日本共産党長野県会議員団

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議会質問

2025年11月定例会 和田明子議員一般質問

  1. 知事の政治姿勢について
  2. 県立施設の駐車場について
  3. ジェンダーギャップについて

知事の政治姿勢について

【和田明子議員】

 日本共産党県議団、和田明子です。
 11月7日、衆議院予算委員会において、台湾有事は存立危機事態になり得ると、高市首相の国会答弁に中国が反発を強め、日中関係が極度に悪化しています。観光や留学といった民間レベルでの往来や、交流への影響が懸念されています。
 さらに、日本産水産物の輸入手続停止などの事態による経済への影響が懸念されます。
 日中友好協会は今回の事態を受け、積み重ねてきた民間交流が台無しになってしまう、このままでは日中友好は大きく後退するだけでなく断交しかねないと政府に早期の関係改善を求めています。
 長野県は、県内企業の海外市場開拓やインバウンドなど、効果的に支援する海外駐在員を1995年に上海に開設して、大変重視してまいりました。今回の事態によって、観光客の減少や中国との輸出入など様々な影響が懸念されます。
 どのような状況が生じているか、把握している現状と対応状況について、観光での訪日客の減少や宿泊事業者への影響を観光スポーツ部長に伺います。

【高橋観光スポーツ部長】

 私には日中関係の悪化に伴う観光分野への影響について御質問いただきました。
 日本への渡航自粛の呼びかけにより、航空便も減便となっている現状を踏まえ、中国人観光客が比較的多いエリアの宿泊施設等の観光事業者から情報収集をしていますが、現時点では急激なキャンセルなど深刻な事態は報告されておりません。
 これから本格化するシーズンや年明けの春節といったハイシーズンを迎えることになりますが、引き続き、今後の影響を注視しつつ、状況の把握に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

【和田明子議員】

 産業分野における貿易取引、輸出入への影響について産業労働部長に伺います。

【米沢産業労働部長】

 私にも中国との貿易取引の影響について御質問いただきました。 
 県の一番の輸出相手国である中国、それから輸入については県の統計はございませんが、一番の輸入国、失礼しました。県にとっては2番目、アメリカに次ぐ2番目の輸出相手国である中国、そして輸入の統計は県においてありませんが、日本にとって一番の輸入相手国である中国の与える影響は決して小さくないものと認識していますが、現時点では、輸出規制や関税措置などの経済的な制約が設けられておらず、県の上海事務所や県内経済団体の聞き取りでも直接的な影響は報告されておりません。上海に配置した駐在員等の情報収集を強化するなど、引き続き影響の把握と情報収集に努めてまいります。

【和田明子議員】

 歴代政府は台湾有事と存立危機事態の関係について、特定の地域を明らかにするのを避けるのが従来の方針でした。高市首相の答弁は、従来の政府方針を逸脱したもので、石破前首相は、存立危機事態で集団的自衛権を発動するのは交戦状態になることだ、公の場で言うことか、歴代政権はそれをしないできたと苦言を呈しています。
 高市首相は、具体的な事例を挙げて聞かれたので答えたと開き直り、自身の答弁を撤回しません。日本共産党は、唯一の解決方法として、今からでも発言を撤回することだと繰り返し求めています。
 また、中国側も、事実に基づかない主張や対立を煽る言動は慎むべきと、冷静で理性的な対応を求めているところです。
 事態は深刻な外交問題化していますが、私自身も、11月に日韓親善促進議員連盟の訪韓に参加する中で顔を合わせる交流の重要性を実感して参りました。阿部知事も中国や韓国など様々な国々との交流に取り組んでおられます。その意義をどのように考えているのか伺います。
 長年にわたり日中友好に努めている皆さんはじめ、多くの県民が友好交流の継続・発展を望んでいます。今回の事態の発端になった高市首相発言の撤回を政府に求めていただきたいと思います。知事の見解を伺います。

