日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2021年2月定例会 高村京子議員一般質問

    1. 看護職員確保の現状と充実に向けた養成について
    2. 新和田トンネル無料化の延期について
    3. 男女ジェンダー平等、困難を抱える人に配慮する社会について

1.看護職員確保の現状と充実に向けた養成について

【高村京子議員】

看護職員確保の現状と充実に向けた養成について伺います。
 新型コロナ感染症の予防対策から治療、ワクチン接種など、看護職員はPCR検査、コロナ感染者受入病棟、療養施設、在宅での訪問看護など、保健予防から治療、在宅ケア等で大きな役割を果たしています。
 県は、現在の看護職員の需給状況をどのように捉えていますか。また、それをもとに2025年の看護職員需給推計をされていますが、どのように見込んでいますか。需給見込みでは、この1年のコロナ禍での医療現場の逼迫状況等を勘案した需給計画へ見直す必要があるのではないでしょうか。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

看護職員の確保についてお尋ねをいただきました。
 初めに、看護職員の需給状況及び2025年需給推計についてのお尋ねでございます。
 県では、看護職員確保について、新規養成、資質向上と離職防止、再就業の促進の三つを柱として様々な取組を進めてまいりました。それによりまして、県内で就業している看護職員数は平成24年から平成30年の6年間で約3,000人、10%増加をしております。
 有効求人倍率を見ますと、平成24年10月が4.48倍であったのに対し、令和2年10月は1.3737倍と徐々に低下をしてきておりまして、需給状況は一時に比べると落ち着きつつあるというふうに考えているところであります。
 こうした状況を踏まえつつも、昨年度行いました2025年需給推計におきましては国の推計ツールが出ているわけでございますが、それを適用して算出するといったことだけではなく、より地域の実態を反映できますよう本県独自に看護分野の需要を加味いたしました。
 その結果、2025年において看護職員が不足する数は1,000人以上というふうに見込んでいるところでございます。
 この需給推計の見直しを行うのかといった点についてでございますが、コロナ禍において一時的な需要の増減はございますものの、2025年時点での看護人材の需要につきましては昨年度の推計値と大きく変わらないというふうに認識していることから、現時点では需給推計を見直すといったことは考えておりません。引き続き看護職員の需給状況に注視しつつ、確保に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

【高村京子議員】

3年課程の看護養成校が、長野赤十字看護専門学校が令和4年3月で閉校、さらに信州上田医療センター付属看護学校が令和6年3月に閉校予定です。上田市医師会は、准看護学科を令和5年3月に閉科して、進学コース2年課程を新たに3年課程の看護学校への転換を計画されています。
 平成28年の人口10万人当たりの看護師数を10圏域で見ると、県全体の平均が1,028人に対し、一番少ない上伊那が864人、次が884人の上小地域で、少ない実態があります。地域医療保健体制の充実を図る観点からも、看護師養成の底上げが必要ではないでしょうか。
 県は、民間看護学校への支援を掲げています。上田医師会が運営する3年課程看護師養成校への転換に向けての財政面を含めての力強いご支援を求めますが、いかがでしょうか。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

上小地域の看護師養成施設についてのお尋ねでございます。
 議員ご指摘のように、上小地域の看護学校において閉校・閉科等の動きがあることは県としても承知をし、また、重く受け止めているところであります。
 昨年9月には、私自身が信州上田医療センターと上田市医師会にお邪魔をして、両校の現状や今後の対応について意見交換をさせていただいたところであります。その際、上田市医師会からは定員の確保に苦労しているといったことや、また、定員割れが経営にも影響しているといったことなどをお聞きをしたところでございます。
 県ではこれまでも、医師会等から伺ったそういった看護師養成施設の実態を踏まえまして、運営費に対する補助を行ってきているところでございます。
 来年度、上田市においては中高生に対する看護師への就業意向調査や、また、養成所の在り方検討に着手をしてまいるといったこともお聞きをしているところでございまして、今後その状況なども踏まえて支援について検討してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。

