日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2022年11月定例会 毛利栄子議員一般質問

  1. 新型コロナウイルス感染症対策について
  2. 県営住宅に関する諸問題について
  3. ケアリーバー支援について

新型コロナウイルス感染症対策について

【毛利栄子議員】

 日本共産党県議団の毛利栄子です。

 新型コロナウイルス感染症対策につきまして、知事並びに健康福祉部長に伺います。

 新型コロナウイルス感染症が急増し、新規陽性者は11月23日は4,328人という爆発的な多さとなりました。人口10万人当たりの新規陽性者数では、12月8日現在全国6番目、確保病床使用率も11月14日に医療非常事態宣言を発出し注意を促しているものの、12月4日には70.8%と、これまた全国トップレベルとなり、確保病床以外でも347人の入院を受け入れ懸命の対応をしていただいていますが、厳しい状態が続いており、関係者の御苦労には本当に頭が下がります。死亡者数も、高齢者中心に増えており、現在524人となっています。亡くなられた皆さんに心からお悔やみを申し上げます。

 知事は、重症化リスクの高い人を中心に、救える命が救えないことのないように取り組むとされ、基礎疾患のある方、65歳以上の方を中心に対応に注力されています。医療機関が逼迫していることは理解しますが、問題は、高齢者施設などでクラスターが広がったり感染者が出ても施設内での療養を余儀なくされ、入院できないまま命を落とされる高齢者がいるということです。

 オミクロン株は重症化リスクが低く、比較的軽症だと言われてきましたが、7波になって亡くなる方の数は急速に増え、特に10月末からのほぼ1か月間で全体の4分の1を占め、11月は10月の死者数の4.4倍と急増しています。

 国が推進してきた施設内療養ですが、21世紀・老人福祉の向上を目指す施設連絡会の調査によると、全国の特別養護老人ホームや養護老人ホームの5%近い施設で施設内療養中に亡くなった入所者がいるとのことです。医療機関につながらないまま命を落とすことはあってはならないことです。

 県は第7波の発生状況と対策の振り返りを公表し、9月25日までの状況を明らかにしていますが、それ以降、現在までの高齢者施設でのクラスターの発生状況、施設内療養の状況、高齢者施設内での死亡者の状況についてお示しください。

 また、そもそも高齢者施設は生活の場であって医療の場ではないことから、施設内療養の該当職場では、保健所からの指導を受け懸命に対応しているものの、職員も感染し、もう限界だとの声が上がっています。無理があると考えますが、原則施設内療養とする現在の方針を見直すことや、施設内療養を続けるとすれば、現状の支援策をさらに強化することが求められると思いますが、健康福祉部長、いかがですか

【福田健康福祉部長】

 新型コロナウイルス感染症の高齢者施設での施設内容について御質問を頂戴しております。

 9月26日以降12月7日までの間に高齢者施設で発生をいたしましたクラスターは266件でございまして、また県内には入所型の高齢者施設1,350施設ございますが、施設内療養はそのうち321施設で行われております。また、施設の死亡につきましては、現在、高齢者が地域で安心して暮らせる地域包括ケア体制の構築を進めております。そのため近年、施設や御自宅で看取りが行われるケースもかなり増加をしている状況でございますが、コロナによる死亡者について申し上げますと、発生当初から令和4年12月7日までに公表した死亡者516名のうち、施設内で療養中に亡くなられた方は76名確認されております。

 施設内療養につきましては、令和3年10月25日付の国の通知により、入院が必要ない場合は施設内療養が可能とされたところであり、また病床所逼迫時には、患者受入れ病院に過度の負担をかけないためにも必要であると考えているところでございます。

 施設内療養を行う高齢者施設への支援につきましては、これまでクラスター発生時における感染管理認定看護師の派遣や、抗原定性検査キットの配付、保健所等による相談や助言等を行ってきたほか、11月28日には施設内での重症化予防をさらに進めるため、抗ウイルス薬投与等に係る研修会を開催したところでございます。

 また、施設内療養に要する経費や従事する職員の超過勤務手当等につきましては、施設種別ごとに上限額を設けて定額で補助しているところでございますが、さらなる支援として、その上限額を原則2倍にする予算案を今議会に提出しており、支援を一層強化してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【毛利栄子議員】

 県では現在54の医療機関に531床のコロナ病床を確保していますが、確保病床に対する使用率が7割を超し、介護現場のみならず医療機関も逼迫し、懸命の努力の中、疲労困憊の状況が続いていると伺っています。

