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議会質問

2021年11月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 加齢性難聴者への補聴器購入費補助について
  2. 知事会見のリアルタイム字幕表示について
  3. 新型コロナウイルス感染症について

1.加齢性難聴者への補聴器購入費補助について

【和田明子議員】

 加齢性難聴者への補聴器購入補助について伺います。

 ちょうど1年前のこの議会で山口県議が質問をしました。健康福祉部長は「県内には65歳以上の高齢者が約65万人おり、社会保障分野の新たな制度をつくる際には、県民の幅広い理解や財源を含めた持続可能性の検討も必要と考える。認知症予防の補聴器の効果を検証する研究成果や、これを踏まえました国の動向につきましても注目される。補聴器購入への助成制度を独自に設けることについては慎重に考えざるを得ないものと認識している」と答弁され、大変がっかりいたしまして、その後も大変要望が多く寄せられているところでございます。

 難聴者の人口は、一般社団法人補聴器工業会の推計では全国で1,430万人といわれております。そして高齢化率を考慮すると、さらにそれを上回る2,000万人に及ぶのではないかということもいわれております。長野県の65歳以上の高齢者が65万人を超えており、70歳以上の高齢者のおよそ半数は加齢性難聴と推定されることから、推計いたしますと、長野県では少なくとも数万人から多ければ30万人の難聴者がいることになります。県はその実態をどのようにつかんでいるのか伺います。

 難聴者が早い段階で気づくという点で、特定健診に聴力検査を加えることが望ましいと考えておりますがいかがでしょうか。難聴に早期に気づくために県民に聴力検査の必要性など、機会を捉えて知らせていただきたいと思いますが、いかがか伺います。

【福田健康福祉部長】

 私には加齢性難聴者への補聴器購入費補助等に関しましてご質問を頂戴しております。

 まず、加齢性難聴の実態等についてのご質問でございます。

 国立長寿医療研究センターの調査による推計によりますと、全国70歳以上の方のうち、日本聴覚医学会の基準に基づく25デシベル以上の音でないと聞き取れない難聴のある方は6割を超えるとされております。令和元年度に県が実施した高齢者生活介護に関する実態調査では、外出を控えている方にその理由を尋ねたところ、聞こえに問題があることを理由とした方は、要支援・要介護認定者で14.7%、それ以外の元気な高齢者でも13. 3%いらっしゃいました。こうしたことからも、加齢性難聴者は多数いるものと推測をしております。

 特定健診につきましては、生活習慣病対策を充実・強化することを目的に、保健指導が必要な方を的確に抽出することを主眼として、身体計測や血液検査など特定の項目に限定して実施することが省令で定められておりまして、現状では聴力検査を加えることはできません。

 しかしながら、加齢に伴う聴力の衰えは他者とのコミュニケーションが取りづらくなり、社会参加しようとする意欲を低下させかねないことから、本人あるいは家族など周囲の方が早期に気づき、適切な対応につなげるためにも、聴力検査の受診勧奨を含めて、加齢性難聴に関する必要な認識を持っていただけるよう啓発を図ってまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 年齢とともに聴力が低下する、いわゆる加齢性難聴は、日常的な会話を困難にし、生活の質を落とす大きな原因といわれています。また、コミュニケーションの機会が減ることにより脳機能が低下し、認知症発症のリスクが高まることや、社会的に孤立し、うつ状態に陥ることもあることが指摘されております。

加齢性難聴者の聞こえの改善のためには補聴器の使用が欠かせませんが、補聴器は高額の上に健康保険等が適用されないため、特に低所得の高齢者にとって購入にかかる費用負担は切実です。

 木曽町では、高齢者の生活支援及び社会参加の促進を図ることを目的とすると、補聴器購入の補助を2015年から実施しています。さらに県内において、補聴器購入に対する補助を実施する自治体が広がりつつあります。高齢化率の高い長野県において加齢性難聴者への補助は、特定の一部への支援ではなく、長野県にとって必要な施策と考えるがいかがか。健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 補聴器購入に対する補助事業についてでございます。

