日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2023年11月定例会 藤岡義英議員一般質問

  1. 情報公開請求等に係る審査請求について
  2. 子どもの医療費助成について
  3. 障がい者の医療費助成などについて

情報公開請求等に係る審査請求について

【藤岡義英議員】

 おはようございます。1番、日本共産党県議団の藤岡義英です。よろしくお願いいたします。

 最初に、情報公開請求に係る審査請求について質問いたします。

 情報公開・法務課が、10月13日プレスリリースで、「公文書公開請求及び個人情報開示請求に係る審査請求の手続において不適切な事務処理がありました」と発表しました。2016年から行政不服審査法に基づく手続が行われていなかったとのことです。

 この法律では、情報公開請求に対し、非公開または一部公開などと決定した関係部局(処分庁)に対し、請求人がその決定に納得できない場合不服を申し立てる審査請求ができるわけですが、新たな手続として、処分庁は非公開などの決定をした理由を記載した弁明書、一方、請求人は決定を不服とする反論書を、審査する関係部局(審査庁)に提出することが16年の法改正で義務づけされるようになっています。

 しかし、これらの書類の提出の手続を県は行っていませんでした。

 対象となる案件は16年以降45件とのことですが、プレスリリースによりますと、県の情報公開条例で、実質的に弁明や反論の機会を与えられているため、既に行われた45件の裁決は有効と考えておりますと説明しています。

 しかし、請求人は法律に基づいた書類の提出機会を与えられず、反論の機会を奪われたことになります。違法とも解釈できるわけであります。

 そこで質問いたします。まず、これまでに16年から今年度の10月13日まで対象となった45件ですが、公開、一部公開、非公開など決定の内訳を教えてください。

【玉井総務部長】

 私には情報公開請求等に係る審査請求について御質問をいただきました。

 まず、このたびは、情報公開請求等の審査請求に係る不適切な事務処理によりまして、関係する皆様の信用を損なう事態となったことを深くおわび申し上げます。

 今回の不適切な事務処理は、公文書公開請求及び個人情報開示請求に係る処分に対し、請求人が不服がある場合に行われる審査請求手続において、行政不服審査法の改正があった平成28年度以降、法律上義務づけられた処分庁、これは非公開決定等の処分を行った部署でございますが、これによる弁明書の作成と審査請求人が審査庁、これは審査請求に関する審査を行う部署でございますが、これへの反論書の提出機会の付与の手続が取られていなかったというものでございます。

 当事案の対象となる案件でございますが、情報公開請求に係るものが13件ございます。このうち公文書の一部を非公開とする一部決定に対するものが9件、公文書の全体を非公開とする非公開決定に対するものが1件、請求対象の公文書が存在しない不存在決定に対するものが2件、公文書の有無を答えることで非公開情報を公開することとなることから請求を拒否する存否応答拒否決定に対するものが1件でございます。

 また、個人情報開示請求に関するものが32件ございます。このうち個人情報の全部を開示する全部開示決定に対するものが1件、個人情報の一部を不開示とする一部開示決定に対するものが24件、個人情報の全体を不開示とする不開示決定に対するものが2件、それから請求対象の個人情報が存在しない不存在決定に対するものが3件、公文書の有無を答えることで非公開情報を公開することとなることから請求を拒否する存否応答拒否決定に対するものが2件、以上、計45件となっているところでございます。

【藤岡義英議員】

 45件の不適切処理案件について、行政不服審査法違反になりますから、適正な手続に基づいてやり直すべきだと考えますがいかがですか。

 また、不適切な事務処理がされた請求に対し、プレスリリースでの発表後、何らかの対応は取られたのでしょうか。

【玉井総務部長】

 審査請求手続のやり直し及び不適正な事務処理がされた審査請求人への対応についてでございますが、本件の申請手続においては、条例の規定によりまして、審査を行う機関である情報公開審査会及び個人情報保護審査会において、審査庁から審査会に対し処分の理由等を記した理由説明書の提出、また、審査請求人から審査会に対し意見書の提出機会の手続が定められております。

 今回の事案につきましては、法律上義務づけられた弁明書の作成及び反論書の提出の機会が、この条例の規定によります、理由説明書の提出及び意見書の提出の機会により実質的に付与されていることから有効であり、また、こうした上での裁決という処分は不可変更力があるため、処分そのものを変更できず、取消しできる性質のものではないことから、既に行った45件の裁決のやり直しは行わないと判断したところでございます。

