日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2021年6月定例会 両角友成議員一般質問

    1. 東京オリンピック・パラリンピック開催について
    2. 行政におけるデジタル化の問題点について
    3. 再生可能エネルギーの普及促進について

1.東京オリンピック・パラリンピック開催について

【両角友成議員】

 日本共産党県議団の両角友成です。私は発言通告に沿って一般質問を行います。
 まず初めの質問項目は、東京オリンピック・パラリンピック開催についてであります。菅首相は、今月1日、東京オリンピック・パラリンピックに関し、「国民の命と健康を守るのが私の責務だ。五輪を優先させることはない」と言明しました。
 しかし、コロナ禍の中、それでも開催の意向です。開催されれば、数万人の規模で、外国から東京に選手、関係役員、ボランティアなど多くの方々がどんどん集まる、人流抑制に歯止めはかからない。それが何をもたらすか、国民が望んでいるのは日本の国内で感染の波を起こさないでほしいということではないでしょうか。
 世界的なコロナウイルス感染拡大の中での五輪開催は、「平和な社会を目指すためにスポーツを役立てる」とする五輪憲章と相いれない大会になってしまうのではないでしょうか。放映権料がないと組織がもたないとされるIOC国際オリンピック委員会は、何としても東京オリンピック・パラリンピック開催を強行する姿勢であり、バッハIOC会長は、「どんな犠牲を払っても五輪を開催する」と明言し、物議を醸しました。 無理難題も、9時間シフトの看護師500名を関係団体に要請。感染した選手らを受け入れる指定病院を30か所確保。出場選手に、ウイルスに感染しても主催者側の責任を問わないとする誓約書に署名を求める方針も示しています。このような商業主義、政治主義がむき出しの大会は、オリンピックそのものを自己否定するようなものではないでしょうか。
 長野県内を見ても、各国の事前合宿を受け入れる自治体、受入れを中止した自治体と、国がきちんとした開催のための判断基準を示さない中、住民の中に分断が持ち込まれてしまうような状況が生まれています。東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて進んでいる現在の動きに、強い疑問と危惧を抱くものです。長野冬季五輪を成功させた県として、現在の国の動きに対する知事の姿勢を伺います。

【阿部知事】

 東京オリンピック・パラリンピックの開催についての姿勢を伺うという御質問でございます。
 本県に関係する出身の選手、あるいはゆかりのある選手、オリンピックに出場が内定している選手もいるわけで、こうしたアスリートの皆さんの思いを考えると、やはりいい形でオリンピック成功してもらいたいなというふうに思います。
 しかしながら、今コロナの蔓延防止に国民挙げて取り組んでいるという状況であります。先日総理も、緊急事態宣言下にあっては無観客も辞さないというふうに発言されたという報道もありますが、コロナ禍で開催する以上、感染拡大につながることがないよう最大限の措置を講じていくということが重要だというふうに考えています。
 特にオリンピック・パラリンピックは、夏休み、あるいはお盆の時期とも重なってきます。人の移動については、これまで県としても県民の皆様方にいろいろお願いをしてきたわけであります。そういう意味で、国として明確なメッセージを出していただくということが重要であると考えておりまして、6月19日に開かれた全国知事会議、オンラインでありますけれども、ここの場においても、私からはそうした発言をさせていただいたところであります。
 そうしたことも踏まえて、全国知事会としても、このオリンピックに関連して、例えば大会開催時期の道府県境をまたぐ移動、あるいは関連イベントの在り方、こうしたものについて早急に検討すると、また引き続き感染防止対策を確実に実施すること、こうした点について、要請、提言を行っているところであります。
 県としては、引き続き県内外の感染状況を踏まえつつ、市町村、関係団体とも連携しながら、蔓延防止に全力で取り組んでいきたいというふうに考えています。
 以上です。