 身体障がいの認定基準では、一定の基準以上の高度難聴、重度難聴の方を、障がい福祉サービスの対象として補聴器の購入費用に対する公費負担の制度がございます。その基準に満たない高齢者に対して独自に助成制度を設けている市町村があることも承知をしております。

 現時点では全国的にも少数にとどまっておりますけれども、また、本年4月1日現在で、先ほどご質問の中にもございました県内には65歳以上の高齢者が約65万人と多数いらっしゃる状況でございます。県独自である制度を設けることにつきましては財源の問題がございまして、現時点では持続可能な制度を創設することは非常に難しいというふうに考えております。

 一方で、加齢性難聴は認知症の危険因子であるとの可能性も指摘をされており、国立長寿医療研究センターにおいて、補聴器による認知機能低下予防の効果を検証する研究が進められております。例えば、こうした研究で一定のエビデンスが実証されれば、公費による負担についても理解を得られやすくなると考えております。この場合、国で当然制度化することが必要というふうに考えておりますけれども、いずれにしましても、こうした動向については注視をしてまいりたいと考えております。以上でございます。

2.知事会見のリアルタイム字幕表示について

【和田明子議員】

 知事会見のリアルタイム字幕表示について伺います。

 県として様々な情報提供を行う場合、より多く、より正確に伝えることが求められていると思います。

既に知事会見では、手話通訳により、聴覚障がいの方々にも情報を伝える努力がされております。しかし、加齢性難聴や、病気・事故などにより聴力が失われた方々は、手話では情報を十分に理解することができません。そういった方々への情報を伝える方法として、リアルタイムで字幕表示をすることで、より多くの方々に正確に情報を伝えることができると思います。

 今のところ、これは行われておりませんけれども、その理由は何なのか、字幕表示ができないかお聞きします。

【伊藤企画振興部長】

 知事会見のリアルタイム字幕表示についてお尋ねです。

 まず、リアルタイムでの字幕表示が行われていない理由ということですけれども、リアルタイム字幕表示には、要約筆記による方法と、それからご紹介にもありましたように音声認識アプリUDトークを用いて起こした文字データを手作業で修正する方法、この二つが考えられます。しかしながら、これに当たりましては要約筆記者等の人員を十分に確保すること、それから、きちんとした資料を事前に提供すること、こういったことも、知事が会見で伝えるだけというだけの会見だったらいいんですけれども、記者との応対、記者とのやりとりというのはありますので、なかなか対応が難しい状況でありますし、またさらには、もちろんこれに向けて我々の仕事の仕方の見直しも必要であると考えておりまして、導入には至っておりません。

 現在のパブリックコメントを行っております長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)骨子案におきましても、県は障がい特性に応じた意思疎通の手段を利用して情報発信するよう努めるというふうに掲げておりますので、今後、障がい者団体等のご意見も伺いながら、よりよい県政情報の発信の方法について検討してまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 音声認識アプリ・UDトーク、ユニバーサルデザインを支援するためのアプリとして、聴覚に障がいのある方のコミュニケーションを支えることのほかに、外国語への自動翻訳などができ、既に様々に利用が進んでいます。この音声認識アプリで、多言語翻訳を活用して字幕配信することによって、県内在住の外国人の方々にも知事会見等の情報を伝えることができると思いますが、いかがか、企画振興部長に伺います。

【伊藤企画振興部長】

 多言語での字幕配信ということですけれども、現在の県の公式ホームページにおきましては、外国語自動翻訳機能を導入して9言語でご覧いただけるようにしておりますし、また同様に、新型コロナウイルスに関する情報は、長野県多文化共生相談センターのホームページで、17の言語により対応しておりますし、また防災に関する情報は、長野県防災情報ポータルで7つの言語というように、多言語でのこの県政情報発信には努めているところです。

 一方、字幕配信となりますとなかなか容易ではありません。UDトークの多言語翻訳サービスは、日本語として音声を認識したものを他の言語に自動翻訳する仕組みです。例えば、専門用語が正しく認識されないですとか、マイクを使っている、使ってないとか、声質とか話し方などに左右されまして、日本語としての音声認識の精度が必ずしも完全ではありませんので、それを基に他の言語に翻訳したものはさらに精度が低下するという恐れがあります。

