日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2021年6月定例会 高村京子議員一般質問

    1. 地域医療構想について
    2. 医師・看護職の不足について
    3. 経営不振に苦しむ中小事業者支援について
    4. 高校再編計画について

1.地域医療構想について

【高村京子議員】

 地域医療構想の再検討を求め、伺います。
 国は一昨年、地域医療で大きな使命感を持って奮闘している全国で424か所もの公的公立病院を、県内では15の公立・公的病院を統廃合の対象として名指ししました。新型コロナ感染症に対する対策・対応で発熱外来の設置、軽症から重症までの感染者受入れ病床の対応、ワクチン接種への協力等、新型コロナ感染症から県民の命を守る最前線に立つ医療機関の存在は大きく、改めて心から感謝と敬意を申し上げます。この間、国が統廃合を名指しした日赤や厚生連の病院も、新型コロナ感染症の対応に使命感を持って奮闘され、大きな役割を果たされ、地域になくてはならない存在と改めて強く感じたところです。
 こんな中、5月21日の国会で、病床削減を加速するための「病床削減推進法」を強行的に可決・成立させました。全国の都道府県が策定した地域医療構想を加速化するために、436の公的公立病院の統廃合、再編を迫り、病床削減すれば消費税を財源とした援助をする内容です。国会で可決された「病床削減推進法」、このやり方に対する知事の受け止めを伺います。

【阿部知事】

 地域医療に関して御質問をいただきました。
 まず、医療・介護総合確保法の改正による財政的援助に対する受け止めという御質問であります。御質問にありましたように、今回のコロナ禍におきましては、公立公的医療機関をはじめ、本当に県内医療関係者皆様には大変な御尽力をいただいているところでありますし、またそうした医療機関が、これからも地域の医療をしっかり担っていただけるように、県としても取り組んでいくということが大変重要だというふうに思っております。
 今般、医療介護総合確保促進法の改正によりまして、医療機関の病床機能の適正化の取組に対しまして、地域における合意形成を条件として病床の削減に応じた給付金の支給などを行う支援策が位置づけられたところです。これは基金事業として位置づけられたところであります。
 県としては、これまでもこの基金を活用して行ってまいりました急性期病棟の整備などの地域に必要な医療提供体制の強化・充実と相まって、持続可能な地域医療が実現できるよう取り組んでいきたいというふうに考えております。
 今後とも、医療機関の役割分担と連携強化が地域の関係者の合意の下で進められるよう、医療圏ごとに丁寧な議論を促進していきたいと考えています。

【高村京子議員】

 4波にわたる新型コロナ感染症対策の中で、急激に病状が悪化し、亡くなる方も出ました。高度急性期及び急性期治療に当たる病院の果たしてきた役割が大きいことは、一層明確になっています。また、県内では「松本モデル」とされるように、救急から回復期の患者受入れを役割分担しつつ、病院間で連携するなどの取組がなされ、県民の命を守って奮闘されてきました。
 県は、6月18日発表された長野県新型コロナウイルス感染症対応方針で、引き続き感染拡大の状況に対応し、患者受入れ病床や宿泊療養施設のさらなる確保や、在宅療養への支援強化を掲げています。2015年にあった県許可病床1万9,769床から、2025年には1万6,839床へ、全体で約3,000床の削減方針。特に高度急性期病床と急性期病床を合わせて全国で20万床、長野県で4,000床も削減する病床縮小方針のやり方は、あまりにも現実離れしています。
 今、命を守る最前線でコロナ対策に当たっている医療機関の状況は、現状把握されていません。地域医療構想は撤回すべきではないでしょうか。知事に見解を伺います。

【阿部知事】

 地域医療構想を撤回してはどうかという御質問であります。地域医療構想は、目標値として数値を掲げているわけではありませんので、まさに御質問にありましたような機能別の必要病床数を推計した、あくまで参考値という形に位置づけております。
 新興感染症、今コロナ対応で本当に多くの医療者の皆さんに御協力をいただいているわけでありますが、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制につきましては、次期医療計画の中に位置づけるという形になりました。これも、今般の医療法の改正によってそういう形になりました。今後、県として具体的な検討を行っていきたいと考えております。
 地域医療構想の背景にあります人口減少、あるいは高齢化、こうしたものは着実に進んでおります。
急性期、回復期、慢性期、さらには在宅医療に至るまでは、限られた医療資源を有効に活用して質の高い医療提供体制を構築することにより、一人一人の病状に適した医療を切れ目なく受けることができるようにしていくということが重要だと考えています。そのためには、医療機関の役割分担と連携強化を図っていくということが必要であるというふうに考えています。
 県としては、こうした地域医療構想本来の趣旨を踏まえて、地域の実情に応じた医療提供体制の構築に努めていきたいというふうに考えています。
 以上です。