【高村京子議員】

看護師の需給計画ですけれども、昨年の春に発表していただいておりますので、この1年間のコロナ禍での看護現場の状況は加味されていないと思います。1,000人以上不足ということですが、それ以上の不足見込みがあろうかと思いますので、引き続き、数字でのアップをお願いするものであります。

2.新和田トンネル無料化の延期について

【高村京子議員】

次に、県道路公社の通行料金について伺います。
 県道路公社管理の新和田トンネルの通行料金の無料化を、当初今年夏の予定と公表されていましたが、その時期を半年延期し、来年の4月1日とする議案が出されました。
 平成16年には、岡谷インター方面へ延伸する二つのトンネルが供用されましたが、料金所はなく、下諏訪方面のみ利用する人からすると不公平感があります。オリンピック関連で建設した志賀中野、五輪大橋は昼間100円、夜無料です。白馬長野は昼間210円、夜無料となっていますが、新和田は普通車630円、往復で1,260円、大型車1,050円、往復で2,100円と高い料金のままです。
 実施自治体が1割を負担する朝夕の通勤時間帯住民半額割引はあるものの、軽自動車と普通車のみが対象で、大型車は対象外です。料金負担が特に重いトンネル無料化を、なぜ来年まで延ばすのでしょうか。建設部長に伺います。

【建設部長】

新和田トンネル有料道路の一般道路化の時期に関してでございます。
 新和田トンネル有料道路は東信地域と中南信地域を結ぶ道路であり、延伸した二つトンネルの区間も合わせて平成16年に一体の有料道路として供用しております。
 有料道路事業は道路整備特別措置法に基づき、国土交通大臣より料金徴収の許可を受け利用者負担の原則により借入金等を償還する制度であり、料金徴収期間を短縮するためには償還を完了することが不可欠となっております。
 平成30年2月議会での答弁は、当時の利用状況と同様な状況が続いたと仮定した場合には令和3年夏頃に償還が完了し、一般道路化が可能であるという見込みをお示ししたものでございます。
 しかしながら今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、通行料金収入が対前年比で約8割程度と大きく減少しておりまして、想定していた収入が得られていないため償還完了の見込みを精査した結果、一般道路化の日時を令和4年4月1日とせざるを得ない状況となっております。
 なお、平成16年にお示ししている料金徴収期間は令和7年の3月29日となっておりまして、約3年間前倒しして、一般道路化するものでございます。

【高村京子議員】

平成15年度から今日まで、道路環境改善、料金引き上げ、社会実験で昼間100円、夜無料など実施しているトンネルや道路の収入不足は県が負担することになっていますが、その額は幾らになりますか。建設部長に伺います。

【建設部長】

志賀中野、五輪大橋、白馬長野で実施している有料道路活用による道路環境改善事業は、一般道路の交通を有料道路に誘導し騒音振動等による沿道環境の改善や市街地の渋滞緩和を図ることを目的に実施しております。
 この事業実施に伴う料金収入の減収相当額は、債務負担行為により各有料道路の料金徴収期間終了まで県が負担することとしております。これらの3路線における料金引下げに伴う県の負担額は、平成15年度から令和元年度の累計で約18億円となります。また、事業が完了している松本トンネルの負担額は約6億円で、これら計4路線における県の負担額は累計で約24億円となっております。

【高村京子議員】

新和田トンネルの料金収入総額は、現在まで475億円余で、計画の455億円余の104.4%です。毎年の道路公社の料金収入全体の4割前後を新和田トンネルが占めています。無料化を先送りする間、例えば朝晩の通勤時間帯半額割引を全額割引にするとか、全体を半額に設定するとか、観光利用での帰路については無料券を配布するなど、コロナ禍での地域経済の疲弊、トラックやバス業界、観光業の苦境を踏まえて、関係市町村とも連携して負担軽減策を検討していただきたいが、いかがでしょうか。建設部長に伺います。

