日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2021年6月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 新型コロナウイルス感染症対策について
  2. 生理の貧困とジェンダーについて
  3. 凍霜害への支援と収入保険について
  4. 米の需要調整について

1.新型コロナウイルス感染症対策について

【和田明子議員】

 まず、新型コロナウイルス感染症の対策について伺ってまいります。

 第4波でコロナウイルスが感染力の強い変異株に置き換わり、低年齢層での感染も増え、学校でもクラスターが起こってしまいました。さらに感染力が強い変異株が危惧されます。今後の感染拡大に備えるため、県は病床を434床から490床に増やすこと、北信に5か所目の宿泊療養施設を開設して、治療体制を拡充することになりました。

 コロナ受入れ病床を増やすためには、医師、看護師はじめ関係スタッフの確保が必要になります。また、ワクチン接種が高齢者と併せて企業や64歳以下と、今まで以上にワクチン接種の医師、看護師、スタッフが必要となります。通常医療も担っていただくことなど、いずれも県民にとって欠かすことはできません。既に医療機関、医療従事者の負担は相当なものになっている状況の中で、両立させる見通しと、県として行う対策について健康福祉部長にお伺いいたします。

【福田健康福祉部長】

 新型コロナウイルス感染症対策について御質問を頂戴をいたしました。

 まず1点目、コロナ対応と通常医療の両立、さらにはワクチン接種のための医療人材の確保についての御質問でございます。コロナ受入れ病床、先ほど御指摘がございましたとおり、今回490床に拡充させていただいたわけでございますけれども、一般医療と両立した医療提供体制の確保が必要でございます。医療機関の間での役割分担の徹底や後方支援病院の確保などにより、医療従事者の負担が軽減されるよう取り組んでいるところでございます。

 さらに入院患者に対応する医療従事者等の処遇の維持や離職防止を図るために、医療機関が支給する特殊勤務手当への助成の継続などを通じて、コロナ対応を行う医療機関の取組を支援してまいります。

 また、先月末にはワクチン接種を担う医療人材の確保に向けまして、県と医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護協会が共同会見を行いまして、一丸となって医療従事者の募集を行っているところでございます。とりわけ、ワクチン接種をはじめ様々な医療現場で必要とされております看護職につきましては、長野県ナースセンターの人員体制を強化し、潜在看護師の掘り起こしを行い、再就職に結びつけるためのマッチング支援を実施しております。

 以上のような対策を講ずることによりまして、各関係機関と連携しながら、必要な人材を確保できるよう努めてまいります。

【和田明子議員】

 医療関係者の皆様には、新型コロナウイルス感染症が確認されてから1年半、新規陽性者が急拡大し、圏域の病床が逼迫する事態にも懸命に御尽力いただいてきました。にもかかわらず、新型コロナウイルス感染症によって、医療機関は減収によって経営面で医療崩壊につながりかねない事態があり、減収の実態を県として把握していただきたいと繰り返し求めてきました。

 コロナの治療に当たっている医療機関では、様々な補助金等ないよりある程度補填ができたところもあると聞いています。しかし実際には多額の融資の返済を猶予してもらい、人件費カットと併せて経営を維持しているのが実情です。

 また、病院内でのコロナウイルスのクラスターにより、入院、外来診療を停止しコロナ対策の治療に専念したため、数億円の赤字になった医療機関もあります。そのほか受診控えによる減収など、要因は様々です。新型コロナウイルス感染症の1波・2波・3波・4波と、医療関係者は献身的な治療、地域で連携して医療の提供に御奮闘いただいています。

 これまで県は、医師会や幾つかの病院から実態を聞いているとのことですが、医療機関の現状をどのように把握し、どう捉えているのか、健康福祉部長にお聞きします。

【福田健康福祉部長】

 医療機関の経営状況についての御質問でございます。
 新型コロナウイルス感染症に関する医療機関の経営状況につきましては、日本病院会等が調査を行っておりますが、最新の令和2年度第4四半期の調査によりますと、医業利益について、コロナ患者を受け入れていない病院は、ほぼ前年度の水準への回復が認められたものの、受け入れている病院は、対前年でのマイナスが継続しているとの分析がされているところでございます。

