2024年11月定例会 毛利栄子議員一般質問
子どもの権利条約を生かした不登校支援について
- 【毛利栄子議員】
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子供の権利条約を生かした不登校支援について、教育長並びにこども若者局長に伺います。
全国的に不登校が30万人を超え、毎年のように増え続けています。長野県でも、小中学校における不登校が過去最多の7,000人となりました。楽しいはずの学校なのに、過剰なストレスを受け心の傷を負って学校に行かれなくなり、自分を守るために家庭に避難している子供たちの心情を考えると、胸が詰まる思いです。
県教委は、増加の背景を「教育機会確保法」の趣旨の浸透によって、社会的に多様な場での学びが広く認められるようになってきたこと、コロナ禍の影響により欠席することへの抵抗感が低下したとしています。
確かにそういった要因はあるかもしれませんが、私が注目したいのは、教師を対象にした調査結果では、不登校の原因が「学校生活にやる気が出ない」「不安・抑うつ」が複数回答で、小学校で42.9%、中学校で47.3%、家庭生活や親子の関わりが20数%と最も多く、原因が子供や親にあるとなっていることです。
要因には複雑な状況もあろうかと思いますが、かたや「信州居場所・フリースクール運営者交流会」が昨年実施した不登校及び不登校傾向の小中高校生を持つ保護者への調査結果が「長野の子ども白書」で紹介されていますが、子供の無気力・不安は12.8%で4分の1程度で、一番多いのが教職員との関係をめぐる問題で、42.49%です。しかし教職員の側の調査で僅か数%と、かなりの開きがあります。
また、掃除は黙ってやらなくてはいけない、体育館に入るときにしゃべってはいけないなど、こと細かな決まりに息苦しさを感じている子供たちが3割もいます。教職員の調べでは2%~3%程度です。不登校要因にこれほど乖離があれば、対応もおのずと違ってきてしまうと考えられますが、県教委としてどのように受け止めているのでしょうか。
- 【武田教育長】
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不登校支援について、御質問をいただきました。
まず、不登校の要因に関わる認識の乖離についてでございますけれども、不登校は学校生活や家庭環境等様々な要因が複雑に重なり合って生じていることでございますので、調査対象によって異なる結果になるということは、あるというふうに認識をしております。しかし、重要なことは子供の視点から支援をしていくことであるというふうに考えています。
保護者の問題意識を受け止める取組についてでございますが、各学校では、学級担任を中心に保護者の相談対応に当たっており、必要に応じてスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、さらには管理職が相談窓口となっております。
また、保護者が相談できる窓口として、県教育委員会内に学校生活相談センターを整備するなど、保護者が相談しやすい様々な窓口を設けているところでございます。
さらに、県教育委員会が開催している不登校児童生徒等の学びの継続支援に関わる懇談会において、保護者の方から保護者の思いや願いを学校と共用することの提案がございました。そこで、県教育委員会では、コミュニケーションシートを作成して各学校に配付し、保護者と学校との連携を進めるよう取り組んでいるところでございます。
- 【毛利栄子議員】
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保護者が持っている問題意識を受け止める取組や努力は行われているのでしょうか。子供が不登校になると保護者は不安が増大し、悩み、自分の子育てを責め、孤立化して仕事を辞めたり、転居したり、場合によっては家庭崩壊に陥るなど大変な苦労を強いられる場合が多いのが実情かと思います。県教委は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを配置し相談支援に当たっていますが、学校外への公的相談窓口の拡充も含め、相談体制のさらなる充実と、親の苦難に寄り添った共感型の支援が必要ではないかと考えますが、教育長の所見を伺います。
- 【武田教育長】
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相談体制の拡充等、共感型の支援についてでございます。
学校外の公的相談窓口として、先ほど申し上げました学校生活相談センターをはじめ、総合教育センターや各教育事務所に相談窓口を設置しております。これらの窓口については、児童生徒を通じて、全ての家庭に周知をしているところでございます。また、各市町村にも教育委員会や教育支援センター等に相談窓口がございます。
さらに、各学校にはスクールカウンセラーを配置しており、令和5年の約3万2,000の相談件数のうち25%は保護者からの相談でございました。また、スクールソーシャルワーカーが2,400件を超える保護者支援を行っているところでございます。
