日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2020年2月定例会 高村京子議員一般質問

    1. 国民健康保険料の負担軽減と市町村支援について
    2. 不登校支援と多様な学びの場について
    3. 男女平等、ジェンダー尊重社会の促進について

1.国民健康保険料の負担軽減と市町村支援について

【高村京子議員】

国民健康保険料・税の負担軽減と市町村支援について伺います。

 2月6日の県国保運営協議会を傍聴しました。その資料では、令和2年度の国民健康保険の納付金総額は今年度と比較すると前期高齢者交付金は604億円から630億円と26億円増え、療養給付等交付金も622億円から646億円と24億円増えます。市町村別納付金総額は574億円から510億円となり64億円少なく、1人当たりの納付額は約12万7,000円から約11万8,000円と、9,000円低くなるとしています。

 県が市町村に示す標準保険料率は実際に市町村が独自に賦課する基金や法定外繰入れ等の影響は加味していないとのことですが、今年度の状況は昨年度と比較して値上げした市町村はどのくらいありますか。また。来年度の見込みはどうか伺います。

【土屋健康福祉部長】

国民健康保険料の値上げについてでございます。国民健康保険料は、所得割、資産割、均等割、平等割の4要素、ないし資産割を除いた3要素から成り立ってございまして、例えば所得割を引き上げる一方で均等割を引き下げるといった改定もございます。

 県ではこれらの4要素のうち、据え置きないし引き上げのみをしている場合に引き上げと、逆に据え置きないし引き下げのみをしている場合に引き下げと、それ以外の全てを据え置きするか、引き上げと引き下げが混在している場合には、これを据え置きというふうにしているところでございます。

 本年度の保険料をこうした考えで整理いたしますと、引き上げ、引き下げがそれぞれ4市町村、残りの69市町村が据え置きとなっているところでございます。

 来年度の見込みについてもお尋ねをいただきましたが、市町村は1月30日に県から示された納付金額を踏まえ来年度の保険料率を3月議会ないしは6月議会において決定することとしており、現時点ではお答えできる状況にはございません。

【高村京子議員】

次に、保険料の値上げをならすために激変緩和措置が行われていますが、年々その額は減少しています。6年間で措置額がゼロとなるよう毎年2%の以内で納付金に上乗せをしており、必然的に毎年保険料が増える仕組みとなっています。この間の激変緩和対象市町村の数と金額を伺いたいです。

【土屋健康福祉部長】

激変緩和措置についてでございます。激変緩和措置市町村の数と金額は、平成30年度が47市町村で約18億5,000万円、令和元年度が50市町村で約22億8,000万円、令和2年度は20市町村で約1億8,000万円となっております。なお、本来激変緩和措置が縮小となるはずの令和元年度が前年と比べて増加いたしましたのは、前期高齢者交付金の影響により納付金額が県全体で36億円増加したことによるものでございます。

【高村京子議員】

市町村独自に一般会計等から国保財源に繰り入れている市町村があります。その金額、動向を伺います。高い保険料の軽減に努めている自治体に対し、国は来年度からこの繰り入れに対し保険者努力交付金を減らすペナルティーをかけ一般財源からの繰入れをなくさせようとしていますが、これに対し県はどう対応するのか伺います。

【土屋健康福祉部長】

一般会計からの繰入れについてでございます。平成30年度決算を見ますと、いわゆる一般会計からの法定外繰入は44市町村が実施をし金額は約15億9,000万円であり、このうち決算補てん等の目的なものは8市町村で約9億1,000万円となっております。平成29年度と比較し、法定外繰入れの金額は約55.0%、決算補てん等目的なものは約49.5%とほぼ半減をいたしました。令和元年度は、年度途中であるため最終的な動向は不明でございます。

 国は令和2年度から保険者努力支援制度交付金の算定項目に決算補てん等目的の法定外一般会計繰入れの削減を追加をし、削減予定額を達成しない市町村等に対して減点評価を実施いたします。長野県では、平成29年度に市町村と協議し策定した長野県国民健康保険運営方針において、決算補てん等目的の繰入れは、段階的、計画的に解消削減を図ることとしております。