【建設部長】

新和田トンネル有料道路の利用者の負担軽減についてのお尋ねでございます。
 新和田トンネル有料道路については、志賀中野ほか2路線と比べ並行する一般道路の通行量は少なく、有料道路に交通を誘導し渋滞や騒音の軽減を図るという効果が見込まれないことから、有料道路活用による道路環境改善事業と同様な考え方により負担軽減を行うことは難しいものと考えております。
 このことから新和田トンネル有料道路については、通勤・通学、通院の利用者に対し、引き続き市町村と連携して実施している有料道路の利用者負担軽減事業を一般道路化となる令和3年度末まで継続実施し、利用者の皆様の負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。
 なお、今回3年間の前倒しにより令和4年4月1日から一般道路化となりますが、折しも諏訪地域の御柱祭や善光寺の御開帳なども予定されているところであります。
 県としましては一般道路化の確実な実現に向け手続きをしっかりと進めるとともに、引き続き県道路公社と連携して、舗装、補修、修繕などの維持管理を適切に行い、安全な通行に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

【高村京子議員】

新和田トンネルの料金は本当に重いんです。三才山トンネルを昨年9月に無料化していただいて大変ありがたく思っております。でも、この新和田トンネルの料金は、他の県道路公社管理の料金から比べると本当に重い負担を地元は感じておりますので、ご配慮いただきたいと重ねてお願いをするところであります。

3.男女ジェンダー平等、困難を抱える人に配慮する社会について

【高村京子議員】

次に、男女ジェンダー平等、困難を抱える人に配慮する社会を目指す取組について伺います。
 世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数2020」では、日本は世界153か国中総合で121位と、残念なことに世界のジェンダー平等社会後進国です。経済分野では115位、特に政治分野では140位と、なお低い評価となっています。
 労働の場での収入や処遇などで男性との格差が大きいこと、家庭や職場地域での男女の不平等等の場面が多いことがいまだに多くあります。差別的発言や処遇等に多くの女性が苦しんできました。非正規労働の約7割が女性であり、コロナ禍で仕事を失い収入がなく生活難に陥ったり、家族のステイホームで家事負担が増えてストレスとなる、DVを受けるなど、不安や苦痛に追い込まれ自殺する女性も増えていることは深刻な事態です。
 国連は、昨年の4月に新型コロナ感染症の大流行がジェンダーに与える影響に取り組む必要があるとして、「女性及び女性団体を新型コロナ対応の中核に含めること」「無償ケア労働の不公平さを皆にとってうまくいくように新しい包摂的なケア経済に変えること」などを求めています。
 日本社会においては、まだまだ固定的性別役割分担意識や、性差に基づく偏見や思い込みが根強く残り、女性の生きづらさがあります。東京オリンピック・パラリンピックの組織委員会前会長の森喜朗氏の女性蔑視発言は、国内外から、さらにIOCからも厳しい批判が沸き上がり辞任を余儀なくされました。
 このような中で、来年度からの新たな第5次男女共同参画計画の内容をどのように充実するのでしょうか。取り組まれるのか。女性活躍推進監に伺います。

【女性活躍推進監】

ご質問いただきました。
 初めに、第5次の計画におきます固定的性別役割分担意識の払拭の取組についてのご質問でございます。
 性別によって役割を固定する考え方につきましては、昨年度実施した県民意識調査では、反対とする者は女性で73%、男性で63%という結果でございました。
 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大下では外出自粛や学校の休業に伴い、家事、育児、子供の学習援助等の家庭内負担が女性に集中したと言われ、現実の生活の中ではまだまだ性別によって役割が分担されている実態が浮き彫りになりました。
 こうしたことから次期計画の素案では、男女共同参画を進める全ての取組の基盤として、男女双方の意識改革、理解の促進を重点目標の一つに位置づけています。意識改革を促す啓発等の取組につきましては、従前から継続して行ってきておりますけれども、人の意識はなかなか簡単には変わりません。ただ、こうした啓発事業は繰り返しいろいろな機会を通じて、多様な事例を取り上げながら行うことが肝要と考えております。
 引き続き、あらゆる世代の皆様が性別による役割分担意識を持つことのないように、国や市町村、関係団体と連携し、オンラインツールの活用など分かりやすく効果的な手法等について工夫をしながら広報啓発活動を推進してまいります。

