日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2025年9月定例会 藤岡義英議員一般質問

  1. 多文化共生社会について
  2. 性的マイノリティの人々の権利と生活向上について
  3. 食肉施設について

多文化共生社会について

【藤岡義英議員】

 日本共産党県議団の藤岡義英です。よろしくお願いします。
 多文化共生社会について質問いたします。
 全国知事会が青森県で開かれた定例会議で、外国人の受入れと多文化共生社会実現に向けた提言をまとめ、外国人は地方自治体から見れば、日本人と同じ生活者、地域住民であり、育成就労支援での幅広い職種で受入れや日本語教育などに関する予算の確保、基本法の制定を政府に求めています。
 全会一致で採択した青森宣言では、排他主義、排外主義を否定し、民主政治を脅かす不確かで根拠のない情報から国民を守り、国民が正しい情報に基づいて政治に参画できるシステムの構築を求めていくとしています。
 多文化共生社会の実現に向けた重要な提言であり、宣言だと考えます。これらをまとめた背景や目的について、また、排外主義の強まりに対してのご所見を含めて、全国知事会の新会長になられた阿部守一知事にお伺いいたします。

【阿部知事】

 私にご質問を頂戴いたしました。
 外国人政策に関連する全国知事会の提言、あるいは青森宣言の背景、目的、そして排外主義の強まりに対する所見というご質問でございます。
 この知事会としての提言、あるいは青森宣言がまとめられた背景といたしましては、在留外国人が約377万人、外国人労働者が約230万人という過去最高を更新し、これからも増加をしていくということが見込まれる中で、平成元年の入管法改正以降、日本語教育、生活支援、子どもの教育などの課題が都道府県や市町村に委ねられ、国の制度的対応が遅れてきたという現実があり、我々知事としては相当な危機感を持っています。
 昨日も、ほぼ丸投げというような言い方をさせていただきましたけれども、いろいろな課題も出てきています。どうしても国の取組を見ていると、やはり外国人の皆さん生活者としてそのものを受け入れるという観点が弱いのではないかなというふうに思います。どうしても労働者として見ている側面が強いのではないかというふうに思います。
 一方我々都道府県市町村は、そこに暮らしている外国人の皆さんは、やはり日本人と同様に生活者であり地域住民であるというふうに受け止めています。そこの意識格差があるのではないかなというふうに思います。
 また、そうした中でこうした外国人の皆さんの高齢化であったり、あるいは第2、第3世代の教育、さらには家族を連れていらっしゃる方に関連しての課題など、新たな問題も顕在化しつつあるわけであります。こうした課題は、もう全国的な課題となっているわけであります。
 そうした中、この提言につきましては、やはり国が責任を持って外国人政策に取り組んでもらいたいという強い思いがございます。
 いろいろな提言していますが、特に大きなテーマとしては、やはり国においては、新たな外国人の受入れに関する基本戦略を取りまとめてもらいたいと。また多文化共生施策、これは都道府県とか市町村に何とか頑張ってねということだけじゃなくて、やはり国としてしっかり取り組んでいくという姿勢も示していただく上でも、やはり基本法の制定、それから司令塔となる組織の設置、こうしたものを求めているところでございます。
 国としての明確な方針がないまま外国人の受入れ拡大が続いていくという形になると、諸外国の移民政策の失敗が繰り返されかねないというふうに思っています。そのことが、結果として、長野県あるいは日本に暮らす外国人の皆さん方にとっても居心地が悪い社会になってしまうわけでありますし、また排外主義が助長されるということにもつながりかねません。こうした社会の深刻な分断を招くことがないようにしていくということが必要だというふうに思っております。
 そういう意味では、今こそ、やはりデータ、エビデンスに基づいた冷静な国民的議論と、国においてしっかりとした明確な戦略を確立していくということが不可欠だと考えております。

【藤岡義英議員】

 長野県は、多文化共生推進本部を設置し、課題を整理した上で、重点施策を検討するとしています。そこで、幾つか課題について質問いたします。
 佐久市在住の外国人と日本人の両親の下で育った方からご意見をいただく機会がありました。
子どもの頃は、周りから物珍しそうにじろじろ見られていたが、だんだん佐久平近辺にも外国人移住者が増えて、お互いが違って当たり前という地域になり過ごしやすくなったと思っていた。
 でも最近、風向きが変わったと感じている。知らない男性ににらまれることがあると不安な思いを語っていただきました。
 参院選では、一部に外国人排斥の動きが見られ、選挙後も排外主義の強まりが続いています。県では、外国人県民の不安の声をどのように把握し、対応されていますか。生活相談を一元的に受け付ける長野県多文化共生相談センターの役割も含めてご所見を伺います。