 また、4月に行われた県内の新型コロナウイルス感染症にかかる病院関係者との懇談会など、様々な機会において新型コロナウイルス感染症対応下での県内の病院の経営状況などについてお聞きをしているところでございます。

 受診控えなどによりまして、状況は非常に厳しい反面、先ほどの御質問の中でもございましたとおり、これは医療機関によって状況は異なるかと思いますが、空床確保料等の補助金によりまして一定程度の補填がされているということも伺っているところでございます。

 こうした中で、新型コロナウイルス感染症への対応に係る経費といたしまして今年度当初予算では172億円を計上しているところでございますが、今定例会におきましては、コロナ患者受入れ医療機関等に対し、医療体制を維持・拡充するための設備の支援などに67億円の補正予算を計上しているところでございまして、今後とも必要な経営支援策を継続的に講じてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【和田明子議員】

 県から国に医療機関の経営支援を求めていただいているところと承知はしています。しかし国は、減収補填の立場に立っていません。県として何らかの支援が必要ではないかと考えています。医療機関の実態を把握して、国に減収補填を求めていただきたいと思いますが、知事に伺います。

【阿部知事】

 私には医療機関への支援について御質問をいただきました。

 県としてはコロナ患者の受入れに御尽力いただいている医療機関に対して、これまで、昨年度の実績で申し上げると約177億円に及ぶ空床確保料、あるいは特殊勤務手当、そして機器整備等の補助金等で医療機関の支援を行ってきているところであります。

 また医療機関の経営については、私もこのコロナ禍にあっても、その経営について医療機関が心を煩わすことなく向き合えるように、しっかりとした支援を行うよう国に求めてきているところでございます。こうした内容については、知事会からの提言の中にも反映されている状況であります。

 今月の18日に閣議決定されましたいわゆる骨太の方針の中では、感染症患者を受け入れる医療機関に対し、減収への対応を含めた経営上の支援や病床確保、設備整備等のための支援について、診療報酬や補助金交付金による今後の対応の在り方を検討し、引き続き実施する旨が明記されております。医療機関が経営上の不安を抱えることなく医療と向き合うことができるよう、こうした方針の具体化を期待しているところでありますし、県としても医療機関の経営状況等をお伺いをしながら必要な支援を引き続き行っていきたいというふうに考えております。

 以上です。

【和田明子議員】

 ぜひ、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

2.生理の貧困とジェンダーについて

【和田明子議員】

 生理の貧困について伺ってまいります。

 コロナ禍の下で、生理の貧困ということが顕在化しています。「生理用品を軽減税率の対象に」というキャンペーンから始まった団体が、「#みんなの生理」で、日本における生理の貧困の実態を明らかにすべく、SNSで呼びかけてオンラインアンケートを実施しました。

 過去1年で生理用品を入手するために金銭的理由で苦労したことがある若者の割合が20. 1%に、また、過去1年以内に金銭的な理由で生理用品でないものを使ったことがあると答えた割合は27. 1%、生理用品を交換する頻度を減らしたと答えた割合は37%でした。このアンケート結果に、私は大変衝撃を受けました。

 経済的な理由で生理用品に苦労している実態と体への負担、さらに精神的な苦痛を受けている女性の問題にとどまりません。人間の尊厳、人権の問題として、社会全体で向き合うことだと思います。

 県内の自治体では、災害用備蓄品の生理用品を活用し、臨時的な配布をしていただいていたり、さらに6月の市町村議会を通じて、保健室、あるいはトイレに常備するなど動きが出ています。

 早期議決された、コロナ禍において不安・困難を抱える女性に対する緊急支援事業できめ細やかな相談支援を実施するとともに、生理用品の配布をするとしていますが、雇用や収入が不安定な状況に置かれ、孤立する女性を支援する施策をどのように進めていくのか、県民文化部長にお伺いいたします。