【高村京子議員】

この3月までの第4次長野県男女共同参画計画の到達状況を見ますと、分野別の女性が占める割合はまだまだ低い状況です。どのように高めていくのか、それぞれ部門別に伺います。県の審議会では42.4%と目標の50%に近づきましたが、県職員の課長級以上の管理職は9.6%と大変低い実態です。総務部長に伺います。

【総務部長】

県職員の女性管理職比率の現状認識と今後の取組についてのお尋ねであります。
 昨年4月時点の比率は、議員ご指摘のとおり9.6%となっておりまして、これは第4次の長野県男女共同参画計画で定める今年4月の目標10%を達成できるよう、現在、計画的に取り組んでいるところであります。この比率は、計画策定前の平成27年4月時点の4.8%と比べ2倍に増加しているものの、全国の都道府県との比較においては、まだ十分とは言い難い状況にあります。
 現在、職員採用に占める女性の比率が増えておりまして、管理職候補の裾野を広げる観点から、次期男女共同参画計画におきましては新たに係長級以上の全ての職員において登用目標を設けることとし、着実に女性登用の拡大が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

【高村京子議員】

公立学校の校長教頭は小中学校で19.1%、高校では10.5%となっていますが、この分野と今後の取組について教育長に伺います。

【教育長】

公立学校の女性管理職率の現状認識と今後の取組についてのお尋ねでございます。
 県教育委員会では、女性教員の管理職への登用を積極的に進めてきたところでありまして、今年度は、小中学校で19.1%、高校で10.4%を占め、第4次の長野県男女共同参画計画の令和2年度の目標値、小中学校が16.5%、高校が8.5%でしたが、それを上回る実績を達成したところでございます。
 しかし、今後も女性教員を教務主任等の指導的立場に積極的に登用したり、研修等によりキャリアアップを図ったりすることを通じまして、管理職として必要な指導力は資質を高めるとともに、女性管理職のさらなる登用に努めてまいりたいというふうに考えております。

【高村京子議員】

自治会長に占める女性の割合はたったの1.5%、公民館長は7.7%と大変に低い到達です。地域分野については、女性活躍推進監に伺います。

【女性活躍推進監】

地域で活躍する女性の現状認識と今後の取組についてでございます。
 自治会や公民館、ボランティア活動などで多くの女性が地域で活躍している反面、長と名のついた役職に就くリーダー的立場への女性の参画は進んでおりません。
 県民意識調査によりますと、地域活動の場が男性の方が優遇されていると思う人の割合は、女性が51%、男性が46%となっております。一方で、男女平等だと思う人の割合は、女性は9%、男性が28%で、約20%の差がございました。
 町内会や自治会の長などに女性が少ない理由といたしましては、女性自身が責任ある役職に就くことに消極的との回答が約6割あった一方で、男性主体の組織運営がされている、代表者は男性が担うことがしきたりや慣習になっている、女性の参画を積極的に進めようと意識している人が少ないといった女性を取り巻く環境や意識を挙げる人もそれぞれ約5割おりました。
 こうしたことから、次期計画の素案では地域活動における男女共同参画を推進するために、先ほどご答弁申し上げました固定的性別役割分担意識の払拭に向けた啓発に加えまして、男女が共に働きながらでも地域活動に参画できるよう、会議開催を工夫したり、ICTを利活用しての負担軽減等をしている好事例の収集・発信や、防災・復興などをテーマに、日頃から自治会等の地域活動に男女共同参画の視点を取り入れることの重要性についての普及啓発などに市町村等と連携して取り組んでいくこととしているところでございます。
以上です。

【高村京子議員】

産業分野でも企業の課長相当職以上に占める女性の割合は15.5%の目標に対し8.4%と、長野県は全国最下位と大きく遅れています。職場の意識改革と女性が働き続けられる環境づくりを強めることが重要だと思いますが、どのような取組を進めるのか女性活躍推進監に伺います。

