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議会質問

2025年11月定例会 毛利栄子議員一般質問

  1. 宿泊税について
  2. 障がい者の地域生活支援について
  3. 長野県石油商業組合の排除措置命令等に対する県の対応について

宿泊税について

【毛利栄子議員】

 宿泊税について、観光スポーツ部長に伺います。
 最初に使途について伺います。
 使途については、この間、宿泊税活用部会での議論を経て、10月21日に活用計画(仮称)骨子として示され、パブリックコメントの募集が行われたところです。
 私どもは、導入先にありきではなく、まず宿泊税の使い道を明確にすることが先決だと申し上げてきましたが、示された活用計画について何点か質問をいたします。
 宿泊税は、宿泊事業者の徴税経費等を差し引いて、市町村に一般交付金として3分の1、広域連携などの重点交付金に6分の1を交付することになっており、残りは県が活用することになります。総額は、当初3年間の200円徴収の試算で22億円、徴収経費に2億2,000万円を充て、市町村への交付金は5億6,000万円、県は9億5,000万円活用となります。
 使い道については、活用部会でも入湯税などが一般財源化され、使途が明確になっていない状況も現にあり、事業者の中には根強い不信感があるとの指摘も出されました。  また、観光というワードに結びつけていたずらに使途を拡大しないでほしいなどの声も宿泊事業者から届いています。
 使途は、二次交通や観光MaaSの実装、交通機関へのキャッシュレス化、自然公園整備、サイクリングロードの環境整備など幅広い事業に活用することなどが示されています。
 しかし、これらは本来建設部や企画振興部など各部局の一般財源の中で手だてされるべきものであり、むしろ宿泊施設のバリアフリー化や、Wi-Fi環境の整備、観光施設のトイレの洋式化、キャッシュレス決済できる環境整備、案内表示、多言語対応の受入れ環境整備、長野県の食や食文化を生かしたおもてなし支援など、お客様である納税者の満足度の向上に資するものに重点的に使うべきではないかと考えますが、いかがですか。

【高橋観光スポーツ部長】

 私には宿泊税に関して御質問いただきました。順次お答えさせていただきます。
 まず、宿泊税の使途の考え方についてのお尋ねであります。
 宿泊税の使途については、県宿泊税条例において、観光資源の充実、旅行者の受入れ環境の整備、その他の観光の振興を図る施策に充てると規定をしておりまして、納税者である宿泊者のみならず、旅行者の満足度や利便性の向上により税導入の効果を実感できる新規拡充の取組に充当することとし、施策や地域を極力重点化して取り組みたいと考えております。
 こうした考え方を踏まえまして、宿泊施設の高付加価値化やユニバーサル化など、宿泊者の滞在環境の向上を支援するほか、旅行者の受入れ環境整備を行うこととしておりまして、議員から御質問ありました二次交通の充実では、従来の生活交通への支援ではなく、観光客が円滑に移動できるように、周遊ツアーの増設造成や、拠点駅と観光地を結ぶ路線等の新設・増便への支援を検討しているほか、サイクリングに関しては新たな道路整備ではなく、走行環境整備として、ルート上の看板の新設やサポートステーションの充実の支援、また観光MaaSでは、観光地のチケットレスサービスなどの新たなシステムの構築など、旅行者の満足度や利便性を向上させる環境整備について検討をしてまいります。
 今後、活用計画の策定や、令和8年度当初予算の検討に当たっては、既存の財源により実施してきた施策との相乗効果も図りながら、税導入の効果を最大限発揮させるよう取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 長野県の場合は他県と違い、全ての市町村に交付金が支給されることになっており、市町村の取組を支援しようとする姿勢は歓迎しますが、独自に宿泊税を課税しない市町村に交付される一般交付金及び重点交付金は、どのような基準や割合で配分されるのでしょうか。

【高橋観光スポーツ部長】

 市町村交付金の配分基準や割合についての御質問です。
 税収の一部を交付金として市町村に配分する宿泊税市町村交付金については、市町村との意見交換を行いながら、制度検討を進めてまいりまして、先日、令和8年度の交付目安額をお知らせしたところであります。
 市町村交付金は、県が徴収する税収のうち、徴税等に係る経費を除いた3分の1を、一般交付金として6分の1を重点交付金として配分します。このうち、観光客の利便性向上に資する新規拡充事業に活用可能な一般交付金は、市町村における宿泊数を基準として算定することとし、県全体の観光の底上げを図る観点から、市町村に一律50万円交付する均等割も設定いたします。
 また、市町村連携など広域的かつ重点的施策に活用可能な重点交付金は、市町村における宿泊数に加え、宿泊の少ない観光地にも配慮するため、宿泊地以外での滞在数も加味し算定することとし、その比率を1対1としております。

