日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2022年6月定例会 両角友成議員一般質問

  1. 「オンライン資格確認システム導入」に対する県の姿勢について
  2. 中小業者の経営支援について
  3. 飼料価格の高騰に対する県の施策について

1.オンライン資格確認システム導入」に対する県の姿勢について

【両角友成議員】

 日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告に沿って一般質問を行います。
 まず初めの質問項目は、オンライン資格確認システム導入に対する県の姿勢についてであります。
 厚労省が2023年末に、ほぼ全ての医療機関、薬局で導入するとして、補助金を倍額にするなど、促進しているオンライン資格確認システム、通称「マイナ保険証システム」です。
 この導入の主な理由だとする資格喪失の確認漏れによる診療報酬返礼の業務負担軽減について、全国保険医団体連合会の調査では、返戻件数は全レセプト件数の0.27%にすぎないとの指摘もありますし、病院で入手データとマイナンバーカード情報が一致しないとはじかれるとの医療機関からの苦情もあるようです。
 私は現在の保険証システムで何ら問題ないのではないかと考えていますし、果たして現在の保険証システムより便利になるとでも言えるのでしょうか。  政府の勧めで、現在既にシステムを導入している医療機関には、診療報酬の上乗せがあります。導入した医療機関にかかると、患者には最大21円の負担増となっており、矛盾が指摘され、導入早々見直しが検討されています。
 それでも、本年5月25日の報道によりますと、来年度より医療機関に対し、システム導入が義務化されるとのことです。この報道を確かめるべく、6月7日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2022、通称骨太の方針を読み解きますと、社会保障分野における経済財政一体化改革強化推進の部分で、オンライン資格確認について、保険医療機関、薬局に2023年4月から導入を原則として義務づけるとともに、導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直す、2024年度中を目途に、保険者による保険証発行の選択の導入を目指し、さらにオンライン資格確認の導入状況を踏まえ、保険証の原則廃止を目指す。確かに書かれていました。
 2年後の2024年には、保険証の原則廃止。現在これに向けて税金を使って特典を与えてまでも進める姿勢です。マイナ保険証にポイント7,500円です。  特に医療情報は究極の個人情報です。日本医師会は、機敏性、時に応じて素早く判断、機敏性の高い医療情報とマイナンバーがつながることは協議の俎上にない、断じて容認しないとしています。テレビコマーシャルまでして導入を進める国の姿勢に違和感がありますが、県としてどのように受けとめているか、知事に伺います。

【阿部知事】

 オンライン資格確認システムについて県としてどう受け止めているかという御質問であります。オンライン資格確認によりますマイナンバーカードの健康保険証利用の目的は、よりよい医療の提供体制を確保することというふうにされています。
 マイナンバーカード自体にはプライバシー性の高い情報は記録されないなど、セキュリティ対策にも配慮がなされているというふうに承知しています。  このシステムを使うことによりまして、本人同意を前提として、過去の服薬情報や健診結果などの正確な情報に基づいて、総合的な診療を受けられること、また、デジタル化により、医療従事者の業務の効率化が図れることなどが期待されているというふうに受けとめています。
 以上です。

【両角友成議員】

 続けて伺います。この動きに連動して総務省は、4月15日、今年度中にマイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載できるようにすると発表しました。スマホ搭載カメラによる顔認証や、センサーによる指紋認証を使い、行政がサービスの申請や特定健診の情報提供などが可能になるとしていますが、スマートフォンと連携すると、個人の情報保護の観点から情報漏えいなどの懸念があります。
 こうした状況の中で、スマートフォンとの連携を進めようとする国の動きに対し、県としてどのように考えているか。企画振興部長に伺います。

