日本共産党長野県会議員団

控室/長野県長野市南長野幅下692-2長野県議会
直通TEL/026-237-6266  FAX/026-237-6322

議会質問

2021年9月定例会 毛利栄子議員一般質問

    1. 8月前線豪雨災害について
    2. 国道20号諏訪バイパスについて
    3. 新型コロナウイルス感染症対策について

1. 8月前線豪雨災害について

【毛利栄子議員】

 8月の豪雨災害につきまして、建設部長並びに危機管理部長に伺います。

 8月の前線豪雨並びに9月5日の大雨による災害で亡くなられた方々に心からお悔やみ申し上げますとともに、被災された全ての皆さんにお見舞い申し上げます。また、対応された行政関係者、消防団、建設業者、地域の方々やボランティアの皆さんに感謝申し上げます。

 8月前線豪雨はとりわけ諏訪、上伊那、木曽地域で甚大な被害をもたらしました。9月5日には茅野市高部の下馬沢川で土石流災害が発生し大規模な被害が起こっています。わずか1か月の間にこのような大災害が同じ諏訪地域で起こることはかつてなかったことであり、気候危機のすさまじさを感じています。

 8月13日から15日までの岡谷市の総雨量は350 mm。特に8月14日は深夜3時から4時の時間雨量が44 mmとなり、早朝5時29分、川岸駅前の渓流、中大久保沢で土石流が発生し、母子3人が亡くなるという大変痛ましい事故となりました。

 現場は土石流警戒区域に指定はされていたものの、普段は水も流れていない小さな沢での出来事であり、近隣住民の皆さんは「まさかこんなところで土石流が起こるとは思わなかった。早朝、ドーンと大きな音がしたのでびっくりして飛び起きてみたら、向かいの家に土砂が流れ込んでいた」と、突然の出来事に驚いています。

 既に諏訪建設事務所に対応いただき応急復旧はされていますが、依然として避難指示は発令されたままです。土石流の原因と、隣の大久保沢を含め今後の本格復旧の見通しについて、建設部長に伺います。

【建設部長】

 岡谷市中大保、大久保の対策に関するお尋ねでございます。今回の土石流の原因ですが、当該地域は火山に起因する脆弱な地質で構成されており、そこに近隣の雨量観測所で最大時間雨量29ミリ、最大日雨量158ミリを観測する降雨があったため、山腹で表層崩壊が発生、流下し土石流となったものと考えております。

 復旧につきましては2渓流で9月26日までに仮設のかご堰堤の設置が完了しており、今後、砂防堰堤を新たに設置する予定としております。地域の皆様が安心して暮らせるよう1日も早い工事の完了に取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 今回の土石流は平成18年、湊及び橋原の死者8人を出した同じ西山地域で起きており、小田井沢川や本沢川も同じように今回も荒れており、当時設置していただいた砂防堰堤は山腹崩壊による流木と土砂で完全に埋まっていて、もしこの堰堤がなければ再び惨事に巻き込まれたのではないかとぞっとする状況であります。

 危険な渓流や沢は数え切れないほどありますが、岡谷市では平成18年の災害前はたった4基だった砂防堰堤でしたが、災害復旧や下流域に保全施設がある地域を優先的に対策し、現在は40基の砂防堰堤があるそうです。これから台風シーズンにもなり、地域の皆さんは安全に過ごせるか心配し、堆積土砂の撤去を切望しています。優先順位を考えながら、堰堤にたまった土砂の浚渫をしていただいて機能回復を図っていただきたいが、いかがでしょうか。

 また、県下にたくさんある堰堤も同じような状況かと思いますが、点検体制と適切な浚渫が必要だと思いますが、対応について伺います。

【建設部長】

 砂防堰堤の点検体制、堆積土砂の浚渫等の対応に関するお尋ねでございます。まずは、一般的な砂防堰堤の機能や管理についてでございますが、砂防堰堤は満砂した状態で機能がなくなるものではなく、満砂している状態でも上流側の山裾を安定させる機能や渓流の勾配を緩くするとともに河床が広がることにより土石流等を止める機能がございます。

 岡谷市に設置されている砂防堰堤40基につきましては、8月の大雨後も緊急施設点検を実施しており、土砂や流木を捕捉するとともに、上流に不安定土砂を確認した7基の砂防堰堤については、その機能を確保するために緊急的に堆積した土砂や流木を撤去しているところでございます。