 なお、この裁決の有効性等の判断におきましては、国、総務省及び弁護士からの見解を参考にいたしました。裁決におきましてこうした判断をしたことから、審査請求に対して特段の対応はしてこなかったところでございます。

 いずれにしましても、私どもとしては、今回こうした事案が発生したことを深く反省をいたしまして、再発防止に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【藤岡義英議員】

 2017年7月9日、日本共産党県議団は、和田明子県議名で大北森林組合の補助金不正受給事件関連の公文書を県に情報公開請求を行いましたが、結果は公文書277枚、表題や日付などを除き全て黒塗り非公開でありました。

 当時この結果をSNSなどで発信すると、「隠蔽文書」「行政の対応として信じられません」「国の姿勢が地方レベルにも浸透」などの反応が返ってくるぐらい深刻なものでした。

 私たちの場合は不服審査請求という手続を取らず、司法の場で、公文書の情報公開を求める裁判を起こしました。しかし、行政不服審査法の改正により、請求人として反論書が提出できる機会があることを丁寧に知らされていれば、その手続を行っていた可能性もあったかもしれないと思うと、とても憤りを感じています。同じ思いを45件の審査請求人の方々は感じられているのではないでしょうか。

 今回の件について、総務省の行政管理局の担当者に説明を受ける機会がありました。担当者は、事実確認をして再発防止のためにも現状分析し、今後全国の自治体対象に行う研修にて教訓にすべき事例として紹介したい、こういうケースは不適切であるとし、研修の場で徹底したいとの見解でした。

 今回の不適切な事務処理について、どのように受け止められていますか。また、このような不適切な事務処理は二度とあってはいけません。今後、法令とおりに事務処理が行われることをどのように担保していくのでしょうか。

 以上、2点を知事にお伺いいたします。

【阿部知事】

 私に対しては情報公開請求等に係る審査請求の不適切事案に対する見解、そして法令どおりに事務処理が行われることを今後どう担保していくのかという御質問をいただきました。

 まず、行政不服審査法に義務づけられました事務処理が適切に行われていなかったことにつきましては、私からもおわびを申し上げます。

 当該事案が発生した原因は、法改正が行われた当時、本件の審査手続におきましては、既に条例の規定に基づいて理由説明書や意見書といった関係者の主張を記載した書類の審査会への提出を求めていたことから、法定の手続が不要と判断したことにあるというふうに考えております。

 しかしながら、法改正など事務手続に大きな変更が生じる場合には、組織内で十分な検討が行われなければいけないというふうに考えております。こうした点、私どもとしては大きな反省点だというふうに思っております。

 この事案を踏まえまして、今後組織内のコミュニケーションの活性化、そして相互に支援する、協力し合う体制の構築、そしてミスを含む仕事上の不安をちゅうちょすることなく相談できる心理的安全性の向上、さらには業務に関する個々の職員の専門性の向上、こうしたことに努めていきたいと思っておりますし、まさに今、組織風土改革で「かえるプロジェクト」の中で取り組もうとしている方向性もこうした方向性で取り組ませていただいております。

 こうした事案が繰り返されることのないように努力をしていきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

【藤岡義英議員】

 総務省の担当者と話し合って、一致した内容をもう少し紹介いたします。

 「請求人に断りもなく、勝手に行政機関のほうで手続を省略することはあってはならない」「何よりも申立人の方の意思が最優先ですので、事務方で失念してしまったというようなことは許されない」「ぜひ来年度の研修には長野県も参加してほしい」「所管する法律に関わる問題なので、長野県に言うべきことは言っていく」といった見解でした。45件の請求人に対し、「『手続上の問題があったのでどうしますか』との意向を聞くというのが、一番、本来として県としては丁寧だろう」とも話されておられました。

 ぜひ、45件の請求人に対し誠実に対応されることを求め、次の質問に移ります。

2.子どもの医療費助成について

【藤岡義英議員】

 次に、子供の医療費助成制度について質問いたします。

 6月議会の一般質問でも取り上げましたが、もう一度子どもと子育て家庭の生活実態調査を紹介しながら、自己負担金をなくすことの重要性について考えたいと思います。

 この調査から、貧困家庭の状況を深く見ることが大事であることを感じています。生活困窮の度合いによって、子供の学びや日常生活、進路などに様々な影響があることが見てとれますが、今回の調査結果をどのように受け止められていますか。こども若者局長にお伺いします。

