日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2024年9月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 長野県警察の違法捜索について
  2. 熱中症対策について
  3. 核兵器廃絶について

長野県警察の違法捜索について

【和田明子議員】

 日本共産党県議団和田明子です。
まず、長野県警と岐阜県警が行った特殊詐欺事件の家宅捜索で、容疑者に令状を示さない例が複数あったことが地裁松本支部の公判で明らかになったことについて、捜査機関が容疑者を逮捕したり、家宅捜索をしたりといった強制捜査を行うには、原則、裁判所の令状が要ること、執行する際には容疑者本人に提示し、内容を説明しなければならないこととされているにもかかわらず、今回の事例では、計5回の家宅捜査のうち、逮捕時の初回を除き勾留されていた容疑者に令状を示さず、護送に必要な人員を確保できないとして本人を立ち会わせることもしなかったとのことですが、令状の提示など手続は、捜査の公正さを担保するとともに処分を受ける人の人権に配慮するために定められているもので、逸脱してはならないことではないでしょうか。
以下、県警本部長に伺います。
今回の裁判では、押収物を記載した調書など、一部は証拠として採用されなかったとのことです。権力の濫用を防ぐ仕組みとして、裁判所の令状を要する令状主義の精神を没却するような重大な違反行為だと判断がされた問題であり、警察捜査の信頼を揺るがす事態と考えるがいかがか。所見を伺います。

【鈴木警察本部長】

 警察の捜査について御質問をいただきました。
まず、1点目の特殊詐欺事件の家宅捜索で、容疑者に令状を示さないことが重大な違法行為であり、警察捜査の信頼を揺るがす事態であるとの御指摘に対してお答えいたします。
本件は、全体としては法律に定める手続にのっとって捜査を遂げたものと認識しており、裁判においても、全て有罪が確定したものと承知しております。一方で、捜査手続の一部について、裁判において違法と指摘されたことは真摯に受け止めつつ、今後も引き続き緻密かつ適正な捜査を推進してまいります。

【和田明子議員】

 捜査機関が法令を守ることは基本中の基本であるにもかかわらず、同様の逸脱行為が慣行となっているのではないかと問題視する専門家の意見もありますが、警察官の意識啓発や研修は行われているのか。今後の対策について伺います。

【鈴木警察本部長】

 警察官の意識啓発や研修の実施状況と今後の対策についてお答えいたします。
捜査を行うに当たって刑事訴訟法などの法令や規則を厳守し、個人の自由及び権利を不当に侵害することのないようにしなければならないのは当然のことでありまして、各種捜査手続や捜査要領については、平素から適時適切に教養等を実施し、職員への周知を図っております。
捜査については個別具体の事案に即して適切な方法を用いるべきものと認識しておりますので、今後も引き続き必要な教養等を実施し、緻密かつ適正な捜査を推進してまいります。

熱中症対策について

【和田明子議員】

 次に、熱中症対策についてお聞きしてまいります。
長野市内の小中学生と荻原長野市長が給食を食べながら話し合うスクールランチミーティングを初めて開いた広徳中学校で、生徒から学校の体育館にエアコンが欲しいと意見が上がったと報道されました。災害級の酷暑で、エアコンのない体育館を使用して体育や部活動をしている中学生からの切実な声です。
空調設備のない夏場の体育館は直射日光で建物が温められ、室温が高温になり、通気を行っても外気温が高く熱がこもりやすいため特に高温になりやすく、そのような環境で授業や部活動などを行えば、熱中症のリスクは高いと言われています。
今年の夏は、1898年の統計開始以降、日本の観測史上最も暑い夏。9月になっても厳しい暑さが続き、昨日は10月だというのに真夏日を超えました。長野県内の熱中症による救急搬送状況は、4月29日から9月8日までの速報値で1,000人を超えています。教育機関からの救急搬送は30人です。
学校体育館へのエアコン設置は、熱中症対策であること、さらに、災害が多発している時点で、避難所としてという観点からも設置が必要だと私は昨年9月議会で質問しましたが、今年もさらに早急な対策を願って質問をしてまいります。
まず、長野県内の小中学校、特別支援学校、高校の特別教室と体育館等のエアコンの現在の設置状況について伺います。

