日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2022年11月定例会 両角友成議員一般質問

  1. マイナンバーカードと健康保険証の一体化について
  2. 介護保険制度の見直しについて
  3. コロナ禍における教育現場の救済について

1.マイナンバーカードと健康保険証の一体化について

【両角友成議員】

 日本共産党県議団の両角友成です。私は発言通告に沿って一般質問を行います。

 まず初めの質問項目は、マイナンバーカードと健康保険証の一体化についてであります。

 河野デジタル相は、10月13日、2024年秋までに保険証の廃止を言い出しました。国民の理解を無視し、期限を切るのは強制であり、カードの普及のため、国民の命に関わる保険証を担保に取るやり方は、断じて許してはなりません。住民の命と健康を守り、誰もが安心して住み続けられるようにと、日々医療や福祉に取り組んでいる医療機関からも、健康保険証の廃止とマイナンバーカードと保険証の一体化に抗議の声が上がっています。

 一部紹介しますと、マイナンバー法第17号1項では、「その者の申請によりその者に関わる個人番号カードを交付するものとする」と任意取得の原則を定めています。国民皆保険制度において、マイナンバーカードと健康保険証の一体化は、マイナンバーカードの強制につながる法令違反です。

 そもそもマイナンバーカードの取得が進まないのは、個人情報が守られるのか国民の強い懸念があり、政府への信頼が低いからです。とりわけ医療情報という個人情報が紐づけられ、集積されることへの国民の憂慮は当然です。

 健康保険証が廃止されればマイナンバーカードを持ち歩く機会が増え、紛失のリスク、情報漏えい、第三者による悪用など懸念も高まります。マイナンバーカードを紛失すれば、再発行に1か月ほどかかると言われており、その間の受診をどうするかも決まっていません。患者、利用者はもとより、医療・介護現場に大混乱を及ぼすマイナンバーカードと健康保険証の一体化、健康保険証の廃止に強く抗議し、撤回を求めます。こんな内容です。

 他方、国の動きを見ておきますと、河野デジタル相は10月18日の会見で、来年の通常国会にマイナンバー法改正案を提出すると表明。これに対して、デジタル庁の(マイナンバー制度および国と地方のデジタル基盤抜本改善ワーキンググループ)専門家会議では、拙速にすべきでない、プライバシー保護が重要だと反対意見が続出。マイナンバーに紐づく個人情報を一元管理する機関や主体をつくらないようにするべきだとの意見も出ています。

 制度発足当初は年金記録の紛失が社会問題となっており、行政の透明性の確保が目的だったはずだの指摘。利用拡大について何のために拡大するのかが分かりにくいとの批判。さらに国民の政府への信頼は高くない、政府の透明性を高めるべきだ、そうでないと国民に受け入れられないと強調する意見。制度創設時には3分野、社会保障、税、災害の対策を広げないことでプライバシーとセキュリティーを守ってきたはずだ、国民が知らないうちに監視や不利益に使われないようにしなければならないと警鐘を鳴らす意見も。

 自治体と国が共同利用する情報システム基盤のガバメントクラウドについて、自治体と国の役割が混在する、元の制度設計から逸脱するのは違和感があると、民間連携による個人情報の民間活用が規律なく行われると詐欺のようなものに使われかねない、歯どめや規律が必要だとの主張も。このように、専門家会議でも懸念の声が上がっています。

 私は6月、9月定例会でも、マイナンバーカード普及の国のやり方に抗議するよう、事例を挙げて重ねて求めてまいりましたが、今回マイナンバーカードが普及策として、60年の歴史を誇る保険証を廃止する、ここまでされても県は何も言わず、国に従うのでしょうか。

 松本市では、生活保護世帯に「マイナンバーカードはお持ちですか」と申請手続きを促す動き、カードリーダーが設置されていない院所で、マイナ保険証での診察でトラブル、被保険者情報が迅速に反映されない、有効な保険証でも無効と表示された、カードリーダーそのものの不具合も、こうした事態をどの程度把握しているか、保険証の一体化、廃止について現状認識を健康福祉部長に。