【高橋こども若者局長】

 私には子どもと子育て家庭の生活実態調査の結果の受け止めについてお尋ねをいただきました。

 子どもと子育て家庭の生活実態調査は、子ども・若者支援総合計画の策定に合わせて実施をしているものでありまして、調査対象の家庭を、世帯の所得や家計の逼迫状況、子供の体験、所有物の不足の三つの要素から、一般家庭、周辺家庭、困窮家庭に分類をした上で、子ども・子育て家庭の生活学習就労実態の把握分析をしております。

 昨年実施した調査結果からは、現在の暮らしの状況を苦しいと答えた割合は、一般家庭で約2割。困窮家庭で約9割と、前回の調査とほぼ同じでありましたが、世帯所得で700万円以上の家庭が増える一方で、困窮家庭では210万円未満の割合が増えるなど、一般家庭と困窮家庭の差が拡大していること。困窮家庭のほうが子供の学習時間が短い傾向にありまして、世帯の経済状況を理由に希望する学校に進学する予定はないという回答も増えておりまして、子供の進路への影響が拡大していること。

 また、保護者の多くが、行政に充実を求める子育て支援サービスとして、子供の就学に係る費用の軽減を挙げていることなど、特に困窮家庭における生活の苦しさや、多くの世帯で子供の教育に関して不安や負担感を抱いていることが見受けられる結果となりました。

 こうした調査結果を受けまして、特に子供の将来に影響を与える学びの充実に向けて、子供の居場所や学びの機会の確保、子育て家庭の負担軽減などに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

 以上です。

【藤岡義英議員】

 調査では、子供たちが適切な医療を受けられているかという観点でも調査しています。過去1年間にお子さんを医療機関で受診させた方がいいと思ったが、実際には受診させなかったことがありますかという質問に対し、困窮家庭で23.8%で、あったと答えています。その理由は何ですかに対して、困窮家庭では、3.6%が医療機関で自己負担金を支払うことができないと思ったからと答えています。

 前回の2017年の調査、そのときはまだ窓口で一旦支払う償還払い制度でありましたが、そのときは、貧困家庭は19.0%と高い割合でした。現物給付、窓口無料になったことで、6月議会で健康福祉部長が答弁されたように、窓口負担が従前よりも抑えられるようになったので、全体として割合が減少したことにつながったことも事実だと思いますが、一番この調査で注目しなければならないのは、現物給付になって窓口負担が減っても、まだ貧困家庭の3.6%が自己負担金を払えないことを理由に子供を受診させていないという結果が出たことだと思います。

 この貧困家庭3.6%の数字をどのように捉えていますか。健康福祉部長にお伺いいたします。

【福田健康福祉部長】

 私に福祉医療費給付事業に関しまして御質問いただいております。御答弁申し上げます。

 まず、子供の医療費助成につきまして自己負担金が支払えないと回答された3.6%という数字について、どのように捉えているのかという御質問でございます。

 6月議会でも御答弁申し上げたとおり、御指摘の調査は今後の子ども・子育て支援、次世代育成支援施策の参考とするため、令和4年6月から7月にかけて県民文化部が実施したもので、無作為抽出した県内1万2,000世帯の子供本人とその保護者を対象に行ったものでございます。

 3.6%という結果につきましては、6月議会で申し上げましたが、単純比較はできませんけれども、5年前の平成29年、償還払い方式だった頃の前回調査の19.0%から数値は大きく改善しており、制度の見直しの効果は一定程度表れているものと考えております。

【藤岡義英議員】

 「子供の貧困 小児科の現場から」と題して、福祉医療給付制度の改善を進める会の総会で行われた健和会病院の小児科の和田浩医師の講演を聞く機会がありました。幾つかの子供たちの事例を紹介されていました。

 一つは、定期通院を中断するぜんそくの母子家庭の事例でありました。4人の子供のうち3人が喘息で、どの子供も継続治療が必要でしたが、予約の日には来ず、発作を起こすと受診。その都度、なぜ定期通院が必要かを医師が説明し、母親は分かりましたと答えますが、やはり来ないという繰り返しだったそうです。

 次男が発作で受診。そのとき、予約の日に来ないのは経済的に大変だからですかと聞くと、そうですと。生活保護の相談にも行ったけれど、すぐには認められず困っているとのこと。収入は児童扶養手当、母親の内職、長男のバイト、子供手当、合わせて月平均16万円として、年収は192万円です。明らかに困窮状態。お金のないときは、少々の発作があっても我慢。いよいよひどくなると受診するという繰り返し。学校関係の支払いを待ってもらうか、食費を切り詰めていたそうです。

