日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2024年2月定例会 両角友成議員一般質問

  1. 先天性重度難聴について
  2. 難聴者の#7119の利用について
  3. マイナ保険証について

先天性重度難聴について

【両角友成議員】

 おはようございます。日本共産党県議団の両角友成です。
 私は、発言通告に沿って一般質問を行います。
 まず初めの質問項目は、先天性重度難聴についてであります。
 生後11か月に手術を受け、両方の耳に人工内耳を装着している子供さんの両親より訴えがありました。その内容は、手術代、人工内初期セットは、子供医療費助成制度で500円で済みありがたく思いました。
 しかし、術後5年間は保険適用での人工内耳セットは購入できないとのことが、内耳の装着時に言語聴覚士から説明されました。その間の購入費用は実費となる。5年間を考えると、例えば保育園でのプール遊びはどうなるか。防水カバーをつけなければならないか。実際には保育園での手間を考えると、防水カバーをつけたものを持参するのが理想とされている。
 しかし、防水用を自費で購入すると、両方の耳で約100万円かかる。どうするか。子供の成長を第一に考えると悩んでしまう。初めて人工内耳の手術を勧められたとき、インターネットで助成制度についていろいろ調べてみた。難聴で検索すると、補聴器の助成はたくさん出てくるのに、人工内耳の助成制度はあったりなかったり。あっても、ほんの数行で終わってしまってがっかりしました。患者の人数が違うのは分かりますが、1,000人に1人は聞こえない子供が生まれてくるのは現実なので、支援を手厚くしていただきたい。
 ろう学校に通う同世代の人工内耳装用の子供さんを持つ親御さんに、プールに入るために予備の人工内耳セットを買うか尋ねたら、100万円は無理。プールは諦めてもらうと一言。こんな現実があり、お金のある人は選択肢が増え、お金がない人は小さい頃から知らないうちに我慢させられるのだと痛感させられました。
 もし人工内耳の補聴器予備購入に助成が手厚くなれば、保育園ではもちろん、ふだんは音のないまま入っている家庭でのお風呂でも、気軽に音を聞かせてあげられると思うという内容でした。
 これを受け、私は難聴に対する理解を深めるため、長野県松本聾学校を改めて視察させていただきました。重い課題との認識で学校に。ところが、子供たちが元気で学校生活を送っている様子が見てとれ、救われる思いでした。
 ろう学校要覧には、目標として「声さわやか 心ゆたか 体げんき」、幼稚部の目標は「聴く子どもたちを育てる」でありました。「聴く」は音や声に対して積極的に注意深く耳を傾けるの聴くです。早い時期から刺激を与えることで、聞く力を身につけさせる。現場ではいろんな取組がされていました。
 その中で、学校の職員からは異口同音に、補聴器は高価なものと言われました。今、異次元の少子化対策が言われています。この子らに今こそ行政として手を差し伸べるときではないでしょうか。  調べてみますと、この事業主体は市町村。県内で制度があるのは38市町村、あとの39市町村は制度すらありません。制度があっても20万円までが31市町村とほとんどで、30万円、60万円、最高は80万円です。ゼロ円から80万円と助成内容に格差がある。こうした現状に対する認識と今後どう対応していくか。健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 御質問いただいております。先天性重度難聴についての御質問でございます。
 人工内耳体外機の買換えにつきましては、市町村が実施主体となる地域生活支援事業の補助対象となっておりまして、県では、市町村が体外機買換え費用の補助を行った場合は、市町村に対し一定の補助を行い、市町村の取組を支援しているところでございます。
 この地域生活支援事業は、市町村が地域の実情に応じて必要な事業を選択して行う補助制度であるため、市町村によって補助対象とするかの判断や補助単価が異なり、市町村により支援内容に違いが生じる原因となっております。
 しかし、人工内耳体外機は、本来地域の実情によって支援の必要性が異なるものではないため、地域にかかわらず全国一律の制度である補装具費による支援が適当と考えております。このため県では、国に対し補装具費の対象に加えるよう要望してきたところでございます。
 県としては、現行の補助制度の活用について情報提供を行い、市町村の取組を支援してまいりますが、併せて、国に対して引き続き制度の改善を強く要望してまいります。
 次に、難聴者の♯7119の利用についての御質問でございます。
 長野県救急安心センター「♯7119」の相談件数は、事業がスタートした昨年10月は1か月で約650件だったものが、本年1月には約1,000件と着実に利用が増加している状況にございます。
 そのうちすぐに救急搬送につないだ件数は約2割であり、その一方、時間外の受診は不要と判断された件数は約3割あることから、事業目的である救急医療機関や消防の負担軽減に寄与しているものと考えております。

