2020年6月定例会 高村京子議員一般質問
1.コロナ禍による観光関連産業への支援について
- 【高村京子議員】
-
観光産業は多職種が関連して成り立つ、循環、支え合い産業です。新型コロナウイルス感染防止対策のため、長野県は国の緊急事態宣言よりかなり前の1月末より県独自の対策本部を立ち上げ、3蜜を避ける対応をはじめ外出の自粛や営業時間の短縮などを呼びかけました。国の緊急事態宣言には対象ではない観光宿泊施設に対しても、営業自粛の協力の検討も求めてきました。
次々に宿泊施設の予約はキャンセルが続き、特に4月下旬から5月6日までの期間は「長野県の観光はお休み中です」とキャンペーンをして、観光産業はロック状態、温泉街、観光地は全く人けがなくなり、関連する観光産業も含めて収入を絶たれました。さらに、その後の5月7日以降も引き続き観光は閉じたままの状態が続き、4月28日の臨時議会で承認した県民支えあいふっこう割がスタートするまで、観光関係は閉鎖状態が続きました。千曲市の温泉施設や、佐久インター近くのホテルが閉鎖、倒産になるなど、新型コロナにより観光産業はかつてなく苦しい状態になりました。
国の持続化給付金や雇用調整助成金の手続の煩雑さや支給の遅れで補助金が届かない中、月々の固定費用の支払いはあり、ぎりぎりの状態が続いてきました。そこで、県による新型コロナ感染防止対策での外出自粛要請、及び宿泊観光施設に対する休業の検討の協力依頼による観光関連産業への影響をどのようにご認識されているか、観光部長に伺います。
- 【中村観光部長】
-
観光関連産業への支援について、ご質問をいただきました。
まず、宿泊観光施設に対する休業の検討の協力依頼による観光関連産業への影響についてでございます。
4月16日に緊急事態措置を実施すべき区域が全国に拡大されたことを受け、感染拡大防止の観点から、県外からの人の流入を防ぐため、同月23日に県内の宿泊事業者と観光施設に対して休業等について検討の協力を依頼したところでございます。
関係団体からは、県外からの宿泊客の受け入れは感染のリスクが高く、感染拡大防止と従業員の安心・安全の確保について不安があるとお伺いしておりましたけれども、県が休業の検討の協力を依頼したことにより、既に予約を受け付けていた宿泊事業者から、相手方と連絡を取るなどして宿泊のキャンセルに応じてもらいやすくなったといった声もお聞きしているところでございます。
あわせて、信州の観光はお休み中であることを発信し、県内や県域をまたいでの人の往来を控えていただくことで、まずは、感染拡大防止に向けた取組を行ってまいりました。
宿泊事業者や観光施設をはじめ、多くの事業者や県民の皆様にご負担をおかけし、ご協力をいただいたことにより人の往来を抑制することができましたけれども、観光地の利用者数が大幅に減少し、結果として県内の観光関連の産業に大きな影響が及んだと認識しております。
緊急事態宣言が解除された後は、県民の皆様にご協力をいただきながら需要喚起を図ってきたところでございますけれども、今後、県外からも多くのお客様にお越しをいただく取組を行い、危機的状況に陥った観光関連産業を支援してまいります。
- 【高村京子議員】
-
県と市町村連携による感染拡大防止協力金・支援金30万円の支給は、事業者が、わらにもすがる思いで申請をされました。23日のご答弁では、申請期間を当初より10日延ばして6月1日までにし、合計1万2,694件の申請があり、4分の3に当たる9,500件、4分の3が支給されたとのことです。接客飲食業者等が営業時間とアルコール類提供時間の短縮に対する協力金と、観光関連産業や宿泊施設等で休業自粛に協力した事業者への支援金がありますが、それぞれの申請件数と支給済みの件数はどのようでしょうか。産業労働部長に伺います。
あわせて、どうして4分の1の皆さんの支給が滞ったのか。一刻も早い支給を事業者の皆さんは切望しています。全ての支給が完了するのはいつか伺います。
- 【林産業労働部長】
-
協力金、支援金の申請件数と、支給済みの件数、完了の見込みに関してのお尋ねでございます。
