日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2023年6月定例会 高村京子議員一般質問

    1. コロナ禍の医療現場をふりかえって
    2. 介護事業所と介護職員への応援を
    3. 国保子ども均等割、負担をゼロに
    4. 養護学校の劣悪な環境改善を

1.コロナ禍の医療現場をふりかえって

【高村京子議員】

 新型コロナ感染症の振り返りと今後の対応について、健康福祉部長にお伺いします。

 新型コロナ感染症は、2020年の当初から今年の4月末まで約3年半、感染の波が8波まで襲い、9波が来るのではないかとも心配されています。この間、医療機関も介護施設も保健所も、その対応にかつてない過酷な事態となり、各部門で命を守るために大変な御奮闘をしていただきました。関係者の皆様の心身共に背負っていただいた御苦労に、心より慰労申し上げ、感謝を申し上げます。

 各機関の大奮闘にもかかわらず、第7波、第8波で感染拡大に伴い、基礎疾患を持つ高齢者などの死亡が急増しました。感染者が入院できない事態や、一人暮らしの高齢者でも入院できずに在宅療養、介護施設の感染者が施設内に留め置かれる事態となりました。

 感染初期からの感染者数とお亡くなりになった人の数、その場所、医療機関と介護施設でのクラスター発生の件数と人数、特に2022年、昨年の7月1日から9月25日までの第7波、さらに9月26日から2月28日までの第8波の状況をお示しください。

 また、振り返っての検証をどのように行い今後に生かしていくのか、見解をお伺いします。

【福田健康福祉部長】

 新型コロナの高齢者施設の療養等についての御質問をいただいております。

 まず、感染者数、死亡者数等についてのデータでございますけれども、発生当初から令和5年5月7日までの全県の感染者数46万7,982人で、亡くなられた方は900人でございました。このうち第7波から第8波までについて申し上げますと、令和4年7月1日から令和5年2月28日まででございますが、感染者数37万4,841人、死亡者数は646人でございました。

 また、第7波及び第8波の間の集団感染の報告は、いずれも延べ数でございますが、医療機関で229件、高齢者施設は659件でございました。

 次に、入所施設での療養についてでございます。障害者施設等を含めた社会福祉施設の総数で、日単位での最大値が1,053人でございました。

 急速な感染拡大によりまして医療崩壊を招かないよう、クラスターによる陽性者も含め、可能な方には施設内での療養をお願いしてきたところでございます。オミクロン株の流行以降は、高齢者においても従来株に比べ重症化率が低い状況でございますことから、症状が軽い方には施設内療養を行っていただくことが適切と考えております。

 それから施設内での死亡について申し上げますと、第7波から第8波の間に高齢者施設内で亡くなられた方は146人でございました。現在地域包括ケアを推進しておりまして、御自宅ですとか、入所されている方は施設内で看取りを行うケースが増えてきておりまして、こうしたことも影響しているものと考えております。

 今後の対応でございますけれども、5類以降後は、特定の医療機関のみでなく幅広い医療機関で対応する方針でございまして、引き続き必要な方が入院できるよう、受入れ環境を整える取組を推進してまいります。

 以上でございます。

【高村京子議員】

 お答えをいただきました。陽性者は、第7波、8波で80%を占め、クラスターの発生は医療機関229件、4,561人、高齢者施設では、クラスター発生659件、1万1,541人と、高齢者施設での件数、人数は、医療機関の倍以上となり、亡くなられた人も22%を占めています。この間の高齢者施設では大変な事態に置かれていたことが分かります。

 上小地域では、入院が必要な高齢者や感染者が上小地域の医療機関に入院できず、救急搬送を佐久、長野、松本地域へと余儀なくされ、そのため、受入れ病院では次々搬送される患者様の対応で大変な事態にあったと伺っております。命を守る地域医療体制と保健所体制の一層の強化が求められています。

 引き続き伺います。5月8日から5類対応となりましたが、感染力が変わるわけではなく、医療・介護現場では感染対策を続けなければなりません。コロナ禍、そして諸物価の高騰は、医療機関、介護施設の経営を一層厳しいものにしています。必要経費を補塡への県としての支援策の継続を求めます。

