日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2024年6月定例会 毛利栄子議員一般質問

  1. 保育問題について
  2. 航空機産業の現状と今後の展開について
  3. 県営住宅について

保育問題について

【毛利栄子議員】

 日本共産党県議団、毛利栄子です。
 保育問題につきまして、こども若者局長に伺います。
 子供を産むか、産まないか、何人産むかはそれぞれのカップルが選択して決めることですが、人口がこのままのペースで減少していけば、50年後には日本の人口が半分に減るとされており、国、社会の存続に関わってくることであり、何もしないで手をこまねいていくわけにはいきません。
 県は長野県少子化・人口減少対策戦略検討会議を設置し、3月には戦略方針を決め、この秋頃には戦略を決定していくとしています。県議会にも特別委員会が設置され、委員の皆さんを中心に検討が重ねられているところです。
 取組の柱は、若い世代の実質的な所得の引上げ、子育てと仕事の両立、女性・若者を引きつける仕事と町の創造などを挙げていますが、私は特に、安心して子供を預け働ける環境を充実させる必要性を感じています。
 戦後、「ポストの数ほど保育所を」との取組が評価され、県下でもたくさんの保育所がつくられてまいりました。3歳からの入園が当たり前だった時代から、未満児を預け長時間保育を利用して働く女性も増えてきました。特に未満児は増える傾向にあり、途中入所の希望も少なくない状況がありますが、実際申し込んでも受け入れていただけない事例があちこちで生まれ、松本市では、令和6年の4月1日時点で待機児15人、潜在的待機児71人の計86人いると報告されており、前年同時期比較で、待機児で3倍、潜在的待機児童で1. 5倍になっています。
 待機児になるなんて都会のことかと思ったが、まさか自分が預け先がなく路頭に迷うとは思わなかった、どこに預けて働けばいいか困っているの声も聞かれます。
 県として、潜在的待機児を含め待機児童の現状をどう認識しておられるでしょうか。

【高橋県民文化部こども若者局長】

 私には保育の関係で御質問いただきました。順次お答えいたします。
 まず、県内の待機児童の現状認識についてであります。県内保育所の待機児童につきましては、平成31年4月には全県で80人でしたが、年々減少しており、令和5年4月、これは昨年ですが、2市1村で計9人となっております。
 今年度の状況につきましては、市町村によって既に公表しているところもあると承知をしておりますが、現在国において、夏ごろの正式公表に向け数字の精査を行っている段階と聞いております。
 また、特定の保育所等を希望し入所できないケースなどのいわゆる潜在的待機児童につきましては、令和5年4月現在、県内6市で115人となっておりまして、待機児童同様に年々減少傾向にはあります。
 しかしながら、共働き家庭の増加などによる保育ニーズの高まりや、保育士不足などから、3歳未満児では潜在的なものも含め、待機児童数の増加も懸念されるところであります。
 県としては、子育て家庭が安心して子育てできるよう待機児童は解消されることが望ましいと考えておりまして、今後も保育士確保対策などに市町村と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

【毛利栄子議員】

 待機児を生む原因の一つが保育士不足です。保育士不足は大変深刻で、ハローワークに求人を出してもほとんど求職者がいないのが現状と聞いています。
 県が行っている保育士確保策には、潜在保育士の掘り起こし、人材バンク、修学資金の貸付け、今年からは、県外保育士の就職活動や移住への支援などを実施していただいていますが、令和元年の賃金構造基本統計調査でも、全産業平均より給与が10万円近く低いことが大問題となっており、賃金引上げを求める声が圧倒的です。
 県外から新しく保育士に来ていただくことも必要かもしれませんが、ある保育園では、今年の3月に5人の方が辞められたそうです。2人は家庭の事情とのことですが、3人は保育士に見切りをつけて転職を選ばれたそうです。情熱を持ち、子供と向き合いながら現在保育士をやっておられる方も辞めていくということは、とても残念なことです。
 公定価格の引上げを国に求めるとともに、2023年2月議会で山口議員の質問に対し、当時のこども若者局長は、少子化・人口減少対策戦略検討会議において、保育士の処遇改善に資する施策についても御議論をいただきたいと答弁されています。どのような議論がされ、どのような検討がされているのかお示しください。

