日本共産党長野県会議員団

控室/長野県長野市南長野幅下692-2長野県議会
直通TEL/026-237-6266  FAX/026-237-6322

議会質問

2024年2月定例会 毛利栄子議員一般質問

  1. 特別支援教育について
  2. 通級指導教室について
  3. 会計年度任用職員の任用について
  4. 環境保全研究所・安茂里庁舎について

特別支援教育について

【毛利栄子議員】

 特別支援教育について教育長に伺います。
 党県議団は、この間幾度となく、特別支援教育の環境改善について本会議や委員会で取り上げてきました。
 松本養護学校、若槻養護学校の改築が始まること、千曲川の浸水域にある上田養護学校の移転改築に向けて具体的に検討していただいていること等を歓迎します。また、図書室や蔵書も不十分で図書スペース程度しか確保されていない学校があり、子供たちが楽しみにしているのに大変残念な事態だと思っておりました。特別支援学校の図書室が改善され、蔵書も拡充されることに期待しています。少子化の中にあっても、特別支援学校の児童生徒は増え続けており、慢性的に教室が不足している状況で、必要に迫られて教室の増設をしていただいているところです。
 県教委としては、中長期的な視点に立った改築と応急的な対応として、増築、施設整備の修繕改修等を10年間計画で取り組んでいくとしていますが、根本的な解決のためには、改修、新設のスピードアップが必要と考えます。現状で不足している教室数はどのくらいあるのか。改善に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。

【内堀教育長】

 御質問を頂戴いたしました。特別支援教育についてのお尋ねでございます。
 特別支援学校の教室不足の現状認識と改善に向けた取組についてでございます。
 県立特別支援学校の児童生徒数は、平成元年度に1,591人であったものが、令和5年度には2,588人と、少子化の中にあって約1.6倍に増加し、文部科学省令和3年度公立特別支援学校における教室不足調査においては、狭隘な教室も含め67教室の不足が見られたところです。
 県教育委員会では、特別支援学校の狭隘化や老朽化への対応は極めて重要との認識の下、中長期的な視点から、建物の老朽化や狭隘化等を踏まえた改築等の環境整備を行うこととしており、現在松本養護学校と若槻養護学校で取り組むとともに、上田養護学校においては、施設の移転も含めた対応の検討に今後着手してまいります。
 一方、急な児童生徒数の増加に対しては増築で応急的に対応することとしており、現在5校で34教室の増築を行っているところです。
 今後も児童生徒数の将来推計や学校の現状把握をより丁寧に行った上で、中長期的な視点に立った改築等と応急的な視点に立った増築等の適切な組合わせにより、必要となる教室の確保に取り組み、学びの場の保障を行ってまいります。

【毛利栄子議員】

 児童生徒が増えることによって、学校内の施設設備が足りなくなってきている課題が様々あります。昨年共産党県議団で上田養護学校を視察した際に、児童生徒の増加によって、児童生徒・教員分全員の給食を提供するための給食調理施設設備がキャパを超えてしまい、教員の一部は弁当を持参しているとお聞きいたしました。稲荷山養護学校でも同じように給食調理施設が手狭になっており、一部の教員への給食提供ができないと聞いています。
 山積する特別支援学校の施設整備。中でも、調理設備施設が拡張できず児童生徒と教員へ給食提供がされていない学校はどのくらいあるのか、お聞きいたします。給食は大事な食育の一環です。児童生徒と教員全員分の給食が提供できる調理設備施設にすべきと思います。教育長に改善に向けた取組をお聞きします。

【内堀教育長】

 特別支援学校の児童生徒等への給食の提供状況と改善策についてのお尋ねでございます。
 担任が子供と同じ給食を取ることは、食事の指導や食育を行う上で大切であることから、年々増加する児童生徒数とそれに伴う教員数の増加に対応するため、これまで厨房の拡張工事や改修工事等を行い、児童生徒と教員への給食の提供に努めてまいりました。
 このような中、本年度児童生徒については、もともと給食を提供していない学校や、アレルギーを理由に自ら昼食を持参するなどの場合を除き、全員に給食を提供できておりますが、教員については4校で一部提供できてない状況であります。
 今後も児童生徒数や教員数の将来推計を丁寧に行った上で、必要な給食数を提供できるよう、将来を見通して計画的に厨房の拡張等を行うほか、給食の製造機器の大型化や、調理するラインの工夫等も行ってまいります。

