日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2022年11月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 環境保全研究所・安茂里庁舎について
  2. 会計年度任用職員について
  3. 緊急小口資金などコロナ関連融資返済について

1.環境保全研究所・安茂里庁舎について

【和田明子議員】

 まず初めに、環境保全研究所安茂里庁舎についてお伺いしてまいります。

 1948年に長野県衛生研究所としてスタートし、1968年3月に現在の安茂里庁舎が建設され、既に54年。衛生公害研究所、環境保全研究所と名称変更しながら、業務量も増え続けています。オウム真理教の使用した毒物がサリンと特定したことをはじめ、福島原発事故後には、放射線測定器による分析、現在はコロナウイルスの検査やゲノム解析など、その調査・研究は日々多様化しております。今後も、県民生活の全般にわたって安全を担保するために、非常に重要な調査・研究機能を有していると考えております。知事の認識を伺います。

安茂里庁舎は築54年で老朽化していること、さらに様々な機材がところ狭しと置かれて狭隘です。災害拠点施設としての耐震性は不足と指摘されております。 環境保全研究所安茂里庁舎の対策について、私も委員会に所属するたび質問を重ねてきました。令和2年2月の委員会では「非常に老朽化し狭隘だということは事実。諏訪湖環境研究センター(仮称)の開設も検討している中で、近い将来、環境保全研究所の組織の在り方の見直しが行われる、しなければならない状況」と答弁をいただきました。

 現在、諏訪湖環境研究センター(仮称)の設置は進んでいます。環境保全研究所の組織の在り方の見直しは、環境部、健康福祉部、総務部で検討されているものと思います。環境保全研究所の組織の見直しはどのように検討しているのか、また周辺が住宅密集地、老朽化している安茂里庁舎の対策、改修は喫緊の課題だと思います。検討状況を知事に伺います。

【阿部知事】

 環境保全研究所安茂里庁舎についての認識と今後の在り方についてという御質問であります。

 環保研の安茂里庁舎につきましては、安全・安心な生活環境と県民の健康を守るため、県行政を科学的見地から支える中核拠点として、環境・保健衛生行政において、重要な役割を担っているというふうに考えております。

 御指摘のとおり、安茂里庁舎は本館が建築から54年、別館が48年を経過しているということで、老朽化をしております。大規模地震発生時に災害拠点施設として十分な機能を発揮できないという課題も抱えておりますので、移転や改修など、これまで建物の在り方を中心に検討してきたところであります。

 その一方で、新型コロナの感染拡大を契機として、衛生部門の役割が増大をしてきております。また他方で、令和6年度には諏訪湖環境研究センター(仮称)に機能の一部を移管するなど、組織の在り方についても、建物以外の組織の在り方についても検討をしていかなければいけないというふうに考えております。

 こうしたことから、これまでの検討も踏まえながら、組織の在り方、建物の在り方を一体として議論し、できるだけ早く方向づけをしていきたいというふうに考えております。

 以上です。

【和田明子議員】

 大変重要な施設だということ、そして機能も持っているということを御認識であれば、本当になぜ改修が進まないかも含めて、一刻も早く結論を導き出してほしいと思います。

2.会計年度任用職員について

【和田明子議員】

 続いて、会計年度任用職員について伺ってまいります。2020年4月から、正規と非正規の公務員の格差の是正を図り、自治体で働く非正規公務員の待遇改善を進めるために会計年度任用職員制度が始まりました。

 昨年も本会議でお聞きをしておりますが、今議会でも質問をいたします。全職員数に対する会計年度任用職員の割合は、昨年度は知事部局で23.7%、教育委員会では9.4%という状況でした。今年度においても昨年度とほぼ同様で、知事部局では23.6%で、4人に1人に上っております。教育委員会は9.9%と、昨年よりも若干増えて約1割になっております。

 会計年度任用職員の男女比はどのような状況か。知事部局については総務部長、教育委員会は教育長に伺います。

【玉井総務部長】

 会計年度任用職員について御質問いただきました。

 まず、男女比についてでございますが、令和4年4月1日現在の知事部局の会計年度任用職員男女比は、男性46.6%、女性53.4%でございます。

【内堀教育長】

 会計年度任用職員の男女比についてのお尋ねでございます。令和4年4月1日現在の教育委員会の会計年度任用職員の男女比は、男性35.5%、女性64.5%でございます。

 以上でございます。

【和田明子議員】

 会計年度任用職員制度の運用開始から3年目を迎える2022年度末は、公募によらない再度の任用の上限回数を国に倣って2回とした自治体では、公募による雇い止め、いわゆる3年目の壁が危惧されています。会計年度ごとの雇用という不安定な状態に加え、公募による雇い止めが起きないようにしていただきたいと思いますが、本県の制度の運用状況を総務部長にお伺いいたします。

