日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2020年9月定例会 両角友成議員一般質問

  1. 少人数学級の実現について
  2. リニア中央新幹線建設について
  3. 再生可能エネルギーの活用について

1.少人数学級の実現について

【両角友成議員】

日本共産党県議団の両角友成です。

 私は、発言通告に沿って一般質問を行います。

 まず初めの質問項目は、少人数学級の実現についてであります。

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、休校が長期化した学校現場は、授業時間確保のため、行事の取りやめ、夏休みの短縮、1日の授業のコマ数を増やすなどの措置が取られています。

 他方、小規模校は大規模校に比べ3密を避けることが容易で、分散登校する必要もなく、休校期間が短くて済み、影響が最小限で食い止められました。

 教職員の負担軽減、教育の質の向上という教育が抱える従来の課題に加え、これからの新しい生活様式という新しい観点からも、今の子どもたちには、今後さらに手厚い支援が必要です。今般の新型コロナ感染症拡大によって、子どもたちが失ったいろんなものを、ゆっくりと取り戻していくことが必要ではないでしょうか。

 全国知事会、市長会、町村会の3会長は、政府に対し「少人数編制を可能とする教員確保」などを要請。全国小・中・高・特別支援学校の4校長会も、文科省に少人数学級を要望しました。このように、少人数学級実現を求める世論が高まっています。

 国の動きを見ても、9月8日、政府の教育再生実行会議が会合を開き、新たな時代の学習環境に関し、3密の回避やパソコン端末の活用を進める観点から、少人数によるきめ細やかな指導体制を計画的に整備する方向性を確認。一クラス30人以下学級編制への早期実現を訴える意見などを踏まえ、中間答申では、今後の予算編成過程で関係者間で丁寧に検討するよう要望し、文科大臣は同日、次期政権に議論が引き継がれるよう総理大臣に答申書を提出したとの報道です。

 日経6月22日付では、全国連合小学校長会の会長は「ウィズコロナ、コロナと共存の時代では、20人から30人が適当」と語っています。学校再開後の分散登校では、各地の学校で一時的に十数人の授業となりました。「子ども一人ひとりの表情がよく分かる。コミュニケーションも取れる」「一人ひとりの勉強のつまずきを丁寧に見られる」など、効果はてきめんとのことです。

 こんな内容の署名も行われています。それは、「少人数学級は、手厚い教育、柔軟な教育にいかに有効かが全国の経験となりました。コロナ感染の危険の中で学ぶ子どもたちに、少人数学級と豊かな学校生活を保障してください」。これはインターネット上で7月中旬から賛同署名が始まり、途中、書面による署名も加わり、わずか2か月ほどで15万人分が集まり、少人数学級化を求める教育研究者有志の人たちの代表が9月17日に国会内で文科省に署名を提出しました。動きは急です。

2013年度には、小中学校で35人以下学級を達成した長野県として、さらに小中学校の少人数学級を進めるために必要な教員数を確保し、全国に先駆けて20名規模学級の実現をも望みます。

 阿部知事は全国知事会の中でも、文教環境常任委員長としてその職責を果たされています。この分野に精力的に取り組まれている阿部知事のお考えを改めて伺います。

【阿部知事】

少人数学級の実現に向けての考え方というご質問をいただきました。

 小中学校の少人数学級は、新型コロナウイルスの感染症拡大を防止するという観点から、学級の密を回避するという利点があるということに加えまして、もう少し中長期的な観点では、やはり子どもたちの適性、能力に合った個別性的な学びを実現していく、あるいはこれから社会に適応していく上で必要な多様な学習活動に対応していく、そうしたことを実現していく上で、この少人数学級を進めていくということは重要な課題だと考えております。

 全国知事会としても、全国市長会、全国町村会とともに、この7月2日に国に対して緊急提言を行わせていただき、少人数編制を可能とする教員の確保を強く要望したところであります。

 県としては、新型コロナウイルス感染症拡大の中、非常に厳しい財政状況が見込まれるところでありますが、今後とも35人以下の少人数学級を維持できるよう教員を配置していきたいというふうに考えています。

 また、全国知事会の文教環境委員長という立場からは、国全体として、さらなる少人数学級の実現と、それに伴う教員増が図られるよう引き続き取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。

【両角友成議員】

子どもたちと教職員を大切にする学校は、長野県の希望ではないでしょうか。こう申し上げまして、次の質問項目に移ります。

2.リニア中央新幹線建設について

【両角友成議員】

リニア中央新幹線建設についてであります。

 リニア建設については、静岡県に関係する報道が目立ちますが、長野県内でも沢筋を埋め立てての残土処理に問題意識を抱く地元住民、新駅舎建設予定地での住宅立ち退きが迫られる中、悲痛とも言える地元住民の声があります。

