日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2024年2月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 知事の政治姿勢について
  2. 災害対策について
  3. 信州F・POWERプロジェクトの現状について
  4. 教育問題について

知事の政治姿勢について

【和田明子議員】

 日本共産党県議団、和田明子です。
能登半島地震で亡くなられた皆様に、心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
最初に、知事の政治姿勢について伺ってまいります。
裏金疑惑と金権腐敗政治について、新聞「赤旗」のスクープが契機となり、自民党が組織的系統的に派閥のパーティーを利用して、違法な企業・団体献金を長期にわたって集め、政治資金収支報告書の偽造や不記載で多額の裏金をつくっていたことに国民の怒りと不信が広がっています。
政治資金規正法は、政党や政治家の政治活動を国民の不断の監視と批判の下に置くために資金を透明化することをルールとして、政治資金収支報告書の提出を義務づけています。2018年から2022年の5年間に、安倍派の政治資金パーティー収入の不記載が約6億8,000万円にも上ること。さらに、収支報告書に記載しないよう指導されていたことも、自民党の調査結果で明らかになりました。
自民党国会議員の4分の1以上が関わったとされ、地域を回ると、庶民は1円でも安いものをと日々四苦八苦しているのに、何百万円、何千万円ものお金を何に使ったか分からないなんて信じられないと憤りの声が聞かれ、政治不信を広げています。共同通信社が実施した世論調査でも、裏金を受け取った議員がその使い道について説明する必要があるとの回答が84.9%に上っています。うやむやにすることは許されません。パーティー券の名による献金は必ず見返りを期待して行われるものであり、政治をゆがめます。
日本共産党は、企業・団体による政治資金パーティー券購入を含め、企業・団体献金を全面禁止し、金権腐敗政治の根を絶つことを求めています。自民党が組織的、系統的かつ長期にわたって行われてきた戦後最大とも言われる金権腐敗事件について、知事はどのような見解をお持ちですか。

【阿部知事】

 御質問にお答えを申し上げたいと思います。
まず、政治資金パーティーを巡る問題についてのお尋ねでございます。
一昨日の小林東一郎議員の代表質問にもお答えしたとおり、こうした問題は、まさに現在進行形の課題であります。国会での議論の推移を見守りたいというふうに思っております。
令和臨調も含めて、政治資金等の改革に向けた様々な意見や提案が出されてきているという状況であります。政治に対する国民の信頼を確かなものにしていくための国民的な議論が必要になってきているというふうに受け止めております。

【和田明子議員】

沖縄辺野古新基地建設代執行と地方自治について伺ってまいります。
長野県と沖縄県は民間同士の交流を含め、各分野において両県の発展に寄与することを目的として、昨年3月15日、長野県及び沖縄県の交流連携に関する協定を結びました。来県された玉城デニー知事は県議会を表敬訪問され、議会側とも親しく懇談する機会がありました。
その沖縄で、名護市辺野古の米軍新基地建設で、大浦湾の埋め立て予定海域にある軟弱地盤の改良工事の設計変更を拒んできた玉城デニー知事に代わり、地方自治法で自治体に任されている事務を踏みにじって国土交通大臣が史上初の代執行を行い、埋め立てが強権的に進められています。
沖縄県民の民意は、3回の知事選で辺野古への新基地建設反対を掲げる候補者が当選し、県民投票でも72%の県民が埋め立て反対の意思を示していることで明確ではないでしょうか。
このようなことを許していけば、今後、長野県民と知事が決めたことを国が気に入らないからと覆すことにもつながりかねません。民主主義破壊、地方自治破壊の非民主的なやり方が広がることが懸念され、地方分権が空洞化してしまいます。
共に交流と発展を支え合う仲間、また地方自治を尊重する立場から、この問題に関わる知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 沖縄の辺野古新基地建設に係る代執行と地方自治について御質問いただきました。
まず、玉城知事におかれましては、県民の皆様との民意を受け止めながら、国との対応に誠心誠意御尽力されていることに敬意を表したいというふうに思っております。
今回の代執行に係る国の対応につきましては、より地方自治に配慮した対応の余地がなかったのかというふうにも思いますが、地方自治法に規定されている手順を踏み司法判断を経ていることから、法令上は適切なものというふうに考えております。
一方で地方自治、あるいは地方分権に関しては、いまだに国の過剰な規制や全国画一的なルールが我々地方を縛っているというふうに私は感じておりますので、今日的にもまだまだ課題が多いのではないかというふうに思っております。 地方自治法に基づく代執行につきましても、その対象が法定受託事務に限られているというふうにはされていますが、地方分権一括法の制定以降20年以上が経過をしております。また社会情勢も大きく変化をしてきている中で、国と地方の事務の最適な役割分担や法定受託事務の在り方などを含めて検討されるべきものというふうに考えております。
こうした分権、自治の議論は最近あまり行われなくなってしまっておりますけれども、こうした問題提起を知事会等からも行えるように、私としても取り組んでいきたいというふうに思っております。