 継続通院をしていればぜんそくは治る病気ですが、医療費負担を心配して通えず、治らない状態が続いていたという事例でした。

 もう一人の事例を紹介すると、4歳の娘さん、アトピー性皮膚炎、ゼロ歳のときはひどかったが、今改善し、軟こうをまめに塗っていればかきむしることはない状態になっていました。しかし、保育園健診の際にその娘さんを見ると、肘・膝がかきむしられていてかなり悪化。医師はその娘さんがしばらく受診していないことに気づき、園長先生に病院に来るように伝えると、翌週に母親が娘さんを連れて受診。理由を聞くと、お父さんがコロナで仕事が減ってしまって、お金がなくてかかれませんでしたとのことでした。

 500円がなくてお医者さんにかかれないのは、どんな家庭なのでしょう。最も困窮し、支援を必要としているが、支援が届いていない家庭です。子供の貧困対策として、最優先で救済すべき世帯です。

 自己負担金について、県は、医療機関等を受診した皆様に、福祉サービスの受益と負担の関係を明確にし、共に制度を支え合う一員であることを自覚していただくため、医療費の一部負担を維持することが適当であることを理由にされています。

 しかし、現実は、貧困家庭を医療から遠ざけてしまうことがはっきりしています。自己負担金500円は、貧困家庭にとって経済的なハードルとなっていると考えますが、どのように捉えていますか。お伺いいたします。

【福田健康福祉部長】

 自己負担金500円は経済的なハードルになっているのではないかという御質問でございます。この額につきましては、平成20年12月に県と市町村で設置をいたしました長野県福祉医療費給付事業検討会で議論されたものでございまして、受給者負担金については、無理のない額の範囲として、1レセプト当たり500円と結論づけ、将来にわたり持続可能な制度とするため、受給者にも御負担をお願いしているところでございます。

【藤岡義英議員】

 私は6月議会に、県として福祉医療費給付事業検討会を開き、市町村と話し合い、少子化対策、子供の貧困対策として、通院の助成を中学校卒業まで拡充すること、自己負担を廃止し完全無料の現物給付とすることに踏み切るべきではないかと質問いたしました。

 あれから半年が経過しようとしています。国ではさらに動きがありました。厚生労働省は9月7日、小学生から18歳未満への医療費助成を独自に行う自治体へのペナルティとして強いてきた国民健康保険への国庫負担金の減額措置を廃止する方針を、社会保障審議会の部会に示し、了承されています。今後、省令を改正するとのこと。自治体による子供の医療費助成を後押しする方針だとしています。

 長野県はその後、検討状況はどうなっているでしょうか。以上、健康福祉部長にお伺いいたします。

【福田健康福祉部長】

 6月定例会で御提案をいただいた点についての検討状況はどうかという御質問でございます。子供の医療費助成の拡充については、子ども・子育て支援策としての検討が進められているところでございます。

 例えば、まずしあわせ信州創造プラン3.0、新時代創造プロジェクトの女性・若者から選ばれる県づくりプロジェクトとして庁内で検討されておりますし、市町村と共に取り組む子育て支援合同検討チームにおいても検討を重ねているところでございます。

 御提案の一つ目、現在の通院助成の小学3年生までを中学卒業までに拡大するという点でございますが、新たに多額の県費の追加負担が見込まれるため、様々な子ども・子育て政策のうち、どの施策に財源を重点的に配分していくのがよいのかという観点からの検討が必要でございます。関係部局と共に引き続き検討に参画をしてまいりたいと考えております。

 二つ目の自己負担金については、これまで県市長会、町村会や医療関係団体と検討を重ね、福祉サービスの受益と負担を明確にし、共に制度を支え合う人であることを受益者に自覚していただくため、医療費の一部については受益者の負担とすることが適当と整理をさせていただいたところであり、将来にわたり持続可能な制度とするため受給者にも負担をお願いしているところでございます。

 いずれにいたしましても福祉医療費給付制度は、様々な論点、社会情勢の変化や財政負担なども踏まえて、実施主体である市町村と丁寧に議論をしながら改善を重ねてきたところでございます。受診すべきときに適切な医療が安心して受けられるよう見直しが必要であるかどうかについては、今後も継続的な検討を行ってまいりたいと考えております。

【藤岡義英議員】

 健康福祉部長から答弁いただきました。3.6%というのは前回よりも大変減ったということで効果があったという見解でありましたが、現物給付という制度になっても、まだこの負担が重くて払えないという人が3.6%あると。0%になってない。このことを受け止めてほしいと思って、今回6月議会に続いて質問したわけであります。ぜひ受け止めていただきたいなというふうに思います。