 砂防堰堤の点検につきましては、岡谷市も含め県内全ての砂防堰堤について定期的に実施しており、砂防堰堤の土砂の堆積状況を確認し、山腹やその地質の状況を踏まえた上で緊急性や保全対象の重要性の観点から、対策が必要な施設については順次、土砂の撤去を行っております。今後とも、既設砂防施設が十分な効果を発揮できるよう、適切な管理に努めてまいります。

【毛利栄子議員】

 大きく陥没し通行止めが続いている国道142号について伺います。ここも大久保川に大量の水が流れ込み、横断する道路下部を洗掘して土砂が大量に流れ、周辺の約40軒に避難指示が出されました。道路には直径30センチの水道管や下水道管が通っており、かろうじて破損しなかったことが不幸中の幸いだったと町長も語っています。

現在は不安定な土砂を取り除き、ブルーシートがかけられたままになっていますが、道路陥没の原因と復旧の見通しについて伺います。近隣住民の皆さんのお話では、この川は平成18年の豪雨災害のときにも氾濫し、また今度も同じように荒れた。「繰り返さないように抜本的な対策を取ってほしい」と口々に言っておられます。道路の復旧とともに、雨が降れば安心して寝られないという大久保川上流部の抜本的な治水対策を住民の皆さんの意見などもよく聞きながら図っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【建設部長】

 国道142号道路陥没の原因と復旧の見通し及び大久保川の治水対策についてのお尋ねでございます。道路陥没は、連続369mmを観測する大雨となったことから、道路を横断する水路への土砂流入や増水によりせき上げられた水が道路の盛土内に浸透するとともに、水路が部分的に崩壊し、道路の盛土が吸い出されたことが原因と考えられます。

 現在、上下水道など工事に支障となる占用物件の移設準備を進めており、移設後は直ちに復旧工事に着手して、御柱祭が開催される4月上旬を目標に、部分的にでも通行できるように復旧に努めてまいります。

 一方、大久保川の上流を調査した結果、大きな崩壊や上流からの顕著な土砂流出は認められませんが、復旧工事に当たっては、道路の直上流に土砂どめ工を設置し、横断水路の土砂流入の軽減を図ってまいります。また、下諏訪町では増水対策として下流の水路の拡幅改良を行う予定と聞いており、町とも連携し住民の意見を聞きながらこれらの対策を速やかに実施してまいります。

【毛利栄子議員】

 今回、県下の被災された皆さんに対し、国の生活再建支援法の対象にならない方々に対して、信州被災者生活再建支援事業で救済するための補正予算が盛られていることは歓迎します。しかし被災地を回って要望いただいたことは、住宅は損壊しなかったが、土砂が敷地内に入り込むことによって、エアコンの室外機や給湯器などが使えなくなったが、買替えには費用がかさむため、支援はあるかということでした。これらに関する公的支援はあるのでしょうか。見舞金や民間の保険だけでは救済されない場合もあり、今後何らかの支援策を検討する必要があると思いますが、危機管理部長の見解を伺います。

【危機管理部長】

 お答えをいたします。家財被害があった世帯に対する公的支援の検討についてでございます。自然災害により、その住居する住宅に著しい被害を負った世帯に対しては国の被災者生活再建支援法、これの対象とならない世帯には信州被災者生活再建支援制度により支援を行っているところでございます。

 さらに、両制度の支給対象とならない世帯に対しては災害見舞金交付基準に基づき見舞金を支給することとしておりますが、支給には床上浸水等の住家被害が条件となっているところでございます。このため、住家被害がない場合は支給の要件を満たさず、県の支援金や見舞金制度の対象とすることは難しい状況でございます。

 風水害、土砂災害や地震などの災害に対しては様々な保険や共済がございます。それらに加入するという事前の備えを推奨しておりまして、保険制度の充実も期待されるところでございます。県では、信州地震等の災害保険共済加入促進協議会において、地震等災害リスクや保険、共済加入をはじめとした災害の備えについて普及啓発などを行っており、引き続き関係団体と連携し災害発生後の県民の迅速な生活再建に寄与してまいりたいと考えております。

【毛利栄子議員】

 土砂災害や洪水の危険性に対し、生命や財産を守るためにはハード面の対策とともにソフト面での対策の重要性を改めて認識しているところです。各地で防災ガイドやハザードマップなどは作られています。いったんは全戸に配っていても、なかなか日常的に自分たちの住んでいる地域はどんな状況にあるのか、自覚することは少ないと思われます。