【高橋県民文化部こども若者局長】

 保育士の処遇改善に係る検討の経過についてお答えをいたします。保育士の処遇改善につきましては、県と市町村が一緒に検討する必要があるため、少子化・人口減少の検討会議の設置を待たずに、具体的な方策につきましては、県と市町村との協議の場に設置をされました専門職員確保プロジェクトチームの保育士部会、それから子育て支援合同検討チームにおいて検討を行ってまいりました。
 まず公立保育園につきましては、市町村へのアンケート実施や個別の聞き取りを行いまして、昨年10月24日に開催をされました県と市町村との協議の場におきまして、対応策の方向性を確認いたしました。
 その内容としては、各市町村において会計年度職員から任期付職員への移行推進など、任用形態の多様化など、処遇向上に取り組むとともに、市町村間での共同採用などの取組に対して県が支援をすることとなっております。
 また、民間の保育施設を含む保育士の処遇改善につきましては、子育て支援合同検討チームにおきまして、働きやすい職場づくりに向けた取組の検討のほか、保育補助者の活用や保育所のICT化について、国庫補助の活用や先進事例の共有を行ってまいりました。今後も市町村と共に、保育士の処遇改善に向けた検討を重ねてまいります。
 そして処遇改善の中でも大きな課題となっております保育士の給与水準の改善につきましては、国に対してこれまでも処遇改善に確実につながる公定価格の見直しを要望してまいりました。令和5年の改定で一定の改善が行われましたが、依然として保育士の賃金水準は低い状況にありますので、さらなる見直しを国に要望してまいりたいと考えております。

【毛利栄子議員】

 東京都では、令和4年に保育士確保、定着及び再就職支援策のための基礎資料にするとして、東京都保育士実態調査をやり、その結果が公表されています。平成29年から令和4年までの5年間に、保育士登録した人全員5万2,000人を対象に実施し、回収率は4割ですが、大変貴重な結果が示されています。
 現在保育士として就業中は6割、働き続けるために希望することは給与が8割、職場の人間関係が6割、休暇が5割となっています。給料が安く仕事量が多い、労働時間が長いために辞めたいと挙げている方が2割、条件が合えば復職したいが6割との結果です。
 そこで、ぜひ長野県としても、数年前に実施して以来アンケート調査などは実施していないため、登録者を対象に同様の調査を行って施策に反映したらどうかと提案しますが、いかがでしょうか。

【高橋県民文化部こども若者局長】

 保育士・保育所の実態を把握するための調査の実施についてお答えいたします。
 保育士の確保定着に向けては、保育士に係る現状や課題を把握し、これらを踏まえた施策を行うことが重要であると認識をしておりまして、県では、令和元年度に行った保育士就業意向調査に新たな調査項目も加えまして、昨年度長野県で保育士登録を行っている方などを対象に保育士・保育所等実態調査を行っておりまして、現在分析を進めているところであります。
 今回の調査では保育士として就業している方には、現在の給与や休憩等の状況、今後も保育士として働き続けるために求める勤務条件などについて、また潜在保育士の方には、離職した理由や必要な就職支援策などについてお聞きをしたところであります。
 加えて、保育所や保育士養成施設の学生に対しても同時に調査を行っておりまして、これらの調査や分析の結果を踏まえ今後の保育士の離職防止や潜在保育士の復職支援の検討などに生かしてまいりたいと考えております。

【毛利栄子議員】

 国は異次元の少子化対策とのことで、こども誰でも通園制度を創設し、2026年度から本格実施するとしています。しかし無資格者でもよい、事業所と直接契約でよい、毎日預けるところが変わってもよいなど、子供の発達や、安全・安心が保障されるのか、保育関係者から不安の声が出されています。子供の側から見ても、毎日保育者が替わる環境は決して好ましいものとは思えません。
 県として、保育関係者から不安の声などは受け止めているのか、また本格実施までに施行されている状況を注視し、慎重な対応を求めたいと思いますが、見解を伺います。