 今補正予算案では、新たに外来や入院対応する施設への支援は盛り込まれましたけれども、新型コロナ感染症患者受入病床確保事業、今までのベッドですが、71億88万円余を計上していただいておりますが、しかし施設数は122から150施設に、受入れ人数は758人から818人へと拡大され、1ベッド当たりの補助金は今までの半額に減額となりました。予算が縮小されることへの不安の声が現場から出されています。今までと同じ支援が必要ではないでしょうか。

 検査や受診の公費負担がなくなったことで、受診控えによる感染や後遺症も懸念されます。外来対応医療機関を拡充しますが、受診時に医師がコロナ抗原検査を勧めても、3,000円から4,000円かかるため、検査を受けない人もいると伺っています。感染者の全数把握が日々なされない中、コロナ感染者が行動制限することなく生活すれば、次の感染拡大も懸念されます。薬局での検査キットの無料、ないし半額軽減などを実施し、心配な人が早期に感染をチェックできるように対策を取るべきではないでしょうか。

 5類に移行後、県は、病院や施設で感染者が出たらそこで対応をと指導されているようです。入院調整は原則医療機関での間でやり取りするようにとなり、病院の責任となりました。介護施設では、医師は常時おりません。病状によっては困難事例も予測されます。特に基礎疾患のある高齢者の命を守る連携した対応が求められます。引き続き、保健所の入院調整機能を果たしていただきたいが、どうでしょうか。

 以上、必要な経費への補塡、薬局でのキット購入補助、保健所の入院調整の3点について御答弁ください。

【福田健康福祉部長】

 コロナウイルス感染症対策に関して御質問いただいております。

  感染予防対策に対する支援についての御質問でございます。

 5類への移行に伴いまして、幅広い医療機関で対応することになることから、本年10月に、いわゆる病床確保料を廃止される予定となっておりますが、現在は当面の措置として9月末まで単価を減額した上で継続をしているところでございます。

 なお、本定例会設備整備補助の補正予算案を計上しておりまして、この事業を活用することで、新たに新型コロナ感染者の入院に対応する医療機関を支援してまいりたいと考えております。

 それから薬局における無料検査でございますが、これまで感染拡大時には新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づきまして、感染不安を感じる無症状の方に検査を受けていただくように要請し、それを前提として無料検査を実施してきたところでございます。5類移行に伴い特措法の適用から外れたことから、現在は全国的に行われておりません。

 次に入院調整でございますが、本県では既に医療機関同士の調整をお願いしているところでございますが、現在までのところを混乱なく円滑に実施をされているものと承知をしております。ただし、新たな変異株の出現による感染の再拡大など情勢に変化が生じた場合には、状況に応じた対応を行うよう国に対して要望したところでございます。

 県としても、医療提供体制が逼迫した際には、地域の実情に応じて入院調整を支援するなど必要な対応を行ってまいります。

【高村京子議員】

 新型コロナ感染症の拡大で明らかになったように、予期せず感染病などでの医療現場の逼迫は今後もあり得ます。医師・看護師の確保と、余裕を持った病床確保がより切実に求められています。県の総合5か年計画では、医療施設従事医師数を、2020年人口10万人当たり238人から2026年には265人を目指すと、これを人数にしますと、現在の4,760人から5,300人へと約540人医師を増やす計画です。来年、2024年から医師の働き方改革が始まります。医師不足の中で、現在医師は過酷な労働実態に置かれています。早急な医師の増員確保が求められています。

 また、就業看護職員数は、3万521人から3万1,609人へ、1,088人増やすことを目指す計画です。ぜひ実現をしていただきたいですが、いかがですか。具体的にどのように、医師看護師の増員を実現を目指していただくのか伺います。

【福田健康福祉部長】

 医師・看護職員確保の取組についての御質問でございます。御質問の中にもございましたとおり、総合5か年計画では2026年の達成目標として、人口10万人当たりの医療施設従事医師数を264.6人、就業看護職員数を3万1,609人と掲げているところでございます。