【阿部知事】

 私には中国や韓国などとの交流の意義、それから高市総理の発言撤回を求めるべきだと思うかどうかという御質問いただきました。
 まず、交流の意義でございますが、様々海外の国や地域と交流する意義というのはあるというふうに思っています。例えば、青少年交流をはじめとする様々な人の往来、交流を通じて、相互理解を促進して平和の基盤をつくっていくということにもつながりますし、また輸出の促進であったり、インバウンドの誘致であったり、産業面、あるいは地域の活性化という側面からも重要だというふうに思っています。
 また、先ほども冬季オリンピックの話もございましたけれども、スポーツ、あるいは文化の交流を通じて相互の魅力を知り合い、世界的な地域のブランド化を進めていくということも可能になってきます。
 また、先般、韓国で日韓知事会議を開催をいたしましたけれども、人口減少は、本当に韓国においても、日本においても、同じ問題意識で取り組んでいるということを痛切に感じました。
 気候変動をはじめとする世界共通の課題についてお互いに学び合うことで、政策の質を高めていくということにもつながるというふうに思っております。
 そういう意味で、海外との交流非常に意義がありますので、これからも長野県として様々な国や地域との友好交流をしっかり進めていきたいというふうに思っております。
 そうした中で、高市首相の発言撤回を求めるべきという御質問でありますが、安全保障、あるいは外交問題、これは国の専管事項でございます。私としては、日中双方の冷静な外交努力によって事態が沈静化していくことを強く願っているところでございます。
 以上です。

【和田明子議員】

 冷静な外交努力は私たちも求めるところでございます。

県立施設の駐車場について

【和田明子議員】

 それでは次の質問に移ります。
 長野県の文化芸術の振興を担っている県立施設でありながら、駐車場に課題があり、何とかならないかという要望をいただいておりますので、以下二つの施設の駐車場について質問してまいります。
 一つ目はホクト文化ホール、長野県県民文化会館です。
 ホクト文化ホールは大中小の各ホールがあり、合わせて3,255席の施設にもかかわらず、駐車場の収容台数は普通車で210台しかありません。そのため多くの人が集まるコンサートや大きなイベントがあると駐車場が満車になってしまいます。周辺の有料駐車場などに車を移動している間に公演が始まって、間に合わなかったなど苦情が寄せられています。また、周辺道路の渋滞の原因になることもあります。
 この課題については、既に6月議会前に共産党県議団からの要望として対策を求めたところです。その際、県民文化部からは、利用者の利便性の確保や交通安全対策の面からも重要な課題と認識している、具体的に対策をすると言われました。その後の対策の進捗状況をお聞きします。

【直江県民文化部長】

 私には県立施設の駐車場につきまして質問を頂戴しております。
 ホクト文化ホールの駐車場に係ります対応状況についてでございます。
 ホクト文化ホールの駐車場につきましては、大規模イベント開催時における収容台数の不足等に関する御意見を頂戴しておりまして、これまでも指定管理者である県文化振興事業団におきまして、ホームページ等を通じて公共交通機関や周辺の民間駐車場の利用を御案内するとともに、混雑予想時には誘導員を出入り口に配置するなど、必要な対策を講じてきたところでございます。
 こうした対策に加えて、今年度は8月から、利用者がリアルタイムで状況確認できますよう、混雑が見込まれるイベント等における駐車場のカメラ映像のホームページ上での配信を開始したところでございます。
 また、来年2月を目途に、入り口付近に満車の状況を表示する電子看板を設置する予定でございます。
 県としては、引き続き県文化振興事業団と連携して、これらの対策の効果も十分に踏まえながら利用者の利便性の確保に努めてまいります。

【和田明子議員】

 ホクト文化ホールの南側駐車場は、長野市若里公園と一体で、文化会館への来館者は駐車できません。北側は210台分しかなく、駐車場の収容台数は絶対的に不足しています。例えば立体駐車場とか地下駐車場など、抜本的な対策も検討していただきたいと思います。県民文化部長に伺います。