【高村京子議員】

 今後も襲ってくると予想される感染症対策の体制強化をしっかりと位置づけて、保健所機能の強化と一層の連帯も視野に入れ、高度救急、急性期医療から、回復期、在宅医療、介護施設との役割分担を含め、地域医療関係者協議会の充実した議論を促すべきと考えますが、健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 地域医療構想等につきまして、地域医療関係者による充実した議論を促すべきではないかという趣旨の御質問を頂戴いたしました。
 知事からも御答弁申し上げましたとおり、新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制については、医療計画の中で定めることとなります。今回の新型コロナウイルス感染症への対応の経験を踏まえ、感染拡大時に病床や人材の確保など必要な体制を構築できるよう、平時から活用可能な病床や専門人材の確保の準備をしていくことが必要と考えており、地域ごとに十分な議論を行い、検討を進めてまいります。
 また、地域医療構想の議論の場としては、医療圏ごとに調整会議を設置しております。この場を活用いたしまして、急性期から外来医療の機能、入院医療の回復期、慢性期機能、さらには在宅医療に至るまで、地域の医療機関が担う幅広い医療機能や地域の実情等を踏まえながら、医療機関の役割分担と連携強化について、関係者の合意の下で進められるよう丁寧な議論を促進してまいります。

2.医師・看護職の不足について

【高村京子議員】

 次に、コロナ禍で明らかになった医師・看護職員の確保について伺います。コロナ以前から勤務医の過酷な労働実態がありました。国も県も医師の偏在、この解消を掲げてきましたが、県内都市部も含めて、医師が過剰な地域はなく、信州大学病院も長野日赤病院、厚生連佐久総合病院、信州上田医療センター、私立相澤病院でも常に募集しております。
 県の医師求人情報では、医療機関のみならず、特養・老健施設も含め100近い機関が募集をしており、長野県全体で医師不足の状況が続いています。勤務医の過酷な労働実態は改善されず、コロナ禍でさらに厳しいものとなっています。医師の労働実態を直視し、改善を図らなければなりません。
 他県で起きた救急医療に対応できない医療崩壊のような事態は、危機管理部に伺うとなかったとのことで安堵しましたが、1人の医師にかかる負担は大変重いものとなっています。コロナワクチン接種の協力は休日対応もあり、十分な休養が取れず長時間勤務が続き、心身ともに疲弊している現状があります。
 県が地域の病院・診療所等に医師を派遣するために指定した地域医療人材拠点病院からの医師派遣実績はどうでしょうか。

【福田健康福祉部長】

 医師、看護職の不足についての御質問をいただきました。まず、地域医療人材拠点病院からの医師派遣の実績についてでございます。県では、拠点病院が行う小規模な医療機関への医師派遣を支援しておりますが、令和2年度は、拠点病院から58の医療機関に対して、延べ日数で2,968日分の医師の派遣が行われたところでございます。

【高村京子議員】

 県内勤務医の実態をどのように受け止めておられるか。医師の充足状況、確保の状況はどうですか。この点、健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 県内勤務医の実態と医師の充足確保の現状についての御質問でございます。新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえた勤務環境の現状を把握するため、昨年度、県独自に県内の全病院を対象にアンケート調査を行っております。これによりますと、直近1年間の時間外労働が960時間を超える医師がいる病院がございました。医師の勤務実態は過酷な状況であると認識をしております。
 そこで新型コロナウイルス感染症に最前線で対応されている医師をはじめ、医療従事者の皆様の処遇の維持や離職防止を図るため、医療機関が支給する特殊勤務手当の助成の継続を、今定例会でもお願いしているところでございます。
 医師の確保つきましては、これまでもドクターバンク事業による即戦力となる医師の確保や、修学資金貸与事業による医師の養成確保など様々な取組を行ってまいりました。しかしながら、本県はコロナ禍に限らず、平常時においても医師の絶対数が不足している状況でございます。令和元年の作成した医師確保計画に掲げた目標の達成に向けて、これらの取組を行ってまいります。

