2022年2月定例会 高村京子議員一般質問
1.知事の政治姿勢について
- 【高村京子議員】
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まず、知事の政治姿勢に関して伺います。
昨年の秋に就任された岸田首相は、憲法改定を目指すことを表明し、憲法改正促進会議を設置しました。自民党の改定案の柱は、憲法9条の改定です。安倍内閣が2015年9月に強行採決した集団的自衛権、自衛隊が海外で戦争できる体制へ進めた安保法制は、現憲法9条戦争放棄、2項の戦力は持たないとした条項に対し、軍備を強化し、アメリカ軍との共同演習を重ねている自衛隊を書き込み、戦争に参加する軍隊として海外派兵させようとしています。災害現場で人命救助のために活動してくださる自衛隊を戦場に送り、命の危険にさらすことはできません。
岸田首相は敵基地攻撃能力の保持を目指すとし、全体の攻撃力を最大限強化する姿勢を示しています。他国の基地を破壊し攻撃すれば、必ず反撃され、全面戦争となる危険な事態を呼び込むことになります。多大な犠牲を出した悲惨な戦争を反省し、戦争放棄し、戦力を持たないと誓った日本国憲法9条は、何としても守り通すことこそ、自衛隊員の命を守り、平和国家として進むべき立ち位置だと考えますが、阿部知事の見解を伺います。
- 【阿部知事】
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高村議員の御質問にお答えを申し上げます。
まず、私の政治姿勢ということで何点か御質問いただきました。まず、憲法9条についての見解という御質問でございます。
この県議会の場でも何度もお答えをさせていただいているところでありますけれども、私、公務員としてずっと仕事をしてくる中で、日本国憲法を遵守して仕事に向き合ってきたところであります。また、現行憲法の中での国民主権、あるいは基本的人権の尊重、そして平和主義、こうした基本的な理念についてはこれからも維持されるべきものというふうに考えています。
具体的な憲法改正、どうあるべきかということについては、最終的には、主権者である国民が判断するものであります。その前段として、やはり国民の間での深い議論、そして幅広い議論が行われるということが重要だというふうに思っておりますし、また、発議するのは国会でありますので、そういう意味では国会の場においても未来をしっかりと展望した十分な議論を行っていただき、国民にも分かりやすく憲法論議をしていってもらいたいというふうに考えております。
- 【高村京子議員】
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日本は今、格差と貧困が拡大しています。富を持つ者は一層富を蓄え、貧しい人々が増えています。1990年代頃から歴代政権は、労働法制の規制緩和をし、非正規雇用者、低賃金労働者を増やしてきました。年収200万円未満のワーキングプア、働く貧困層、約1,200万人、労働者全体の4割にもなります。
1人当たりの実質賃金は、1997年のピーク時から2020年には64万円も減っています。21年のGDP前年比は、米国やユーロ圏が5%台の成長ですけれども、日本は1.5%増で、経済の低迷は際立っています。賃金が上がらず、成長できない国になっています。
加えて、社会保障の国の拠出は年々削減され、保健所の統廃合、医療・介護・福祉部門で、自己負担増が進められています。高い国保料、介護保険料、介護サービス縮小、負担増、目減りする年金、生活保護費は削減、多くの国民が安心して暮らせない、希望が見えない社会となってしまいました。
今求められているのは、効率優先、自己責任、社会保障削減を推し進めてきた新自由主義経済を根本から見直すことではないでしょうか。コロナ禍で必死に命を守るために奮闘されている医療福祉現場を応援し、社会保障を充実し、安心の社会づくり、非正規の若者や女性の処遇を改善するために、中小企業を応援しつつ、最低賃金を大幅にアップすることで経済を立て直すこと、利益を上げている企業や富裕層に応分の負担を求め、地域でともに支え合う循環型の経済政策へと大きく転換することが求められていると考えますが、知事の見解を伺います。
- 【阿部知事】
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新自由主義からの転換が求められていると考えるがいかがかという御質問であります。新自由主義、いわゆるミルトン・フリードマン等が主張してきたネオリベラリズム、政府による市場への介入は最低限とすべきというものとして受け止めて御答弁させていただきます。
こうした市場に任せれば全てうまくいくというような発想には私は立ちません。そうした考え方もひずみが環境面であったり、あるいはその格差といった面であったり、そういう意味でこの資本主義の在り方をどうするべきかということが、政府における新しい資本主義をどう実現するかということ、それが世界の中でもその資本主義の在り方というものが今、問われ直されているところだというふうに思っています。
そういう意味では、私としては政府の新しい資本主義実現会議だったり、今後の方向性期待をしているわけでありますけれども、代表質問の答弁の中で申し上げたように、いわゆる日本の高度経済成長は単にあの経済政策だけでけん引されたものではなくて、社会保障の在り方であったり、あるいは国土政策であったり、あるいは雇用政策、さらには教育政策、こうしたものとパッケージで進められてきたわけであります。また、こうした社会保障や教育という部分は、まさに宇沢弘文先生、日本人の中で最もノーベル経済学賞に近かったというふうに言われている方でもありますけれども、いわゆる社会的共通資本の考え方にも通じるものであります。