 国民健康保険の健全な運営は、基本的に国や県からの公費と保険料により医療費をまかなっていくべきものであり、同運営方針に沿って該当市町村が行う削減等の取組に対し県としても助言・指導をしてまいりたいというふうに考えております。

【高村京子議員】

国保の保険料・税の負担が重く払えない世帯があり、医療機関への受診を控え重症化したり適切な医療が受けられずに亡くなったりするケースが県内でも発生しています。主に低所得の方々です。長野市では収入が150万円以下の世帯に短期保険証の交付はしない、横浜市でも昨年8月から実施しています。上田市では保険証の窓口留め置きを極力減らし、命のパスポートを手元に届ける努力をしています。県として、このような取組を促進すべきと求めますがいかがかでしょうか。

【土屋健康福祉部長】

保険料滞納者に対する措置についてでございます。保険料を滞納した場合の短期被保険者証は、市町村が滞納者の方々との納付相談の機会等を確保するために交付しているものでございます。この交付目的に照らし、県としましては個々の市町村が定める基準を尊重しながらも、機械的、一律的な対応をすることなく、滞納者の方々の個別の状況を十分把握するよう機会を捉えて市町村に助言しているところでございます。

 また、保険証の窓口留め置きの解消に向けましては、昨年6月、全市町村宛ての通知において、基本的には中長期的に被保険者証を保険者側で留め置くことはせず、郵送や訪問等により被保険者に渡すよう明記いたしますとともに、必要に応じて個別に市町村に対して助言をしているところでございます。以上でございます。

【高村京子議員】

一般財源から市町村の努力で国保の基金に入れている額が少なくなっております。少なくなっている上にさらに国がペナルティーをかけるということですと、必然的に高い保険料がさらに高くなることを大変危惧しております。

 国保の保険料の負担は、協会けんぽ等と比較しても負担は非常に重いです。全国加入者では、1人当たりの平均医療費は36万円で協会けんぽの約2倍です。平均所得は86万円、1世帯平均は126万円で協会けんぽの約半分です。この中で国保の平均保険料は1人当たり8万7,000円、世帯では13万9,000円で、国保料は所得の1割以上にもなります。少ない収入の中で保険料を払えない、払ったら暮らしていけない、医療にもかかれない状況にいる人がいます。

 負担を重くしているのが全ての世帯に均等に課される平等割と、子ども・赤ちゃんを含めた家族の人数に掛けて加算される均等割があることです。昨年6月に市長会が、7月には全国知事会が国に対して、公費による国保料の抜本的軽減が必要、定率国庫負担割合の引き上げ、子どもの均等割負担の軽減などを提言・要望されています。

 阿部知事に伺います。県は高い国保料の引き下げに向けて国に対しさらに働き掛けを強め、県としても全ての国保世帯に保険証が行き渡るように取り組んでいただきたいが、いかがでしょうか。

【阿部知事】

国保料に関する国への要望についてご質問いただきました。
 県におきましては令和2年度の当初予算案におきましても、一般会計から国保特別会計に約116億円拠出を計上しておりますほか、低所得者の保険料軽減対策として約57億円の負担金も計上して、国民健康保険被保険者の保険料負担の軽減に努めているところであります。

 国民健康保険制度は社会保障の根幹をなすものでありまして、国が財政的な責任を持つものというふうに考えております。国保の安定的な運営と保険料の引き下げという観点からも、定率国庫負担の引き上げが必要だというふうに考えております。また、国保料の均等割につきましても子どもが多い世帯ほど負担が重くなりますので、子育て世帯あるいは低所得者の方々への配慮も重要だというふうに思っております。

 議員ご指摘ありました全国知事会による要望のほか、長野県独自にも6月3日、11月7日に国に対して要望を行ってきております。要望実現のため、今後ともさまざまな機会を捉えて粘り強く求めていきたいと考えております。以上です。