 私たち日本共産党県議団は、7月29日、30日とリニア関係の現地調査を行いました。リニア新駅建設に関係する住民の皆さんからの声です。一部ですが、紹介しますと、「計画されている6.5ヘクタールの中に自分の家も田んぼも畑もある。県道拡幅では必要な土地だけ買い、残地が残ってしまう。中途半端になる気がして困っている。測量はしたが、結果はいまだに持ってこない」「補償も含めて土地代は上がると思っていたのに、宅地の単価が平成10年頃は坪30万円ほどしていたが、今は9万円という。移転先の宅地は9万円から13万円、借金して新築などできない。しかも、移転先が遠い」「80歳過ぎだ。どく(移転)はいいが、早くやってくれないと長く住めない」「覚悟して立ち退いた人たちもいる。途中で放り出されても困る」「何も進まない。ごうを煮やしている。県道は県の建設事務所、駅関係は飯田市がやっている。揃って地元が交渉することはない」「リニア、リニアで、何を考えているのか分からない。もう少し腰を据えて計画をし直してほしい。みんなが困らないように」「結論はいつ出るのか。いつかどこかで区切りをつけてほしい」等々、地元の言葉で切々と訴えられました。

 計画が出されて約8年が経過。県はリニア整備推進局を設け、リニア中央新幹線の用地取得、建設工事に関係する調整、リニア中央新幹線を活用した地域振興を推進しています。

 昨年10月の台風19号など、巨大化する台風を目の当たりにして、土砂災害を恐れる住民。、あるいは一部紹介したように、駅舎建設に伴い8年間目立った進展のない住宅の立ち退き計画に対するいら立ち。県は、このような地元住民の声をどう受け止めているのか伺います。

 この質問に関連し9月16日、私たち日本共産党県議団は9月県議会に向けた申入れを阿部知事宛てに行いました。7項目でありましたが、その中に、リニア中央新幹線工事に関わっての項目があり、その中で、JRや行政が住民の不安や疑問などに真剣に耳を傾けることが必要です。このことに対する答弁で、県側は、それは基本中の基本ですとされています。この点も踏まえ、ただ進めるのではなく、住民の皆さんが納得する方向性を示すべきではないでしょうか。

 また、地元が抱える問題に対し、県として、例えば駅舎建設予定地の土地単価の交渉役を務めるなど、積極的な関わりを望みますがいかがでしょうか。リニア整備推進局長に伺います。

【中村リニア整備推進局長】

リニア建設工事に対する住民の声の受止めと、県としての関わりについてのお尋ねでございます。

 県では、これまでもリニア事業の推進には、地域の理解と協力が不可欠との考えに基づき取り組んでまいりました。例えば、用地交渉や市町村が開催するリニア対策協議会などの場において、地元の住民の様々な不安や要望をお聞きしまして、これらを理解を得ながら進めるよう、JRと調整を進め、努めているところでございます。

 また事業主体のJR東海におきましても、工事の着手や発生土置き場の確保に際し、地元説明等を行い、住民の理解を得ながら工事を進めているというところでございます。

 県といたしましては、引き続き地域の声を丁寧にお聞きしつつ、JR東海、地元の市町村と十分連携しまして、事業が円滑に進展するよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。

以上です。

【両角友成議員】

知事に伺います。

 残土問題は、松川町、下條村、飯田市、豊丘村の残土埋立予定地4か所を調査しました。松川町では、JA南信州生田支所の近くで寺沢川と棚田がきれいなところでした。この下流部に土留めをして、18メートルの高さまで36万立米を埋め立てる計画。この地域は、1961年の三六豪雨で大規模な被害に遭っており「計画は無謀だ」の指摘がありました。

 下條村では、道の駅「信濃路下條そばの城」に接する土地を購入し、約100万立米、大型ダンプ20万台分を埋め立てる計画。測量が始まっていましたが、地権者との協議が続いており、まだ土地購入は調印になっていないとのことでした。

 飯田市では、龍江地区に40万立米を35メートルの高さまで埋め立てる計画。この地域は天竜川まで2キロ足らず。三遠南信自動車道インターチェンジに近いので、盛土が流出したら大災害になりかねません。地元では、地域の問題としてみんなで考えようと対策委員会を設け、学習会を重ねているとのことでした。

