日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2023年2月定例会 両角友成議員一般質問

  1. 知事の政治姿勢 平和について
  2. 新型コロナウイルス感染症対策について
  3. マイナンバーカード普及促進の手法について
  4. 40年来の物価高に対する対応について
  5. 再生可能エネルギーの普及について

1 知事の政治姿勢 平和について

【両角友成議員】

 皆さん、おはようございます。日本共産党県議団の両角友成です。私は発言通告に沿って一般質問を行います。
まず初めの質問項目は、知事の政治姿勢、平和についてであります。
岸田政権が昨年末に公表した安保関連3文書、敵基地攻撃能力を持ち、今後5年間で防衛予算を2倍に、43兆円と言い出しました。2013年版の安保戦略にあった、日本の「平和国家としての歩みは国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない」 というくだりは今回削られました。戦後の日本が長年かけて築いた世界の高い評価を捨てる行為です。
しかも、こんな大事なことを国会にも国民にも提示することなく政権が決める。民主主義国家では許されることではありません。びっくりさせられたのは、それを真っ先に報告したのはアメリカの大統領にでした。その後国会へ。一体どうなっているのか。 閣議決定がこのまま実行されれば、犠牲になるのは私たちの暮らしです。社会保障や医療費の負担増、今以上に年金は削られるでしょう。そもそも食料自給率38%の国です。周辺国と仲たがいすればたちどころに食糧難に陥ります。
閣議決定は撤回し、これまで日本が国際社会で高い評価を受けてきた平和国家への道を進むべきではないでしょうか。
知事は昨年9月定例会で、武力攻撃事態に備えて訓練を実施するために国と調整するなどと、防衛に関する一歩踏み込んだ発言をされ、この姿勢に、県民から少なからず心配する声が上がりました。武力攻撃事態とは、外敵の上陸・侵攻、ミサイル攻撃、爆撃等を指し、その切迫、緊張した状態になるを含みます。
国内が標的となる有事はどんな状況で起こり得るのか。どのような兵器が使われ県内でどんな被害が生じるのか。まず国にただし、なぜ訓練が要るのかを県民に説くのが先。
2016年から18年にかけての他県で続いた訓練は、子供たちが防災頭巾をかぶったり、教室の机に隠れたり、ミサイルが着弾した場合この程度で事が足りるのか。ともかくの訓練では住民の不安がかえって強まり、統制に従う空気だけが助長されかねない。実際のありさまを見極めることなく緊迫の雰囲気に乗じてはならない。このような戒めの中身でした。
本年1月11日の信濃毎日新聞記事が目に留まりました。それは「軍拡前にできることを」と題した中学生の投書です。内容の抜粋ですが、最近の軍拡のニュースを聞くと、戦争の足音が聞こえてくるようで恐ろしい。私は、防衛費増額を目指す人は未来を見る視点を持つべきだと思う。このまま軍拡を進めると戦争が始まり、多くの罪のない人を苦しめてしまいかねない未来を考えねばならない。そして国は、脅威への対処で必要なのは、武力でなく対話であることを認識すべきだ。中学3年生。感動をもって読みました。
私たちは、今まさに平和を守るために力を尽くすときではないでしょうか。知事の岸田政権による大軍拡に対する見解と平和に対する思いを伺います。

【阿部知事】

 私の平和に対する思いという御質問いただきました。
私は、多くの皆さんと同じでありますけれども、世界の平和を強く願う者 であります。本当に戦争が起きてしまうということになると、弱い立場の方々が本当に筆舌に表し 難いような苦痛を味わうと。これはウクライナに対するロシアの侵攻を見ても明らかだというふうに思います。そういう意味では、世界平和、これは我々がしっかり維持していかなければいけないというふうに思います。
しかしながら、その一方で、国際情勢は非常に緊迫をしています。世界各国が、これだけウクライナ侵攻は国際法に反するのではないかという声を上げても、いまだに事態は続いていると。こうした現実を片方で我々は直視しなければいけないのではないかというふうに思います。
そういう意味で、この場でも申し上げましたけれども、自らの国の平和と安定は自らが守り抜くという、しっかりとした覚悟が必要だというふうに思います。
もとより国際間の諸問題は外交努力を通じて解決していくということが基本だと思いますが、今の国際情勢の中でどのような防衛力が必要なのかということについては、何と言うか、議論を避けることなく、本当に真剣な議論をしていかなければいけないというふうに思います。
G7外相会合が軽井沢で開催されるということになりました。先日、各国大使館の皆さんとお話をしました。もちろん和やかな雰囲気での会談、話合いをさせていただきましたけれども、しかしながら、扱われるテーマは非常に深刻なものになるだろうというふうに思います。
そういう意味で、外交、そして防衛政策、安全保障の在り方全般について、我が国の戦略、そしてそのためにどういう対応が必要なのかということについては、これは国会の場でしっかり議論していただきたいと思いますし、また我々は納税者、主権者でありますので、我々も決して人ごとではなくて、自分事 として考え続けなければいけないというふうに思います。
ぜひ国会の場におきましては、国民の理解と納得が得られるような検討を行っていただくことを、心から期待をするところでございます。
以上です。