 それらの目標達成に向けまして、医師については、即戦力となる医師の確保として、医師無料職業紹介を行うドクターバンク事業や、医師研究資金の貸与、将来の地域医療を担う医師の確保のために医学部地域枠等の増員や医学生修学資金の貸与及びキャリア形成支援、県内の定着促進として医療機関の勤務環境改善への支援などに取り組んでまいります。

 また、看護職員につきましては、新規養成の支援として、看護師等養成所の運営への支援や、若い世代への看護の仕事のPR、離職防止及び資質向上として、院内保育所の運営への支援やキャリアに応じた研修の実施、再就業の促進として、無料職業紹介を行うナースバンク事業や、潜在看護職への復職支援の強化などに取り組んでまいります。

2.介護事業所と介護職員への応援を

【高村京子議員】

 次に、介護保険とサービスの充実について、引き続き健康福祉部長に伺います。

 介護保険制度発足から23年、保険料や利用料の負担は増え、介護サービスは縮小の方向が進められてきました。特にコロナ禍で、介護事業者、利用者と家族の苦悩は大きくなっています。県の65歳以上の高齢者人口比率は引き続き増加し、県の予測では、2025年には33.9%、2040年には40%になるとしています。今後、さらに高齢者のみの世帯や1人暮らし高齢者が増えます。

 介護サービスの充実が一層求められていますが、介護事業所の経営は非常に厳しい状況にあり、例年にないペースで、倒産、休廃業が増え、2022年では全国で143件もの倒産が出ています。特にデイサービス、訪問介護事業所が深刻です。主な原因は、介護報酬が低くされていること、介護職員の確保難、コロナ禍での利用控え、そして諸物価の高騰により経営が厳しくなっているのです。このような県内介護事業所の経営難の実態をどのように捉えておられますでしょうか、伺います。

【福田健康福祉部長】

 介護サービスでございます。

 まず、介護事業所の経営状況についての御質問でございます。

 介護事業所の経営状況につきましては、新型コロナウイルス感染症対策や、とりわけ燃料費や食材費等の価格高騰が続いていることにより、大変厳しい状況にあると認識をしております。これも御質問の中でございましたとおり、本来は公定価格を定めている国において、介護報酬等の適時的確な見直しなど必要な対応をすべきであると考えております。

 そのため国に対して、事業者の経営実態を十分に把握し、価格高騰による影響を介護報酬等の改定に確実に反映させるなど、安定的なサービス体制の維持に向けた支援を充実するよう要望してきたところでございます。

 県といたしましては、新型コロナウイルス感染症への対応に必要なかかり増し経費の補助を継続するとともに、介護事業者の皆様への切れ目ない支援として、昨年9月補正予算でお願いしたのと同様に、今定例会においても、社会福祉施設等が支弁する光熱費、食材費、ガソリン代の価格高騰分の一部について助成する補正予算案を計上させていただいております。

 今年度は、国において来年度からの介護報酬等の改定について議論されているところでございますので、その動向を注視するとともに、引き続き国へ必要な要望をしてまいります。

【高村京子議員】

 老人介護施設や特別養護老人ホームなど、大規模事業所も介護職員の不足は深刻です。

介護福祉士の給与水準は、全産業の労働者平均よりも約8万円も低いのも、これも原因です。賃金などの処遇を良くしたくても、財源は介護報酬しかなく、利用者の受入れ定員を満たしても、ぎりぎりの経営実態に置かれている現状です。介護職員の確保がなされなければ、保険料を払っても介護サービスは受けられない介護崩壊の事態となるのではないでしょうか。

 県の5か年計画では、介護職員の増員について、2020年、3万8,000人から、2026年には4万2,000人に、5年間で4,000人を増やす計画です。ぜひ実現してほしいですが、具体的にどのような手だてで実現を目指すのか伺います。

【福田健康福祉部長】

 介護職員の確保に向けた方策についての御質問でございます。

 総合5か年計画では2026年の目標として、介護職員数を4.2万人とすることを掲げているところでございます。介護職員の処遇を改善するためには、先ほどの御質問に対する答弁と同様でございまして、まずは、十分な介護報酬が設定されることが必要と考えております。この点については、他産業における賃上げの動きも踏まえ、国に強く要望しているところでございますが、県といたしましても、処遇改善加算等の新規取得、及び上位区分の取得促進について、事業所等に対して積極的に働きかけ、より高い賃金が支払われるよう促してきたところでございます。