 コロナ禍で高度急性期・急性期の治療に当たる病院の役割が再認識されてきています。知事は、地域の実情に応じた医療提供体制の構築に努めると言われていますが、国が進める地域医療構想の下、2015年から2021年の6年間で、高度急性期・急性期の病床数は1,447床も減っています。これほどまでに病床数が減っていなければ、コロナ対応がより十分にできたのではないかと思われますが、病院の機能転換が果たしてどうだったのか、検証が求められていると思います。

 知事の見解を伺うとともに、感染症がこれからも形を変えて蔓延することも懸念されます。これ以上は高度急性期・急性期のベッド数は減らさず、充実することこそ必要だと思いますが、知事の所見を伺います。

【阿部知事】

 新型コロナに関連して御質問いただきました。

 今も医療現場、介護現場で御尽力いただいている従事者の皆様方に改めて私からも感謝と敬意を表したいと思います。

 御質問にありました、まず病院の機能転換とそれから急性期病床の充実についてという御質問であります。

 本県、現在1万9,000床余りの病床を有しているところでありますが、今後2025年にかけては本県の人口は194万人まで減少し、後期高齢者の割合も20%まで上昇という見通しであります。どんどんどんどん御高齢の方が増えてそして、いわゆる現役世代が減少しているというのが大きな流れになっております。

 そういう観点で、こうした人口減少、そして人口構造の変化に伴って、医療の在り方もしっかり見直していかなければいけないというふうに思います。そういう観点で、重篤な病気や手術に対応する急性期病床の必要性は減少してきている一方で、リハビリや長期療養のための回復期・慢性期病床の増加が必要だという状況の中で、この医療資源を適正化するための機能転換の取組が行われてきているわけであります。こうした取組は今後とも重要だというふうに考えております。

 他方で、コロナ対応につきましては、本県の場合は公立・公的病院を中心に担ってきていただいております。新たに県立病院機構の病床も、さらにコロナ対応を増やしていくということで予定をしているわけでありますけれども、こうした機能については、今回のコロナ禍の教訓も踏まえ、今後とも充実・強化をしていく必要があるというふうに考えています。

 次期医療計画の策定に当たりましては、各地域の中核的な病院を中心に災害医療と同じような観点があります。要は、どのような感染症になるか分かりませんので、その段階でしっかり柔軟にかつ的確に対応していくということが必要でありますので、平時から感染拡大時に転用できる病床を確保していくということと併せて、専門人材の養成などの取組を進めていきたいというふうに考えております。

 こうしたことを通じて、新興感染症等の感染拡大時に、医療機関の連携役割分担の下で、適切な対処を行うことができるように取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 県内のコロナの陽性者数は既に33万人を超え、県民の16%が感染したことになります。これからの季節、インフルエンザの流行の可能性も指摘されており、発熱外来をはじめ、ますます医療が逼迫することが懸念されます。徹底した換気や手洗い、消毒、マスクの着用を実行するとともに、ワクチン接種の促進と、大規模な検査の実施が求められているのではないでしょうか。

 小学生から64歳以下は、基本的に抗原検査キットによる自己検査が推奨されております。体調が悪化してから購入するために出かけるわけにはいきません。加えて、購入する場合でも注意事項を聞いたり書類を書いたりと、お金も時間もかかります。身近に薬局のない地域もあります。

 そこで県として全世帯規模で検査キットの無償配付をするなど、抜本的な対応を検討していただきたいと思いますし、薬局等での無料の一般検査を12月31日で終了するのではなく延長すること。年末年始での臨時検査拠点の設置などを求めますが、いかがでしょうか。

【阿部知事】

 今後の検査キットの配付、それから年末年始における検査拠点の設置等について御質問いただきました。

 現在のオミクロン株の流行下におきましては、若くて基礎疾患がない方はほぼ重症化することがないという状況の中で、そうした方には、体調不良時の自己検査、そして陽性の場合の軽症者登録センターの登録の呼びかけということを行わせていただいています。これは、外来診療に過度な負荷がかからないようにという観点にお願いをしているところであります。

 こうした中で検査キットについてでございますけれども、8月31日からインターネット販売も開始されているところでありますので、県としては、あらかじめ各自で御購入いただくようお願いしているという状況であります。

 その一方で、これまでも重症化リスクが高い方が多い高齢者施設等や低所得の方など、必要性の高い方に対しては無償で提供させていただいておりますほか、外来診療逼迫時には、診療検査医療機関からも無償で配付いただくこととしているところであります。