【福田健康福祉部長】

 マイナンバーカードと保険証の一体化についての御質問でございます。県内の医療機関におけるカードリーダーの設置は、全国平均よりも進んでおりますが、マイナンバーカードでの利用が可能となっている医療機関は、11月20日時点で4割弱という状況でございまして、現場からはカードによる受診はまだまだ少ないとの声も伺っております。

 県内では御指摘ございました現場での大きなトラブルが生じたというお話、具体的な話は私ども現在のところ伺っておりませんが、今後マイナンバーカードの取得が進む中で、医療機関での受診が円滑に行われるよう、環境を整備していくことが重要であると認識をしております。

 保険証との一体化に当たりましては、カードを取得することが難しい方への対応など課題もございますことから、国に対して具体的な対応策を示すとともに、丁寧に説明を行うよう求めてまいります。

 以上でございます。

【両角友成議員】

 冒頭述べたように、国の動きには問題があり、保険証廃止の方針の撤回を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 マイナンバーカードの保険証利用への対応についてという御質問であります。

 デジタル社会、まだ非常に我が国はデジタル化が遅れている国だというふうに思っておりますが、もうこれは、課題を解決しながらも確実に進めていかなければいけないというふうに思います。

 コロナ禍、あるいは価格高騰対策の中でも、事業者、あるいは県民の皆様方にいろんな支援金、給付金を支給するとき、非常にアナログ的な作業で、非常に時間もかかる、コストもかかると。こうした課題を解決していかなければいけないというふうに思います。

 そういう中でマイナンバーカード、この情報化の基盤として、我々、今、普及のために市町村の皆さんと一緒に取り組んでいるところであります。健康保険証のデジタル化につきましては、診療や健診(検診)、投薬情報の一体的利用による医療の質の向上、また、医療機関の窓口での利便性の向上など、より良い医療提供のためのメリットがあるというふうに考えています。

 ただ一方で、全く問題がないわけではないというふうに思います。高齢者や新生児を含めてカード取得が難しい方々への対応であったり、また訪問診療、接骨院等における対応であったり、運用上の課題もクリアしていかなければいけないというふうに思います。

 国においては、10月に閣議決定された物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策の中で、マイナンバーカードの健康保険証との一体化を加速し、そのための環境整備等に取り組むとしています。今、関係省庁の検討会でこうした課題を整理していくと、対応していくという方針であると承知をしております。

 そういう意味では、この一体化のメリットが十分生かされるように、国においては課題を解決して、円滑な移行ができるように取り組んでいただきたいと考えております。

 以上です。

【両角友成議員】

 マイナンバーカードの発行を担う地方公共団体情報システム機構が、この5年間でカード関連事業に少なくとも179件、1,480億円超を発注していることが分かっています。受注は大手企業7社に集中。政権は今回の保険証廃止策動に見られるように、カード取得を事実上強制しており、今後さらに大手IT企業への利益が集中する状況が生まれます。

 制度の狙いは全国民にマイナンバーカードを持たせることにあります。あくまで任意取得であると改めて強調し、次の質問項目に移ります。

2.介護保険制度の見直しについて

【両角友成議員】

 次の質問項目は、介護保険制度の見直しについてであります。

 国では3年に一度の介護保険見直しの議論が行われ、年内にも利用者負担増がまとめられようとしています。社会保障審議会の介護保険部会の主な論点として、介護サービスの利用料2割、3割負担の対象拡大、ケアプランの有料化、老健施設など、多床室の室料の有料化、要介護1、2の生活援助の保険給付外し、福祉用具の貸与制度の購入への転換等が挙げられています。中身は大改悪です。

 3年前の介護保険見直しの議論でも、高齢者の生活への影響を理由に反対意見あり、使用料の原則2割負担が見送られた経緯があります。諸物価高騰の中、所得の少ない人ほど生活は困窮しています。高齢者は6月から年金が切り下げられ、10月から75歳以上の病院窓口負担が2倍になりました。

 2015年、年収280万円以上の人に利用料2割負担が導入されたとき、介護施設運営者でつくる21世紀老人福祉の向上を目指す施設連絡会の影響調査で、配偶者の生活苦、個室から多床室に移った、利用料の滞納、支払い困難を理由に退所といった施設が続出した報告がありました。