【両角友成議員】

 五輪開催に何人もの専門家の方々が警鐘を鳴らしています。昭和大学医学部客員教授の二木芳人(にきよしひと)先生は、第5波は必ず来る。そういうタイミングで五輪が開かれると、本来は集中して行うべき感染症対策が非常に難しくなる。政府が何が何でもやると強行する姿勢のため、専門家も積極的に発言できないでいる。本来ならもっと議論が必要でした。組織委員会やJOC・IOCは開催のための機関として準備するのは当然で、中止しようという話はしません。ストップをかけられるのは、国民の生命や健康を守るとはっきり言い切った菅首相であり、その責任があります。「アルマゲドン(最終戦争)がない限り中止しない」と発言されたIOCの役員もいますが、いざ感染爆発が起きて緊急事態宣言発令となったら、これはもうアルマゲドンと一緒ではないでしょうか。このように述べています。
 オリンピックの開催予定日は7月23日。あと1か月ですが、何らかの声を上げるべきと再度申し上げ、次の質問に移ります。

2.行政におけるデジタル化の問題点について

【両角友成議員】

 次の質問項目は、行政におけるデジタル化の問題点についてであります。
 2月定例で、毛利団長がDX戦略について質問し、重複感もありますが、大切な事項であり、項目であり、私からも質問させていただきます。
 今日の国の動きは、行政が特定の目的のために集めた個人情報を、儲けの「ネタ」にしようとして利用し、成長戦略や企業の利益につなげようとしているように見受けられます。デジタル技術は地方自治と住民福祉増進に役立つように有効活用こそが大切ではないでしょうか。
 個人情報保護法制の一元化で、自治体の個人情報保護条例に縛りをかけ、保護の仕組みを切り捨てるものではないかと心配です。マイナンバーカードに健康保険証を組み入れる仕組みは不具合があり、半年先送りとなりました。情報漏えいの懸念もあるのではないかと危惧されます。
 9月発足とされるデジタル庁は、地方自治体にも強い権限を持ち、国がつくる型に収まる範囲内の施策しか県が行えない恐れがあるのではないでしょうか。デジタル化を口実に、行政の窓口の減少等、住民サービスの低下も懸念されます。「デジタル弱者を誰も置いていかない」と国は言いますが、自分のことを考えただけでも疑わしい限りです。また、自動車の運転免許も含め、何でもかんでもマイナンバーカードの動きも監視社会になるのではと心配です。
 行政におけるデジタル化について、国の動きに対する県の受止めはどうか、また県としてどう対応するのか。知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 私には行政のデジタル化に関連して国の動きに対する受止め、そして県としてどう対応するのかという御質問であります。
 デジタル改革関連法が成立をして、我が国のデジタル化は新たな段階を迎えてきているというふうに考えています。司令塔を担うデジタル庁の下、様々な分野での取組がこれから本格的に始まっていくというふうに考えています。
 まず、県としては、個人情報の保護については、今後とも十分な対策を行っていくということが必要だというふうに考えております。個人情報保護条例も含め、今後必要な条例改正を検討していきたいと考えております。
 また、情報システムの標準化につきましては、本県の場合、とりわけ小規模市町村が多いわけでありますので、情報システムを標準化して共同利用していくということは、市町村事務の効率化の観点からも重要だというふうに考えています。
 本県は国の動きに先駆けてDX戦略策定をしたわけでありますが、県と市町村から成る長野県先端技術活用推進協議会の枠組みを基盤として、引き続きこの情報システムの共同利用を積極的に進めていきたいと考えています。
 県としては、個人情報の保護に十分配慮しつつ、市町村と連携しながら、デジタル技術とデータを活用して、県民の皆様の利便性の向上、あるいは行政事務の効率化に取り組んでいきたいと考えています。
 以上です。

【両角友成議員】

 長野県は、長野県個人情報保護条例で、本人への通知なくして個人情報の目的外使用については認めていません。全国的に見ても優れた条例との評価があります。県は市町村と一緒にシステムに入るとしています。標準化すると言いますが、国保料・税の軽減、就学援助、ほかにも介護保険への市町村の横出しなど、各自治体が住民福祉のためせっかく積み上げてきたものが、標準化の名のもとに後退させられてしまうのではないか。企画振興部長に伺います。