【毛利栄子議員】

 交付額は観光地とされる市でもそれほど多額にならないと聞いており、単年度では事業費も少ないために、必要な環境整備に使うには基金として積みながら使うことも想定されます。
 ところが、基金の積立期間は2年間であり、3年目に残れば県に返すという立てつけです。2年間はあまりに短かすぎるのではないでしょうか。せめて5年くらいは見てほしいという当事者団体の強い要望がありますが、県は受け入れる考えはないようです。
 実効性のある事業に使う上でも、基金の積立期間は見直しが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【高橋観光スポーツ部長】

 市町村交付金に係る基金の積立期間を見直すべきではないかとのお尋ねであります。
 この交付金は、県と市町村が一体となって施策を推進するため、市町村に最大限配慮し、県が徴収する宿泊税収入から最大2分の1を交付する制度としておりまして、市町村におかれては、税の趣旨を踏まえて有効に活用いただきたいと考えているところであります。
 そして、この交付金の活用に当たっては、計画的な取組の推進と活用残額の有効活用を図る観点から、市町村において基金を設置し、積み立てを行うことを可能としております。積立期間につきましては、宿泊税の導入効果を早期に発揮させるため、できる限り早期に事業化いただくことが必要であることから、交付年度から2年間とし、積み立てを行ってから3年以内に事業化をするよう市町村にも説明を行ってきているところであります。こうしたことから、現時点で積立期間の見直しは考えておりません。

【毛利栄子議員】

 宿泊税導入の目的や使い道など、県民、事業者、市町村、観光客などに十分説明、周知がされているのでしょうか。宿泊事業者には税務課からの説明会が11月17日から開催され、12月10日までの日程で、県下10か所を会場に行われていますが、内容は申告や納税など、実務的な説明が主になっています。実務はもちろん大切なことですが、導入の理由や使途を理解し、納得していただかなければ負担感しか残りません。宿泊事業者には、帳簿や書類の備えつけが求められ、違反には拘禁刑、罰金刑もあり、宿泊税の申告納入を毎月やらなければならないことも負担で、面倒なことをやらなければいけないのなら、この機会にやめたいと言っている高齢事業者もいると伺いました。
 「暮らす人も訪れる人も、宿泊税の効果を実感できるよう取り組む観光振興策」がスローガンですが、理解と納得が不十分なまま見切り発車されることがあってはなりません。丁寧な広報、周知、説明を求めますが、いかがでしょうか。

【高橋観光スポーツ部長】

 県民や事業者、観光客などへの丁寧な広報周知説明についてお答えいたします。
 宿泊税の導入趣旨や使途については、現在県内10地域で開催している宿泊事業者向けの説明会のほか、本年10月に実施をした宿泊税活用計画(仮称)の骨子に係るパブリックコメントなど、これまでも様々な機会を捉え、御説明や意見聴取の機会を設けているところであります。その上で、納税者となる県内外の宿泊者の皆様に丁寧に広報周知を行い御理解いただくことが重要であると認識をしております。
 このため、税の制度や主な使途を記載するポスターやリーフレットなどの広報資材を現在制作中でありまして、年末から順次、県内の主要駅や観光施設宿泊施設での掲載、配布を行うこととしております。
 加えまして、首都圏をはじめとする県内外の主要駅や高速道路、宿泊予約サイトなどのインターネットでのデジタルを活用した広告について、来年2月から制度開始まで継続的集中的に実施をしてまいりたいと考えております。
 今後も様々な機会を通じ、多くの皆様に御理解いただけるように取り組んでまいります。

【毛利栄子議員】

 さらに、交付金活用の受皿となる市町村へはどのような説明がされているでしょうか。ある事業者は、いろいろなことはいつも身近な役所に相談に乗ってもらっているが、役所の人に聞いても曖昧で、「細かいことは聞いていない」とのことであてにならず、このまま実施されることは不安と言っています。
 宿泊税の施行が令和8年6月からと決定されましたが、現状クリアしなければいけない課題が多く、期限を区切って間に合わせるために推進するのは困難が伴うと思われます。市町村も事業者も理解、納得し、県民にも旅行者にも周知広報が十分できるよう、施行時期は柔軟に考えることが必要だと考えられますが、いかがでしょうか。