【高村京子議員】

 今回成立してしまった「病床削減推進法」では、働き方改革の名の下に、医師の時間外労働を過労死ラインの年間960時間内に求めるものではありますが、最大年間1,860時間まで認めることも含んでいます。医師の過労死を容認する内容ではないでしょうか。
 長野県では医師の過労死が起きないよう、医師の養成・確保、県内医療機関への配置支援に一層力を入れていただきたいです。医師の過酷な労働環境をどのように改善を図るのか、健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 医師の労働環境の改善についての御質問でございます。医師の労働環境の改善のためには、医師の確保はもちろんのこと、医療機関における適切な労務管理の実施や、あるいは医師の仕事の一部を他の職種に行っていただいたり、複数の医師による仕事をシェアしていただいたりというような、医療従事者間での役割分担の見直しを進めていくことが必要と考えております。
 2024年4月から始まる医師の時間外労働上限規制の適用に向けまして、医療機関が主体的に行う勤務環境改善の取組への助成を行うとともに、医療労務管理アドバイザーの派遣等によるきめ細かなサポートを実施することにより、医師が働きやすい環境整備を支援してまいります。

【高村京子議員】

 同様に看護職も、コロナ以前から確保が厳しい状況にあります。医療現場では、勤務の厳しさから、離職者も毎年1割近くも発生する事態も続いています。1年以上にわたり、新型コロナ感染症対策に日々当たり、業務が増える中、現在はワクチン接種の協力も求められ、看護職員不足は一層深刻になっています。コロナ禍で看護職員は心身ともに疲弊し、それはかつてない状況に置かれています。
 県が令和元年度示された看護職員需給推計は、コロナ禍以前のものであります。今後2025年推計では約1,000人の増加が必要としています。コロナ禍でさらに深刻となった看護職員確保の実態とその受け止めはどうでしょうか。それを踏まえて、看護職員需給推計を改めて見直していただきたいが、いかがですか。

【福田健康福祉部長】

 コロナ禍での看護職確保の状況についての御質問をいただきました。ワクチン接種をはじめ、看護職の需要の増大による医療現場への負担を軽減するため、長野県ナースセンターの人員体制を強化し、潜在看護職の掘り起こしや就業先等のマッチングを行い、今年度は、これまでに308人を市町村等が実施する集団接種業務へ紹介するなど、看護職の確保に努めております。
 なお、看護職員需給推計の見直しについてのお尋ねもございましたが、コロナ禍において看護職の需要は増加しておりますけれども、この感染拡大については、時間がかかったとしてもいずれは収束が見込まれるものでございます。2025年の需給推計に今の需要状態をそのまま反映していくということは必ずしも適切ではないと考えておりますが、いずれにいたしましても、今後とも看護職の需給状況を注視いたしまして、今必要とされている人材の確保のために最大限の努力をしてまいります。

【高村京子議員】

 県内看護職の養成数、就業数はどうでしょうか。今後どのように看護職の養成・確保、そして定着を図っていくのか、あわせて健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 県内看護職の養成、就業状況及び今後の対策についての御質問をいただきました。令和3年4月の入学定数では、県内21の養成施設で1,242人の看護職を養成しております。また令和2年4月の調査では、県内の養成施設を卒業し就業した者883人のうち732人、全体の82.9%の方が県内で就業しておられます。
 今後の対策でございますが、コロナ禍の下で看護職の重要性が再確認されたと思っております。看護職を大切に守り育てていくことが必要でございます。そのため、今年度実習が十分できない状況にある看護学生に対する高機能シュミレーターの貸出しを行ったり、新人看護職の離職を防止するためのフォローアップ研修を行うなど、取組を強化することとしております。
 また、修学資金の貸与や養成所運営費補助、長野県ナースセンターによる復職・再就業支援、院内保育所運営費補助による働きやすい環境整備などを引き続き実施し、看護職の養成・確保・定着に取り組んでまいります。
 以上でございます。

