。

 次に、障がい者の医療費についてお伺いいたします。9月議会の代表質問で、福祉医療制度として、子ども・障がい者・ひとり親等への医療費助成を行っている中から、子育て支援を優先させ、子ども医療費の窓口無料化を実施をしたが、障がい者の医療費は自動給付方式のままで取り残されていること、障がい者の高額に上る医療費を窓口でいったん支払う負担の重さを県はどう把握しているのか、どう受け止めているのかについてただしましたが、国庫減額調整措置による国庫負担金の減少や、健康保険組合への付加給付の停止の影響により、県および市町村に新たな財政負担が生じること、国に対して国保減額調整措置の廃止、いわゆるペナルティーの廃止を要望しているとのご答弁がされ、医療費の負担など、どう把握しているかは明確な答えを頂いていません。

 そこで、改めてお聞きします。例えばNさんは、医療費は月平均5000円、リハビリ月2回、メンタルクリニックは2カ月に1回、体調により内科受診、血液検査を合わせれば10,000円。Sさんは医療ケアの入所施設が見つからず、三才山病院に入所、入所代月平均25,000円、コルセットをつくることで80,000円全額支払い。Yさんは3カ月に1回受診して、1回5万円かかってしまうなど、医療費の負担は多額になっています。そして、医療機関を受診するにも車いすでの移動、家族による送迎、医療機関も限られているため、遠距離へ移動中の体調を管理しながら、ご本人もご家族も大変です。

 経済的に困難を抱えている障がい者世帯においては、いったん窓口で医療費を支払う償還払い方式の負担感がどれほど重いものになっているか、ご本人やご家族と懇談する機会で県への要望が繰り返し出されていると思います。国に対してペナルティーの廃止を繰り返し求めていただいていることは重々承知しています。しかし、国がペナルティーを早期に廃止する見通しはあるのでしょうか。そんな、見通しは持てないのが現実ではないでしょうか。そうであれば、県独自の施策として、障がい者も含め、福祉医療制度全般について現物給付を実施していただきたいと考えます。

 健康福祉部長の見解をお伺いいたします。

【健康福祉部長】

 福祉医療制度における現物給付方式の拡大についてでございます。

 県ではこれまで福祉医療給付事業の見直しの中で、障害者に係るものにつきましても随時見直しを行ってきております。

 平成22年には、障害者の2級の自立支援医療通院を追加し、さらに平成27年には障害児に係る所得制限を廃止という形で随時必要な見直しを行ってきておりますが、福祉医療制度における現物給付方式につきましては、国民健康保険国庫負担金の減額調整措置が未就学児童まで廃止されたことを踏まえて、今回長野県福祉医療費給付事業検討会におきまして、子育て支援の観点から全市町村中学卒業までは足並みを揃えることが適当であるということで、昨年8月より導入したところでございます。

 障害者やひとり親家庭を含めた受給者全体を現物給付方式の対象にする要望がありますことは十分認識をしておりますが、重要な課題でありますが、仮に受給者全体を現物給付方式の対象とした場合には、国保減額調整措置による国庫負担金の減額や健康保険組合の付加給付の停止の影響により、県および市町村に大きな財政負担が生じます。

 県ではこれまで、現物給付を実施した場合の国保の減額調整措置を年齢にかかわらず全面的に廃止するよう県独自に、また全国知事会や全国部長会議等を通じて国に要望し、今年度も計8回の要望を行ってきております。現物給付報酬の拡大については、国の減額調整措置に関する取り扱いを注視しつつ、実施主体である市町村のお考えも丁寧にお答えを聞きしながら、慎重に判断すべきものと考えております。

 以上でございます。

2.介護サービスについて

【和田議員】

 この福祉医療制度については、私たちも繰り返し繰り返しご質問しております。

 今の部長のご答弁も繰り返し私も聞いてきております。けれども、本当に経済的な困難を抱えている障害者世帯の実態をどのようにつかんでいるのか、そういう点については、私たちはつかんでいただく努力をしてほしい、そのように思っているところです。

 子どもと子育て家庭の状況を把握するために、県は実態調査をしていただき、国保のペナルティー廃止もあり、子どもの医療費は現物給付を実施したように、障害者世帯に対しても実態調査をぜひしていただきたいと思います。

 ちなみに長野県障害者プラン策定の検討資料を得ることを目的に実施された「長野県障がいのある方の実態調査」では、障害者の設定生活実態医療費の負担等は反映されておりません。その実態調査で、行政に要望することはとの問いに、医療費の負担軽減が4. 1%と最も多かったわけですから、ぜひとも市町村との協力も得て、県として障害者世帯の生活状況や医療費負担の状況を把握し、今後の施策に反映させることが必要だと思います。実態調査を検討していただくことを強く要望しておきたいと思います。

 次に、介護サービスについてお伺いします。昨年12月、長野市で通所介護事業所の送迎車が道路から転落し、乗っていた利用者が亡くなるという痛ましい事故が起きました。事故現場は中山間地の山間の道路でした。通所事業所では、利用者さんの送迎はほとんどが事業所の管理者、介護職員がドライバーを兼ねているケースです。中山間地だけでなく、市街地の通所事業所の介護職員も、利用者さんの送迎のために交通の激しい道路、路地など運転せざるを得ず、こすった、ぶつけたなどひやりとすることがたびたびあり、事故に遭い仕事を辞めたという話もお聞きしております。