【中坪県民文化部長】

 孤立する女性を支援する施策をどのように進めるかとのお尋ねでございます。

 新型コロナの感染拡大が長引く中、不安や困難を抱える女性に対する緊急支援として、新たに県社会福祉協議会や、こども食堂を運営するNPO法人と連携した事業を実施してまいります。

 この事業では、経済的困窮により生理用品の入手が困難な女性に対し生理用品を配布するとともに、これまで支援の届かなかった女性や子供を持つ女性に対し、寄り添った相談支援を行い、不安や悩みを抱える女性が社会的に孤立することのないよう取り組んでまいります。

【和田明子議員】

 また、県立学校においては、生徒等の実情に応じた相談対応や生理用品の提供を実施するということでありますが、生理用品の提供の仕方には、まずトイレに生理用品を置いていただきたいと思います。

誰でもトイレで用を足したときにトイレットペーパーを使うのは当たり前。それと同じように、トイレに生理用品があるのも当たり前。必要に応じて使えるように置いてほしいと思います。どうお考えか、教育長にお聞きいたします。

【原山教育長】

 生理の貧困につきまして、県立学校の対応に関し生理用品をトイレに設置してはどうかというお尋ねでございます。

 生理の貧困に対しては、学校においても、子供たちの身近な相談場所としての機能を果たしつつ、必要な支援を行うこととしているところでございます。このため、生理用品が用意できなくて困っている子供たちに気軽に養護教諭等に声をかけてもらい、言葉を交わす中で、その子供たちに生理用品を提供する仕組みとすることとしております。

 先ほどの県民文化部長の答弁にありました、経済的困窮により生理用品の入手が困難な女性に対する支援事業とも十分連携を図りながら、この取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

【和田明子議員】

 だいぶなくなったとはいえ、生理タブーとか、生活困窮という、そういうことの中で、心理的な負担のハードルは見えないものがまだまだあります。ですから、生理用品の配布については、それを必要としている生徒、女性の立場、その側に立って対応してほしいと要望しておきたいと思います。

 次に、世界経済フォーラムにおけるジェンダーギャップ指数2021でも、日本は156か国中120位に低迷しています。最も遅れているのは政治分野で147位、経済分野117位で、指導的地位に占める女性は少なく、政策決定の場に女性が参画できないでいます。決して日本の女性が他国に比べて能力が劣っているわけではないにもかかわらずです。

 日本の女性の就労人口は増え続け、共働き世帯は専業主婦世帯の2倍、一方、男性の家事・育児参加時間は世界の中で最低水準です。家事・育児は女性がすべきものという性別役割分担の面と、男性には「男のくせに」という偏見もあり、育児休業取得は遅れています。結果として女性には家事・育児と仕事の負担が過重になり、男性同様の働き方を求められてもできない、女性が管理職になる機会が失われるという悪循環の一因になり、ジェンダーギャップ指数に表れています。

 そのような状況の中、国会で、出生時育児休業(男性版産休)を新設する改正育児介護休業法が成立しました。企業に対し、子供が生まれる従業員一人ひとりに育児取得を働きかけるよう義務付けることになりました。夫婦が協力して家事や育児を担い、安心して子育てできる環境の整備を後押しし、少子化に歯止めをかける狙いがあると言われてもいます。

 この法改正に合わせて取材した番組は、とても興味深いものでした。紹介します。

 既に100%育休取得がされている企業は、「私どもは難しいことはしていません。社員から子供が生まれると聞いたとき、『いつ休むの?』と聞くだけです」と、育休は当たり前のことと担当職員は語っていました。また、実際に6か月間育児休暇を取得した男性は、「家事や育児ができるようになった。育休を取ったことで、自分の将来、昇進などに影響が出るのではないかと不安を抱いた。しかし、女性はいつもそのような状態に置かれてきたことも理解ができた」と言っていました。