 県が発信する情報は即時性も大事ですけれども、まずは、正しく伝えるということが大前提であると考えておりますので、今後の技術進歩、精度の向上を期待することとしておりまして、現段階で導入は考えておりません。以上です。

【和田明子議員】

 ただいまご答弁いただきましたけれども、UDトークを利用することは大変便利になってきておりまして、かなり精度も高くなってきております。参考ですけれども、東京都ではもう既に昨年12月から知事会見でUDトークを使って字幕配信を行っておりますので、参考にしていただければと思います。

3.新型コロナウイルス感染症について

【和田明子議員】

 それでは、次に新型コロナウイルス感染症について伺ってまいります。

 第5波では変異株の猛威もあり、感染が急激に拡大いたしました。医療関係者、保健所をはじめ、ご尽力された皆様に感謝申し上げるところでございます。新たにオミクロンという変異株について報じられ始めました。引き続き、ワクチン、検査、医療など新型コロナウイルス感染症対策をお願いするところです。

 第5波の感染拡大で確保した病床は529床と、宿泊療養施設は806室、1,335人分です。8月19日に過去最多の158人の新規陽性者が確認され、県内の全療養者が最高になったのは8月27日の1,107人でした。8月27日は入院は241人で占める割合は21%、宿泊療養は251人で23%、自宅療養者は370人で34%、その他に調整中が245人ということでございます。

 第5波の振り返りで、宿泊療養・自宅療養の健康観察を行い、症状が悪化した場合には入院調整をしたということでありますけれども、第5波において入院になった方は何人だったのか伺います。

 また、自宅療養者が全療養者の3割から4割に上る状況でございました。病床を529床確保されましたけれども、入院は300人未満でありました。8月3日に菅前総理は、自宅療養が基本と医療団体に要請をするということがあり、一斉にその方針の撤回をという声が上がりました。改めて軽症・無症状であっても容態が急変するコロナウイルス感染症患者の治療は、入院・宿泊療養が基本と考えるものですけれども、いかがかお伺いいたします。

【福田健康福祉部長】

 新型コロナウイルス感染症について、ご質問を頂戴をいたしました。お答えを申し上げます。

 まず、宿泊療養や自宅療養から入院になった方の状況についてのお尋ねでございます。

 本県では新型コロナウイルス感染症対策専門家懇談会の意見を踏まえて、振り分け基準を定めております。これによって療養先の振り分けを行っておりますが、重症や中等症患者はもちろんのこと、軽症や無症状の方であっても高齢者や基礎疾患のある方は入院としているところでございます。

 また、入院が不要な方は宿泊療養を原則としておりますが、例外としては、日本小児科学会の見解を踏まえて、小児等は自宅療養を基本としているところでございます。

 第5波におきましても、この基準に従いまして療養先が決定をされておりまして、入院・入所を必要とすると判断された全ての方は、病院または宿泊療養施設で療養していただいたところでございます。

 新型コロナウイルス感染症の特徴といたしまして、発症後数日間経過した後に症状が増悪する場合がございます。このため療養機関を通じて質の高い健康観察を実施しております。その上、症状が増悪をした場合は直ちに入院できる体制を整えているところでございます。第5波におきましては、宿泊療養者1,687人中185人。自宅療養者1,271人中99人の症状が増悪をいたしましたが、直ちに入院につなげることができたところでございます。

 また、この第5波におきまして、自宅療養者が全療養者の3割から4割に上ったというご指摘でございます。家庭内感染の拡大によりまして、第5波において多くの小児とその家族が自宅療養になったことが大きいというふうに考えております。