【和田明子議員】

 災害列島における原発についてもお聞きします。
能登半島地震で震度7を記録した志賀町には、活断層の上に北陸電力志賀原発がありますが、運転休止中だったことから大事故に至りませんでした。しかし、様々な深刻なトラブルが発生したことが明らかになってきました。
志賀原発の避難計画は、至るところで道路網が寸断される下で実行不可能な計画で、原発事故が起きたら住民は避難することさえできない事態も判明しました。長野県内には原子力事業所は存在しませんが、福島第1原発事故では、緊急防護措置を準備する30キロ圏以上の広範囲に放射性物質が拡散し、住民生活と産業に甚大な被害をもたらしました。
長野県を囲むように世界最大規模の柏崎刈羽原発と浜岡原発があり、糸魚川静岡構造線断層帯地震や南海トラフ巨大地震の影響で原発事故が起こった場合に、影響を受ける可能性があります。その際、屋内退避や避難が必要となったときに、県民の命と安全を守る責務が県にはあります。県の地域防災計画ではどのように対応するのでしょうか。

【阿部知事】

 原子力災害について御質問頂戴いたしました。
まず、県の地域防災計画で原発事故が起きた際の対応についてという御質問でございます。
本県の地域防災計画原子力災害対策編におきましては、原発事故が発生し、原子力事業所外に放射線の漏出が懸念または確認され、国において原子力災害対策本部が設置された場合には、県としても災害対策本部を立ち上げるということといたしております。
その上で、各電力会社との覚書に基づく情報収集や、県内のモニタリングポストにおける観測等を行います。その上で入手した情報の市町村との共有、あるいは県民への広報を行ってまいります。
また、国の原子力対策本部の指示に基づく屋内退避等の呼びかけや、必要に応じた県外からの避難者の受入れ、こうした対応も行うことといたしております。
原子力発電所の事故はあってはならないものでありますが、万が一に備えて、国や市町村、あるいは原発立地県、電力会社と連携して、適切な対応が取れるように取り組んでいきたいと考えております。

【和田明子議員】

 今回の地震を見ても、災害列島の日本には原発の適地はありません。再稼働の道を探るのではなく、原発に依存しない再生可能エネルギーの利用拡大が必要だと思います。県のエネルギー施策について、知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 県としてのエネルギー施策についての考えという御質問でございます。
エネルギー政策の根幹につきましては、安定供給や経済効率性という観点はもとより、安全性、あるいは環境への適合性、こうしたことを総合的に検討した上で、国において責任を持って決定されるべきものというふうに考えております。今後とも国全体で、再生可能エネルギーの最大限の普及に取り組んでいただくことが必要というふうに考えております。
これまでも、知事会等を通じて再エネの主力電源化に向けた施策の拡充を求めてきているところでありますし、今後ともこうした方向性の要請活動を行っていきたいと思っております。
加えて、本県としてもこの脱炭素社会をしっかりつくっていかなければいけないと考えておりますので、県内の豊富なポテンシャルを十分に生かした再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んでいきたい。そして長期的には、エネルギーの自立の実現を目指していきたいと考えております。
以上です。

