2025年11月定例会 両角友成議員一般質問
コメの増産について
- 【両角友成議員】
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おはようございます。日本共産党県議団の両角友成です。私は発言通告に沿って一般質問を行います。
まず初めの質問項目は、米の増産についてであります。
昨年来の米不足、米価高騰が続く中、高市政権は、2026年の主食用米の生産量を25年産748万トンから5%減の711万トンに抑えようとしています。鈴木農水大臣が、10月24日の自民党農業構造転換推進委員会で表明しました。米の増産が求められるにもかかわらず、逆行する事態です。
米不足と価格高騰は、自民党農政が価格と流通を市場任せにし、農家に減産を強いる事実上の減反政策を続け、生産基盤を弱体化させ、毎年需要量ぎりぎりの量に生産量を抑えてきたために起こってしまったことです。
今年8月5日、当時の石破茂首相を議長とする米の安定供給に関する関係閣僚会議は、生産量不足が、米不足、価格高騰につながったことを認め、米の増産に転じる方針を決めました。
しかし、その具体策は、農地の集約や大区画化、スマート農業の推進といった旧来と何ら変わらないもので、増産は当然ですが、中身が従来型で残念でありました。県内農家からは、現状を、自分たちの家の周りの農地が耕作放棄地になったのは、国が減反を押しつけた「つけ」だと思う。無責任な農政が自給率を低下させていることに怒りを覚える。また、一条刈りのバインダーで刈り取り、はぜかけ、あと何年できるだろうか。大変な重労働で、米の大切さを感じます。自分たちの主食、お米を守りたい。こんな声が上がる県内中山間地をどうするのか。長野県にとっては重要な課題です。
高市政権の今回の方針は、石破政権の増産方針を覆し、従来どおりの自民党農政に逆戻りするものです。25年産の新米の店頭価格も5キロで4,000円を超える高止まりが続き、家計を圧迫する中、減産すれば、来年以降も価格の高止まりを招く恐れがあります。 鈴木農水相は、石破前首相が5月に米の店頭価格を3,000円台でなければならないとした発言についても、10月27日の民放番組で、首相が発言すべきでないと批判しています。農水省の生え抜きと自称する大臣ですが、米価高騰による国民の苦しみを顧みないものです。
また鈴木農水相は、減産は需要に応じた生産量にするためと述べていますが、コメ不足と価格高騰を引き起こさないためには、余裕を持った生産が必要です。備蓄米も民間在庫とか言い出しましたが、国が安全とされる200万トンに増やすなど、そのためには、農水予算を抜本的に増額し、以前からの繰り返しになりますが、価格保障と農家が安心して増産できるための所得補償が必要です。
現在政府備蓄米は30万トン程度とのことです。25年度産主食米は農家の努力により増産となりましたが、飼料米や加工米の振り替えが主です。今年はたまたま作柄がよかったが凶作だったらどうなっていたか。県は国の言うとおりにしてきました。そんな経過がありますが、令和の米騒動を踏まえ、県として増産にどのように取り組むのか。
また、中山間地を含めた生産基盤の維持強化についてどのように考えるのか。農政部長に見解を伺います。
- 【村山農政部長】
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私には、いわゆる令和の米騒動を踏まえた米の生産についてのご質問をいただきました。
本県では、来年令和8年産の生産数量の目安値につきまして、需要量を的確に見極めた上で6年ぶりに増産といたしました本年令和7年産と同程度の生産規模に設定したところでございます。
主食である米の生産においては、生産者消費者双方が納得できる価格で安定的に供給していくことが重要であると考えておりまして、高温条件下でも品質収量性の優れる品種の開発導入及び安定生産に向けた技術指導の徹底、地域計画を踏まえた農地集積・集約やスマート農業技術の活用による低コスト化、さらには価格の下落時等におけるセーフティーネット対策としての農業保険への加入促進など、生産者の経営安定、基盤整備や生産性向上に取り組んでいるところでございます。
また、県産米の生産量を確保するためには、生産量の約3割を担っている中山間地域での生産を維持していくことも必要です。農地の大規模化が困難で、担い手不足が顕著な条件不利地においては、集落営農の推進や農地を保全する交付金を活用し、地域全体で支える生産体制を整えるなど、地域の実情に合わせた取組を進めてまいります。
以上でございます。
- 【両角友成議員】
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米問題を知事にも伺います。食料安全保障の第一人者といわれる東京大学大学院農学生命学科研究科特任教授の鈴木宣弘さんは、こう指摘しています。