 今後は、第6波に向けまして新たに策定をいたしました保健医療提供体制の整備計画に基づきまして、さらに万全を期して、受入れ体制を整えてまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 第6波に備えて、厚生労働省はコロナ病床を増やすよう求めており、県は、緊急的対応病床も含めて650床以上確保できる見通しと、また、宿泊療養施設をさらに1施設増設するとしています。私は、基本は入院であり自宅療養は極力減らしていくべきと考えております。第6波に備えて確保した病床を最大限に生かすために、療養後、速やかに宿泊療養に切り替えるなど、治療をまず行いつつ、医療機関の負担に配慮し、効率的な運用になるのかお伺いをいたします。

【福田健康福祉部長】

 病床の効率的な運用についてのご質問でございます。効率的な運用が必要ではないかというご指摘はおっしゃるとおりかと思っております。第5波では、振り分け診察を行う感染症指定医療機関等と連携をいたしまして、陽性確定後の振り分け診察時に中和抗体薬の投与の可否を判断し、必要な場合は早期治療を行うことにより、症状が軽快した方を宿泊療養へ切り替える取組を行いました。

 こうした取組や比較的入院期間の長い高齢者の感染が減少したことなどによりまして、平均在院日数は、第4波の11日から8日に短縮をいたしました。こうした入院日数の短縮化等による効率的な病床の運用効果もありまして、入院が必要な方は全て入院することができたという状態であったわけでございます。

 今後とも、入院医療機関と宿泊療養の連携を図りまして、限られた医療資源を有効に活用しつつ、入院が必要な方が確実に入院できるよう医療関係者等の連携をきちんとしてまいりたいというふうに考えております。

【和田明子議員】

 今後の感染拡大に備えて、病床、宿泊療養施設を第5波の1.43倍対応可能としておりますが、療養者数が想定推計値1,583人を上回る場合の対応として臨時的医療施設を開設する、臨時的医療施設では、医療人材については公立・公的医療機関の開設者等に派遣を要請するとあります。療養者が急増し入院の調整が厳しい状態になる前に臨時的医療施設が必要と考えますが、いかがか伺います。

【福田健康福祉部長】

 臨時的医療施設についてのご質問でございます。

 今後の感染拡大を見据えた保健医療提供体制として最大療養者数を1,583人と推計をした上で、患者受入れ病床の拡充を図ったところでございます。この1,583人の推計値を大幅に上回るような療養者が万が一発生をして、入院すべき患者が入院できなくなるような事態が懸念される場合は、まず、緊急的対応病床の拡充を医療機関に働きかけるとともに、軽症者や無症状の患者を受け入れる宿泊療養施設のさらなる増設を行うことを考えておりますが、さらにこれに加えて、最悪の事態を想定し、酸素投与を必要とする中等症の患者を収容できる臨時的医療施設の開設を考えているところでございます。

 こうした感染拡大時の医療提供体制については既に検討を進めておりますが、医療人材の確保など詳細な点について、さらに医療関係者と協議を進めてまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 確保病床使用率については、8月下旬には50%前後と高い水準になり、8月29日の55.7%がピークで減少に転じたものの、医療圏ごとの感染状況により、確保病床の6割程度の使用率で病床が逼迫する地域があり、入院の調整が厳しい、圏域内だけでは感染者の受け入れができないという事態には、広域的に対応などの状況になったわけでございます。

 確保病床の6割程度の使用率で病床が逼迫する地域では、コロナ感染者の治療だけでなく、一般の患者を受け入れることにも制限があるなど、地域の医療全般が足りない、医師・看護師をはじめとして医療人材が足りない、そのために感染者の受け入れができないという事態があったなど、第5波の振り返りをして課題も示されております。県は、この点についてどう認識しているのかお伺いをいたします。

【福田健康福祉部長】

 医療人材が足りず感染者の受け入れができない事態が生じているのではないか、どう認識しているのかと、こういうご質問でございます。

 本県では、これまで順次、患者受け入れ病床の拡大を図ってまいりましたが、特に一般医療とコロナ医療の両立に留意しながら、確実に受入れ可能病床を病院と合意した上で確保しているところでございます。したがいまして、確保病床、緊急的対応病床、そのどちらにつきましても医療人材の問題も含めて、対応可能ということでご見解を伺った上で確保させていただいているという状況でございます。

