2025年6月定例会 両角友成議員一般質問
オスプレイが松本空港に緊急着陸したことについて
- 【両角友成議員】
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日本共産党県議団の両角友成です。私は発言通告に沿って一般質問を行います。
まず初めの質問項目は、オスプレイが松本空港に緊急着陸したことについてであります。
本年3月25日、松本空港にアメリカ軍普天間基地所属の輸送機オスプレイが緊急着陸し、翌日も飛来しました。この間、日本国内でも墜落するなど重大事故を起こしているオスプレイです。県民からは、軍用機着陸に県は強く抗議をと声が上がりました。
私たち県議団は、3月27日、知事に対し、今回の緊急着陸に関して厳しく抗議してくださいと申し入れを行いました。
滑走路は一時閉鎖され、FDAの定期便が欠航するなど実害も発生しています。翌日の飛来は早く飛び立つための処置とのことのようでしたが、横田基地からなら別に車両でも問題はないはずですし、テレビ放映の画面で見る限り、修理部品とされるものは、1人で抱える1箱だけだったように見えました。いまだ県民が納得するような緊急着陸の原因について、米軍及び政府関係機関から説明がありません。
松本空港の隣に位置する東筑摩郡山形村議会は、4月25日の臨時会で、県営松本空港で3月25日にオスプレイが緊急着陸したことをめぐり、県が中谷現防衛省宛てに提出した緊急要請書の内容に防衛省など関係機関が取り組むよう、県に引き続き働きかけることを求める意見書を全会一致で可決しています。
松本市議会でも抗議の動きがありましたし、松本市議会6月定例会で複数の議員が一般質問項目に取り上げています。皆さん、大変心配されています。
松本空港は、今年、開港60年、こんなことは初めてです。飛び立つ飛行機に見学者が普通に手を振る。どこかのどかな空港だと思っています。
しかし、今回のように何も分からずじまいでは、緊急だ、警告灯が点灯した予防だと言って、空港使用を許すことになりかねません。同時期、高知空港でも米軍F35ステルス戦闘機が1か月以上駐機しました。
防衛局担当者が、米軍の運用などで理解をいただきたい、は許されない事態です。トラブルの詳細を明らかにしないような米軍機の飛行は認めるべきではなく、防衛大臣及び米軍に対し、県として毅然とした対応を望むが、いかがでしょうか。知事の見解を伺います。
- 【阿部知事】
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オスプレイの松本空港への着陸に関連してご質問を頂戴いたしました。県として毅然とした対応を臨むが見解をというご質問でございます。
米軍機が松本空港に今回着陸した理由につきましては、北関東防衛局から、警告灯が点滅し予防着陸したものとの説明があったところでございます。県としては、防衛省に対し今後こうした事態を起こすことがないよう、航空機等の安全管理と再発防止に万全を期すことをアメリカ側に求めるよう緊急要請を行わせていただいたところでございます。
これに対して防衛省からは、米軍に対して安全管理に万全を期すよう求めているとの説明があったところでございます。
条約などに基づいて行われております外交、あるいは防衛政策については、県としても協力をしていくことが必要だというふうに考えておりますが、住民生活の安心・安全な暮らしを確保することは、県としての最も重要な使命だというふうに考えております。住民生活の安心・安全な暮らしを確保するために必要な対応は、今後ともちゅうちょなく行っていきたいと考えております。
以上です。
- 【両角友成議員】
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滑走路の一時閉鎖により、FDAの定期便が欠航するなどの実害が発生しました。こうした実害に対し、県はFDAと連携して損害賠償請求を行うべきと考えますが、交通政策局長の見解を伺います。
- 【村井企画振興部交通政策局長】
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オスプレイ着陸に伴う損害賠償請求についてのお尋ねであります。
今回のオスプレイの着陸に伴いまして、安全確保などを目的に滑走路を一時閉鎖したため、新千歳空港発松本空港到着予定の便が、到着地を県営名古屋空港へ変更いたしまして、乗客84名に影響がありました。
また、松本空港発新千歳空港行きの便が欠航しまして、乗客74名に影響があったところであります。
これらの乗客に対しましては、運航会社のFDA、フジドリームエアラインズが到着地を変更した便につきましては、名古屋から松本までの移動費用を負担し、欠航した便につきましては運賃の払い戻しなどを行ったと伺っております。その他の小型機やヘリコプターなどの民間機の運航への影響は、なかったものと承知をしております。FDAによりますと、これまで自社以外の航空機を原因とした滑走路閉鎖により、自社の便に影響が出た場合であっても、費用の請求をした事例はないとのことであります。
