日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2021年11月定例会 毛利栄子議員一般質問

    1. 生活困窮者への光熱費補助について
    2. リニア中央新幹線工事について
    3. 特別支援学校の環境改善について

1. 生活困窮者への光熱費補助について

【毛利栄子議員】

 世界的な原油の高騰により、日本でもガソリン、灯油の値上がりや食料品などにも影響が出ています。本格的な冬を目前にして灯油の値上がりは切実で、資源エネルギー庁の発表によりますと、長野県の配達価格は昨年同時期の3割もアップしています。

 「節約のために日中はなるべく灯油をたかないで我慢している」「お風呂は1週間に1回にして節約している」「コロナになって家にいることが多くなっているのに暖房もできないのはつらい」「認知症の連れ合いが夜中に何回も起きるので一晩中暖房しているが、もうそれも限界」など、切実な声が寄せられています。

 要援護世帯に温かな正月をと、県内でも長野市をはじめ、福祉灯油を実施する自治体が広がりつつあります。党県議団も県内の実施状況の把握に努めておりますが、県下の福祉灯油の実施状況はどのようになっているのか伺います。

【福田健康福祉部長】

 私には、生活困窮者への光熱費補助、いわゆる福祉灯油についてのご質問をいただきました。

 県内の実施状況でございます。

 生活困窮者等に対して冬季の灯油代を助成する、いわゆる福祉灯油でございますが、今年度の実施状況につきまして市町村に確認をいたしましたところ、11月29日時点で灯油以外にも使用可能な商品券の支給等含めまして、27市町村が実施を予定しているところでございます。

【毛利栄子議員】

 国では実施自治体に対し、特別交付税で措置するとの方向を示しました。そこで、なかなか実施に踏み出せないでいる自治体を後押しするためにも、県として、住民税非課税の高齢者、障がい者、ひとり親世帯、生活保護世帯などの生活困窮世帯に対し、光熱費の補助を実施する自治体に半額を負担するなど、積極的な支援策を講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【福田健康福祉部長】

 福祉灯油を実施する市町村へ支援策を講じてはどうかと、こういう御質問でございます。ただいまのご質問の中でもございましたけれども、今般の国の経済対策におきまして、地方公共団体が生活困窮者に対する灯油購入費の助成を行う場合、特別交付税措置が講じられることが盛り込まれたところでございます。

 市町村において支援の必要性をご判断いただくことになりますけれども、実施される場合は今回の特別交付税措置を活用することができるため、実施のための後押しになるものと考えているところでございます。県といたしましては、今後示される国からのこの措置に関する情報を市町村に速やかに提供するなど対応を行ってまいります。以上でございます。

【毛利栄子議員】

 長野県には77の市町村がありまして、それぞれが自主的な取組を行っていただいていますが、財政力の乏しい町村もあるわけで、そこを県が後押しをしていただくことで、一歩踏み出せると思います。

 参考ですが、岩手県では、生活困窮者冬季特別対策事業費補助として、生活困窮世帯の経済的負担軽減のために、市町村が行う光熱費や防寒用品などの助成に補助を出すための補正予算を計上しました。1世帯当たりの補助基準額が5,000円、市町村は福祉灯油の実施に使った経費の2分の1、もしくは市町村実施の世帯数に5,000円の基準額を乗じて得た額の2分の1のいずれか低いほうとのことで、2億5,764万円を盛ったとのことです。

 ざっと計算しても、同様の支援策を長野県で実施する場合の負担額は、およそ数億円かと試算されます。今回提案されている補正予算の3〜4%で実施できるものです。とりわけ、寒さが厳しい長野県で暖かい冬を過ごすためにも、ぜひ実施を検討していただきたいと求めます。

2. リニア中央新幹線工事について

【毛利栄子議員】

 リニア中央新幹線の中津川市瀬戸トンネル工事現場で、肌落ちに巻き込まれた男性作業員2人が死傷する事故が起きました。JR東海は、原因究明のため山岳トンネル工事を実施している14工区の掘削工事を一時中断していましたが、11月1日から工事を再開いたしました。

 ところが豊丘村の伊那山地トンネル坂島工区で8日また崩落事故が起こり、作業員1人が負傷しました。この間、19年にも中央アルプストンネル山口工区の斜坑で崩落、陥没事故が起きており、今回で4度目です。

