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議会質問

2023年9月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 水田活用直接支払交付金の見直しについて
  2. 学校の環境整備について
  3. 教職員の働き方について
  4. 小川村で起きた浸水被害に対する見舞金について

水田活用直接支払交付金の見直しについて

【和田明子議員】

 初めに、農業について農政部長に伺ってまいります。
 季節は実りの秋を迎えました。改めて凍霜害の被害に対しての支援について伺います。
 春先の凍霜害に、県としては、被災した農業者の営農継続のため、市町村が行う事業に対して助成を行うと、山口議員の6月県議会質問に答弁がされました。
 今回9月議会に、凍霜害対策緊急支援事業として、被害果実の有利販売の取組をする市町村に対しての助成と、農業者の資金借入れが無利子になるよう利子の助成をするものが提案されました。それぞれの助成はありがたいと思います。
 しかし、リンゴやナシなど開花から結実のタイミングで低温、遅霜に遭い、畑によってはほとんど実がない状態で今年の収穫が見込めない状態になっても、消毒や施肥など栽培管理を続ける生産者に対して、営農を継続するための支援としては不十分ではないかと思います。農政林務委員会の現地調査でも、各地の市町村から凍霜害への支援の陳情も多く寄せられました。
 市町村が被災した農業者に対し緊急で実施した支援策については、県としても把握をしていると聞いております。市町村が行った支援に対して、県の行う支援をどう検討されたのか伺います。

【小林農政部長】

 御質問をいただきました。
 凍霜害に対しての県の支援策の検討経過についてですが、支援策の検討に当たりましては、市町村への事業要望調査と被災農家へのアンケート調査を行い、内容を精査してまいりました。
 市町村への要望調査の結果、24の市町村で支援を予定しているとの回答があり、このうち、県単独事業の農作物等災害緊急対策事業実施要領に沿い、要望の多かった被害果実の輸送・貯蔵及び有利販売のための支援を今回の補正予算で提案をしております。
 また、農家のアンケート調査では、防霜ファンや燃焼資材、機材等の被害防止施設への支援や、凍霜害対策技術の試験研究を求める声が多かったことから、今後、被害防止施設への重点支援や温暖化に対応した技術開発などの試験研究についても検討を進め、凍霜害に強い産地づくりを進めてまいります。

【和田明子議員】

 水田活用直接支払交付金の交付対象水田の見直しについて伺います。
 国は平成28年4月、水田活用交付金の予算執行調査を開始し、同年6月、予算執行調査の結果を公表しました。現況としての米の生産ができない農地や、米以外の生産が継続している農地を交付対象から除外すべき、そのため除外すべき基準を明確で具体的なものとし、厳正な運用が行われるようにすべきと、交付対象水田の見直しを打ち出しました。
 その後、交付対象水田から除く農地の基準を設定し、令和3年12月に決定した方針は、現行ルールの再徹底、転作作物が固定化している水田の畑地化を促すとともに、水稲と転作作物とのブロックローテーション体系の再構築を促すため、現場の課題を検証しつつ、5年間、令和4年から令和8年の間に一度も水張りが行われない農地は交付対象水田としない方針を国は示しました。
 そもそも国においては、まともな米価対策がない、国においては米の消費が減少している、
米余りなど米の減反政策、生産調整の政策を取り続けるまともな米価対策がない中で、水田、農地の保全維持のために、水田活用直接支払交付金は一定の役割を果たしております。
 その制度を見直すことにより、交付対象でなくなった場合、農地の荒廃、離農が避けられないのではないかと懸念がされます。見直しにより、水田活用直接支払交付金の対象とならない水田について、畑地化促進事業を農水省は打ち出していますが、米価が下落したとはいえ、そば、大豆、小麦よりは米価のほうが高いことから、水田活用直接支払交付金によって支援されていたものが、畑地化促進事業によって、生産者が営農を継続できるのかお聞きいたします。県として対策をどう進めるのか伺います。

【小林農政部長】

 畑地化促進事業を活用した営農の継続についてですが、国が令和4年度より措置している畑地化促進事業は、水田の畑地化や畑地化後の作物が定着するまでの支援などを目的として、畑作物の場合、10アール当たり2万円が5年間、初年度には14万円が加算して交付される事業となっております。
 県といたしましては、畑作物の恒久的な作付により営農を継続するには、排水対策などの基本技術を徹底し、品質と収量の向上を図りながら生産コストの削減を進め、収益を確保することが非常に重要であると考えており、引き続きソフト、ハード両面での支援を行ってまいります。
 水田活用の直接支払交付金を活用するか、畑地化促進事業を活用するのかは、産地や生産者の経営判断によるものとなります。畑地化促進事業は単年度の予算措置であることから、国に対しまして継続的な支援を求めるほか、自給率の向上、食料安全保障の観点から、畑作振興に向けた恒久的な支援策も求めているところでございます。