【直江県民文化部長】

 ホクト文化ホールの駐車場に関わる対策の検討についてでございます。
 ホクト文化ホールについては、JR長野駅から徒歩10分ほどの市街地に立地いたします都市型の文化施設でございます。交通アクセスに関しては、自家用車による御利用のほか、公共交通機関の利用、そして長野駅の周辺地域との回遊性の確保なども含めて、総合的な観点で対応する必要があると認識をしております。
 また、駐車場の状況を大幅に改善するためには、ハード面の対応も想定をされますが、3,000席を超えます利用者の需要を満たす収容台数を確保するためには、相当な規模の施設整備が必要であり、多額の財政負担が見込まれることなどから、慎重な検討が必要と考えております。
 県としては、先ほど申し上げましたとおり、今年度新たな対応策として、混雑状況の映像配信、あるいは屋外への電子看板の設置を実施いたしますことから、こうした対策の効果を十分に見極めながら、施設を御利用いただきやすい環境の整備に努めてまいります。

【和田明子議員】

 長野県立美術館についてです。
 2021年春、旧信濃美術館から全面改築して長野県立美術館がオープンして5年目を迎え、本館と東山魁夷館と、合わせて年間60万人から90万人が来場しています。大きな展示スペースが作られたことで、以前は展示できなかった作品の企画展もあり、県下各地、県外からも大勢の来場者が訪れる美術館です。
 県立美術館が改築オープン当時は無料だった長野市の城山公園駐車場は、2023年12月25日から有料化になりました。また、以前は東山魁夷館北側駐車場が利用できたではないかという方もいます。
 しかし、現在は県立美術館には、一般来館者のための駐車場はありません。併設の東山魁夷館北側の駐車場は大型バスと障害のある方などのパーキングパーミット制度のため、一般の車両を止めることができません。美術館に着いてから一般車両の駐車場がないことが分かり、周辺の有料駐車場に停めたという方から、なぜ美術館に駐車場がないのかと苦情のような電話をいただいたところであります。
 インターネットで美術館のアクセスを検索すると、一般の方は近隣の有料駐車場を御利用ください、城山公園有料駐車場の場合は有料料金の割引があると案内があります。そして公共交通でのアクセスも分かりやすいです。
 ただし、インターネットで検索しない方にとっては、企画展の広報などで駐車場の情報を併せて周知する必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【直江県民文化部長】

 県立美術館への来館方法に係る周知でございます。
 来館方法については、現在、美術館のホームページでの御案内に加え、施設のパンフレットやイベント情報などの紙媒体、企画展開催時のチラシや新聞広告等で公共交通機関や近隣駐車場の御利用を呼びかけているところでございます。引き続きあらゆる機会を捉えて、美術館への来館方法の周知に努めてまいります。

【和田明子議員】

 県立施設なのに駐車場がないことについて、例えば長野市が管理する城山公園第3駐車場を県立美術館の駐車場として使用できるように、関係機関と協議することなどを検討していただきたいと考えます。県民文化部長に伺います。

【直江県民文化部長】

 県立美術館の駐車場に関わる検討でございます。
 県立美術館は、善光寺や長野市が管理いたします城山公園など、周辺環境と調和した美術館をコンセプトとしております。施設自体が城山公園と一体的な位置づけでありますことから、美術館を御利用いただく際には、議員から御指摘ありましたように、第3駐車場を含む城山公園の駐車場を一般利用駐車場として御案内をしておりまして、美術館の有料観覧者には駐車料金を100円割引とする取扱いを併せて行っております。
 美術館の運営に当たりましては、地元の自治会、善光寺、学識経験者などで構成いたします長野県立美術館協議会で御意見を伺うなど、運営の改善に努めており、交通アクセスに関する課題につきましても、駐車場の在り方にとどまらず、公共交通機関の利用も含めて、美術館の利用促進や利便性向上など、総合的な観点から関係機関と連携して改善に取り組んでまいります。
 以上でございます。

【和田明子議員】

 県立美術館の駐車場については、あらかじめ知っていればそこまでお怒りにはならないのですけれども、行ってみて、ないということでお叱りの電話をいただくという方があるので、やはり事前の周知ということをもう少し、先ほども紙媒体も含めてやっておられるようですが、さらにお進めいただきますようにお願いをしておきたいと思います。