【和田明子議員】

 御答弁いただきました。分権、地方自治、機会を捉えて知事からも発信をしていただきたいと思います。

災害対策について

【和田明子議員】

 災害対策について、危機管理部長並びに総務部長に伺ってまいります。
能登半島地震から7週間になります。亡くなられた方は241名、住家被害は6万棟を超え、避難生活を続けている人は少なくとも2万3,000人、3万4,000戸以上で断水が続いているなど被害は甚大です。
県として直ちに災害対策支援本部を立ち上げ、市町村と共に「チームながの」として支援活動に携わっていただいていますが、水がない、食料がない、避難所環境劣悪など、生活再建への不安にさいなまれながら、寒い中、被害に遭われた皆さんの心身共に過酷な状況を強いられている状態です。
いまだに先が見えず、復旧の長期化が予想されます。被災者の切実な願いは住まいの再建となりわいを取り戻すことです。国の被災者生活再建支援金は、建設資材が1.5倍に跳ね上がっているのに、最大300万円であまりに不十分です。日本共産党は600万円以上に引き上げるよう政府に求めています。また、半壊、一部損壊は対象外になっています。これでは暮らしの再建は困難です。国に対し、範囲の拡大や支援金の引上げを求めていただきたいと思います。危機管理部長に伺います。

【前沢危機管理部長】

 御質問いただきました。お答え申し上げます。
まず、被災者生活再建支援金の支援範囲の拡大、支援金の引上げについてでございますけれども、災害が激甚化、頻発化する中、今回のような大規模地震は全国どこでも起こり得る可能性がございます。これまで国に対して、地方を挙げまして、再三にわたりこの支援金の支給対象の拡大等を要望してまいりました。
その結果、令和2年には、損害割合30%以上の中規模半壊を支給対象とする改正がなされたわけですけれども、まだまだ十分とは言えないというふうに私どもも認識をしているところでございます。
本年度も全国知事会として、支給額の増額、適用条件の緩和、国負担の強化など、さらなる制度充実を要望しているところでございますけれども、制度見直しに向けまして、引き続き、これはもう粘り強く要望してまいりたいというふうに考えております。

【和田明子議員】

 地震のメカニズムや被害状況の全貌が徐々に明らかになってきています。犠牲者の死因は、圧死が41%、窒息が22%、低体温症が14%のことで、犠牲になられた方の多くが家屋の倒壊によるものです。高齢化率の高さ、過疎地、孤立集落など、長野県としても似たような状況であることから、決して他人事とは思えません。
教訓を生かし命を守ることを第一に、長野県地域防災計画の充実、とりわけ地震に強い都市構造の形成、建築物の安全化、緊急輸送道路の強化、代替路の確保、上下水道などのライフライン等の機能の確保、住宅の耐震化、孤立集落への対応など、見直しが必要だと思います。危機管理部長にお聞きします。

【前沢危機管理部長】

 地域防災計画の充実でございますが、県の地域防災計画の中には項目立てがございまして、その中に防災都市計画とか建築物の災害予防計画とか、ライフライン施設災害予防計画など必要な計画が定められておりますので、都度都度この見直しを随時行ってきたところではございます。
今回地震で生じた課題は、多くの中山間地を有する本県にとっても他人事ではないと思っておりまして、こういったいつ起きてもおかしくない地震に備えて、耐震化や緊急輸送道路などの強化、それから県民一人一人の防災対策の再点検の呼びかけなど、県としても至急取り組むべき事業として、令和6年度当初予算に計上をしたところでございます。
今後は今回の地震を踏まえた本県の地震防災対策を見直しまして、地震防災対策強化アクションプラン、仮称でございますが、これを取りまとめまして、その内容をさらに地域防災計画のほうにも反映させていきたいというふうに考えているところでございます。

【和田明子議員】

能登半島地震においては、避難所の劣悪な環境が問題になっております。東日本大震災の避難所では、性被害に遭った事例も報告されております。避難所にも男性用とは離れた場所への女性用トイレ設置や授乳スペース、女性専用更衣室の設置など、ジェンダー平等の視点が求められています。
県の女性防災担当は6名とのことですが、さらなる女性の職員を増やしていただきたいと思います。総務部長に伺います。