 男性、女性とも、産休・育休を取得するために意識を変え、理解を進めること、代替職員を含め取得しやすい職場環境を整えることが必要です。そのことは容易ではありませんが、当たり前のこととなるよう取り組んでいただきたいと思います。県職員の状況と今後の対応について総務部長に伺います。

【玉井総務部長】

 育児休業取得促進に向けた県職員の状況と今後の対応についてのお尋ねでございます。

令和元年度における県職員の育児休業取得率は、女性職員が目標である100%達成した一方で、男性職員の取得率は11.1%であり、平成28年度の8.4%に比べると向上はしましたが、目標である20%を下回る状況でございます。

 また、育児休業を1か月以上取得した男性職員の割合は、令和元年度は50%であり、平成28年度には20%であったことに比べると、取得期間の長期化も進んできているところではございます。

 職員が育児休業を取得する際には、原則として代替職員を配置することや、所属長が育ボスあったかボス宣言を行うことで率先して職場の意識を変えるなど、これまで育児休業を取得しやすい環境づくりに取り組んできたところでございますが、男性職員のさらなる育児休業の取得促進が課題であるというふうに認識をしております。

 今後、対象職員への関係制度の周知はもちろん、所属長と面談の上で男性職員が計画的に育児に向けた休暇等を取得する、男性職員の子育て計画書の作成を徹底させるなど、職場の理解を得るための取組を引き続き進めながら、男性女性問わず、職員が育児休業を一層取得しやすい意識改革、それから職場環境づくりに取り組んでまいります。

 以上でございます。

【和田明子議員】

 ジェンダーギャップの課題になっている政策決定の場に女性の参画が遅れていることに関してお聞きします。第5次長野県男女共同参画計画が策定されたところですが、長野県男女共同参画推進本部は、知事を本部長に、副知事、関係部局長で構成されており、昨年度は女性は1名、今年度はゼロという現状になっております。この現状についてどう考えるのか。また、男女共同参画を推進するために、長野県男女共同参画推進本部長としての知事の見解をお聞きします。

【阿部知事】

 県の男女共同参画推進本部に女性がいないということについての認識についての御質問であります。

 この本部、これは県の組織を挙げて男女共同参画進めようというものでありますので、そういう意味で、県の部局長級の職員以上で構成をしております。そう意味で、様々な部局の政策にこの男女共同参画の視点を入れていこうという観点で設置している本部でありますので、女性の数が少ないということ、あるいは女性がいないということで、ただちにその機能が果たせないというものではないというふうに思っています。むしろ問題は、県の幹部職員に女性が少ないということが課題だというふうに思います。

 ただ、私が知事になってから約10年ですけれども、管理職、課長級以上の管理職、平成22年の4月の段階で19人だったところが、この4月には78人まで増えてきておりますので、もう少しで部長級の職員も輩出できる形になってくるというふうに思います。引き続き、女性職員が活躍しやすい職場づくりに努めていきたいというふうに思ってます。

 また、この男女共同参画の政策をつくるに当たっては、当然女性の皆さんの御意見を伺っております。

今回の第5次男女共同参画計画をつくるに当たりましても、男女共同参画審議会、そして女性活躍推進会議、こうしたところで御意見を伺っておりますが、女性のメンバーも多くいらっしゃいます。

 引き続き、県のあらゆる政策に男女共同参画の視点を取り入れながら、具体的な成果が上がるよう取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。

【和田明子議員】

 育児休業の取得は民間企業に遅れないよう御努力をお願いしたいと思います。知事もおっしゃったとおり、あと一歩ということも見えてきているのかもしれませんけれども、政策決定の場に女性の参画を進めるため、さらに知事のリーダーシップの発揮をしていただきたいと申し上げておきたいと思います。

3.凍霜害への支援と収入保険について

【和田明子議員】

 それでは、農業について聞いていきたいと思います。

 今年4月の凍霜害による被害額は、6月3日現在約20億円。自然災害による農業被害額としても過去5番目。その被害は広範囲に多品目に及んでいます。生産者のダメージは被害額以上に大きいものです。