【阿部知事】

 私にはマイナンバーカード機能のスマートフォン搭載に関する県の考え方についてお尋ねがありました。
 現在、マイナンバーカードの安全性につきましてはICチップに税や年金などのプライバシー性の高い個人情報は記録されていない。暗証番号の入力を複数回間違えると機能がロックされる。紛失盗難の場合は、24時間365日体制で一時利用停止が可能である。不正に情報を読み出そうとするとICチップが壊れるといった様々なセキュリティー対策が施されていると承知しております。
 これらは今後、マイナンバーカードの機能がスマートフォンに搭載されたとしても、同様となる予定であり、加えて、新たに指紋などの生体認証も組み合わされることとされ、高いセキュリティレベルが維持されるものと理解をしております。
 このため、マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載することは、高い安全性を確保しながら、マイナンバーカードを携行せずとも、スマートフォン一つで様々な行政手続きやサービスを利用可能にし、利便性を向上させることにつながるものと考えております。
 以上でございます。

【両角友成議員】

 個人情報の漏洩が相次ぎ、昨年度分、国の発表だけでも5,846件、マイナンバーは170件、うち100名以上が一度に漏えいしたケースが9件とのことでした。
 マイナンバーカードは他人が扱うことはできません。例えば、現在、特別養護老人ホーム入所の認知症の方々に対して預かり証をつくって保険証を管理していますが、12桁の個人番号を見てはいけないとされマイナンバーカードを預かることが、果たして可能なのか疑問です。
 カードの発行を担当する地方公共団体情報システム機構によると、カードの更新には役所から申請を受けてから新しいカードの発送まで10日はかかる。役所を経て本人の手に渡るのに何日かかるのか。もしも交換している間に病院受診の必要が出た場合について、総務省は今後検討する。と無責任な態度です。まずは、導入ありきではないでしょうか。
 現在の保険証システムで何ら問題ないのではと改めて申し上げ、次の質問項目に移ります。

2.中小業者の経営支援について

【両角友成議員】

 次の質問項目は、中小業者の経営支援についてであります。
 日本銀行が毎月発表している企業物価指数、仕入れ価格や卸売価格が対象になるこの企業物価指数によると、2015年を100とすれば、今年4月には原油で210.6、鉄鋼で181.7、木材174.9、食料品農産物131. 8、小麦149.9など、急上昇しています。いずれも新型コロナウイルス感染症拡大が深刻化した2020年以降に値上がりが本格化、今年に入ってから、ロシアによるウクライナ侵略によってさらに状況が悪化しています。
 このような中、業者の方々から、工事発注者に2~3か月前に見積書を提出したが、直前に原材料が値上がり、発注者に交渉しても聞いてもらえない。鉄筋、アルミ材、垂木が1か月単位で値上がりしている。できるだけ見積もりに反映しているが間に合わない。1年に一度ぐらいの値上げなら協力をお願いできるが、3~4か月ごととなるとお願いできず、赤字になってしまう。
 他方、家を建てる計画をしている方からは、最初に概算見積もりをいただいたときと、本見積もりをいただいた額に大変な開きがあり、とても建てられない。値上がりした金額に消費税が上乗せになる。この住宅建設について、知り合いの建築士に、5年前と現在の住宅金額の比較を可能な範囲でお願いしました。結果は、特に木材、建材の値上がりが大きく、他の材料も全て値上がり傾向。基礎工事も上がるので20%アップ、1軒3,000万円の家が3,600万円になる。しかし、大工手間は上がっていないとのことです。
 業者の皆さんからの訴えは続きます。私どもにも、地元、犀川砂防建設業組合から理事長名で要望書が4月16日付で届けられています。内容は、近年大規模な自然災害が瀕繋しており、地域の守り手として地域に暮らす人々の安心安全を守る建設業の建設業界の役割は、ますます大きなものとなっていますが、将来にわたり建設業の使命を果たしていくためには、経営基盤の強化、経営の安定化が重要でありますとし、最近の物価上昇や原油価格の高騰の影響により、特に生コンクリートの原材料価格の上昇に伴い、㎥2,000円前後引き上げられ、ついては公共事業発注に当たり、設計価格に反映してほしいという内容でした。考慮願います。
 続いて6月8日、私たちの会派は県商工連合会等懇談を行いました。その中で、今、中小業者が置かれている状況は、下りのエスカレーターを懸命に上がっているようなものだと表現されました。その業者の皆さんの評価は、それぞれの地元で営業、製造業等の営みをしていることが、その地域を支えている役割は大変大きいと考えていると。決して暴利をむさぼっているわけではないと言われました。
 この業者の皆さんが、長引く不況の中、借入金を返す時期に来ていても果たして返せるか。業者の皆さんからは、商工連合会に対し、手立てを教えてほしいと、今、会員になる方が増えていると言われました。そして、国も県も業者に対する支援策が必要と強く要請を受けてまいりました。飲食観光業からは、コロナ禍で客が減少しているときに、値上げすれば、さらに客離れになるなどなど、8割もの業者が経営難を訴えています。
 国の緊急経済対策の補正予算の枠内だけでなく、県として独自の予算を組んでの緊急の支援策について伺います。また、今回の物価高騰緊急対策は第1弾とのことですが、今後の物価高騰対策の見通しについても、併せて知事に伺います。