 犠牲者を1人も出さなかった茅野市高部の住民の取組は、今後は大いに教訓としなければならないと思いますが、土砂災害警戒区域、土砂災害特別警戒区域、浸水区域など、ハザードマップの住民への啓発や周知、防災や減災への備えについて伺います。

【危機管理部長】

 ハザードマップの住民への啓発、周知や防災・減災の備えについてでございます。県民の皆様が自らの命は自らが守る意識を持ち、自らの判断で防災行動をとっていただくためには身の回りの災害リスクを知ることが重要です。

 そのため県では、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域、沿線に集落等がある中小河川の浸水想定区域などを指定し、これらのデータを市町村へ提供し、市町村はハザードマップを作成して住民への周知に努めています。県では県政出前講座によるハザードマップを活用した研修を行うとともに、インターネットで確認できます国の「重ねるハザードマップ」で閲覧できるようにするため、国に対して資料提供を行っております。また、長野県防災情報ツイッターや、さらに10月からは信州防災アプリを運用を開始することから、これらを活用しハザードマップの利用活用の普及に努めてまいります。

 今後も県民一人ひとりが身近な災害リスクを知ることができ、防災や減災への備えができるよう、市町村と連携してハザードマップの周知に取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 避難所の環境改善について伺います。被災された方々は学校体育館や公民館、地域コミュニティー施設、提携する旅館などに避難されておりました。不安を抱えながらの避難生活、簡易テントなどが入りプライバシーは守られたものの、冷たい床にシート1枚毛布1枚ではつらい。食事も弁当やインスタントなので温かいものが食べたい、中には弁当は自分で買って食べている、毛布も自分で持ってきたという声もありました。

 TKB(トイレ・食事・ベッド)を中心に、避難所の環境改善のため県では避難所運営マニュアル策定指針を示し、市町村と取組を進めています。しかし、まだまだ県下を見ても地域ごとにアンバランスがあり、避難所の環境改善の取組には課題があると痛感しています。いっそう市町村と認識を共有して、避難所の環境改善を進めていただくこと、簡易テントや段ボールベッドなど備蓄に対する支援、さらには高齢者等避難が出ていても要配慮者は体育館等には避難できないとの声も聞かれます。要配慮者への避難の在り方についても伺います。

【危機管理部長】

 避難所の環境改善と備蓄に対する支援についてでございます。県では、避難所の良好な生活環境の確保のため、避難所運営マニュアル策定指針を作成するとともに、避難所のTKB、トイレ・キッチン・ベッドの環境の向上に向け、段ボールベッド等の設置に関するウェブ研修会を開催するなど、市町村支援に取り組んでおります。

 また備蓄については、県は市町村を補完する立場として生活を仕切るパーティション、間仕切りや段ボールベッド等、必要な物資の備蓄を行っており、引き続き市町村と連携して避難所の環境改善に取り組んでまいります。

 要支援者の避難の在り方についてでございます。県では、地域防災計画の基本理念の一つとして、高齢者、障がい者、乳幼児など要配慮者への配慮を掲げており、こうした考えを基本に防災対策を進めています。災害発生時、地域に住む要配慮者が安全に避難するためには、様々な主体や関係者の方が協力し対応することが必要でございます。

 そのため県では、避難所運営マニュアル策定指針の中で、要配慮者へ配慮した避難所運営を示すとともに、災害時住民支えあいマップの作成、さらには個別避難計画の策定促進を通じ誰もが安心安全に暮らせる社会づくりを目指しています。引き続き災害時の要配慮者の避難が円滑に進むよう、関係部局と連携しながら、市町村関係機関とともに取り組んでまいります。

 以上でございます。

【毛利栄子議員】

 ネットになじまない方々もたくさんいらっしゃるわけで、分かりやすい情報発信が重要だと思いますし、人々が声を掛け合うということも大事だということも指摘させていただきたいと思います。

 100年に一度どころか、19号台風、去年の7月豪雨、今年の災害と、毎年のように大規模災害が起こり、その大きな原因に気候変動が挙げられています。災害への備えや復旧復興とともに、気候危機に対する本気の取組は待ったなしです。長野県は2030年までに10年比で二酸化炭素を60%削減する意欲的な目標を掲げています。その達成のために覚悟を持って、共に県民運動を盛り上げることを呼びかけたいと思います。

2. 国道20号諏訪バイパスについて

【毛利栄子議員】

 国道20号の諏訪バイパスについて建設部長に伺います。半世紀前にいったん頓挫した国道20号の諏訪バイパスですが、平成28年11月に山側ルート案が示されて以降、環境アセスが都市計画変更手続きと併行して進められています。