いわゆる特措法第24条第9項に基づく県からの要請に協力して、施設の使用停止、休業等を行った事業者に対する協力金の申請が9,208件、また、観光宿泊施設等を有し休業を行った事業者に対する支援金の申請が3,486件、合わせて1万2,694件ございました。
このうち支給件数は、協力金が7,009件、支援金が2,549件、全体では申請数の4分の3に当たる9,558件を本日までに支給いたしたところでございます。
残る申請者の皆様に対しましては、現在、書類の補正等をお願いしているものでございまして、不足書類が提出され要件が整い次第、速やかな支給に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
- 【高村京子議員】
-
県による観光宿泊施設に対する休業の検討の協力依頼は、4月23日から5月6日までですが、実際には5月末まで営業を自粛した、いや、自粛せざるを得ない状況が続きました。この間の休業に対する支援がないことについて、どのように受け止めておられるか観光部長に伺います。
- 【中村観光部長】
-
5月まで営業自粛を続けたところへの支援についてでございます。
本県への緊急事態宣言解除後、身近な生活圏から経済活動が順次再開してまいりましたけれども、観光宿泊施設等に対しては、感染防止対策の徹底とともに東京都など八つの特定警戒都道府県から人を呼び込まない運営について、検討の協力を依頼してまいりました。
このため県では、特定警戒都道府県からの宿泊予約の先送りにご協力をいただいた事業者に宿泊延期クーポンを発行し、感染終息後の観光需要の喚起につなげる取組を行いましたけれども、その結果、200余りの宿泊施設から9,200人泊分の申請があったところでございます。
また、持続化給付金等の各種助成制度の申請サポートなど、経営面での支援を行ってまいりました。感染防止対策の準備のために休業していた事業者も含めまして、5月末まで休業した事業者が現れたことは承知しておりまして、こうした状況を踏まえると事業者をしっかりと支えていく必要があると考えております。
6月から県民向けの宿泊割引事業を実施し、緊急的な支援に取り組んできておりますけれども、今後も感染状況を注視しつつ、7月からは誘客対象を全国に拡大し、切れ目ない対策を講じて、すそ野の広い観光関連産業を支援してまいります。
加えて、これまでの飲食サービス業等新型コロナウイルス対策応援事業、また、6月補正に計上いたしました観光関連サービス業等生産性向上支援事業、地域支えあいプラスワン消費促進事業など、様々な取組によりまして、観光、宿泊産業を支援してまいりたいと思います。
- 【高村京子議員】
-
6月から、県民助け合い県内観光振興の宿泊費のふっこう割の支援が歓迎されています。当初は、旅行事業者経由でないと手続をしてもらえず、旅館、ホテルやペンションなど小規模な多くの宿泊施設の利用に結びつかない事態でしたが、その後改善がされ、現在は、じかに宿泊施設に申し込んだ場合でも、ふっこう割を対象としてもらえるようになりました。旅行事業者には、県内宿泊施設や観光関連業者を結び、連携を取り合って、県内観光振興に一層ご奮闘していただくことを期待いたします。
そこで、6月に続き7月からスタートする県民支えあい観光産業緊急支援事業のスキームは、どうなっているでしょうか。また、今回の事業実施に当たり地元の旅行事業者の関わりはどのようになるのか、観光部長に伺います。
- 【中村観光部長】
-
県民支えあい観光産業緊急支援事業の運営スキームについてでございます。
事業主体である県観光機構が、制度設計や宿泊観光施設などの事業者の募集、登録、生産等の全体業務を行い、スタートに当たって一時的に集中する業務について、その一部をプロポーザルにより民間事業者に委託をしております。受託をした事業者は、運営事務局として宿泊観光施設などの事業者との調整、お客様コールセンターの設置、広報などの業務やクーポン券の印刷、発送といった事務を担いまして、県及び県観光機構と連携して事業を推進していくスキームとなっております。
