2019年11月定例会 和田明子議員一般質問
1.台風19号災害対策について
- 【和田明子議員】
-
台風第19号災害対策についてお伺いいたします。避難についてお伺いします。長野市では、各家庭に配布されている防災マップに示されているハザードマップの浸水想定区域とほとんど一致した広範囲に及ぶ浸水被害に見舞われました。
台風が接近し、10月12日は一日雨が降り続く中で、私の住む篠ノ井地域でも、区の役員さん、消防団や住民などが、岡田川、聖川など過去にも氾濫した川や千曲川の水位を警戒、夕方から役員で各戸に避難を呼び掛け、多くの住民が避難をしました。
台風の後で避難にまつわるいろいろなお話をお聞きしました。「家族で指定避難所になっている小学校に行ったが、小学校は水害時の避難所ではないため開いていなかった」「次の避難所は駐車場がいっぱいで入れなかった」「南長野運動公園まで行ったが入り口が分かりづらく、結局駐車場で一夜を過ごした」「公民館2階に避難したが、1階が浸水してトイレが使えず困った」「周辺の道路が冠水して出られない」「区の役員から行政区を越えて遠くの避難所に行くように言われた」「夜間のリスクのある移動を余儀なくされた」など、今回の災害から避難の実態を検証し、住民が主体的に参加して防災マップの確認・周知、タイムラインの作成など、あらかじめ準備することが重要だと考えます。
県としても、安全な避難の在り方について積極的に自治体を支援していただきたいと思いますが、危機管理部長に伺います。
- 【危機管理部長】
-
台風第19号災害の避難につきまして、2点ご質問をいただきました。
まず、安全な避難の在り方についての自治体支援のご質問でございます。現在県では、今年度の事業として、災害時住民支え合いマップ等の作成手順、避難勧告などの適正な情報発信や安全な避難の方法、避難所の開設・運営方法などを分かりやすくまとめた命を守る防災力向上プログラムの開発に取り組んでおります。今後、市町村において住民が参加する災害時住民支え合いマップの作成、適切な避難行動を取るための訓練、避難所の運営訓練などに本プログラムを使用し、地域防災力の向上を図っていただくよう支援してまいります。
また、市町村の職員研修などで、本プログラムを使用し、災害対応力の向上に努めていただくとともに、市町村長を対象とした、減災トップフォーラムにおいて、市町村長にも本プログラムを理解し、活用いただくよう取り組んでまいります。
- 【和田明子議員】
-
要援護者の避難について伺います。長野市では福祉避難所が開設されました。広範囲での避難となる場合の高齢者・障がい者に寄り添って、移動手段の確保も必要です。より早い避難が必要と分かっても、障がいによっては大勢の中ではパニックになる、視覚障がいで支援者がいなければ避難はできない、聴覚障がいで避難情報が聞こえない、避難所で周りの人の迷惑になるから自宅に残りたいなど、こういう高齢者などに対して、命を守る立場で福祉避難所を早い段階で開設し、避難を促すことが必要と思いますが、自治体と連携して県としての対応がどうか、健康福祉部長に伺います。
- 【健康福祉部長】
-
私へは、福祉避難所をより早い段階で開設し、避難を促す必要性についてお尋ねいただきました。
今回の災害でも、高齢者・障がい者の皆さんの中には、避難勧告や避難指示が夜間となり、避難を躊躇された方もいたと報道されているところであります。災害時に市町村が福祉避難所を速やかに開設し、対象となる方が円滑に避難できるようにすることは大切と考えております。
そのためには、平時から福祉避難所の対象となる方の現況等を把握するとともに、利用可能な福祉避難所となる施設の十分な確保、必要な物資の備蓄等、事前の環境整備が必要であります。また、災害時住民支え合いマップの活用等による避難情報の伝達や、適切な避難方法の検討、要配慮者等も参加する実践型の福祉避難所の設置・運営訓練等の準備も重要であります。
今後市町村や関係機関とともに、今回の災害を教訓に災害時における要配慮者の避難や、福祉避難所設置・運営等について課題等共有し、要配慮者の視点に立って、その在り方や改善点について検証してまいります。以上でございます。
- 【和田明子議員】
-