【両角友成議員】

 松本市内のある御高齢の女性が話してくれました。私の父は私が2歳のときに戦死しました。私は父の顔もぬくもりも何も覚えていません。戦争はやっちゃいけない、戦争はやっちゃいけないと。
評論家、故加藤周一 さんは、2005年の11月、9条の会の講演で、「平和を望むなら戦争を準備せよ」 というラテン語のことわざを紹介しつつ、これは間違っていますと指摘。戦争の準備をすれば戦争になる確率が大きい。もし平和を望むなら平和を準備したほうがいいと。この言葉を紹介し、次の質問に移ります。

2 新型コロナウイルス感染症対策について

【両角友成議員】

 次の質問項目は、コロナ感染症対策についてであります。
岸田政権は、本年1月27日、新型コロナウイルス感染症法上の位置づけを、季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げることを正式決定しました。移行は、大型連休明けの5月8日の予定です。広島サミット目前です。専門家への検討指示から僅か1週間。1日当たりの死者数が依然高止まりする中、公的責任を後退させる姿勢を改めて示しました。
現在は2類以上の対応が可能な新型インフルエンザ等に分類され、感染者の全数把握や、医療機関や感染者への公的支援などの根拠となってきました。
岸田首相は、同日の政府の対策本部で、治療費の公費支援について期限を区切って継続すると表明。3月上旬をめどに具体的な方針を示すとし、段階的な縮小、廃止を明確にしました。マスクの着用は、屋内屋外を問わず個人の判断を基本とすると。
新型コロナの感染力は季節性インフルエンザよりはるかに高く、昨年末からの第8波では、感染者数の急増で医療体制が逼迫し、1日当たりの死者数が500人を超える日も出ていました。
岸田首相は、同日の厚生科学審議会で引き下げが了承されたことを根拠にしています。しかし同部会では、委員から懸念の声が相次ぎました。
谷口清洲国立病院機構三重病院院長 は、5類では国民の自主努力が基本になるとし、1年に3回も流行を起こし、そのたびに医療体制が逼迫する疾患を5類に当てはめていいのかと指摘。政府が5類化で医療の担い手が増えるとしていることにも、コロナ専門病床を一般病床に戻す動きが出るなど、診療しない施設が増えるリスクがあるとしました。
釜萢敏日本医師会常任理事、山田晃生東京大学名誉教授は 、危険な変異株が出た場合の対応の難しさなどに触れ、本来は新型コロナに特化した類型を作るべきと主張しました。以前、尾身茂会長に対し記者から、いつになったらマスクを外すことができますかの質問に、インフルエンザにタミフルという特効薬があるが、コロナに対する特効薬ができないと難しいと答弁されていました。
アメリカでは、新型コロナウイルスオミクロン株の一つXBB.1.5が急速に拡大した経過があります。ほかの変異ウイルスと比べ感染を広げる力はより強いとみられ、ワクチン接種など、対策を続けるよう呼びかけられています。日本国内でも確認されています。
公費支援がなくなると、ワクチン接種1回9,000円、ゾコーバ1クール10万円、レムデシビル(点滴) は5日間で38万円と高額で、3割負担でも重く、受診控えが起こりかねません。最大の問題は、医療体制の面でも、医療費の面でも、国の責任を放棄することになり、コロナは大した病気ではないという誤ったメッセージを送ることになることです。
コロナ感染症を2類から5類に、この議論は安易にすべきではなく、逆にコロナ感染に慣れてしまうことに警鐘を鳴らすべきではないでしょうか。今は医療体制の強化こそ必要です。国に対し、慎重な対応を求めるべきと考えます。
また病床確保料はどうなるか、医療機関も心配していますが、見通しはいかがでしょうか。健康福祉部長に。

【福田健康福祉部長】

 新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更された場合に病床確保料がどうなるかという御質問をいただきました。
1月27日に、国の新型コロナウイルス感染症対策本部が、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更等に関する対応方針 を決定しておりますが、それによりますと、入院などの医療提供体制については3月上旬を目途に具体的な方針を示すとされておりまして、現時点では、病床確保料の見通しについては明らかになっておりません。
国に対しては、幅広い医療機関における入院患者の受入れ体制が整備されるまでには一定の期間を要することから、病床確保料等の支援を継続するよう、全国知事会等を通じて要請をしているところでございます。
以上でございます。