【直江県民文化部長】

 私にご質問を頂戴しております。お答え申し上げます。
 まずは、外国人県民の不安の把握と対応、多文化共生相談センターの役割につきましてご質問を頂戴しました。
 長野県多文化共生相談センターは、生活全般に関する相談を一元的に受け付ける窓口として、外国人県民の不安や困り事を受け止める役割を果たしております。相談内容に応じまして、出入国在留管理庁、社会福祉協議会、県の専門相談窓口、法テラスなどの関係機関につなぐ対応を行っております。
 令和6年度にセンターへ寄せられた相談件数は約1,700件あるわけでございますが、現在のところ、排他主義や排外主義を理由といたしました不安に関するご相談は寄せられてないと承知をしております。
 引き続きそうした不安も含めて、センターに寄せられます外国人県民の皆様の声に丁寧に向き合ってまいります。

【藤岡義英議員】

 地域における日本語教室の充実について質問いたします。
 佐久市内で運営されている方からお話をお聞きしました。多くの教室が、日本語教員資格を持たないボランティアが手弁当で支援をしています。負担となっているのがテキスト代、外国人受講生の送迎代や保険の費用です。今年度から、佐久市から上限5万円の助成金を受け取ることができ、使用する会議室も無料になり、とても助かっているとのことです。
 一方で、人口1万人未満で外国人比率の大きい町村ランキングでダントツの全国1位の川上村、比率は33.47%、人口の3分の1が外国人です。第3位は南牧村、21.51%で、人口の5分の1が外国人です。ですが、両村とも日本語教室が確認できません。
 監理団体が直接対応をしているためだとは思うのですが、外国人労働者と一緒に日本語有数の高原野菜の産地を支えている自治体にこそ、日本語教室があればと思った次第です。
 そこで3点目の質問ですが、県は日本語教室を立ち上げる自治体や、民間団体に対し、市町村と連携して支援を強化すべきと考えます。現在は日本語教員資格のある教師がいる教室のみを助成対象としていますが、資格のないボランティアによる教室にも対象を拡大すべきではないでしょうか。
 また、教材費、燃料費、送迎車両の保険料など、最低限の経費も助成対象経費とし、県内全域への拡充を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。

【直江県民文化部長】

 日本語教室の拡充についてでございます。
 県では、地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業によりまして、国の事業も活用しながら、地域の日本語教室に対して運営補助を行っているところでございます。
 本事業においては、生活者としての外国人に対する日本語教育の質を確保するため、一定の資格を持つ日本語教師の配置が必要と考えており、これに伴う人件費や交通費を対象経費として支援をしております。
 本年度から、より柔軟に地域の実情に即して活用いただけるよう補助要件を緩和いたしまして、従来必須としていたコーディネーターの配置を求めず、日本語教師と日本語交流員、または同等の役割を担う支援者が連携して事業を行う形態も対象といたしました。
 また、新たに日本語教室のない地域に居住する方や遠方の方でも教室までの移動を要せず学習できるオンライン日本語教室を実施するよう準備を進めておりまして、利用者の利便性向上と負担感の軽減を図ることとしております。
 県といたしましては、本年度から拡充いたしましたこれらの取組の成果を見極め、利用者のニーズを汲み取りながら、今後の在り方を引き続き検討し、地域の日本語教室の充実を目指してまいります。

【藤岡義英議員】

 日本語教室は、言語習得だけでなく、交流や多文化理解の場としても重要です。
ところが、一部の事業者には、外国人労働者が外部と関わることを避け、日本語教室への参加に消極的な姿勢を示すところもあるとのことでした。
 県は、事業者に外国人の社会参画への理解を求めるとともに、地域の日本語教室を紹介し、参加を促すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