議員御指摘のとおり、不登校児童生徒の保護者のサポートは重要であるというふうに考えており、相談に当たって学級担任等が傾聴に努めることや、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの適切な対応についての研修の充実を図り、保護者の苦難に寄り添う支援がさらになされるよう努めてまいります。
- 【毛利栄子議員】
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不登校の親を支援している方のお話では、不登校になった子供たちが家庭に居場所を見つけ、そこが最も安心でゆったり過ごせる場所だと受け止めると、スマホ、タブレットを使ってゲームやユーチューブ三昧で、昼夜逆転の生活をはじめ、親の価値観からあまりにかけ離れているために、とても受け入れることができず、親が不安定になり、精神的に追い詰められる場合が少なくないそうです。そんな親を支え励まし役割を果たしているのは、親の会だということです。
信州居場所・フリースクール運営者協議会のアンケートでも、相談して一番よく納得できたのがフリースクールや親の会だったという結果もあります。しかし親の会の存在が知られていなかったり、どんなフリースクールや親の会があるのか知らない親が少なくないと思われます。
そこで、親の会やフリースクールを広く紹介する取組を求めたいと思いますが、こども若者局長に伺います。あわせて、信州型フリースクール認証制度ができ、フリースクールには一定の財政支援が始まりましたが、親の会に対しても、会場費やお便り発行などへの支援策を検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
- 【高橋県民文化部こども若者局長】
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私には不登校支援に関係して御質問いただきました。
まず、フリースクールや親の会を紹介する取組についてであります。
学校以外の学びの場や居場所を悩みながら探している子供たちや保護者の皆様から、どこに、どんな学べる場所があるのか、どんな学びを提供しているのかなどの情報を、まとめて見られるようにしてほしいという意見が多く寄せられておりまして、フリースクールについて、分かりやすい情報発信が求められています。
このため県では、県内フリースクールの特徴、その利用者や保護者の声、学びの実践事例などを掲載し、利用希望者が自分に合った学びの場や居場所を検索して探せるような専用ポータルサイトの構築を現在進めておりまして、フリースクールに関する情報発信の充実を行ってまいります。
また、保護者同士の交流を行う場としての親の会は、不登校に悩む家族が同じ思いを持った方々との交流などにより、孤立をしないようにする大変重要な役割を担っていただいていると認識をしております。御質問にあった親の会への支援については、県から支援を行うというよりも、子供や保護者に身近な市町村の教育委員会や地域の関係者が連携して取り組んでいただくほうが望ましいと考えております。
こうした連携による事例として、諏訪地域6市町村の教育委員会とフリースクール等で構成される諏訪地区学びの支援ネットワークが、相談窓口の情報や利用者の声、親の会の情報など、子供や保護者が必要とする情報を掲載した学びの支援サポートブックを作成し、周知を行っています。
県としては、こうした事例が他の地域にも広がるよう取組を進め、学校に行くことができない、あるいは行かない選択をした子供たちが、それぞれの夢や希望を持ちながら自分の選択をしていくことができるよう、教育委員会とも連携をして取り組んでまいります。
- 【毛利栄子議員】
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信州型フリースクール認証制度の取組を通じて、フリースクールや居場所に行政の光が当たり出したことは歓迎します。子供たちが、子供権利条約に基づき、自由に休息する権利、競争教育から離れてゆっくり自分を取り戻す権利が尊重され、フリースクールなどで生き生きと頑張っている子供たちの成長の姿が、運営事業者や支援者、親、行政関係者、教育関係者で共有でき、官と民がそれぞれの立場で子どもの権利条約を生かした支援につなげるようにするためにも、情報共有の懇談の場を設けることが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
また不登校は誰にでも起こり得ると言われている中で、学校関係者にも参加してもらい、不登校当事者やフリースクール関係者を講師とした講演会、研修会などの取組を実施することが必要ではないかと思いますがいかがでしょうか。
- 【高橋県民文化部こども若者局長】
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フリースクールでの子供の様子を共有する懇談や、研修等の場についてのお尋ねであります。
子供たちへの多様な学びを充実させていくためには、学校や教育委員会、子供担当部局等の行政と民間のフリースクールとが手を取り合って、共に連携をしていくことが必要です。