そういう意味で、こうした経済政策以外の分野とのパッケージですね、ぜひ大胆な改革を国において進めていただきたいと思いますし、また、これは日本だけでは達成できませんので、やはり世界の国々と、どう連携し進めていくかということが極めて重要な局面だというふうに思います。これは、地球環境問題も含めて大変重要な課題だというふうに思っております。
- 【高村京子議員】
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消費税は、1997年4月に5%、8%、さらに2019年10月には10%へと次々増税されてきました。税金は本来収入に応じて徴することが基本ですが、消費税は生きていくための食料や物品、サービスに対し広く徴収され、収入の少ない人に特に負担が重い不公平税制です。
現在国の税収は、所得税、法人税を抜いてトップが消費税となっています。GDPの5割以上を占める個人消費は、消費税10%以前の300兆円台を下回っており、国民が消費を抑えている消費不況の中で、消費税が一番重きを占めていることは異常です。
阿部知事は、消費税は県財政の重要な財源であるとして、消費税を重視する姿勢を取られてきました。コロナ禍が2年以上となる中、失業、休業、収入減、倒産、廃業も深刻となっています。ここに来て石油製品の高騰、食料品などの値上げが庶民の生活に追い打ちをかけています。
世界では、コロナ禍の経済対策として消費税にあたる付加価値税減税をする国が75か国と地域に達しています。今、県民生活を守るために消費税の減税こそ切望されています。知事に消費税減税について見解を伺います。さらに国に対して、消費税減税を働きかけていただきたいが、いかがでしょうか。
- 【阿部知事】
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消費税について御質問を頂戴しました。消費税減税を国に対して働きかけていただきたいがどうかという御質問でありますが、これについては働きかける考えはありません。消費税は、例えば本県における消費税率10%引き上げ分については、全て社会保障関係費に充てさせていただいております。これは、社会保障関係費は安定的な財源が必要だということで、消費税財源を使って、例えば本県では高齢化による社会保障関係費の増嵩経費であったり、あるいは子供子育て支援の充実であったり、こうしたところに充てさせていただいているところであります。
仮に消費税減税ということを想定した場合には、三つやり方があると思いますけども、こうした社会保障事業をやめるという選択肢、あるいは代替財源、コロナ禍の中の厳しい産業、あるいは厳しい環境に置かれる国民皆さんがいる中でどこかに代替財源に求める、さらには赤字国債をさらに発効して将来世代に負担を先送りするか、このいずれかの選択肢になると思いますがいずれの選択肢も今の段階では現実的ではないというふうに思っております。そういう意味で、国に対して消費税減税を働きかけるという考え方は持っておりません。
ただ、今コロナ禍で県民の皆様の暮らしや産業の基盤が揺らいでいるわけでありますので、そういう意味では、この財政面の支出において生活者や産業を、我々としてもできるだけしっかり支援をして支えていきたいというふうに考えております。
- 【高村京子議員】
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また来年の10月から、消費税の仕入れ税額控除の方式としてインボイス制度の実施が計画されています。
現在は年間1,000万円以下の売上業者は、消費税が免税されており、多くの小規模事業者が、免税事業者です。インボイス制度では、免税事業者は適格請求書を発行できず、取引からの排除や不当な値下げを強いられ、結局消費税を負担せざるを得なくなり、不利益と税の負担がのしかかり、農業者も含め、多くの小規模事業者の商売が成り立たない事態になることが危惧されます。インボイス制度の中止ないし延期を国に求めるべきと思いますが、いかがですか。併せて知事に伺います。
- 【阿部知事】
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それからインボイスの導入について、中止または延期を求めるべきという御質問でありますが、このインボイス制度については、10%、8%の複数税率がある中で、事業者の皆様方に消費税を適正に申告していただくための必要な制度だというふうに考えております。令和5年の10月が制度開始でありますので、円滑な制度開始に向けた取組が重要だと思っております。
令和4年度から、会計ソフトなどの整備に対する補助率の引上げであったり、パソコンやレジ等を補助対象にするといった支援の強化が図られているところであります。県としても事業者の皆様に理解を深めていただくため、これまでも経済団体、税理士会等を通じて制度の周知を図ってきておりますが、引き続き商工会、商工会議所をはじめ、関係団体と連携して、こうした補助制度の紹介や経営相談等の支援等を積極的に行っていきたいというふうに考えております。
2.新型コロナウイルス感染症対策について
- 【高村京子議員】