 子供の貧困という角度から6月議会に続いて、子供の医療費助成について質問いたしました。困窮家庭にとって待ったなしということで訴えましたが、コロナ禍と物価高騰の下で、経済的困窮がさらに進んでおり、子供の医療費の完全無料化は、困窮家庭をもちろんのこと、多くの子育て家庭の願いになっています。

 長年の子育て支援を求める県民運動があって、それを受けて県の子育て支援策が前に進み、また全国でも各自治体の努力があった中で、国もペナルティを撤廃せざるを得なくなりました。

子育て支援の政策の前進は、地方から始まりました。

 しあわせ信州創造プラン3.0では、新しい時代に向けて、特に進めていく必要がある政策をピックアップし、新時代創造プロジェクトとして女性・若者から選ばれる県づくりを掲げています。子育てにかかる経済的負担の軽減等により、女性や子育て世帯が安心して出産、子育てができる社会、社会全体で子育てを支える子育ての社会化を目指すとしています。

 女性や若者に選ばれるために、今こそ長野県として、全国に先駆けて子供の医療費は完全無料化に踏み出すべきです。

3.障がい者の医療費助成などについて

【藤岡義英議員】

 次に、障がい者の医療費助成などについて質問いたします。

 先月22日に福祉医療給付制度の改善を進める会が、県に「子どもと障がい者(等)の医療費窓口完全無料化の一刻も早い実現を求める要望書」を提出し、健康福祉部長と懇談いたしました。高村県議と私も同席いたしました。

 健康福祉部長との懇談では、精神障がい者の当事者会のNPOポプラの会の方も訴えられました。障がいのある人が行政に望むことの第1位は、県が2023年に行った障がいのある方の実態調査の結果では、医療費の負担軽減であり、その理由は経済的な側面があるとのこと。障がい者は障害年金を基礎として働いたりしながら生計を立てていますが、障がいがあるとフルタイムで働けないため、年金があってもどうしても収入が少なくなること。

 2016年に、きょうされんが行った「障害のある人の地域生活実態調査」の報告によりますと、年収122万円以下、いわゆる貧困線以下の割合が81.6%、これは国民一般の5倍。年収200万円のいわゆるワーキングプア以下の割合は98.1%、これは国民一般の4倍と、障がい者のほとんどの方が困窮状態であること。

 このように経済的に厳しい状況で、かつほかの病気も併発しやすいにもかかわらず、いまだに窓口で一旦医療費を支払わなければいけない制度のままであると。福祉医療の窓口無料化、また、精神障がい者はほかの障がいのある人より支援が遅れているとして、身体・知的障がいのある人と同様に、保健福祉手帳2級まで、入院も補助対象を広げてくださいと訴えられました。

 そこで、幾つか質問いたします。

 障害者自立支援法により3障害一元化となりましたが、福祉医療に関しては、身体、知的障がいには、入院費まで対象になっていますが、精神障がいの対象は通院のみで、入院は対象外です。

 差別を禁止している障がい者共生条例の趣旨に反していると考えますが、どうして精神障がい者だけ分けられているのですか。

【福田健康福祉部長】

 障がい者の医療費助成についての御質問でございます。

 精神障がい者の入院を対象としていない理由についてのお尋ねでございますが、本県では、平成13年11月に設置した福祉医療制度の在り方検討委員会での、精神障がい者についても地域の中で安心して生活できるよう1級の者の通院部分を対象に加えることが適当とした提言を踏まえ、福祉医療制度に精神障がい区分を創設したところでございます。

 その後、平成19年6月に設置した長野県福祉医療費給付事業検討会では、入院の取扱いも含め精神障がい区分の対象範囲拡大が検討されましたが、精神障がい者の地域生活への復帰支援を進めている中で、福祉医療費の給付を入院も対象とした場合、入院の長期化、入院の増加を招く懸念があるという意見が出されたところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、心身障がい者に対する福祉医療費給付事業の給付については、引き続き通院にかかる医療費の自己負担金を助成することとし、平成22年度には精神2級の方の精神通院医療を対象に加えるなど、改善が行われましたが、入院部分については対象外となっているところでございます。

【藤岡義英議員】

 精神障がい者の補助対象を、身体・知的と平等とし、2級の入院を加えるべきだと考えますが、いかがですか。

【福田健康福祉部長】

 精神障がいも入院の対象とすべきではないかという御質問でございます。

 先ほど申し上げました検討委員会等での議論を踏まえ、これまで通院への支援に焦点を当てて、例えば令和3年度には精神2級の方の通院対象を全診療科に広げ、対象拡大するなど制度の充実を図ってきたところでございます。