【和田明子議員】

 気候危機、コロナ禍とロシアのウクライナ侵略によって、穀物や油脂・肥料、原油価格の高騰と円安の進行が加わり、日本の農業と食料は四重苦に直面していると言われています。
 こういう状況の中で、農林水産省の諮問機関である食料・農業・農村政策審議会は、食料・農業・農村基本法改定に向けた答申を農水相に提出しました。国民の食料を国内でどれだけ確保できているのかを示す食料自給率については、目標の一つに格下げしました。
 答申は、基幹的農業従事者の減少・高齢化、食料自給率の低迷など、現行基本法制定以降の情勢の変化や課題を記述しながら、しかし、政策の問題点の検証はなく、世界貿易機関(WTO)協定などの際限のない輸入自由化、欧米に比べ貧弱な価格保障、所得補償など行き詰まった農政の総括、検証がありません。
 農政の見直しの方向では、国が需給・価格に責任を持たない「適正な価格転嫁」や「需要に応じた生産」、「生産性の高い経営体」の育成、「海外市場を見据えた農業・食品産業のへの転換」、「スマート農業の推進」など、旧来の政策ばかりが並びます。
 部会に寄せられたパブリックコメントでは、国産増産をなどの声が多く寄せられましたが、答申では触れられておりません。
 一方で、不測の事態の際に、国が特定の作物の生産を強制する立法措置の検討も促しています。
 今まで国においては、食料自給率の目標を45%と掲げてきました。ところが、自給率は達成できるどころか下がり続けています。食料・農業・農村基本法改定で安心・安全な食料をとの農業者、消費者の願いに応えるには、食料自給率を国政の中心課題に据え、価格保障、所得補償の充実など、農業が続けられる政策を打ち出すよう国に求めていただきたいが、いかがか。農政部長に伺います。

【小林農政部長】

 食料自給率向上を中心に据えた政策を国に要望することについてでございますが、国は、現行の食料農業基本法に規定された基本計画において、令和12年度の食料自給率の目標をカロリーベースで45%としておりますが、近年の実績は37%から38%で推移している状況にございます。
 こうした状況の下で、現在国は基本法の見直しと検証を行っており、国審議会の答申では、国内農業生産の増大を基本とし、食料自給率の向上も含めた国民一人一人の食料安全保障の確立を基本理念とすることが示され、基本計画には食料自給率の目標が引き続き設定されるものと承知しております。
 県といたしましては、これら法改正に向けた国の動向も注視しつつ、持続可能な農業農村の実現に向け、食料安全保障や価格転嫁、農業農村地域の課題など、生産現場の声をあらゆる機会を捉えて国へつなげてまいります。  
以上でございます。

2.学校の環境整備について

【和田明子議員】

 続きまして、教育について教育長に伺ってまいります。
 学校の環境整備について、長野県の県立学校、特別支援学校の施設は、約6割が昭和40年から50年代に建設されており、現在使用している施設の約8割が築後30年以上であり、そのうち約4割が40年を超え、改築や大規模改修の時期を迎えています。
 耐震改修や大規模改修など計画的に実施すること、高校再編計画を進めることなど課題は山積しています。その中でも、長野県の高校のトイレは、建設後、大規模な改修が行われず、暗い、汚い、臭いといった問題を抱えています。
 各学校から毎年出される教育条件整備に関わって、「古い校舎のトイレはほとんどが和式であり、生徒は使用に抵抗を感じている」、「トイレの臭気が気になるという意見が保護者からも多く出されている」、「生徒が気持ちよく使用できるトイレへの改修及び予算措置をお願いしたい」という要請が多く出されています。
 高校のトイレ洋式化率は、実績値で令和3年46%、令和4年50%であり、令和5年度の目標値は54%と上がってきてはいますが、小中学校に比べて遅れております。
 高校のトイレの洋式化率について、全体の目標値を伺います。また、今後どのように整備を進めていくのか、併せてお伺いいたします。

【内堀教育長】

 学校の環境整備について御質問を頂戴いたしました。
 まず、県立高校におけるトイレ改修の全体目標と、今後の進め方についてのお尋ねでございます。
 県立高校のトイレについては、一定数の和式トイレを残しながら、便器の洋式化率が8割となるように取り組んでおります。今後は継続してトイレの整備を行うとともに、高校再編に伴う校舎の改築や大規模改修に合わせたトイレの整備を行うことで、目標の達成に向けて進めてまいります。
 なお、令和元年度に実施した生徒対象の使用実態調査において、洋式化に加え、衛生環境改善の要望が多く出されたため、令和2年度からは、床の乾式化や衛生器具の更新、LED照明への交換等、トイレ空間の総合的な整備を行っているところでございます。