 また、年末年始に向けましては、必要な方が検査を受けることができるよう、引き続き対策を検討してまいります。なお、年末年始の帰省時の対応としては、長野駅及び松本駅前に臨時の検査拠点を設置をして、無料検査を行っていきたいというふうに考えておりますし、また、薬局における無料検査でありますけれども、現在12月末までというのが国との間の期限になっておりますが、これは延ばしていただかなければいけないというふうに思いますので、延長をするべく、国と協議をしていきたいというふうに思っております。

 引き続き必要な検査、必要な対応ができるように、またコロナの感染状況も見極めながら、適切な対応を行っていきたいというふうに考えております。

 以上です。

【毛利栄子議員】

 無料検査の延長や主要駅等での検査を実施していただくということで、そのことについては歓迎いたします。

 昨日の知事答弁で、陽性者数に占める死者数の割合は、第5波までの1.08%、第6波の0.16%に比べて第7波は0.11%と低くなっているとのことですが、問題は率ではなくて、いかにして亡くなる人が少なくするかではないでしょうか。そのためには、感染を広げないための陽性者の早期把握と隔離、必要な医療が迅速に適用されることが必要だと思います。

 大阪府では抗原検査キットの配付を、9歳以下の子供がいる家庭に、個人もしくは保育所学校などから申込みを受けて行っており、既に60万件の注文があると聞きます。緊急事態なので、長野県でも限定的な、先ほど御答弁のような限定的な対応ではなくて、大規模な検査が手軽にできるよう、検査キットの無償配布など、実情に即した対応を求めます。

県営住宅に関する諸問題について

【毛利栄子議員】

 次に、県営住宅に関する諸問題について建設部長に伺います。

 公営住宅は民間の賃貸住宅に比べて低廉な家賃が設定されており、住宅に困窮する低所得者にとって入居がしやすいため、住宅セーフティーネットの役割を果たしています。従来県営住宅の入居に際し、連帯保証人をつけることを求めていたため、その保証人を引き受けてくれる人が見つからずに、入居申込みができずに困っている方々が少なからずおりました。

 今回、県営住宅条例改正案が提案され、保証人が撤廃されることは歓迎しますが、敷金3か月分については見直しがありません。民間では既に敷金を徴収していないところも出ている中で、県として敷金の見直しの議論はどのように行われたのでしょうか。所得の低い方々にとって、入居時にかかる費用も負担になっています。敷金は廃止していただきたいと思いますがいかがですか。

【田中建設部長】

 私には県営住宅に関して御質問いただきました。

 まず、県営住宅の敷金の検討経過に関するお尋ねです。

 今般の連帯保証人の見直しを検討する中で、まいさぽをはじめ、住宅福祉の審議会委員など、有識者から敷金の在り方についても御意見をお聞きしてきました。有識者からは、生活に困窮し、一括で納めることが困難な場合があるという御意見の一方、敷金を廃止すると退去時の負担が大きくなるなどの御意見もいただきました。

 こうした意見を踏まえて検討した結果、現行制度を維持しつつ、まいさぽの自立支援事業を受け入れる入居者には、分割納付を認めることとしたところです。

【毛利栄子議員】

 名義人が死亡、もしくは離婚などでいなくなった場合の入居者の承継について伺います。承継は、長野県の場合は障害者などの特別扱いはあるものの、原則配偶者のみとなっています。親子3人で住んでいた方が母親が亡くなり、その後名義人の父親が亡くなったため親子間承継が認められず、住み慣れた住宅を退去するよう言われて困っているなどの例もあります。どこかに出て行くように言われても、今の家賃と同じ低廉な条件で住めるところはありません。

 住まいは人権であり、自分の責任に属さない理由で出なければならないのも理不尽ではないでしょうか。自治体によっては子や孫まで広げているところもあります。長野県としての承継の枠を広げる運用していただきたいがいかがでしょうか。

【田中建設部長】

 入居名義人が死亡した場合などの承継に関するお尋ねです。

 県営住宅は、住宅確保が困難な方へのセーフティーネットとしての機能を有することから、限られた戸数を真に住宅を必要とする方に提供する責務があります。そのため、承継できる方は原則として配偶者としていますが、高齢者や障害者等、特に居住の安定が必要な方についても承継を認めており、引き続き、個々の事情を丁寧に把握して適切に対応してまいります。

【毛利栄子議員】

 県営住宅プラン2021では、2030年には県住の余剰が2,000戸出ると推計し、低層住宅を中心に管理戸数を減らし、用途廃止をしていくとしています。入居者が1軒もいなくなり除却対象になっている団地が幾つも出てきていますが、除却が進まず背丈ほども伸びた草や木が大きく茂り、治安や景観の上でも支障が出て、近隣の住環境を悪化させている例が散見されます。建設事務所などでも除草に御努力いただいていますが、用途廃止となった住宅の管理と除却スケジュール、跡地利用についてどのように取り組んでいくのか伺います。