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次に新型コロナ感染症の対応について伺います。
1月早々からオミクロン株の感染者が急拡大。第6波となり、長野県も1月27日から2月20日まで、さらに3月6日までまん延防止等重点措置が取られています。連日400人レベルの感染者が出ており、10歳以下の子供たちの感染が多く、自宅療養で対応せざるを得ない家庭が急速に増えています。2月19日では感染者463人、入院323人、宿泊施設に435人、自宅療養は4,400人、68%に増え、療養先調整中は、1,256人、約20%です。
県は、療養宿泊施設や健康観察センターの体制を強化されていますが、次々と発生する自宅療養者とその家族に対する支援についてはさらに強化する必要があると思います。オミクロン株は感染力が強いが、重症化は少なく、軽症者が多いといわれますが、ここに来て、高齢者を中心に、死亡者も増えています。命を守る緊急対策が、今以上に求められていると考えます。
以下、健康福祉部長に伺います。濃厚接触者の特定や感染者の入院調整など、保健所は多忙を極めていますが、濃厚接触者の把握、人数とその扱い、学校や職場への対応はどのようにされておられるのでしょうか、実情をお聞かせください。保健所の体制については、代表質問でも触れられたところですが、さらに体制強化を進める必要があると考えますので伺います。
- 【福田健康福祉部長】
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新型コロナウイルス感染症対策につきまして、御答弁申し上げます。
まず、濃厚接触者についての御質問でございます。濃厚接触者につきましては、保健所において陽性者から聞き取り調査を行い、その把握に努めているところでございます。人数につきましては、現在保健所業務が厳しい状況であり、集計事務が煩雑になることから正確な積み上げを行っておりませんが、これまでの実績等から現時点でおおむね1万人程度と推定をしております。
濃厚接触者の扱いでございます。検査や健康観察等につきましては、重症化リスクの高い方や高齢者施設等に対して優先的に実施をしているところでございます。また、学校や企業等において陽性者が確認された場合には、当該学校等に濃厚接触候補者リストを作成いただくなど、迅速に濃厚接触者が特定できるよう御協力をお願いしているところでございます。
今後とも可能な限り、濃厚接触者の早期把握に努めるとともに、陽性が確認された方が迅速に適切な療養へとつなげられるように努めてまいります。
また、保健所体制の現状と、さらなる体制強化についてでございます。新型コロナが初めて確認されて以降、これまで保健師31人、臨床検査技師8人を増員するほか、地方部職員の兼務、外部委託の活用などにより、保健所体制の強化に努めてまいりました。とりわけ感染が急拡大した第6波におきましては、緊急的に地方部からの兼務職員を176人から626人に大幅に増員をしたところでございまして、今後も必要に応じてさらなる増員を検討してまいります。
また、来年度からさらに正規の保健師6人を増員するなど、引き続き必要な人員の確保等に取り組み、保健所体制の強化を図ってまいります。
- 【高村京子議員】
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自宅療養者への食料、生活物資の配布、病状観察など、連絡体制、医療との連携を担う健康観察センターの体制の強化を図っておられますが、自宅療養となった感染者と濃厚接触者となる家族を含めた隔離と、その保護をその日から対応することが大切です。現状はどうでしょうか。
お子さんがコロナ感染となった御家族から寄せられた様子です。「全員検査した結果、家族6人中3人が陽性になり、2週間全員で自宅療養待機となった。支援物資2キロが届いたのは4日目。それは大変助かったが、届くまでの日数は本当に困ってしまい、仕方なく陰性者が買い物に行かざるを得なかった。毎日健康観察センターから連絡が来て、体温や酸素量とか聞かれるけれども、必要なものは聞かれない。生鮮食品が欲しくて買いに出かけたくなる」と吐露されました。このような状況をどのように受け止めるでしょうか。さらなる改善を求めますがいかがでしょうか。
- 【福田健康福祉部長】
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健康観察センターによる自宅療養者への支援の現状についての御質問でございます。自宅療養者の生活支援物資は長野県健康観察センターから独居者などに、食料品や生活必需品等を無償で提供しております。事前にセンターや保健所からパルスオキシメーターなどを配付した上で、センターの看護師が遠隔健康管理システムや電話を通じて健康観察を行っております。
症状増悪時にはセンターから迅速に保健所に連絡をし、症状に応じて指定医療機関での受診や入院の調整、診療所による電話診療等を実施しているところでございます。
続いて、生活支援物資の提供及び困りごとの相談についてでございますが、生活支援物資の適用に当たりましては、保健所が自宅療養者に連絡を行う際、一人暮らしか家族全員外出できない状況かどうかを確認した上で、物資支援の必要性を判断しているところでございます。
生活支援物資のお届けまでに時間を要した時期が一時的にございましたが、受託事業者による人員の確保と、県職員の緊急的な投入によりまして、事務スタッフを平時の10倍近い規模に増員をしております。さらに日勤夜勤の2交代制を導入いたしました結果、既に申込みの翌日から翌々日までにはお届けできる状況になっております。