ジェンダーギャップについて

【和田明子議員】

 それでは最後に、ジェンダーギャップについてお伺いしてまいります。
 昨年12月に出されました信州未来共創戦略の性別による固定的役割や格差をなくそうでは、冒頭に、男は仕事、女は家庭といった考え方は、地域や職場での女性の活躍や男性の育児参画を妨げており、いまだに家事育児時間の男女格差は4.2倍、2021年と書かれております。この家事育児時間の男女格差4.2倍は、2021年の社会生活基本調査の結果から導き出されております。
 実は調査結果から見えたことについて、私は男性は長時間労働のせいで、家事育児をやりたくてもできないという話は本当かと、皆様に疑問を投げかけたいのであります。
 社会生活基本調査では、6歳未満の子供がいる夫婦の夫の仕事時間が最も長い県山形県では仕事時間501分、家事育児時間は81分、夫の仕事時間最も短い県福井県では、仕事時間331分、家事育児時間は117分、仕事時間は2時間48分も違うのに、家事育児時間はたった36分しか差がないことを見ると、家事育児をやりたくてもできないのは長時間労働のせいとは言い切れないと思います。
 ちなみに長野県の夫の家事育児時間は123分、妻の家事育児時間は521分。男女格差は先ほど言った4.2倍となります。ジェンダーギャップがとても大きいわけです。
 11月議会の議案説明で、阿部知事は、ジェンダー平等の推進、さらに都道府県版ジェンダーギャップ指数の改善と言われたことに期待をして質問をしてまいります。
 男性の育児参加について伺います。
 今年3月に公表された都道府県版ジェンダーギャップ指数では、長野県の県庁における男性職員の育休取得率は伸びているが、行政分野は全国的に改善が進んでいるため、昨年と同じ22位です。これは令和5年にこども未来戦略方針により、公務員男性の育児休業取得率の政府目標を引き上げたことを受けて、県は令和5年9月、男性の育児参加が当たり前の県組織を目指すと行動宣言を発出し、男性の育児休業等取得率について、令和5年度に1週間以上100%、令和7年度までに1か月以上100%を目標にしています。
 令和5年の行動宣言の発出の前と後の男性と女性のそれぞれの育児休業の取得率と平均取得日数を、知事部局は総務部長、教育委員会は教育長、警察職員・警察官のについては警察本部長に伺います。

【須藤総務部長】

 知事部局におきます育児休業の取得率、それから平均取得日数についてのお尋ねでございます。
 知事部局における育児休業の取得率は、行動宣言発出前の令和4年度は男性39.1%、女性100%。令和6年度は男性94.5%、女性が98.1%となっております。女性の取得率が100%を下回ったのは、育児休業の取得が次年度になった職員がいたことが要因でございます。
 また、育児休業の平均取得日数は、令和4年度は男性が71.6日、女性が640日、令和6年度は男性が101.6日、女性が608.8日となっております。
 男性の育休取得促進に向けましては、これまで男性職員の子育て計画書の作成を徹底することにより、育休の取得推進に加えて、業務の分担の調整など職場環境の整備にも取り組んでまいりました。
 今後も男性職員の育児参加が当たり前となる組織づくりを目指して必要な取組を進めてまいります。

【武田教育長】

 教育委員会における育児休業取得率と平均取得日数についてのお尋ねでございます。
 教育委員会における育児休業取得率は、男性については令和4年度が15.0%、令和6年度は39.7%に増加したところです。女性については令和4年度、令和6年度とも100%でございます。
 平均取得日数は、男性については令和4年度184.7日、令和6年度は145.6日、女性については令和4年度832.5日、令和6年度は803.0日でございます。学校現場特有の事情もございますが、引き続き男性職員の子育て計画書の提出などを通じ、仕事と育児が両立できる職場環境の整備に取り組んでまいります。