 特定の圏域で感染が急拡大をして病床が逼迫をする場合というのも当然ございますが、患者受入れ調整本部で圏域外への入院調整を速やかに行っておりますので、本県ではこれまでに入院が必要な方が入院できないとこういう事態は避けられたというふうに認識をしております。

 先ほど申し上げましたとおり、想定以上に感染が拡大をして、医療人材が不足する場合も考えられます。こうした場合は人材派遣の活用のほか、感染症法に基づく協力要請を行って人材を確保することなど、様々に検討してまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 地元の新聞が、公立・公的病院に行ったアンケートでは、9割の病院で、医業収益が前年割れをしたと報じられております。公立・公的病院はじめ、医療機関の経営状況をつかむべきではないかと従前から繰り返し求めてまいりました。改めて、経営状況の把握をしていただきたいがいかがか、健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 医療機関の経営状況の問題でございます。

 新型コロナウイルス感染症対応下での県内の病院の経営状況につきましては、受診控え等により状況は非常に厳しい半面、これは医療機関によって様々な状況はあるかと思いますが、空床確保料等の補助金によりまして、一定程度の補填がされていると認識をしております。

 これは国が先月公表いたしました医療経済実態調査の結果でも現れておりまして、令和2年度の精神科を除く一般病院の1施設当たりの利益率は6.9%の赤字となった一方で、空床確保料等の補助金を加味すると0.4%の黒字になっております。

 今後第5波の収束とともに受診控えが収まることが期待されるところでございますけれども、県といたしましては、病院関係者との懇談会等を行っております。今後とも様々な機会を捉えて経営状況の把握に努めてまいりますし、また経営支援につきましては、地域医療体制維持の観点から、十分な支援を行うよう先月も国に要望したところでございまして、引き続き、知事会等とともに国に求めてまいりたいと考えております。以上でございます。

【和田明子議員】

 第5波の中でも、自宅療養・宿泊療養から症状の悪化に伴って入院調整をした方が相当おられたというこの実態の中で、やはり自宅療養はこれはできるだけ回避していくということで県のほうでもご努力をいただいているところでありますけれども、家庭内感染というような事態の中で、子どもたちも含めて、そういうことで自宅療養を余儀なくされるということですけども、宿泊療養施設等の工夫によってできるだけそういうふうにして医療の見守りの近くで療養ができる、そういう形もこれからも取っていくというふうに若干書かれてもありましたので、期待しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 後遺症について伺ってまいります。

 後遺症について、国立国際感染症センターが公表したアンケート結果によると、新型コロナウイルスに感染した人の4人に1人は、半年後も後遺症といわれる何らかの症状が見られたということでございまして、長野県のこの間の感染者の累計は8,800人を超えており、4人に1人の割合で推計いたしますと、2,200人前後の方が後遺症に悩んでいるのではないかと思われます。長野県として後遺症について追跡調査を行っているのか、伺います。

【福田健康福祉部長】

 ご質問を頂戴しております。

 後遺症についてでございます。

 新型コロナウイルス感染症の症状の遷延、いわゆる後遺症でございます。これについてまだ明確な定義はございませんけれども、保健所や長野県健康観察センター等におきまして、退院または療養解除後一定の期間が経過した後に、電話等で連絡を取って、健康状態を確認したり症状についてのご相談お聞きすると、こういう対応を行ってまいりました。

 それによりますと、倦怠感や嗅覚障がいといった何らかの症状を有する方もおられます。例えば、8月4日から11月24日までの対象者で見ますと、療養解除4週目で20. 9%の方が何らかの症状がありと、こういうデータもございます。こうした方については、必要に応じて医療機関を受診していただくよう勧めるなどの対応を行ってきたところでございます。

【和田明子議員】

 後遺症の症状についても様々な現れ方があり、コロナ感染症は軽症であっても後遺症は重く、日常生活に支障をきたすほどつらい、仕事を継続することができないなど深刻なケースがあるというように、後遺症で苦しんでいる方々に対して県は相談対応を行う体制を整えていただきたいが、どのような状況になっているのかお伺いしたいと思います。