また、困りごとについては市町村の御協力をいただいて、保健所から市町村等の窓口につなぎ、相談に乗っていただき、必要な場合はさらに適切な部署で対応していただいているところでございます。
- 【高村京子議員】
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放課後児童クラブは、限られた職員で感染対策を行っています。現在、現状をどう認識されておられますでしょうか。児童の感染が増えており、分散登校や休校もある中、県が受入れを要請するのであれば、午前中からの対応も必要です。それも含め、人員を増やすなどの支援を強めていただきたいですが、どうでしょうか。この点はこども若者局長に伺います。
- 【野中子ども若者局長】
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放課後児童クラブにおける感染対策の現状認識と支援策について御質問いただきました。放課後児童クラブは、保護者が働いており、家に1人でいることができない小学生に放課後等の生活と遊びの場を提供する役割を果たしています。このため、コロナ禍においても保育所と同様感染対策を徹底しながら、原則開所することをお願いしておるところでございます。
御指摘のように、放課後児童クラブに配置されている限られた支援員が、感染対策を行いながら児童を受け入れることは非常に負担が大きいものと認識をしております。そこで、感染対策の徹底を図りながら児童への支援を継続していくために必要な経費として、新たに非常勤職員を雇用した場合の賃金などを助成をしておるところでございます。また、小学校の臨時休業等に伴い、午前中から開所する場合や、児童の密集状態を避けるため、複数のグループに分けて必要な支援員を配置した場合など、追加で生じる運営費についても財政支援を行っているところでございます。
こうした支援策を放課後児童クラブの実施主体である市町村に有効に活用していただくことによって、感染対策の徹底と、児童の居場所の確保の両立を図ってまいります。
- 【高村京子議員】
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福祉施設内でも感染者が多発しています。元々、人的体制が弱い児童養護施設や高齢者施設等で感染者が出た場合に、同じ施設内でのケアは、かなりの困難が発生します。現状と対策はどのようになっていますか。健康福祉部長にお伺いします。
- 【福田健康福祉部長】
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福祉施設における新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。昨年の暮れから2月20日時点で、児童養護施設や高齢者施設、障害者施設など福祉施設において集団的感染事例が89件確認をされております。各施設では施設運営に携わる職員の確保や感染対策の強化、検査などに取り組んでおられると認識をしております。
県ではこういった施設の集団的感染事例につきましては、クラスター対策チームの派遣、看護協会との協定に基づく感染管理認定看護師等の派遣による訪問指導、さらに今、抗原定性検査キットを保健所から融通するなど、感染拡大を抑え込むための個別支援を行っております。あわせて、サービス継続に必要な臨時的な人員の確保や帰宅困難職員の宿泊費、自主検査費用等に対する補助金など支援策を講じてきたところでございます。
また、施設における感染防止対策や感染事例発生時の対応等について改めて周知をいたしますとともに、まん延防止重点措置期間における従業員等へのPCR検査、入居者、従業員へのワクチンの巡回接種など、施設における感染防止が図られるよう、取組を強化して対応しているところでございます。
- 【高村京子議員】
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感染拡大を迅速に把握するために、いつでも誰でも無料での検査ができる体制を求めてきました。1月から薬局等での検査実施へと拡大され、現在は203事業所に検査箇所が拡大されたことは歓迎します。今度は検査キットが不足する事態となっています。市販の検査キットも不足、医療機関でのPCRキットも不足と、しかし、しっかり検査ができなければ感染状況の実態把握はできません。検査キット不足の現状と対策を伺います。
また、発熱外来に対する財政的支援が打ち切られ、医療機関から復活を求める声が上がっていますし、一般診療所でも発熱外来と同じ対応をしています。これらに対する支援も必要と思いますが、健康福祉部長にお伺いします。
- 【福田健康福祉部長】
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検査キット不足の現状と対策についての御質問でございます。検査キットの不足につきましては、需要の急激な高まりを受けまして、国がメーカーに増産を要請しておりますが、県といたしましても、知事会を通じて検査キットの増産に係る事業者支援を国に要望するとともに、行政検査を行う医療機関や自治体等への優先供給を、県内卸売業者に依頼をしたところでございます。
医療機関につきましては、こうした優先供給の取組や検査キットの確保が困難な場合に、緊急的な購入希望を国が直接受け付け、卸売業者を通じて供給する仕組みの運用が始まったこともございまして、必要量は供給されていると考えております。