高市首相は所信表明で、食料自給率100%を目指すと掲げた。自給率を上げると言いながら、生産調整するのは大きな矛盾がある。石破政権下に米が足りないと認めて増産方針を出したのに、また抑制に戻す。これは朝令暮改もいいところだ。結果的に輸入米が増え、自給率が下がってしまう。
こうした矛盾の背景には財政の壁があるという。高市首相は積極財政を掲げていますが、増産すれば米価が下がる。その価格差を、本来は財政で埋めるべきところを、財務省が難色を示した。つまり、金を出したくないから生産を抑制する方向に戻したのです。 結局積極財政どころか、緊縮財政ですよ。今回の米の不足の原因も長年の生産調整、つまり減反政策に原因がある。消費量が毎年減るからといって、生産をぎりぎりまで抑え過ぎた。そこに猛暑が重なり、米が足りなくなったにもかかわらず、また暗につくるなでは、同じ過ちを繰り返すだけ。政府や増産を後押ししなければ、米騒動は収まりません。
鈴木農相は、就任直後の10月22日に、財務の壁を乗り越えよう、全責任は私が負いますと職員に向けて訓示しました。ならば言葉どおり、有言実行して欲しい。生産抑制ではなく増産と財政支援で、米騒動を根本から終わらせるべきです。
まさにこのとおりではないでしょうか。全国に影響力を持つ知事は、この問題を広い視野でどのように考えているのか、見解を伺います。
- 【阿部知事】
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米の政策について今の課題問題はどのように考えているのかというご質問でございます。
米不足、あるいは価格高騰、非常に大きな課題に今年なったわけでありますけれども、米の需給見通しを国が誤ったこと、あるいは複雑な流通機構など、様々な問題が重なって需給バランスが崩れたために発生したものというふうに受け止めています。
生産される方も消費者の皆さんも、納得できる価格で安定的に供給消費されるよう対応していくということが重要だと考えております。
このため県では、長野県産米生産流通消費等検討会議ということで、生産される方と流通消費、米に関わる全ての皆さんにご参画いただいた検討会議を設置しました。いろいろな課題も見えてきておりますので、生産者にとっても望ましい、消費者にとっても納得できる、そうした仕組みをしっかり考えていかなければいけないというふうに思っておりますが、まずは、この検討会議での議論等も踏まえて、データに基づいて県産米の来年度の生産量を設定したところでございます。
全国の生産現場においては、担い手の減少が顕著になっているという状況であります。本県においても担い手がどんどん少なくなっていく。10年後の農地は3分の1以上が担い手がいなくなるという見通しの中で、相当危機感を持って対応しなければいけないというふうに思います。
そういう意味では、まさに知事会からも提言しているように、中長期的な観点でこの食料安全保障の観点を持ちながら、抜本的な改革を進めてもらうということが極めて重要だというふうに思っております。
一方、私は知事の立場でいつも国に何とかとかと自分でも言っていて、いつも反省するところがありますが、まず我々がもっとしっかり考えなければいけない部分もあるのではないかというふうに思っております。
そういう意味では、来年度の県の予算編成方針の中の大きな柱に、農地、人材等の総合的な改革による持続可能な農業の実現というふうに、あえてこの農業を重要な項目として立てさせていただいています。
先ほどのやはり生産者の思いと消費者の観点というのは違うわけですが、それやっぱり総合的に調整していかないことには最適解は出てこないというふうに思います。
総合行政を担っている我々県行政だからこそできることもあるというふうに思っておりますので、今年顕在化した様々な課題、そして検討会議で出されている様々な視点、そうしたものも踏まえながら、長野県としてどのような対応ができるのかしっかり来年度予算に向けて検討を深めていきたいというふうに思いますし、そうした中で出てくる重要な課題については、国の制度改正も含めて、引き続き強く求めていきたいと考えております。
以上です。
- 【両角友成議員】
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せめて主食の米は100%自給を貫くべきと申し上げ、次の質問に移ります。
小水力の地域に根ざしたエネルギー源としての可能性について
- 【両角友成議員】
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次の質問項目は、小水力発電の地域に根ざしたエネルギー源としての可能性についてであります。
一発逆転はないと言われる今の地球温暖化、異常気象の中、拍車をかけるように、地球上では大規模火災や農地の拡張、木材利用などで森林破壊が進み、昨年だけで世界中で810万ヘクタールが失われたとの報道もあります。
私たちは、確認ですが、太陽光、風力、地熱などとともに、小水力発電を地域に固有をエネルギー源と位置づけています。これは地域の中小企業の仕事や雇用を創出し、発電で得られた電気を販売することで、地域に新たな収入をもたらすことを目指すものです。