 長野県障がい者プランでも、医療機関や入所施設から地域生活への移行を進め、地域で安心して暮らせるための取組を推進することとしているところでございまして、議員御指摘の入院への拡大については、慎重な検討が必要な課題であると認識をしております。

 今後とも障がいがある方の置かれている実態を踏まえつつ、制度の持続可能性を考慮の上、実施主体の市町村と共に支援の在り方を検討してまいります。

【藤岡義英議員】

 病院にも継続的に通院する人が多い一方で、経済的に厳しく、窓口で一旦医療費を負担する償還払い方式では厳しいとの切実な声があります。障がい者も含めた福祉医療給付制度の事業全体を現物給付制度にすべきと考えますが、いかがでしょうか。

【福田健康福祉部長】

 障がい者医療給付費の現物給付化をすべきではないかという御質問でございます。

 障がい者をはじめ現物給付方式の導入については、付加給付の停止や国民健康保険の減額調整措置による国庫負担額の減少など県や市町村の財政に大きな負担が生じることから、慎重に検討する必要があると考えております。

 障がい者や子供など福祉増進のための医療費助成については、本来国の責任により社会保障政策全体の中で位置づけられるべきものと考えております。県としては、国民健康保険の減額調整措置の廃止、全国一律の福祉医療費助成制度の創設について、引き続き国に対して要望をしてまいります。

【藤岡義英議員】

 先ほどきょうされんが行った障がいのある人の地域生活実態調査を紹介いたしましたが、圧倒的多数の障がい者が深刻な貧困状態に置かれているとの結果が出ています。県は長野県障がいのある方の実態調査を行われていますが、県内でも経済的に困窮している方が多いと考えられます。障がい者の経済状況を調査すべきと思いますが、いかがでしょうか。

【福田健康福祉部長】

 経済的な観点での生活実態調査を実施してはどうかという御質問でございます。

 御質問中にもございましたとおり、現在策定作業中の次期障がい者プランの基礎資料とするため、障がいのある方の実態調査を実施し、相談先、暮らし、サービスの利用状況、行政への要望など様々な角度から障がいのある方の実態の把握をしたところでございます。

 また毎年定期的に各障がい者団体と意見交換をさせていただく中で、障がいのある方の実情を伺っているほか、各圏域に設置する障がい者総合支援センター等において障がいのある方からの様々な相談に対応する中で、困り事や悩み事を丁寧に伺わせていただいており、相談で把握した最近の傾向等についても情報を共有するなど、様々な機会を捉えて実情把握に努めているところでございます。

 障がい者の経済状況を調査してはどうかという御指摘については、実態調査の項目に加えることも考えるところでございまして、次回に向けて検討したいと考えておりますが、どのように世帯収入を正確に把握するかなど技術的な課題もございます。当面は今回実施した調査結果や、先ほど申し上げた様々な情報を総合的に分析して、必要な施策を展開してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

【藤岡義英議員】

 今回は障がい者の医療費助成についても取り上げさせていただきました。入院についても精神障がい者の方への助成をという私の訴えに、質問に対して、健康福祉部長の答弁の内容は大変残念だなと感じました。この答弁の内容を私もしっかりまた分析し、当事者の方々に確認し、実際はどうなっているのか実態を私は見ていきたいな、このように考えております。

 県の障がい者共生条例では、全ての障がいのある人は、障がいに加え、その他の要因が複合することで、特に困難な状況に置かれる場合においては、状況に応じた配慮がなされることとして、県の責務は障がい者等に関する施策を総合的かつ計画的に策定し実施すること、施策策定に当たり障がい者がある人などの意見を反映させるよう努めることとあります。禁止事項には、何人も障がいを理由として差別すること、その他の権利利益を侵害する行為をしてはならないとしています。

 障がい者の皆さんの多くが、今、必要な医療が経済的理由で受けにくくされています。権利権益が侵害されており、明らかな差別だと私は思います。

 県は国のペナルティを理由に窓口無料化の実施を拒んでいますが、そうしたペナルティを受け止め、福祉医療の窓口無料を実現している自治体は全国で30都道府県もあり、さらに自己負担金をなくしている自治体もあります。31番目に長野県がなるべきです。障がい者共生条例を本気で実践していただくことを強く求めまして、以上で質問を終わります。

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