【高橋観光スポーツ部長】

 最後に、市町村への説明状況と施行時期についてのお尋ねであります。
 市町村交付金に限らず、県としての宿泊税の活用の考え方については、県と市町村との協議の場や市長会・町村会の会議などにおいて市町村長に直接御説明をしているほか、先月には市町村の観光担当者向けの説明会を開催をして、制度の周知を図っているところであります。
 また、施行時期は柔軟に対応すべきとのお話がありましたが、宿泊税の開始日につきましては、先月20日に長野県宿泊税条例の施行期日を定める規則を公布し、制度の開始を令和8年6月1日に正式決定をしたところであります。
 現在、独自に宿泊税を課税する予定の市町村と共に、同日付けで制度開始ができるよう、事業者向けの説明会や会計システムの改修支援などを実施しているところでありまして、現時点での施行期日の変更等は、準備を進めている関係者に大きな混乱とコストの増加を伴うものと認識をしておりまして、宿泊者や関係者の皆様に御理解をいただき、令和8年6月1日に円滑に制度が開始できるよう、今後も事業者、市町村向け説明会の開催や、継続的な広報を実施するなど、着実に準備を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。

【毛利栄子議員】

 長野県の法定外目的税は、森林税に加えて宿泊税が導入されることとなりました。一般財源を補完するものとして安易に運用されるようなことになれば、次々と新たな税金が導入されることになるのではないかと危惧しているわけです。
 導入の主旨が、事業者、県民、観光客など全ての皆さんに周知をされて、観光振興に真に役立つものに使われることを願うところであります。

障がい者の地域生活支援について

【毛利栄子議員】

 障がい者施策の推進について健康福祉部長に伺います。
 2014年に日本が障害者権利条約を批准し、障害者総合支援法、障害者差別解消法、長野県障がい者共生条例など制定されましたが、依然として障がい者めぐる施策は、障がい者の人権がきちんと保障されるものになっていません。
 差別も存在し、家族に責任を押しつけ、とりわけ母親に介護が集中しています。家族介護を前提とした障害・介護・医療施策は、もはや限界になってきていると思います。障がいの子どもを持つ親御さんは高齢化し、自分が死んだ後の我が子の将来がどうなるのか不安と、心配を抱えながら暮らされています。
 「全国障害児者の暮らしの場を考える会」と研究者が共同で行った調査では、9割の皆さんが親亡き後について心配しているという結果でした。障害者の地域移行が進んできてはおりますが、多様な生活の場の一つであるグループホームは、希望者に対して整備状況がかなり不足しているのが現実で、希望してもかなわない状況があります。
 先日相談いただいた方は、行政の支援も得ながら諏訪の近隣を含め何か所もグループホームを当たってみましたが駄目で、結果として山梨県の施設を利用せざるを得ませんでした。本人も納得してくれたようですが遠くの施設では面会に行くのも大変で、お金も時間もかかり、何でそんな苦労を強いさせないといけないのかと、申し訳ない思いでいっぱいになりました。
 そこで伺います。長野県の障害者グループホームの整備状況はどうなっているのでしょうか。入居希望者の希望にかなうものになっているのか実態を伺うとともに、新たな整備計画はどうなっているのか伺います。

【笹渕健康福祉部長】

 私には障がい者施策に関連してお尋ねがございました。
 初めに、障害者グループホームの整備状況と整備計画についてでございます。
 本年4月1日現在のグループホームの整備状況は、共同住居数で732、定員は3,863人で、5年前と比較して、共同住居数で121、定員は675人増加しております。また、本年4月のグループホームの利用者数は3,414人で、利用率は88.4%となっております。
 県では、圏域によるグループホームの偏在や手厚い支援を必要とする方に対応できるグループホームが少ないことなどにより、入居希望者のニーズに十分対応はできていない状況もあると認識しております。
 昨年3月に策定した第7期障がい福祉計画において、令和8年度末までに、共同住居数を令和5年度末より50増加の760とする目標を掲げております。グループホームは障がいのある方の地域生活を支える重要な基盤であるとの認識の下、施設整備補助金において、地域偏在の解消や重度障害者の入居に資する事業を優先的に採択し、計画的な整備を促進してまいります。