【米沢産業労働部長】

 私には、外国人労働者の関係でご質問いただきました。
 外国人労働者の日本語教室への参加促進についてです。
 外国人労働者への日本語教育については、事業者の責務として、その機会の提供に努めるものとして取り組んでいただいております。県では、外国人労働者を雇用する事業者の要望に応じたオーダーメイド型の日本語学習講座を用意し、企業における日本語教育の取組を支援するほか、日本語教育人材や日本語教育機関を紹介する「しんしゅう日本語教育等人材バンク」を設置し、企業内の日本語教育に活用いただいています。
 外国人労働者が企業外の日本語教室へ参加することは、日本語教育の有効な手段の一つであるとともに、地域住民との交流や文化、風習への理解を深める機会にもなり、地域への愛着を醸成し、地域の担い手になることや、企業への定着にもつながるものとして考えております。
 このため、外国人労働者を雇用する事業者に向けては、地域の日本語教室の情報を提供するとともに、地域の日本語教室への参加を通じた交流の事例を紹介し、事業者が行う日本語教育機会の提供への支援に取り組んでまいります。

【藤岡義英議員】

 外国人労働相談について質問いたします。
 川上村内で、外国人労働者と事業者との間で即日解雇というトラブルが発生したときに、間に入って対応したのが、長野市にある労働組合、LCC長野でした。組合の執行委員に加わっていたベトナム籍の方がSOSをキャッチし、助けることができたそうです。
 20年には小諸市の畑で農作業をしていた外国人労働者の2名が落雷に遭い、死亡した事故も発生いたしました。遺族は、労働保険、遺族補償年金などは申請しないと受け取れない、外国籍の人にとって手続が難しく、助けてくれる窓口が欲しいなどの支援の必要性を訴えています。
 外国人労働者は優遇どころか、職場でのパワハラ、賃金不払いなどトラブルに見舞われている方が少なからずおられます。しかし、いざというときに相談する組織がない、日本語が話せない、身近に相談できる場所がどこにあるか分からないなどの課題があります。
 そこで質問ですが、外国人労働者からの現場の実態を調査し、労働トラブルの実態把握、労働トラブルへの相談窓口の整備、体制強化を進めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

【米沢産業労働部長】

 外国人労働者の相談窓口の整備と体制強化についてです。
 外国人労働者が安心して働くことができる環境整備のためには、安心して外国語で相談できること、相談先が分からない状況を生まないことが重要であると考えております。
 そのため、まずは外国人労働者から相談を、先ほど県民文化部長からも答弁がございました長野県多文化共生相談センターと、労働問題の専門機関である労政事務所が連携して対応し、これを充実するために昨年度から連携強化を図ってきているところでございます。
 加えて、長野労働局や外国人技能実習機構、あるいは監理団体を支援する長野県中小企業団体中央会などとも連携し、現場の状況を把握しながら、現場の実情に即した対応や情報が共有できる体制となるよう充実に努めてまいります。

【藤岡義英議員】

 外国人の存在なくして日本社会は成り立たなくなっています。彼らは私たちの生活基盤を支えています。私たちが敬遠する傾向がある職種に多くの外国人労働者が低賃金で働いているのが実態です。
 最大の問題は、技能実習制度です。外国人に技能を教える国際貢献が建前ですが、実際は人手不足の穴を埋める安上がり労働力の確保が目的となっています。職場移転の自由がなく、最低賃金以下の賃金、パスポート取り上げ、暴力などが頻発し、24年の失跡者は過去最高の9,753人に上りました。育成就労制度に名称は変わりますが、基本は同じだと思います。廃止を含めた見直しを行うべきです。雇用主の変更、移動の自由、在留資格の種類にかかわらず、家族の帯同を認めるなど、受入れ条件を整備することを国に求めていただきたいと思います。
 佐久市中込会館で活動する日本語教室サラダボウルの会は、社会的弱者への奉仕活動を7年以上続けていると評価され、昨年佐久市長表彰を授与されました。御代田町からも、タイ国籍の労働者がタクシー代を会社から支給されて学びに来られていました。こうしたボランティア中心の教室による地道な取組が全県に広がるように、市町村と力を合わせていただきたいと思います。

性的マイノリティの人々の権利と生活向上について

【藤岡義英議員】

 性的マイノリティーの人々の権利と生活向上について質問いたします。
 まず、長野県のパートナーシップ届出制度に関連して質問いたします。性的マイノリティーの方が大切なパートナーと共にその人らしい人生を送ることができるように、生活上の障害を取り除くことを目指すのがこの制度です。県と市町村はこの制度に対応して、法令等の範囲内で行政サービス等を提供し、事業者にも婚姻関係、事実婚関係にある方々と同様のサービスを提供することについて、理解と協力を求めています。ただ、戸籍や住民票の記載は変わらないとしています。
 そうした中で、一部の自治体では、同性パートナーに対し、従来の同居人などから男女の事実婚と同様に、独自に住民票の続柄に夫(未届)、妻(未届)と記載することを可能にしています。当事者からの家族として認められたいという思いに応え、市民の様々な生き方を尊重するためとしています。
 また、災害時に遺族らへ支給する災害弔慰金について、同性パートナーにも支給できるようにする自治体も生まれています。
 同性パートナーへの権利向上が、少しずつですが、全国各地で広がる中で、県としても市町村と協議し、同性パートナーを事実婚と同様に住民票に記載できるような仕組みづくりを進めるよう働きかけを行ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。県民文化部長にお伺いします。