【武田教育長】

 熱中症対策について質問をいただきました。
まず、エアコンの設置状況でございます。
令和6年9月1日現在の県内の学校におけるエアコンの設置率は、公立小中学校が特別教室60.7%、体育館は4.6%です。特別支援学校は特別教室が99.4%、体育館は9.1%でございます。県立高等学校は特別教室が46.5%、体育館に設置している学校はございません。

【和田明子議員】

 県立高校の普通教室のエアコン設置率は100%になっておりますが、一方で、特別教室の設置状況は全国では58%ですが、長野県は5割に届かないという状況であります。
学校現場からは、学校内の学習環境は教科によって格差が生まれている。特別教室へのエアコン整備を要望しているとお聞きしています。現状ではまだまだ不十分と思います。全ての特別教室に積極的に設置をしていただきたいがいかがか、伺います。

【武田教育長】

 県立高等学校の特別教室へのエアコンの設置についてでございます。
特別教室の空調設備については、他の教室で代替授業が困難な教室、または機械等から放熱により高温となる実習室など、優先度が高く必要な部屋には整備を行ってきております。
現在学校では、必要に応じて空調設備整備済みの教室で授業を行うなど、各校工夫をしてもらっておりますが、現場からはさらなる空調設備の整備要望があることは承知をしております。
今後は高校再編に伴う新校の整備や既存校の大規模な改修などの機会を捉え、必要な場所には整備を進めてまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 県立学校の体育館等へのエアコン設置について、昨年9月議会でも質問しました。その質問に対し教育長は、体育館へのエアコン設置につきましては、多額の予算が必要となるため、暑さ対策としては、施設面での対応と使い方の工夫の両面で取組が重要と考えていること、今後は高校再編や特別支援学校の老朽化に対応した増改築等を行う際に、断熱改修工事を含めて検討してまいりますと答弁がありました。
昨年度からの検討と実施状況はどのようになっているのか。教育長にお伺いいたします。

【武田教育長】

 県立学校の体育館へのエアコン整備の検討状況についてのお尋ねでございます。
県立高校においては、高校再編に伴い改築が必要な5校の体育館において、断熱材や断熱ガラスの設置、断熱塗装等を進めており、このことにより、日中の室温上昇を抑える効果が期待できると考えております。
一方、特別支援学校においては、室内変化への配慮が必要な児童生徒等が在籍していることを踏まえ、改築を行う松本養護学校、若槻養護学校については体育館を含めた新築分のZEB化やエアコン設置を前提に設計を行ってまいっているところでございます。  以上でございます。