 現在、県内の90以上の事業所が、処遇改善加算等取得しておりまして、先般公表された厚生労働省の全国調査の結果によりますと、令和4年10月からの介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所では、令和3年12月と令和4年12月を比較いたしまして、介護職員の賃金が1万60円増加をしております。

 このほか、子育て世帯、アクティブシニア等多様な人材の入職支援や、就労中の資格取得などを支援する信州介護人材誘致・定着事業、介護職員の負担軽減のための介護ロボット・ICT導入支援事業などの施策を総合的に進め、さらなる介護人材確保に努めてまいります。

【高村京子議員】

 介護保険制度では、保険料未納者には利用料の全額負担を求められ、介護サービスを受けられないことになりかねません。このような方々を県は把握されていますか。年収18万円以下で、保険料自動引き落としができず、自ら介護保険料を納付しなければならない低所得の方々です。福祉的な救済が必要な方々だと思います。県は市町村と連携して、保険料の減免や介護を保障するなど救済の手だてを求めますが、いかがですか。

【福田健康福祉部長】

 介護保険料の未納者に対する支援についてでございます。

 厚生労働省で実施しております令和3年度介護保険事務調査によりますと、令和2年度の介護保険料の未納者は県内で8,716名いらっしゃいました。介護保険料に関しては、所得段階別の保険料率が設定され、低所得者の負担は軽減される仕組みとなっているほか、市町村において保険料を弾力化して設定することも可能となっており、63保険者のうち42保険者で実施をしております。

 また、全ての市町村において、公費負担による、さらなる低所得者保険料の軽減も行われているところでございます。

 また、県内の市町村の状況をお伺いをいたしますと、介護保険料が一定期間未納となっている方に対して一律に給付制限をかけるのではなく、状況に応じて必要な福祉制度につなぐなどの対応が広く行われているところでございます。

 現在、国においても低所得者の保険料率の引き下げ等も含め、保険料負担の在り方について議論がされているところでございます。今年度は第9期長野県高齢者プランの策定年度にもなりますので、保険料の設定においても、低所得者への配慮も適切になされるよう、こうした制度、考え方について市町村に伝えてまいりたいと考えております。

【高村京子議員】

 保険料の平均額は、当初の月3,000円から、今は約2倍以上の6,000円台になっています。利用料も1割から、年収200万円あれば2割負担に、受けられるサービスは次々縮小され負担は増えるばかりです。

 現在、国において来年度の介護報酬改定の検討が進められています。誰もが安心して介護サービスが受けられるように、また介護職員が誇りを持って働ける処遇改善と、国庫負担割合の引上げを国に対して一層強く要請していただきたいですが、いかがでしょうか。以上、健康福祉部長にお伺いいたします。

【福田健康福祉部長】

 介護サービスの充実に関する国への働きかけについての御質問でございます。

 本県では全国知事会を通じての国への提言や独自の要望などの機会を捉えて、介護保険制度の改正において公費負担の増額を図ることや、制度の見直しの内容が高齢者にとって必要なサービスの利用を阻害するものとならないよう、強く要望してきたところでございます。

 現在国におきまして、介護報酬の改定、さらには介護保険部会における介護保険制度の改正についても継続して議論されているところでございますので、介護保険制度が持続可能なものとなるよう、国庫負担の在り方や処遇改善制度の拡充など、今後も継続的に働きかけを行ってまいります。

 以上でございます。

【高村京子議員】

 御答弁いただきました。冒頭も申し上げましたように、本当に過酷な医療現場の状況は、やはり医師は偏在ではなくて、絶対的に医師は足りていない、こういう状況があると思います。ぜひしっかりと地域医療に貢献していただく医師の確保、支援について、一層の力を入れていただきたいと思います。

 そして介護保険制度ですけれども、いろんな部分で行き詰まりが来ているのではないでしょうか。やはり国が、しっかりと介護保険の土台である国の拠出金を増やしていただく。でき得るならば、今の4分の1負担から半分ぐらい負担していただくぐらいにならないと、これからの高齢化社会、介護保険の持続可能性はないのではないかと危惧いたします。ぜひ、お力をさらに入れていただきたいと思うところでございます。