【阿部知事】

 価格高騰、物価高騰に対する県として独自の支援と今後の対策の見通しについてという御質問であります。
 まず、今般価格高騰対策としての補正予算を議会に御提案させていただきました。また、その基として、長野県価格高騰緊急対策第1弾いう形で取りまとめさせていただき、影響を受ける県民、事業者の皆様方を支援していく方向性を取りまとめさせていただいたところであります。
 県独自の取組は何かという御質問でありますが、事業者向けの取組の独自なものとしては、例えば、中小企業融資制度資金の貸付限度額を引き上げて、資金繰りを支援してまいります。これは、経営健全化支援資金の新型コロナウイルス対策の貸付限度額を1.5倍に引き上げるようというものであります。  また、持続可能な経営形態への転換を促進するために、国の中小企業等事業再構築促進事業及び中小企業生産性革命推進事業に対する県独自の上乗せ補助を行ってまいります。グリーン成長枠であったり、あるいは原油価格・物価高騰等緊急対策枠、こうしたものを上乗せ対象に追加をしていくものであります。
 また、省エネルギーによりますコスト削減を支援するため、空調・換気・照明等に係る省エネ設備や太陽光パネル等の再エネ設備の導入経費を助成をしてまいります。事業者の対象によって補助は違いますが、最大が3分の2、補助上限額500万円ということで、事業者の皆様方のコスト削減の努力を応援していきたいと考えております。
 また、円滑かつ適正な価格転嫁を促進するために、長野県産業振興機構が設置しております相談窓口「下請けかけこみ寺」の周知であったり、あるいは発注元との交渉の仕方等を学ぶセミナーを開催をしてまいります。
 こうした政策、金融機関、産業関連団体と連携して行ってまいりますし、引き続き観光業の支援としての割引施策等も講じてまいります。
 また、もう一つ御質問の今後の物価高騰対策の見通しについてということでございます。今回第1弾ということで補正予算をお願いをさせていただいておりますが、まだ価格高騰の影響は、今後とも継続することが予想されます。そういう意味では、私ども長野県としては、まずは県民の皆様の暮らし、あるいは産業・経済にどのような影響が生じるのかということについて、しっかり把握をさせていただきながら、必要な対策を適切に講じていきたいというふうに考えております。  以上です。