【和田明子議員】

 御答弁いただきましたが、体育館のエアコン設置はほぼ進んでいないということで大変残念であります。
文部科学省は公立学校施設における空調設備の設置状況調査を1年おきに実施し、公表しています。前回は令和4年に行われ、今年が調査年に当たっており、令和6年度の調査結果は9月末日に公表されました。
文部科学省の調査で、都道府県ごとの体育館等への設備設置状況に着目してみました。それによりますと、東京都の令和4年と令和6年では、小中学校82%から89.2%、特別支援学校97%から97.2%、高等学校は39%から62.2%と、令和4年段階でも設置率が高い上にさらに進んでいました。
私はなぜ東京都では設置が進んだのかを調べたところ、小池都知事が2018年9月都議会で、都内全ての公立小中高校の体育館に冷房などの空調設備を設置するため、補助制度を設ける方針を表明。対象は約2,000校。熱中症対策だけでなく、災害時に避難所として使われるため、居住環境の改善も目指すとしてはじまり、8年間で100%を目指していることが分かりました。
当時は、蒸し風呂体育館さようならと報道されたそうです。
そのほかには、愛知県の大村知事は、今年2月に、猛暑の中でも熱中症を防ぎ、体育の授業や部活動を続けていくよう進めていきたいと知事会見をしています。4年間で全ての県立高校の体育館、武道場に空調設備設置をすると表明して予算計上をしています。
大村知事の会見の中で、小中学校は補助があるも、高校は対象外。よって、国に対して、高校への補助について知事会からも意見を上げたいと発言をしておられました。
熱中症は命に関わることとはいえ、それぞれの知事の決断には正直驚きました。
熱中症対策、子供たちの教育環境や安全の確保、さらに災害時には市町村から要請があれば地域の避難所として利用されます。避難所の環境改善の観点からも、県として体育館へのエアコン設置を進めていただきたいと思いますが、知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 県立学校の体育館へのエアコン設置についてという御質問であります。
先ほど教育長から御答弁申し上げたように、現在県立高校におきましては、再編新校の整備の中で体育館の断熱化に取り組んでいるところであります。
また、配慮が必要な児童生徒が通う特別支援学校においては、現在改築を進めている学校において、エアコンを体育館等にも設置するよう進めているところでございます。他の学校についても、順次改築等に合わせて整備を進めていきたいというふうに考えております。
各都道府県それぞれの考え方で施設整備を行っているわけであります。我々も決して子供たちの教育環境を横に置いているわけではありません。御質問いただきましたように、今回御質問いただいた避難生活というような観点も考えれば、その質の改善は、私も必要だというふうに思っております。
今後教育委員会から教育現場の実態もお伺いをしながら、必要な整備の在り方について検討していきたいというふうに考えております。
 以上です。

【和田明子議員】

 知事からも御答弁をいただきましたが、高校再編などの計画と合わせてということになると、この対象になっていない学校はどうなるのかということもありますので、このあたりのところも含めて、教育委員会としっかりと計画そのものについて議論をして進めていただきたいと思います。

核兵器廃絶について

【和田明子議員】

 次に、核廃絶等について伺ってまいります。
8月4日から6日に広島市で開かれました2024原水爆禁止世界大会に参加しました。79年前、米軍によって広島と長崎に投下された原子爆弾は、人類が体験したことのないこの世の地獄をもたらしました。子供を含め、民間人が無差別に殺りくされ、その年の暮れまで21万人の命が奪われました。
来年は被爆80年です。かろうじて生き延び苦難の人生を歩んできた被爆者たちは、現在の緊迫した情勢の中で生きているうちに核廃絶をと、渾身の力を振り絞って立ち上がっています。
世界大会は、被爆地に集った私たちは、核兵器のない平和で公正な世界を人類と地球の未来へ流れを転換していくために共に行動することを呼びかけました。
大会の中でも被爆者から、再び被爆者をつくるなと諦めず戦い、日本国内はもとより世界各地を訪れ、非人道性的な核兵器被害の実相を伝え、核廃絶を訴え続け、核兵器禁止条約交渉会議に参加し、禁止条約の成立にも尽力してきたと報告がされました。
核兵器禁止条約を生み出すまでには、世界の市民社会の長い運動があり、そして被爆者が、もう誰にも自分と同じ思いはさせたくないと、被爆の実相を語り続けています。しかし、高齢になり、被爆者自身が語り続けることには限りがあるからこそ、来年の被爆80年には特別な思いが込められていることを痛感しました。
私は、今回改めて広島平和記念資料館、原爆資料館を訪ねました。広島平和記念資料館の展示は1945年8月6日の8時6分までの穏やかな広島市街地の風景から、原爆投下で一変したありさまは、まさに地獄絵図です。人としての形をとどめることもできない無残な死は、目を背けたくなりました。
その資料館の展示内容には、高齢になり被爆体験を直接聞くことができなくなる前にと、被爆者から高校生が話を聞き描いた原爆の絵も展示されていました。若い世代がつなごうとしていることを知りました。
8月6日平和記念式典で松井広島市長は、昨年度、平和記念資料館には世界中から過去最多となる約198万人の人が訪れた。これはかつてないほど被爆地広島への関心、平和への意識が高まっていることの証とも言えます。
世界の為政者には広島を訪れ、そうした市民社会の思いを共有していただきたい。そして被爆の実相を深く理解し、被爆者の「こんな思いは他の誰にもさせてはならない」という平和の願いを受け止め、核廃絶への揺るぎない決意を、この地から発信していただきたいと呼びかけました。
核兵器のない世界をと、長年にわたって長野県内にも広島平和記念式典への参加者を派遣する事業を続けている自治体があります。8月を中心に戦争展や原爆の写真展などの取組を県下各地で行われております。
そこで県としても、代表を派遣したり、県庁舎や合同庁舎など、非核平和の啓発活動の場として活用していただけないか、県民に核兵器によってもたらされる被爆の実相を伝える取組をしていただきたいと思います。その点いかがでしょうか。企画振興部長に伺います。