【阿部警察本部長】

 警察職員警察官の育児休業取得率と平均取得日数についてお答えいたします。
 県警察における育児休業の取得率は、令和4年度は男性34.8%、女性100%、令和6年度は男性52.7%、女性100%となっております。
 また、育児休業の平均取得日数は、令和4年度は男性7.1日、女性952.7日、令和6年度は男性30.2日、女性889.6日となっております。

【和田明子議員】

 それぞれ御答弁ありがとうございました。
 教育委員会は、それぞれやはり教職員の足りなさも含めて取りづらさがあるのではないかとうかがうことができますので、ぜひ改善をしていただけるように、申告しやすいことも含めて改善をお願いしたいと思います。
 日本のジェンダーギャップ指数は、148か国中118位と世界的に低く、中でも政治経済分野が遅れており、G7では最下位です。さらに、都道府県版ジェンダーギャップ指数で、長野県はフルタイムの仕事に従事する男女間の賃金格差は45位、企業や法人の役員・管理職の男女比は46位と、全国的では最低レベルと知り、私も正直なところ衝撃を受けました。
 知事は、この状況をどのように考えるのか見解を伺います。

【阿部知事】

 私はジェンダーギャップに関連して御質問をいただきました。
 まず、全国に比べて長野県が遅れている現状についてどう考えているのかという御質問でございます。
 都道府県ジェンダーギャップ指数において、本県の男女間の賃金格差、あるいは企業や法人の役員管理職の男女比、この順位が低い背景には、まず産業構造がどうしても製造業が多いという特徴がありますし、また、これまでの企業風土を引きずっている企業が多くまだ存在してるんじゃないかというふうに思います。
 また、そうしたものの背景には、さらに社会であったり、家庭内であったり、こうしたところにおける固定的な性別役割分担意識が大都市部等と比べるとまだまだ依然として根強く存在しているのではないかというふうに思っています。
 こうしたことを考えますと、企業の取組を促すだけではなくて、やはり社会全体の意識を変えていくということも併せて取り組んでいくことが重要だというふうに考えております。現在策定中の第6次男女共同参画計画におきましては、大きな柱としてジェンダー主流化を掲げることを検討しております。産業分野に限らず、県の施策全体にジェンダー平等の視点を組み込んでまいりたいと考えております。
 ジェンダーギャップ指数の順位は相対的なものでございますので、他の都道府県、他の地域がどんどん頑張れば、幾ら我々が頑張っても順位は上昇しませんので、他の都道府県を上回る取組を危機感をもって進めていきたいと考えております。

【和田明子議員】

 先ほども触れましたが、議案説明で、「2030年に目指す旗」として信州未来共創戦略で掲げている都道府県版ジェンダーギャップ指数の改善に向け、男女間の賃金格差の是正や、企業・法人における役員・管理職の男女比改善などに経済団体等の皆様と連携して取り組んでまいりますと明言されました。
 とはいえ、民間企業の賃金格差の是正や役員管理職への女性の登用の促進は、県が要望したらできるというものではありません。一方現状このまま手をこまねいているわけにはいきません。県内企業・経済団体等と連携しながら、具体的にどのような施策を推進していくのか、知事に伺います。