地元旅行会社に対する関与のお尋ねでございますけれども、今回の事業では、宿泊割引の方法としてコンビニでクーポン券を購入し、これを使う方法と、地元の旅行会社等を経由して宿を予約し割引を受けるといった方法の二つの方式を取っておりまして、この事業には、地元の旅行会社142社にご参加をいただいております。
特に中小規模の旅行会社は、お客様の意向をお聞きし、希望の宿泊先に送客をすることで営業活動をしておられますことから、顧客を増やし、収益を上げていただくために本事業を最大限に活用いただくこと、また、先ほども申し上げましたけれども、観光関連サービス業等生産性向上支援事業、これを積極的に御活用いただくことで、支援をしてまいりたいと思っております。
引き続き、厳しい状況にあるこうした地元の旅行会社をはじめとする観光関連産業に対して、きめ細かく事業を展開してまいりたいと思います。
以上でございます。
- 【高村京子議員】
-
小規模の宿泊業や様々な観光関連施設を結び、利用者の要望を酌みつつ、県内観光をマッチングする大切な役割が観光事業者にはあります。142件余りが登録されていますが、小規模旅行事業者もやりがいを持って事務手続などの支援をしていただきたいと思いますが、再度観光部長にお伺いいたします。
- 【中村観光部長】
-
中小旅行会社に対する事務費等の支援をすべきではないかとのお尋ねでございます。
旅行会社は、宿泊施設から手数料を取るというような形で営業活動を行っておりますことから、事務費という形でお渡しをするというわけではなく、本事業を最大限ご活用いただきまして、観光事業をうまく捉え、また新たな顧客を獲得し、今後の収益、そして継続的な経営につなげていただくよう、ここに力を入れて支援してまいりたいと存じます。
以上でございます。
- 【高村京子議員】
-
今回、新しく観光関連サービス業生産性向上支援事業4億5,000万円が盛られています。グループでの取組を支援するとしています。観光産業等に対しどのような支援をするのか、信州ブランド推進監に伺います。
6月19日、千曲市「月の都千曲―姨捨の棚田がつくる魔可不思議な月の景観『田ごとの月』」とともに、「レイラインがつなぐ『太陽と大地の聖地』~龍と生きるまち信州上田・塩田平」が、文化庁から日本遺産の認定を受けました。昨年の台風19号で被災し、多くの皆さんからご支援をいただいている上田電鉄別所線を含め、神社仏閣の存在や、雨乞いの祈りの聖地として深い歴史と文化をアピールするものです。
文化庁の日本遺産は、木曽路と、八ヶ岳山麓の黒曜石鉱山と縄文文化に出会う旅も認定されています。
このような文化庁認定の地域の振興なども視野に入れて働きかけをしていただきたいが、いかがでしょうか。このことも含めまして、信州ブランド推進監にお伺いいたします。
- 【熊谷信州ブランド推進監】
-
観光関連サービス業等生産性向上支援事業に関するお尋ねでございます。
本事業は、外出自粛や往来自粛の影響が特に大きかった旅行業や宿泊業、酒蔵、ワイナリー、お土産品・伝統工芸品等の事業者を中心に、業界や地域、または異業種間で行う生産性の向上や、魅力発信などのチャレンジに対して支援させていただくものでございます。
県境を越えた往来が自由になっても観光には慎重な方も多いことから、例えば旅行業、バス事業、宿泊業の皆さんが協力して、出発地から目的地、お帰りになるまで、一貫して感染防止対策がなされる、新しい安全、安心の旅の企画や、土産物品店や伝統工芸品店等の皆さんが協力されて、信州の旅土産の詰め合わせセットを開発しネットで販売するなど、様々にご活用いただきたいと考えております。
対象者は、観光関連事業者を主たる構成員としたグループですが、農業や製造業、小売業など、その他の産業の皆さんに構成員として参加していただくことも可能でございます。
当面、厳しい経営状況の継続が予想されますことから、4月議会でお認めいただき、多くの皆様にご応募いただきました飲食サービス業等新型コロナウイルス対策応援事業と同様に、一人でも多くの事業者の皆さんにご活用いただけるよう周知してまいるとともに、観光部と関係部と一体となり、ただいまご指摘をいただきました信州の名勝を、県内外の皆様とともに再発見していただくなど、旅行業をはじめとする申請者の皆さんに寄り添いながら、事業計画策定の段階から支援してまいる所存でございます。