3.経営不振に苦しむ中小事業者支援について

【高村京子議員】

 次に、経営不振に苦しむ中小事業者支援について伺います。コロナ禍以前から消費税10%への増税が行われ、中小事業者の経営不振は深刻な実態に置かれています。県内の中小事業者数は、2009年には8万6,000事業者がありましたが、2016年には約7万3,000件へと、7年間に1万3,000もの事業者が減っています。
 現在コロナ感染症変異株の拡大が懸念されるなど、収束が見えない中で、1年半にも及ぶ外出自粛が続き、昨年の3月から今年の3月まで、県内では明らかになった倒産が18件あり、旅館・ホテル・飲食業が多く、それも氷山の一角ではないでしょうか。地元の飲食街や商店街を訪問すると、すでに閉店や休業中などの貼り紙が多く、「来月か再来月までもつかどうかです」と、肩を落とす店主の言葉がありました。
 今回の補正予算早期議決で中小企業法人へ20万円、小規模事業者へ10万円の応援金の支給、県内2万8,000事業者を対象にすることは歓迎するものです。しかし、収入が大幅に減り長期化する中、「大変ありがたいけれど焼け石に水」との苦しい声も聞こえてきます。5月から県が開始した観光振興策「県民割引事前販売」もありますが、この夏から秋の観光客が戻ってくるのか、予測ができない現状もあります。
 菅平高原は、スポーツ合宿を受けて、コロナ禍の前は夏冬で1年間約100万人もの多くの学生や団体でにぎわってきましたが、コロナ禍で次々キャンセルが続き、菅平高原全体が先が見えない状況にあります。収入は1割ほどに落ち込み、グラウンドの宅地並み固定資産税に維持管理等の負担が重くのしかかって苦しんでおられます。
 このような県内中小事業者の経営実態をどのように受け止めますか。今後の経済動向予測について、産業労働部長に伺います。やはり国に対して、持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支給、雇用調整助成金のさらなる延長を一層強く求めていただきたいですが、いかがですか。あわせて産業労働部長に伺います。

【林産業労働部長】

 県内中小事業者の経営実態と今後の経済動向予測と、そして国への要請という御質問でございます。
 県産業労働部が、四半期ごとに県内700社を対象に実施する景気動向調査や、毎月100社を対象に行っておりますヒアリング調査では、緊急事態宣言等の影響で売上げが大きく落ち込んだ観光宿泊事業者や、宴会客・観光客向けの飲食事業者の方々から、厳しい経営の実態をお聞きしているところであります。現在こうした事業者の多くは、制度融資や各種給付金で急場をしのいでいただいたり、雇用調整助成金等を活用し、雇用を維持していただいているものと認識しております。
 また、民間調査会社のアンケートによると、先月の時点でコロナ前から50%以上売上げが減少した事業者の割合が、宿泊業で80%、飲食業で44%、生活関連サービス業及び娯楽業で40%を占めるなど、大変厳しい状況が見られるとともに、先行きにつきましては、全体の8割以上の企業が、コロナ禍が収束する時期を来年以降と見込んでおります。
 昨日、内閣府から発表された6月の月例経済報告では、先行きについて、感染拡大の防止策を講じワクチン接種を促進する中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって持ち直しの動きが続くことが期待される。ただし、感染の動向が内外経済に与える影響に十分注意する必要があるとされたところであります。
 もとより医療供給体制の強化や、集団免疫の獲得が経済活動を拡大するための基盤ともなります。県としてはこうした動向も見据えながら、県内経済の回復が遅れることのないよう、経済団体等とも連携して必要な支援に努めてまいります。
 なお、国に対する要望でございます。これまでも全国知事会を通じ、持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支給や雇用調整助成金の特例措置の延長や充実について要望しているところですが、まだまだ厳しい経済状況が続くと見込まれる中で、今後も県内中小企業者の経営を下支えするため、国に対してより一層制度の充実をお願いしてまいる所存です。
 以上でございます。

【高村京子議員】

 この先も含めて、厳しい状況が続く状況が報告いただいたと思います。知事に伺います。このまま自粛生活を強いられるままでは、さらに多くの中小事業者が閉店や倒産に追い込まれるのではないかと大変危惧するものです。そこでコロナ禍の中でも地域経済を再生していく方向を真剣に検討すべきではないでしょうか。