 豊丘村では、戸中諏訪神社の奥に位置した現場で、先ごろ7月の豪雨災害によりところどころ土砂が流出し、道路の一部が大きく崩落した箇所もあり、現場に行く前に、復旧工事がされている現状で危険な地域と認識させられました。この残土置き場は、ほかに作業ヤードと非常トンネルの予定地で、道路改良工事が始まっていました。下流には民家や小中学校もあり、災害があれば命に関わるとの地元の方の訴えです。

 このように見ていきますと、JRや行政が住民皆さんの不安や疑問に、また時がたち、今になって分かったことを基にした様々な意見に、もっと真剣に耳を傾ける必要性を感じてきました。

 新型コロナ感染症拡大で、暮らし方、価値観の変化、また様々な問題や新たな課題が出ている今、一度立ち止まり、それらを整理する必要があるのではないでしょうか。知事の見解を伺います。

【阿部知事】

リニア中央新幹線に関連して、リニアに関する様々な問題や新たな課題について、立ち止まって整理する必要があるのではないかというご質問であります。

 リニア中央新幹線の建設を進めるに当たりまして、これは地域の皆様方のご理解とご協力が不可欠だということは、私も十分認識しておりますし、こうしたことについては、JR東海についてもたびたび伝えてまいりました。

 また、具体的な地域が抱える課題等についても市町村などからお伺いをさせていただき、重要なものについては、JR東海の社長に対しても直接課題を伝え、対処を求めてきたところであります。例えば、発生土置き場の安全性の確保についても、JR東海社長との会談等において要望した結果、造成後の恒久的な管理といった前向きな対応を得ることもできたと考えております。

 また、残土置き場の安全性ということについては、これは県としても関係法令の手続きにおきまして、専門家のご意見を伺いする中で、厳格に安全性を確認をしてきているところであります。

 今後も起こり得る様々な問題に対しましては、地域への丁寧な説明と対応をJR東海に求めていくとともに、県としても、市町村をはじめ地域の皆様方としっかり協力をしながら、対処、取組を行っていきたいというふうに考えています。

 以上です。

【両角友成議員】

住民の方は言います。9兆円もの巨額投資は、今世紀最大の超巨大開発事業であり国家プロジェクトなのに、なぜ、JR東海という一民間会社に任せられるのか。それより飯田線を守ってほしい。もっともな話ではないでしょうか。

3.再生可能エネルギーの活用について

【両角友成議員】

次の質問事項は、環境を守るために再生可能エネルギーの活用を、であります。

 今年7月は、世界でも1981年の統計開始以来4番目に高い気温となりました。日本付近では梅雨前線が長期にわたり停滞。1946年の統計以来、西日本では太平洋、日本海側とも。また、東日本では太平洋側で最も雨量が多く、日照時間が短い異常な梅雨となりました。

 ところが、梅雨明け後は一転して異常な猛暑と水不足が続きました。こんな今年の酷暑を経験しても、地球温暖化がハイスピードで進行している感があります。いまだに燃え続けるアメリカの西海岸各州での森林火災、2か月が過ぎました。北極、南極の氷が溶け出す。

 8月24日、信濃毎日新聞はその社説で、北半球の熱波、打撃への備え、強化を急げと書きました。
北半球の各地が熱波に見舞われている、降水量は減り、干ばつ、山火事が相次ぎ、農作物や漁獲量に深刻な影響が及んでいる。ロシアのシベリアで続く異常高温も気がかりだ。永久凍土が解ければ、温室効果が二酸化炭素の25倍とされるメタンが一気に放出しかねない。

 ロシアと欧州の研究チームは、温暖化が影響したのはほぼ間違いないと分析し「温室効果ガスを早急に削減しない限り、異常気象が頻発する」と警鐘を鳴らす。ドイツの研究所によると、温暖化の被害が最もひどいのは日本という。政府は周回遅れの対策を急ぎ挽回しなくてはならない。こんな内容でした。県民の多くが納得する中身だと思います。

 環境が壊れてしまえば、私たちの生活は成り立ちません。県としての取組にもスピード感が求められます。環境を守るための再生可能エネルギー活用で、県は、信州屋根ソーラーポテンシャルマップを作成し、太陽光発電設備等共同購入事業も予算化と、県として努力されていることは認められますが、現在の県内の個人住宅の太陽光発電設備の普及状況と、新事業共同購入の実施による効果をどう予測しているのか、考えているか伺います。

 庶民の力、県民一人ひとりの各家庭の持っている力に依拠し、節電はもとより、7月現在45市町村が行っている個人住宅の太陽光発電設備の補助を県としても実施することも含め、2050年ゼロカーボンに向けた、県民が納得し取り組もうとなるような、より具体的な施策を打ち出していただきたいが、いかがでしょうか。環境部長に見解を伺います。

