2025年6月定例会 毛利栄子議員一般質問
ふるさと納税について
- 【毛利栄子議員】
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ふるさと納税につきまして、知事並びに総務部長、企画振興部長に伺います。
ふるさと納税は、寄付を通じて出身地や自分の好きな地域を応援するというのがそもそもの趣旨で、2008年から始まりましたが、住んでいる自治体以外に寄付をすると税金の還付や控除が受けられ、返礼品も受けることができる制度です。全国では、当初81億円だったものが、2023年には1兆1,175億円と137倍に膨れ上がっています。長野県でも当初500万円余だったものが、2023年には10億8,900万円へと218倍になっています。
この間、自治体間の寄付金獲得競争が過熱化し、豪華な返礼品がネットショッピングのようだと問題になり、総務省は、返礼品は地元産にし、上限が寄付額の3割、送料はポータルサイト委託費、広告費、事務委託費などを含めて合わせても5割以下にするよう見直しを進めてきました。
このような中で、須坂市の産地偽装が発覚しました。この問題は偽装にとどまらない問題に発展し、寄付の募集停止に伴い、当初予算の減額補正を迫られ、当て込んだ事業の遂行が困難になったり、シャインマスカットの生産農家は、ブランド力への影響や出荷先が途絶えることで、収入にも影響が及ぶと指摘されています。
総務省は、過日、須坂市をふるさと納税制度から除外すると発表し、今後2年間は県下1の30億円を超える寄付は受けられなくなり、予算の1割以上を占める税収が入らなくなったことで、市政運営にも多大な影響が及ぶことが懸念されているところです。
県の調査によって県下の6市町村でも不適切な扱いがされていたと報道されており、追加で複数自治体が不適切な扱いがあったと自主的に公表されたところです。
そこで総務部長にお聞きします。
ふるさと納税実施から17年が経過しました。この間様々な改正が行われていたと承知していますが、令和5年度の長野県への寄付の総額と、返礼品を含めた経費の総額は幾らになっているでしょうか。 また、長野県民が他県にふるさと納税したことによって減収となった県民税は幾らかについて、総務部長に伺います。
- 【須藤総務部長】
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私に御質問をいただきました。
まず、ふるさと信州寄付金の実績と、県民税の減収額についてでございます。
令和5年度における県の特産品等の返礼品を活用した一般寄付の実績は9億7,125万円余となり、返礼品なしの寄付募集サイト「ガチなが」での受付分、1億1,846万円余と合わせて10億円を超えております。寄付をいただいた皆様に感謝を申し上げます。
寄付募集にかかる経費は、返礼品の調達、送付、ふるさと納税サイトへの業務委託料等総額で約5億円を要しております。加えて令和5年中に長野県民が他県等にふるさと納税を行ったことによる県民税の減収額は27億2,000万円余となっており、この数値は返礼品競争の加熱に伴い年々増加しております。
減収額の75%は交付税措置がなされておりますが、実質的な収支はマイナスになっていることから、引き続き効率的、効果的な寄付募集方法を検討してまいります。
- 【毛利栄子議員】
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77市町村の直近の収支の現状はどうなっていますか。市町村の課題をどう把握しているか。どのような支援をしているかについて、企画振興部長に伺います。
- 【中村企画振興部長】
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私には、県内市町村のふるさと納税の収支状況と抱える課題への支援について御質問いただきました。
県内77市町村のふるさと納税の令和5年度における収支状況は、寄付受入れ額が253億918万円余、返礼品の費用や手数料等の経費が120億3,612万円余、令和5年中に、当該団体から他団体に寄付をした者に係る税額控除額の推計値が40億7,146万円余、差し引き92億160万円余のプラスとなっております。
課題でございますが、本県では小規模市町村も多いわけですが、こうした団体では職員数も少ないことから、ふるさと納税担当に割ける人数も少なく、人材のローテーションがうまくいかなかったり、専門性のある職員が育ちにくいといった課題があると認識しております。
こうした課題について、県としては、これまでも市町村からの制度運用に関する相談に丁寧に応じてまいりましたが、今後も制度の基本的な内容や、毎年度の制度改正の内容を、あらゆる機会を捉えて市町村に周知することで、各市町村が自主的、自律的にふるさと納税制度を運営していくことができるよう支援してまいります。
以上です。
- 【毛利栄子議員】