【玉井総務部長】

 県の防災担当への女性職員の配置についてのお尋ねでございます。
県の防災担当である危機管理部への女性職員の配置につきましては、平成31年4月1日時点で2名を配置しておりましたが、令和5年4月1日時点で6名を配置しております。避難所対応を含めまして、災害時における女性の視点での対応は大変重要であるというふうに認識しており、さらなる女性職員の増員を進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。

【和田明子議員】

 第5次男女共同参画基本計画では、地方防災会議の女性委員比率を30%との数値目標が掲げられています。女性委員の比率が少ないほど避難所における女性用品や介護用品の備蓄が少ないとの調査結果もある中で、県防災会議の女性委員の比率はどうなっているのか現状を伺うとともに、増やしていただきたいが、見通しと課題について危機管理部長に伺います。

【玉井総務部長】

 最後に防災会議の女性委員の比率でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、79名の委員中16名ということで、20.3%にとどまっているところでございます。やはり関係機関からの推薦が大事でございますので、ここを強力に、また来年度以降一生懸命にお願いをしていくということで、これは、女性の比率が高まりますと女性の視点に立った防災対策の推進に役立つという認識は私どもも同じでございますので、引き続き、その比率の向上に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。 以上でございます。

信州F・POWERプロジェクトの現状について

【和田明子議員】

 次に、信州F・POWERプロジェクトとの現状について、知事並びに林務部長に伺ってまいります。
信州F・POWERプロジェクトの中核を担う征矢野建材が66億円余の負債を抱え、経営破綻に陥り、民事再生手続を行っています。
県は事態を真摯に受け止めるとして、直ちに事業継続支援チームと原木安定供給等検討チームを設置し、対応していただいているところでございます。征矢野建材の事業は綿半ホールディングスがスポンサー契約を結び支援するが、燃料供給の義務契約は解除するとのことです。征矢野建材は、民事再生法に基づく再生計画案を長野地方裁判所松本支部に提出したという状況であります。
私は、この事業が大北森林組合補助金事件の轍を踏むことにならないかと危惧をしております。つまり、計画どおりに事業が進まなかった場合に変更もしくは中断ということになれば、補助金の一部または全部の返還を国に求められることになりはしないかということです。
現実は製材事業にしても、木質バイオマス発電事業への燃料供給にしても、明らかに計画時とは異なっている変化があるわけですので、国に報告しながら相談していただいていると思いますが、補助金を支出した国との関係ではどのような対応をされているのか。林務部長に伺います。

【須藤林務部長】

信州F・POWERプロジェクト関係の補助事業に係る国への対応についてのお尋ねでございます。
一般に、補助事業につきましては、虚偽の申請内容等に基づいて補助金が不適切に交付された場合などには、補助金の交付決定の取消しや返還命令に至る場合がありますが、信州F・POWERプロジェクトに関する補助事業については、そうした状況にはないものと認識をしております。
県としては、これまで法令や補助要綱等に基づいて、事業主体が補助金の交付目的に沿って適切に事業を実施し、補助対象となった施設等の効率的な運営が図られるよう、善良な管理者の注意をもって事業主体を指導監督するなど、補助金執行者としての役割を誠実に果たしてきたところです。
補助事業の原資となった基金の監督官庁である林野庁に対して、随時情報提供を行うなどこれまでも意思疎通を図ってきたところであり、引き続き、国との情報共有を密にして適切に対応してまいります。 以上です。

【和田明子議員】

 ソヤノウッドパワーの木質バイオマス発電事業ですが、燃料の取り合いになっていることは、林野庁も資源エネルギー庁も警鐘を鳴らしています。熱効率が悪い上に、太陽光発電と違って燃料を有料で調達しなくてはなりません。しかも大規模であるために、広範囲から集めざるを得なくなっていることもネックになっていると思われます。
計画では、24時間330日運転して全量を中部電力に売電し、約29億円の収入を得ることになっていますが、発電施設の概算事業費はおよそ100億円、フル稼働していかなければ、今後補償金も入らない中で、次はソヤノウッドパワーの経営自体が深刻な状況に陥らないとも限りません。ある林業関係者は、発電量を小さくして燃料材に見合った事業にするしか活路はないとも言っています。 そこで、発電事業の現状と見通し、今後の対応について知事に伺います。