通級指導教室について

【毛利栄子議員】

 次に通級指導教室について伺います。
 通級指導の場合は特別支援学級と違い、通常学級に在籍して、通常授業のほかに一部の授業を別の教室で受けることで、障がいによる困難を解消できるよう、子供の特性に合わせて、担任の先生と通級の指導教員と連携して、教育支援計画、指導計画を作成して、丁寧な指導がされています。発達障がいなど子供の持つ力を伸ばす適切な学びの場になっていると思います。特別な教育的支援を必要とする児童生徒の学びを充実するため、小中学校の通級指導教室を来年度も増設していくと提案されたことを歓迎します。
 通級指導教室の設置は、毎年度増やし続けていただいています。この間の設置数の推移と来年度の増設数についてお聞きします。

【内堀教育長】

 通級指導教室についての御質問でございます。初めに通級指導教室の設置数の推移と来年度の増設数についてのお尋ねでございます。
 通常の学級で学びながら、一部個々の教育的ニーズに応じた学習を別の教室で行う通級指導教室につきましては、平成28年度に75教室であったものを、本年度は156教室とし、さらに来年度は18教室増設して174教室とする予定であります。

【毛利栄子議員】

 通級指導に当たっていただく教員は、専門性と経験が必要になります。そのための教員を今後も増員する必要があります。どのように進めていくのでしょうか。また、通常学級で学びながら、一部の授業を別の教室で受けるためには必要な教室を確保しなければなりません。どのように確保していくのかお聞きいたします。

【内堀教育長】

 通級指導教室の増設に当たって、教員等教室の確保についてのお尋ねでございます。
 通級指導教室の担当教員につきましては、障がいの理解や指導方法など、特別支援教育に関する高い専門性が求められます。このため、通級指導教室の担当教員に対する各種研修会の実施や、小中学校と特別支援学校間の人事交流、さらには、担当教員を複数配置してOJTによる資質向上を図る取組等により、担当教員の専門性向上に加え、担当できる教員の確保に努めてまいりました。
 また、新たな教室の確保につきましては、児童生徒数が減少傾向にある中、小中学校の設置者である市町村教育委員会において、空き教室等の活用により確保していただいているところであります。
 今後も市町村教育委員会等と連携しながら、通級指導教室で学ぶ児童生徒の教育的ニーズに応じた支援が十分に行えるよう取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 小中学校で通級指導教室で支援と教育を受け、高校受験を経て高校に入学をする生徒においても、個別に特別な支援が必要な生徒に対しては手だてが講じられる必要があります。高校における通級指導教室は様々な検討を経て、2018年度から制度が運用開始となりました。長野県では、高校の通級指導教室は中信、東信、南信に設置されています。いまだに設置されていない北信については今後どう対応していくのか。以上、教育長に伺います。

【内堀教育長】

 高校の通級指導教室が未設置である北信地域への対応についてのお尋ねでございます。
 県立高校への通級指導教室は、平成30年度に国で制度化されると同時に、箕輪進修高校と東御清翔高校に設置し、令和2年度には松本筑摩高校に設置しましたが、議員御指摘のとおり、北信地域は未設置となっております。
 このため、北信地域の高校に対しましては、本年度新たに、長野養護学校へ高校を巡回する専任教員を配置して、相談支援等の強化を図っているところです。今後は、県教育委員会、高校、外部関係機関等を構成員として、今年度設置した高校における特別支援教育の在り方検討ワーキンググループにおいて、通級指導教室の機能充実に関する検討を行う中で、高校再編の動向も踏まえ、北信地域への設置についても検討してまいります。
 以上でございます。