また、無料検査につきましても、県内の230件を超える薬局等で継続して実施をされておりまして、一定の役割を果たしているところでございます。これらのほか、個人が購入するものについては、まだ供給が十分に回復しておりませんが、徐々に増産等の効果があらわれるものと考えておりまして、県としても引き続き需給状況の把握に努めてまいります。
それから、発熱外来に対する財政的支援についての御質問でございます。診療検査医療機関への財政的な支援につきましては、令和2年度、季節性インフルエンザの流行に備えた診療検査体制を整備するため、国及び県でそれぞれ補助事業が実施されました。その結果、2月3日現在で623の医療機関にその役割を担っていただいております。
現在これらの補助事業は実施しておりませんが、令和4年度の診療報酬改定によりまして、一般診療を含め、日頃から感染防止対策等を実施する診療所等に対しまして、新たな加算が設けられたところでございます。
現在も多くの医療機関に診療や検査をしていただいており、収束までなおしばらくこうした体制の維持が必要と考えられますので、今後も感染防止対策経費等について手厚い支援が行われるよう国に要望をしてまいります。
- 【高村京子議員】
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3回目のワクチン接種に県としても独自の接種会場を設けるなど、接種の促進に精力的に当たっていただいていることは評価させていただきます。3回目のワクチン接種の進め方について65歳以上の高齢者の終了見込み、12歳以上から64歳までの終了見込みはどうですか。
さらに今感染者が多い5歳から11歳以下の子供たちのワクチン接種の対応について、副反応など保護者の不安もあり、成人以上に丁寧な対応が求められると思いますが、子供たちへの接種についての考えや進め方を健康福祉部長に伺います。
- 【福田健康福祉部長】
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ワクチン追加接種の終了見込みについての御質問でございます。65歳以上の高齢者への接種につきましては、可能な限り2月末までに希望する高齢者の接種を終えられるよう、市町村とともに接種ペースを加速化しているところでございます。とりわけ高齢者施設の入所者等への接種につきましては、県保有ワクチンの市町村への融通に加え巡回接種を行うとともに、個別の施設に直接課題をお聞きしながら、極力2月中に完了できますよう、きめ細やかに対応しているところでございます。
また、12歳から64歳までの年代の接種につきましては、現在、警察職員、学校教職員や保育士などのエッセンシャルワーカーの接種を進めております。終了につきましては、12歳以上の対象者の2回目接種がおおむね完了した昨年11月から6か月経過後となります本年5月から6月頃が一つの終了の目安になるものと考えております。
子供たちへのワクチン接種についてでございます。小池議員への御質問にもお答え申し上げましたとおり、重症化リスクの高い基礎疾患のあるお子さん等には速やかに接種機会を提供すること。それ以外のお子さんについても、希望者ができるだけ早期に接種を受けられる体制を整備すること。この方向性につきまして市町村と共有しておりまして、3月上旬以降、接種が順次開始される予定でございます。
接種は、判断材料となります効果や副反応などにつきましては、御指摘のとおり適切な情報提供が必要と考えておりまして、県としても周知を行ってまいりますほか、国に対しては、全国知事会を通じ、分かりやすく丁寧な情報発信を行うよう求めているところでございます。
このほか、予診の際の保護者や小児への丁寧な説明、さらに接種後の副反応等への対応につきましても、市町村や医師会、地域の医療機関と連携して体制確保に努めてまいります。
- 【高村京子議員】
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オミクロン株の感染は軽症と言われますが、軽症で済んだ若年者が、その後、味覚が回復しない、倦怠感がひどく仕事に就けないなどの事例も出ています。コロナ感染後遺症に対するケアを重視する必要があると考えます。
昨年11月県議会で和田明子県議の質問に対し、福田部長は、従来の保健所の対応に加えて、受診相談センターの機能を拡充して対応していくとの御答弁でした。コロナ感染者は第6波で急拡大し、23日発表の累計では2万8,878人にもなりますが、感染者の追跡観察の対応は間に合っているでしょうか。さらなる体制の強化が必要ではないでしょうか。健康福祉部長に伺います。
- 【福田健康福祉部長】
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新型コロナウイルス感染症の罹患の症状、いわゆる後遺症についての御質問でございます。これまでの国等の研究によりますと、代表的な症状として、倦怠感、息切れ、味覚・嗅覚障害等が報告をされております。ただし、現在感染が広がっておりますオミクロン株の後遺症につきましては、国内で感染が広がってから日が浅いこともございまして、現時点では十分な情報がございません。
本県では、後遺症への対応といたしましては、療養解除された方に受診相談センターを御案内し、必要に応じ、症状に合った診療科を紹介するなど、適切な医療機関を受診できるよう相談体制を確保しております。さらに、地域の医療機関での治療が困難な事例につきましては、専門的医療機関を紹介する体制を整えておりまして、こうした相談窓口や医療機関からの情報を収集しているところでございます。