【阿部知事】

 私には、信州F・POWERプロジェクトに係る発電事業の現状と県の対応という御質問いただきました。
プロジェクトの発電事業につきましては、燃料材供給を担う征矢野建材と発電事業を行うソヤノウッドパワーとの間で木材供給が継続をされております。発電事業の安定運営に資するよう、燃料材の安定供給を目指して取り組んでいるという状況であると認識をしております。
県としては、ソヤノウッドパワーをはじめ県内の木質バイオマス発電所への木材供給量を増やすべく、昨年11月に原木の安定供給に向けた今後の対応というものをまとめさせていただき、いわゆるA材からD材までの木材丸ごとの資源化、商品化と、主伐・再造林の効率化による森林資源の有効活用の一層の推進に取り組みますとともに、補正予算によりまして、木質バイオマス発電における木材供給の安定化や、川上から川下までのサプライチェーン構築の支援を進めてきているところでございます。
引き続きこうした事業等を活用して、原木の安定供給に向けた取組を強化し、プロジェクトに係る事業が安定的に継続されるよう支援をしていきたいと考えております。
 以上です。

【和田明子議員】

 信州F・POWERプロジェクトにつきましては、今後も注視していかなければならない状況でありますが、林業関係者が燃料材に見合った規模ということを言うほど深刻な事態に陥らないように、ぜひ今後とも力を尽くしていただきたいと申し上げておきます。

教育問題について

【和田明子議員】

 次に、教育問題について、教育長に伺ってまいります。
学校がブラック職場になっていると、教職員の長時間労働が社会問題になっています。教職員組合が2023年6月に実施した勤務実態調査では、過労死危険ラインの月80時間を超える超過勤務時間が明らかとなっています。休憩時間も約半数が全く取れないと回答しており、8割が15分未満です。文部科学省の調査でも平均して1日12時間近く働いており、にもかかわらず、休憩時間は小中学校で5分から7分しか取れていないということが言われております。
県教職員組合が33歳以下の教職員を対象に行った調査では、仕事を定年まで続けることについてどう考えるかの質問に対し、26%の教職員が3年以内に辞めるつもり、いずれ辞めたいと回答しており、この結果を私は衝撃をもって受け止めました。 ある中学校教員は、午後6時過ぎに一旦帰宅し、子どもの世話をした後、妻とバトンタッチしてまた学校に戻り、保護者と連絡を取るなどの仕事をして9時頃帰宅。子どもをお風呂に入れ、寝かせつけながら自分も寝落ちしてしまう。12時頃起きて、生徒の提出物のチェックや授業の準備という生活を繰り返しているということをお聞きしました。
これで子どもたちに行き届いたきめ細やかな教育ができるのでしょうか。教職員が疲弊していることで、最も影響を受けるのは子どもたちではないでしょうか。
県教育委員会としても、負担軽減のために、部活の見直しや地域移行、研究授業の改善、支援員の配置、専科教員の配置など努力をしていただいていますが、抜本的な改善にはつながっていません。1人1日5コマも6コマも持っていれば、勤務時間内に授業の準備ができず、結局は持ち帰りにならざるを得ません。
教員配置は標準法で定められていることは承知をしておりますが、長野県は、全国に先駆けて中学3年生まで35人学級を推進してきた経過があります。子育て支援と言うなら、学校教育での質的強化がより求められるのではないでしょうか。 教育長は常に財源が問題と言われますが、コストを一義的な困難に掲げるのではなく、米百俵の精神が必要ではないでしょうか。一人一人に目が行き届く教育を推進する上でも、教職員の多忙化を改善する上でも、県独自のさらなる少人数学級の推進と教員増が必要だと思います。
長時間労働に対する認識と若年退職者の数、改善策について、教育長に伺います。