- 【高村京子議員】
-
観光部長にご答弁いただきましたけれども、これから国のGoToキャンペーンもあろうかと思いますが、やはりこの観光振興というところでは、県内を中心に活躍していただく観光事業者がやりがいを持って、しっかり奮闘していただくことが大事だと思いますので、ぜひ、その点よろしくお願いいたします。
2.介護事業所の現状と抜本的な支援について
- 【高村京子議員】
-
次に、介護事業所の現状と支援について伺います。
医療現場と同じように、介護施設でも感染予防対応に大変な神経と労力を尽くして日々を重ねています。予防対策を取りながらも、濃厚接触が避けられないのが介護ケアです。マスクや予防衣も不足、入手が困難な上、価格も上昇し予防衛生費はかさむことになりました。
一方、デイサービスやショートステイなどの利用を自粛される利用者が約2割にもなり、介護収入は激減したとの声を聞いています。在宅支援ではより厳しい感染対策を迫られ、管理者も介護職員もギリギリの奮闘を今も続けています。
もともと介護事業所は介護報酬での経営は厳しいものがあり、介護職員の平均給与は、他の労働者との比較で10万円ほど低く、職員確保難で常に職員不足です。その上に、新型コロナの感染対策で一層経営が逼迫しています。
そこで、新型コロナウイルスにより介護事業所の現状をどのように受け止めておられるか、健康福祉部長に伺います。
- 【土屋健康福祉部長】
-
お尋ねをいただきました。
最初に、新型コロナウイルスによる介護事業所の実態をどのように受け止めているかというお尋ねでございます。
この間、福祉の関係者の皆様から直接話をさせていただく機会を持たせていただいてございます。その中で、衛生資材を大変節約しながら使っておられるといったようなこと、また、人手不足もあって、職員は休むことがないよう体調管理に非常に気を配っているといったこと。3密を避けるため、例えば入浴等の時間帯を午前、午後の2回に分けて実施しているといったようなこと。そういったことをお聞きをしているところでございます。
私ども、介護施設につきましては、重症化しやすい、クラスターになりやすいというふうに申し上げてきておりますけれども、現場では、感染予防に対して本当に緊張感をもって対応していただいているというふうに受け止めたところでございます。
また県では、新型コロナウイルス感染症に係る相談窓口を、3月2日から10保健福祉事務所に設置してございます。コロナ禍の事業所の困り事や職員の相談に応じますとともに、施設からは、衛生資材の不足や、感染者発生時の職員の応援態勢についてのご要望をいただいているところでございます。
今後も、介護事業所職員の皆様のご意見、ご要望に寄り添った支援に努めてまいります。
- 【高村京子議員】
-
介護事業所には県や市町村を通じてマスク等を支給していただきましたけれども、支給の時期や数量は適切に行われたのか、振り返っていかがでしょうか。マスクや予防衣の不足の上、単価の値上げにより衛生資材費用がかさみ、やむを得ず利用者に負担を求める事業所もありました。
県として、感染予防のための衛生費を過去にさかのぼっての補填や、今後の衛生資材の持続的で迅速な支援をしていただきたいですが、どのように考えておられるか健康福祉部長にお伺いいたします。
- 【土屋健康福祉部長】
-
次に、衛生資材購入経費の補填についてのご質問でございます。
県では、介護施設における感染症対策を徹底するため、衛生資材の購入経費への補助金を6月補正予算において計上しており、これにつきましては、本年4月までさかのぼって補助対象とする予定でございます。
県から各施設への衛生資材の提供につきましては、適正な価格で購入が可能なマスク等の資材は、この補助金を活用して各施設で購入していただきたいというふうに考えておりますが、エプロン等需給が逼迫し、各施設では購入しにくい資材につきましては、県で購入をし、迅速に配布してまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 【高村京子議員】