3.国保子ども均等割、負担をゼロに

【高村京子議員】

 次に、国民健康保険の子供に関わる均等割の廃止に向けて、健康福祉部長に伺います。

 昨年度から就学前の子供均等割の半額を国、県、市町村で負担し、軽減が図られました。少子化が大きな課題になっている中、子供にも負担を求める国保の均等割は子育て支援に逆行するもので、廃止が求められています。

 県内では独自に軽減策を講じている町村もあります。栄村、南木曽町では、残りの半額2分の1を独自に減免。木曽町は一旦徴収し、18歳まで月掛ける1,000円を翌年度に補塡。長和町は、今年度独自に18歳まで半額軽減を拡大し翌年度に補塡など、自治体独自の努力がされています。

 県として、まず未就学児童の残り半額について、市町村と軽減措置を協議していただきたい。国はこども家庭庁を設置し、異次元の子育て支援策を実施するとしておられますので、ぜひ国保の子供均等割を廃止するよう国に強く求めていただきたいが、いかがでしょうか。

【福田健康福祉部長】

 就学前の児童に係る国民健康保険料の均等割の廃止についての御質問をいただいております。

 昨年9月の定例会においても答弁をさせていただいておりますけれども、国民健康保険料の均等割の賦課や未就学児に係る軽減措置は国民健康保険法等の法令に基づくものであり、自治体が独自に廃止したり、国の基準を超えて軽減することはできない仕組みとなっているところでございます。

 しかしながら県では、これまでも一層の負担軽減を国に要望してきたところでございます。今月も対象範囲や軽減割合のさらなる拡充を講じるよう、厚生労働省に要望を行ったところでございます。

 国民健康保険制度における子育て支援につきましては、国が全国一律で対応すべき政策であることから、引き続き県だけでなく、全国知事会も通じまして、国にさらなる施策の充実を求めてまいります。

 以上でございます。

4.養護学校の劣悪な環境改善を

【高村京子議員】

 最後に、特別支援学校の環境改善について、教育長に伺います。

 県内養護学校の生徒数の増加が続き、特別支援が必要な児童生徒の学びの環境は、大変厳しい状況に置かれています。私ども共産党県議団は、標準法に基づく教員の充足を求めてきましたが、この4月でようやく標準法に基づく自立支援担当教員数が265名に充足されたと伺いました。そのことは評価させていただきますが、学ぶ環境は劣悪という事態に置かれているのではないでしょうか。

 私たち県議団は、過日、上田養護学校を訪問し、実情を伺い、視察させていただきました。44年前の開設当時は120名の生徒規模で建設されましたが、今は240名ほどで2倍の児童数と、対応する教職員がいる状況となっています。

 教室の不足、狭隘、老朽化、クールダウン部屋さえ確保できない。校庭にプレハブ校舎が3棟建てられ運動会もできない。音楽室など特別教室はなくなり、重度障害児の部屋が狭く、横になるスペースも確保できない。給食厨房の規模が生徒と教員数に対応できずに、担任でもお弁当になっている。会議室や教職員室が確保できない。洋室トイレや多目的トイレ、シャワー室の確保など困難などなど、障害を抱えつつも日々成長し、特に支援が必要な児童生徒の設備や教育環境の劣悪な現状は、教職員の工夫や努力ではもう限界に来ていると感じます。

 このような特別支援学校の現状について、どのように受け止めておられるか伺います。

【内堀教育長】

 特別支援学校の環境改善につきまして御質問を頂戴いたしました。

 まず、特別支援学校の教室不足等に関する受け止めについてでございます。

 県立特別支援学校は18校中14校で、建設後30年以上が経過し、施設の老朽化が進んでおります。また児童生徒数は、平成10年度に1,705人であったものが、令和5年度には2,588人と約1.5倍に増加し、文部科学省令和3年度公立特別支援学校における教室不足調査においても、67教室の不足が見られるなど、狭隘化が課題となっております。

