日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2022年9月定例会 両角友成議員一般質問

  1. 国のマイナンバーカード普及促進に対する県の姿勢について
  2. 再生可能エネルギー「小水力発電」の普及について
  3. 赤字ローカル線と指摘されたJR大糸線の存続について

1.国のマイナンバーカード普及促進に対する県の姿勢について

【両角友成議員】

 日本共産党県議団の両角友成です。私は、発言通告に沿って一般質問を行います。

 まず初めの質問項目は、国のマイナンバーカードの普及促進に対する県の姿勢はであります。

  マイナンバーカードが導入されて6年、毎日普及促進のテレビコマーシャルを流す。マイナンバーカードはこれからの暮らしに手放せない1枚と、各個人にマイナンバーカード交付申請の案内が再度郵送されるなど、多額の税金が使われています。プラス最大2万円のポイントまで付与する。しかし、取得率は50%に満たない状況です。

 これを受け、今度デジタル相になった河野氏は、マイナンバーカードを保険証として利用させて、なるべく早いうちに健康保険証を廃止したいと、事実上、同カードの取得強制につながる方針を表明。さらに市民カード化を進めるとして、運転免許証としての利用や、交付金の受取り口座とのひも付きも進めようとしています。

 マイナンバー制度は元々、税、社会保障、災害の3分野に限定され、カードの取得は任意であり、義務ではありません。しかし、なし崩し的に利用範囲が拡大され、取得が強制されようとしています。国による全国民の所得や資産、医療や教育など、あらゆる分野の膨大なデータが集積されることになります。個人情報の漏えいや悪用が懸念され、中でも医療データは、究極の個人情報と、マイナ保険証システムの問題点を、6月定例会で指摘をいたしました。

 同時にマイナンバーカードの機能をスマートフォンに掲載することに対する県の姿勢をただしたところ、答弁では、様々な行政手続やサービスを利用可能にし、利便性を向上させると肯定的でしたが、現実には、KDDIが今年7月2日通信障害を発生させてしまい、大混乱。ユーザーへの返金に至りました。国中が混乱する、このような通信障害を経験したわけですが、それでも県の認識に変化はありませんか。企画振興部長に伺います。

【清水企画振興部長】

 マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載に関する県の認識についてお尋ねがありました。

 6月定例会におきましては、議員から、マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載に関する個人情報漏えいの懸念について御質問をいただき、私からは、カードの高いセキュリティーレベルを保持しながら、利便性を向上させることにつながる旨の認識をお答えさせていただきました。

 その後、7月2日から4日にかけて、全国でKDDI株式会社が提供する通信サービスが利用しづらくなるという障害が発生しましたが、こうした障害によって、マイナンバーカード機能において施されている様々なセキュリティー対策が阻害されるわけではないため、前回のお答えと同様、高い安全性が確保されるものと認識をしております。

 一方で、このような大規模な通信障害は社会全体に大きな影響や被害をもたらしかねないことから、先月、全国知事会から国に対して、デジタル社会の実現に向けた提言として、通信事業者間の連携強化などによる、障害発生時のバックアップ体制の構築についても要請が行われました。

 国においては、今後、通信障害等の非常時においても、継続的に通信サービスを利用できる環境の整備に向けて検討を行うこととしており、通信事業者の取組と併せて、その国の動向も注視してまいりたいと考えております。

 以上です。

【両角友成議員】

 国はマイナンバーカードの普及率を地方交付税算定に反映するとまで言い出しています。取得はあくまで任意のはずです。今の国の動きは問題が多過ぎるのではないでしょうか。国の普及促進に対する県の姿勢を知事に伺います。

【阿部知事】

 マイナンバーカードの普及促進に対する県の姿勢についてという御質問でございます。

 マイナンバーカードは、これからのデジタル社会の基盤となるツールでありまして、現在でもワクチン接種証明書がスマホで取得できる、また、住民票の写しなどがコンビニで取得できる、確定申告がオンラインで行えるなど、様々な場面で活用されているところでございます。