2.不登校支援と多様な学びの場について

【高村京子議員】

 次に不登校児童支援と多様な学びについて伺います。小学校・中学校の不登校児童の生徒数が増加しています。小学校では平成28年530人、平成29年706人、平成30年では1,032人と増えています。中学校でも平成28年1,689人、平成29年1,881人、平成30年度では2,192人と急増しています。平成30年度の全国比較で小・中学校合計では、全国1.69%に対し長野県は1.95%と高い状況となっています。

 不登校児童・生徒が増えている状況を、どのように県教育委員会は受け止めていますか。

【原山教育長】

不登校児童・生徒が増えている状況の受け止めについてというお尋ねでございます。

 不登校児童生徒数については文部科学省調査によっているところでありますが、この調査では不登校の要因についても調べていますけれども、それは全て学校側の認識を問うてきたところであります。

 昨年9月、初めて県教育委員会独自で不登校児童・生徒に対する当事者アンケートを実施しました。その結果、学校に行きたくない理由として、教職員との関係を挙げた子どもが27.4%であったのに対し、先ほどの国の調査における学校の回答は3.5%となりました。また、家庭に係る状況を理由に挙げた子どもが9. 7%だったのに対し、学校の回答は43. 4%であるなど、不登校当事者の子どもたちと学校との認識に大きなずれがあることが分かりました。

 また、同アンケートでは文部科学省調査にはない項目も設定しました。その中で子どもたちは学校を欠席した理由として、学校は居心地が悪い、疲れる、体調が悪くなる、自分でもよく分からないと回答するなど、これまでの認識とは異なる原因が明らかになったところであります。

 こうしたことから、不登校の状況を把握するために当事者の声をより丁寧に聞いていく必要がある、重要であるというふうに受け止めているところであります。

【高村京子議員】

困難や悩みを抱える不登校児童・生徒に対し「学びの場の確保の保障」を含めてどのような支援を進めるのか、以上2点、原山教育長に伺います。

【原山教育長】

不登校児童・生徒の学びの場の保障を含めた支援についてでございます。

 不登校の子どもたちは困難や悩みを抱えながらも学校に登校している子どもたちや、欠席が長期化している子どもたちなど、さまざまな状況にあるというふうに考えてます。全ての子どもたちが自分らしく学ぶことができるためには、まずは学校が安心して学ぶことができる場であることが必要だと思っております。

 そのため、令和2年度は科学的根拠に基づいた調査を活用し、一人ひとりの子どもたちの声を客観的に捉え、その結果を踏まえた取組を計画、実践することで子どもたちの実態に合わせて学校が変わっていく取組を試行的に実施したいと思っております。

 また学校に行けない子どもたちについては、選択できる多様な学びの場の整備が必要だと思っております。学校以外の学びの場の整備や学校と多様な学びの場との連携等について、民間団体や学校関係者と協議の場を設け社会的自立に向けた仕組みづくりについて検討していく予定であります。

 このほかスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる支援が、学校だけではなく家庭や多様な学びの場においても可能となるよう、引き続き取り組んでまいりたいというふうに思っております。

【高村京子議員】

フリースクールは、子どもたちに心地よく安心できる居場所となるよう努めています。自分を見つめ、やりたいことを見出し、自分なりの人生を切り開けるよう成長の場となっています。「この場所があったから今の私がある」、親御さんは「子どもにどう接してよいのか悩んでいましたが、フリースクールに行くようになって救われました。学校に行かなくとも自分なりの成長ができる所で感謝しています」と言われます。

 新年度予算案に、私立通信制サポート校に通う住民税非課税世帯の生徒に対して年10万円の補助制度を新設され歓迎しますが、小中学校に行かれない子どもたちと家族に寄り添うフリースクールなど、多様な居場所や学習支援団体に対し財政的な支援を求めますがいかがでしょうか。この点は、県民文化部長に伺います。

【増田県民文化部長】

フリースクール等に対する財政支援についてご質問いただきました。

 何らかの理由から学校に行くことが難しい子どもたちにとって、フリースクールは大きな役割を果たす場所であると認識しております。また地域において、フリースクールと学校をはじめとした教育に関する社会資源と連携をして、子どもたちにとって最も良い形で力を発揮していくことが重要というふうに考えているところです。