【伊藤企画振興部長】

 情報システムの標準化、共同化によって、市町村行政が後退してしまうんではないかという御懸念ですけれども、現在、全国の市町村が、国が提供しますワクチン接種記録システムを共同利用しております。コロナ対応についてです。
 その際に、各市町村においてこの共同システムを利用しつつ、集団接種ですとか個別接種、あるいはそれらを組み合わせるなど、接種を迅速に進めるために様々な工夫を行っております。国におきましては、その行政サービスのレベルですとか仕組みを統一しようというふうに考えているわけではありません。むしろ今回のように全国共通の取組に対応するためには、同一のシステムであっても、その同一のシステムの下だからこそ、それぞれの独自のサービスを工夫しながら提供しやすくなっているものだと認識しております。
 国は、自治体の情報システム標準化に当たりまして、住民サービスの安定向上と自治体業務の円滑化、効率化のため、地方の実績、進捗をきめ細かく把握し、丁寧に意見を聞いて進めることをしております。
本県におきましても、先ほど知事も答弁しましたように、県と全市町村で構成いたします協議会があります。この枠組みの下、市町村の状況を把握し、必要に応じて国に要望してまいります。

【両角友成議員】

 セキュリティーという問題でも心配です。5月25日の信濃毎日新聞によると、国土交通省、外務省で内部情報流出の報道。職員のメールアドレス約7万6,000件流出とのことです。外務省ではデジタル政府実現に向けた検討資料が流出。ほかにも行政機関のサイバー攻撃対策を統括する内閣サイバーセキュリティーセンターも、システムを構成するパソコンの製品名や保守日程などが流出、このような状態で、果たして個人情報は保護されるでしょうか。
 みずほ銀行では、システム障害が今年2月末から2週間で4回続けて発生し、全国でATMが停止。5,000枚を超える通帳やキャッシュカードなどがATMに取り込まれてしまう被害が出ました。6月に入り、みずほ銀行の頭取は引責辞任することにとの報道までありました。
 他方政府は、2022年末までにほとんどの国民がマイナンバーカードを取得するとの目標を掲げています。マイナンバー制度をめぐる個人情報の漏えいや不正利用対策として、国が総額約38億で契約し、17年7月から運用している監視システムが事実上機能していないことが会計検査院の調査で判明。2019年は、システム利用想定の5.5%とのことです。デジタル化を急ぐ国のねらいがどこにあるのか、見極める必要もあります。改めて個人情報をどう守るのか。総務部長に伺います。

【玉井総務部長】

 個人情報をどう守るかについてのお尋ねでございます。
 議員御指摘のとおり、いわゆるサイバー攻撃に対しましては、通常業務やマイナンバー利用事務に係るネットワークをインターネットから分離するなど、国が示す基準に沿って情報システムの運用を行っているところでございます。
 また、個人情報を含むパソコンやUSBメモリーなど、電磁的記録の持ち出しの際には必ず所属長の許可を得ることや、パスワード設定を行うことなど、個人情報保護条例に基づく要綱、取扱事務マニュアルに沿って事務を行っているところでございまして、引き続き、適切な個人情報の管理に努めてまいる所存でございます。

【両角友成議員】

 デジタル化への大前提は、政治の透明性と説明責任を果たせる政府が個人情報を適切に管理し、安心や安全を求める国民に信頼されることです。
 ところが、今の政府や企業の現状はどうでしょうか。さきの事例に加えて、2月の国会で取り上げられた500万人分ものマイナンバー情報が、日本年金機構から中国に流出していたとされる問題、さらに3月17日には、国内で8,600万人が利用しているLINEの個人情報が中国国内から閲覧可能になっていることが分かり、利用停止する政府機関や自治体が相次いでいます。
 このような状況を見たとき、デジタル化を今のまま進めるのではなく、事業者の個人情報漏洩事実の消費者への通知義務、充分な被害救済や仕組みの整備、情報の自己決定権などを保障することが必要で、さらに個人情報保護のガイドライン策定や監視・監督などを行う個人情報保護委員会の強化が求められているのではないでしょうかと申し上げ、次の質問に移ります。