 準備書への住民意見は261通提出され、関心の高さがうかがえます。具体的な中身が明らかになるに連れて、バイパスの姿が住民の中で不安の声として挙げられております。

 県の技術委員会でも議論が重ねられていますが、幾つかの点について部長に伺います。諏訪バイパスは8割方トンネル掘削する計画ですが、温泉、湧水、水源や諏方5蔵、植生など環境面への影響はないかとの不安が広がっています。下諏訪町の6月議会では、下諏訪温泉旅館組合、慈雲寺、諏訪大社が、町民の意見を反映し自然環境を維持するよう求める陳情を提出し全会一致採択されています。町長も議会で住民の声を聞き、不安や疑問を解消した上で進めることが大切と答弁されています。住民からの不安や疑問にどのように対応されていくのか、ご所見をお聞かせください。

【建設部長】

 国道20号諏訪バイパスに関係してご質問いただきました。

 初めに住民の方の不安や疑問への対応に関するお尋ねでございます。国道20号は慢性的な交通渋滞や、8月の豪雨でもございましたが、冠水による通行止めが過去に幾度となく発生するなど多くの課題がございます。諏訪バイパスは、これらの課題を解決する様々な機能を備えた道路であり、早期整備について諏訪地域の市町村や商工団体などから強い要望をいただいているところでございます。

 現在、県では法律により事業者である国に代わり、環境影響評価と都市計画変更の手続きを併せて進めております。これまでの手続きの中で地域住民の方などから、温泉源泉や湧水、地下水への影響など、多くの不安や疑問をいただいております。長野県環境影響評価技術委員会において、これらの内容についても各分野の専門家により審議が進められています。

 県としましては、国に対してその審議の内容を踏まえた環境影響評価に基づく環境保全対策の確実な実施を求めるとともに、国とともに住民へのより丁寧な説明を行ってまいります。また、地域にお住まいの方からのご意見、ご要望につきましては、引き続き諏訪市、下諏訪町とともに真摯に対応してまいりたいと考えております。

【毛利栄子議員】

 事業地一帯を長年研究対象としてきた信州大学名誉教授の小坂共栄先生から、知事や技術委員会に要望書が提出されています。ここでは調査が著しく不十分で、トンネル掘削する地域が、過去に長地トンネル、湖北トンネル、塩嶺トンネルと大規模な出水事故や陥没事故があったことに触れ、不十分な水質データによって掘削による温泉源泉への影響は軽微であると結論付けていることに対して、根拠薄弱だと指摘。また準備書では地質に関する調査がたった2日間だけであり、ほぼ文献調査で済ませているのは論外だと厳しく指摘しています。トンネル掘削による環境影響評価を実施するためには、地質学的な調査とともに水理地質学的な調査を長期間にわたって実施観測することが必要だと述べています。

 温泉や酒造りに影響が出て観光や経済活動にダメージが生じたり、また陥没事故などが起こり近隣に土砂などが入って被害が出てからでは取り返しがつきません。専門家の指摘にどう応えていくのか。県の姿勢も問われます。見解を伺います。

【建設部長】

 専門家の指摘にどう応えていくのかとのお尋ねでございます。議員からご質問のありました専門家からのご指摘につきましては、先月、知事宛てにも要望という形でご意見をいただいており、内容については国へもお伝えをしたところでございます。

 国からは、事業の実施に当たり周辺で施工したトンネルの対策も参考にしつつ、より詳細に地下水の状況など調査を行い、その結果を設計や施工方法に反映することでトンネル掘削に伴う環境への影響をより一層低減していくと聞いております。県としましては、国に対して環境保全対策の確実な実施を求めてまいります。

【毛利栄子議員】

 今回の豪雨による土石流災害を見ても、中央構造線と糸魚川静岡構造線が交わる地域の断層に沿って計画がされていることに、安全性は大丈夫かとの声も聞かれます。特に明かり部になっている下諏訪町高木の大沢川や津島公園一帯は土砂災害警戒区域になっており、8月の豪雨で大規模な土砂崩落が起きた場所でもあります。安全性についての検証をどう行うのか伺います。

【建設部長】

 安全性の確保に関するお尋ねでございます。議員ご指摘のとおり、諏訪バイパスにつきましては断層帯及び土砂災害警戒区域を一部通過する計画となっているため、環境影響評価準備書においては地形及び地質の項目の中で予測及び評価、並びに環境の保全のための措置を示しております。