【直江県民文化部長】

 住民票への夫(未届)、妻(未届)といった記載についての性的マイノリティーの方々についてのご質問でございます。
 同性パートナーの住民票に夫(未届)、あるいは妻(未届)との続柄を記載することにつきましては、制度を所管する総務省から、同性パートナーの続柄を、内縁の夫婦、これは事実婚の場合でございますが、この続柄と同一にすることは、実務を担う各種社会保障の窓口で、当該住民票の写しの続柄のみで適用の可否を判断することができなくなり、実務上の支障を来すおそれがあるという見解が出されております。
 同性パートナーのお二人がその関係性を証明する手段として、本県では令和5年8月から長野県パートナーシップ届出制度的運用をしております。現在県内市町村では、この制度により交付いたします届け出受領証を、各種手続の証明書として対応いただいておりますので、ご提案いただきました趣旨を満たす仕組みは整えられているというふうに考えております。
 また令和6年3月に、国の犯罪被害者等給付金について、最高裁判所が同性パートナーの方も支給対象に含めると判断して以降、国では各種手続の関係法令の解釈を見直して、同性パートナーの方も利用できる手続が広がってきております。
 性的マイノリティーの方々の権利と生活向上については、各種制度を所管いたします国において、制度の運用見直しを含め様々な議論がなされているとこでございますので、その状況を注視してまいりたいと思っております。

【藤岡義英議員】

 同性パートナーが被災遺族となった場合、災害弔慰金の支給を可能とする制度を市町村と共に検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。危機管理部長にお伺いいたします。

【渡邉危機管理部長】

 私には同性パートナーへの災害弔慰金の支給についてのお尋ねでございます。
 災害弔慰金につきましては、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づき、一定規模以上の自然災害により亡くなられた住民のご遺族に対しまして、国及び県が補助をし、市町村が災害弔慰金を支給するという仕組みになっております。
 議員ご質問の同性パートナーへの支給につきましては、令和6年3月26日の犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求事件に係る最高裁判決におきまして、婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者に同性パートナーも含まれるとの解釈がされました。
 これを受け、災害弔慰金の法律を所管しております内閣府におきまして、9月30日付で、事実上婚姻関係との同様の事情にあった者の中に同性パートナーを含むと整理する旨のご通知がございました。
 本県といたしましては、今後適切な支給がなされるよう、支給対象の市町村に対しまして周知の徹底を図ってまいりたいと考えております。
 以上です。

【藤岡義英議員】

 トランスジェンダーの医療支援について質問いたします。
 生物学的、社会文化的な性差を踏まえ、多様な性自認、性的指向を持つ人にも安心・安全な医療を提供する必要がありますが、トランスジェンダー特有の診断や治療は県内で受けにくく、県外に通院しているとの声を受けました。県外医療機関との連携など、県内でジェンダー特有の診断や治療が受けられるような対応を検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。健康福祉部長にお伺いいたします。

【笹渕健康福祉部長】

 私には、トランスジェンダーの方々に対する医療提供体制についてのお尋ねでございます。
 県といたしましても、全ての県民の方々が安心・安全な医療を受けられるよう取り組むことが重要だと考えております。性自認に関する診断や治療については、県内では現在、信州大学医学部附属病院をはじめとする一部の医療機関において対応している状況にあり、医療を必要とする当事者や支援者の方々にこのような情報が届いていないことから、県外の専門医療機関に通院するケースもあると認識しております。
 今後は、当事者や支援者などの皆様からのご意見を伺いながら、医療機関や関係部局と連携し、周知啓発も含め、どのような対応が必要か検討してまいります。
 以上でございます。

【藤岡義英議員】

 性的マイノリティーに対する差別への対応について質問します。
 近年公職者による性的マイノリティーへの差別的発言が問題となる中、いわゆるバックラッシュという差別の拡大が懸念されています。
 問題解決のために、県として当事者や当事者団体の声を丁寧に聞き取り適切な対応を図るべきと考えますが、いかがでしょうか。県民文化部長にお伺いいたします。