【田中建設部長】

 用途廃止した県営住宅団地の管理に関するお尋ねです。用途廃止とした県営住宅は、他の用途での活用などを検討した上で、利用見込みがないものから順次除去しております。除去までの間は施錠を徹底し、周辺の防犯や住環境保持の観点から随時見回りを実施するなどの管理を行っています。

 また、最近の跡地活用としては、市町村産業用地や学校法人の認定こども園敷地としての売却実績があり、引き続き有効活用を図ってまいります。

 以上でございます。

ケアリーバー支援について

【毛利栄子議員】

 次にケアリーバー支援について、こども若者局長に伺います。

 児童養護施設や里親家庭で育ち、進学や就職を機に、施設などを離れるケアリーバーと呼ばれる若者への支援の在り方が改めて問われています。社会的養護の下で育った若者は、従来原則18歳、最長でも22歳で施設を退所し、自立することを求められてきました。

 しかし、親など身近に頼れる人がいないために、退所後、生活費や学費を工面できず、社会生活の知恵がないまま1人になり、相談相手もいない中で挫折や孤立するなど、問題が指摘されてきました。

 6月に成立した改正児童福祉法では、2024年4月から年齢制限を撤廃し、施設などが自立可能と判断したときまで継続入所できるようになり、年齢制限の緩和は関係者の悲願であっただけに、歓迎をされております。

 長野県内の児童養護施設で18歳を超えて入所している若者の実態についてお聞かせください。また、高校等を卒業するなどして、施設を退所した者についての退所後の進路状況について伺います。

【野中こども若者局長】

 私には、ケアリーバー支援について御質問いただきました。

 まず、施設に18歳を超えて入所している若者の実態と、ケアリーバーの進路状況と課題についてでございます。

 児童福祉法においては、児童養護施設等入所者のうち、進学や就職をした者の生活が不安定であったり、障害や疾病等の理由により進学や就職が決まらない児童など、継続的な養育を必要とする者については、自立して生活できるめどがないまま措置解除することのないよう、満18歳を超えて満20才に達するまでの間、引き続き措置を行うことができるとされております。

 県内の児童養護施設では、定時制高校等に在籍をしていたり、障害者グループホームへの入所調整に時間を要しているといった理由により満18歳を超えて入所している者が、令和3年度末時点で11名おります。また、本年3月に高校等を卒業して、県内の児童養護施設を退所した若者は33名おり、その進路状況につきましては、大学等への進学者が11名、就職者が16名、その他グループホームへの入所者等が6名というふうになっております。

 児童養護施設退所後の若者につきましては、頼れる大人が身近にいないケースが多いため、不安や悩みを相談できないまま、生活苦に陥ったり、離職や退学に追い込まれるといった課題を抱える可能性があると考えており、各施設では退所後も継続して相談に乗るなど、個々のニーズを踏まえた柔軟かつ丁寧な支援を児童相談所など、関係者と共に連携して行ってきているところでございます。

【毛利栄子議員】

 平成27年4月1日以降、ルートイングループからの寄付金を活用した「飛び立て若者!奨学金給付事業」をスタートし、月額5万円の給付があるわけですが、給付実績はどうなっているのでしょうか。生活費が続かず、大学を中退する学生も少なからずいるとのことです。給付の停止についても伺います。

【野中こども若者局長】

 「飛び立て若者!奨学金給付事業」の給付実績についてでございます。

 県では児童養護施設や里親等へ入所・委託措置されていた児童が、保護者からの経済的支援を受けられないことを理由に大学等への進学を諦めることがないよう、ルートイングループ等からの寄付金を活用した「飛び立て若者!奨学金」により、入学一時金及び生活費を支援しているところでございます。

 当該奨学金制度を創設した平成27年度以降、合計66名に対して給付をしており、そのうち卒業した者が30名、現在受給中が23名、休学により停止中の者が1名、中途退学により支給を取りやめた者が12名という状況でございます。中途退学の理由につきましては、勉学意欲の喪失や人間関係の悩み、進路変更とお聞きをしているところでございます。

【毛利栄子議員】

 厚労省の調査は、施設や里親を通して調査票を配ったとのことですが、住所が不明といったことから、本人に送付できたのは対象の僅か35%にとどまったとのことです。このことは施設退所後の支援がほとんどされていないことの反映でもあると思われますが、長野県では、退所者の暮らしぶりの把握や一人一人の状況に応じた継続支援はどのようにされているのか伺います。