県といたしましては、こうしたFDAの対応を尊重いたしまして、現時点ではこれ以上の対応は考えておりません。
以上です。
- 【両角友成議員】
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今、声を上げなければ、これから先これが普通になってしまうおそれもあります。5月20日にはオスプレイとみられる機体が、県内諏訪と松本市で目撃されています。声を上げ続けることの重要性を指摘させていただき、次の質問項目に移ります。
農業県・長野としての今後の農業政策の方向性について
- 【両角友成議員】
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次の質問項目は、農業県長野としての今後の農業政策の方向性についてであります。
今のコメ不足は、国が減反政策と生産調整を農家に押しつけ、需要と供給を市場任せにし、主食をないがしろにしてきた結果です。予算推移を見ても、1980年度3.58兆円が、25年度は2.27兆円と1.3兆円も減少です。この間、政府は農家に減反をさせ、民主党政権時に実現した所得補償制度、10アール当たり1万5,000円を2014年に半減し、2018年には第2次安倍自公政権が全廃。米農家から1,500億円以上もの所得を奪ったのです。
一方で、コメの価格や流通に政府が関与しないという市場任せ政策によって、コメの安売り競争が激化し、生産者米価は60キロ2万円を超えていたものが1万円前後まで落ち込み、コメをつくって飯が食えないと農家の悲痛な声が上がりました。
このもとで米作農家は2000年に175万戸から53万戸と3分の1に減少しています。この動きは止まっていません。
もう一つ、私はこの場で何回も問題にしてきたミニマムアクセス米です。国内の農家には減反、減産を押しつけながら、ミニマムアクセス米は減らさず、この20年来、年77万トンを輸入し続けています。このことが農家の心をどれだけ折ってきたことか、計り知れません。
77万トンを1トン当たり10万円で買い、加工業者に卸すときは2万円から3万円。差額約300億円の穴埋めは国民の税金ですと言ってきましたが、農民連新聞の報道には、2022年度のミニマムアクセス米の財政負担は674億円に上りましたとありました。どちらにしても大変な金額です。これを続けている。
国民への税負担はもとより、コメの生産と農家経営にも打撃となり、生産基盤の弱体化をこの面でも国は加速させてきたのです。このことは責任重大です。
今、安全保障が言われますが、農業を守り成長を図ることは安全保障の根幹です。命を支える食料や農業こそ予算の拡充が必要です。まずは、減反政策の間違いを認めること。その上で、農家応援のため、所得補償、価格保証、基盤整備に予算づけをし、増産へ転ずる施策をどう進めるかです。国が進める大規模化スマート農業は、中山間地が多い長野県では限界があるのではないでしょうか。今以上の規模拡大は無理ではないかと思われます。
したがって、今踏ん張っている専業農家を、中小規模・兼業農家を大事にする。県独自も含め、支援策を抜本的に強化する。そうしなければ、新規就農者はおろか、逆に離農が加速し、後継ぎがなく、5年10年後は増産どころか現状維持を危うくなるのが、農業の、農家の現在の状況です。
駒ヶ根市の専業農家の青年から、誇りを持って米をつくり続けたいと訴えられました。米が余ることばかり心配している農政ではなく、農家が安心して作付できる農政。近年の自然環境の激変に対応するために、備蓄米を以前のように200万トンにすることも重要と考えます。
県民が望んでいるのは、米をつくっていただいている農家の所得を補償しながらも、主食として米を毎日安全に食することができ、安心して買える価格にしてほしいということではないでしょうか。
今定例会、米を中心に農業問題を多くの議員が質問されていますが、それらも踏まえ、農業県長野として今後の農業政策の方向性について、知事の見解を伺います。
- 【阿部知事】
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昨今の米の供給不足を契機として、食料の安定供給対策、多くの皆さんが関心を持ち、大きな課題にもなっております。そうした中で、本県の農業政策の方向性ということでご質問を頂戴いたしました。
大きな国全体としての政策については、国が踏み込んだ検討をしていただきたいというふうに思いますが、一方で農業県として、またこれは産業としての農業だけではなくて、様々な農地の担っている機能であったり、中山間地の皆さんの暮らしの在り方を考えていく上でも、この農業の在り方ということについては、県としても主体的に検討していくということが必要だというふうに考えております。
昨日も申し上げたとおり、地域計画を集計をしてきております。10年後の担い手が明確になっていない農地面積が農用地等面積の4割弱ということで、非常に担い手が足りなくなる、このままではどなたも耕作しない農地がたくさん増えてしまうということが、今のままだともう明らかであります。