【高橋県民文化部こども若者局長】

 こども誰でも通園制度への対応についてお答えします。
 令和8年度から本格実施されるこども誰でも通園制度につきましては、制度の詳細が明らかにされていない部分がありますので、一部の自治体や保育関係者から、保育士確保や安全面等において不安の声が聞かれる一方で、保護者からは子供の発達や保護者の不安感の解消に資すると期待する声もあると承知をしております。
 これまでも国に対しては、全国一律の制度とせず、地域の実情に応じて導入時期や保育時間などに柔軟に対応できる制度にするとともに、必要な財政支援を行うことを要望してまいりました。また、今年の試行的事業については、長野市、飯田市、須坂市の3市において既に実施されておりまして、御代田町でも今後開始する予定となっております。
 県では、こうした県内での試行的事業の実施状況や課題の把握に努めるとともに、これらを踏まえ、安全かつ円滑に事業が実施されるよう、知事会等も通じてさらに国へ要望してまいりたいと考えております。
 以上です。

【毛利栄子議員】

 御答弁をいただきました。今や公立保育園の保育士さんたちは、6割から7割が非正規であります。今、任用形態を会計年度から任期つきにしたいというようなお話も聞かれましたけれども、保育者の中からは、同じ仕事をやっても待遇が違う、そのことに対してたくさん不満が出されています。ぜひそのことも考慮していただきたいと思います。
 負担軽減のために保育補助者を増やすということは意味がないとは思いませんが、「子供たちにもう1人保育者を」が、今、関係者の切実なスローガンになっています。専門職としての保育士配置の充実こそ必要です。ニーズに基づく政策を検討し、待遇改善を抜本的に進めて、子供の成長をゆとりを持って支えていけるよう、保育士確保を図っていただきたいことを求めます。

航空機産業の現状と今後の展開について

【毛利栄子議員】

 航空機産業の現状と今後の展開について、産業労働部長及び知事に伺います。
県は2016年5月、長野県航空機産業振興ビジョンを策定し、三菱航空機による国内初のMRJの初飛行が成功し、昭和48年のYS-11生産終了以来、途絶えていた日本の航空機産業は歴史的な転換点を迎えた。航空機産業は高い成長性と長期にわたる受注が期待され、経営の安定化、技術力、品質保証力のレベルアップ、外部からの評価の向上、他分野の受注拡大や人材確保などが期待できると航空機産業への参画に意欲を示しています。
 ところがMRJの開発が頓挫し、当初の目論見は遠ざかってしまう事態になりました。加えてコロナの影響やボーイングの品質問題等の影響もあり、航空機の需要が減退してきた中で、2020年11月、関係機関が一丸となって環境変化に対応しようと、今後の対応方針を策定しました。
 経済産業省も新たな事態に直面し、ボーイングの双通路機を中心に、Tier1サプライヤーとしての受注はしてきているものの、エアバス機、単通路機市場には取り組めていないとし、今後、年率3~4%で民間航空機の旅客需要増が見込まれるため、単通路機への参画が鍵になるとしています。
 しかし、日本の航空機産業は海外の特定企業の生産計画に依存している産業構造から、新型機の開発時期や内容が不透明、コロナ感染拡大によるサプライヤーは受注減少と、経営悪化、さらに人材の流出など、厳しい環境にあるとしています。
 県内航空機産業は新たな困難に直面していると思われますが、特区を取って参入を探ってきた県内の事業者に対する影響はどうでしょうか。今後どのような事業展開を図っていくのでしょうか。