県としては、生産者への支援は5月28日から当面の間相談窓口を設置し、被害を受けた農作物の今後の技術対策や営農継続のための融資制度ということです。この間どのような相談が寄せられているのか、農政部長にお聞きします。

 福島県でも4月に過去2番目の被害額の凍霜害があり、福島県知事は、農業者の心が折れることなく、希望を持って営農継続できる財政支援の検討を重ねたと述べ、枝の剪除、肥料や農薬、防霜ファン導入に5億5,000万円余の補正予算を計上しました。山形県の緊急パッケージでは、凍霜害により50%以上の減収に対して農薬肥料など補助を予定しているとお聞きしています。災害で心が折れそうになっている農家を経済的に支援することは、農業の存続に関わる課題であります。

 4月の凍霜害被害を受けた農業者に、農業県長野として、営農意欲が持てるよう、経済的支援など支援策をどのように行うのか農政部長にお聞きします。

【小林農政部長】

 被災農家からの相談内容と今後の支援についてのお尋ねでございます。相談窓口には、主に果実や樹体の今後の管理などの栽培技術に関する相談のほか、次年度に向けた被害防止対策、利用可能な融資などの相談が寄せられております。

 現在、県では、この相談対応とともに、生産者団体と連携して栽培管理講習会を地域ごとに開催するなど、被害の状況に応じた技術支援をきめ細かに行っているところです。

 また、今回の凍霜害は、圃場、品種ごとに被害の様相が大きく異なっていることから、果実品質など被害状況の追跡調査に加えまして、今後の被害防止対策の構築に向け、防霜対策の実施状況や、効果などの確認調査も実施をしているところです。

 今後、これら調査の状況や相談窓口等に寄せられている声を踏まえまして、本年度必要な技術経営支援に加え、将来に向けた被害防止対策などの観点から、被災農業者が意欲を持って営農を継続できるよう、JA、市町村とも協調し、必要な支援策の検討を進めてまいります。

【和田明子議員】

 次に収入保険についてもお聞きします。2019年1月から始まった収入保険制度は、自然災害による収量減少、作付けできないことによる減収のほか、市場価格の低下、ケガや病気により収穫ができないなど、様々な農業者の経営努力では避けられない収入減少を補償する保険で、基本的に農産物ならどのような品目でも対象となる。農家の平均収入の8割以上の収入が確保され、農業経営を総合的にカバーする制度ということですが、自然災害とコロナ禍で、厳しい農業経営が余儀なくされる中で経営を支える収入保険の加入の実態と、その受止めについて農政部長にお伺いします。

【小林農政部長】

 収入保険の加入の実態とその受止めについてのお尋ねでございます。令和3年の収入保険の加入状況は1,647経営体と、制度開始の令和元年の509経営体から3倍に増加しており、作物別に見ますと、果樹の加入件数が一番多い状況となっております。

 加入形態の件数の増加につきましては、近年の台風災害や新型コロナウイルス感染拡大の影響など、農業経営リスクに対する農業者のセーフティーネットへの意識の高まりによるものと捉えており、特に果樹については、その傾向が顕著となっていると受け止めております。県といたしましては、加入していただきたい農業経営体もまだ多くおられると認識しており、NOSAI長野や市町村、関係団体と連携し、農業者への加入メリットのPRや、JA部会を重点対象とした加入促進の取組強化など、引き続き、収入保険制度の加入推進を図ってまいります。

【和田明子議員】

 収入保険加入は青色申告が条件ですが、白色申告であっても加入できるよう条件の緩和をすること、関係書類など煩雑な事務を簡素化すること、基準収入の設定については、災害やコロナ禍で、平均収入が大幅に下がる場合に考慮することなど農家の方々から要望をいただいています。

厳しい農業経営の中で、一定の所得を支える保険制度に改善して、収入保険の加入につながるよう国に対して県から積極的に検討を求めていただきたいと思います。農政部長にお聞きします。