3.再生可能エネルギーの普及促進について

【両角友成議員】

 次の質問項目は、再生可能エネルギーの普及促進についてであります。
 エネルギーは食料とともに経済・社会の存立の基盤ですが、日本のエネルギー自給率は10%足らずです。
無駄なエネルギー需給を削り、再生可能エネルギーの普及で温暖化防止、資源の上でも持続可能な社会を構築しなければなりません。
 さきに開催された先進7か国首脳会議議長国の英国政府が、共同声明に石炭火力発電の全廃を盛り込む提案をしているとの報道がありました。「日本孤立の懸念」という副題がついていました。日本の総合商社がこぞって脱炭素に本腰を入れる方針、軽くてフィルム状の次世代型でビルの壁でも車体でも発電可能なペロブスカイト太陽電池の開発が進められ、2025年には実用とのことです。
 5月26日、2050年までの脱炭素社会実現を明記した改正地球温暖化対策推進法が参議院本会議で成立。再生可能エネルギーの導入拡大に向け、自治体が促進区域を設ける制度を創設。温暖化ガスの削減とともに、地域活性化につながるとも明記。改正法では、住民の雇用や災害時の電力供給など、地域活性化につながる事業を地域脱炭素促進事業と定めました。2030年度の排出量を、13年度比46%削減するとの中間目標を達成できるかどうかが試金石とされています。
 長野県も今月8日、県にゼロカーボン戦略を決定し、今年から2030年までに取り組む内容を明記しました。再エネでは、太陽光・小水力を核に生産を大幅増、地域の再エネを余すことなく活用し、エネルギー自立地域の確立と明記されています。
 私は、長野県内ではポテンシャルが高いとされる水力発電の普及を今までもいろんな角度から提案してきました。全国には24時間発電が可能で、天候に左右されにくい安定的な再エネとして、用水路を使用しての小水力発電が見直されています。県企業局も、25年までに17か所を36か所に水力発電倍増計画をお持ちのようですが、全容を伺います。短期間での意欲的な計画ですが、何より人材確保が課題だと思いますが、いかがでしょうか。公営企業管理者に伺います。

【小林公営企業管理者】

 再生可能エネルギーの普及促進についての御質問にお答えをいたします。
 企業局の水力発電倍増計画の全容と、これに伴う人材の確保についてでございますが、企業局では、令和元年度に知事が行った気候非常事態宣言と、昨年度に制定された長野県脱炭素社会づくり条例の趣旨を踏まえ、再生可能エネルギーの供給拡大とエネルギー自立分散型で災害に強い地域づくりを基本方針としつつ、令和7年度までを計画期間とする改定経営戦略において、昨年度までの電気事業の約60年間の取組で17か所となっていた水力発電所を、工事着手ベースで36か所とすることとして、より多くの地域に電力を供給する目標を掲げました。
 今年度は新たに建設した3か所の発電所を運転開始し、建設部から引き継いだ3か所のダム管理用発電所について大規模改修等に向けて検討するとともに、既に発注した新規電源開発の5地点については建設に向けた設計等を進めており、現時点で事業着手ベースでは28か所となります。
 これらに加え、知事部局との連携により、新規電源開発地点発掘プロジェクトにおいて、市町村等の御協力の下、開発候補地点の調査を推進することにより、国においても、近年奥地化、小規模化してより困難になっているとされている水力発電所の建設に向けて、スピード感を持って取り組みます。
 また、県内各地に建設する発電所について、運転管理の一元化と効率化を図るため、本年度、企業局川中島庁舎に設置した中央制御所を中核として、AI 、IoT等の先端技術を活用したスマート保安の推進と、次世代監視制御ネットワークシステムの構築に取り組む中で、それらを支える職員の技術の向上も図ります。
 さらに、こうした取組は全国的にも先進的であるとされていることから、企業局CIを活用した戦略的な広報活動により、県内外への情報発信に努め、関係部局と連携して社会人経験者の採用選考を柔軟に実施することなどにより、専門人材の確保を図るとともに、職場内における技術研修会等を充実させることに加えて、職員の提案による外部機関の専門研修への参加や、経費を負担して若手職員の資格取得を奨励することなどによりまして、人材の育成にも積極的に取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。