【田中産業労働部長】

 私には、航空機産業に関しまして御質問をいただきました。
 新型コロナウイルス等による航空機産業参入事業者の影響と今後の事業展開についてでございます。
まず航空機関連産業にかかる出荷額でありますが、2016年の154億円から2019年には214億円まで増加したものの、コロナ禍等の影響もありまして、2021年には168億円に大きく減少しております。
 こうしたコロナ禍の影響やMRJの凍結など、航空機産業を取り巻く環境の変化から、2020年11月に当面の対応方針を定め、まずは需要低迷期を乗り越えるために技術力や品質力の維持向上に取り組むこと、次に需要回復期に向けて培った技術をドローン、次世代モビリティーなど航空機以外の分野に拡大していくこと、この二つの柱に沿った取組を進めてきたところでございます。
 社会経済活動の動きもありまして、2022年には出荷額も181億円まで回復してきたところでございます。また、2014年6月に、この本県が指定を受けましたアジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区は、当時県内5市町村から現在18市町村まで指定が拡大しております。
 この航空機関連産業は、培った高度な技術が次世代モビリティーなど様々な分野への応用が可能でございます。今後は、この対応方針で定めました需要回復期に向けて分野の裾野を広げる技術開発や、あるいは販路開拓などの支援を展開してまいります。

【毛利栄子議員】

 経産省の資料では、サプライチェーンとして対応するにしても、加工用の資材は輸入に頼っているとのことなので、物価も高騰しており厳しい事態に直面しているとしています。
 また2050年カーボンニュートラル達成に向けて、燃費の向上や電動化など、航空機産業を取り巻く環境は大きく変化し、国際的に実証プロジェクト等の投資競争が激化しているということですが、技術開発も含め、県としてどのような支援を行っているのでしょうか。

【田中産業労働部長】

 技術開発を含めた支援についてでございます。
 経済産業省所管の航空機産業小委員会がこの本年に取りまとめました航空機産業戦略によりますと、このハイブリッド電動、水素エンジンなど、環境新技術についても今後取り組む必要性が示されたところでございます。
 現在長野県内においては、工業技術総合センターにおける航空機エンジン用の冷却部品への技術支援や、産業振興における航空機用発電機の高効率化に向けた支援に取り組んできたほか、信州大学と県内企業等が連携して、電動推進システムに関する環境試験の標準化技術の開発などにも取り組んでいるところでございます。
 また、この次世代航空機におけるCO2排出量の削減に関しましては、バイオ、電動化、水素など様々なコンセプトが存在することから、特定の技術に絞らずに、部品の軽量化や強度アップ等に係る技術支援のほか、販路開拓や人材育成など必要な支援を行ってまいります。

【毛利栄子議員】

 当面の対応方針では、2025年までの製造品出荷額の目標値を、ニューノーマルの事業も含めて2019年とほぼ同じ214億円としています。世界的な航空機産業の停滞は、日本の航空機産業界にとってもチャンスとしていますが、5年間で回復は見込めないと予想しているのですか。その根拠についてもお示しください。

【田中産業労働部長】

 当面の対応方針におけるこの目標値についてでございます。
 この本方針を策定をいたしました2020年度、この令和2年度の当時は、新型コロナウイルスなどの影響などによりまして、その後の航空機需要の低迷期は四、五年続くと見込まれておりました。
 そこでコロナ禍の影響により大きく減少する出荷額を、新たな市場ニーズや技術力の維持向上に取り組むことで、まずは過去最高値の2019年度の水準までに戻すとの考えで、目標値を設定したところでございます。

【毛利栄子議員】

 ビジョン作成から8年、新たな環境下にあることを踏まえ、有識者も加えて航空機産業の現状と今後について検証する必要がありはしないかと思いますが、いかがですか。

【田中産業労働部長】

 航空機産業の現状と今後に向けた検証についてでございます。先ほど申し上げました国の航空機産業戦略では、仕様設定や設計段階からの国際連携の強化や、航空機に関連したシステム全体を統合化していく能力の向上といった、必ずしも従来の延長線上にないものや、エアモビリティーや水素エンジンの開発などの新たな事業や市場への展開に向けた具体策の検討に取り組むこととしております。
 県といたしましては、こうした国の動き新たな時代の潮流を捉え、2021年、この令和3年4月に立ち上げました県内企業等で構成します長野航空宇宙産業クラスターネットの中で、これまでの現状とそして検証をしっかり行うとともにビジョン後の取組の方向性を検討してまいります。
 以上でございます。