 具体的には、トンネル構造での断層帯の通過をできる限り回避するとともに、土砂災害警戒区域においては地形の改変を極力少なくした計画であり、詳細な道路構造、施工方法等については事業実施段階においてこれらに十分配慮し検討することとしております。

 今後、国においては環境影響評価の手続きが終了した後、事業実施段階で道路の詳細な構造設計を行うに当たり、道路土工構造物技術基準等に基づき安全性に十分配慮した設計が実施されることとなっております。

【毛利栄子議員】

 掘削工事による建設発生土は約150万立方メートルと予測し、うち21万立方メートルを盛土材として再利用し、残りの129万立方メートルを区域外へ搬出するとされています。住民の皆さんの中でも、発生土をどこに持っていくのか、工事用車両の交通量はどのくらいなのか、アクセス道路が狭いのに安全性は担保されるのかと心配の声が上がっていますが、準備書には記載がありません。発生土の搬出先や、運搬するトラックの台数などはどうなっているのか伺います。

【建設部長】

 発生土の運搬についてのお尋ねでございます。環境影響評価準備書では、諏訪バイパスの建設に伴い約150万立方メートルの建設発生土が発生すると予測され、そのうち約14%に当たる約21万立方メートルが事業実施区域内の盛土材として再利用され、残り約129万立方メートルが事業区域外に搬出される計画となっております。

 また、建設発生土を含む工事用資材などの搬入搬出用の工事用車両については1日最大延べ台数と主な運行ルートが示されておりますが、建設発生土の搬出時期や搬出先などの詳細が明らかになった段階で国と県で地元の方々に丁寧に説明していくこととしております。今後も国と連携し、住民に寄り添った対応をしてまいります。

【毛利栄子議員】

 ご答弁ですと、事業実施段階でさらに詳細な検討していくということで、これではなかなか住民の皆さんの不安に応えるものとは思えません。諏訪バイパスを心配する皆さんは、植生や地質や水源問題など、自分たちの問題であるとともにこれからの子どもたちにとって本当に住みよい地域になるために何が大事かと真剣に学習を重ねています。この声に真摯に耳を傾けていただきたいことを重ねて求めます。

3. 新型コロナウイルス感染症対策について

【毛利栄子議員】

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について、こども若者局長及び健康福祉部長に伺います。

 年末年始を控え第6波が懸念されます。ワクチン接種が進み社会全体に免疫力が広がることが期待されますが、ワクチン接種対象外の10歳未満の陽性確認や若年者の多いのが5波デルタ株の特徴です。1日当たりの感染者数に占める10歳未満の子どもの割合は、8月平均は7. 6%でしたが、9月は保育所などで集団感染が発生し、比率が4割近い日もありました。未来ある子どもたちを感染から守らなければなりません。

 保育所や児童館、児童センター、学童クラブなど密にならざるを得ない環境下で、子どもたちを感染から守るための取組をどのように実施しているのか伺います。

【こども若者局長】

 ご質問をいただきました。

 保育者等における感染防止の取組についてでございます。未就学児や多くの小学生はワクチン接種の対象となっておらず、保育所、放課後児童クラブ等における感染防止対策は極めて重要と認識しております。県におきましては、保育所等に対して感染予防の専門家による研修会の開催、保育専門相談員の巡回指導、感染防止の好事例の共有、感染事例に基づく注意喚起などを実施し施設における対策の徹底をお願いしているところでございます。

 また、未就学児や小学生の感染は家庭内感染によるものが多く、子どもを感染から守り、施設へウイルスを持ち込まないようにするためには、保護者の理解と協力が不可欠です。このため、県は保護者に対し、子どもと家族の体調を毎日確認することや、風邪症状がある場合はかかりつけ医等に相談した上で登園や利用するか否かを判断いただくことなど、家庭における留意点を文書としてお配りし協力をお願いしているところでございます。

【毛利栄子議員】

 国で児童福祉施設に簡易検査キットを配るとされていますが、その事業内容と必要数が配られているのか伺います。

【こども若者局長】

 児童福祉施設における簡易検査キットの配布についてでございます。国が保育所等に配布する簡易検査キットは、施設職員が出勤後に体調悪化を自覚した場合にあらかじめ検査に関する研修を受講した職員の管理下で検体を自己採取し検査するためのものでございます。既に市町村を通じて各保育所等に希望の有無や必要数量を照会し、その結果を国に報告しております。順次、国から施設に直接配布が始まっており、必要数が配布されるものと認識しております。