オミクロン株の後遺症がどの程度の割合で出現し、どのような症状が生じるかにつきましては、これから状況を注視していく必要があると考えておりまして、今後も国等の研究結果も含め、後遺症の実態把握に努めるとともに、適切な治療を受けられる体制を維持構築してまいります。以上でございます。
- 【高村京子議員】
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産業労働部長に伺います。深刻な営業不振に苦しむ業者に対する支援について、まん延防止等重点措置に基づき、1月27日から3月6日まで延長され、計39日間、飲食店への営業時間短縮などを要請し、対応したお店に協力金の支給がされています。昨年国の月次支援金などの各種補助金の申請をしても、書類の不備などを次々指摘され、結局申請が受理されず、支援金をもらえなかった。申請はようやく受理されたが、支給が大幅に遅れて毎月の家賃の負担も重くなり、厳しい経営を余儀なくされている事業所もあります。
時間短縮に協力したくても協力金では採算が取れないのが現実です。協力金をもらわずに開店することを選択したり、終日閉店せざるを得ないお店も多く出ています。このまま廃業・倒産が増えるのではないでしょうか。飲食店の時間短縮の協力金だけでなく、危機突破支援金など、広範な事業者を対象とした県独自の支援策も実施すべきと考えます。
また、国に対しては、持続化給付金レベルの再支給を引き続き求めていただきたいですが、いかがでしょうか産業労働部長に伺います。
- 【林産業労働部長】
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お答えいたします。まず、事業者へのさらなる支援策についてのお尋ねでございます。これまで国の支援金等の制度は、令和2年の持続化給付金、昨年1月から3月までの一時支援金、4月から10月までの月次支援金、そして昨年11月からは事業復活支援金による支援が始まっています。
他方県では、これまで危機突破支援金に加え、影響を受けながらも国の月次支援金等の対象とならなかった事業者に、特別応援金、第1弾、第2弾を実施いたしましたが、このたびは、第6波対応事業者支援交付金により、市町村と連携して、影響を受ける業種に対して給付金等を支給するとともに、今後、需要喚起の取組等にも支援してまいります。
なお、さらなる事業者支援につきましては、雇用調整助成金が延長されると聞いておりますが、事業復活支援金の延長など支援策の拡充について、全国知事会を通じ国へ要望してまいります。
3.地球温暖化防止について
- 【高村京子議員】
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3項目の地球温暖化防止対策について伺います。
毎年のように超大型となって襲ってくる台風がもたらす大災害、この冬の記録的な大雪も、地球温暖化の現象であり、気候危機打開は今、地球的課題となっています。CO2削減に向けた本気の取組が求められています。長野県も2030年までにCO2を60%削減へ取り組む方針を掲げ、来年度事業にも各分野での取組が予算化されました。現時点から2030年までのこの間の取組が特に大事であります。県として具体的な削減方針を発信し、県民や企業、各種団体に気候危機の危機感を共有していただき、県民運動としてCO 2削減に取り組むことをもっとアピールすべきと考えます。
年次目標を定め、積み重ねていくことが必要ではないでしょうか。省エネ・再エネ促進の具体的取組について、環境部長にお伺いします。
- 【猿田環境部長】
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温室効果ガス削減に向けた年次目標と、具体的な取組についてお答えいたします。ゼロカーボン戦略におきましては、2030年度の目標を、2010年度比で最終エネルギー消費量を4割削減、再生可能エネルギー生産量2倍増、これにより、温室効果ガス正味排出量を6割削減としており、各年次の目標は2030年度目標値と最新の実績値とを直線で結んで求める形となってまいります。
ゼロカーボンに向けての取組は様々な分野にわたりますが、例えば、産業分野における省エネにつきましては、年2%のエネルギー消費量の削減を目安としており、具体的な取組として、事業活動温暖化対策計画書制度により、エネルギーの使用状況の見える化と排出削減計画の策定・実行へとつなげてまいります。
また、再エネ分野におきましては、2030年度時点で約3割の住宅屋根に太陽光発電設備の設置を目指しており、ソーラーポテンシャルマップの活用や、共同購入事業、販売工事の事業者と連携した取組などを実施してまいります。
脱炭素の実現には、こうした多岐にわたる施策を総動員するとともに、県民、事業者など、あらゆる主体の理解と参画が不可欠と考えております。可能な取組につきましては、年次的な計画をお示ししつつ、目標指標の達成状況や、施策事業の実施状況などについて毎年度検証し、取組の改善策も併せ、共有を図ってまいります。
- 【高村京子議員】
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県内企業にもCO2削減を企業理念として掲げ、努力していただいている企業もありますが、一層この努力をしていただくよう働きかけていただきたいです。いかがでしょうか。産業労働部長に伺います。