難聴者の#7119の利用について

【両角友成議員】

 難聴に関連して、難聴者の♯7119の利用について伺います。
 まず、昨年10月に導入された長野県救急安心センター「♯7119」の利用状況はどうか。またその利用に当たって県民の方から問い合わせがあった。夫が難聴の方です。妻がコロナを発病。近くの医院で治療を受けた。その夜のこと。パルスオキシメーターで動脈血酸素飽和度を測定。93%まで低下し、不安になり♯7119に電話をしたいが、しかし、当方のように耳が悪いと利用のすべがありません。障がい者差別解消法では、公的機関は事前的改善措置をすべき努力義務が課せられています。♯7119にも、ぜひメール対応の追加を実現していただきたく存じますとの内容です。
 ♯7119にメール対応の追加を願いますが、いかがか。健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 聴覚障がいの方の利用についてですが、聴覚障がいの方からの相談については、スマートフォン等を通じて24時間利用できる電話リレーサービスを御活用いただくことで、電話による相談に対応してきたところでございます。
 より相談しやすい環境を整備するため、来年度からの運営業務の委託仕様書案には、聴覚障がい者等の方からの相談に対応するためメールの受信環境を構築するなど、可能な限りの相談体制の整備を加える予定としております。
 引き続き、障がいのある人もない人も利用しやすい体制整備を図るとともに、分かりやすい広報に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【両角友成議員】

 人工内耳の支援については、県内全ての市町村で助成制度が創設されるよう、推進と、そして底上げを求めておきます。
 本年1月8日、松本市視覚障害者福祉協会の新年会が開催され、私も出席してきました。そこで長野市内路線バスの日曜日運休が話題となり、私たち視覚障がい者は日曜日は外出しないでということかと。障がいをお持ちの皆さんが不安なく生活できる環境が、県民生活全体の利便性の確保にもつながるのではないでしょうか。県がイニシアを取って障がい者に対する支援を進めていただきたい。頃を見て、またこの項目を質したいと思います。

マイナ保険証について

【両角友成議員】

 次の質問に移ります。マイナ保険証についてであります。
 政府は現行の保険証を本年12月2日に廃止し、マイナ保険証に一本化すると強硬姿勢です。しかし、マイナ保険証を推進する立場なんだろうと思われる国家公務員の皆さんの利用率が4.36%と低迷しているとの報道。信毎2月7日付。個人情報の誤登録など相次ぐトラブルにより、国家公務員も利用に後ろ向きな方が多いとみられるとのことです。長野県職員の皆さんも同じような数字ではと推測いたします。
 県は、マイナンバーカード普及に向けて、マイナ保険証導入についてもスムーズに移行できるよう国に求めると、前から繰り返し答弁しています。
 厚労省は、昨年末にはマイナンバーカードの保険証利用を登録した方々に、新たに発行する保険資格情報のお知らせをA4判の紙1枚にするとのことですが、現行の保険証を存続させれば不要な話です。
 資格情報のお知らせは、患者が医療機関や薬局にかかった際、マイナ保険証が読み取り機でエラーになるトラブル時に提示するものです。厚労省が昨年末に都道府県や全国健康保険協会などの保険者に出した事務連絡では、氏名や保険者番号、患者負担割合などを記載すると説明しています。カード1枚で受診していただくという国の説明と違い、マイナ保険証だけで受診できない事態が起きているのが実態ではないでしょうか。
 お知らせには、カード取得者向け個人サイトマイナポータルにつながるQRコードも印刷され、スマートフォン資格情報を読み取れるようにする予定とのこと。トラブル時にお知らせを持っていなくても、スマホの資格情報画面とマイナ保険証を一緒に示せば受診ができるの理屈です。しかし、スマホの操作が不慣れな高齢者などは、A4判の紙のお知らせを常に持ち歩くことになりそうです。
 マイナーカードを持たない方には、保険証の代わりに資格確認書を、当分の間、申請なしで交付するとのこと。紙かプラスチック製として、カード型、はがき型、A4判のどれかを選ばせるとのことです。
 確認書の発行有無を管理する保険者の事務負担を考慮し、会社員やその家族ら、被用者保険加入者全員にお知らせも交付して差し支えないと明記。そのうち75歳未満の高齢者や障がい者ら1人で受診できない要配慮者には、マイナ保険証を持っていても申請に応じて確認書を交付するとのことで、お知らせと合わせると3枚のペーパーを持つ方も現れる可能性があります。
 一方、保険者は様々なシステム改修が迫られます。健康保険証の交付機能の廃止、確認書やお知らせの交付機能の整備、交付対象の交付状況管理の機能の整備などで、現行保険証を継続すれば不要な作業と経費です。
 改修作業のため詳細を明らかにしてほしいの現場から厚労省への質問に対し、答えは順次知らせると詳細は示されていません。その場しのぎと言わざるを得ません。きちんと保険税・保険料を納めている方に保険証を交付しないのはおかしな話です。いま一度でも二度でも、国に対し現行保険証を存続させるべきと迫っていただきたいが、いかがか。知事に伺います。