 今後も子どもたちを感染から守るため、引き続き施設や保護者の理解を得つつ感染対策に取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 保育所に配るだけではなく、園を通じて家庭にキットを配布し、子どもの場合、家庭内感染が主なので、不安があればまず自主検査を迅速にやっていただき、早期発見に努めていただきたいがいかがでしょうか。

【健康福祉部長】

 新型コロナウイルス感染症対策につきまして、質問を頂戴をいたしました。

 家庭へのキット配布についてでございます。本県では、PCR検査等実施方針に基づきまして症状のある方や濃厚接触者に限らず幅広く検査を行っているほか、感染拡大地域において集中的な検査をするなど、積極的に行政検査を実施してまいりました。さらにこれに加えて、今般、抗原簡易キットを活用した陽性者の早期発見事業を実施することとしたところでございます。

 この事業は、市町村と連携をいたしまして、まさにご指摘のとおり一般家庭を含めた希望者にあらかじめ抗原簡易キット配布することで、少しでも体調が悪い場合にはご家庭等で気軽に検査をしていただき、早期発見につなげたいというなどを目的にしているものでございます。今後とも必要な検査を幅広く迅速に実施をいたしまして、感染拡大防止に努めてまいりたいと考えております。

【毛利栄子議員】

 抗体カクテル療法の実施体制が整えられつつあることは歓迎しますが、あまり経験したことのない治療法のために医療機関に戸惑いもあり研修の要望もあります。県内30の医療機関で実施できる体制を整えているとのことですが、保健所などが主導して研修の機会を設けるなど丁寧な取組を進めていただきたいが、いかがですか。

【健康福祉部長】

 抗体カクテル療法に関する研修等の機会についてお尋ねをいただきました。抗体カクテル療法に使用される中和抗体薬は、緊急の使用が必要な医薬品として本年7月に特例承認をされた新薬でございます。こうした新型コロナウイルス感染症の新たな治療法等につきましては、医療機関を対象とした検討会をオンライン等で県が随時実施をいたしまして、治療に関する情報の共有、提供を行ってまいりました。

 厚生労働省や製薬会社から薬に関する情報が随時発信をされておりますので、県が主催する検討会で抗体カクテル療法含む治療に関して医療機関と情報共有をするとともに、保健所等を通じて引き続き情報提供に努めてまいります。

【毛利栄子議員】

 これから冬に向かい、コロナとともに風邪や季節性インフルエンザに対する対応など、発熱外来の利用がいっそう増加してくると見込まれます。昨年度は、発熱患者等診療体制確保事業が実施され、検査に対する補助などがありましたが、今年度は予定されておりません。RSウイルスの流行もあり、発熱によって医療機関を受診する小児も増加してきていますが、このままでは医療機関の持ち出しとなり経営の圧迫が懸念されます。

 長引くコロナ対応で医療関係者は疲弊しており、使命感だけではやっていけないと悲鳴が上がっています。第6波を見据え、初期対応として重要な事業なので、せめて昨年同様実施できるよう県としての財政支援を求めますが、いかがですか。

【健康福祉部長】

 発熱患者等診療体制確保事業の実施についてのお尋ねをいただきました。この事業につきましては、昨年度、季節性インフルエンザの流行による新型コロナウイルスの検査事業に対応するため、自院で検査できる診療検査医療機関や地域の診療検査体制整備等に協力する郡市医師会に給付金を支給し、検体採取体制の整備へのご協力をいただく目的で実施をしたものでございます。医療機関等関係者のご理解とご協力によりまして、現在、県内の診療検査医療機関は589を数えるなど、現時点においては季節性インフルエンザの流行時の需要に備えた体制が整っているものと認識をしております。

 なお、診療検査医療機関への支援につきましては、インフルエンザ流行に備えた体制整備に関する国の動向を注視するとともに、検査体制の維持等のためあらゆる機会を捉えて国に要望してまいります。以上でございます。

【毛利栄子議員】

 県が、市町村と共同して実施していただく検査キットの配布については、レベル5以上ということで、小さい子どもたちはしばしば発熱をするわけでして、マスクも着けられず、保護者や保育所等、密も避けられない環境下で神経を使って保育していただいているので、無償の検査キットの配布は未然防止のためにもぜひ必要だ、拡散防止のためにもぜひ必要だということを重ねて申し上げ、質問を終わります。

議会質問を検索