【両角友成議員】

 東京海上日動火災保険株式会社が2030年までに全てグリーンエネルギーにするの報道。県内企業エプソンが100%グリーンエネルギーに、長野県内の再エネ電源の開発加速に向け、県と民間2社で「信州Green電源拡大プロジェクト」を開始、国内初の電気料金を通じて特定地点の電源開発を支援する取組へ、など始まりますが、新型コロナウイルス感染症の流行で冷え込んだ経済の再起を図るのに、脱炭素社会など環境問題への取組を併せて行おうとするアフターコロナの施策の一つ、「グリーン・リカバリー」の考えを具体化すれば、再エネが長野県経済施策に直結すると考えますが、産業労働部長の見解を伺います。

【林産業労働部長】

 「グリーン・リカバリー」の具体化と、再エネそして県の経済政策についてのお尋ねでございます。
 「グリーン・リカバリー」は、新型コロナからの経済回復と脱炭素化を同時に進めるアプローチであり、例えばEUにおいては、気候変動対策としてグリーンデジタル分野に対し、約1兆8,500億ユーロ、約220兆円の復興基金をベースとする成長戦略が進められるなど、世界的な潮流となりつつあります。
 県ではこうした動向も踏まえ、さきに開催いたしました新型コロナ対策産業支援再生本部会議において、再生フェーズの施策に、長野県ゼロカーボン戦略の推進を織り込んだところであり、具体的にはグリーン分野への挑戦を促すため、長野県ゼロカーボン基金を活用した新技術の開発や産業構造の転換の後押し、省エネの実践、再エネの活用等による事業活動における脱炭素化の促進、SDGs経営やESG投資の推進など、官民で取り組むことを確認したところであります。
 また、産業のグリーン化の推進に当たっては、再生可能エネルギーの活用に加え、経済活動のあらゆる段階での資源の効率的、循環的な利用が重要となります。このためエネルギーの地域内循環はもとより、廃棄物の発生抑止やリユースやリサイクル前提の製品設計など、いわゆるサーキュラー・エコノミーへの転換に寄与する産業イノベーションが加速していけるよう、経済団体、大学等と連携して取り組んでまいります。

【両角友成議員】

 太陽光の屋根置き個人住宅用は革新的技術ではなく、既存の技術で可能だと専門家が指摘しています。
環境大臣も太陽パネルを置けるだけ置き、景色を変えたいと脱炭素で意気込んでいます。信州屋根ソーラーポテンシャルマップを活用し、県内大規模に個人住宅の屋根も含め計画の練り直しが必要ではないかとただそうとしましたら、今定例会予算案で、太陽光発電と蓄電池の設置に関わる「既存住宅エネルギー自立化補助金」が提案されました。県としては初めて個人住宅に補助金が支給されることが計画され、歓迎するものです。
 既にあるグループパワーチョイス(共同購入)と併せ、より県民が利用しやすい事業になることを期待します。結果として両事業が同時にスタートすることとなるが、両事業の位置づけと、期待する効果は何か。また先行している市町村事業との関係性についても環境部長に伺います。