 また、既に山梨県、高知県、岡山県などでは、大学附属病院等で後遺症の専門の外来を開設しているとお伺いしております。長野県で後遺症への医療提供をどのように対応するのかをお伺いしたいと思います。

【福田健康福祉部長】

 後遺症の相談対応や医療提供についてのお尋ねでございますけれども、後遺症の対策については今後対策強化したいというふうに考えております。具体的には、後遺症の相談窓口としては、従来の保健所の対応に加えまして、受診相談センターの機能を拡充して対応してまいります。この受診相談センターで相談対応を行うことにつきましては、療養解除された方に一層の周知を図りまして、後遺症を疑う症状がある方が症状に応じて適切な医療機関を受診できるよう、相談対応にまず応じてまいりたいと考えております。

 また、診療体制につきましても、治療が可能な医療機関との連携を進めておりまして、困難な事例については、地域の医療機関から専門的医療機関を紹介する体制も整えております。後遺症についても、症状に応じて適切な医療機関で治療が受けられるようにしていくということは非常に重要でございまして、そういう医療提供体制の構築を図ってまいりたいと考えております

【和田明子議員】

 保健所の体制について伺います。

 コロナの感染拡大に対応するために、保健師、臨床検査技師、事務職員等の臨時的な任用や定数を増やして、何とかこの大変な感染拡大を乗り越えていただきました。コロナの対応業務量の増大に対応して増やした保健所職員のこの体制を、今後も維持するのか伺います。臨時的とはいえ、保健師、臨床検査技師など資格を有し専門性の高い職員によって新型コロナウイルス感染症対策に当たっていただきました。

その他業務も含め、臨時的に増やした職員を定数化し、正規職員増を進めてほしいと思います。

 国においても、昨年から保健所の体制、職員増の予算を増やす方針を示し、保健所職員の強化の必要性を認めているところと思いますが、そのための予算は確保されているのか、国に対して予算を増やしていただくように求めていただきたいと思いますが、この点について、健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 今後の保健所の人員体制についてのお尋ねがございました。

 これまで新型コロナウイルス感染症対応のため、保健師や臨床検査技師の増員、さらには臨時的任用職員の任用などによりまして、保健所の人員体制の強化を図ってきたところでございます。今後も感染の再拡大に備えまして、引き続き必要な人員体制の確保に努め、確実にコロナ業務に対応できる体制を維持してまいります。

 なお、コロナ収束後につきましては、当然保健所が行う健康増進、精神保健、食品生活衛生など、県民の生活を支える業務を確実に行える人員体制は当然維持してまいりますし、新興感染症などの対応も踏まえて体制の構築を図ってまいりたいと考えております。

 今般、コロナ対応のため強化した保健所の体制を、必要に応じてですけれども維持していくというためには、増員した職員の人件費などの経費に対し、地方財政措置や国庫補助金の拡充が必要であると認識をしております。先月、全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部の緊急提言として、積極的疫学調査や入院等の調整などを確実に行うための保健所機能の強化に対し、支援を行うよう国へ要望したところでございます。

 今後も全国知事会等とともに、保健所の体制維持に必要な予算措置を国に要望してまいりたいと考えております。以上でございます。

【和田明子議員】

 後遺症に対しても、今、相談の体制を整えていくとか、それから専門的な医療への接続ということに対しても体制を整えていくということでございました。全体で入院を、そして宿泊療養をしていただいた、自宅療養をしていただいた方の後追いの調査は、相当やはりこれは丁寧にやっていただく必要があると思いますので、この点では、その人員も含めて体制も整えていく、そういう点でも、保健所の体制、その後伺いましたけれども、今までコロナ対応、特に感染急拡大に備えて本当に大変な中整えていただきましたけれども、今後コロナの収束があったとしても、その様々な感染された方、そしてまたその他の保健所の業務は決して少なくなるわけではございませんので、引き続き保健所の体制が維持できるように、今、全国知事会からも支援を要請しているということですけれども、県としても強力に要請していただいて、体制をさらに強化していただくことを要望して、質問の一切を終わります。

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