県では学校内外の学びに関わる支援者による情報共有や連携づくりを進めるため、フリースクール職員や教員、保護者等が集まる多様な学びを考える支援者の集いを、こども若者局と県教育委員会が協力して開催をしています。この集いでは、フリースクールでの子供の過ごし方などの事例紹介や、不登校経験者とその保護者を交えた座談会のほか、グループ別懇談を設け、福祉、医療分野を含めて連携を進めるために必要なことなどの意見交換を行っております。
また、県教育委員会では、教員やスクールソーシャルワーカー、民間の支援者等に対して、いじめ不登校地域支援事業の研修会を開催しています。今年度は「学校外での不登校支援の現在」というテーマで、有識者やフリースクール運営者から、フリースクールの活動で大事にしていることや、課題、利用する子供の声などを紹介する講演を行い、これを受けたワークショップで参加者同士の情報共有を図り、理解を深めたところであります。
これまでもこうした集いや研修会の開催に取り組んできたところですが、今後は子供を権利の主体として捉え意見を尊重するなど、こども基本法などの理念も踏まえ、学校外の学びの場や居場所で過ごす子供たちの思いや意見がこれまで以上に反映されるように、教育委員会とも一緒に取り組んでまいりたいと考えております。
以上です。
- 【毛利栄子議員】
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先ほど教育長のほうからは、不登校の要因については調査の対象によって違うというふうなお話もございました。しかしながら、ここがあまりにも違い過ぎていることで、私はここの穴を埋める努力は、どうしてもやっぱり必要だというふうに思っております。
こどもまんなかと言いつつ、学力をめぐって競争を強いられ、様々な規則でがんじがらめにされている学校が、子供たちにとって息苦しいものになっていることはゆゆしき事態です。
家庭にはいるのに学校に行くのを拒否する子供たちに寄り添った対応が必要で、その前提は先ほどおっしゃっておられましたけれども、子供の声をきちんと聞くことではないかと思います。
不登校に関わる学校と保護者との溝を埋めながら、子供一人一人を人間として尊重する、このことをあらゆる分野で徹底していただきたいことを求めます。
生活保護申請に係る自動車保有について
- 【毛利栄子議員】
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次に、生活保護申請に関わる自動車保有と運用について、知事並びに健康福祉部長に伺います。
公共交通が次々と縮小される下で、車は生活に欠かせない足となっています。
ところが生活保護世帯には原則として車の所有が認められておりません。私が関わらせていただいたシングルマザーで子育てをしているお母さんは、子供が未就学児だったときは行動範囲がさほど広がらなくても生活できるために、車を持たずに生活保護を受けていました。ところが子供さんが学校に上がるようになり不登校になると、子供のためにドライブしたり、一緒に買物に行ったりする必要が出て車は必需品になり、車を取るか、生活保護を取るかで、生活保護は打ち切りとなりました。
長野県の生活保護率は、直近の7月で、全国は16.2パーミルですが、その3分の1の5.4パーミルと低く、全国最低クラスです。車の所有がネックになっているとの指摘もあります。他県と比べて低い水準にある理由について、部長はどう分析されているのか伺います。
- 【笹渕健康福祉部長】
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私には、生活保護申請に係る自動車保有に関してお尋ねがございました。
初めに、長野県の生活保護率が全国に比較して低い理由についてでございます。
長野県の生活保護率は平成20年のリーマン・ショック後に上昇し、近年は5.4パーミル程度で推移しております。
保護率が低い理由としては、全国平均に比べ有効求人倍率が高いこと、長野県の有業率が高いこと、特に65歳以上の高齢者における有業率が高いこと、共働き世帯の割合が高いことなどが要因として挙げられると考えております。
また、長野県生活就労支援生センター「まいさぽ」をはじめとした様々な生活困窮者の支援も貢献しているものと考えておるところでございます。
- 【毛利栄子議員】
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総務省の平成26年全国消費実態調査によると、長野県の車の保有率は94%で、1軒当たりの保有台数は1.57台、全国6番目です。令和6年度第2回県政アンケートでも、通院に67%、買物に77.5%が、自家用車やバイク等を使っています。
しかし生活保護世帯では、障がい者が通院・通勤する場合、公共交通機関の利用が著しく困難な場合や深夜勤務などの場合にしか保有が認められず、極めて限定的です。これでは自立して生活することさえ余計に困難になります。
車の保有に関する運用は、自家用車の普及率が低かった60年前のままであり、この改善が求められるのではないでしょうか。県として保有条件の緩和を国に要求していただいていますが、国の方針は依然として変化がありません。全国市長会は毎年要望しています。
そこで中山間地を抱える知事などとも協力して、さらに強力に求めていただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。
- 【阿部知事】