【玉井総務部長】

 会計年度任用職員制度の再度の任用に関する運用状況でございますが、本県の会計年度任用職員につきましては、採用における平等取り扱いの原則と同一の職員が継続した業務を担うことによる円滑な業務執行の観点とのバランスを考慮する中で、原則として同一の業務に従事する場合は、公募によらず、再度の任用を上限4回までとし、5年間は任用が可能としておりまして、国よりも長期間の運用が可能となる運用を行っております。

  以上でございます。

【和田明子議員】

 県には様々な相談業務があり、それぞれ資格取得をし、ケースが異なる多くの相談の経験を重ね、新たな法や制度の研修により、より高い専門性を持って県民生活を支える業務に就いている方々のほとんどが、非正規の会計年度職員として頑張っておられます。

 そこで、消費生活相談員についてお聞きしたいと思います。国家資格を有し、消費生活相談員は年々複雑化する問題に対して適切な助言や情報提供を行えるよう、幅広い知識や消費者問題に関する法律知識が求められます。そして、消費生活センターで直接消費者からの相談を受ける、また、相談員の指導や養成にも当たるということで、県民に身近な場所で消費者トラブルの相談を受けることと併せて、県内の自治体で、消費生活相談業務を行っている自治体のサポートも必要に応じて行うなどの役割を担っています。

 また、消費者トラブルも、現在、旧統一教会の被害者救済に関連した法案が審議されておりますが、これまでも消費者相談に関連する新しい法律などを踏まえ、業務に当たるために研修に研修を重ねるなど、頑張っていただいております。高い専門性と経験を持った職員が継続して住民サービスに当たるなど、正規職員が担うべき専門性と持続性が求められる職種だと思います。正規職員にすることが県民サービスの向上につながると考えるがいかがか。県民文化部長に伺います。

【山田県民文化部長】

 私には消費生活相談員を正規職員とすることについて御質問いただきました。県内4か所の消費生活センターには、現在15名の消費生活相談員を配置しております。相談員は、消費者安全法に基づきまして、国家資格である消費生活相談員資格試験に合格した者、またはこれと同等以上の専門的な知識・技術を有すると知事が認める者であるという必要がございます。

 また加えまして、議員から御指摘もいただきましたとおり、日々の業務の中におきましても、相談者に分かりやすく、納得いただける助言を行うなど、高い対応能力を求められております。このため、処遇や任用期間等につきましては、一般事務に従事する会計年度任用職員に比べて特に配慮したものとしております。

 現在、第3次長野県消費生活基本計画の策定と併せまして、県消費生活センターの集約と機能強化についても検討をしております。この機能強化に当たりましては、相談体制の充実とともに、相談員の雇用形態につきましても検討を行い、県民サービスの向上につなげてまいりたいと考えております。

  以上でございます。

【和田明子議員】

 知事もご存知と思いますが、職場で会計年度任用職員なしには仕事が回らない、技術の継承のために雇用を継続してもらっているということをお聞きしております。正規と非正規の公務員の格差の是正を図り、自治体で働く非正規公務員の待遇改善を図るために、2020年度から始まった会計年度任用職員制度は、一定の改善が図られ、全国的に危惧されているような公募による雇い止め、いわゆる3年目の壁については、県独自に期間の定めの対応が長期化するというふうに、総務部長からも御答弁がありました。

 しかし、年度ごとに雇用の更新がされるということにおいては、不安定雇用であることは否めません。県行政の質とサービスを担保していると言える専門性の高い職員は、本来正規として採用すべきと考えます。知事に伺います。

【阿部知事】

 私には専門性の高い職員の正規採用について御質問いただきました。

 先日の関東知事会議でも、ある県から御提案があって、地方公務員制度のもっと柔軟化が必要じゃないかという御提案があり、私も賛同したところでありますが、現行法制の中で、我々としては現状では運用していくということが強く求められているわけであります。

 会計年度任用職員については、和田議員の御質問中にも触れていただいたように、この長い間、臨時職員、非常勤職員、これは自治体によって身分の取扱いがバラバラということで、非常に課題が多かったという中で制度改正が行われて制度化されたわけであります。