- 【林産業労働部長】
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県内企業に対するCO2削減の働きかけについてでございます。世界に広がるESG経営の転換やサプライチェーン全体で脱炭素を見直す動きが加速する中、産業部門のグリーンイノベーションの創出は急務となっております。
このため県では、昨年策定された長野県ゼロカーボン戦略に基づき、ゼロカーボン基金を活用した技術開発支援を開始しており、来年度は新たにグリーンイノベーションセンター(仮称)を長野県産業振興機構(NICE)に設置し、原材料の生産から製品の廃棄までのライフサイクルを通して、温室効果ガス排出の可視化を支援するLCAコンサルティングに取り組む予定です。
他方、経済団体、金融機関、大学等と連携して取り組んでおります長野県SDGs推進企業登録制度は、本年1月末で1,329社まで拡大しており、クリーンエネルギーや、気候変動対策などESGに配慮した経営が広がってきております。今後ともこうした取組をさらに広げられるよう、周知に努めるとともに、県内産業のグリーントランスフォーメーションを後押ししてまいります。
- 【高村京子議員】
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昨年の11月に行われた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議COP26では、石炭火力の是非が大争点となりました。46か国の国と地域が石炭火力の新設中止、26か国が石炭火力廃止宣言に賛同しました。ところが、岸田政権はこの流れに背を向け、「化石賞」受賞という現状です。CO2の大幅削減を県民全体で進めようとしている阿部知事から、石炭火力発電の中止か段階的廃止を電力会社や政府に求めていただきたいが、いかがでしょうか。知事の見解を伺います。
- 【阿部知事】
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地球温暖化防止について石炭火力発電の中止、あるいは段階的廃止を求めていただきたいがどうかという御質問であります。この温暖化防止も待ったなしですので、2030年、あるいは2050年に向けて、技術の最新動向、あるいは温暖化の状況、こうしたことを踏まえて常に最善の努力を尽くしていくということが重要だというふうに考えております。
CO2の排出を最大限抑制していく上では、御質問の石炭火力の扱いも大きな課題だというふうに思っております。かつて石炭から石油へとエネルギー転換が行われた際には、労働争議が頻発するなど、非常に雇用問題、あるいは産業面での影響が大きい状況がありました。
そういう意味では、エネルギー政策は暮らしや産業に大きな影響を与え得るものでありますので、戦略的また包括的に進めていくということが大変重要だというふうに考えております。COP26におきましては、排出削減対策も講じられていない石炭火力発電の低減に向けた努力を加速させることについて各国が合意し、また国の第6次エネルギー基本計画においては、非効率化な石炭火力のフェードアウトを着実に推進といったような方針が明記されておりますし、また、電力会社においても非効率な石炭火力の段階的縮減と再生可能エネルギーの新規開発を進めている状況であります。
こうした中、引き続きこの石炭火力を含む電源構成の在り方については、国のエネルギー政策全体の中で明確な戦略の下で、一層の検討を行うように求めていくことが重要だというふうに考えております。
本県としても、再生可能エネルギー普及拡大に努めているわけでありますが、電力会社とも意思疎通を図りながら、再生可能エネルギーがさらに普及され、そしてCO2の排出量が少ない電源に着実に転換されるように努力をしていきたいというふうに考えております。
4.ジェンダー平等社会について
- 【高村京子議員】
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最後に、ジェンダー平等社会実現に向けて伺います。1人ひとりの多様性を尊重し、その人らしく暮らせる包摂の社会、男女の差別や格差をなくし、性自認の多様性にも配慮するジェンダー平等を求める機運が大きくなっています。ジェンダーギャップ指数では日本は世界156か国中、120位という深刻な遅れから目をそむけることはできません。
男女の不平等をなくすことの一番は、賃金の男女格差をなくすことです。日本は男女の賃金格差が大きく、世界ワースト2位で、男女の賃金格差は24. 5%もあり、女性は結婚・出産・子育て等で非正規雇用とならざるを得ない環境に長く置かれてきました。特に女性に厳しい生活を強いるものになっています。平均賃金では年間約250万円、生涯では約1億円もの賃金格差があるとも言われています。県として、この賃金体系を正し、男女平等へ賃金格差解消に努めるよう、県内各企業に働きかけていただきたいがいかがですか。せめて賃金体系の公表を求めてほしいと思います。
- 【林産業労働部長】
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ジェンダー平等社会について御質問いただきました。まず男女の賃金格差についてでございます。男女間の賃金格差は女性の非正規就労者の割合が高いことや、出産や育児等による就業の中断がキャリア形成に影響したり、いわゆる管理職等の女性比率の低さ等によるものと受け止めております。