【和田明子議員】

 今、御答弁いただきましたが、国においては、公立小中学校のトイレの洋式化率を前倒しをすると、こういうふうに打ち出していますが、高校に対しては国の助成が薄いと、このように感じております。高校に対しての支援も国に求めていただきたいと思います。
 今年は、例年の記録を塗り替える酷暑で危険な暑さでありました。改めて県立高校の普通教室のエアコン設置100%を歓迎するものです。
 しかし、普通教室以外のエアコン設置は、特別教室の設置率は35%、体育館はゼロ%という状況です。夏休み中に特別教室で部活動をしていた高校生から、教室が40度にもなるほど暑かったと聞きました。
 9月になっても厳しい残暑が続いています。熱中症対策としても必要ですし、災害の避難所に指定されている場所でもあります。特別教室へのエアコン設置は早急にすべきと思います。
 また、体育館のエアコン設置などを含め、暑さ対策をどのように進めるのか。教育長に伺います。

【内堀教育長】

 県立学校における、エアコン設置を含めた暑さ対策の進め方についてのお尋ねでございます。
 県立高校の特別教室へのエアコン設置につきましては、平成30年度以降、全ての普通教室及びエアコン設置の必要性が高い図書室、パソコン教室、音楽室など一部特別教室や、管理諸室への整備を行ってまいりました。
 今後は、学校の実情や要望を調査するとともに、現在実施中の空調整備事業の効果を踏まえ、エアコン整備の必要性を検討してまいります。
 また、県立学校の体育館につきましては、国の熱中症対策ガイドラインや、暑さ指数に応じた注意事項を参考にしながら、換気、水分補給など児童生徒の体調面に配慮を行うとともに、一部の学校では、壁の断熱化や屋根の断熱塗装、スポットクーラーの設置などを実施したところでございます。
 議員御指摘の体育館へのエアコン設置につきましては、多額の予算が必要となるため、暑さ対策としては、施設面での対応と使い方の工夫の両面で取組が重要と考えております。
 今後は、高校再編や特別支援学校の老朽化に対応した増改築等を行う際に、断熱改修工事を含め検討してまいります。
 以上でございます。

3.教職員の働き方について

【和田明子議員】

 教職員の働き方について教育長に伺ってまいります。  教職員の休憩時間は、全日本教職員組合が行った2022年の調査では1日平均10分、県教職員組合では7分という調査結果に私は愕然としました。給食の時間は給食指導をしながら教室で食べる、今日の初トイレは夕方だったなど、信じられないようなこともお聞きしています。これでは心身ともに健康な状態で子供たちに向き合って教育ができる状況ではありません。深刻な事態だと思います。
 小学校では教職員の休憩時間はどのように確保されているのか伺います。また、小学校の教職員の休憩時間について、教育委員会は実態を把握しているのかお伺いいたします。

【内堀教育長】

 教職員の働き方について御質問を頂戴いたしました。
 まず、小学校教職員の休憩時間の確保と実態把握についてのお尋ねでございます。
 小学校では学級担任制を取っていることが一般的であることから、議員御指摘のとおり、教職員は子供たちが学校にいる間は計画的に休憩を取ることが難しい状況にあるというふうに認識しております。
 個々の教員の休憩時間につきましては、教員の職務や勤務形態の特殊性を踏まえると、正確な把握は難しい状況でございます。
 しかしながら、休憩時間は労働者に保障された権利であり、適切に確保しなければならないものとして、各学校では、校長が教職員と相談しながら休憩時間の設定を行っているものと承知しております。
 県内の小学校では、例えば給食時間を含めた昼休みの時間を休憩時間として設定し、地域ボランティアの方に給食指導を行っていただいたり、複数のクラスをまとめて教員が当番制で指導することなどにより、休憩時間を生み出す工夫をしている事例がございます。
 また、教員がこれまで昼休み等に行っていた印刷業務やアンケートの入力作業等を教員業務支援員に担ってもらうことにより、休憩時間を確保できるようになったという声も届いているところでございます。