【女性活躍推進監兼】

女性の管理職登用に向けた職場の意識改革と環境づくりについてのご質問でございます。
 本県の女性の有業率は全国平均より高いものの、企業における女性の管理職の割合は全国に比べて大幅に低い状況でございます。女性の雇用形態を年代別に見ますと、30代後半で非正規雇用割合が正規雇用割合を上回っていることから、出産・育児等を理由に正規雇用待遇を退職後、非正規雇用待遇へ再就職するというキャリアの断絶が、女性の管理職登用妨げる大きな要因となっていると考えられます。
 このため、固定的性別役割分担意識の払拭や、家庭や地域活動を充実することが仕事のキャリアにもプラスになるというワーク・ライフ・バランスへの理解、長時間労働の抑制、多様な働き方制度の導入などにより、性別にかかわらず誰もが仕事と家庭生活を両立して働き続けられる環境を整備することが重要と認識しているところでございます。 このことから本県では、労働団体、経済団体、行政の官民協働によります長野県女性活躍推進会議、長野県就業促進働き方改革戦略会議を設置いたしまして、職業生活におきます女性の活躍推進や長時間労働の解消などの働き方改革、また、男女の均等な機会と待遇の確保に向け取組を進めているところでございます。
 具体的には、ワーク・ライフ・バランスの考え方やその重要性についての理解が進むよう、企業の経営層を対象とした女性活躍推進セミナーを開催するとともに、事業所に向け職場環境改善アドバイザーの訪問や労働教育講座などによりまして長時間労働の是正や多様な働き方制度の導入の働きかけを行ってまいります。
 さらに、子育て応援宣言登録制度に加えまして、来年度には職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度の改定を行うことにより、より多くの事業所にワーク・ライフ・バランスの実現に取り組んでいただけるよう一層働きかけてまいります。
以上です。

【高村京子議員】

LGBTなど性自認や表現の多様性を理解し、様々な個性をお互いに尊重し合い、誰もが自分らしく生きられる社会にしていくことも求められています。松本市では、パートナーシップ宣誓制度を導入予定です。多様な性の在り方を尊重する社会に向けての対応を強める必要があると思います。県としての取組、今後の進め方について県民文化部長にお伺いいたします。

【県民文化部長】

性の多様性の理解促進に向けた、今までの取組と今後の進め方についてご質問いただきました。
 LGBT、あるいは性的マイノリティーといった言葉については社会に定着しつつありますが、性的少数者の方々への社会の理解はまだ十分に進んではおらず、いまだ当事者の方々が生きづらさを抱えておられます。一層の理解促進が必要だと考えているところでございます。
 県では、まず、職員自らが性的指向や性自認についての必要な知識を持ち、理解し、適切な行動を取ることができるよう、当事者や支援者のご意見を伺いながら、昨年3月、性の多様性を尊重する職員ガイドラインを策定し全職員に周知したところでございます。
 今年度はガイドラインを活用し、県や市町村の職員、教職員、企業の関係者等に理解を広めることに努めてまいりました。ALLY(アライ)と呼ばれるLGBT当事者に共感し、寄り添う人材を養成する研修会や、行政や企業の相談担当者を対象といたしました研修会を共催を含め24回開催し、延べ1,629人の参加をいただいたところです。
 また、人権啓発センターだより「人権ながの」で特集を組み、基礎的な知識やガイドラインの周知などに努めてまいりました。
 今後、引き続き研修会等を開催しALLYや相談者の養成を進めるとともに、市町村や教育委員会、経済団体等とも連携して、様々な媒体、機会を利用しながら啓発に取り組み、社会における理解促進に努めてまいります。
 また、来年度は人権政策基本方針の見直しに向けた検討に着手いたしますが、性の多様性に係る人権課題についても、あわせて検討を深めてまいります。
 以上でございます。