【毛利栄子議員】

 2024年度に報酬改定がされましたが、引き下げられた上に、水光熱費や燃料費、食材費など物価高騰が追い打ちをかけ、経営は悪化し、経営困難に陥っている事業所が増えてきています。私がお話を伺った事業所は、グループホーム、生活介護、就労継続支援B型を運営されていますが、令和6年度は累積で1,150万円の赤字となり、これまで努力しながら何とか赤字を出さずにやってきたのに、この先どうやって事業を継続していったらいいかと頭を抱えていました。
 そこで、県としてこのような実態をどう掴んでいるのか伺うとともに、物価高騰に関わる運営支援を重ねて実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

【笹渕健康福祉部長】

 障害福祉サービス事業者の経営実態と、物価高騰対策についてでございます。
 令和6年度の報酬改定や物価高騰の影響を把握するため、昨年10月に全事業者を対象に実態調査を実施いたしました。
 その結果、サービス種別によって異なるものの、全体として対前年度比で増収と回答した事業所は約4割、減収と回答した事業所は約3割でございました。このうち、増収、減収の理由として、報酬改定の影響があると回答した事業所は、いずれも約7割となっており、報酬改定によっても物価高騰の影響が改善されないと回答した事業所は、約半数という状況でした。
 また、先般公表された全国の障害福祉サービス事業所等の経営状況の調査では、赤字と回答した事業所の割合は、全サービス平均で報酬改定前と比べて約6ポイント増加しており、厳しい経営環境に置かれた事業所が一定数あるものと認識しております。
 そのような中、県では、物価高騰の影響を受けている事業者を支援するため光熱費、燃料費、食材料費の価格高騰に対する支援を今年度実施したところでございます。人件費や物価の高騰が継続していることを踏まえ、国の動向を注視しつつ今後必要な支援策を講じてまいります。

【毛利栄子議員】

 人手不足も深刻で、特にグループホームは夜勤もあるため、事業を回すのに苦慮しています。県として人材不足への認識を伺うとともに、人材確保に対してどのような対策を取っているのか、また基本報酬の大幅な引き上げが求められていると思いますが、国に対しどのような働きかけを行っているのかについても伺います。

【笹渕健康福祉部長】

 人材不足の認識、人材確保対策、国への働きかけについてでございます。
 長野労働局のデータによると、障害福祉分野を含む福祉関連職種の本年10月の有効求人倍率は、全産業を上回る2.68倍となっており、人手不足は深刻な状況と認識しております。県では、人材確保や職場環境改善を促進するため、今年度、職員1人当たり5万4,000円相当の助成を行ったほか、職員の給与アップにつながる処遇改善加算の新規取得や、より上位の加算を取得できるよう、社会保険労務士等の専門家派遣等による支援を行っております。
 加えて、職員の負担軽減や業務効率化を推進するため、昨年6月に生産性向上総合相談センターを設置し、相談支援、研修会の開催、介護ロボット等の貸し出しといった支援を行うとともに、介護ロボットやICTの導入費用を助成し、人材の確保定着に取り組んでいるところでございます。
 また、県では賃金水準の低さが人手不足の最大の要因との認識の下、国に対し、前回の報酬改定の効果を十分検証し、基本報酬のさらなる引き上げや加算等の充実を要望してきたところでございます。
 今後は、国の経済対策に盛り込まれた臨時報酬改定の内容を踏まえ、必要に応じて要望を継続するとともに、人材確保定着対策を強化し、人手不足の解消に努めてまいります。
 以上でございます。

【毛利栄子議員】

 障害者のグループホームに関しては、保護者も当事者も安心して暮らせる場を保障することは政治の責任として当然だと思います。人材確保とともに、さらなる整備の拡充を求めて次の質問に移ります。