 党県議団は、国土交通委員会所属の武田良介参議院議員とともに、11月22日、飯田市のJR東海中央新幹線長野工事事務所を訪ね、職員から聞き取りを行うとともに、豊丘村神稲の事故が起きた坂島非常口の現地調査を行いました。

 事故は11月8日朝8時20分頃、本線への斜坑1,140 mの掘削工事中、200 m地点で斜杭内の切羽付近で装薬作業を行っていたところ、異常に気づいて退避中に1人の作業員が肌落ちした土砂に当たって右足を負傷したとのことです。

 JR東海の説明によりますと、国の山岳トンネル工事の切羽における肌落ち災害防止に係るガイドラインに沿って工事を行っていたものの、今回の事故になった。原因と再発防止の対策については現在究明中とのことでした。1時間程度の聞き取りでしたが、事故に対する謝罪の一言もないことに驚きました。

 さらに原因究明と対策が、JR東海と受注企業の清水建設、大日本土木工事のJVだけで行っていて、これだけ事故が続いているにもかかわらず、第三者の目が加わっていないことにも疑問を持ちました。

 そこで、リニア整備推進局長に伺います。

 JRでは、今回の事故について豊丘村と長野県に事故連絡を行ったと言っていますが、豊丘村では発生から4時間後の昼過ぎだったと言っていますし、飯田市には連絡もなかったと聞いています。長野県にはいつ頃どのような内容の連絡があったのでしょうか。また、JR側は、連絡網があっても明確なものはなかったとも言っています。

 関係自治体は様々な協力もし、工事の安全を願っているのに、事故があった場合は連絡が遅く、範囲も狭いことはいかがかと思います。県の見解と対応について、リニア整備推進局長に伺います。

【斎藤リニア整備推進局長】

 私には、リニア中央新幹線工事につきましてご質問いただきました。

 県内で発生したトンネル工事事故における連絡体制についてでございますが、今回の事故は、11月8日午前8時20分頃発生し、県に対しては、約4時間後の12時10分に事故の概況やけが人の状況等について、JR東海から連絡を受けております。

 このたびの連絡の遅れや関係市町村に連絡されなかった点に関しては、連絡すべき事故の種類や程度、連絡を行う市町村の範囲があらかじめ明確に定められていなかったことが原因と考えております。

 県では、JR東海に対し、速やかに県や関係市町村と協議し、連絡体制を見直すよう要請したところでありまして、その結果、想定される事故等、連絡すべき事象の整理、市町村の連絡範囲やその順序の明確化、さらに県や事故発生市町村等への1時間を目安とした連絡の迅速化などの改善が図られ、11月15日から運用開始されております。

 今後もJR東海には、新たに定めました連絡体制に基づき、関係市町村への速やかな情報提供を行うよう求めてまいります。以上です。

【毛利栄子議員】

 知事に伺います。

 長野県は環境アセスの中で、事業者の環境保全計画に対し様々な意見や要望を伝えてきています。今回事故のあった伊那山地トンネル新設坂島工区工事における環境保全について、事業者は重要な地形及び地盤・地盤沈下について、切土工やトンネル工の工事において、掘削の地質に応じて対策を実施するとありますし、県の意見書に対して事業者は、非常口の工事についても、掘削は湧水量や地質の状況を慎重に確認して進めるとされています。

 事故現場は花崗岩の分布地で、良質ではあると言っていますが、県議団の現地調査の中では花崗岩とともに、もろい泥質変成岩が混じっていることが確認され、そもそも地質や地下水の状況が、事業者の言い分と違う可能性があります。もしそうだとしたら、さらに詳細な先進ボーリングなどが必要になってくる場合もあります。

 環境影響評価書の保全対策は最低限のものであり、公の約束ですが、環境への影響を低減・回避することへの不履行があったことによって、今回の事故が起こったのではないかと思わざるを得ません。19日にも、豊丘村の途中壬生沢工区の斜坑で作業員の怪我があったとのことです。

 坂島工区における事故原因の調査も再発防止対策もまだできていない中で、どんどん工事を進めることは作業員を命の危険にさらすことであり、報道にもあるように、長野労働局長は、一歩間違えば大きな事故、死者が多数出る可能性があったということです。看過できません。

 原因究明と再発防止対策が明確になるまで、県内の全ての工事は中止するようJRに求めていただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。

【阿部知事】

 リニア中央新幹線に関連して、全ての工事を中止するよう求めていただきたいというご質問いただいました。

 県内の工事につきましては、10月27日、岐阜県の中津川市瀬戸トンネルの死亡事故の後は、一時中止の措置が取られ、また切羽事故の防止対策として、各工区の作業員に対するガイドライン遵守の徹底、切羽付近での作業時における安全上の留意点の周知徹底を実施した上で、11月1日に工事が再開されました。