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長野県の特産物を全国にアピールする利点があるとはいえ、過度な返礼品競争に加担するのではなく、長野県が令和5年から実施している返礼品のないふるさと納税、「ガチなが」など、本当に応援したい人から寄付をしてもらう本来の在り方を積極的に発信し、県の思いや目的に賛同する寄付者を募ることをもっと追求すべきと考えますが、いかがか。総務部長に伺います。
- 【須藤総務部長】
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県が実施する返礼品なしの「ガチなが」の積極的な発信についてでございます。
ふるさと納税につきましては、返礼品により寄付先を選ぶ傾向が顕著となってきており、いわゆる返礼品競争が年々過熱していると認識しております。このような状況下で、集客力のある大手仲介サイトへの委託料や、返礼品代等の経費が大きくなることにより、自治体が住民サービスに充てるための金額が減少していることを課題と捉え、本県では、返礼品に頼らない施策の応援や共感による寄付の募集を行い、寄付者からもアイデアをいただくなど、共創により事業を推進するため、全国初の県直営共創型ふるさと納税受付サイト「ガチなが」を令和5年4月に開設したところでございます。
具体的には、高校生の海外留学支援や県内の学生を応援する奨学金、山小屋の応援事業など様々なプロジェクトで寄付募集を行い、開設から2年で累計2億円を超える寄付をいただいております。大変ありがたく感じております。
引き続き多くの皆様に一層応援していただけるよう、魅力ある募集事業の発掘、銀座NAGANOを活用した広報活動や県人会を通じた呼びかけなどの県外へ向けたPRの強化にも全庁挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
- 【毛利栄子議員】
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ふるさと納税制度は高額納税者ほど優遇され、返礼品を手段とした熾烈な税源の奪い合いになって、自治体間競争を煽り、民間業者に相当額の手数料が支払われ、自治体によっては寄付額より返礼品や手数料、税控除の方が大きくなり赤字になっているところもあります。
また、特産品と言えるものがない自治体もあり、首長さんによっては困っている現状もあり、自治体間格差が広がる傾向にあります。制度にひずみが生じていると思いますが、知事の見解を伺います。
- 【阿部知事】
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私にはふるさと納税に関連して御質問を頂戴いたしました。
まず、制度にひずみが生じていると考えるかどうかという御質問でございます。
ふるさと納税制度の趣旨は、生まれ育ったふるさとや応援したい自治体に寄付するという形で貢献することを可能にするものであります。
しかしながら現状を見ますと、御質問にあったように過度な返礼品競争が自治体間で行われているということ、あるいは仲介サイトへの委託料等の経費がかさんでいるといったようなことなど、課題があるというふうに考えております。返礼品については地場産品のPRや地域経済の活性化にもつながる側面もあるので、そのこと自体は否定するものではありませんが、あまりにも過度な競争は、本来の制度の趣旨から乖離してしまうのではないかというふうにも思っております。
そのため本県では、返礼品に頼らず県の政策への共感や応援により寄付を募る県直営の共創型ふるさと納税受付サイト「ガチなが」を通じて多くの皆様に応援をいただき、魅力ある事業に取り組ませていただいているところでございます。
各自治体においても、ふるさと納税制度の本来の趣旨を十分に考慮し、真に地域活性化に結びつく活用方法を自らが工夫していくという姿勢も必要ではないかと考えております。
- 【毛利栄子議員】
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そもそも住民税は、居住自治体のサービスに対して、税負担するという応益課税の原則があり、ふるさと納税はその原則からも外れています。また返礼品と認定してもらうにも地元産の割合などハードルが高く、工業製品などはほとんど返礼品に認定されない状況もあり、苦慮している自治体も少なくありません。
自治体が競い合い疲弊し、税収の不安定化に振り回されるのではなく、廃止を含めた抜本的な在り方を国に求めるべきではないでしょうか、知事の見解を伺います。
- 【阿部知事】
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抜本的な見直しを国に求める必要があると考えるかどうかという御質問でございます。
国においても、返礼品競争の激化など、制度の課題が顕在化してきたことを受けて、仲介サイトによる寄付募集の適正化を図るために、仲介サイトにおけるポイント付与の禁止や、返礼品を過度に強調した広告等の規制など、順次改正・改善を行ってきているものというふうに受け止めております。
また、本県からも国に対しては、過度な返礼品競争が是正されるよう、寄付額に対する返礼品割合の引下げや、高所得者優遇となっている現状を是正するため、特例控除限度額の設定など、随時提案、要望を行ってきたところでございます。