-
知事に伺います。
県外との往来が緩む中、介護現場では今まで以上に感染予防対策を続けています。介護職員のコロナ対策での慰労金や、介護職員派遣事業が盛られたことは歓迎します。しかし、酒井県議が指摘したように、介護人員が全く足りていないのが現実です。介護事業所の抱えている現状について、さらに調査や聞き取りを行っていただき、介護事業所への経営に対し県として手厚い支援を早急に検討していただきたいが、どうでしょうか。
また、国への要請についても引き続き行っていくとのご答弁でしたが、介護保険制度が始まって今年で20年です。この間に保険料は2倍、介護サービスは次々縮小、在宅での家族介護がなければ成り立たない現実があり、そこに新型コロナ対策で一層厳しい事態となり、介護崩壊につながる危機感があります。介護報酬の値上げではなく、介護事業所運営への直接支援や、介護職員の抜本的な処遇改善を国に強く求めていただきたいが、いかがでしょうか。
- 【阿部知事】
-
介護事業所、介護事業者に対する支援というご質問いただきました。
今般、新型コロナウイルス感染症の拡大下におきましても、介護に携わっていただいている皆様方には事業継続をしていただき、また、職員の皆様方には非常に神経使いながら、きめ細やかなサービスを継続いただきましたことに、まずは心から感謝申し上げたいと思います。
そうした中で、私も介護現場の現状が気になっておりましたので、福祉関係の皆様方と直接、ウェブではありましたけれども、意見交換させていただきました。
その時のご意見として多かった点は、まずはご質問にもありましたけれども、衛生資材がなかなか確保するのに購入費もかさんでいるといったようなお話、また、例えば通所事業所においては利用者の利用控えがあって、収益面で影響が出ていると。さらには、これは新型コロナウイルス影響以前からではありますけれども、依然として人手不足で大変厳しい状況だといったようなご意見を頂戴いたしております。こうした課題に、我々県としてもしっかり向き合っていかなければいけないというふうに思っております。
4月補正予算では、通所事業所がサービスを継続するため、通所から訪問サービスに切り替えた場合の経費の助成というものをお認めいただいております。また、その活用としては、御質問いただきましたように感染者が発生した場合の危険手当であったり、あるいは、通所を訪問サービスに一時的に切り替えるような場合の応援職員派遣に要する経費に充てていただくということで助成をすることにしております。
また、今議会には感染拡大防止対策支援事業ということで、社会福祉施設等に対して46億円を上回る予算を計上させていただき、これは、ぜひ全ての事業所で感染症対策を徹底していただきたいということで、例えば患者が発生した際に対応していただけるような居室の整備であったり、あるいはマスク等衛生用品の購入であったり、また、今なかなかご家族の面会も感染拡大期には容易にはできないということで、オンライン面会の際に使うタブレットの購入であったり、また、専門家による研修会の開催であったり、あるいは施設の消毒、こうした様々な対策に対して助成を行わせていただきたいと思っております。
また、こうしたこととあわせて、国に対しては、今、申し上げたような備品購入等への経費支援、これも求めてまいりましたし、また、これはコロナ以前の問題でありますけれども、介護従事者の給与等の処遇改善、こうしたことについても新型コロナウイルスに関連しての緊急提言の中でも盛り込んで国に求めてきているところであります。
今後とも介護事業者の皆様方の状況をしっかり把握し、思いもお伺いをさせていただきながら、県としても必要な支援の充実に努めていきたいと考えております。
以上です。
- 【高村京子議員】
-
様々県ではご努力をいただいているように思いますが、私は、国の大元の対応が大変問題だと思います。