県では職場環境改善アドバイザーの事業所訪問や、社会保険労務士等の専門家の派遣を通じて、賃金格差解消を含む従業員の処遇改善の取組を支援するとともに、労務管理改善リーダー研修会等を開催し、働き方改革に関する制度の周知を図っているところです。
御指摘の賃金体系の公表については、女性活躍推進法においても義務づけとはなっておりませんが、本年4月から、同法に基づき、管理職への登用状況や女性活躍に関する情報の公表義務が、これまでの従業員数301人以上から101人以上の事業主に拡大されます。こうした制度の普及を図りながら、男女間の賃金格差の是正など、働き方改革の取組が進むよう、引き続き労働局を初め関係機関と連携しながら取り組んでまいります。
- 【高村京子議員】
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男女雇用機会均等法での国レベルでの相談件数は、令和2年度は、女性に対するセクシャルハラスメント6,337件25.2%を含む2万5,000件以上に増えております。県内での女性に対するハラスメントの相談件数や特徴を伺います。このような不利益扱いをなくすための企業啓発も一層力を入れていただきたいと思いますが、産業労働部長に伺います。
- 【林産業労働部長】
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女性に対するハラスメントについてでございます。長野労働局によりますと、令和2年度の男女雇用機会均等法に係る相談件数は271件であり、このうちセクシャルハラスメントに関する相談は90件でした。また、県の労政事務所に寄せられた同法に係る相談件数は38件で、うちセクハラに関する相談は17件となっております。
労働局に寄せられた相談内容では、セクハラに関する案件は前年度より若干減少した一方、コロナ禍でストレスを受けやすい、特に妊娠中の女性労働者に対する事業主の措置に関する相談が増加しております。
こうした中、労働施策総合推進法の改正により、令和2年6月から全ての企業において相談者に対する不利益な取り扱いが禁止されるなど、セクハラ防止対策が強化されるとともに、大企業においては、パワハラ対策が義務化され、本年4月からは、中小事業主にも適用されることとなっております。
現在事業所に対する直接的な指導、啓発については、長野労働局において是正指導を行っておりますが、県としましても地区労働フォーラムや人権啓発講座等を通じ、ハラスメント防止に関する意識啓発に努めてまいります。以上でございます。
- 【高村京子議員】
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様々な性自認の人々への生きづらさをなくし、自分らしく生活できる支援のために自治体が公的に証明する、パートナーシップ制度が急速に拡大しています。法律ではありませんが、夫婦と同等の扱いを実施している自治体は、松本市など全国で140以上に、県レベルでは6県がパートナーシップ宣誓要綱を設けて実施しています。東京都も来年度の実施を表明しました。県としても、パートナーシップ制度の導入を検討し、県営住宅への入居や入院、施設入所での夫婦と同等の扱いができるようにすべきではないでしょうか。大切な人と安心して暮らせる長野県となるよう支援策を進めていただきたいと思います。
知事にご見解を伺います。
- 【阿部知事】
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ジェンダー平等に関連してパートナーシップ制度の導入検討についての御質問でございます。提案説明で申し上げたように、私としては社会の中でマイノリティーとされているような方々をどんなときも温かく包摂できる長野県でありたいと強く願っているところであります。
このパートナーシップ制度、あるいは、様々な性自認をされている皆様方への対処方法については、現在の人権政策審議会において人権政策推進基本方針の来年度改定に向けての検討を行っているところでございます。
その中でもこのパートナーシップ制度も含めて県民の皆様方の理解の促進、あるいは具体的な支援の在り方はどうあるべきかということについて意見が交わされているところでありますので、私としては、この審議会の御議論を踏まえて施策の方向性を検討していきたいというふうに考えております。
なお本県におきましては、松本市が先行してパートナーシップ宣誓制度を行っていただいているところでありますけれども、これに対する県の対応といたしましては、宣誓をされたカップルが県営住宅に入居する場合、あるいは県立病院での面会や手術をされる場合の同意、さらに看取り、こうした場合に親族と同様の取扱いができるように対応させていただいているところであります。
引き続きこの人権問題、あるいはそのマイノリティーとされる方々への支援はしっかり県としても考えていきたいというふうに思っております。以上です。
- 【高村京子議員】
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それぞれ御答弁をいただき、ありがとうございました。
平和憲法の下、地球環境をしっかり守りながら誰もがその人らしく生きられる温かい長野県へ、確かな暮らしが営まれる美しい長野県に向けて、命を守る取組、ここに重点を置きながら、さらなるご努力をお願いいたしまして一切の質問を終わります。ありがとうございました。