 今回寄せられた訴えに、呼吸困難な持病があり、就寝時呼吸をしやすくするため介護保険からレンタルした電動ベッドが不可欠です。現在厚労省の審議会では、電動ベッドなどの福祉用具についても、貸与制から販売へ転換することは検討項目に。今は月1,100円の負担で利用できますが、購入となると、電動ベッドは使えなくなるかもしれない。

 調べてみますと、電動ベッドの価格は、1モーター、2モーター、3モーターで違いますが、15万から20万円ぐらいです。医療費窓口負担は10月から2倍に、医療費は月2万円を超えます。弱い人ばかりを狙っているとしか思えない。介護事業者からは、要介護1、2の状態を維持していた人が保険給付から外されれば、この先要介護3に悪化するかもしれない。今、給付は抑えられても、将来さらなる給付が必要になりますと懸念を示しています。

 要支援1 、2は既に介護保険から外され、市町村が運営する地域支援事業に移行。この事業は一部無資格のボランティアなどが担い手です。要支援の人へのサービスは、要介護状態にならないためのものであったはず。しかし、地域支援事業への移行で利用できる頻度が減り、要介護状態に悪化した人もいます。要介護1、 2の利用者は、清掃や料理などの家事支援で訪問介護サービスを利用する人が多くいます。認知症の利用者の場合、薬の管理も必要に。要介護1 、2が保険給付から外されれば、認知症のある利用者がそれまで訪問介護によって適切に服用していた薬が飲めず、結果、症状が進む可能性も。みんな訪問介護を頼りにしています。何とか在宅で生活できるように、訪問介護が使いづらくなると在宅生活ができなくなる。家族は訪問介護があるから安心して働きに出られる。介護給付から外されたら、以前のような家族介護に逆戻り、安心して生活ができない。いい介護をすることで利用者の状態は悪くならない、長期的に見れば、それが結果的に介護給付も医療費もかからないことにつながる、などなどです。

 現在高齢者の生活は年々厳しくなっています。介護保険の利用料を2倍にしたら、尊厳ある生活ができなくなってしまうのではないでしょうか。介護という人生の中で最も支えが必要なときに、介護を取り上げるようなことをしてはなりません。制度の持続可能を言うのであれば、介護保険の国庫負担を増やすように、県民生活を守るためにも国に迫るべきと考えますが、いかがでしょうか。

 要介護1 、2を市町村の地域支援事業に移行するとしていますが、既に要支援を地域支援事業に市町村に丸投げした経過があります。この運用がうまくいっている認識か。県の見解を伺います。

【福田健康福祉部長】

 介護保険制度の見直しについて御質問を頂戴しております。

 まず要支援者へのサービス提供の現状についてでございます。御指摘の平成26年に行われました介護保険制度の見直しにつきましては、要支援者等に対する訪問介護、通所介護サービスを市町村が実施する地域支援事業に移行したものでございます。その際、併せて介護予防の取り組みを強化するため一般介護予防事業が設けられ、住民主体の介護予防活動の支援やリハビリ専門職が市町村事業に関与しやすくなるなどの見直しが行われたところでございます。

 制度改正前の平成26年9月に、県内で要支援者への訪問介護、通所介護を利用していた方は約1万3,800人でございましたが、地域支援事業による現行の事業対象者は、要支援認定を受けなくても基本チェックリストの状況によって利用可能になるという制度改正の影響もございまして、令和4年9月では約1万7,800人と約29%の伸びとなっております。

 こうしたデータが示しますとおり、要支援相当の方がより広くサービスが利用ができるようになったものと認識をしております。今後こうした軽度の方々が要介護状態になることを予防するために、リハビリ専門職の市町村事業への参画などをさらに進める必要があると考えております。

 県といたしましては、今後も市町村の状況に応じて、個別市町村への伴走的な支援や介護予防事業を充実させるためのリハビリ専門職を含めたアドバイザー派遣など、必要な支援を行ってまいります。