 一方、フリースクールはその実態が多様でございます。運営主体、教育理念や教育内容、開設日数やかかる費用もそれぞれでございます。そのため来年度は、フリースクールの実態の把握をさらに進めるとともに、フリースクール関係者、不登校児童生徒、不登校児童生徒の保護者、支援者、学校関係者等から、学校など地域の教育資源とのより良い連携とその充実策について、県下4地区で意見交換会を開催するなど意見を伺ってまいる予定です。

 フリースクールへの支援につきましては、これらのご意見等を踏まえ検討してまいりたいと考えております。

【高村京子議員】

 長野県教育委員会は来年度、高校再編推進室を設置し、高校改革を進める入試制度改革を令和6年度選抜からに延長し、今年9月に新たな選抜制度を決定したいとしています。不登校とならざるを得なかった子どもたちにとって、高校への入学が「心機一転、頑張りたい」起点となるチャンスです。

 県教育委員会は、国連からも繰り返し指摘されているように過度な競争的な教育環境を見直し、全ての子どもたちに学びの場の門戸を大きく開くことが必要です。15歳の子どもたちを選別や排除するような制度はやめ、希望に寄り添う高校入試制度や高校の在り方を考えていただきたいがいかがでしょうか。

【原山教育長】

不登校支援に関わりまして、今後の入学者選抜制度および高校のあり方についてのご質問でございます。

 議員ご指摘のとおり高校への入学は全ての生徒にとって新たな出発点であり、中学時代不登校であっても多くの生徒が高校に進学している状況であります。現在の入学者選抜におきましては、何らかの理由により評定が付かない生徒であっても、中学校から提出される調査書に加えまして学力検査、面接等を資料として各高校が総合的に合否を判定しておりますが、令和6年度導入予定の新たな入学者選抜制度では、不登校生徒等にさらに配慮する方向で検討しているところであります。

 現在、全ての県立高校においてスクールカウンセラー、特別支援コーディネーター等による相談体制を整え、不登校経験を持つ生徒に対する支援の仕組みの構築に務めております。また高校改革においては、多様な生徒の生活・学習スタイルに応える高校として、多部制、単位制高校の充実や通信制高校の改革を進めているところでございます。

【高村京子議員】

夜間中学は各県に一つは必要とされています。長野県にはありません。「需要がない」とこれまでお答えいただいておりますが、さまざまな環境の中で義務教育が受けられなかった人々や、外国人労働者、その家族などに要望が増えていると考えます。夜間中学の要望等について調査を行い、夜間中学設置を検討していただきたいがいかがでしょうか。以上教育長に伺います。

【原山教育長】

夜間中学の設置についてでございますが、本県では平成28年度に中学校夜間学級設置における課題検討会が設置され、フリースクールや外国籍の方々の支援を行う団体の代表者を含む有識者による検討会を行いまして報告がなされたところであります。

 報告では、その時点での夜間中学設置のニーズは確認されませんでしたが、近年の在留外国人の増加を踏まえ毎年度調査を続けておりまして、平成29年度からは市町村教育委員会に加え、外国籍の方や不登校の方を支援しているNPO法人等にも調査をお願いしているところであります。本年度の調査のうち、市町村教育委員会に対する調査ではニーズは確認されませんでしたが、NPO法人に対する調査では、全県で夜間中学で学び直すことを希望しているというふうに捉えられる外国籍の方が25名、不登校を経験された中学既卒者の方が3名という結果を得たところであります。

 夜間中学の設置につきましては、今後も調査を継続する中で必要性を検討してまいりたいというふうに考えております。

3.男女平等、ジェンダー尊重社会の促進について

【高村京子議員】

男女平等・ジェンダー尊重社会促進に向けて伺います。女性が家庭や職場や地域において個性や能力を発揮できる社会、性別に捕らわれずに誰もが自分らしく生きられる社会の実現に向けて取り組んでゆくことが今、求められています。