【直江県民文化部長】

性的マイノリティーへの差別拡大が懸念される中、県の適切な対応についてどうするのだというお尋ねでございます。
 県では、当事者や支援者の意見を伺いながら、令和2年には、性の多様性を尊重するための職員ガイドラインを策定し、県や市町村の職員、教職員、事業者等に理解を広めることに努めてまいりました。
 その後も、当事者の思いを受け止め、令和5年にパートナーシップ届出制度を導入しましたほか、機会を捉えて、性的マイノリティーであることを公表されている方々の講演に職員が出向いたり、懇談の機会を設けたりして直接ご意見を伺っております。
 こうしたことに加え、広く県民や事業者に性の多様性に関する正しい知識の普及を図るために、啓発動画のインターネット配信、企業を対象にした研修会の開催なども行ってまいりました。
 現在進めております長野県人権尊重の社会づくり条例(仮称)の検討においても、当事者の皆様のご意見を伺ってきておりまして、引き続きこうした対応を図りながら、施策を推進してまいります。
 以上でございます。

【藤岡義英議員】

 パートナーシップ制度は25年5月末現在530自治体に達し、総人口のカバー率は92.5%と広がっています。この制度の普及の広がりとともに、同性婚の法制化を求める声が全国的に高まっています。
 全国知事会会長としての立場を生かし、国に対して同性婚の法制化を求めるよう働きかけていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。知事にお伺いいたします。

【阿部知事】

 同性婚について、法制化を知事会長として求めてはどうかというご質問でございます。
 同性婚につきましては、知事会においてはこれまで直接的な議論を行っておりません。私としては、性的マイノリティーの方も安心して暮らせる社会をつくっていくということは大変重要だというふうに思っておりますが、そうしたことに関連して、これまで知事会としては、当事者が、この性的マイノリティーの方々がライフステージにおけるあらゆる場面で抱える生活上の困難や課題について実態把握のための調査を実施して、その解消に向けた取組の実施を求めること。それからご質問にも出ておりますが、パートナーシップ制度の届け出についても、既に半数以上の都府県でそれぞれの地域の実情に応じて導入が進んでいる実態を踏まえて、人権に係る施策として、自治体ごとに取扱いが異なることがないよう社会のニーズを合わせて、国において方針を示すこと、こうしたことを既に要望させていただいているところでございます。
 本県におきましては、令和5年から長野県パートナーシップ届出制度を設けさせていただいて、性的マイノリティーの方の声を受け止めて生きづらさを解消し、生活上の障壁を少しでも取り除こうということで取組を進めさせてきていただいているところでございます。
 昨年から今年にかけて、この司法の場においては、この同性婚、違憲判決が相次いでいるという状況がございます。そういう意味では性的マイノリティーの方々を取り巻く状況は、大分変化をしてきているというふうに受け止めております。
 こうしたことから、まずは長野県としてこうした状況の変化を踏まえて、当事者の皆様方の思いや生じている課題を改めて把握をさせていただき、どのような対応が必要か考えていきたいと考えております。
 以上です。

【藤岡義英議員】

自治体が定めたパートナーシップ制度への登録が8月末時点で全国で1万組を超えました。
自治体初導入から10年、同性カップルによる生活実態があることが示されました。人種、民族、性別、性的指向、障害、社会経済的地位など、マイノリティーと言われる人々たちが暮らしやすいほど、その社会の全ての構成員にとっても暮らしやすい社会になります。
 「こんにちは県議会です」地域住民との意見交換会で、聴覚に障害のある方々との意見交換を行った場でもそのことを実感いたしました。さらなる多文化共生社会への推進、マイノリティーの方々への支援強化を求めまして、次の質問へ移ります。

食肉施設について

【藤岡義英議員】

食肉施設について質問いたします。
県は、令和3年に長野県食肉流通合理化計画を策定し、持続可能な食肉流通体制の構築を目指しています。計画を堅持するため、県内の食肉流通機能をどのように維持し、信州の畜産業をどのように守っていくのでしょうか。