【両角友成議員】

 国では、さきに示したような内容で見直し作業が行われていますが、この営みに対して、県としてどのように考え、どのように対応していくか、健康福祉部長の見解を伺います。

【福田健康福祉部長】

 介護保険制度の見直しについてでございます。現在制度改正の一環といたしまして、給付と負担のあり方について国の社会保障審議会で議論されており、年内に議論の取りまとめが行われる予定となっております。御指摘のケアプランの有料化や軽度者への生活援助サービス等の地域支援事業への移行についても、検討対象となっているものとお聞きをしております。

 県といたしましては、制度の持続可能性の確保の観点から、これまで国庫負担の増額を県独自で要請をしてまいりました。また、制度の見直しにつきましては、その内容が、制度全体として高齢者が必要なサービスを利用し、安心して日常生活を営むことを阻害することのないように配慮していく必要があるものと考えております。

 国に対しては、直近では11月に厚生労働省に国庫負担の増額を直接要望したところでございますが、制度の見直しにつきましては、全国知事会において、社会保障審議会の議論に参画をしておりますので、こうした考え方を伝えてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【両角友成議員】

 繰り返しになりますが、このまま国の言いなりになれば、以前のような家族介護の時代に逆戻りしてしまうと警鐘を鳴らしておきます。

3.コロナ禍における教育現場の救済について

【両角友成議員】

 次の質問項目に移ります。次の質問項目は、コロナ禍における教育現場の救済についてであります。

ある小中学校の保護者からの訴えです。中学校の参観日に行ったら空席が気になった。8名がいなかった。夏休み明けはもっと欠席者がいたと聞いた。担任の先生は、仕事が重なり体調崩したなんて話をしていた。こんな状況で、教育現場において、不登校であったり子供たちの心の状態をしっかりフォローできるだろうか。小学校は何度か学級閉鎖になったが、その分の学習補塡がされた感じはありません。コロナ禍において、より子供のケアができる体制はないと感じている。先生方の大変さは目に見えて分かると同時に、子供一人一人に目が行かない、しっかり向き合える環境ではないと保護者から見て感じている。教諭を増やし、もしくは少人数学級にすることが様々な教育現場の問題点を解決することになるのでは。こんな切実な声です。

小学校現場からは、専科教員の増員は急務。音楽、理科、家庭科、英語、体育等、各学年に1人専科教員がいただけでも助かる。1週間29時間、1時間の空き時間もない。各授業の準備、事務仕事も膨大。授業のできる教員を増やしてほしい等の声です。

コロナ禍で困窮する学校現場の現状について、どう把握し、どのような問題意識を持っているか。また、小学校の教員の負担軽減について、教員の増員も含め、具体的な方針を教育長に伺います。

【内堀教育長】

 まず、コロナ禍における学校の現状と問題意識についてでございます。

 県内の小・中学校では、これまでも働き方改革を進め、教員の時間外勤務時間は年々減少傾向にありましたが、コロナ感染症対応業務などにより横ばいの状況となっており、コロナ禍においても、時間外勤務時間を縮減していくことは課題であると認識しております。

 そのような中でも、各学校ではできる限り子供と向き合う時間の確保に努めており、例えばこれまでの行事等のあり方を見直し、子供の発想を生かして一緒に作っていくなど、工夫した取り組みも生まれてきているところであります。

 次に教員の増員を含めた負担軽減についてでございます。教員の増員については、抜本的には国の定数改善が必要となりますが、教員の業務を支援する教員業務支援員の配置を、令和2年度当初の149校から本年度は321校へと拡大し、教員の業務負担の軽減に取り組んできたところでございます。

 今後も先ほど申し上げました行事等のあり方の見直しやICTの活用などと併せ、引き続き教員の負担軽減に取り組んでまいります。

 以上でございます。

【両角友成議員】

 答弁いただきました。学校の現状は大変厳しいものがあると、時間がありませんので、この続きは、委員会でやっていただきたいと思います。

 文科省の調査で、全国の小中高、特別支援学校で、2021年始業日時点で2,558名の教員が未配置となるなど、現在の学校現場は緊急事態です。非正規で欠員を補充するのではなく、抜本的な定数改善や労働条件拡充が必要です。国や県、市町村がやることは、教育優先の原則を確立すること。学校にもっとゆとりをと申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。

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