長野県石油商業組合の排除措置命令等に対する県の対応について

【毛利栄子議員】

 長野県石油商業組合に対する排除措置命令等に関わる県の対応について知事に伺います。
 物価高で暮らしが苦しい中、長野県のガソリン価格は全国トップレベル状態が続き、県民からどうしてなのかと疑問が出されていました。党県議団にも、他県と比べてリットル当たり10円も高い理由を説明してほしいと幾つかのメールも届いていた矢先、2月5日、長野県石油商業組合北信支部加盟のガソリンスタンド間で店頭表示価格の値上げ幅などを知らせる電話連絡が回っていた疑いが浮上し、口裏を合わせて値段調整をしていたのではないかとの新聞報道があり、怒りと衝撃が広がりました。
 公正取引委員会は11月26日、長野県石油商業組合北信支部に対し、独占禁止法に定める排除措置命令を出し、同支部に加盟する一部の事業者17社に対して合計1億1,658万円の課徴金納付を命令し、石油商業組合本部に対しては、支部の違反行為を事実上容認していたとして異例の法令遵守を申し入れました。
 その後、資源エネルギー庁は2年間の設備投資支援の補助金交付停止、経済産業省も、2ないし4か月間の補助金停止の厳格な措置を取るに至っています。
 知事は、提案説明の中で、公正な競争を阻害し、県民生活を地域経済に深刻な影響を及ぼすものであり、県民の信頼を著しく損なう許し難い行為だとして、組合本部が不適切な価格調整行為を把握しながら必要な是正措置をしてこなかったことは、組織運営におけるガバナンスの欠如を示すものであり、組織運営が適正になされ、法令遵守が徹底されるよう、厳正に対処すると明言されています。
 ところがマスコミ報道によれば、石商本部の理事長らは、ここに至るも容認してはいなかった、つまり本部は関わっていなかったと言い張り、自らの責任を認めようとせず、県民や組合員の反発を招き、あまりにひどいとの声が上がっています。
 そこで知事にお聞きします。
 石商本部の責任者のこうした無責任な発言は、誠意も反省もなく、公取の指摘にも真摯に答えようとしない許し難い態度だと考えますがどのように受け止めているのか、見解を伺います。

【阿部知事】

 長野県石油商業組合に関する御質問いただきました。
 まず、排除措置命令等の受け止めについてという御質問でございます。
 公正取引委員会が、今般長野県石油商業組合北信支部に対して、独占禁止法に定める排除措置命令を、そして同支部に加盟する一部の事業者に対して課徴金納付命令を、併せて、県石油商業組合に対しては党支部で行われていた販売価格の改定額等の決定、改定の行為を踏まえ、法令遵守を図るよう申し入れを行ったところであります。
 こうした行為は、公正な競争を阻害し、県民生活や地域経済に深刻な影響を及ぼすものであり、県民の皆様の信頼を著しく損なう許し難い行為であると、これは提案説明でも申し上げましたし、会見等でもそうした考え方をお伝えをさせてきていただいているところであります。
 また、県の石油商業組合の本部が、北信支部の独占禁止法違反行為を取りやめさせることなく事実上容認していたというふうに指摘されておりますことは、組織全体としてのガバナンスが欠如しているというふうに言わざるを得ないというふうに思っています。  県石油商業組合においては、こうした状況を重く受け止めて、組織としての健全性、透明性を確保するようにしっかり取り組んでいただくということが必要であり、また、かねてから求めておりますように、県民の皆様方に対してもしっかりと説明責任を果たして、信頼を回復することが重要だというふうに考えています。

【毛利栄子議員】

 県は、これまで何回にもわたり事実関係の報告を求め、第三者委員会報告に関わっている報告、中小企業団体の組織に関する法律に基づく報告の徴収などを行って、不明点については聞き取りも実施し、長野県中小企業団体中央会にも指導を依頼するなど、曖昧な回答を重ねる組合に対し、重ね重ね対処してきています。
 しかしながら、これらの経過を見ていても、組織のガバナンスの確立、コンプライアンスの遵守、県民への丁寧な説明、再発防止策などの取組に真摯に向き合っているとは到底言い難い状況ではないでしょうか。
 そもそも違法行為を行っていたという認識が乏しく、長年にわたって高いガソリン代に犠牲を強いられてきた県民への謝罪の気持ちもなければ説明責任を果たす気持ちも感じられません。 県として厳正に対処するとのことですが、行政処分も含め、具体的にどのような対応を講じるのか伺います。また厳正に対処するというのであれば、まず本部役員の早急な人事の刷新を求めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