県有施設への避難について伺います。長野市の防災マップに、県立高校や農業大学校等が一時避難所、避難所と記されています。「篠ノ井から下氷鉋小学校に避難するように言われ向かったが、駐車場がいっぱいだった」「近くに長野南高校があるのに使えないのか」と言われました。一時避難所に位置付けられている県有施設の場合は、市からの要請を受けて使用することになるのでしょうか。毛布等の備品等は市町村が対応するにせよ、災害時にどう対応するのか、ガイドライン等で徹底していただきたいと思います。危機管理部長にお聞きします。
- 【危機管理部長】
-
次に、県有施設が避難所に指定された場合の対応についてのご質問でございます。県地域防災計画では、県有施設について、市町村の指定避難所の指定に協力すること、市町村が指定避難所として指定した場合、指定した学校等の県有施設については、備蓄のためのスペースや通信設備の整備等に努めることと規定しております。
そのため、県有施設が指定避難所として開設された場合、良好な生活環境を確保するため、本年5月に策定した長野県避難所運営マニュアル策定指針を、市町村とともに、全部局に対しても周知したところでございます。次の災害に備え、全部局に対し、再度当該指針を周知徹底してまいります。以上でございます。
- 【和田明子議員】
-
次に、治水対策についてお聞きします。長野市と千曲市の境、千曲川と聖川が合流する地点から数百メートル下流の軻良根古神社横の堤防は、越流によって7 m幅の堤防が半分ほどえぐられ欠損しました。
仮復旧し、ブルーシートに覆われている状態です。洪水で堤防の土砂が崩れた現場を見た近くの地域住民は、決壊したかもしれない不安をつのらせました。千曲川の堤防は多くの箇所で被害がありました。
災害復旧工事では現状に戻すだけでなく、堤防を強化するよう各議員からも求められておりますが、県から国に強く求めていただきたいと思います。建設部長に伺います。
- 【建設部長】
-
千曲川の国管理区間の災害復旧に関するお尋ねです。今回の台風19号による出水により、国が管理する区間においても、破堤した長野市穂保地区含め多くの箇所が被災しております。
一般論ではありますが、災害復旧は被災の状況や被災に至った原因により、その復旧方法、復旧工法は異なってくるものと認識しております。穂保地区の堤防の復旧については、堤防補強の観点も含めた復旧工法とする方針と聞いておりますが、他の箇所につきましても、できる限り安全度を高める工法を採用していただくよう、国に要望してまいります。
- 【和田明子議員】
-
既に多くの議員から浚渫と樹木伐採について質問がされてまいりました。浚渫は、洪水の水を低下させる効果があり、来年度以降も引き続き浚渫を継続するよう要望していると、建設部長のご答弁がありました。しかし、浚渫や樹木伐採はあまり進んでいないのが実際のところではないでしょうか。
河川の研究者の分析では、立ヶ花は、計画高水流量の3分の2の洪水流量で、水位は計画高水位を上回るという報告があります。浚渫や樹木の伐採、河道断面を拡大する抜本的な対策、上下流の継続的な維持管理を行っていただきたいと思います。建設部長に伺います。
- 【建設部長】
-
浚渫や樹木伐採など河川の維持管理に関するお尋ねです。まず、県管理河川について、これまで河川内の堆積土の撤去や支障木の伐採は県単独費で行ってまいりましたが、平成30年度からの3カ年緊急対策により、集中的に現在取り組んでいるところでございます。この3カ年緊急対策事業は来年度までの期限付きの事業ですが、今般の災害の影響を受け実施すべき箇所が出てまいりますので、期間の延伸や拡充について国に要望してまいります。また、国管理区間についても、今回の災害を踏まえて浚渫等も含めて適切に対応していただくよう要望してまいります。以上でございます。
- 【和田明子議員】
-
19号台風で千曲川の急激な水位の上昇によって、支川の多くが内水氾濫によって甚大な被害になりました。それぞれの支川の内水対策と、千曲川の総合的な治水が求められています。
まず、浅川について伺います。浅川でも千曲川の増水によって逆流を防ぐため樋門を閉鎖し、排水機場稼働させ排水します。今回の災害では、排水機場のポンプはどのくらい稼働させることができたのかお聞きします。水害によって故障し、使えなくなった長野市の排水機場の復旧を県が受託するとのご答弁がありましたが、復旧の目途はどうか、あわせて農政部長に伺います。
- 【農政部長】