【毛利栄子議員】

 稲荷山養護学校では、新年度は児童生徒増もあり、何と100食も足りなくなるのではないかと言われています。子供たちと同じものを食しながら、あれがおいしかったね、これはどんな栄養があるんだなどと共感を持って話ができることは、教育効果を一層高めるものと期待します。一日も早く全員給食できる体制を構築していただきたいことを願って、次の質問に移ります。

会計年度任用職員の任用について

【毛利栄子議員】

 会計年度任用職員の任用について、総務部長に伺います。
 会計年度任用職員は、給与の面では、時給単価の引上げ、期末・勤勉手当の支給等によって、令和6年度から一定の改善が図られます。しかし依然として低賃金であり、雇用は1年ごとの契約で不安定であることに変わりはありません。
 会計年度任用職員制度の運用では、国は公募によらない再度の任用の上限回数を2回とし、3年目は公募による採用をする、いわゆる公募による雇いどめが3年目の壁と問題になりました。
 一方長野県では、公募によらない再度の任用の上限回数を4回にすることで、5年継続の雇用を可能にしてきました。来年度が5年目になります。県の5年目の壁を、どのように認識しているのか伺います。またどう対応するのか、お伺いいたします。

【玉井総務部長】

 ご質問をいただきました。
 公募によらない任用条件である5年目の壁に対する認識についてでございますが、本県における会計年度任用職員の任用の取扱いでは、原則として同一の業務に従事する会計年度任用職員は公募によらず、年度単位で5年間の任用が可能でございます。
 総務省の事務処理マニュアルでは、会計年度任用職員の任用に当たっては、できる限り広く募集を行うなど、適切な募集を行った上で、客観的な能力実証を行うこと。また、地方公務員法第13条の平等取扱いの原則を踏まえ、年齢や性別にかかわりなく均等な機会を与えることとしており、本県ではこうした趣旨を踏まえ、その職を希望する方々に広く門戸を開くこと、業務の円滑な執行という二つの観点からこうした設定としており、法の趣旨等から適切に対応しているものと認識をしております。
 また、どのように対応するのかというお尋ねでございますけれども、地方公務員法の趣旨にのっとり、引き続き適切に対応してまいりたいと考えております。
 また、5年の任用上限を超えて同一の者が同一の職務内容の職に応募することは妨げられておらず、その職は公募による公正な能力実証の結果、再度任用されることも可能でございます。

【毛利栄子議員】

 会計年度任用職員の果たしている役割は、消費生活相談員について言えば、現場では上司の正規職員に消費生活相談員の資格はなく、専ら資格を持つ会計年度任用職員の相談員が、買物や契約のトラブルを抱えた相談者に、法律に基づき丁寧な助言をしています。また、業者との間に立って解決を促すあっせんには、1〜3か月とかなりの時間を要する場合もあり、御苦労いただいています。
 過日の信毎でも、資格さえあればできる仕事じゃない。簡単に人を切っていいんでしょうか。
専門職が大事にされない現状は、行政のサービスの質を落とす形で市民のためにもならないと、県内の自治体の消費生活相談員が本音を語っていることが報道されました。県においても同様ではないでしょうか。まさに県民益を損ねることにつながると思います。
 第3次長野県消費生活基本計画では、県消費生活センターの機能強化、住民に最も身近な市町村消費生活相談体制の支援強化、適格消費者団体など関係団体等との連携強化を推進すること等が言われています。消費生活相談員は国家資格を有し、多様化、複雑化する消費生活問題に対し、適切な助言、情報提供を行えるよう、研修もしながら蓄積した知識を持っています。さらに日々の相談活動による経験は、容易に得られるものではありません。きちんとした評価をすべきではないでしょうか。
 2022年5月、売春防止法から66年を経てようやく新たな女性支援の枠組みを構築する根拠法、女性支援新法、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が成立し、4月の施行が目前に迫っています。
 県としても基本計画の策定が義務化され、ただいま策定中です。女性相談支援センターの設置の体制強化を図っていくことになり、今議会にも関連の条例案が提案されています。
 複雑多様な問題を抱える女性の被害からの心身の回復、生活再建ができるよう、女性相談支援員は、当事者を主体とした各種サービスのコーディネートや同行支援、女性自立支援施設等の利用の調整を行うなど、専門的な知識、経験を生かしながら、被害回復支援、日常生活回復支援、同伴児童への支援、さらにアフターケア支援、支援調整会議等々、多岐にわたる継続的で重要な役割を果たすことが求められています。
 現行の女性相談員がその役目を担うことになろうかと思いますが、現在はそのほとんどが非正規です。このように採用時に資格が必要であったり、高度な専門性を有している生活相談員や女性相談員は、会計年度任用職員ではなく正規職員として採用するべきと考えます。総務部長に伺います。