今後とも、生まれ育ったふるさとや応援したい自治体に貢献するという本来の趣旨が実現され、よりよい制度となるよう引き続き国に対して必要な改善を求めてまいります。
以上です。
- 【毛利栄子議員】
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ふるさと納税は、何かことが起こるたびにさらにハードルを上げて、市町村の担当者は毎年毎年たくさんの手を取られ辟易しているというのが現状です。それだけ手間暇かけて苦労しても、収支の差し引きがマイナスの自治体が10自治体ぐらいあるということは承知しておりますし、県もマイナスだということであります。
寄付の上限を決めるなり、返礼品を止めにするなり、知事にはゆがんだ制度を改めるよう国にしっかり物を言っていただくようお願いします。
生理用品の県立学校への設置について
- 【毛利栄子議員】
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生理用品の県立学校への設置について教育長に伺います。
コロナ禍の下で生理の貧困が顕在化し、金銭的な理由で生理用品を入手できなかったことなどが問題視され、災害用備蓄品の活用や民間からの寄付、女性活躍推進交付金を活用しての配布や、トイレへの設置などが行われてきました。現在は困難を抱える女性ばかりではなく、急な対応が必要になった場合の活用などにも対応が進んできました。
内閣府の2024年10月1日時点での第5回調査によれば、生理の貧困に対する取組を実施しているのは、926自治体、15の都道府県では、公立高校のトイレに設置、295の区市町村では小中学校トイレに設置。121の自治体では庁舎トイレに設置と格段に取組が広がっています。
県立学校への対応では、令和3年、令和5年と、党県議団は、保健室において申し出れば渡すのではなく、気軽に使えるようトイレに置いてほしいと重ねて求めてまいりました。教育委員会は、教育的配慮から保健室で養護教諭と言葉を交わす中で提供する仕組みにしているとのことでした。また、返却も求める場合があるとのことでもありました。
今トイレにトイレットペーパーがあると同じように、生理用品もトイレに設置するという流れが広がっていますが、県教委は今も従来と同じ対応をしているのでしょうか。またその理由は何でしょうか。子どもたちの声を聞いていただいているのでしょうか、伺います。
- 【武田教育長】
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生理用品の県立学校への設置について御質問いただきました。
まず、県立学校における生理用品の提供方法についてでございますが、これまで県立学校における生理用品の提供については、経済的な問題で困難を抱え、支援を要する生理の貧困に直面している生徒からの相談に応じる教育的配慮から、主に養護教諭を介した提供を実施してきたところでございます。
生理用品の入手が困難となる背景には、生理の貧困だけでなくネグレクトなどの家庭内の様々な問題が絡んでいる可能性が考えられ、こうした問題に教職員が早期に気づくことが重要であることとともに、生徒自身が自らSOSを発信する力を身につけること、生理周期など自分の体を理解し気を配る力を養うことも大切であると考え、養護教諭が生徒の様子を観察しながら提供してまいりました。
一方、保健室には申し出にくいという生徒の声もあり、従前の保健室での対応に加え、職員室や、女性教員が常駐する研究室・相談室などにも提供場所を広げることで、以前よりも生徒が生理用品を手に入れやすい環境を整えてきているところでございます。
- 【毛利栄子議員】
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学校にいる間に急に生理が来て下着を汚してしまいどうしていいか分からなかった。友達が急に生理になると、自分がいざというときに持っているナプキンをあげてしまい、常に補充しなければならず負担が重い。保健室にもらいに行こうとしても保健室は常に生徒でいっぱい。深刻な話も聞こえてきてとてもではないがナプキンをもらえる状況ではないなど、子どもや保護者から様々な声が寄せられています。
物価高騰の中で、引き続き生理用品を買えない問題も課題となっています。女性が一生の間に使う生理用品は200万円にもなるとの調査もあります。女性だけに負担を強いられるのはジェンダー平等の観点からも不公平であること。替えがなく交換できずに長時間使用することは不衛生であり、また代用品で健康面からも問題があること。わざわざポーチを持ってトイレには行きにくいことなど、せめて県立学校の女子トイレに生理用品を設置していただきたいが、いかがでしょうか。
- 【武田教育長】
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県立学校のトイレに生理用品を設置することについてでございます。