【阿部知事】

 石商に対する具体的な対応と本部役員の刷新を求めるべきではないかという御質問でございます。
 これまで県としては、中小企業団体の組織に関する法律に基づいて報告の徴収を行うとともに、中小企業団体中央会とも連携して第三者委員会の報告で指摘をいただい指摘がされていることについて、真摯に対応することなどを石商に指導をしてきたところでありますが、現時点で十分な対応がなされているというふうには言い難いと考えております。
 今回公正取引委員会から石商本部に対して、今後の組織運営を適正化する観点で、コンプライアンス遵守に関する申し入れがなされました。県として、既に石商に対して事実関係や今後の対応方針について県に報告するよう中小企業団体中央会を通じて求めているところでございます。
 今後、石商の考え方については、先ほど報道されている役員のコメントについても言及されておりましたが、そうしたことも含めて、直接聴取をしたいというふうに考えております。石商の組織運営が適正に行われガバナンスを確立しコンプライアンスを遵守するよう、法令に基づいて業務改善命令も視野に入れて厳正に対処していきたいと考えております。
 また、本部役員の人事刷新についてのお尋ねでありますが、石商に対しては、これまでも県民の皆様方からの信頼回復を求めているところでございます。こうした状況を真摯に受け止めていただき、石商において組織体制の在り方を含め、まずは自主的主体的に考えていただくことが必要だというふうに考えています。
 以上です。

【毛利栄子議員】

 県石商は、これまで様々な補助金や県の報奨金など多額の税金をつぎ込んできた団体です。県内には厳しい営業を強いられながら、地域住民の暮らしを支えるためにやめるわけにはいかないと、過疎地で頑張ってくれているスタンドもたくさんあります。  今回の事件を教訓に、しっかり反省し、再発防止に努めながら、再生の道を進むよう期待するところでありますけれども、人事の問題につきましては、例えば、一般の企業であるなら、これだけ組織の支部に罰則や課徴金を負わせ、長年にわたって県民に不当な苦難を押しつけてきたのであれば、組織のトップが責任を取って役職を辞すのが当然かと思います。
 県とのやり取りの中でも、県は本当に御苦労いただいてると思うんですよね。産業労働部の皆さんは、何回にもわたって、第三者委員会の中身にも添いながらいろいろな指導をされています。でもそのことを指導してもなかなか受け止めようとされなくて、例えば人事の問題については、何ておっしゃっているかといいますと、これから総会、理事会をやって対応していきますと言うけれども、そういう動きというのは県民の目にはほとんど見えないわけですね。だから県民にしてみれば、本当にこれでいいのかということで、ますますこの怒りが高まっているという状況なわけです。
 今、知事のほうからは、自主的主体的に組織が人事のことも含めてというお話ありましたけれども、もっと強制力を持った県の対応というものができないのかどうか、そのことについてお伺いさせていただきます。

【阿部知事】

 石商への対応については私も当初、役員の皆さんと直接向き合って、我々に対する報告等が極めて不十分だということで、かなりこれまでも厳しく対応させてきていただいているとこでございます。
 しかしながら、一方で、先ほど御質問の中にもありましたように、多くの事業者、特にSSの第一線で働いている皆様方が、本当に厳しい経営環境の中でしっかり頑張っていただいている皆さんも大勢いらっしゃるというふうに思っています。
 そういう意味では、私は、まずはというふうに申し上げました。我々県としてどのような措置を講ずるかということについてはしっかり、石商の会見も行われるというふうに承知していますので、そうした中でどういうことが県民の皆様方に対して説明されるのか、そして先ほど申し上げたように直接我々も石商に意見を聴取したいというふうに思っています。
 そうしたこともしっかり踏まえて、先ほど来申し上げているように、県民の皆様方の思い、本当にもう許されないという思いを持たれている方もいらっしゃるというふうに思います。ただ、その一方で我々は行政機関でありますのでそうした感情面だけではなくて、やはり法令に基づいて冷静に対応していくということも必要だというふうに思っています。
 知事の立場としては、県民の思いをしっかり受け止めながらも、一方で法律を執行する立場としては、冷静にこの問題に対処していきたいというふうに思っています。
 そういう意味では、石商の皆さん、いろいろな関係者の皆さんがいらっしゃいます。この問題を非常に重視されている組合員の方々もいらっしゃるわけでありますから、そうした中で、まずは石商自らしっかりと向き合ってもらいたいというふうに考えております。
 以上です。

【毛利栄子議員】

 県として一層厳格な対応をしていただきたいことを求めながら、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

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