【高村京子議員】

政府は昨年12月に、次の第5次男女共同参画基本計画で選択制夫婦別姓や意思決定の場への女性比率30%目標を先送りしたことは、ジェンダー平等社会に向けて本気で取り組む姿勢があるのか疑問であり残念です。困難を抱える人々の願いを共有し、誰もがその人らしく暮らし、学び、働くことができるように差別のない共生社会をつくっていくことが求められています。
 長野県広報誌2021年ナンバー1の紙面では、個人モデル、社会モデルと、障害の考え方には二つあると表現しています。この表現に対し、障害者や家族、福祉関係者から批判の声が多数寄せられました。障害者や児童、その保護者は、様々な障害の苦悩とともに自己努力をしつつも、制度のはざまで切ない思いをする場面が多くあります。
 現在、障がい者共生社会づくり条例(仮称)を策定中ですが、障害者施策をどのような観点で推進されるのか。障害者施策は、障害者抜きには決めないでほしいと訴えています。当事者皆さんの参画を保障し、切実な思い、願いを受け止め、丁寧に施策に反映する社会的仕組みをつくる必要があると思います。健康福祉部長に伺います。

【健康福祉部長】

障害者政策の推進における観点、それから当事者の参画についてのお尋ねでございます。
 県では平成30年に策定いたしました長野県障害者プラン2018の中で、三つの基本的視点を定めてございます。
 1点目が、全ての県民が理解を深め支え合う心のバリアフリーの推進。
 2点目が、誰もが地域で安心して暮らせる自立生活への支援。
 3点目が、生きがいのある充実した生活を送ることができる社会づくりの推進でございます。
 こうした視点に基づきまして、誰もが人格と個性を尊重され、居場所と出番のある、共に生きる長野県を目指しまして、各種の取組を進めているところでございます。
 現在、検討を進めております障がい者共生社会づくり条例(仮称)も、こうした考え方を県民の皆様と共有し、ご参加をいただく中で実効性あるものにしてまいりたいというふうに考えているところであります。
 また、障害者政策の推進に当たりましては、当事者の思いや願いを反映させることが重要でございます。そこで、これまでも県障害者施策推進協議会など、施策の企画立案の場には、当事者や、現場で当事者を支援している方に参画をいただいているところでございます。
 今後も当事者の皆様と意見交換する機会を設け、施策に反映するよう努めてまいります。
 以上でございます。

【高村京子議員】

上田市のあずまや高原に「らいてうの家」があります。平塚らいてうは100年前の1920年に、女性が自らの力に目覚め社会参加を進めようと、市川房江らとともに新婦人協会を立ち上げました。あれから100年ですが、今の日本社会の現状は憂うべきものです。
 3月8日は国際女性デーです。意思決定の場への女性比率を高めるために、女性自らの努力とともに、男女が真に平等参画社会に向けて努力することはもちろん、あらゆる性を持つ皆さんが、また、あるいは障害を持つ皆さんが人として一人ひとりが尊重されるために、皆さんそれぞれ努力していこうではございませんか。各種団体及び各政党も努力していこうではございませんか。
 最後ですけれども、誰もが居場所と出番がある長野県を目指す知事として、阿部知事のご所見をお伺いしたいと思います。
以上で終わります。

【知事】

ジェンダーの問題、あるいは障害はじめ様々な困難な課題を抱えていらっしゃる皆様方、本当に多様な皆さんが暮らす中で社会が成り立っているわけです。
 昨今のコロナであったり、あるいは実は気候変動の問題も、いわゆる先進国と発展途上国との間の格差であったり、炭素正義、あるいは気候正義ということを言われていますけれども、非常に人と人との断絶であったり、あるいはその格差であったり、こうしたものがともすると広がりかねないのが今の現状だというふうに思います。
 そういう意味で、性にかかわらず、ジェンダーにかかわらず、また障害があるなしにかかわらず、皆さんにとっても暮らしやすい長野県をつくりたいというのが私の強い願いであります。
 ご質問いただいたように、まだまだ取り組むべき課題はたくさんあるわけでありますけれども、多くの皆様方のご協力いただく中で、誰にでも居場所と出番がある長野県を、しっかり進めるべく取り組んでいきたいというふう思っています。
以上です。

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