 県教育委員会では、毎年全ての特別支援学校を訪問し、施設や設備の状況を確認したり、特に課題がある学校については、保護者などとの懇談も行ったりしてまいりましたが、現在本県の特別支援学校については、できるだけ早期の環境整備に取り組んでいく必要があると認識しております。

【高村京子議員】

 また、県教育委員会が2021年3月作成の長野県特別支援学校整備基本方針では、教育環境の現在の課題を挙げて、長寿命化、改築の基本的な考え方を述べています。必要性の高い学校から個別の整備計画を策定し、順次整備を実施するとしていますが、今現在どのように整備計画を具体化しているのか。整備計画の策定状況と。整備終了までの期間はどうか伺います。

【内堀教育長】

 長野県特別支援学校整備基本方針に基づく環境改善についてでございます。

 県教育委員会では、令和2年度に策定した長野県特別支援学校整備基本方針や、令和3年度に制定された国の特別支援学校設置基準等に基づき、児童生徒一人一人の学びの充実とそれを支える環境整備を進めることとし、大規模な改修等の中長期的な視点に立った対応と、児童生徒の急な増加があった際の増築や、設備等の老朽化、不具合の修繕改修など、応急的な対応の両面で、学習環境を整えていくこととしております。

 このうち、中長期的な視点に立った改築等については、建物の劣化状況や児童生徒数の将来推計等を踏まえ、Nagano School Designプロジェクトに基づき、ZEB化や学習空間のデザインも重視して、必要性の高い学校から順次取り組んでおります。

 また応急的な対応につきましては、国から教室不足解消に関する取組要請も踏まえ、現在、特別支援学校5校で34教室の増築を行うとともに、令和3年度から10年間を計画期間とする修繕改修計画に基づき、それまでより予算を大幅に増額し、計画的に取り組んでおります。

 今後も特別支援学校の環境整備に際しましては、保護者など関係者の御意見も伺いながら、個のニーズに応じた学びや、共生社会の実現に向けた共同の学びの実現が図られるよう取り組んでまいります。

 県立特別支援学校18校の改築等につきましては、現在、松本養護学校と若槻養護学校において、個別の整備計画を策定の上、取り組んでおります。

 また、その他の学校につきましては、長野県特別支援学校整備基本方針に基づき、校舎等の状況を丁寧に確認して、建て替えの必要性を判断し、適時に個別計画を策定の上、改築等を行い、児童生徒の学びの充実を図ってまいります。

【高村京子議員】

 上田養護学校は、千曲川の洪水浸水想定区域に位置しています。大雨や台風のときは、教職員も保護者も、避難対応に最大の注意を払って、はらはらどきどきが続いています。過去最大の台風予測が出る昨今、浸水区域からの移転改築が切に求められていると考えますがどうか。以上、教育長にお伺いいたします。

【内堀教育長】

 上田養護学校の移転改築に関する見解についてのお尋ねでございます。

 上田養護学校は昭和54年の開校以来、校舎は築45年を迎え、施設の老朽化が見られるとともに、千曲川の浸水想定区域に立地しており、保護者などからは不安がある旨の声が寄せられているところでございます。

 上田養護学校ではこのような立地条件を踏まえ、学校の危機管理マニュアルにおいて、水位に基づき保護者引渡しのタイミング等を分かりやすく示したタイムラインの作成や、第2避難場所の確保、さらには引渡し訓練を毎年実施するなど、児童生徒の安全確保に取り組んでいるところでございます。

 今後上田養護学校の改築に向けた検討を行う際には、立地上の安全面を十分に考慮することが必要と考えておりまして、施設の老朽化も進む中、適切に改築の時期や場所を判断してまいります。

 以上でございます。

【高村京子議員】

 視察をさせていただきましたが、あまりにも劣悪な環境を、やはり10年計画ということで放置し続けることは許されないのではないでしょうか。

 文科省は、今年度4月から、学級の上限人数や校舎面積、備えるべき施設などの最低基準を定めた特別支援学校の設置基準に基づき施行するよう設置者に求めています。子供の安全と学ぶ権利を保障する環境整備の早急な見直し促進を強く求めます。

 知事には、予算をしっかりつけていただくよう求めて、質問を終わります。

 以上です。

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