【猿田環境部長】

住宅の太陽光発電の関係につきまして、2点ご質問をいただきました。

 最初に本県における太陽光発電設備の普及状況でございます。

 世帯数当たりの太陽光発電設備の普及率、これにつきましては、令和2年3月末時点でございますが、約10%、10軒に1軒が設置されている状況でありまして、全国で申しますと佐賀県に次いで2番目に多い値となっています。

 この普及をさらに進めるため、今回、太陽光発電設備等共同購入事業を補正予算案に計上させていただいておりますが、その効果につきましては、昨年度先行して実施している神奈川県の例で申し上げますと、市場価格と比較し、約2割の価格低減がなされたとお聞きしてございます。

 住民の負担軽減、さらには太陽光発電の普及拡大につながっているものと認識しております。本事業を契機といたしまして、住宅用太陽光発電設備の普及による再生可能エネルギーの拡大はもちろん、県内企業が施工に携わることにより、地域経済の活性化にもつながるよう取り組んでまいります。

 もう一点、住宅太陽光発電施設へ県から補助を出すなど、より具体的な施策ができないかというお尋ねでございます。

 議員ご指摘のように、令和2年4月時点でございますが、県内の半数以上の市町村で住宅用太陽光発電設備に係る補助制度を有しているところでございます。今回提案させていただいております共同購入事業は、補助という形ではないものの、一括購入によるスケールメリットを生み出すことで、結果として県民の皆様の負担軽減につながると考えておりますので、まずは、本事業にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【両角友成議員】

私はこの場で、水力発電の民間事業所の取組の現状を幾つか紹介してまいりました。水道管路の利用方法まで提案もしてまいりました。この間、県企業局が中小の水力発電所建設に向け、駒ヶ根、小谷、朝日村で、建設計画、建設検討など精力的に仕事をされていることを歓迎いたします。

 2050年ゼロカーボンに向けて、県民に夢を与えるような、企業局が独自でどんなスケジュールをお持ちか示していただきたいが、いかがでしょうか。公営企業管理者に見解を伺います。

【小林公営企業管理者】

ゼロカーボンに向けての企業局のスケジュールについてのご質問でございます。

 企業局では、平成30年度に市町村等のご協力のもと、知事部局と連携して発足した新規電源開発地点発掘プロジェクトにおきまして、国の固定価格買取制度等を最大限活用しつつ、新しい水力発電所の建設や基幹水力発電所の大規模改修等に積極的に取り組んでおるところでございます。

 2050ゼロカーボンに向けましては、そうした取組の加速化を図るべく、議員ご指摘のとおり今月14日に開催いたしましたこのプロジェクトの第6回推進会議において、新たに県内3か所における候補地点の追加を論議した上で決定し、その調査の実施等に向けて各部局に協力を依頼したところでございます。

 これにより、企業局における新しい発電所といたしましては、現在建設を推進している7か所とともに、昨年度までに同プロジェクトで選定した開発候補の4地点に今回の3地点を加えて、合計7つの候補地点において開発に向けた調査を進めることとなりました。

 今後のスケジュールについては、こうした取組も含めて改定に向けた見直しを進め、現在、パブリックコメントによりご意見を募集している経営戦略に盛り込んでいるところでございますが、具体的には、企業局の発電所数について、現在の戦略がスタートした平成28年度時点で、それまで50年以上をかけて建設してきた14か所から、令和7年度までに事業着手ベースで28か所とすることにより、経営戦略の計画期間である10年間で倍増させることに加えまして、基幹水力発電所等の5か所の大規模改修と、1か所の出力増強工事の実施を目標として考えているところでございます。

 企業局といたしましては、2050ゼロカーボンに向け、このように広く県民の皆様のご意見なども伺いながら、今後、条件的には厳しい状況でございますが、新規電源開発等に関しまして、中長期的視点で積極的に取り組むことにより、その一翼を担ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【両角友成議員】

一口で、日本で走っている車と同程度の車が走るアメリカのカリフォルニア州、車が多いという意味かと思いますが、本当は大分差があるようですが、このアメリカのカリフォルニア州が今月23日に、州内の新規乗用車販売について、2035年から全て電気自動車など排ガスを出さないよう義務付ける行政命令に州知事が署名したと報じられています。カリフォルニアの知事は、気象変動と戦うために州が取ることができる最も影響力の大きいステップだと強調したとのことです。

 長野県でも、県内ポテンシャルを生かし、まず足元から、県民皆さんと2050ゼロカーボンに向けてしっかり取り組もうではありませんかと申し上げ、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

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