 しかしながら、その後、11月8日に豊丘村の坂島工区において事故が発生したことから、坂島工区については、現在工事が中止と、中断しているという状況にあります。

 本県としてはこのリニア工事に関連して事故が連続して発生しているということ、極めて重大な問題だというふうに考えていますし、極めて遺憾なことだというふうに受け止めています。事業主体であるJR東海による再発防止策の徹底と、地元への丁寧な説明が不可欠というふうに考えています。

 現在県としては、まず坂島工区の事故について十分な検証と検証結果の報告や、他の工区も含めた安全対策の徹底を講じるようJR東海に求めているところであり、まとまり次第報告を受けることとなっています。

 今後工事を中断している坂島工区への対応も含めて、JR東海に対してどのような要請が必要か、報告内容を十分に精査した上で検討していきたいと考えております。以上です。

【毛利栄子議員】

 今、知事のほうから、JR東海に安全対策なども精査した上で事故の検証をし、報告を求めているということでございましたが、JRの場合、なかなか詳細な資料を提出したがらないという傾向にあります。ぜひ、どういう根拠に基づいてどういう対策を取り、どういう問題があったのかということの資料もあわせて求めていただきたいと思いますし、その資料については、ぜひ県民にも公開していただきたいと思いますのでお願いをいたします。

 今、世界中が気候危機に立ち向かうとしているときに、リニア中央新幹線は、既存の新幹線と比較して4倍もの電力を消費するといわれています。さらに、コロナ禍でテレワーク等が普及し、住まい方、働き方にも大きな変化が起きています。加えて、コロナ感染症の拡大で、交通、観光需要が減少し、交通事業者は苦境に陥っています。JR東海も収益が悪化し、建設費も当初見込みから1兆5,200億円も膨れ上がり、リニア中央新幹線の継続性が問われる事態にもなっています。

 知事には、事業の抜本的な見直しを行い、JRには中止の決断を求めていただきたい旨申し上げ、次に進みます。

3. 特別支援学校の環境改善について

【毛利栄子議員】

 特別支援学校設置基準が9月24日ようやく交付されました。設置基準は学校設置の最低限の基準で、幼稚園から大学まで全ての学校にあるのに、特別支援学校だけにはありませんでした。その結果、特別支援学校に通う子どもは20年間で1.6倍に増えたのに、学校数は新設が進まず、過大化、過密化が大きな問題になってきました。

 全国で3,000超の教室が不足し、長野県でも現場とはかけ離れた数で過小に見ていますが、44の教室が足りず、カーテンで仕切ったり、プレイルームを教室に変えたり、クールダウンの部屋の確保もなく、職員室も取れない、隙間風も寒く、トイレも洋式化になっていないなど、老朽化と相まって劣悪な環境下に置かれていました。

 設置基準には、保護者や先生方など関係者が求めていた児童生徒数や通学時間の上限規定がなく、既存校を当面対象外にするなど不十分な面はありますが、現状を変える上で貴重な第一歩となりました。文科省通知では、慢性的な教室不足が続いている特別支援学校の教育環境を改善するとの制定趣旨を明記し、また既存校についても、可能な限り速やかに設置基準を満たすこととなるよう、努めることと示されています。

 党県議団は、この間十数年にわたって特別支援学校改善の必要性を訴え続けてきましたし、県議会の中でも多くの議員から指摘がされてきました。今回、教室不足を解消するための集中取組計画の策定を3月末までに行うとされています。取組状況と、既存校に対しては設置基準を生かした対応を、一般論ではなくてどのように行っていくのか伺います。

【原山教育長】

 特別支援学校の環境改善についてのお尋ねでございます。

 特別支援学校の教室不足解消の集中取組計画と、国の設置基準を生かした対応についてというお尋ねでございます。

 この集中取組計画についてでございますけれども、県教育委員会では、昨年度末に長野県特別支援学校整備基本方針を策定し、老朽化や狭隘化する特別支援学校について、児童生徒数の将来推計、建物の建築年数や劣化状況、地域の教育環境等を踏まえまして、必要性の高い学校から個別計画を策定し、順次整備することとしたところでありますが、この基本方針は、文部科学省が求める集中取組計画としての位置づけを持つものでございます。