小水力発電は、CO2排出量が最も少ないクリーンエネルギーとして注目されており、気候変動対策に貢献すると考えられています。
また、天候に左右されやすい太陽光発電などとは異なり、昼夜を問わず安定した電力を供給できるという利点も強調されています。
長野県を含め、日本は地域的に小水力発電に適した条件を備えており、日本の風土に適した小水力発電システム実用化も進んでいます。農林水産省も農業施設を活用した小水力発電の導入を推進しており、地域のインフラを活用する動きが見られます。長野県内各地で地域が寂れる一方だの話をよく聞きます。地域に新たな活力を与える一つとして、小水力発電に県として今まで以上に力を入れるべきと考えます。
そんな折、長野地域振興局内の芋川発電所が発電を開始したとの発信がありました。その中身は、長野県が発注した県営潅漑排水事業で、芋川用水トンネル出口付近から小水力発電の取水を行い、約10メートルの落差を利用して発電。既存の潅漑用水利権に加えて、非潅漑期の発電用水利権を新たに取得し、24時間365日発電で年間発電量26万キロWh、CO2削減量は年間178トン相当になり、ゼロカーボンの達成にも貢献。
この水力発電所は、信州大学と県内企業が共同研究開発をした新型クロスフロー水車を県内企業が制作を行い、建設は同じく県内企業が担いました。
また、発電所の運営は、飯綱町が行う信州産・地産地消を実現した発電所です。地産地消という面では、SDGsの達成にも向けた具体的なアクションとして非常に有効であると考えられます。地域の貴重な資源である水を活用することで、持続可能な社会の実現に貢献することができますとの報告です。時節にかなった事業だと思います。
私はこの場で幾つかの先進事例を紹介提案してきましたが、地域の雇用創出や収入確保にもつながることから、県として導入促進に一層の力を入れるべきであります。今後の可能性を含め、小水力発電に対する県の見解を環境部長に伺います。
- 【小林環境部長】
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小水力発電に対する県の見解についてのお尋ねでございます。
本県は豊富な水資源や急峻な地形などを背景に、小水力発電の適地を多く有することから、これまで収益納付型補助金による資金調達や、部局横断による小水力発電キャラバン隊による許認可手続のサポートなど事業者の支援、それから企業局による発電所建設により普及に取り組んでまいったところでございます。
こうした取組によりまして、2023年度までに県内に導入された発電設備容量は99.6万キロワットに上っておりまして、固定価格買取制度を活用した小水力発電の設置件数は99件と、全国1位となっているところでございます。
また、環境省が調査を行った2019年度時点では、なおも約31万キロワットの残存ポテンシャルがあるということが見込まれておりまして、さらに開発する余地があると考えているところでございます。
さらに、先月の県環境審議会によりますゼロカーボン戦略の中間見直しに係る答申の中におきましては、再生可能エネルギーの地消地産による地域内経済循環に資する取組の必要性などが指摘されているところでございます。
そうした一方で、小水力発電の普及に当たりましては、水利権等各種許認可に係る手続の負担、あるいは地元理解の醸成、設備の設置に係る初期投資、設置後の維持管理などが課題となっているところでございます。
加えまして、エネルギーの地消地産の観点から、発電された電気を大手電力会社に売電するのではなく、オフサイトPPA等により地域の需要家に供給するという場合には、その採算性の確保も大きな課題となるところだと考えております。
こうした点を踏まえまして、県としましては、従来の取組に加えまして新たに発電事業者間の懇話会を設立をしたいと考えておりまして、地元調整や水利権申請等の手続に関する検討や、情報共有、地域内経済循環に資する優良モデルの創出に取り組んでまいるとともに、県内各地で地域エネルギー事業者が設立され経営安定が図られることを目指すなど、小水力発電の普及に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
以上でございます。
- 【両角友成議員】
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設置が全国1と、夢が広がる答弁だったと思います。寂れる一方とする地域に一つの光をと申し上げ、次の質問に移ります。
医師不足解消について
- 【両角友成議員】
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次の質問項目は、医師不足解消についてであります。国は医師は足りていると言っていますが、現場からは、絶対的医師不足は深刻だ。医師の働き方を見ても過労死ラインの2倍の働き方を認めている。このことは、医師が足りていないということではないかの主張であります。