 また、来年4月からはマイナンバーカードを健康保険証として利用できるよう、医療機関でのオンライン資格確認が原則義務化されますし、令和6年度末には運転免許証と一体化するなど、利便性向上のための取組が行われているところでございます。

 マイナンバーカードの普及につきましては、価格高騰対策として、マイナポイントの取得を行っていただく上でも重要というふうに考えておりますので、引き続き、市町村と協力しながらマイナンバーカードの普及に努めていきたいと考えております。

【両角友成議員】

 県民益から見ますと、マイナンバーカードの普及について、ある知事は、国の制度なのに都道府県に責任を負わせ、成績が悪ければ、補助金、交付金を冷遇するというのは、ほとんど恫喝する形で、アプローチが間違っていると批判をしていますが、まさにそのとおりではないでしょうか。

 1回限りのポイント付与も、複数回申し込めた人が500人以上の報道。国はバラ色に描きますが、とても心配ですと申し上げ、次の質問に移ります。

2.再生可能エネルギー「小水力発電」の普及について

【両角友成議員】

 次の質問項目は、再生可能エネルギーの普及、小水力発電についてであります。

 今年の9月末まで、節電期間として、企業や家庭に節電の協力ポイントまでつけて要請している現実があります。この夏の電力不足は、再エネと省エネの推進を怠ってきた現政権の責任です。日本も参加している再生可能エネルギーの国際会議、IRENAが3年前に、新たな世界という報告書で、化石燃料に大きく依存し、エネルギーの移行に対応できない国はリスクにさらされると警告していましたが、日本は、まさにこの警告どおりになってしまったと言わざるを得ません。

 EUはこの夏、2030年までに再生可能エネルギーの導入目標を発電の65%から69%に引き上げると、前倒しを決めました。これが世界の流れです。

 地球温暖化防止の観点から、二酸化炭素が排出される石炭火力と、安全性が問われ再稼働するべきでない原子力は避けるべきです。県として、県内ポテンシャルが高い小水力発電の普及に、もっと積極的に取り組むべきではないでしょうか。

 再生可能エネルギーの普及が環境を守り、新たな産業、雇用の場を創出すると、昨年6月定例会で指摘させていただきました。県は、小水力発電事業に対して、平成24年から始まった固定価格買取制度に合わせ、地域密着型小水力発電の進め方手引きを示したり、小水力発電相談窓口を建設部河川課に設置し、また国に対しては、小水力発電推進に必要な水利権などに対する改革を求めてきたものと承知していますが、河川、非河川含めた小水力発電の現状と普及を進めるための課題について、環境部長に伺います。

【猿田環境部長】

 小水力発電の現状と普及を進めるための課題についてのお尋ねでございます。

 長野県は河川の高低差が大きいことなどから、小水力発電に適していると言われており、環境省の2019年度の調査によれば、なお約31万キロワットのポテンシャルがあるとされております。2020年度までに県内に導入された設備容量は96万キロワットでございまして、長野県ゼロカーボン戦略では、2030年度に向けて約7万キロワットの増を目指すこととしております。

 小水力発電の課題といたしましては、初期費用が大きいことが一つ、もう一つが、技術面、手続面のノウハウが不足していることであろうかと考えております。このため、資金面に関しては、昨年度上限額を引き上げて、収益納付型補助金で支援しているほか、技術面、手続面に関しましては、議員からも御紹介がありましたように、企業局、建設部、環境部等の関係部局で構成する小水力発電キャラバン隊を編成し、事業者等に向けた相談会や講習会を開催しているところでございます。

 今後も引き続きこうした支援を行っていくほか、地域と調和した再エネを誘導するために市町村が設定いたします促進区域に関して、太陽光について、小水力についても県基準を策定するとともに、環境省が提供するポテンシャルデータをより有効に活用できるような、見える化の検討も進めてまいります。