【両角友成議員】

 2類から5類への移行に対する見解を知事に伺います。

【阿部知事】

 新型コロナウイルス感染症 の2類から5類への移行に対する見解という御質問でございます。
新型コロナとの闘いは非常に長い間に及んでいるわけでありますけれども、感染力が強いけれども病原性が低くなったオミクロン株の出現、あるいはワクチン接種の推進という中で、2類相当として新型コロナが位置づけられた発生の初期の段階とは、大分状況が変わってきているというふうに思っています。感染者の把握方法、療養場所、ワクチン接種の推進、いろいろと環境が変わってきています。
こうした中で、一つは、今の2類相当ですと、非常に対応できる医療機関が限定されてしまうという形になりますので、やはり特定の医療機関の逼迫を防ぐという観点からは、幅広く医療機関で対応していただくということが必要になってきているというふうに思っています。
また、御承知のとおり、2類相当の対応しておりますので、就業制限をはじめとする私権制限にわたるものも講じられてきているわけでありますし、社会経済活動への影響も非常に大きなものがあったわけであります。今のような対応の位置づけを本当にこれからも続けるのかというふうに考えたときに、私としては、この法的位置づけの見直しは不可避ではないかというふうに思っております。
国においても審議会等で慎重に議論を重ねた上で、総合的な判断で5類への移行が決定されたものというふうに受け止めております。
一方で、移行に伴ってこれまで私どもが対応してきた取組、あるいは様々な医療機関等での対応が変化をしてくることになります。医療提供体制、あるいは公費負担の在り方、さらには高齢者施設等に対する支援の在り方、こうしたものについては、激変を緩和するための経過措置を設けながら段階的に移行していこうという方針が、国からも示されたところであります。
県としても、県民や医療現場等が混乱することなく5類への移行がなされるよう、医療機関をはじめ、関係の皆さんと十分連携をしながら必要な対策を講じていきたいと考えております。
以上です。

【両角友成議員】

 ある病院の院長は、いつかはなくなると信じて頑張っていると言われました。今までコロナを診察してこなかった病院は、他の患者さんと動線を分けて対応することが困難なことなどが理由でした。5類になっても普通の風邪になるわけではなく、診察する病院がそう簡単に増えるとは思えません。
後遺症を含め、苦しんでいる方、亡くなる方もいる中、5類に対応できる医療体制をこう整えるなど、5類で安心だと思える状況をまずつくることが先ではないでしょうかと申し上げ、次の質問に移ります。

3 マイナンバーカード普及促進の手法について

【両角友成議員】

 次の質問項目は、マイナンバーカード普及促進 の手法についてであります。
現在の保険証で受診する患者とマイナ保険証で受診する患者で診察料に差をつける。ここまでするのかの思いです。1月27日の報道、「論をつなぐ」 の中で、松本市民の方が、そもそもマイナンバーカードの取得は任意であったはず。なのに政府は、その普及を促進するため、健康保険証の機能があるマイナ保険証に対応した機器の導入を医療機関に強制し、カードを持たない者には受診料を上乗せするという。もう一つ、カードの普及率に応じて地方交付税の配分に差をつけるとも報道されていた。
政府は1年以上にわたり、税金をふんだんに使ったカード普及を促すテレビコマーシャルを流し、個別に推進チラシを送り、普及促進の大臣まで任命してきた。そしてカードを取得すれば、その御褒美として多額のポイントを付与している。
戦闘機の買入れ等々防衛費の増額が打ち出され、その昔、民意統制の方向へと転げ落ちていくイメージが重なって見えてしまうのは私の思い過ごしだろうか。思惑を越えて恐怖感を覚えてしまう。任意であるはずのマイナンバーカードを私は作成するつもりはないという内容 です。
政府は法改正を経ずに、省令で利用範囲を定めることを可能にとまで言い出しています。国の思惑とは違い、例えば自治体では、地方交付税算定53.9%といわれる普及率突破に向け、独自の普及策を講じなくてはならない。2万円にプラス5,000円の上乗せ。
岡山県備前市では、カードがあるなしで子供さんの保育料、給食費に差をつける。医療では、補助金がある2月までにオンライン資格認定等システム 150万円相当を導入したいが、果たしてうちの病院ではカードリーダーは何台必要なのかと混乱しています。
自治体、病院等にこのようにさせてまでマイナンバーカードを普及しようとする、強引ともいえる国の動きに対しての見解を知事に伺います。