 通所介護事業所では、安全に利用者の送迎をすることは当然のことですが、通所事業所の利用者の送迎のために、専門の運転手を雇い入れたり、タクシー会社へ委託したりするだけの余裕が施設にはなく、結局介護職員が行っているのが現実です。交通事故のリスクなど職員の負担の大きさをどう認識しているのか、実態を把握しているのか健康福祉部長にお伺いいたします。

【健康福祉部長】

 介護サービスについての送迎にかかる職員の負担についてのご質問でございます。本県は広大な県土を有し、多くの中山間地域や豪雪地帯があることから、これらの地域においては利用者が点在していることも多く、送迎に当たっては移動距離が長くなったり、時間を要する場合も多くなります。特に冬期間は積雪・凍結などにより道路事情が良くないこともあり、議員ご指摘のように送迎を行う職員の皆さんの肉体的・精神的負担は大きいものと認識をしております。

 以上でございます。

【和田議員】

 本当に介護の現場の職員の皆さんのご苦労、その実態についてもう少し踏み込んで実態把握をしていただかなければ、それに対して対応はできないというふうに今ご答弁をお聞きして思ったところでございます。

 利用者の皆さんは週に何回か利用するということですから、介護職員は毎日毎日利用者さんを送迎するところも違う、利用する道路も違う、そういう日々日々大変な苦労を負っているわけです。そして時間までにお迎えに行きたい、時間までに施設に連れて行きたい、そういうことで、そういう負担も大変なわけであります。ですから、そういう実態をしっかりつかんでいただきたいということで今回取り上げさせていただいたわけですけれども、これは実際には市町村が把握するべきことという認識で、県としてその実態の把握認識については、まだまだ不十分ではないかという指摘をさせていただきたいと思います。

 デイサービスなど介護事業者の送迎については、国は、安全の確保・向上の観点から、タクシー事業者などへの外部委託を促進するとしながら、介護施設事業者による送迎を、タクシー事業免許がなくてもできる自家用輸送を認めていることで、介護職員でも送迎できるから、介護職員による送迎が当たり前のようになっております。

 介護報酬では、通所事業所が送迎をしなければ減算と経営に直結している中で、介護職員の負担をへらし、安全を向上させるために、介護事業所等の送迎のための人材確保について、特段の予算措置を講じるよう国に求めてほしいと思います。

 健康福祉部長に伺います。

 現状では、送迎職員の手配や送迎用車両の維持を一つの事業所で行うことが、施設を運営していく上でも大きな負担となっています。その負担軽減のため、福祉車両や運転手など地域にある資源・人材を共有し、地域の力で介護サービスを支えていくような仕組みは構築できないか、あわせて健康福祉部長にお伺いいたします。

【健康福祉部長】

 介護サービスについて2点ご質問頂きました。まず、特段の予算を求めるべく国への要望というお話でございますが、介護サービスにおける送迎にかかる費用については、通所介護では送迎が行われることを前提として、介護報酬の基本部分に既に加味されているほか、短期入所生活介護では送迎を実施した場合に、介護報酬の基本部分に加算されているところでございます。

 ただ中山間地域においては利用者が点在していることも多く、移動距離が長く、時間もかかることから、また委員ご指摘のように大変な精神的な負担、天候、あるいは交通渋滞も含めて時間にきちんと到着するという意味で、負担が大きいものと考えております。コスト的にも都市部よりもかかるものと認識をしております。

 このため県としては、介護事業者の安定的な運営が確保されて、地域に必要な介護サービスが提供されますよう、中山間地域における介護報酬の見直し等について、昨年11月にも国に要望しております。 これは引き続き要望してまいりたいと考えます。

 次に、地域で介護サービスを支える仕組みについてでございます。福祉車両や運転士だけでなく、地域が有する介護サービスや企業、NPO、住民等の資源を有効に活用していくことは、地域包括ケア体制の構築に当たって重要な視点であると認識をしております。こうした地域資源の活用については、地域によって有する資源に違いがあることから、日常生活圏ごとに設置されています地域ケア会議を中心に検討することとなっておりまして、県としては検討の中で明らかになった課題等をその解決に向けて助言をするほか、今回ご提案を頂いたことも含め介護保険サービス事業者、関係者等機会をとらえて、意見を聞きながら地域の取り組みを支援できるように取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【和田議員】

 実は昨年12月、利用者さんが事故で亡くなられた事業所をお訪ねしましたところ、本当にその後職員も見つからず、これでは続けられない、宅老所を閉じようと、こういうふうに考えたそうです。しかし地域では、宅老所が閉じると知ったところで、地域に介護の仕事をしたことがある人がいる、運転手を紹介してくれるなど、宅老所を閉じないでほしい、そう言って今事業を続けているところで、地域に入れば力を貸してくれる、地域の人たちに守られる宅老所と頑張っていこうとしています。 どうか、そういう事業所、また利用者さんの立場に立って一層の改善を図っていただくよう求めて、質問を終わります。

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