 第4次長野県男女共同参画計画の進展などについて女性活躍推進監に伺います。1つ、女性幹部登用について、この間の県の取組と、県職・教員・県の審議会・自治会等での進捗状況はどうか。次の第5次の男女共同参画計画策定への課題をどのように捉えておられるか。

【酒井女性活躍推進監】

 第4次男女共同参画計画の進展、女性幹部登用の進捗状況および次期計画策定の課題についてでございますが、第4次男女共同参画計画の進展状況につきましては、37の成果指標のうち、目標達成またはおおむね順調なものが16、目標に近づきつつあるものの努力を要すると思われるものが6、目標達成が困難と思われるものが15となっており、全体としてはまだまだ課題が多いと捉えています。

 指標のうち女性幹部登用の進捗状況でございますが、県職員の管理職に占める割合は8.6%でおおむね順調、公立学校の校長・教頭に占める割合は小中学校17.5%、高校9.3%で目標達成、県の審議会等委員に占める割合は43.0%でおおむね順調、自治会長に占める割合は1.4%で目標達成が困難となっております。県職員を含め、企業等における管理職への女性登用は徐々に理解が進み実績も現れてきているものの、全国順位では低位にとどまっているほか、地域における自治活動等への女性の参画も進んでいない状況です。

 こうした状況を生む要因としては固定的性別役割分担意識や無意識の偏見や思い込みが挙げられ、まず、この意識の払拭が新たな計画策定において大きな課題の1つと考えております。

【高村京子議員】

非正規雇用の7割が女性で、男女の賃金格差も大きいものがあります。雇用や賃金の労働実態をどう捉えているか伺います。

【酒井女性活躍推進監】

 男女の賃金格差についてでございますが、厚生労働省が平成30年に実施した調査によると、長野県の女性の所定内給与額は年間平均225万4,000円で、男性の年間平均305万7,000円を100とすると、73.7となっております。平成26年の71.7に比べ賃金格差を縮小しているものの、依然として格差はあると認識しております。

 これは女性の非正規就業者の割合が高いことや、出産や育児等をきっかけに就業が継続できずキャリア形成が難しい状況にあること、管理的職業従事者の女性比率の低さといった実態によるものと考えられます。

【高村京子議員】

厚労省2018年の調査では、県と市町村女性議員の割合は全国平均では13.1%で長野県は13.8%です。女性議員が増えない理由に、1つは政治は男性のものという固定的性別役割分担意識がまだある。2つに議員活動と家庭生活が両立できる環境が整備されていない。3つに経済的負担が大きいとの要因があると内閣府が報告しています。

 過日の県議会主催の地方自治政策課題研修会で、県立大学の学生が研究し、女性にとって必要な設備や育児に伴う休暇・休業制度を取り入れる、政党や地域が女性に立候補を要請するなど提言してくれました。地方女性議員の比率を上げるために県のご認識を伺います。

【酒井女性活躍推進監】

地方女性議員の比率を上げるための県の認識についてでございます。日頃から地域社会に関心を持ち、祭りやPTA活動、消防団などさまざまな地域活動に携わり、さらには自治会活動などの意思決定の場にも関わることで政治への参加意欲も高まると考えております。しかし地域においては、地域活動を支える役回りを担っている女性が多くいる反面、自治会長、公民館長など地域のリーダーを務める女性はまだまだ少ないことが、女性議員の比率が低いことにもつながっていると考えております。

 県としては、市町村や地域団体等との共催による女性のエンパワーメントや男女共同参画社会づくりのためのセミナー等を通じて女性自身や地域の意識啓発を行い、今後、議員を目指す女性が増えていくための環境づくりを支援してまいります。

【高村京子議員】

ご努力はいただいておりますけれども、やはりまだまだ女性の社会進出、各部門、家庭や地域や自治会での役割分担といいますか、そういうものがまだまだあると思います。ここへの啓発を、今までのやり方でいいのか、もっと抜本的に、性的役割分担、こういうものが私の中にもありますし、皆さんの中にもあると思います。こういうことも含めて、男女共同参画社会を促進するために力を合わせていきたいと思いますし、ご努力もお願いしたいと思います。