 以上でございます。

【両角友成議員】

 企業局の持つ小水力発電に関するノウハウを基に、これまで市町村等への支援に取り組んできたと思いますが、企業局の取組の状況はどうか。須藤企業局長に伺います。

【須藤公営企業管理者兼職務執行企業局長】

 小水力発電の普及に係る企業局の市町村等への支援の状況についてお答えいたします。

 企業局では、これまでに蓄積した技術を活用して、小水力発電を計画する市町村団体等の事業者への支援を行い、再生可能エネルギーの普及拡大に努めてまいりました。具体的には、企業局内に発電所建設の経験を持つ職員を中心とした中小規模水力発電技術支援チームを設け、市町村等からの技術相談を受けるとともに、技術的な観点から事業開始までの手順や、運転、保守管理等の基礎知識について解説した水力発電推進マニュアルを作成、公開し、ノウハウの普及を図ってまいりました。

 また、先ほどの環境部長の答弁のとおり、部局横断の小水力発電キャラバン隊に参加し、出張相談会や技術講習会の開催により、事業計画の策定を支援してまいりました。こうした活動を通じまして、企業局が技術面での支援を行った件数は、平成24年度以降、延べ56件、うち4件で、発電所の運転を開始しております。

 今年度は新たに三つの発電建設事務所を設置して、現地機関を県内計5か所とし、支援を希望する事業者がより身近なところで相談できる体制を整備したところであります。

 今後も脱炭素社会の実現に向け、市町村等の要望を踏まえた支援を積極的に行ってまいります。

【両角友成議員】

 答弁をいただきました。進捗状況を、またどこかのタイミングでお聞きしたいと思います。

 次の質問に移ります。

3.赤字ローカル線と指摘されたJR大糸線の存続について

【両角友成議員】

  次の質問項目は、赤字ローカル線と指摘されたJR大糸線をいかに存続させるかであります。JR西日本は、4月11日に利用者が少ないローカル線の収支を初めて公表しました。対象となった大糸線の地元自治体である新潟県糸魚川市の米田徹市長は、通学・通勤だけでなく、観光、産業、防災などで地域に欠かすことのできない大切な公共インフラだと強調しました。

 今年開業65年の大糸線を巡っては、昭和40年、松本市から糸魚川までの沿線自治体でつくる期成同盟会をはじめ、大町市から糸魚川市までの沿線でつくる大糸線活性化協議会、安曇野市、池田町、松川村、大町市、白馬村、小谷村でつくる大糸線ゆう浪漫委員会が、主に活性化に向けて活動を展開しています。

 そもそも、国は1987年、昭和62年、国鉄分割民営化の際に、これ以上のローカル線は廃止しない、廃止は認めないと表明しました。しかし、全国を見ると、その約束に背いてきており、国の重大な裏切りです。

 私たち会派と小林君男議員で、8月29、30日に大糸線を実際に利用しつつ、視察及び沿線首長の皆さんと懇談を行いました。1日目は松本発9時55分の各駅停車、大町駅にて大町市に。徒歩にて大町市役所へ。副市長等との懇談では、大糸線は地域の足であること、南小谷から糸魚川市までは電化されておらずディーゼル機関車であること、JR西は8割が観光客であること、JR西が6億円余の赤字公表から全国から注目され、190名くらいであった大糸線応援隊が2,000名を超えたこと、全国とつながっているからこそ鉄路の意味があること、いかに乗ってもらうか、まずは、どういうことができるのか、自分たちで何の努力もしないでと言われないように知恵を出したい、「風と走れ、大糸線」を合言葉に。

 懇談後、糸魚川まで行こうとしましたが連絡がうまくいかず、平岩駅にて下車。宿を取り、翌朝9時30分に平岩駅発南小谷駅下車、小谷村役場へ。

 実は日程調整で、村長の都合で朝9時までに役場来庁すれば、1時間村長が時間を取ってくれるとなりましたが、そうするには平岩駅を私たちが予定した9時半一つ前は、なんと6時50分発とのこと。小谷村職員と、これは無理かなとなりました。