 本県としても、これまで期末手当の支給月数の引上げであったり、あるいは休暇制度の拡充であったり、この会計年度任用職員制度を踏まえた処遇改善に当たってきているところであります。

 一方で、非正規職員については、これは常勤、常時勤務を要する職については、従事する業務の性質に関する要件と勤務時間に関する要件、いずれも満たすということが必要になってまいります。業務の性質については、相当の期間任用される職員をつけるべき業務であること、また勤務時間については、フルタイム勤務とすべき標準的な業務の量があることが基本的な要件という形になります。

そういう意味で、こうした要件に照らしながら、引き続き適正な任用を行っていきたいと考えております。

 以上です。

【和田明子議員】

 消費生活相談員については、今後正規雇用に置き換わっていくということを期待しておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。知事もおっしゃっていましたけれども、これらの皆さんを、そもそも採用する際に、募集の仕方がパートというふうに、正規雇用に置き換わる条件ではなく採用されているのではないかと思いますので、この点も再度確認をしていただければと思います。

 知事は、今議会の提案説明で、令和5年度当初予算編成に当たり、来年度の県財政は価格高騰や海外経済などのリスク要因により、県税収入の動向が定かでなく、社会保障関係費や県債残高の増加により、財政構造が一層硬直化することから、引き続き厳しい状況となることが見込まれますと言われ、こうした状況の中、徹底した事務・事業の見直しによる選択と集中の強化、それらを通じた組織のスリム化、職員数、総人件費の適正化などに取り組むと述べておられます。

 県職員の定数管理は厳しい中、さらに職員の削減をするのか、その場合には会計年度任用職員は職員定数管理の外の人たちであり、給与は人件費ではないことで、正規から会計年度任用職員に置き換えられていくのではないかと危惧しております。

 今までも自治体に総務省から総人件費の削減、定員管理計画が押しつけられ、全国的に1980年代の320万人から2020年には270万人へと職員削減がされました。その代わりに調整弁のように置き換えられたのが自治体の非正規職員でした。とりわけ2005年以降はすさまじく、2020年には非正規職員が69万人を超えました。この皆さんが官製ワーキングプアと社会問題化して、国は一定の待遇改善をする、こういうことになり、会計年度任用職員制度をスタートさせたことを指摘をしておきたいと思います。

3.緊急小口資金などコロナ関連融資返済について

【和田明子議員】

 次に移ります。緊急小口資金などコロナ関連融資返済について、健康福祉部長にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染拡大によって収入が減った人に対し、生活資金を特例で貸し付ける緊急小口資金と総合支援資金は、期間の延長を行いながら今年9月に受付を終了しました。

 長野県では緊急小口資金は、令和2年3月から約1万3,000件近く、金額にして20億円を超えております。総合支援資金は1万5,000件を超え76億円と、件数・金額とも大変大きくなっております。この間のコロナ禍による県民生活への打撃がいかに大きかったか、このことがこの件数・金額に表れております。

 そしていまだに苦境に立たされている方も多いことから、年明けから始まる返済について、国は住民税非課税世帯の償還を免除することになりました。そのためには申請が必要です。多くの方々が利用しています。免除対象の方々が漏れなく申請するための特別の手立てが必要と思います。

 また、県独自の償還金補助を拡充されることになり、償還金の全額が免除されることは、共産党県議団でも免除の拡充を求めていましたので歓迎するものです。県の補助対象は、住民税所得割非課税相当の世帯ですが、国の住民税非課税世帯の償還免除と同じように、申請漏れがないよう対応していただきたいと思います。早い方々は、年明け令和5年1月から返済が始まります。具体的にどのように周知の手立てを取っているのかお伺いをいたします。

【福田健康福祉部長】

 御質問をいただきました。

 まず、緊急小口資金等特例貸付の償還金免除等の周知についての御質問でございます。緊急小口資金等特例貸付に係る国の償還免除制度及び県独自の償還金に対する補助制度につきましては、貸付の実施主体である県社会福祉協議会と連携をいたしまして、今年6月と11月に、来年1月からの償還対象世帯全てに個別の案内を送付しているところでございます。また、今後償還が予定されている世帯に対しましても、順次制度を御案内することとしております。