-
浅川排水機場について、2点ご質問いただきました。
まず、稼働時間についてでございます。浅川には豪雨による内水氾濫を防ぐため、3カ所の排水機場が設置をされております。第1および第2機場は農林水産省の直轄事業等補助事業で建設し、長野市が管理しております。また、第3機場は国土交通省の補助事業で建設し、県建設部が管理をしております。
今回の台風19号では、豪雨により千曲川が増水し、浅川の樋門から排水ができなくなったため、10月12日の午後7時46分に第3機場を、続いて7時50分に第1および第2機場を稼働させました。その後、千曲川が規定の水位に達したため、国土交通省千曲川河川事務所からの指示によりまして、13日の午前0時8分に3カ所の機場を停止させたと聞いておりまして、稼働時間は概ね4時間20分となります。
次に、復旧の目途についてでございます。今回浅川の氾濫と千曲川の堤防決壊により浅川第1および第2機場が浸水し、機能が停止いたしました。被災した第2機場は、冷却水ポンプなど一部の故障であったため、長野市が査定前着工により既に復旧工事に着手しておりまして、来年の梅雨までに完了する予定です。第1機場につきましては、被害が甚大で、ポンプ設備全てが被災したため全面更新が必要であり、県では長野市からの要望を踏まえ、受託施工を検討しているところです。
復旧に当たりましては、浸水防止対策やポンプの形式の見直しなど、今回と同規模の洪水でも機能を失わないような対策が必要と考えておりまして、令和4年の梅雨前の完了を見込んでおります。以上でございます。
- 【和田明子議員】
-
浅川では、10月12日午後7時台に増水した千曲川の逆流を確認し樋門閉鎖、3カ所の排水機場の稼働を開始し、4時間20分の稼働で、13日午前0時ごろ計画高水位に達しポンプを停止した。
その約30分後に浅川で水が溢れているのを確認した。つまり、ポンプ停止後わずかの間に内水氾濫が起こりました。
内水氾濫のシミュレーション結果は年内にも出るとのご答弁でありますが、シミュレーション結果は、内水災害対策につなげるデータになるかもしれませんけれども、実際に豊野支所、中学、老人福祉施設、住宅などを飲み込むように被害をもたらしました。
加藤長野市長から阿部知事に対して、水を一時的にためる遊水池の整備と再び被災しない工法での排水機場の復旧など、内水氾濫を防ぐための要望がされたと報じられています。
浅川総合内水対策について知事に伺ってまいります。2013年策定の浅川総合内水対策計画に盛り込まれたポンプの増強は、中長期的には、県は毎秒21トン増設を目指す、短期整備で毎秒14 トンの整備を行いました。残りの毎秒7トンの増設は検討されるのでしょうか。
新幹線車両センターで120両が水没してしまいました。長野新幹線開業前に新幹線車両基地が建設されることになったときも、北陸新幹線延伸のときも、長沼地区新幹線対策委員会と鉄道運輸機構、長野県知事、長野市長と確認書を取り交わしています。
確認書で対策委員会からの要望事項には、千曲川の護岸工事、浅川排水機場の増強、遊水池の設置が盛り込まれていました。それは車両センターの辺りが長沼地区でも低地で、水害のときには遊水池のようなところであったからです。そこに盛り土をして建設がされれば、周辺に水害の負担が増える心配があったから、遊水池の要望が盛り込まれました。
私たち共産党県議団も、遊水地や田んぼダムなど、この議会でも具体的な提案をしてきました。新潟県の刈谷田川は、平成16年7月、流域に日雨量399ミリを記録、刈谷田ダムでピーク流量毎秒268トンを記録し、ダム操作で放流をしました。下流の長岡市では6ケ所で破堤、数カ所で越水、浸水家屋2,400戸という大水害に見舞われました。
この水害の後、河道掘削と遊水地を採用し、地役権方式で91ヘクタール、洪水調節量毎秒200トンを地元説明会などを経て平成22年度に完成。翌平成23年7月には、平成16年7月豪雨と同程度の降雨があり、累計雨量427ミリ、総雨量は16年を上回りました。その豪雨では、ダムで19センチ、遊水地で35センチ、合わせて54センチ水位を低下させる効果を発揮し、水害を低減しました。