【阿部知事】

 マイナンバーカードの普及に向けた国の取組についての見解という御質問であります。
長野県も、市町村と連携してマイナンバーカードの普及促進に努めさせていただいてるところであります。なぜならば、このデジタル社会をしっかり進めていかなければ、県民の利便性の向上、あるいは行政運営の簡素化、効率化、こうしたことが、今いろんな技術が出てきているにもかかわらず、もう昭和時代の仕事の仕方がそのままだというふうに私は率直に思っています。世界はもっと進んでいる状況の中で、デジタル化、DXの推進というのは多くの皆さんの期待であり願いだというふうに思います。
そういう意味では、このデジタル社会の基盤としてのマイナンバーカードについては、我々もしっかり普及に努めていかなければいけないと思いますし、単に普及させるということだけではなくて、やはり我々行政としては、こうしたマイナンバーカードという基盤を使って、できるだけ県民の利便性をしっかり向上していくこと、そして行政運営の簡素化、効率化を進めていくということが必要だというふうに思っています。
そういう意味で、国もいろいろな手法を用いながら、普及拡大に努めているところでありますけれども、例えば交付税のお話もありました。マイナンバーカードの取得率が高い市町村を割増ししますと。これはマイナンバーカードを利活用した取組にかかる財政需要が多く生じると想定される市町村の経費を割り増ししていこうというのが国の考え方でありますし、交付税の在り方としては、財政需要を何をもって捕捉するかという観点では、こうした考え方も私としてはあり得るものというふうに思っています。
引き続き、長野県としては、このデジタル社会の実現に向けた取組を、市町村の皆様方とも協力しながら進めていきたいと考えております。
以上です。

4 40年来の物価高に対する対応について

【両角友成議員】

 次の質問項目は、40年来の物価高に対する対応についてであります。
経験したことがないような物価高に見舞われています。国民の生活悪化が深刻です。ある商店主は、全てが不安で不安で仕方がないと話されました。
現状を打開するには、賃上げを軸に実体経済を立て直すこと。とりわけ内需を活発にすることに本腰を入れることが必要です。そこに踏み出してこそ、マイナス金利になるという異常な金融は正常に戻すことができます。賃上げが鍵であることは、政府も、日銀も、経済界も、誰も否定していません。手取りで月収20万円程度に引き上げることは、最低限の生活面でも、地域経済の底上げにも急務です。
中小企業・小規模事業者は、地域に根を下ろし、ものづくりやサービスの需要に応え、雇用を生み出し、地域経済を担う最も重要な存在です。鍵は、中小企業・小規模事業者の賃上げへの直接支援だと考えます。物価高に対応するため、賃金の底上げにもつながる県としての支援策を産業労働部長に伺います。

【林産業労働部長】

 物価高に対応するために賃金の底上げにもつながる中小企業・小規模事業者に対する県としての支援策についてお尋ねをいただきました。
賃上げの実現には、中小企業の生産性向上や適正価格による取引の促進とともに、収益確保と賃金配分の好循環を生み出すことが重要と認識しております。県では昨年12月、経済団体・労働団体等との連名による「価格転嫁と賃上げを促し地域経済の活性化に取り組む共同宣言」 を行い、賃上げの機運を高めるとともに、受注者側の立場からサプライチェーン全体の共存共栄と新たな連携について取り組む「パートナーシップ構築宣言」 の促進や、賃上げ促進税制の周知に取り組んでいるところです。
また、中小企業に対する直接支援が必要との御指摘につきましては、経営改革に取り組む事業者に対し、信州創生推進資金事業 展開向けの貸付利率を引き下げるとともに、3年間実質無利子となるよう、令和5年度中の貸付けに限り利子補給を実施いたします。
また、省エネ・再エネ設備の導入に要する経費の助成を行う、エネルギーコスト削減促進事業の継続実施など、長野県独自の支援策を講じ、価格高騰に直面する中小企業を支援してまいります。