【小林農政部長】

 収入保険制度の拡充についてのお尋ねでございます。県では主に保険の加入が促進されるよう、昨年度、国に対して制度の要件緩和などについて要望し、新型コロナウイルスに係る基準収入算定の特例措置や、書類の簡素化など一定の改善が図られてきたところです。

 今後さらなる加入推進を図るためには、加入者要件の緩和や、集団で加入する場合の割引等のインセンティブ措置、そして野菜価格安定制度などの他のセーフティーネットとの重複加入など、さらなる制度の拡充が必要と考えております。

 収入保険制度は、近年頻発する自然災害や新型コロナウイルスなど、様々なリスクを踏まえると、農家の経営安定のためにより重要性が増してきているものと認識しており、県としましては、農業者の声を丁寧にお聞きしながら、制度の課題や御要望を整理し、一層の加入促進につながるよう国へ要望してまいります。

【和田明子議員】

 御丁寧に御答弁ありがとうございました。

 収入保険に加入できない農業者の皆さんには、農業共済制度をさらに維持発展させていくためにも、県内の自治体でも掛け金への補助を出しています。昨日も続木議員にも御答弁ありましたが、私からも、共済掛け金に県としても補助を出していただきたいということを要望しておきたいと思います。

4.米の需要調整について

【和田明子議員】

 次に米の需給調整について伺います。

 コロナ禍で米需要が減り、米価が暴落して農家経営を脅かしています。そのため農水省が保管管理経費を支援する米穀周年供給需要拡大支援事業によって売り急ぎを避けて、米価の対策にはつながることにはなりますが、それによって2020年産米の申請が既に33万トンに上っているとのことです。保管されているお米が11月以降に市場に出回れば、今年産の需給との均衡に影響し、米価の下落を招く恐れがあり、その分を見込んだ作付けの転換が必要と言われています。

 今年度産は既に作付けされ、田植えも終わり、秋の実りのために農作業が進んでいる一方で、主食用の米を飼料用米に転換する営農計画を出せ、主食用米を飼料用米に転換することで米農家の収入には一定はなります。けれども、果たしてそれがおいしい米作りに励んでいる米作りの農家の支援と言えるのでしょうか。

 コロナ禍により米の需給が崩れている中、今後も農家が意欲を持って生産に取り組めるよう、県として米の需給調整をどのように進めていくのか、農政部長にお聞きします。

【小林農政部長】

 米の需給調整についてのお尋ねです。米価を維持し、稲作生産者の経営安定を図っていくためには、全国で協調して生産者の御理解と御協力をいただきながら、需要に見合った適正生産を進めていくことが必要です。このため県では、食用米と同程度の所得となるよう国の産地交付金の設定を拡充し、新たな販路としての輸出用米や需要が見込める飼料用米、収益性の高い園芸品目への転換を重点的に進めております。

 また、国の支援に併せ、ソバなどへの転換については単独支援も講じているところです。さらに、県産米の県内外での消費拡大を図るため、県オリジナル品種「風さやか」のPR動画の作成・配信のほか、今回の補正予算で、県内の直売所等における地産地消フェアでの販売促進や、営業局と連携し、大都市圏における百貨店等での信州フェアの開催などの事業をお願いをしているところです。

 これらの取組を総合的に展開し、今後も農家の皆さんが意欲を持って営農を継続していただける環境を整えながら、需給調整を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【和田明子議員】

 今コロナ禍で米が余っている、需給が崩れているといわれているその要因の一つに、コロナ禍によって、食べたくても食べられない、1日1食に切り詰めるような生活困窮者が広がっていることも見過ごすことはできません。フードバンク、フードドライブ、こどもカフェ、大人カフェこのような支援活動している団体の皆さんに対して、国は年に1団体にお米90キロ程度の提供しかしておりません。これは国の行うべきことかもしれませんけれども、そういう活動している団体に対して、県としてもお米を買い上げて支援をするなど検討していただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

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