【阿部知事】

 私には、コロナ禍でも地域経済を回していく方策について真剣に検討すべきではないかという御質問をいただきました。昨年から1年以上にわたりましてコロナ対応を行ってきておりますが、当然県民の皆様方の命を守るということを最優先に置きながらも、しかしながら、命と健康、片一方で生活と産業、これをどう守るかということを常に意識しながら、対策・対応を行ってきているというところであります。
 コロナウイルスの性質も一方でだんだん分かるようになってきた部分もありますし、その反面、変異株が出てきて、またそれに対しての対応もしていかなきゃいけないということで、非常に常に状況が変わっていく中で、最善の方策を講じようということで努力をしてきたところであります。
 経済を回すという観点で申し上げれば、一つ飲食店等への時短要請についても、長野県の場合、地域ごとに感染警戒レベルを定めております。できるだけ限定された地域で、期間もそんなに長い期間にならないようにということでこれまでもお願いをさせてきていただいているところであります。
 また今、信州安心の店の認証制度を広げています。これは、もちろん感染防止対策をしっかり講じていただく契機であると同時に、しっかり真面目に取り組んでいただいている事業者を我々県としても支援をして、そして、そうしたお店を多くの県民の皆様方には応援をしてもらいたい、そういう趣旨を込めてこの制度を広げてきているところであります。
 プレミアム付きクーポン券の発行をはじめとして、県としてもこうしたお店を応援をしていきたいというふうに思っておりますし、また同様に影響を受けてる宿泊観光関係の皆様方、あるいは交通関係の皆様方にも、家族宿泊割をはじめ、県としての支援策でこれまでも、感染状況を見極めながら応援をさせてきていただいているところであります。
 今回の6月補正予算の中にも地酒のプレミアム付きクーポン券の発行であったり、あるいは県産食材を直売所や学校給食で活用してもらおうというような形で、経済活動を動かす、これは感染状況を見ながらですけども、動かす方向の予算もかなりいろいろ盛り込ませていただいております。
 そういう意味で、ぜひ予算をお認めいただきたいというふうに思っています。県としては、引き続きこの命と健康、そして暮らしと産業を守るということをしっかり念頭に置きながら、ワクチン接種の推進も含めて、引き続き、市町村、あるいは関係団体とも連携をしながら取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。

【高村京子議員】

 感染対策の一番は、ワクチン接種の拡充とともに、無症状病原体保有者対策としても、県民がPCR検査を、日常的に、いつでもどこでも、誰でも、何度でも検査が受けられるように、体制のさらなる強化を図っていただきたいのです。自粛生活の中でも、県民が人生で大切な場面に参加できるよう、環境をつくっていただきたいです。コロナ感染症対策に万全を尽くしながらも、社会経済活動を再生していくために、PCR検査のさらなる拡充について、健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 私にはPCR検査の拡充について御質問いただきました。検査の在り方については、本県の専門家懇談会でも幾度となく御議論をいただいてきたところでございます。症状のない方々への行政検査は、感染状況等から検査前確率が高いと考えられる時期や場所において集中的に実施することが効果的であり、適切であると考えております。
 一方、行政検査をきちんと行った上で、民間事業所等において安心して安全に経済活動を継続するために、行政検査の対象とならない従業員等に対しても自主的に検査を行っていただくことは有益であると考えております。今般策定をいたしました長野県新型コロナウイルス感染症PCR検査等実施方針におきましては、こうした自主検査に対する支援を行うこととしたところでございます。
 PCR検査につきましては、これまでも国の基準にとらわれない積極的な検査に努めてまいりましたが、この実施方針においては濃厚接触者に準じる者を定め、感染の可能性がある方に対する検査を幅広く行うなど、戦略的に検査を実施していくことを明確にしたところでございます。
 また、本定例会に上程いたしました補正予算案には、民間検査機関等における検査機器整備事業を計上しておりまして、検査能力の面でも、さらなる拡充に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【高村京子議員】