同じく豪雨被害に見舞われた新潟県見附市では、遊水池とは別に、田んぼの排水溝に調整管を取り付けるだけで、貯水する田んぼダムが機能しており、農家の協力で2011年850ヘクタールから、2012年には1,200ヘクタールに拡大しています。洪水から地域を守るために、農家の皆さんの理解と協力を得て実現しています。遊水地や田んぼダムなど位置付けて浅川総合内水対策計画を見直す必要があると考えます。知事に伺います。
- 【知事】
-
浅川総合内水対策計画についてであります。浅川総合内水対策計画については、既往最大浸水被害がありました昭和58年9月台風15号災害の際の排水規制に対しまして、宅地部での床上浸水被害を防止するということを目標に取り組んでおります。この計画に基づきまして、地域の皆さま方のご理解を頂戴しながら、雨水調整池、学校校庭貯留施設の整備や遊水機能を有する農地保全などの各種流域対策を進めてきているところでございます。
今回の浅川下流域の浸水被害は、浅川の内水氾濫と穂保地区の破堤によります千曲川の外水氾濫の影響が混在した複合災害であります。従いまして、今回の被害の状況のみをもって、これまでの計画を直ちに評価するということは難しいものというふうに思っております。このため、現在、外水氾濫の影響を除いた内水氾濫のみを再現するシミュレーションを実施しているところでありまして、その結果を踏まえ、新たな対策が必要か検討していきたいと考えております。
- 【和田明子議員】
-
千曲川沿川の台風による水害の多くが、千曲川に流れ込む支川からの排水を止められたために起こった内水氾濫でした。信濃川水系緊急治水対策会議は、災害復旧と今後の治水を検討するため、国、県と上下流の沿川自治体で持たれました。この対策会議を、千曲川の総合的な治水対策をするために継続的に位置付けていくのか、知事に伺います。
- 【知事】
-
信濃川水系緊急治水対策会議の位置付けでございます。信濃川水系緊急治水対策会議の取りまとめます緊急治水対策プロジェクトは、5年間で実施するということといたしておりますが、流域全体の総合的な対策の必要性が高まっている中で、今後とも水系全体の意思決定を行う場として、重要な会議だというふうに考えております。今後の会議の継続につきましては、共同主催者である国とも相談していきたいと考えています。以上です。
- 【和田明子議員】
-
知事にご答弁をいただきました。確かに今回は、千曲川の破堤と浅川の内水氾濫と複合的ではありますけれども、あれだけ甚大な被害があった、このことを重く受け止めていただき、そして、加藤市長からも遊水池と再び被災しない工法での排水機場の復旧などを求められておりますので、ぜひ、十分なご検討を加えて対策をしていただきたいと思います。
2.長野県公立高等学校入学者選抜制度の改正について
- 【和田明子議員】
-
新たな入学制度についてお伺いいたします。まず、大学入試共通テストに英語の民間試験が導入されることが2年前に決まり、再来年1月から実施する予定が、生徒、校長会などから教育の機会均等に反すると大きな反対の声が上がる中で、11月1日に導入の延期が余儀なくされました。この影響について教育長に伺います。
- 【教育長】
-
大学入試改革民間英語試験活用の延期などの影響についてどうかというご質問でございます。
これに関しましては、文科省の方針に従いまして各学校現場でも準備を進めてきたところでありますけれども、今回延期という決定を受けましたので、それに向けてまた対応を考え直さなくちゃいけないと思っております。
- 【和田明子議員】
-
長野県公立高等学校入学者選抜制度についてお聞きします。今年3月28日、新しい入学者選抜制度案が公表され、4月から5月にパブリックコメントが行われ、このパブリックコメントなどで、分かりにくいなどの意見を反映した入学者選抜制度の第二次案が、9月10日の教育委員会定例会で公表されました。
私たち共産党県議団は、6月議会の山口議員の質問でも、成案を決める前に、一人一人の生徒の将来に関わる重要なことであるので、見直される制度の説明と意見交換、意見表明の機会を設けるべきと求めてきました。
そして県教育委員会は、第二次案の説明会を、10月は教職員に行い、11月には県下5カ所で、東信、北信、南信は伊那と飯田、そして中信、いずれも平日18時から19時30分の日程で、児童生徒、保護者対象の説明会を行いました。