【野中こども若者局長】

 ケアリーバーの暮らしぶりの把握や継続支援についてでございます。

児童養護施設を退所する際には、児童相談所において、面談等による本人の意向確認、施設や地域の支援者との支援会議などを行い、安定した就学や就労に結びつくように丁寧に対応しているところでございます。

 また、施設退所後は児童養護施設においてアフターケアが必要な児童の住居や就業先を訪問し、悩みや問題を抱えている場合には助言をしたり、就学・就労先等の関係機関に退所者の状況等を説明し理解を求めにいくといった丁寧な対応を行ってきており、県では、こうした対応結果について定期的に報告してもらうことで、退所者の状況把握に努めているところでございます。

 退所児童にとっては悩み事を一番相談しやすいのは施設であり、児童と信頼関係ができている施設職員が相談支援を行うことが効果的な自立につながるものと考えております。県といたしましては、退所者のアフターケアを行う施設等の活動費や人件費を補助することで、施設の取組を後押ししてまいります。

【毛利栄子議員】

 今年、長野県社会福祉協議会や児童福祉施設連盟、株式会社レントライフ、NPOホットライン信州など6団体が、社会的養護出身の若者サポートプロジェクトを立ち上げて、アパートの確保などの居住支援、何でも相談、就労支援などに乗り出しました。

 社会的養護から巣立った若者との支援ルートが、施設だけの単線からネットワークとして広がろうとしていることは、ケアリーバーにとって重要な支援となる取組だと思いますが、県としての評価と関わり方について見解を伺います。

【野中こども若者局長】

 社会的養護出身の若者サポートプロジェクトに対する県の評価と関わり方についてでございます。

 自立に向けて入所等措置を解除された児童は、日常生活や金銭管理、進学先や就職先での新しい人間関係の構築などに関する様々な悩みや不安に直面する可能性があり、その支援には入所施設や児童相談所だけでなく、様々な機関が関わっていただくことが重要であると考えております。

 そうした中で、今般、社会的養護出身者の仕事や住まいなどに関する包括的相談支援と支援のための社会資源の開発を行うことを目的として、長野県社会福祉協議会など6団体によります、社会的養護出身者の若者サポートプロジェクトというものが立ち上がりましたことに関しましては、民間団体等様々な機関の協力を得た幅広い支援体制が構築されるということにつながり、支援の充実に向けた非常に有効な取組であると考えております。

 県では本プロジェクト立ち上げ前から、県社会福祉協議会からお話をいただいており、関係機関への周知等に協力をしてきたところでございます。今後も引き続き本プロジェクトと連携をいたしまして、ケアリーバーの支援の充実に取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 国は20年4月から退所前後の一人一人に寄り添った支援を強化するため、施設が自立支援担当職員を配置できるようにしました。しかし、人材確保が難しいことや、個々の施設に余裕がないため、配置が進まないと聞いています。措置費の増額が必要ではないでしょうか。現状と強化方向について伺いたいと思います。

【野中こども若者局長】

 自立支援担当職員の配置の現状と支援強化の方向性についてでございます。

 現在県内にある14か所の児童養護施設のうち6施設において自立支援担当職員を配置し、退所後にアフターケアを必要とする者の職場や自宅を訪問するなどして、相談支援に当たっていただいているところでございます。

 各施設に対して、来年度の予定を調査したところ、さらに3施設が新たに配置をすると回答いただいており、来年度からは9施設において自立支援担当職員が配置される予定となっております。あわせて、配置を予定していない施設に聞き取りを行いましたところ、国の措置費制度で定める支援退所者数や支援回数の要件を満たすことが困難であるということや、支援スキルを持った職員を配置できないといった課題もあるというふうに承知をいたしております。

 県におきましては、こうした課題に対応するため、今後施設職員を対象とした研修において、既に自立支援担当職員を配置した施設における支援事例の共有、医療や福祉に関する各種制度の周知・研修を通じ、支援スキルの向上を図るとともに、自立支援担当職員に係る措置費制度の改善についても国に対して要望してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【毛利栄子議員】

 過日、児童養護施設にお邪魔させていただいて、様々なお話を伺ってまいりました。一時保護を含めて、入所者の中で被虐待児が8割というふうなお話を伺いました。その子たちに寄り添いながら、職員の皆さんは一人一人に心を砕き頑張っておられる様子を伺い、本当に頭が下がる思いでありました。

 低賃金、物価高、コロナ禍の中で児童養護施設を離れた若い皆さんが、孤立して悩み挫折することなく、困ったときには、「ただいま」と安心して帰ってこられるよう、サポート体制が一層の充実発展する長野県になってほしいことを期待して質問を終わります。

 ありがとうございました。

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