 県民の皆さんがコロナ感染症対策に万全を尽くしながらも、やっぱり人生の大切な節目に参加行動できるようなPCR検査の拡大をぜひ取り組んでいただきたいと思います。

4.高校再編計画について

【高村京子議員】

 次に高校再編計画について教育長に全て伺います。
 県教育委員会は、高校再編・整備計画二次案をこの3月に発表され、対象地域の旧通学区ごとに住民説明会を精力的に行っておられます。様々な御意見や御要望が出されていると思いますが、前回参加したときの発言について、その後の説明会でも同じ説明で、前回の意見に対しどう対応されたのか、触れられていないとの御意見が出ています。そのことに対し、どう対応されるでしょうか。

【原山教育長】

 高校の再編計画についてのお尋ねでございます。
 まず再編・整備計画二次案の説明会での御意見、要望等への対応という御質問でございます。本年3月に公表しました再編・整備計画二次案につきましては、該当の4地区において、5月から7月にかけて、14日間延べ24回の住民説明会を実施することとしております。説明会では、本県の高校改革の目指す姿と、当該地区の再編整備の方針などについて説明をいたしまして、計画案に対する質問や意見をはじめ、本県の高校教育全体に関係する要望など、多岐にわたる発言をいただいておるところでございます。
 いただいた御意見や要望、御質問につきましては、説明不足の点につきましては、さらにその後の説明会で説明させていただきますが、最終的には、説明会の全日程終了後、分類整理して、教育委員会の考え方を公表するとともに、二次分の計画決定や今後の統合新校の学校づくりなどに生かしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

【高村京子議員】

 県教育委員会は、第1期の総括を3月定例会で公表されました。私も中間まとめを併せて読ませていただきましたが、良い点ばかりがクローズアップされ、問題の掘り下げが十分されていないように感じました。
 現場の先生にお聞きすると、統合された総合学科高校では、常勤講師、非常勤講師等多くの教員が在籍し、教員間連携が取りにくく、会議の多さも問題で、教員が疲弊しているとの御意見や、1学年7クラスとなり、それにふさわしい施設整備がなされていない、体育館が狭くジェットヒーターを置く場所さえないなどの声があります。また、全体として財政面でも当初の予算配分が縮小され、同窓会や教師の負担が増えているなどの指摘もあります。
 3月に公表されたまとめでは、様々な課題についての掘り下げがなく、第2期再編でどのように対応するのかが見えません。第1期に再編された高校の現状をどう検証されていますか。その検証と課題を今後の計画にどのように生かされるのでしょうか。具体的に県民に示すことが必要ではないかと考えます。
教育長に伺います。

【原山教育長】

 第1期の高校再編の検証と課題を具体的に県民に示すことが必要ではないかという話でございました。まず、検証及びその公表についてでございますけれども、これにつきましては、平成19年度から12年間にわたり進めてきた第1期高校再編については、その進展に合わせまして、高校及び中学校への聞き取りや、中高生及び保護者等へのアンケート等に基づきまして、平成25年度にまとめと課題の整理を公表しているところでございます。
 また、昨年度末には卒業生を輩出した中高一貫校と総合技術高校につきまして、高校生や保護者等へのアンケート調査も新たに行いまして、まとめと課題の整理の追加版、これも公表したところでございます。
 現在進めている高校改革は、こうした県教育委員会としての検証と併せまして、産業教育審議会や将来像検討委員会から、第1期再編を踏まえた今後の高校教育に関する御提言をいただきまして、県民の皆様の意見を幅広くお聞きしながら、基本構想や実施方針として策定しており、今後とも地域の皆様との合意形成を丁寧に行いながら、再編整備を着実に進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

【高村京子議員】

 高校再編についてでございますけれども、私は6月13日に行われた旧第8通学区の説明会、上伊那ですけれども、地域の説明会に参加しました。大きく再編統合がなされようとしておりまして、様々な御意見が出されていました。統合高校の設置場所や規模等、具体的な内容は今後の地域懇話会に委ねる、専門部会を設けて検討するとの御説明でした。
 県教育委員会の主導で、県民関係者の意見がしっかり反映されないまま進められるのではないかと、ちょっと不安の声を寄せる方もありました。懇話会も開かれた議論の場とし、固まった具体的な計画を改めて地域住民に説明し、意見を聞く機会を設けていただきたいです。高校生や保護者、教員の声をしっかり反映した発展性のある懇話会にしていただきたいが、いかがでしょうか。