【村山農政部長】

 私には、食肉施設の関係でご質問をいただきました。
 県内の食肉流通機能と畜産業の維持についてでございます。
 県では、食肉流通合理化計画に基づき、これまで中野施設の排水処理施設の整備への支援、松本施設の移転新設への支援を行ってまいりました。
 しかしながら、今回、JAグループにおいて松本食肉施設の移転新設が断念され、新たな食肉流通体制へ移行するという方針が出されたところでございます。今後の食肉流通体制につきましては、JAグループでは中野や県外の施設で屠畜を行い、佐久市の事業拠点に集約して現行の流通販売体制を継続し、県民への県産畜産物の供給とブランドを維持するとしております。
 県といたしましては、まずは松本施設閉鎖の影響を緩和する対策を早期に打ち出し、食肉供給体制の維持を図り、加えまして、規模拡大や生産性向上に資する生産基盤の強化、消費拡大やブランド価値向上に取り組んでいくことで、本県畜産業を守ってまいりたいと考えております。

【藤岡義英議員】

 県外の食肉センターに長距離搬送する場合には、豚などの輸送にさらなる支援が必要と考えます。特に豚はストレスに弱く、高温下での長距離輸送は大きな負担となるため、県外の出荷時には冷房施設を備えた輸送車の導入が必要となるのではないでしょうか。
 県内では5万頭以上の豚が飼養されており、こうした実情を踏まえた支援策の検討を求めますが、いかがでしょうか。農政部長にお伺いいたします。

【村山農政部長】

 輸送体制の整備と支援の強化についてでございます。
 豚の長距離輸送につきましては、積み込みや積み下ろし時の丁寧な取扱い、輸送中の環境を適切に保つこと、食肉施設到着後に十分な休息時間を確保するなどの対策によりまして、品質の低下を防ぐことが可能です。
 現在、JAグループにおいて、出荷先の調整とともに、温度管理ができる大型車両の導入など、安全で効率的な輸送方法について検討されていることから、今後の検討内容を踏まえ支援策を講じてまいります。

【藤岡義英議員】

合理化計画では、県内2施設体制の維持に向けて、老朽施設の補改修を検討するとされています。持続可能な流通体制には2施設の確保が不可欠であり、北信食肉センターは何としても維持するとともに、もう1か所については、関係者と連携し、新たな施設の整備を進めるべきではないでしょうか。
 また、県主導による公設施設の整備も選択肢として検討すべきではないでしょうか。知事にお伺いいたします。

【阿部知事】

 私には、食肉施設に関連して北信食肉センターは維持し、もう一か所、関係者と連携し、あるいは公設で整備を検討してはどうかというご質問でございます。
 中野市に所在する北信食肉センターにつきましては、現在、機能強化に向けて県も支援をして排水処理施設の整備を進めているところでございます。この先10年以上は経営が継続されるものというふうに見込んでおります。
 一方、松本の食肉施設の移転新設については、JAグループの検討でも断念という形になったわけですが、食肉公社等の試算では、行政が施設建設費の全額を支援しても、持続可能な健全経営を行うことが困難だというふうにされておりますし、また現状の処理頭数では経営が成り立たず、施設を小規模化したとしても、建設事業費や運営に係る人件費を大幅に圧縮することは困難ということなどから、県として新たな施設を設置することは難しいと、今の段階でできないというふうに判断をしております。
 今後の対策、取組については、生産者をはじめ関係の皆様方のご意見を十分お伺いをした上で決めていきたいというふうに考えておりますが、まずは、松本食肉施設閉鎖の影響を緩和するための対策を早急に打ち出していくことが、何よりも重要ではないかというふうに考えております。
 こうしたことに加えて、生産規模の拡大や生産性の向上に資する生産基盤の強化、あるいは消費の拡大、ブランド価値の向上、こうしたことにも取り組んで関係の皆様方の取組を県としても応援していきたいと考えております。以上です。

【藤岡義英議員】

 立科町で肉牛を生産している方からお話を聞きました。佐久広域食肉流通センターが廃止されてから、多くの高齢の畜産業者がこれを機にと廃業した。今回もショックだった。これまで頑張ってきたけれど、赤字になればもう続けることはないよねと、生産者同士で話し合っているとのことでした。佐久地域でも諦めに近い動揺が広がっております。
 長野県の畜産が衰退することが絶対ないようにしていきたいと、県農協グループが要望書を提出された際、知事のご発言が報道されました。難しい課題だと思いますが、ぜひ県の主体性をより発揮していただいて、そして蓼科牛も守ってほしいという声が佐久地域にございます。ぜひ対応を強めていただくことを期待し、質問を終わります。

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