そういう意味では、やはり昨日も共田議員のご質問にもご答弁申し上げたとおり、農業の在り方を根本から見直して抜本的な対策を講じていかなければいけないというふうに考えております。
そういう意味で、県としては地域計画、一定の取りまとめをしておりますが、より詳細な分析をまず行っていきたいというふうに思っております。その上で、こうした地域計画を具現化していく、あるいは、担い手がいない農地をどうしていくのかといったようなことも含めて、県としての戦略を考えていかなければいけないというふうに思っております。
多くの皆様方がこの農業に対して関心を持っています。これは生産者のみならず消費者、そして日本全体の未来の安全・安心のためにも、今こそ、この農業の在り方をしっかり考えていきたいというふうに思っております。
以上です。
- 【両角友成議員】
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答弁をいただきました。国の動きは心配です。ころころ変わる農政ではなく、しっかり腰を据えて食料自給率そのものを上げる農政にすべきと申し上げ、次の質問項目に移ります。
発足から25年経過した介護保険制度について
- 【両角友成議員】
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次の質問項目は、発足から25年経過した介護保険制度についてであります。
今年2025年は、団塊の世代が全て後期高齢者になる年です。これから先、介護を必要とする方々が今まで以上に増加することは明らかです。受入れ側の介護保険制度は発足から25年がたち、定着しているかに見えていましたが、ホームヘルパーなど介護人材が不足し、人手不足と経営悪化により、介護事業所の撤退・廃業・倒産が続出しています。
特に、政府は2024年度から訪問介護の基本報酬を削減したことが大きな打撃になりました。
地方では、介護事業所が1か所もない自治体が出てきています。保険料を払っていても、人材事業所がないため介護サービスを受けられないという危機的事態です。
介護の基盤崩壊は現役世代にとっても重大問題です。働く現役世代が介護のために仕事や職場を辞める。介護離職が年間10万人に上るなど、要介護者の家族の負担は重くなっています。
ケアマネが見つからず、介護サービスを受けられない、ヘルパーが不足して介護時間を減らさざるを得ない、入居できる施設がないなど、家族の負担が一層重くなる事態が広がっています。
介護現場からの訴えでは、米の高騰は食事を提供する事業所にとって非常に厳しい。米の等級を下げる。米だけでなく、朝食に提供している焼き魚を鮭から鮫に替えた。管理栄養士からは、1日のカロリー計算で足りているときは、デザートのゼリーを削ろうかしらの提案まである。食事が一番楽しいのに、利用者さんの食事になっていない。
社会福祉施設等価格高騰対策支援金のような支援が今必要だ。全産業平均と介護職員の賃金格差が月8.3万円、昨年の6.9万円より差が広がっている。賃金の低さが介護職員の離職を加速させ、特に若い職員は人生設計が立たずに、介護以外の仕事を選択する。初任給16万円台、60歳で24万円台です。事業所の経営、利用者さんの生活を守るためには、賃上げが早急に必要です。介護に関わる職員の募集をかけても応募がなく、欠員になっても補充が利かず、現場職員は疲弊している。介護の仕事を目指し、働く人が集まるような施策を望みます。
長野県内最大規模、特養10か所運営している松塩筑木曽老人福祉施設組合の50年と歴史のある施設を訪問しました。経営難から組合基金が減少していると、大変厳しい状況が見てとれました。職員の方が、施設は古くても温かい事業所ですと紹介してくれましたが、先行きがとても不安な様子でした。
訴えを続けます。現在の介護保険制度では、報酬単価が上がると利用者さんの負担も上がってしまう。年金も低く抑えられ、負担金が上がると介護サービスの利用控えにつながります。
利用者さんの負担がこれ以上増えないように、国庫負担割合を増やすよう国に要望してください。このように切実な中身です。
私たちは、保険料・利用料の負担増にはね返らせることなく、介護職員の処遇改善、介護報酬の増額、介護事業の継続支援などを行うため、介護保険の国庫負担を10%増やして35%とし、国の支出を1.3兆円増やすことを提案しています。まずは、この方向しかないと考えます。
県としても、国に対し国庫負担増の必要性を強く働きかけていただきたいが、いかがか。健康福祉部長に見解を伺います。
- 【笹渕健康福祉部長】
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私にお尋ねがございました。
介護職員の処遇改善や事業の継続支援のための国庫負担拡充についてでございます。
地域にとって必要な介護サービスを維持していくためには、介護人材の確保定着に資する職員の賃金の引上げなどの処遇改善をはじめとした介護保険制度の充実が不可欠であると考えております。