3.飼料価格の高騰に対する県の施策について

【両角友成議員】

 次の質問項目は、飼料価格の高騰に対する県の施策についてであります。国内の食料生産に欠かせない肥料や飼料は、大半は海外からの輸入です。このところの原油高や円安誘導も加わり、農業資材価格は軒並み高騰。既に今年の1月時点で肥料は前年比10%、飼料は16%アップしています。
ウクライナ危機で、今後さらに高騰することは必至とみられています。
 畜産は全ての業種で大変な状況が続いています。一例ですが、県内養豚農家の訴え。飼料が1トン2万円値上がり。1か月の持ち出し分が84万円増えてしまった。さらに上がりそうで怖い。現在、飼料会社に2,000万円の支払いを待ってもらっている。地元の精肉店が理解を示してくれ、高く買ってもらい助かっているが、先が見通せない。資金繰りに対する支援、価格増加分の補塡をと行政に求めています。
 養鶏農家の訴えです。飼料の高騰が広く、1万円単位で上昇している。直接販売ルートを持っているところは何とかなっても、販売先を大手に依頼している中小農家は中間マージンがかかる。あと1回値上げされたらアウト、倒産と。肉牛用配合飼料の価格も、異常な値上がりであります。牧草では価格高騰だけでなく、確保が困難になり、酪農経営が窮地に追い込まれています。牧草まで輸入している日本。アメリカより7割、オーストラリアより2割、カナダより1割とのことです。
 6月定例会県議会に向けた知事申し入れを我が会派で6月9日に行いました。提出は7項目、その中に、飼料価格の高騰により、畜産農家の経営が逼迫しています。低金利で使いやすい融資制度などの資金繰り支援、価格増加分の補塡制度など、高騰対策を緊急に講じてください。
 このことに対する答弁で、政府系の融資制度で、現在1件当たり上限600万円を1,200万円にする。5年間無担保無利子。県として窓口を設ける。価格増加分の補塡もするが、農家は不十分感がある。国に対し、6月13日に改善を申し入れるとし、県独自の対策も取るとのことでした。
 これを受け、今回の6月補正を見ますと、新規で配合飼料価格高騰緊急対策事業6億1,000万円計上され、歓迎するものですが、価格安定化制度に加入している畜産農家に限っていますし、全体に行き渡るのか心配です。とにもかくにも大変な状況下で、県内畜産業をどのように守っていくのか。今後の見通しを含め、県の施策を農政部長に伺います。

【小林農政部長】

 私には、飼料価格高騰化における畜産の今後の見通しと施策について御質問をいただきました。本県の畜産は、近年、高齢化や専業化が進み、零細・小規模の農家が減少しております。一方で、1戸当たりの飼養頭数は増加し、経営の規模拡大が進展しており、この傾向は今後も続くものと見通しております。
 また、国際化が進む中で、輸入畜産物の拡大や不安定な飼料需給が続くとともに、環境や安全安心などに対する消費者の関心がさらに高まると想定しております。このため、短期的には今回お願いしております飼料価格高騰への取組を進めるほか、ロボット技術やICTを活用したスマート畜産技術の導入や、プレミアム牛肉等、競争力を持ったブランド畜産物の拡大。豚熱など家畜伝染病の防疫対策の強化や安全安心な畜産物の生産への強化などの取組を総合的に展開し、持続性の高い畜産業の構築に努めてまいります。
 以上でございます。

【両角友成議員】

 農政に対する私の思いを一言述べさせていただきます。我が国が直面している食料や農業の危機的状況は、食料を限りなく外国に委ね、農産物の輸入自由化を広げ、国内の農業を切り捨てる政治を半世紀以上にわたって続けてきた結果にほかなりません。根本にあるのは、アメリカの対日食料戦略に屈服し、大企業の利益優先のために食料や農業を犠牲にしてきた無責任な国の姿勢です。
 今、求められるのは、農政の方向を食料の増産による自給率の向上に大きくかじを切ることです。大量生産、大量流通、大量消費ではなく、地域循環型、地産地消を中心に、食料システム全体を転換することです。大小多様な家族経営が成り立ち、若者が安心して就農でき、農山村で希望を持って暮らせる土台を整えることです。
 我が国は、温暖で雨が多い自然環境です。発達した経済力、蓄積された技術など農業を豊かに発展させる条件はあります。その条件を生かし、基幹産業にふさわしい農業予算を確保し、価格保障と所得補償の抜本的充実など、欧米諸国並みの手厚い保護を実施する。際限のない輸入自由化をストップし、食料主権を確立することを柱とする農業食料政策を実施し、農業の再生を図るべきではないでしょうか。
 以上を申し上げ、一般質問とさせていただきます。ありがとうございました。

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