私も長野合同庁舎の説明会に行きました。40人くらいの参加でした。担当者からの説明の後次々と質問や意見が出され、時間が全く足りないと思いました。また、学校で児童生徒へのパンフレットの配布、小中学校の対象学年の保護者には、授業参観日に教頭先生から説明はされたが、その場で質問や意見を言う時間がなく、保護者が理解できたかも分かりません。
私は、入学制度を大きく変更するのにこれでいいのかと、大いに疑問を抱いております。さらに説明会の機会が必要だと思いますし、児童生徒、保護者、小中学校高校の先生方の意見をよく聞いていただきたいと思いますが、教育長いかがでしょうか。
- 【教育長】
-
高校の入学者選抜制度の改正について、その説明についてというご質問でございます。本年3月に公表した制度案については、小中学校等、高等学校等に配布するとともに、パブリックコメントを実施し、395件のご意見をいただいたところであります。6月には中学校進路担当の先生方との意見交換、7月から8月にかけては、市町村教育委員会と県教育委員会との懇談会で意見交換を実施した上で、パブリックコメント、中学校、高等学校等からの意見要望を踏まえた制度案、第二次案を本年9月に策定したところであります。
この二次案につきましても、さらに小中学校、高等学校等に配布するとともに、10月には小中学校の先生方との意見交換、11月には、児童生徒、保護者対象の説明会を実施し、幅広いご意見をいただいたところでございます。さらには、小学校6年生および中学校1年生全員にパンフレットを配布するとともに、小中学校長等からは、児童生徒、保護者の質問等を含めご意見をいただいたところでもございます。
- 【和田明子議員】
-
新たな入学者選抜制度の実施を2022年としている理由について、現在の中学1年生が高校1年生になる年から、高校において新学習指導要領が施行される、これに「学びの改革」を考えたとき、2022年選抜からの実施が適切だと教育委員会は考えていると言われますが、前期選抜に今までなかった学力検査が導入される、後期選抜には学力検査だけでなく、各校の募集の観点に基づいたその他の検査が加えられるなど、受験生や保護者、指導する教職員の負担は増すばかりです。しかも大きな変更があるにもかかわらず2022年実施ありきで、今月中に新たな入試制度を教育委員会で決定してしまうのでしょうか。
それは余りにも拙速です。
説明会参加者から変更点の意見、質問だけでなく、2022年実施という方針は変えないのかという意見が多く出されたことを受け止めて、慎重に進めていただきたいと思います。教育長に伺います。
- 【教育長】
-
新たな選抜制度の検討経過について、時間をかけて慎重に進めていただいてはどうかというご質問でございます。この新たな入学者選抜制度を2020年からとした理由でございますけれども、新学習指導要領は、新しい時代に必要となる資質・能力の育成を目指しており、そのため、知識・技能・思考力・判断力・表現力等、そして主体的に学習に取り組む態度、この学力の3要素をバランスよく伸長させるということとしております。
現在は、中学校、高校とも新指導要領への移行期間でありますけれども、移行措置として、この学力の三要素の育成については、今の中学1年生は、新指導要領の趣旨を踏まえた指導がなされることとされております。この生徒たちが中学3年生になったときには、新学習指導要領が全面実施されるというふうにもなっております。また、その学年が高校に入学する2022年度の高校1年生から、高校における新しい学習指導要領が適用されることとなっております。そうした新学習指導要領の施行をスケジュールに合わせて、学力の3要素を適切に評価できる制度の導入を考えてきているところであります。
この2022年3月からさかのぼると、5年前の時点で学びの改革基本構想でその必要性を提起し、その後1年間、入学者選抜制度検討委員会による検討が行われ、この新制度導入予定の4年前の時点で報告書が提出され、この趣旨を踏まえて、本年3月に選抜制度案、そして9月に二次案というふうに公表し、説明会も繰り返し実施し、意見をお伺いしてきたところでございます。
より良い制度改正を目指して、段階を踏んで新たな選抜制度導入に向けた検討を進めてきているところでございますので、いずれにいたしましても、いただいたご意見等を慎重に精査し、県教育委員会の考え方をまとめ、成案につなげていきたいというふうに考えているところでございます。