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私には、生活保護に関する自動車保有について、国にほかの県とも協力して求めていくべきじゃないかという御質問いただきました。
中山間地域が多い本県におきましては、生活を維持し自立を図っていく上では、自動車の必要度が非常に高いというふうに考えております。地域の実情に応じて保有を認めるなど、一定の緩和が必要だと思っております。
本県からは、公共交通機関利用困難地域に居住する生活保護受給者の健康で文化的な最低限度の生活を実現するため、通勤・通院等に限らず買物や各種サービス機関の利用等の日常生活についても自動車使用を認めることということを、国に対して提案、要望しているわけでありますけれども、ほとんど動いてくれないという問題意識を持っています。
そういう意味では、問題意識を同じくするほかの都道府県と連携することも含めて、どうすれば、国の考え方を改めさせることができるのかということについては、しっかり考えた上でアクションを起こしていきたいというふうに考えております。
以上です。
- 【毛利栄子議員】
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三重県の鈴鹿市は、病気、障がいを抱える80代の親子に対し、子供の通院に限って車の使用を認めた上で、その確認のため、運転経路、運転開始・終了時刻、走行距離、用件などの詳細な記録を出すよう求めていましたが、負担に感じて出せなかったところ、生活保護を停止してしまいました。
このことを不服として争われた裁判で、名古屋高裁は10月30日、行政権の裁量の逸脱、濫用だとして、生活保護打ち切り処分は違法だと断じ、賠償を命じる画期的な判決を下しました。認められた通院以外に、日常生活に不可欠な買物などで使うのは、むしろ親子の自立した生活に資するとまで指摘しました。当然のことだと思います。
生活保護をめぐっては、テレビがぜいたく品だと言われた時代や、エアコンの設置も認められない時期もありましたが、世論と運動、時代の変化の中で改善が一歩一歩図られてまいりました。
長野県ではタクシーもバスも本数が減り、ますます公共交通を利用するのは困難になってきています。中山間地で暮らす長野県民にとって、自動車はなくてはならない移動手段であり、買物も含め、日常生活の維持に欠かせないものです。
そこで、この間の裁判結果なども踏まえ、生活保護における自動車保有と運用について柔軟に取り組んでいただきたいと思いますが、健康福祉部長、いかがですか。
- 【笹渕健康福祉部長】
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自動車保有の運用の柔軟な取組についてでございます。
生活保護事務は法定受託事務であり、自動車の保有等についても全国一律の基準で運用されているところでございます。ですので、長野県独自の運用に取り組むことは難しいと考えますが、現在の障がいのある方や、公共交通機関の利用が著しく困難な地域の居住者が通勤・通院等に使用する場合に限り認められるという生活保護制度の枠組みの中で、可能な限り寄り添った対応をしてまいります。
- 【毛利栄子議員】
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2022年、札幌市長が、生活保護利用者の自立や資産活用の観点から、日常生活での車使用を認められるとしたことに対し、厚労省は間髪を入れず事務連絡を出して、保有目的に限定すべきと現場を締め付けてきました。令和4年5月10日付、厚生労働省社会・援護局保護課事務連絡は実情に合わないために撤回し、日常生活でも使用を認めるよう求めていただきたいが、いかがでしょうか。
- 【笹渕健康福祉部長】
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厚生労働省の事務連絡の撤回と、日常生活における自動車使用についてでございます。
議員のお話にもありましたとおり、令和4年5月10日付で、厚生労働省社会援護局保護課の事務連絡において、自動車の使用については、従来の取扱いどおり、障がい等を理由に通院のために自動車の保有を容認されたものについて、通院以外に日常生活に用いることは認められない旨の注意喚起が発出されたことは承知しております。
一方で、自動車の利用については、公共交通機関利用困難地域に居住する生活保護受給者の健康で文化的な最低限度の生活を実現するためには必要であると認識しており、通勤・通院等に限らず買物や各種サービス機関の利用等の日常生活についても認めるよう、国に対し引き続き要望してまいります。
以上でございます。
- 【毛利栄子議員】
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生保の車の保有についてですけれども、知事のほうから国にまた引き続き求めていかれるという御答弁ありましたので、それはぜひお願いしたいわけですが、それとともに、県としても柔軟に運用をすることが可能だというふうに思います。
その一つの根拠として、厚労省は昭和38年、社会局長通知を出し、生活用品について処分価値の小さいものや、当該世帯の人員構成等から判断して、必要があり、かつその保有を認めても当該地域の一般世帯との均衡を失するものでなければ保有を認めるとしています。一般家庭との均衡の判断基準は、当該地域の全世帯の70%が普及している場合としています。