【毛利栄子議員】

 知事に伺います。国の防衛費の急激な伸長の下、岸田内閣は敵基地攻撃能力強化の方針により、イギリス、イタリアとの次期戦闘機の共同開発条約を締結し、防衛装備移転三原則の運用指針を変えて、歴代政府の国是であった殺傷兵器の輸出はできないとしてきた大原則を変えて、戦争する国づくりに大きく足を踏み出し始めました。従来のアメリカなどから武器を買う立場から日本製をつくり、輸出する立場に進もうとしています。
 政府は航空機産業を、サプライチェーンは民間航空機のみならず、軍需産業においても重要な役割を担っており、安全保障上も重要と位置づけています。長野県が航空機産業の振興に取り組むことで、知らないうちに武器製造の一翼を担うことにならないか危惧があります。
 日本製の武器が戦争に使われ、他国の人を殺傷する事態にならないか心配です。知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 私には航空機産業の振興に関連して武器製造の一翼を担うことにならないか危惧があるかどうかという御質問であります。
 長野県の航空機産業振興ビジョンにつきましては、これは民間航空機事業が今後どんどん伸びていくだろうということを前提に、航空機産業の成長性、そして将来性、こうしたことを踏まえて、航空機産業の振興を目指そうということで策定をしたものでございます。
 このため、ビジョン実現のために解決しなければならない課題として、アメリカ連邦航空局による民間航空機搭載品に係る各種規程を理解した高度人材の育成であったり、また民間航空機搭載品に係る実証試験機器の整備であったり、こうしたことの必要性を掲げ、そのための支援の取組を行ってきているところでございます。
 一方国では、防衛装備品の海外移転を禁止する場合を明確化しているところでありまして、一定の歯止めがかかっている状況でございます。
 本県としては、この本県産業の得意分野であります精密、電子、情報分野、こうした技術が航空機産業分野の応用可能性が高いこと、また航空機分野で求められる高い技術力は、次世代モビリティーや医療機器産業、ロボット産業、こうした分野にも活用できるということに着目して、引き続き航空機産業の振興に取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。

県営住宅について

【毛利栄子議員】

 県営住宅について建設部長に伺います。県営住宅は公営住宅法に基づき設置され、住生活基本法によって、住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤であることに鑑み、低額所得者、高齢者、子供を育成する家庭、その他住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られることを旨として行わなければならないとされ、県営住宅プラン2021年に基づき対応がされています。
 令和5年度の管理戸数は143団地1万4435戸ですが、老朽化が進み空き家が増えています。県営住宅は単身2人世帯が7割を占め、所得も1か月10万4,000円以下の第1階層が75%を占めているのが現状です。低層住宅の場合には、空き家があると夏はそこの部分だけ草に覆われたり、冬場は雪がかかれないために、出入りに難儀をするなどの不具合が生じています。草を取ったり雪をかこうにも、高齢や病気、障がいなどでとても対応できません。環境面でも景観面でも維持管理体制に支障を来していますが、どのような対応を考えておられるのでしょうか。

【新田建設部長】

 県営住宅の空き住戸への増加への対応に対するお尋ねでございます。
 議員御指摘のとおり、本県における県営住宅の空き住戸は、平成31年4月の1,522戸から、本年4月には2,285戸へと増加しております。
 こうした中、県営住宅団地の敷地内の除草や除雪などの管理については、原則として、入居者により組織された自治会を中心に行っていただいているところでございますが、高齢化や空き住戸の割合が高く、自ら除草などの維持管理ができないなどの理由がある場合には、県がその管理を行っているところでございます。
 しかしながら、この除草については現状年1回程度の実施にとどまっているなど、美観上、必ずしも管理が行き届いていないケースもあることから、他県の状況なども把握の上、改善に向けて検討してまいります。