国は、6月初めにコロナ対応で、サービス区分を実際より2段階上げて請求できる特例を通達しましたが、実際のサービスは変わらないのに、利用者に負担増を求めることに理解が得られるのか、説明と契約の手続が発生し、多くの事業所が悩んでいます。真に介護事業者の支援とはならないと思うわけです。抜本的な介護保険制度の改正を、国に充実を求めていただきたいと思います。
3.小・中・特別支援学校等の給食費無料化について
- 【高村京子議員】
-
次に、小学校、中学校、特別支援学校等の給食費無料化を求め質問します。
安倍首相による突然の学校一斉休校要請によって、多くの学校は3月2日から学校の給食はなくなり、その分、子どもたちは自宅で昼食を取ることになりました。
学校給食は教育の一環で、子どもたちの健やかな成長に必要不可欠なものです。長野県では、中学校も含め、全ての生徒に安全でおいしい地元食材活用など食育の取組も重視してきました。この3月から学校が再開する6月まで、ほとんどの学校で給食の提供はなく、食材費や調理など保護者、家庭の負担は大きいものとなりました。学校によっては、今年度4月、5月分の給食費の請求は行って、後日、年度内精算するところもあるようです。
コロナ禍の中で収入が減って、生活が苦しい家庭も増えています。群馬県や福島県では、多くの自治体で給食費の無料化を実施していますし、県内でも王滝村、売木村、平谷村、天龍村などが実施、長和町でも昨年から実施しています。一部補助は20市町村が実施しています。上松町では、今年度コロナによる家庭の支援として、小学生1万6,000円、中学生1万2760円を町の負担として補助しています。御代田町では、来年から無料化を検討していましたが、今年7月から3月まで、前倒しで無料化すると発表しました。
県としても、小中学校及び特別支援学校の給食費の無料化を、市町村とも連携しつつ実現をしていただきたいと思います。ご所見を、教育長に伺います。
- 【原山教育長】
-
小中学校及び特別支援学校の学校給食費、学校給食の実施に当たっては、学校給食法に基づきまして学校設置者である自治体が人件費や施設などの経費を負担し、保護者は、食材費を学校給食費として負担することになっております。これは本来、食材費については学校に通わずとも各家庭で負担していることが一般的であるということを踏まえたものでございます。
また、この学校給食費については、経済的に困難を抱える家庭について生活保護による教育扶助や、就学援助、就学奨励費などの支援制度により支援を行っているところでございます。
今回の新型コロナウイルスにより、経済的苦境に陥った家庭に対しては様々な支援が行われているところでありますけれども、給食費の支援についても、新型コロナウイルスの影響により家計が急変した世帯に対しては、就学援助等の申請要件を直近の収入見通しにするなど柔軟な対応が取られたところでもございます。
従来から町村の中には、それぞれの政策判断で給食費の支援を行っていることは承知しておりますけれども、こうした制度本来の考え方や新型コロナウイルスへの対応等を考慮いたしますと、県教育委員会として給食費の無償化を検討することは難しいというふうに考えているところでございます。
4.長野県新型コロナウイルス感染症等対策条例案について
- 【高村京子議員】
-
県の新型コロナウイルス感染症等対策条例案につきまして、知事にお伺いします。
県は、これまでの対応を基に将来を見据え、新型コロナ感染症等に対する基本的な考え方や手順に関する一定のルールを明確にし、県民、事業者や、皆様との間で認識を共にしておく必要があると条例の必要性を述べておられますが、これまで県の打ち出した対策について、どのように検証されたのでしょうか。その点が表明されていません。
安倍首相の全国一斉休校要請が2月27日に出され、政府が特別措置法に基づいて対策本部を設置したのは3月26日ですが、県は独自の対策本部を1月末には立ち上げ、3蜜を避ける取組の呼びかけ、外出自粛の要請、施設利用の休止、さらに観光宿泊施設の休業等の協力を依頼してきました。県の啓発と県民の努力により、現在は落ち着いた状態に見えますが、昨日の東京の55人を含め、全国で96人の感染が出ており、まだまだ予防対策を弱めることはできません。