一部の県立学校において、校内の女子トイレに生理用品を設置しているものと承知をしております。一方、県内のある高校において、生徒会の保健委員会で、生理用品のトイレへの設置について議論が行われたところ、生理用品は各自で準備するものという意見があったほか、女子トイレに置くことについて衛生面や安全面で不安を持つ生徒もおり、現在の保健師や女性教員のいる研究室・相談室などで対面により提供を受ける方法が望ましいとの声があったと聞いているところでございます。
また各校では、トイレや保健室の休養空間に生理用品の設置場所を含めた、「どんなことでも健康相談してみよう」という案内を掲示し、生理に関する不安も含め、気軽に相談できる体制を構築し、対応しているところでございます。
学校における生理用品の提供方法につきましては、学校ごとに実情も異なることから、引き続き生徒の意見も聞きながら、よりよい方策を考えてまいりたいと思います。
以上でございます。
- 【毛利栄子議員】
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教育委員会からの御答弁なんですけれども、ちょっと時間が止まったような御答弁で本当に残念です。休み時間が短いのに、あちらの研究室に行ったりこちらに行ったりということは非常に不可能だと思います。ぜひ、実態に合った対応をしていただきたいことをお願いしておきます。
知事の政治資金について
- 【毛利栄子議員】
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知事の政治資金について伺います。
裏金問題を発端とした政治と金の問題を依然として国政の焦点になっており、お金の力で政治がゆがめられていることに国民は怒っています。
過日マスコミが、2022年の知事選挙期間中に県建設業界長野支部の会員企業の代表者など26人から同じ日に合わせて33万円の振り込みがされていたことで、事実上の団体献金ではないかと報道し、個人献金であるのに会社の住所で寄付している人もいると報道しました。
5月9日に記者会見した阿部知事は、自身が代表の資金管理団体信立会が令和4年に受け取った個人献金のうち、住所の記載が不適切だったものがあると明らかにし、県民におわびし、ほかの全ての寄付者も確認した上で、できるだけ速やかに修正したい。会計責任者が県建設業協会特任理事になっていることについては、特定団体との結びつきが強いとの疑念を持たれる可能性も考慮して、第三者を起用する。会員企業が同じ日に献金を申し込んだことについては、複数の寄付を取りまとめて入金手続をしたためだということが報道されております。
そこで知事に伺います。
知事の政治団体は、守一会、明日の長野県づくり推進会議、あべ守一後援会、信立会などがあると思われますが、信立会は資金管理団体として4期目の選挙に臨む6月につくられ、3,500万円余を集めています。従来の政治団体以外に、このタイミングで知事が代表の資金管理団体を設けたのはなぜでしょうか。その理由をお聞かせください。
- 【阿部知事】
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私の代表を務める政治団体に関して記載誤りがあったことに関連して一連の御質問を頂戴いたしました。
まず、私としては常に公明正大、県民の皆様方からの信頼を失うことのないように誠実に仕事も政治活動も行ってきているところでございます。今回住所の誤記載ということから、様々今の疑惑だというようなことをどんどん御指摘されているわけでありますけれども、決してそんなことはないということを、まずは申し上げておきたいというふうに思います。
まず、御質問いただきました新たに資金管理団体をつくった理由でございますが、この信立会につきましては、私の政治活動を支援することにより、長野県の発展と県民の生活の向上を図り、併せて会員相互の親睦を深めるということを目的に掲げて2022年に設立をしたものでございます。当時私の資金管理団体はございませんでしたので、自らの資金を拠出する、寄付をすることを念頭に設立をさせていただいたところでございます。
- 【毛利栄子議員】
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5月22日、選管への修正届け出では54件が訂正されています。そのうち長野支部は26件中25件が会社住所でした。ほとんどの寄付者が企業の住所で行っているということは、単なる不理解、不徹底やミスというにはあまりに不自然であり、説明不足で県民を納得させることができないのではないでしょうか。
寄付日が同じ7月25日であることと併せて考えると、事実上の団体献金と取られかねないとの指摘もある中で、県民が納得できる知事の説明を求めたいが、いかがでしょうか。
- 【阿部知事】
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事実上の団体献金と取られかねないとの指摘がある中で、県民が納得できる説明を求めると。このことにつきましては、知事会見の場においても丁寧に御説明をさせてきていただいたところでありますが、ここでも改めて御説明を申し上げたいと思います。