【猿田環境部長】

 「既存住宅エネルギー自立化補助金」とグループパワーチョイス(共同購入)についてお答えいたします。本県は日射量が多く、冷涼な気候により、太陽光発電のポテンシャルが高いことから、住宅等の屋根の一層の有効活用を図るべく、二つの事業の導入を進めているところでございます。
 このうち、グループパワーチョイス(共同購入)は、同時購入によるスケールメリットに期待し、単一の製品ながらも比較的低廉な価格での設置を促進するものでございます。この事業実施に当たりましては、当初の予定を変更し、県内を二つのブロックに分け、それぞれにおいて、県内事業者1社が販売施工を行うこととしております。
 一方、今回予算案を提出しております「既存住宅エネルギー自立化補助金」は、地元の事業者が販売・施工を担い、多様な製品の中から選択が可能となるものでございます。住宅のエネルギー自立に着目し、蓄電池を設置する場合に費用の一部を補助するものでございます。  県民の皆様には、それぞれの特徴を踏まえて事業をお選びいただくことで、屋根ソーラーによる再エネの導入を加速化し、ひいてはエネルギー面での強靱化、地域内経済循環などにつなげてまいりたいと考えております。
 なお、現在約6割の市町村で住宅用太陽光発電設備等への補助制度を設けており、今月、各市町村に対し両事業について御説明を申し上げるとともに、補助制度の併用の可否について検討をお願いしているところでございます。
 以上でございます。

【両角友成議員】

 最後に知事に伺います。知事は今月8日の記者会見で、ゼロカーボン戦略に関連して、達成が簡単ではない目標だが、将来世代に豊かな地球を引き渡す上では、是が非でも達成することが必要だと述べていますが、昨今の地球温暖化が生み出す異常気象に対して、若者が、私たちの未来を奪わないでと訴えています。この思いにどう応えるのか。どんな営みができるのか。知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 再生可能エネルギー普及促進に関連して、若者たちの「私たちの未来を奪わないで」という訴えにどう答えるのかという御質問をいただきました。
 地球温暖化、気候変動の問題は、まさに公正さの問題であると思っています。世代間の公正、そして地域間、いわゆる先進国ほど温室効果ガスを大きく排出しているわけでありますので、そういう意味では世界各国あるいは地域同士の公正さの問題でもあるというふうに思っています。そういうことを考えますと、今を生きる私たちが将来世代に対してどう責任を果たしていくのかという問題であるというふうに思ってます。
 私もこの間中学生、高校生、あるいは大学生とこの気候変動について意見交換をさせていただきましたけれども、非常に問題意識を強く持っている若い世代が増えてきたなと率直に感じています。そうした若い世代の思いを我々もしっかり受け止めながら、共に行動していきたいというふうに思いますし、また、まだ一部の動きにとどまっている部分もありますけれども、そうした若い世代の活動や行動がより広く拡大していくように、我々も一緒になって励まし、取り組んでいきたいというふうに思います。
 私もいろんな取組を進めていきますけれども、非常に困難な課題もたくさんあります。しかしながら若い人たちに頑張ってと言ってもらえると、私もだいぶ力をいただけるなと思っていますので、そういう思いを共有して取り組んでいきたいと思っています。
 近くゼロカーボン実現県民会議を立ち上げていきたいと思っています。まだ仮称でありますが、若者世代も含めて多くの皆さんに協力していただき、一緒に運動として、このゼロカーボンの実現へ取り組んでいきたいというふうに考えています。
 若い人たちの思いを我々もしっかり受け止め、そして若い人たちと一緒に行動して、このゼロカーボン社会の実現を目指していきたいというふうに考えています。
 以上です。

【両角友成議員】

 知事から答弁がありました。
 どう責任を、若者と思いを共有したい、運動化するんだ、より広くといろんなことが言われましたが、知事の思いが若者に通じ、そして一緒に行動ができるようになればいいのかなと私も思います。
 デジタル社会のことを取り上げました。デジタル社会においての最大の弱点は、災害などで電源が確保できずに業務ができなくなるおそれです。この間の災害では、電源の喪失、情報通信機能麻痺、サーバーの水没などが発生しています。
 災害時、地域の電源確保に有効なのが地域連携水力発電マイクログリッド構想だと思います。発電所立地市町村において、一つ以上の水力発電所を自立運転との方向を県はお持ちですが、早期の実用化を望むものです。
 再生可能エネルギーが環境を守り、新たな産業、雇用の場の創出になる、このことを確認させていただき、質問といたします。ありがとうございました。

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