 国の特別支援学校設置基準では、改築等を行う際には、基準面積を満たす整備が求められたところでありますので、今後特別支援学校を整備する際には、本県の整備基本方針に基づき、必要性の高い学校から、計画的に国の設置基準の趣旨を踏まえた環境整備に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

【毛利栄子議員】

 過日、委員会で若槻養護学校を視察。若槻養護学校は昭和46年、病気や障がいで医療を受けながら学ぶ学校として、国立東長野病院に隣接して建設され、以来50年改修されないまま今日に至っています。

児童生徒数は44名、入院して東長野病院内で学ぶ生徒は7名、残り37名うち自宅から通う児童生徒が35名、病院から通う生徒が2名となっており、病院の診断を受けた後、必要性を判断して通学しています。

 校舎は狭く老朽化し、窓も鉄製で開けにくい上に随所で隙間があり、冬は寒さとの戦い。プレイルームと廊下は兼用で思い切り遊べない、インターネットは容量不足で何人も一緒にパソコンを使用できない、スクールバスも未配置で、早い子は6時にバスを乗り継いで1時間半かけて登校、給食の提供もないため持参するか弁当を取って食べているとのことで、改めて驚くことばかりであります。

 同じような状況は寿台養護学校にもありまして、保護者からも切実な訴えが届いております。小諸養護学校につきましては、新しい学校を建ててほしいとの要望が出されています。これらの現状は、すぐにでも解決しなければならないものばかりです。

 教育長は、今年の2月議会、両角議員の質問に対して「国の設置基準等の動向を注視するとともに、県が策定した特別支援学校整備計画基本方針を基に計画的な教育改善に努めてまいりたい」と答えております。国の改修補助率も3分の1から2分の1に引き上げられています。校舎の老朽化や教室不足、長時間にわたる通学など、各学校の差し迫った現状や声にどう応え、毎年度、新年度、具体的にどう着手するのか伺います。また、新たな基準に応えるためには、分校や分教室ではなく新設校が必要だと考えますが、教育長に伺います。

【原山教育長】

 特別支援学校の老朽化や教室不足、長時間通学等への対応と新学校の新設についてというお尋ねでございます。

 まず、老朽化や教室不足に対する対策は、特別支援学校整備基本方針に基づきまして、計画的な環境整備に取り組むこととしておりますが、現在、築年数や建物の劣化状況から、早急な対応が必要な松本養護学校と若槻養護学校につきまして、一昨年度から両校の検討懇談会を開催し、保護者、関係者、有識者等からもご意見をいただきながら、学びの在り方と必要な環境整備に検討を重ねてきたところであります。

できるだけ早期の環境整備に努めてまいりたいと考えております。

 長時間通学者の解消に関しましては、自立通学が難しい遠距離通学者に対しまして、令和元年度、スクールバス利用の対象者を拡大するなど運行基準の見直しを行い、ニーズに応じた運行となるよう、増車や運行ルートの改善等に取り組んできたところであります。新年度に向けましても、丁寧にニーズを把握の上、必要な対応に努めてまいりたいと考えております。

 また、新たな設置基準に応えるために新設校が必要ではないかというお尋ねでございますが、今後の児童生徒数の推移を見極めた上で、まずは先ほどお答えしたとおり、既存校の改築等を進める中で、国の設置基準を満たした整備を進める方策を検討してまいりたいというふうに考えております。

【毛利栄子議員】

 さしあたって、松本養護と若槻養護に対して計画を立てながら検討を重ねているということでございましたが、松本養護はもう長い間そういう話を聞いているような気がします。加えて、若槻養護について、さしあたって緊急ということであれば、例えば給食の提供がないという問題は早急に改善していただきたいと思いますし、インターネット環境が良くないので、ICTで教育をやるようにするというのは昨日来のご答弁ですけれども、それみんなが一緒に使えないという環境にあるわけですから、早急に改善していただきたいと思います。この点についてご答弁をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 高校再編など、自らの政策的重点で新校を作る場合には数十億円の校舎を建てるのに、これだけ要望が強いものを長年放置していることについて、私は非常に問題があると思います。障がい児を置いてきぼりする状況は一日も早く改善すべきだと求めて、さきの質問にお答えいただくことを求め、質問を終わります。

【原山教育長】

 ただいま若槻養護学校の整備に関連しまして、昼食の問題ですとか、Wi-Fi環境の問題についてご意見がございました。ただいまのご要望もしっかり検討しながら、若槻養護学校の環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

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