まず、御指摘のあった方々については、全ての方から個人名で寄付申込書を頂戴をいたしております。また、それに加えて全ての方が確定申告で、もちろん個人の確定申告で寄付金控除を受けるための書類を御希望されていますので、そのための書類を発行させていただいております。
また、寄付日が同一であった点については、どなたかが寄付を預かって信立会に持参され、それをまとめて入金されたものと、入金処理したものというふうに聞いており、問題はないというふうに考えております。
以上のことから、頂いた御寄付はあくまでも個人による寄付であり、適法なものというふうに認識をしております。
- 【毛利栄子議員】
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南佐久支部20件、佐久支部10件、上小支部18件、伊那支部11件、大北支部13件、飯山市部11件など、それぞれ同日付で2桁台の件数がまとめて処理されているというのは長野支部以外にもありますが、これらの経緯についても知事の説明を求めたいと思います。また、あっせんはなかったのかについても見解を伺います。
- 【阿部知事】
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長野支部以外でも同日付けでまとめて処理されている経緯とあっせんの有無についてという御質問でございます。
信立会からは、各方面に対して御寄付をお願いをしているところでございます。個別の寄付についての詳細な経緯は承知をしておりませんが、先ほど申し上げたように、同日付の寄付については、知人同士で持ち寄っていただいたものなどではないかというふうに考えております。
- 【毛利栄子議員】
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個人寄付とされている寄付の75%は協会に加入されている方々であり、寄付したのはほとんど企業の代表者名になっていることや、少なくない企業が県の公共工事も受注していることなどを考えると、特定の団体との結びつきを疑われたり、公正公平な県政運営がゆがめられるではないかとの県民の疑念が上がるのも無理からぬことではないでしょうか。疑念払拭のためにも知事の説明責任を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
- 【阿部知事】
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特定団体との結びつき、県政の公正公平な運営がゆがめられるのではないかという疑念があるが説明責任を求めたいという御質問であります。
まずは、私としては冒頭申し上げたように常に一党一派に偏らず公平公正な県政を進めてきております。まずは収支報告書、今回冒頭申し上げたように、今回の問題は住所の記載が誤っていたと。この個人の寄付でもあるにかかわらず個人ではなかったと、ここは総務省とか選挙管理委員会の解釈も必ず明確ではないわけでありますが、少なくとも私どもとしては、個人の寄付については個人の住所を記載していくことが適切だというふうに判断をさせていただいた上で、確認を逐一行わせていただいた上で必要な訂正を行わせていただいたところでございます。また、先ほど申し上げたように、企業団体からの寄付には該当しないということについて、先ほど申し上げたとおりでございます。
いずれにしても、政治資金規正法に違反する寄付を受け取っているわけではないということはこれまで御説明したとおりでございます。
また、御質問の中では具体的な数字と団体名を挙げて御質問いただきましたが、これは独自にお調べになられたのかもしれませんが、収支報告書上はそうしたことは明確ではないというふうに思っております。なかなかそのことについて確認することは、通常困難ではないかというふうに私は思っております。
いずれにいたしましても、これまで県民の皆様方との信頼関係を大切に、その御期待に応えるべく、常に公正を旨として、全力で県政に取り組んでまいりました。今後とも、その姿勢を堅持して県政運営を行っていきたいというふうに思っております。
- 【毛利栄子議員】
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知事は2月議会で山口議員の政治と金の問題に関わって、企業・団体献金が財力で政治をゆがめ、政治への信頼を失墜させている。企業・団体献金の全面禁止こそ必要だという質問に対し、賛否両論があるとして、幅広い視点から国民的議論が行われることを期待したいと答弁をされ、企業・団体献金の禁止については明言されませんでした。
信毎の調査結果によりますと、企業・団体献金は廃止すべきが57%、廃止する必要がないが14%で、廃止が大きく上回りました。ここにこそ、県民の思いが込められていると思います。これらの結果も踏まえ、再度企業・団体献金禁止への見解を伺います。
- 【阿部知事】
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企業・団体献金禁止についての見解という御質問でございます。