【内堀教育長】

 県独自のさらなる少人数学級の推進と教員増についてでございます。
議員御指摘のように、多様な児童生徒へのきめ細かな対応や、教員の多忙化解消の観点から、さらなる少人数学級の推進も有効な対策の一つであると認識しております。
しかしながら、その実現のためには財源に加え必要となる教員や教室の確保等の課題があるため、現在、県教育委員会では、小学校への専科教員の配置を増員し、子どもたちに専門性の高い指導を行えるようにするとともに、教員1人当たりの持ちコマ数を減らし、さらには年度途中の欠員にも対応できるよう、教科担任制の推進を図っているところであります。
長時間労働に対する認識と若年退職者の数、改善策についてでございます。
まず若年退職者の数ですが、令和4年度は、20代が36人、30代が34人であり、合わせて定年退職者を除く退職者の約7割を占めております。
退職の理由は長時間労働に限らず、積極的な転職や結婚、家庭事情によるものなど様々であると認識しております。
また長時間労働は、慢性的な疲労や睡眠不足により心身の健康を脅かすだけでなく、仕事の生産性低下にもつながるものと認識しており、これまでも会議の精選等により時間外勤務時間の縮減を図ってまいりましたが、来年度は新たに専門家の知見を取り入れた課題の洗い出しや業務の見直しを行うなど、さらなる働き方改革を進めてまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 教育に穴が開くと教員の欠員問題が年々深刻化し、全国各地の学校現場の厳しい実態が報告されています。産休・育休・病休など代替教員が確保されません。
全日本教職員組合は昨年末、32都道府県、12政令市で、欠員が補充できずに未配置になっている人数が10月1日時点で3,112人いると発表しました。
長野県でも同時点で、小中学校で46名、特別支援学校で5名いるとのことで、大変な事態です。ある小学校では、産休で休みになった担任の代替がなかなか決まらず、一日の上で何人もの先生が入れ替わり立ち替わり自習になったりと目まぐるしいため、子どもさんは学校が楽しくないと言っており、保護者も子どもたちが人としてまともに育つのかと心配しているとの話をお聞きしました。
県教育委員会は、応急対策として、今年度から欠員対策のための教員配置事業を始めていただいていますが、県内4名のサポート教員ではとても足りないため、新年度9名に増やすということは歓迎をするものです。サポート教員の増員への対応とともに、ゆとりを持った教員の採用が必要ではないでしょうか。教育長に、現在の欠員状況と抜本的な改善策について伺います。

【内堀教育長】

 教員の現在の欠員状況とその改善策についてのお尋ねでございます。
令和6年1月末現在における公立小中学校の欠員は、小学校22名、中学校15名、全県で37名となっております。県教育委員会では、計画的な正規採用者の増員や、新たな講師登録者の発掘など、様々な教員確保策に取り組んでいるところですが、とりわけ年度途中の急な欠員に早急に対応したいという、学校現場の切実な声に応えるべく、欠員対策のための教員配置事業や産育休代替教員の年度当初からの配置を行っているところです。
令和6年度におきましては、欠員対策のためのサポート教員を今年度の4名から9名増員し、各校に最大2か月間派遣することで、少なくとも延べ54名分をカバーできるようにするとともに、年度当初からの産育休代替教員を今年度の4名から7名に増員し、各校に最大3か月間派遣することで、少なくとも延べ28名分をカバーできるよう、予算の増額をお願いしております。
引き続き子どもたちの学びの継続を保障し、教員の働き方改革を推進するため、望ましい教員配置の在り方について研究を進めるとともに、状況に即した迅速な欠員対応ができるよう取り組んでまいります。  以上でございます。

【和田明子議員】

 若年退職の方が70名にもなっている。本当に大変残念なことであります。せっかく採用されても早期退職してしまう。これが負のスパイラルになってきているのではないでしょうか。
ある学校で、年度最後の保護者と担任の懇談会において、不登校の子どもの親御さんが泣きながら子どもの話をした際に、担任は自分がけがでしばらく休んだことを話した後、「お子さんは頑張っているが、自分の力不足であり申し訳ない」と突然泣き出して、その場が静まり返った場面があったそうです。
ゆとりのない学校は、子どもにも先生方にも言いようのない負担を押しつけ追い込んでいるのではないでしょうか。ゆとりのある学校を一日でも早く実現してほしい。この思いを申し上げて質問を終わります。

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