【毛利栄子議員】

 用途廃止となり、除却対象になったまま何年も放置されている団地があります。夏場は草が背丈を越えるほど伸び、入居者が植えていった支障樹木が2階の屋根まで届くほど伸びているなど、近隣の方々が誰か不審者でも来て侵入したりネズミが出て不衛生になっては困ると心配されています。
 このような団地の更地化や、あと利用はスピーディーにやっていただきたいと思いますが、更地化のルールや空き家の管理はどうなっているのか伺います。

【新田建設部長】

 用途廃止後の除却のルールや空き住戸の管理に関するお尋ねでございます。
 小規模で老朽化した団地においては、居住環境の整った団地への移転集約を促進しており、既に入居者がいない住棟も増えてきているところでございます。
 このように、入居者がゼロとなったといった理由などにより用途廃止とした県営住宅については、既に跡地利用が見込まれているもの、団地の管理上、早期の住宅除却が必要なものなどから、年間100戸程度除却を現在進めているところでございます。
 また除却までの間は、施錠を徹底するとともに、周辺の防犯や住環境保持の観点から随時見回りをするなど、その管理に努めているところでございます。
 さらに県営住宅の跡地利用については、県有財産の総量縮小やその利活用を推進する必要があることから、総務部などと連携の上、スピード感を持って計画的に進めてまいります。

【毛利栄子議員】

 空き家解消のために、目的外使用を拡大し、空き家の活用で、学生や若者など単身者の入居も可能にし、高齢者の見守りなどもできるようにすれば、コミュニティーの維持や環境整備、安心して暮らせる住宅になることも可能だと考えますが、いかがでしょうか。

【新田建設部長】

 県営住宅の目的外使用の拡大によるコミュニティーの維持や、環境整備などに関するお尋ねでございます。
 県営住宅は、本来の入居対象者の入居を阻害せず、適正かつ合理的な管理に支障のない範囲内で国土交通大臣の承認を得た上で、事業主体である県が行政財産の使用許可を行うことにより目的外使用とすることができます。
 このため、県では、県営住宅を弾力的に活用できるよう、目的外使用が可能となる地域対応活用の一つとして位置づけることで、若年単身者による県営住宅の使用を可能としているところでございます。
 具体的には、県営住宅並柳団地の空き住戸の一部を、入居要件にかかわらず活用して、学生や若者、子育て世代や移住者などの利用を促し、入居者との交流や地域で多様な世代がつながり支え合うミクストコミュニティの形成に向け、活動の主体となる組織の立ち上げや、その活動拠点整備などに取り組んでおります。
 今後はこうした取組の成果や課題をしっかりと検証し、他の県営住宅団地にも横展開できるように取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 年金が比較的高額な高齢者が、高齢であることを理由に民間住宅への入居を断られる例もあり困っています。高額収入のお年寄りも、目的外入居の一例として入居できる対応を検討していただきたいのですが、いかがですか。

【新田建設部長】

 高額所得の高齢者が県営住宅に入居できるよう、目的外使用の拡大の検討に関するお尋ねでございます。
 県営住宅、これは住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃をもって賃貸することがその目的であります。このため、県営住宅の目的外使用に当たっては、法令に基づき、国の承認を得た上で事業主体である県が目的外使用許可を行う必要があります。
 しかしながら、収入が基準額を超える高額所得の高齢者については、認知症高齢者を対象としたグループホーム事業などを除いて、現行その承認等の対象とされていないこと。並びに、県営住宅はそもそも住宅に困窮している低額所得者を対象としたものであることから、目的外使用を認めることは適当でないと考えております。
 以上でございます。

【毛利栄子議員】

 住まいは人権、快適に住めるよう、修繕や空き家の活用、環境整備を適切に行い、年を取っても尊厳を持って暮らせるよう必要な予算の確保をお願いし、質問を終わります。

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