私も一政治家の立場と、それから知事という公の立場と両方を持っているわけでありますが、個人的な思いを申し上げれば、やはり最初の選挙のときから私としてはお一人お一人の県民の皆様方に支えていただくと、本当に最初の選挙のときは、大きな団体の皆さんは御支援いただけなかったということもあり、その初心は常に決して忘れておりません。やはりお一人お一人の県民の皆様方からお支えいただく、支援いただくということが、何よりも心強く重要なことだというふうに考えております。
そうしたことから、個人の皆様方からの支援、支えということが、政治においてはやはり中心になっていくことが望ましいというふうに思っております。ただ一方で、この企業・団体献金、今御質問にありましたが、私、県知事の立場では、これは現行制度上受けられないと、政党及び政治資金団体に対してのみ行うことができるというふうになっておりますので、現実に政党であったり、政治資金団体でどれぐらいのウエートがあり、どう機能しているのか、率直に言って分からないところもございます。
この政治資金の在り方、これはまさにこれからの民主主義をどうしていくかという大変重要な課題だというふうに思います。企業・団体献金の在り方については、単に企業・団体献金を単体で取り上げて、是非を論じるのではなく、個人の寄付、企業寄付など様々な形態の寄付と、その一方で、政党助成金があるわけでありますので、そうした中で政党や政治家の活動経費はどういう形で賄われるべきなのか、幅広い観点での国民的議論が必要だというふうに考えております。
以上です。
- 【毛利栄子議員】
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再び知事に質問をいたします。
全国ニュースにもなった今回の件で、今もお話ありましたけれども、政治資金規正法は、公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われ、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与すると目的を明示し、資金管理団体も、その他の政治団体も、企業・団体献金は禁止されております。先ほど御答弁ありましたように、政党や政党の支部に対してはできるということになっているところに、今、問題があると思われます。
知事の考え方も一部の御紹介、披れきがありましたけれども、県民から疑惑を抱かれない対応するために、自身の政治資金の在り方について、今後どのように取り組んでいくおつもりなのかを伺わせていただきたいと思います。
- 【阿部知事】
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お答え申し上げます。自身の政治資金をこれからどうしていくのかという御質問でございます。
先ほど申し上げましたとおり、今回の問題は住所の記載誤りということで訂正をさせていただいたところであります。
しかしながら、やはり御指摘のとおりこの政治資金の透明性、あるいは正確性の確保、そしてやはり政治家としては疑念を持たれることがないようにしていくということは、御指摘のとおり大変重要だというふうに私も思っております。
そのため、これから私のこの信立会、これから個人寄付をお願いする際には、その際やはり御自宅の住所を記載していくということを一層注意喚起をしていきたいと思います。これは、寄付をいただく方が誤って住所を記載されますと、我々のほうでは率直に言って確かめるすべがほとんどないと、個人情報でありますので、そういう意味ではそこはしっかりお願いをしていきたいと思っております。
加えてこれから個人ではお振り込みをいただくと、お金で持ってきていただくというようなことではなくて、やはり振り込んでいただくということを基本としていきたいというふうに考えております。
加えて会そのものについても、やはり体制を整備してまいりたいと思います。法令を熟知した人間にも加わっていただいて、極力第三者的立場のメンバーで構成をして、県民の皆様方から疑惑を持たれることがないように、私としてもしっかりと襟を正して対応していきたいと考えております。
以上です。
- 【毛利栄子議員】
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先ほどの御答弁の中で支部ぐるみまとめて寄付を納入しているということについて、知人同士で持ち寄ったものというような御説明ありましたけれども、逆に、例えば、信立会の収支報告書を見ていて、県建設業協会の支部は15あるんですけれども、一人も寄付していない支部が1支部ありました。そのことが余計に、例えば他のところがまとめてきているのはなぜかというふうにやはり疑念を抱かざるを得ません。
知事の答弁をお聞きしておりまして、今日のやり取りを聞いた県民が納得してくれるかどうかというところも、疑問に思うところでございます。
機会を捉えまして、また議論させていただきたいと思いますので、そのことを申し上げまして、本日の質問を終わります。