【阿部知事】

 私には健康保険証を存続させるよう国に迫ってはどうかという御質問であります。
 9月議会でも同様の御答弁させていただいていますけれども、現行保険証の存続というよりは、むしろマイナ保険証の普及を図っていくということが重要だというふうに考えております。人口減少下で豊かな社会を維持するためには、このデジタル化は、これはもう避けて通れないというふうに考えています。
 健康保険証のデジタル化は、これまでの処方や調剤の確認による重複投薬の回避であったり、あるいは患者さん御本人の健康医療データに基づく最適な医療を行うということにもつながるものであります。
 今回の能登半島地震でも被災者の病歴、あるいは投薬情報などの確認にこのマイナ保険証が活用された事例があるというふうにも伺っております。
 これまでひもづけ誤りなどのトラブルによりマイナ保険証に関する不安の声があるということも承知をしておりますが、これまでもマイナンバー情報の総点検が進められてまいりましたし、ひもづけ実施機関が正確なマイナンバー登録を行うためのガイドラインも策定され、新規に誤りが生じることがないよう対策が実施されてきているところでございます。
 こうしたことから、そのメリットが十分活用されるよう、マイナ保険証の普及を図っていくことが必要だというふうに考えております。
 以上です。

【両角友成議員】

 病院・介護現場からは、政府の12月2日現行保険証廃止方針を受け、外来の流れを想定して動線を検討中とのこと。一例ですが、現行の1台で足りないので買い足しが必要。2台から3台が必要となるが、1台当たり50万かかる。またLANポートの増設工事も必要となる。補助金のインセンティブ等は、一月500件以上使用している医療機関を対象としている。当院の12月実績は148件のため補助金は無理。訪問診療における読み取り端末の案内とシステム改修の案内がありました。どちらも費用がかかり、本体価格23万円、システム改修料30万円、合計税込み58万円。保守費用などは不明と。マイナ保険証関連のシステム改修、新規機器の購入、長期の保守点検費用を医療機関側に課しているが、負担軽減になるよう補助金の創設を望むとの現場からの要望です。これらに対する見解を健康福祉部長に伺います。

【福田健康福祉部長】

 マイナ保険証関連の医療機関の負担軽減のため補助金を創設してはどうかと、それについての見解はという御質問でございます。
 令和5年4月1日からオンライン資格確認が原則義務化されたことに伴い、システムの改修、導入費用や顔認証付カードリーダーの増設について、医療機関及び薬局には国庫補助を行う措置が取られました。
 また、マイナ保険証の利用率が昨年10月と比べ5%以上増加した医療機関等には、利用1件当たり20円が交付されるなどの支援も行われております。
 しかしながら、長期にわたるランニングコストに対しては、医療機関等からの負担軽減を望む声をお聞きしているところでございます。
 県といたしましては、国に対し現場の実情や意見を十分把握するように求めるほか、医療機関等が負担する経費への支援など、引き続き必要な対策を講じるよう要望をしてまいります。
 以上でございます。

【両角友成議員】

 知事答弁にありましたように、私のほうから何回も何回も切り口を変えてこの問題で質問させていただいています。そういう点では恐縮するところもあるのですが、今回の質問からも健康保険証を廃止する理由がまた少なくなった感があります。
 保険証は国民皆保険の根幹です。医療機関の窓口で見せるだけで保険診療を受けられます。この制度を投げ捨てて、巨額の予算と人手をかけて、欠陥だらけのマイナ保険証に一本化するのは愚策というしかありません。
 保険証廃止を強行すれば、混乱が今と比べようもなく広がることは明らかです。岸田首相は、まずは一度国民にマイナ保険証を使ってメリットを感じていただきたいと述べましたが、メリットを実感するどころか、国民は不信を募らせているだけではないでしょうか。いま一度、現行の保険証残すべきと申し上げ、私の質問といたします。ありがとうございました。

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