5 再生可能エネルギーの普及について

【両角友成議員】

次に再生可能エネルギーの普及について伺います。
岸田首相議長とするグリーントランスフォーメーション、GX実行会議 は、12月22日、新たな原発推進策を含む基本方針を決めました。これは、政府自身が可能な限り原発依存を低減するとしてきた立場から、原発再稼働の加速、老朽原発の運転期間延長と新規原発建設という原発推進への大転換にほかなりません。政府は、今月10日にはこの方針を閣議決定しました。
東京電力福島第1原発事故の反省も教訓も投げ捨てる新たな安全神話そのものであり、このような原発回帰は断じて許されません。日本社会を将来にわたり原発に縛りつけることは、 世界有数の地震・津波国にいる国民の生命と財産、経済社会を危険にさらすものです。今なお原発事故で苦しむ多くの人々、原発ゼロの日本を望む国民多数の思いを踏みにじるものです。
こうした重大な問題を、国民的議論も国会での議論も避け、国政選挙で問うこともなく、首相の号令一下、参院選から5か月の僅か5回の会議で、財界や原発業界、大手電力会社の要求を丸のみし、結論ありきで勝手に決めるなど、到底認められるものではありません。このような決定は、直ちに撤回するよう強く求めるものです。
政府は、電力の安定供給、脱炭素など原発の最大限活用の口実としていますが、一片の道理もありません。限られた時間内に需給逼迫に必要なのは、需要の急増急減に対応できる柔軟な電源であり、出力調整ができない原発ほど適さない電源はありません。
既にEUで実施されている大口需要の時間調整や蓄電システム強化、省エネでこそ対応すべきです。原発回帰は再エネの普及拡大の妨げとなり、気候危機を打開し、持続可能な社会を目指す上でも重大な逆流となっています。使用済核燃料など処分困難な核のごみが増え続け、将来世代への負の遺産を増やすことにもなります。日本の希望ある未来のために、原発ではなく、省エネとともに再エネの全面的な活用こそ尽力すべきです。
長野県では企業局を中心に、県内ポテンシャルの高い小水力発電に力を入れていただいていますが、今までの努力が、目標が、ないがしろにされることがあってはなりません。地方からもしっかり声を上げるべきです。小水力発電の推進に力を入れ、新たな5か年計画にも盛り込み、自ら事業を行っている企業局の今後の取組や思いを企業局長に。

【須藤企業局長】

 企業局における小水力発電の今後の取組等についてお答えいたします。
2050ゼロカーボン達成に向け、企業局でも、公営企業経営戦略に経営の基本方針として、再生可能エネルギーの供給拡大を掲げ、企業局の水力発電所について、令和7年度までに、着手も含め36か所に増やす目標を設定し、新たな電源の開発を進めています。
現在、川上村や飯島町、長野市などで着手している6か所の新規発電所につきまして、計画どおりの運転開始に向けて着実に進めているところです。
また、今年度、電気事業の現地機関を県内5か所として推進体制を拡充しており、市町村や地域の皆様の御協力をいただきながら、新規開発地点の調査を加速化してまいります。
地域における小水力発電の事業化に対する支援としては、これまで行ってきた事業者からの技術相談に加え、今後、事業地点の調整から地域との合意形成まで、環境部を中心に各部局が連携して関与、支援 する取組に企業局としても積極的に参加してまいります。
さらに、市町村や土地改良区が行う小水力発電につきましては、企業局がこれまで培ってきた技術力やノウハウを生かして、電源開発の調査から、事業性評価、建設、運転管理までを受託することなどにより支援してまいります。
しあわせ信州創造プラン3.0で目指す持続可能な脱炭素社会を実現するため、県内に豊富にある水の恵みを生かした本県にふさわしい再生可能エネルギーである小水力発電の普及拡大に向け、開発や支援に一層積極的に取り組んでまいります。

【両角友成議員】

 原発回帰にかじを切った今の国の動きに対する見解を知事に伺います。

【阿部知事】

 原子力発電所に関する国の動きに対する見解という御質問でございます。
私たちの暮らしや産業の基盤でありますエネルギー政策の根幹については、安定供給、あるいはコスト、ゼロカーボンの実現、こうしたことを総合的に考慮した上で国において責任を持って決定されるべきものというふうに考えておりますが、私としては、原発依存度をできるだけ低減しつつ再生可能エネルギーの最大限の普及に取り組んでいくことが必要というふうに考えています。
原子力発電につきましては、いかなる事情よりも安全性を重視するとともに、再稼働等を行うに当たりましては、国民の十分な理解と丁寧なプロセスが必要だというふうに考えております。
以上です。

【両角友成議員】

 3.11東京電力福島第1原発事故から今年で12年になります。しかし、原子力緊急事態宣言は発動されたままの状態で、いまだふるさとに帰れない方々がいます。汚染水は海に放流すると言い、使用済核燃料の処分方法も決まらない。にもかかわらず、電気代高騰を逆手に取り、原発再稼働に道を開き、脱炭素を口実に新規の国債、GX経済移行債 を発行し、22年度第2次補正予算と23年度補正予算合計で1.6兆円、将来的には20兆円を調達するとしています。
今、声を上げなければなりません。原発頼みではなく、再エネに大きくかじを切るべきと強く申し上げ、質問といたします。
ありがとうございました。

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