こんな中、阿部知事を含む12名の地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会に注目しました。令和2年1月31日付の設立趣意書を見ますと、冒頭で医療は国民の生活に欠くべからざるものであり、誰もが地域で必要な医療を受けられるとともに、地域の医療従事者が働きがいのある医療環境をつくる必要がある。今日我が国の地域医療の現場では、医師の絶対数の不足や地域間、診療科間の偏在が極めて顕著となり、言わば地域医療崩壊の危機的状況にあるとしています。
既に設立から5年ほどが経過していますが、現在も現状に合わない診療報酬も相まって、医療現場は大変な状況が続いています。
本年8月4日知事会は、医師不足や地域間偏在の根本的な解消に向けた実効性のある施策を求めると、国に対する提言を発表しました。提言の中で私が共感したのは、医師の養成確保で、地域医療を安定的に確保するとともに、新興感染症等の発生時には、医療現場の崩壊を招くことなく適切な医療を提供するためには、医師の絶対数を増やすことが必要である。こうしたことから、大学が医師が不足する地域に必要な医師を育成・派遣する役割を積極的に果たすことができるようにすること、この部分であります。医師数の増加と大学による育成・派遣強化を求めています。
実際、長野県の現場からの訴えには、医師補充のため、医師紹介会社に依頼をかけ、病院に就職してもらうのに多額の予算が必要で病院経営を圧迫している。また、医学生就学基金、これは長野県がやっている基金ですが、医学生奨学基金貸付制度は、公的公立病院だけを対象にするのではなく、民間医療機関にも広げてほしいと私たちは要望し、令和6年実施されましたが、いまだ実績はゼロで、周知徹底を図るべきではないか。困難を抱える医療機関に救いの手だてが必要であります。
県内木曽をはじめとする地域で医師不足の問題が解決されず、多くの県民の生命や健康を守る医師の確保が不可欠な状況にあります。医師不足地域を含めた本県の医師確保について、どのような対策を講じるか伺います。
また、当面多くの医師を派遣している信州大学医学部附属病院に対し、医師派遣を一層強く求めていただきたいが、併せて見解を医師でもある健康福祉部長に伺います。
- 【笹渕健康福祉部長】
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私には、医師不足解消についてのお尋ねがございました。
初めに、県内の医師確保対策についてでございます。
本県は医師数が徐々に増加はしているものの、医師少数県に位置づけられており、地域や診療科の偏在が大きな課題となっております。
また、医療機関の経営状況が厳しい昨今は、県の行う医師確保が今まで以上に重要になってくると考えております。
県では、第8次長野県医師確保計画に基づいて、医学生修学資金の貸与や医師を派遣する医療機関への支援等を実施するとともに、医師少数区域等に対しては、医学生修学資金貸与医師等の優先的配置や、僻地等の病院に勤務する医師の研修費用の助成などに取り組んでおります。
今後もこれらの取組を着実に実施するとともに、昨年国が示した医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージの進展に合わせ、医師派遣に係る新たな支援についても検討してまいります。
次に、信州大学医学部附属病院の医師派遣についてでございます。
信州大学医学部附属病院による県内医療機関への医師派遣は、医師の偏在解消や本県の医療提供体制のグランドデザインの実現に向けて欠くことのできない重要なものと認識しております。
一方、大学病院では厳しい経営状況や医局の入局者の減少などから、派遣する医師の確保が難しい状況にあり、まずは大学病院の経営基盤も含めた医師の派遣体制の強化が必要であると考えております。
このため、国の医師偏在是正に係るパッケージを踏まえ、大学病院と県との連携をさらに強化するとともに、大学病院が行う医師派遣に対する支援策を今後具体的に検討してまいります。
また、国に対し、大学病院が持続的に医師派遣を行えるよう、医師派遣に係る財政支援や、国立大学法人運営費交付金の拡充などについて引き続き要望してまいります。
以上でございます。
- 【両角友成議員】
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続きは委員会でと申し上げておきます。 突然地域から病院がなくなる。こんなことが起こり得る状況が続いています。まずは診療報酬の大幅な引上げを実現させること、そしてドクター1人育てるのに、6年、10年かかります。今できることは何でも取り組むべきです。
誰もが安心して医療にかかれるようにする。田中角栄さんの総理大臣の時代、全国に革新自治体が広がり、70歳になったら医療費は無料でありました。やればできるのです。
これからの医療が国民の望む方向になるよう、一つ一つ力を尽くしましょうと申し上げ、質問といたします。ありがとうございました。