介護保険制度が介護需要の増加に対応しつつ、将来にわたり安定したものとなるためには、適切な介護報酬の設定や、保険料と国と地方の負担の在り方を含めた国庫負担の拡充など、必要な制度の改善が重要と考えており、これまでも国に対して要望を行ってきたところでございます。
介護保険制度が持続可能なものとなり、高齢者が必要なサービスを利用できるよう、今後も引き続き、国においてしっかり対応していただくよう求めてまいります。
- 【両角友成議員】
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昨年県は、独自に県内約500の介護事業所を対象に訪問介護の実態調査を行い、結果を公表しています。この結果を踏まえ、県は訪問介護事業所が安定した運営が行えるよう、今後どのように取り組んでいくのか。健康福祉部長に伺います。
- 【笹渕健康福祉部長】
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県の実態調査を踏まえた訪問介護事業所に対する取組についてでございます。
昨年度行われた介護報酬改定において、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことを踏まえ実態調査を行ったところ、中山間地域へサービス提供を行う事業所において、より厳しい運営状況にあることを把握したところです。県では、この調査結果を踏まえ、介護報酬改定の評価は全国一律ではなく地域の実情に応じた評価を行うよう、昨年度に引き続き今年度においても強く国に要望しているところであり、先月には、全国知事会においても、介護報酬の見直し等の要望が行われたところです。
国においては、次期報酬改定に向けて、全国を中山間・人口減少地域、大都市部、一般市等の三つに分類した検討が行われているところであり、こうした国の動向を注視しつつ、引き続き必要な要望を行ってまいります。
そして、県の支援といたしましては、介護職員等の一時金などによる人件費の改善や介護助手を募集する取組などへの支援、処遇改善加算の新規取得等に向けたアドバイザー派遣のほか、今年度新たに、訪問介護事業所における担い手確保に向けたヘルパー同行支援や経営改善支援などを行っており、こうした支援を通して、地域における訪問介護事業所がサービスを維持継続できるよう、今後も取り組んでまいります。
- 【両角友成議員】
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地域医療介護総合確保基金、このうち介護分を活用した事業の推進状況について伺い、併せて訪問介護サービスの支援として、ガソリン代補助制度の創設や介護を志す学生が通う養成校への経営支援など、県独自の支援策を提案するがいかがか。健康福祉部長に見解を伺います。
- 【笹渕健康福祉部長】
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地域医療介護総合確保基金及び県独自の支援策の提案についてでございます。
県では、高齢者プランに基づき介護分の基金を活用し、グループホーム等の施設整備や、新規入職者と事業所とのマッチング、資格取得の支援、介護職による小中高生向けの訪問講座や介護の職場体験のほか、住居借り上げなど外国人材受け入れ事業所への支援など総合的に推進しているところでございます。
ガソリン代への支援については、現在、価格高騰対策支援金で支援をさせていただいておりますが、訪問介護事業所が安定した運営を行うには、まずは公定価格を定める国において、物価高騰や全産業の平均賃金、地域の実情等を踏まえた介護報酬の適時適切な見直し等が行われることが必要と考えており、引き続き国へ強く要望してまいります。
また、介護福祉士養成校の卒業生は、職場でリーダー的な役割となることが期待されており、県では、養成校が行う学生募集に係る経費等への支援事業に、今年度、留学生の試験対策費等を追加したほか、留学生向け奨学金への支援についても、生活費等を拡充するなど、支援の強化に取り組んでいるところです。
今後も基金等最大限に活用し、介護職を志す方など介護人材の確保に向け、介護職場のPRや学生確保の支援などに取り組むとともに、介護事業所の運営状況や国の検討状況を踏まえながら、施策の推進や国への要望など必要な対応を行ってまいります。
以上でございます。
- 【両角友成議員】
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答弁をいただきました。続きは常任委員会の場に移したいと思います。
ある県内医療機関からの訴えです。ただでさえ医療機関の少ない地域で、病院が、医院がなくなったら、地域の住民の健康を支えることはできない。医療機関の経営は、その地域住民の命に直結することを、もっと真剣に、深刻に考えていただきたい。介護事業も全く同じことが言えるのではないでしょうか。もっと真剣に、深刻に取り組みましょうと申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。