【阿部知事】

 男女間の賃金格差の是正や、役員・管理職の男女比改善の具体的施策という御質問でございます。
 御指摘のとおり、この賃金格差、あるいは役員・管理職比率改善されていくためには、企業の努力が必要だというふうに思いますが、ただ、我々もそれを見ているだけではいけないというふうに思っております。
 そういう意味では、まず見える化していくことが重要だと思います。企業が自社の現状を対外的に公表し、見える化していくということの観点から、まず女性活躍推進法に基づく企業データベースへの登録、そして職場いきいきアドバンスカンパニー認証取得企業の情報開示、こうしたものを促進して、企業の努力を見える化していくように取り組んでいきたいというふうに思います。
 また、女性の役員管理職の育成・登用を進めていくことが重要でありますが、まず役員の登用、この場でも県の一般行政職、なかなか飛び級というのは難しいわけですが、ただ審議会の女性比率であったり、あるいは各種行政委員会の委員の皆さん、かなり私の任命するという行為の中で女性の比率を上げることができます。これは企業も同じでありますので、そういう意味で、従業員だけではなくて役員の比率をまず高めていっていただきたいということで、女性役員の外部人材とのマッチングをする仕組みをつくっていきたいというふうに思っております。
 また、自社で育成がなかなか難しい中小企業の皆さんを対象にして、女性管理職の育成講座というものも開催するように検討していきたいと思っています。
 加えて女性から選ばれる長野県を目指すリーダーの会がございますので、ここにそもそも参加いただく経営トップはそれなりの意識を皆さん持たれているわけでありますけれども、こうした会に集うメンバーをもっともっと増やして、経営層の意識改革も促していきたいというふうに思っております。
 こうした様々な取組を進めていくわけでありますが、政労使のトップが一堂に会する長野県人材確保生産性向上連携会議を10月に開催をさせていただき、こうした認識を共有させていただいたところでございます。
 賃金格差をはじめとするジェンダーギャップの解消に向けて、企業・経済団体と一丸となって取り組んでいきたいと考えております。以上です。

【和田明子議員】

 県内企業・法人に改善を求める上で県としても取り組んでこそと思います。まず、県職員の給与において、男女間の給与格差がどの程度あるのかお聞きします。
また、県職員の男女間の給与格差の是正に向け、女性管理職の登用を積極的に進める必要があると考えます。総務部長に伺います。

【須藤総務部長】

 私には県組織の男女間の格差、それから女性管理職の登用について御質問を頂戴いたしました。
 まず、県組織における男女間の給与の現状でございます。
 令和6年度におきます任期の定めのない常勤の女性職員の給与は、男性職員の給与の88.7%という状況にございます。差違が生じております主な要因といたしましては、扶養手当をはじめとした諸手当を受給している男性の割合が高いことや、女性の管理職の割合が男性より低いことが挙げられます。
 次に、県組織における女性管理職の登用についてでございます。
 本県の女性職員の管理職へのという登用につきましては、10年前の平成27年4月1日時点と本年4月1日時点を比較いたしますと、部長相当職では1.4%、1人から、13.0%、10人へ。
課長相当職では5.2%、31人から、16.4%、96人ということで、登用を着実に進めてきておるとこでございます。
 引き続き、キャリアアップへの不安を解消し、リーダーへステップアップする意欲を醸成するため、女性職員キャリアビジョン研修を実施するとともに、多様な職務経験を積んでいただくため、中央省庁、民間企業、市町村など他組織への派遣、また、県の政策形成部門への配置によりキャリア形成を支援するなど、女性職員の積極的な育成に取り組み、登用の拡大につなげてまいります。
 以上でございます。

【和田明子議員】

 県職員においても、男女間の賃金給与格差は、やはり女性の管理職の登用の遅れがあることが反映されているということが、御答弁の中でも一部明らかになりまして、この10年間では前進はしたものの、まだまだというふうに正直に言わざるを得ません。
 長野県の女性の就業率は、令和2年の国勢調査では全国6位です。近年は子育て期と言われる30歳から39歳の就業率が上昇しています。これだけ働いている女性が多いのに、フルタイムで働く男女の賃金格差が45位、明らかに女性の賃金が低いわけです。賃金が低いということは高い賃金が得られる地位が女性には与えられていない。性別による固定的役割や格差をなくそう、男は仕事、女は家庭ではなく、今は男は仕事、女は仕事と家庭です。男性より家事育児時間を4.2倍こなし、懸命に仕事をして自分の時間を持てない、その上に女性が仕事や家事で正しい評価をされていない。それに見合う対価・賃金を得られていません。これは本当に女性にとっても、男性にとっても不幸なことと言わざるを得ません。
 知事と同様ジェンダー視点で改善をしていく、私たちも声を上げ続けていきたいと思います。
 引き続きこの問題は、また取り組ませていただきたいと思い、以上で質問を終わります。

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