長野県の車の保有率は94%です。この通知の活用ができるはずです。権利としての生活保護を必要な人が使え、そのことで自立につながるようサポートすべきだと求めます。
歩行者にやさしい歩道の整備について
- 【毛利栄子議員】
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次に、歩行者に優しい歩道の整備について建設部長に伺います。
高齢化率は着実に増えており、健常者のみならず、シルバーカー、車椅子、杖を利用しての歩行など、安全で円滑に通行できる歩道の整備は重要です。交通バリアフリー法、障がい者差別解消法に基づく合理的配慮の観点からも、歩行者に優しい歩道の整備が求められています。令和3年の県政モニターの調査結果でも、歩道の設置・拡幅、段差・傾きの解消を求める人は83%と高くなっています。
道路構造令や条例規則に基づくユニバーサルデザイン化の対応していただいていることは承知していますが、歩道がでこぼこで波打ったり、段差があったり、傾斜があったりして歩きにくく、外出困難となっているので整備してほしいとの要望が少なからず寄せられています。
計画的な歩道の整備はどのように行われているのでしょうか。
- 【新田建設部長】
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私には、歩行者に優しい歩道の整備について御質問いただきました。
まず、計画的な歩道の整備に関するお尋ねでございます。
高齢者や障がいのある方を含め、歩行者が安全で円滑に通行できる歩道整備は重要と認識しております。特に歩道面に段差のある、いわゆる波打ち歩道は歩行者にとって歩きづらく、また凍結時に滑る要因となっております。
このため、平成15年度より、歩道リメイク事業として歩道の段差解消を目的とした歩道のフラット化を実施し、利用者に通行しやすい歩道整備に取り組んでいるところでございます。通学路や歩行者の多い区間を優先し、県内約120キロメートルを対象に整備を行っており、これまで66キロメートルの解消を図ってまいりました。
引き続き地域の皆様の御理解、御協力をいただきながら、計画的に整備を進めてまいります。
- 【毛利栄子議員】
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民間事業者が、経営するガス事業、市町村が運営する水道事業など敷設替えのたびに掘り起こして工事するため、継ぎ目や割れ目、段差などができて歩行に困難が生じている事例が散見されます。各事業者との連絡調整や整備方針はどうなっているのでしょうか。
- 【新田建設部長】
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道路工事と占用者との工事調整に関するお尋ねでございます。
ガス、上下水道、電気、通信など道路を掘削して整備する各事業者、いわゆる占用者を対象に、毎年各建設事務所において占用者調整会議を開催しているところでございます。
この会議では、道路管理者及び各専用車の事業について、工事の時期や位置、規模などを情報共有し、舗装をきれいにした後に、占用者が掘り返すことがないよう調整するほか、占用工事の復旧方法や安全確保などについて指導を徹底しております。
なお、ガスや水道などの敷設工事後は舗装が傷みやすいことから適宜点検を行い、異常が発生した場合には、占用者の専用車がこの路面の補修をすることとしており、今後も歩きやすい歩道の維持に努めてまいります。
- 【毛利栄子議員】
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夏場には街路樹が枝を伸ばして通行を妨げ、冬には積雪や凍結で通行困難といった状況があります。歩道の維持管理の全てを行政がやることは困難が伴うと思いますが、管理者としての県の対応を求めるとともに、アダプトシステムをさらに広げることも必要ではないかと思いますが、建設部長の見解を伺います。
- 【新田建設部長】
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アダプトシステムの取組に関するお尋ねでございます。
歩道を含む道路の維持管理については、令和5年度から道路リフレッシュプランとして交通量の多い市街地や主な観光地へのアクセス道路を対象に予算を増額し、重点的に取り組んでいるところでございます。
また、歩道の環境整備においては、道路アダプト活動として、10月末時点で369団体、625キロメートルで美化活動を中心に地域の皆様にも御協力をいただいております。
アダプト活動では、歩道内の草刈り、枝払い、花壇の整備など、沿道美化のほか、一部の団体におきましては歩道の除雪も行っており、歩道環境を維持する上で非常に大きな役割を担っていただいているものと認識しております。
県としても、これらの活動を後押しするよう材料などの支援をするとともに、アダプト活動を支える企業を増やすための呼びかけや活動状況を広報するなど、さらにアダプト活動団体が増えていくよう積極的に取り組んでまいります。
以上です。