 ジエンダー平等の実現度合いを示す国際ランキングの最新版で、153か国中、日本は前回の110位からさらに下がって121位と過去最低になってしまいました。政治・経済・教育・健康の4分野ではじき出される男女格差の総合順位が世界的に見て日本は後進国となっています。

 昨年末、フィンランドで34歳の女性首相が誕生しました。新内閣閣僚19人の内12人が女性です。女性国会議員の割合はフィンランドが46%、日本は16%です。フィンランドのサンナ・マリーン首相は幼い時に両親が離婚し、女性のパートナーを持つ母親の下で貧困の中で育ちながら手厚い福祉や教育無料の支援を受けて自由闊達な学生生活や活動をすることができたようです。国際的な比較での現状についてのご所見と、女性活躍促進に向けてどのような取組をすべきか伺います。

【酒井女性活躍推進監】

国際的な比較での現状に関する所見と今後の取組についてでございます。

 日本が大きく順位を落とした要因として、女性の政治参加度の低さや経済分野においても管理職に占める女性比率が諸外国に比べて低いことなどが挙げられています。また、長野県においても女性議員の比率や管理職比率など国と同様な状況と捉えており、こうした状況を改善していくことが必要と考えております。

 県としては引き続き地域における女性の活躍支援のほか、就業の場においても女性が能力や経験を最大限に発揮できるよう、男女ともに仕事と育児、介護等を両立しやすい環境づくりや女性のキャリア形成の推進に取り組んでまいります。

【高村京子議員】

 県は誰にでも居場所と出番のある長野県を目指し、人権政策を全庁的に推進するとしています。LGBT、いわゆる性的指向や性自認を持つ多様な方々への配慮や理解、共感を広げ、当事者がつらく苦しむことのない環境を具体的につくってゆくことが求められています。

 南箕輪中学校で、体は女性でも性は男性指向の生徒に寄り添い、制服をスカートからスラックスに自由となり通学できるようになった生徒のことが新聞に載りました。県は、多様な要望を持つ方々への理解と人権が尊重される社会をどう進めていくのか、県民文化部長と教育長に伺います。

【酒井女性活躍推進監】

多様な性的指向等への理解と人権が尊重される社会づくりについてご質問いただきました。

 性的指向、また性自認の違いなどに捕らわれることがなく自然に誰もがお互いを尊重し合う暮らしやすい社会をつくっていく必要があると考えてございます。しかしながら性的少数者に対する社会の理解は十分に深まっているとは言えない状況でございまして、まずは県みずからが率先して取り組むよう、性的指向や性自認についての必要な知識や、職場、職員における対応などをまとめました職員向けガイドラインを今年度末に向けて策定しているところでございます。来年度はこのガイドラインの趣旨の周知と性的少数者への理解を深めることを目的といたしまして、市町村や企業の人権担当者、相談担当者などを対象とした研修を実施してまいります。

 こうした取組を通じて、全県で性的少数者の人権を尊重する機運を醸成することにより、性的少数者が生きづらさを感じることなく誰もが暮らしやすい社会づくりを推進してまいりたいと考えております。以上です。

【原山教育長】

私には、教育現場での対応について、取組についてというお尋ねかと思います。

 学校における対応については、個別の事案に応じ当該児童生徒の心情等に十分配慮した対応を行うことが重要だと思っております。学校では、学校生活を送る上での支援として服装やトイレ、更衣室等の利用など個々の状況に応じた配慮を行っているところでありますが、現在、県内の小中高等における具体的な配慮の事例の把握を進めておりまして、良い取組について紹介していくことを予定しております。

 また、管理職研修や教職員向けの人権研修の中で、LGBTについて取り上げたり、人権教育講師派遣事業等において当事者から子どもに体験を話していただくなど、教員や子どもの理解促進を図っているところでございます。

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