【和田明子議員】

 教職員の時間外は全体で減少傾向にあるといいますが、昨日の教員の働き方の質問に対して教育長は、8%の教職員が過労死ラインを超える超過勤務をしていると答弁をされました。長時間勤務の実態がまだまだあります。出勤、退勤時間の管理が進んでいるというものの、持ち帰り、部活動指導も含めて、超過勤務は改善されているとは言えないのではないでしょうか。
 その大元にあるのが公立学校教員には本給の4%分の教職調整額を支給する代わりに、原則として残業は命じない、残業代は支払わないという、公立の義務教育諸学校等の教職員の給与に関する特別措置法、いわゆる給特法です。給特法が作られてから半世紀以上にもなりますが、学校の仕事も、業務も、残業も増える一方です。
 教職の魅力は、子供と人間的な触れ合いができ、子供の成長発達に立ち会い一緒に成長できること、授業で「先生、分かった」と生徒の目が輝き、これが宝物だと先生方は言われています。
 豊かな学校教育の実現のために、教員にも残業代を支給すること、業務量に見合った教職員の配置が必要であること、そのためには、教育予算の増額が必要であると現場の教職員や教育研究者が求めています。そのことをどう受け止めるのか、給特法に対しての認識はいかがか、お伺いいたします。
 そして国に対して、給特法の見直しを求めていただきたいと思いますが、いかがか。教育長に伺います。

【内堀教育長】

 給特法についての認識と国に対する見直し要望についてのお尋ねでございます。
 いわゆる給特法に規定する教員の時間外勤務に対する対価の在り方が、現在の勤務実態に適合していないと認識しておりまして、国における議論の動向を注視しているところでございます。
 今年5月には文部科学省が中央教育審議会に対し、質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について諮問しているところでございまして、そうした中で、具体的に教職調整額の在り方や、現在の学校現場の状況等を踏まえた時間外勤務手当の支給に対する考え方について、検討がなされているものと承知しております。
 県教育委員会といたしましては、令和5年7月に全国都道府県教育長協議会を通じ、令和4年度に国が実施した教員勤務実態調査の結果も踏まえ、給特法の見直しや、見直しに伴う必要な財政措置を講じることを国に要望しているところでございます。  以上でございます。

【和田明子議員】

 学校の現場の実情から言って、教職員の働き方、特に休憩時間の把握についてはなかなか把握しづらい面もあると思いますが、ぜひ、今、改善がされている職場の実情もお聞きしましたが、きちんと45分の休憩時間が確保されるように求めることと併せて、義務教育だけでなく、高校、特別支援学校の休憩時間の実態についても、今後把握をしていただきたいと要望しておきたいと思います。

4.小川村で起きた浸水被害に対する見舞金について

【和田明子議員】

 次に、上水内郡小川村鴨之尾地区で7月に起きた浸水被害とその対応についてお聞きしてまいります。
 小川村の浸水被害は、出水期にもかかわらず河川内に仮設の構造物を設置し災害復旧工事を行っていたが、あらかじめ受注者が出水により危険が予想される場合には事前に撤去するとしていました。
 しかし実際には構造物の撤去が行われず、土尻川が増水したことにより浸水被害をもたらしました。
 これは受注業者の瑕疵ではありますが、県が出水期の河川工事を発注したことに起因したものでもあります。自然災害であれば、信州型被災者生活再建支援制度による支援をすべきところです。
 しかし、知事は会見で、県発注の災害復旧工事に起因するとして、被害を受けた皆様にお詫びを申し上げると謝罪をし、被災した住民の生活再建に向け、県として既に見舞金を給付をいたしました。
 今回この被災者への見舞金としては手厚い対応をしていただきましたが、見舞金の支出の根拠は何なのかを、建設部長にお伺いいたします。

【新田建設部長】

 小川村浸水被害の被災住民への見舞金の支出根拠についてのお尋ねでございます。
 今回の浸水被害は、議員御発言のとおり、出水に際し河川内の工事用の仮設道路が撤去されなかったこと、これが直接の原因であり、契約約款に基づき施工業者の責任において損害賠償が進められているところでございます。
 県発注のこの災害復旧工事に起因するものであったことを鑑み、特例としてこの見舞金を支給し、県の遺憾の意をお示ししたものでございます。見舞金の支出に当たりましては前例がなく、制度が存在していなかったことから、自然災害により浸水被害に遭われた方の生活再建支援を行う信州被災者生活再建支援制度を参考にいたしました。
 被害を受けた皆様に対しては、建設事務所の職員による定期訪問によりお困り事を把握し、丁寧に対応をするとともに、周辺の護岸のかさ上げなど当該地域の安全対策も講じてまいります。  以上でございます。

【和田明子議員】

 今、建設部長から御答弁をいただきました。
 被災された方々への損害賠償の手続が行われていると知事からの提案説明もありましたが、7月1日に被災された方々にいまだに損害賠償が支払われていない。支払いの手続が迅速に行われるよう、今後も県としても、事業者の皆さんと一緒に対応をお願いをしたいと思います。
 災害はあってはならないことでありますが、今回の見舞金のことは特例で、前例がないと先ほど御答弁がありました。今後不測の事態が起こらないとも限りません。今後も、この前例がない、特例で行ったということではなく、今後の見舞金の在り方について検討し、制度化も御検討いただくよう要望して質問を終わります。

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