 そのほか、県ではチラシ、SNS等多様な手段によりまして、幅広い周知に努めているほか、今年12月末で申請が終了する新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の受給終了者など、国や県の制度が適用される可能性が高いと考えられる世帯に個別に案内を送付することとしております。漏れなく申請をいただけるよう、できるだけ幅広く情報提供してまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 緊急小口資金・総合支援資金について、国の償還免除の対象とならない、住民税所得割非課税世帯相当の方に対しては、県独自で償還金に対する補助を実施するということになり対象拡大をしますが、これらの国や県による制度の対象とならない返済免除の対象から外れる世帯についても、40年ぶりの急激な物価上昇など、家計の負担は増すばかりであります。生活を立て直そうとしても、返済が生活苦に追い打ちをかけるのではないかと危惧されます。

 特例貸付制度はコロナ禍でスピード感をもって行われました。県内においても2万件以上の貸付が行われました。一方で、こういう方々に貸しつける際にも丁寧な相談支援が行われるのが常でありましたが、この特例貸付はスピードを重視し、そういう中で相談支援が追いついていないのではないか、こういうことが心配されております。

 生活の状況によっては、生活保護なども含めて、相談支援の体制を取って丁寧に、生活苦、困窮に今もある立場の皆さんに対して対応していく必要があると思います。「まいさぽ」などで相談支援を行っていただいていますが、県は具体的にどのような支援を行っているのか伺います。

【福田健康福祉部長】

 償還免除等の対象とならない世帯に対する支援についてでございます。国や県の制度の対象とならない世帯が生活に困窮している状況が判明した場合は、貸付の実施主体である県社会福祉協議会と、市町村社会福祉協議会、さらに「まいさぽ」が連携をしながら、生活再建に向けまして、個々の状況に配慮した償還の猶予や、償還計画を無理のない金額に変更する少額返済等支援制度の案内、あるいは電話、個別訪問等アウトリーチによる積極的な支援を行うこととしております。

 今後も関係機関と連携しながら、令和5年1月から始まる貸付の返済が借受人の自立の妨げにならないよう丁寧な支援を行ってまいります。

【和田明子議員】

 総合支援貸付金の貸付が終了した世帯等に対して、自立支援金の支給がされてきたところでありますが、令和4年12月末が申請期限とされています。既に12月を迎え、申請期限が迫っています。自立支援金は本当は使える方々に、必要な方々に周知が漏れてはいないでしょうか。申請を促しているのか伺います。

 また、国に対して期限の延長を求めてほしいがいかがか。どうでしょうか。そういう点でも、また、もし国が無理であれば、県独自に支援策を行うことを検討されないか。あわせて健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 生活困窮者自立支援金の申請期限の周知でございます。この新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金につきましては、貸付の実施主体である県社会福祉協議会より、特例貸付の利用世帯全てに償還の案内と併せて制度についての案内を個別に送付し周知を行ったところです。また、申請窓口である福祉事務所等において、相談者に対して制度の案内と早期の申請を促しております。

 なお、国への期限の延長の要請をしてはどうか、また、県独自の支援策はどうかという御質問でございますが、国では、申請者数が減少したことなどを受けて、自立支援金については12月末で終了し、今後は物価高騰対策として、生活困窮者支援に取り組んでいくこととしております。

 県では、全国知事会等を通じて物価高騰の影響を受けやすい生活困窮者への支援について要望を国に対してしているところでございます。また、住民税所得割非課税世帯等に対しましては、先ほど来申し上げておりますとおり、緊急小口資金の償還金の全額免除、1世帯当たり3万円の支給など、県独自の新たな支援策を講じたところでございます。

 今後とも国の対策を注視し、必要に応じて国に要望するとともに、県独自の支援策と併せ、「まいさぽ」等での丁寧な相談支援により、生活にお困りの方々をしっかり支えてまいります。

 以上でございます。

【和田明子議員】

 それぞれ御答弁いただきました。本当に新型コロナウイルス感染症によって収入が激減をして、特例貸付を受けたその段階から、一層また深刻になっている方々もおられます。そういう点では、償還の免除、これがされることは本当に一定よかったというふうに思いますけれども、それにかかわらず、その枠を超えてしまっている、そういう方々にとっても、本当にこの年の瀬、また来年以降も、ますます物価高騰になる中で、生活支援に対しては、伴走型、そしてアウトリーチをしながら支援をしていただける体制も、「まいさぽ」などとも連携をして県としても十分に取っていただき、またこの年末はワンストップでサービス、また相談を受けていただける、そういう体制も整えていただくようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。

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