【原山教育長】

 新校再編実施計画懇話会についてのお尋ねでございます。統合新校ごとに設置しております新校再編実施計画懇話会は、地域の自治体や産業界をはじめ、高校生、保護者、教員などの代表に参加していただきまして、新校の学校像や教育方針などについて意見交換を行っているところでございます。これについては傍聴も自由に行われ、会議資料などもホームページで公開しているところであります。
 小諸新校、佐久新校、伊那新校の懇話会は、これまでそれぞれ5回開催いたしまして、探究的な学びや地域との連携など、毎回テーマを設定し、御意見をいただいておりまして、高校生からも思い描く未来の学校など、新校に向けた期待の声をいただいているところでございます。
 懇話会で出された御意見を基に、新校が目指す学校の姿を確定し、設置学科などについても懇話会で意見交換し、検討してまいりたいというふうに考えております。

【高村京子議員】

 さらなる高校再編によって、行きたい高校が遠距離通学となる生徒が増えるのではないかと危惧します。遠距離通学生に対する交通費の補助制度の充実が求められています。コロナ禍で家計の収入が減り、交通費の負担も重くなっています。2017年2月定例会の一般質問で、山口県議の質問に教育長は、実態把握したところ交通費の負担のため希望高校を変えた生徒が12.1%いたとの答弁がありました。現行では、保護者の収入により通学費が月8,000円以上で上限2万6,000円の貸付制度はありますが、生徒が就職後に返済の義務が課せられています。長和町では、地域区分によって、1か月3,500円から最大1万円まで、全ての高校生等に給付型で通学費補助を行っています。市町村が行っている補助の実態も把握していただき、行きたい高校へ行かれるよう、通学費補助についての高校再編計画の中で、このことを検討していただきたいが、いかがでしょうか。

【原山教育長】

 高校生の交通費補助の御質問でございます。経済的理由により就学が困難である者の通学費等の負担を軽減するために、高等学校奨学資金貸付金制度の中で、遠距離通学費を無利子で貸与しているところでございます。
 また、高校生を持つ家庭の経済的負担の軽減につきましては、平成26年度から市町村民税所得割額の非課税世帯を対象に、高校生等奨学給付金を支給しているところでございますし、また令和2年度からコロナ禍等による家計急変世帯にも支給対象を拡大しているところでございます。
 交通費補助という御要望でございますけれども、現在の遠距離通学費の無利子貸付制度の見直しにつながる話でもございますし、奨学金制度全体の整合性等を勘案する必要もあるので、これについては慎重に考えるべき問題であるというふうに捉えているところでございます。

【高村京子議員】

 定時制高校の再編案については、全県的視野で来年の3月に示すとされます。定時制高校の果たしている貴重な役割があります。家計を支えて昼間働き、夜間へと頑張る生徒や、少人数だからこそ通える生徒もいます。どの通学区からも定時制は必要、縮小しないでほしい、このような声が寄せられています。定時制高校の果たしている貴重な役割をどのように捉えておられるか。今その在り方を県民に示し、議論に供すべきではないかと考えますが、教育長に伺います。

【原山教育長】

 定時制課程のお話でございます。第1期高校再編で新たに設置した多部制単位制高校を含めまして、現在の定時制課程においては、働きながら学ぶ勤労青少年、これについては減少し、逆にというか減少し、今、多様な学習歴や生活歴等を持つ生徒が増加してるとこであります。そのため勤労青少年に高校での学びを保障するという従来の役割に加えまして、学び直しの場、積極的に自己実現を図る場として重要な役割を担うようになっているというふうに考えております。
 定時制課程の在り方については、旧12通学区ごとに設置した高校の将来像を考える地域の協議会でも議論されておりまして、協議会からいただいた御意見、提案を踏まえまして、今後の定時制課程の配置についても検討していくということにしております。
 以上でございます。

【高村京子議員】

 高校再編につきましては、子供たち15歳、この青春期の夢を後押しし、保護者や教職員、県民の願いに応える教育県長野、こういうことで充実した改革になることを求め、全ての質問を終わります。

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