 当日小谷村役場では、地元住民の皆さんを対象にしたJR西による住民懇談会が開催されており、傍聴させていただきました。塩の道8コースあるなど観光の財産がある、大阪まで新幹線が開通すれば、糸魚川から関西のお客さんが期待できるのでは等、村長との懇談では、バス代替案ありきでの議論には乗らないことを確認し、懇談会を行うことにした。村だけの振興会議を立ち上げたこと。今回の報道が出て、利用客が増えた気がしている。乗り継いでの白馬村では、住民に危機感がある。白馬高校守るためにも大糸線は必要。新宿までのあずさは白馬駅始発であるが、今年になって白馬駅にみどりの窓口がなくなり切符を買うのが大変。自販機の前に列ができ、後ろに並ばれると焦ってしまい、余計に大変。グリーンシーズンは、午後5時には駅にお客さんがいない状態。無電柱化を進めるなど、駅中心の村づくりを進めている。確かに駅前はすっきりしていました。長野冬季オリンピックから24年たった。今はオールシーズン化を目指している。県には二次交通に対する支援をお願いしたいとの要望もありました。

 3市村との懇談をし、肌で感じたのは、存続に地元も力を尽くしますとの強い思いでした。大変ですが、これまで以上に地元の市町村、当事者として関わっていくことが重要と考えます。

 大糸線は、住民の貴重な交通手段であるとともに、観光面でも重要な役割を果たしており、地域振興にとってとても大切ですが、県の役割として、JRや国に対する働きかけも含め、どのような取組を行っていくのか。知事に伺います。

【阿部知事】

 大糸線の存続についてどう取り組んでいくのかという御質問でございます。

 大糸線は地域にとって重要な路線であるとともに、全国的、広域的な鉄道ネットワークの一端を担っているわけであります。また、県としても、平成7年の豪雨災害の復旧には多額の財政負担をして支えてきた路線であります。

 また、今後は北陸新幹線の延伸によりまして、関西方面との交流拡大にも寄与し得る路線だというふうに考えております。

 コロナ禍によりまして、利用促進に向けた取組を十分に行うことができなかったことから、まずは沿線自治体やJRを含めた関係者と一体となって、地域の皆様の生活利用や、コロナ禍から回復しつつある観光客の利用の促進に取り組んでいきたいと考えております。

 また、地域の足を確保する観点で、新潟県、沿線自治体など関係者と十分な意思疎通を図りつつ、地域の皆様の思いに寄り添いながら、必要に応じてJRや国への働きかけを行ってまいります。

 以上です。

【両角友成議員】

 昨日の代表質問に立たれた皆さんも、それぞれこの問題を取り上げていらっしゃるくらい、やはり関心が高い。沿線住民の皆さんは、本当に県がどうしてくれるのかということを注目していると私は思います。

 JR3社、東海、東、西は、赤字ローカル線廃止をもくろむが、コロナ禍でも5兆円の蓄え、コロナ禍で大幅に利用者が減ったとされる21年度でも、東海は3兆2,620億円、東日本1兆5,349億円、西日本は2,836億円となっています。

 今回のローカル線存廃の動きに、地方自治体は協議の場で廃止を迫ることになるのではと危惧する声が上がっています。事実、斉藤国交相は、半分以上の路線が残ると発言したと報じられていますが、これは、半分程度の路線が廃止されると表明したことになるのではないでしょうか。

 持続可能な地域社会づくりの基盤であるローカル線を存続させ、鉄道の全国ネットワークを維持し、地域の再生、活性化を目指すために、国がイニシアチブを発揮し、地域住民の移動権を守る立場に立つことが求められていると強調し、質問といたします。

 ありがとうございました。

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