【中村企画振興部長】

 核兵器廃絶に向けた取組についてお尋ねがありました。
毎年開催される広島平和記念式典には、県内の市町村において、児童生徒や若者等を派遣する事業が行われており、戦争の悲惨さや核兵器の恐ろしさを学び、平和の大切さや尊さを肌で感じる貴重な機会となっております。
県としましては、市町村でのそうした取組を踏まえ、県内における啓発活動に力を入れて取り組んでいるところでございまして、毎年8月に民間団体と連携して広島、長崎の原爆投下後の様子を捉えた写真や、絵などの企画展示を県庁ですとか、合同庁舎の方で開催しております。
今年度は合同庁舎での展示を1か所増やすとともに、新たな民間団体と協力して、県庁で企画展示を開催し充実を図ったところでございます。
今後も、こうした取組がより効果的なものとなるよう、工夫してまいりたいと考えております。

【和田明子議員】

 核兵器禁止条約の署名は93カ国、批准国は70カ国へと広がっています。原爆投下から既に79年。被爆者は高齢になり、来年は被爆80年、それまでに日本が核兵器禁止条約に署名をと願っています。現在日本政府に対し、核兵器禁止条約に参加することを求める署名が全国各地で取り組まれております。知事には、ぜひとも御賛同して署名をしていただきたいと考えます。
阿部知事の御所見をお聞かせください。

【阿部知事】

 私には核兵器禁止条約への参加を求める署名運動の署名について御質問いただきました。
世界で唯一の戦争被爆国として、核兵器の廃絶、そして恒久平和の実現は、全ての国民の願いだというふうに思いますし、私もその1人でございます。
平成29年にはこうしたことから広島、長崎の被爆者の方々が訴えていらっしゃる核兵器廃絶国際署名の趣旨に賛同させていただきました。核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを全ての国に求めるというものでありまして、これについて署名をさせていただいたところでございます。
今日、核兵器の使用をほのめかす国がある一方で、核抑止力が世界の安定に一定程度寄与している現状を踏まえますれば、核兵器廃絶に向けては核兵器保有国を含む全ての国が足並みをそろえて取り組んでいくということが不可欠だというふうに考えております。
御質問いただきましたこの署名につきましては、こうした基本認識の下で判断をしていきたいというふうに考えております。
 以上です。

【和田明子議員】

 長野県としても、市民団体の皆さんとの協力によって県の庁舎、合同庁舎などを生かして核兵器廃絶の展示などを充実させていただいていること、引き続き、また行っていただきたいと思います。知事も、新たな署名について今後また十分御検討いただきたいと要望をしておきます。
石破首相は、ウクライナがロシアに侵攻されたのは北大西洋条約機構、NATOに入っていなかったからだとして中国を抑止するため、アジア版NATOの創設を主張。さらに中国・ロシア・北朝鮮に対抗するためにアジア版NATOで米国の核兵器を共有すべきだと述べました。
核兵器のない世界の流れに逆行するどころか、唯一の戦争被爆国日本がアジア全域で核戦力強化を呼びかける危険な姿をあらわにしています。
今、世界を対立するブロックに分断するのではなく、アジアや欧州でも、憲法9条を生かした平和外交こそ求められていると申し上げて質問を終わります。

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