【玉井総務部長】

 資格や専門性を有する会計年度任用職員の正規化についてでございます。会計年度任用職員については、総務省の事務処理マニュアルでは、常時勤務を要する職に従事する業務の性質に関する要件、すなわち、相当の期間任用される職員を就ける業務に従事する職であること、また、勤務条件に関する条件として、フルタイム勤務とすべき標準的な業務量がある職であることのいずれの要件を満たす職と定め、その要件に合致しない職を非常勤の職として明確に区分してございます。これに基づき本県においてはこれまで担ってきた業務内容や業務量を精査した上で、常勤職員・非常勤職員の区分を行っております。
 一方で、県民のニーズや社会を取り巻く状況の変化に合わせまして、雇用形態を柔軟に見直していくことも重要であると認識しており、今後必要に応じまして、県民サービスの向上につながる最適な雇用形態について見直しをしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

環境保全研究所・安茂里庁舎について

【毛利栄子議員】

 環境保全研究所安茂里庁舎について環境部長に伺います。
 環境保全研究所安茂里庁舎は、安全・安心な生活環境と県民の健康を守るため、県行政を科学的見地から支える中核拠点でありながら、本館は築56年、別館は築50年で老朽化し、大規模地震発生時には災害拠点施設としての役割を十分発揮できないという課題があることは、これまで何回も指摘してきました。移転・改修といった建物の在り方の検討と併せ、環境、健康福祉、総務の3部局による組織の在り方についても検討がなされてきたところです。
 いよいよ新年度には諏訪湖環境研究センターが開所されることになり、現在の安茂里庁舎で扱っている水質部門などの業務が諏訪へ移ることになります。安茂里庁舎で継続して行う業務は一定少なくなり、庁舎内の狭隘な状況は若干改善されますが、老朽化が進む安茂里庁舎の今後はどのようになるのか。組織の在り方の検討と併せて環境部長に伺います。

【諏訪環境部長】

 環境保全研究所安茂里庁舎を今後どうするのか、それから研究所の組織の在り方の検討状況はどうかとの御質問でございます。
 議員御指摘のとおり、安茂里庁舎は建設から50年余が経過して老朽化が進んでおり早急な対応が必要であることから、関係部局とともに検討を進めているところでございます。建て替えや既存施設の活用など、様々な方法が考えられますが、その規模や設備場所の検討に当たっては、まず近年の社会情勢の変化などを踏まえて、研究所の機能や体制の具体的な方向性を決定する必要がございます。
 特に新型コロナ感染症対策の教訓を踏まえ、現在、健康福祉部が策定中の第3期信州保健医療総合計画では、研究所の機能や役割の充実について触れるなど、新興感染症の発生に備えた検査体制等について必要な検討を進めているところでございます。
 この4月に研究所の一部機能を移管した諏訪湖環境研究センターを開設することも踏まえ、飯綱庁舎も含めた研究所の組織の在り方と庁舎についての検討を一体的に進め、早期に方向性を出せるよう鋭意努めてまいります。

【毛利栄子議員】

 DVであったり、性被害に遭ったり、また貧困状態であったりと、過酷な状況に置かれた女性を最前線で支える高度な知識と専門性を持った職員が、雇い止めの不安にさらされながら、官製ワーキングプア状態の会計年度任用職員の身分のまま対応するのは、あまりにひど過ぎるのではないかと思います。また、担っていただいているのは圧倒的に女性の職員の方々です。誇りとやりがいを持って従事できるよう、正規職員での任用を切に求めて一般質問を終わります。

議会質問を検索