この数か月で多くの個人や事業所団体が大きなダメージを受けており、雇用や地域経済の落ち込みなど、今後への不安は大きくなっております。新しい生活様式を模索する中で、今後も工夫した自粛を求められる一方、それに対する補償は不十分と言わざるを得ません。
条例制定の前に、まず、今までの取組を振り返って検証し、中間総括を行い、県民に報告を行うことが必要であり、その中で課題となることを明らかにすることが条例制定の土台となるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
- 【阿部知事】
-
新型コロナウイルス感染症対策条例案について、2点ご質問いただきました。
まず、これまでの対応を振り返って中間総括をした上で条例制定すべきではないかというご質問であります。
これまで私ども長野県として取り組んできた対応については、振り返りを行い、専門家懇談会にもご意見をお伺いした上で、一定の課題の整理を行わせてきていただいております。今後とも、詳細な検証を進めていきたいというふうに思っておりますけれども、主な課題も幾つか見えてきております。
まず、条例案に関連するものとしては、蔓延防止のための要請についてがございます。これについては、県民、事業者の活動に大きな影響を与えるということから、手続の明確化を図るとともに、必要最小限かつ効果的な措置の在り方を検討しておく必要があるというふうに考えておりますし、また、特措法によらない地域の実情に応じた取組として、蔓延地域から人を呼び込まないために、必要最小限の範囲で協力を求めることができる仕組みを構築していくということが必要だとも考えております。
このほかの課題、条例に関するもの以外、直接関係するもの以外の課題としては、例えば、医療提供体制につきましては、現在の患者受け入れ体制を維持するとともに、今後重症患者を受け入れられる病床数の充実であったり、院内感染など大規模なクラスターの発生を想定した体制の構築等が必要であるということ。また、検査体制についても、ピーク時を見据えた検査件数の拡大、あるいは抗原検査を組み合わせた最適な検査体制の検討の必要があると。あと保健所の体制の強化も含めて、こうしたことがこれまでの対応を振り返っての主な課題だということで、一定の整理を行わせていただいているところでございます。
今後、第2波に向けて、いつ来るか分からないわけでありますので、こうした課題に的確に対応していくということが必要だというふうに思っておりますし、今回の条例案についても、今、申し上げたような課題に対応していく上で重要なものであるというふうに考えております。
- 【高村京子議員】
-
もう一点、今までも知事の要請に対して多くの県民の皆さんは協力してきました。条例の必要性が見えません。移動の自由や営業の自由など私権を制限するものだけに、今までの経過の中で何が課題で、条例が必要と考えておられるのか知事にお伺いいたします。
- 【阿部知事】
-
これまでも知事の要請に県民は協力している中で、条例の必要性が見えない、何が課題で条例が必要なのかというご質問でございます。
これについては、この条例の必要性は幾つかの視点があると思いますけれども、大きく4点申し上げたいというふうに思います。
まず、ご指摘いただきましたようにこの新型コロナウイルス対応、あるいは感染症対応、これは、まさに県民の皆様と協力して進めていくということが、私も大変重要だというふうに思っております。ただ特措法、新型インフルエンザ等特措法だけでは、この先どういう手続があるのか、県がどういう考え方で対応していくのかということがなかなか分からない。分かりにくいという形になっております。
今回県としても一定の考え方、基本的な枠組みをお示しをすることによって、県民の皆様方にも今後どういう対応をしていくのかということの、ある意味、予見可能性を持っていただき、共通認識の下で対策を進めていくということが可能になるというふうに思っております。
私見制限というお話もございましたけれども、条例の内容としては、法的には行政処分、あるいは罰則を科するというようなものではありません。
私の思いとしては、この場で申し上げたように、県民の皆様方の協力をいただきながら、一緒になって対策を進めていきたいというふうに考えております。
それから2点目としては、今、1問目のご質問にお答え申し上げたように、今の新型インフルエンザ等特措法における対応だけではなかなか十分な対応がしにくい部分があるものというふうに考えております。そういう意味で、課題を踏まえてこの法律を補完するという観点で、この条例を制定していくということが必要だというふうに思っております。
ただ、私どもとしても、法律で対応していただかなければいけないものもあるということで、こうした点については、国に対しても問題提起をさせていただき、例えば、特措法に基づく使用制限の要請については、都道府県、地域の実情に合った運用が可能となるよう国に求めているところであります。ただ、国においてはまだそうした動きがないということでありますので、今回こういう条例を基に対応させていただきたいというふうに思っております。
また3点目として、パブリックコメントの中で県民の皆様からいただいた意見の中でも、民主的なコントロールということを言われております。私もこの場でも法治主義ということを申し上げてきておりますけれども、感染症の対策、対応というのは非常に県民の暮らしや事業活動に大きな影響を与えるものだというふうに思っております。そういう意味では一定のルールや手続、こうしたものを明確化しておくということが重要だというふうに思っております。
そして最後、4点目でありますが、今回患者の方、あるいは事業者の方、あるいは医療関係者の皆様方に、本当に様々な差別的取扱い、誹謗中傷、こうしたものが行われたというふうに伺っています。こうしたことはあってはならない、コロナに向かい合う、協力して対応していかなければいけない中で、県民の皆様方同士が、こうしたことで絆が断ち切られてしまうということがあってはならないということで、差別的取扱いの禁止等についても定めさせていただきたいというふうに思っております。
私自身の性格としては、物事を慎重に対応することが重要だというふうに思っておりますし、どちらかというと、そうしたスタンスでいろいろな物事に向き合ってきておりますけれども、この新型コロナウイルス、あるいは感染症対策については、県民の皆様方の命がかかっているというものでもありますし、また、状況についてはいつ急変するか分からないということで、迅速な決断と対応に努めてきたところでございます。
今後とも、感染症対策にしっかり向き合って、県議会の皆様方のご理解、ご協力もいただきながら、県民の皆様方の生命、健康を守るために、全力を尽くしていきたいと考えております。
以上です。
- 【高村京子議員】
-
知事のお考えを伺いました。
専門家の意見聴取を義務化すると修正されましたが、国の特措法に基づかない、県の条例による協力を知事が要請するには、緊急時であっても、関係する団体等に意見聴取することは必要ですし、随時その場面は必要だと思います。
それは条例がなくても、県民との信頼関係があればできることではないでしょうか。また、人々の多様な価値観や切実な事情により、県の要請に応えられない人がいることも考慮することは大切ではないでしょうか。
県をまたいでの往来が緩み、引き続きの感染予防対策は講じなければなりません。収入が減少、失業、アルバイトがなく、学業も困難になど、暮らしと営業や、教育に与える影響は甚大になっています。自粛を求めるなら補償も必要です。
課題が明らかにされていない、そう私は認識いたしますが、知事による、私権制限につながりかねない条例を、今県議会で拙速に制定することは認められません。広く県民参加による意見交換など、時間をかけて、コロナ対策を取りながら、刻々と対策を取りながら、慎重な議論や意見交換が必要だと考えております。
県民の皆さん、本当にいろんな場面で厳しい思いを、切ない思いを、不安な思いを持っていらっしゃいます。
この皆さんに寄り添いながら、県議会の皆さん、県執行部とも力を合わせて、一人も取り残さない、そういう県政に進んでいくように共に力を合わせていきたいと思います。
以上です。